JP3572494B2 - 塗布具における転写テープ送出、巻取り装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、塗布具、特に塗布具本体内に内蔵する糊或は修正塗膜転写テープ(以下「転写テープ」という。)により接着或は修正してなる塗布具における転写テープ送出、巻取り装置に関する。
【0002】
【従来の構造】
従来、塗布具、特に塗布具本体内に内蔵する転写テープにより接着或は修正してなる塗布具における転写テープ送出、巻取り装置は、塗布具本体内に内蔵されると共に、供給リールカラー及び巻取りリールカラーに各々一体となり、互いに噛合する供給ギアと巻取りギアとの駆動により、上記塗布具の先端に配設される転写ヘッドに対して、供給リールカラーに巻回される未使用の転写テープを送出すると同時に、転写ヘッドを経由した使用済みの転写テープを巻取りリールカラーに巻回するものが一般的であり、上記カラーに巻取られる転写テープを塗布具より取り外すことにより転写テープの交換をするものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のものにおいては、供給リールカラー及び巻取りリールカラーに各々一体となり、互いに噛合する供給ギアと巻取りギアとの駆動により、転写テープの送出、巻取りを行う供給リールカラー及び巻取りリールカラーは、塗布具本体の内壁に一体に形成される固定軸により回動自在に軸着された各ギアの軸を、それぞれその内側に嵌入して固定することにより、各カラーと各ギアとの同調回転を可能とし、特に未使用の転写テープを塗布具本体の先端に配設する転写ヘッドに対して送出してなる供給リールカラーにおいては、そのカラーが供給ギアに対して空転することを防止し、カラーと供給ギアとの同調回転の確実性を確保するために、供給ギアの軸をカラーの内側に嵌入する際、その間にOリングを介入させているが、そのOリングの接する供給ギアの軸の外壁面及び供給リールカラーの内壁面が滑面であるためその摩擦力に限界があり、勢いよく塗布具による糊或は修正塗膜による塗布或は修正作業を行う場合には、カラーが供給ギアに対して空転して、塗布具本体内において転写テープが溢れ、次に使用する際には転写テープを送出し、巻取ることができず、糊或は修正塗膜による塗布或は修正作業を円滑に行うことができなくなる欠点がある。この欠点を改善するために摩擦力を増大する方法として、Oリングの反撥力を強くすることが考えられるが、転写テープの送出には実用品として受け入れられない程の力が必要であり、その実現性は困難である。
【0004】
そして、通常供給リールと一体となる供給ギアを逆回転させて塗布具本体内に余分に送出されて余った未使用の転写テープを供給リールカラーに再度巻戻せるように巻戻しボタンを装着してはいるが、大量に塗布具本体内に未使用の転写テープが溢れてしまった場合には、使用者にとって著しく煩雑な供給リールカラーへの巻戻し作業を強いることとなる上、使用者が巻戻すに当たって無理に未使用の上記転写テープを巻戻そうとすると、この転写テープが切断するおそれがある。
【0005】
そこで、この発明は、上記従来のものの有する欠点を改善するものであり、簡単な構造により、使用者が勢い良く糊或は修正塗膜による塗布或は修正作業を行っても供給リールカラーから余分な未使用の転写テープが送出されないようにするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そのために、塗布具本体内に内蔵される転写テープ送出、巻取り装置において、供給ギアの軸の外壁面及び供給リールカラーの内壁面の双方あるいは一方に、軸に対して平行方向に凹凸溝を設けた上、供給リールカラーの内側に供給ギアの軸をOリングを介して嵌入固定してなり、あるいは、供給ギアの軸の外壁面及び供給リールカラーの内壁面の双方あるいは一方に設ける上記凹凸溝に代え、これを粗面として、供給リールカラーの内側に供給ギアの軸をOリングを介して嵌入固定してなるものである。
【0007】
【作用】
上記構成を具えるので、供給ギアの軸の外壁面とOリング間並びに供給リールカラーの内壁面とOリング間の双方あるいは一方に、強力な係合力あるいは摩擦力(抵抗)が生ずることとなるので、糊或は修正塗膜により塗布或は修正しようとして、塗布具を勢いよく移動させても、転写テープを巻き取っている供給リールのカラーと供給ギア間には平滑面である場合のように滑り出してから急激に摩擦力が低下することがなく、いわゆる静止摩擦から動摩擦への変化が少なく、常に強力な係合力あるいは摩擦力が生じているため、供給リールカラーが空転することによる、塗布具本体内に余分な未使用の転写テープが送出されることを防止できると共に、塗布具本体内の先端に配設される転写ヘッド及び巻取りリールカラー間の転写テープに対して適度な張力を与えることとなり、次回の使用に際して円滑に糊或は修正塗膜による塗布或は修正作業を行うことができる。
【0008】
【実施例】
この発明を図に示す実施例により更に説明する。(1)はこの発明の実施例である塗布具であり、この塗布具(1)は、図1に示すように、上下に着脱自在な上ケース(2)と下ケース(3)内に転写テープ(4)の送出、巻取り装置を構成するものであり、(5)は供給ギア用回転軸であって、(6)は同じく巻取りギア用回転軸であって、いずれも下ケース(3)と一体となっており、それぞれに供給ギア(7)と巻取りギア(8)が嵌合されるとともに、その嵌合された各ギア(7)(8)は互に噛合するように各回転軸(5)(6)は位置決めされている。
【0009】
図2、図3において、(9)は供給ギア軸であって、供給ギア(7)より上方に突出して供給リールカラー(10)の内側に嵌入され、(11)は供給ギア軸外輪歯であって、供給ギア軸(9)の外側に軸に対して平行な凹凸溝に形成され、この凹凸溝を特に供給リールカラー(10)に巻回された転写テープ(4)が送出される際に供給リールカラー(10)の回転する方向に対して連続的に逆方向に傾斜して設けるものとし、(12)は供給リールカラー内輪歯であって、供給リールカラー(10)の内側に軸に対して平行に、且つ、供給リールカラー(10)に巻回された転写テープ(4)が送出される際に供給リールカラー(10)の回転する方向に傾斜して設けられ、(13)はOリングであって、供給リールカラー(10)の内側に供給ギア軸(9)を嵌入する際、その外側は供給リールカラー内輪歯(12)に、又、その内側は供給ギア軸外輪歯(11)に当接するようその中間に嵌挿され、(14)は巻戻しボタンであって、その下部の四方に設けられた固定脚(15)と供給リールカラー(10)上部に設けられた固定脚受け溝(16)とが係合することにより供給リールカラー(10)と一体になるように固定され、その上部は上ケース(2)に設けられた巻戻しボタン孔(17)より外部に突出して、供給リールカラー(10)の手動操作により転写テープ(4)の巻戻しを可能とする。(18)は転写ヘッドであって、下ケース(3)の先端に設置され、供給リールカラー(10)に巻回された転写テープ(4)がその先端に掛け渡された上、巻取りギア(8)と一体となるように軸着された巻取りリールカラー(19)に巻回されて巻き取られる。なお、上記凹凸溝は、傾斜して設けることなく軸に平行に形成してもよく、供給ギア軸外輪歯だけに形成しても効果があるものである。
【0010】
第4図は他の実施例における供給ギア(7)と供給リールカラー(10)とOリング(13)との取り合いを示す分解斜視図であり、(20)は供給ギア軸外輪梨地面(粗面)であり、(21)は供給リールカラー内輪梨地面であり、供給リールカラー(10)の内側に供給ギア軸(9)を嵌入する際、Oリング(13)の外側が供給リールカラー内輪梨地面(21)に、又、その内側が供給ギア軸外輪梨地面(20)に当接するようその中間に嵌挿される。
【0011】
この発明は以上の構成を具えるので、糊或は修正塗膜を塗布或は修正するために塗布具(1)として使用するにあたって、塗布具(1)の先端に配設された転写ヘッド(18)を被塗布物の表面に当接させつつ、塗布具(1)を一定方向に移動させることにより、塗布具(1)内に内蔵される転写テープ送出、巻取り装置を構成する供給リールカラー(10)から転写ヘッド(18)に対して未使用の転写テープ(4)が送出されると同時に、この供給リールカラー(10)と一体となる供給ギア(7)と互に噛合する巻取りギア(8)と一体に軸着される巻取りリールカラー(19)へ使用済みの転写テープ(4)を巻回するものである。
【0012】
このとき、供給リールカラー(10)と供給ギア(7)とはOリング(13)を介して軸着されているが、供給リールカラー(10)の内側に、供給リールカラー(10)に巻回された転写テープ(4)が送出される際に供給リールカラー(10)が回転する方向に傾斜した供給リールカラー内輪歯(12)が設けられ、又、供給ギア軸(9)の外側には、供給リールカラー(10)に巻回された転写テープ(4)が送出される際に供給リールカラー(10)が回転する方向と逆方向に傾斜した供給ギア軸外輪歯(11)が設けられているため、供給リールカラー(10)内側面とOリング(13)間、又、Oリング(13)と供給ギア軸(9)の外側面間がそれぞれ強固に係合し、転写テープ(4)の送出に伴って供給リールカラー(10)が回転した際、その供給リールカラー(10)の回転力が正確に供給ギア軸(9)に伝達される。そのため、供給リールカラー(10)の回転は供給ギア(7)及び巻取りギア(8)を介して巻取りリールカラー(19)に正確に伝達され、供給リールカラー(10)の空転による転写テープ(4)の塗布具(1)内への溢れ出しを防止することができる。
【0013】
なお、供給リールカラー(10)の内側面とOリング(13)間、又、Oリング(13)と供給ギア軸(9)の外側面間のそれぞれの強固な係合は、供給ギア軸外輪歯(11)と供給リールカラー内輪歯(12)の、その各歯がOリング(13)に係合することとなっているため、その各歯の傾斜方向は上記実施例のように、供給ギア軸外輪歯(11)については、供給リールカラー(10)に巻回された転写テープ(4)が送出される際に供給リールカラー(10)が回転する方向と逆方向に、又、供給リールカラー内輪歯(12)については、供給リールカラー(10)に巻回された転写テープ(4)が送出される際に供給リールカラー(10)が回転する方向にそれぞれ傾斜していることが望ましいがこの構成は必須要件ではない。
【0014】
更に、供給リールカラー(10)の内側面と供給ギア軸(9)の外側面は、第4図に示すようにそれぞれ梨地面となっていても、その各供給ギア軸外輪梨地面(20)と供給リールカラー内輪梨地面(21)とにより、前記実施例の場合と同様に、供給リールカラー(10)の内側面とOリング(13)間、又、Oリング(13)と供給ギア軸(9)の外側面間がそれぞれ強固に係合し、転写テープ(4)の送出に伴って供給リールカラー(10)が回転した際、その供給リールカラー(10)の回転力が正確に供給ギア軸(9)に伝達されて、同様の効果を得る事ができる。尚、供給リールカラー(10)の内側面と供給ギア軸(9)の外側面に設けられる地文様は梨地面に限られるものでなく、Oリング(13)との摩擦力を増大させるものであれば、シボ面、ヘアライン面、万線面、細目ローレット面、粗目ローレット面等の粗面であっても有効であり、上記の各種粗面を適宜組合せて用いることもできる。
【0015】
【発明の効果】
以上のとおり、塗布具本体の先端に配設される転写ヘッドに対して未使用の転写テープを送出する供給リールカラーに、Oリングを介して供給ギア軸を嵌入、固定した際、供給リールカラーの内側面とOリング間、又、Oリングと供給ギア軸外側面間とは、その各面に設けられた歯のOリングに対する係合により、あるいはその各面の地文様による摩擦力によって、強固に係合固定されるので、急激な塗布具本体の移動に対しても、供給リールカラーが空転することを防止できるので、塗布具本体内に余分な転写テープが送出されることを防止し、確実且つ迅速に糊或は修正塗膜による塗布或は修正作業を行うことができると共に、次回の使用に当っても使用者に転写テープの弛みによる巻戻し等の作業を強いることなく、糊或は修正塗膜の塗布具として使用することができる優れた効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】転写テープ送出、巻取り装置を有する塗布具の一般的分解斜視図である。
【図2】この発明の実施例である塗布具における要部の分解斜視図である。
【図3】同じく供給リールカラー部分における横断面図である。
【図4】この発明の他の実施例における要部の分解斜視図である。
【符号の説明】
1 塗布具
2 上ケース
3 下ケース
4 転写テープ
5 供給ギア用回転軸
6 巻取りギア用回転軸
7 供給ギア
8 巻取りギア
9 供給ギア軸
10 供給リールカラー
11 供給ギア軸外輪歯
12 供給リールカラー内輪歯
13 Oリング
14 巻戻しボタン
15 固定脚
16 固定脚受け溝
17 巻戻しボタン孔
18 転写ヘッド
19 巻取りリールカラー
20 供給ギア軸外輪梨地面
21 供給リールカラー内輪梨地面
Claims (2)
- 塗布具本体内に内蔵されると共に、互いに噛合する供給ギアと巻取りギアとの駆動により、上記塗布具の先端に配設される転写ヘッドに対して、供給リールカラーに巻回される未使用の糊或は修正塗膜転写テープを送出すると同時に、転写ヘッドを経由した使用済みの糊或は修正塗膜転写テープを巻取りリールカラーに巻回してなり、上記供給ギアの軸の外壁面及び供給リールカラーの内壁面の双方あるいは一方に、軸に対して平行方向に凹凸溝を設けた上、供給リールカラーの内側に供給ギアの軸をOリングを介して嵌入固定してなる塗布具における転写テープ送出、巻取り装置。
- 請求項1記載の供給ギアの軸の外壁面及び供給リールカラーの内壁面の双方あるいは一方に設ける凹凸溝に代え、これを粗面として、供給リールカラーの内側に供給ギアの軸をOリングを介して嵌入固定してなる塗布具における転写テープ送出、巻取り装置。
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JP15404995A JP3572494B2 (ja) | 1995-05-30 | 1995-05-30 | 塗布具における転写テープ送出、巻取り装置 |
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1995
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