JP3571874B2 - 位置合わせ方法および装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、精密な位置合せ手段を必要とする装置、例えば電子回路パターンを半導体基板上に投影露光する縮小投影型露光装置などにおいて、複数の対象物を順次正確に位置合せする方法および装置ならびにこれらを使用することができるデバイス製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
DRAMに代表される半導体の集積度は近年著しく高くなり、高集積化に伴って半導体素子上に形成されるパターン寸法は、サブミクロンのオーダとなっている。このような背景から半導体露光装置においては、マスクとウエハの位置合せ精度を向上させるための技術開発が盛んに行なわれている。半導体露光装置としては縮小投影型の所謂ステッパが広く用いられている。
【0003】
図8(a)は縮小投影型の半導体露光装置の一例を示す概略図である。
同図に示すように、露光照明系から照射された露光光束は、レチクルR上に形成された電子回路パターンを、投影光学系1を介して、2次元に移動可能なステージ11上に載置されたウエハWに投影し、露光する。図中のSは位置合せ用光学系であり、x方向の位置を検出するものである。また、これと同様な不図示の位置合せ用光学系が搭載されており、これによりy方向の位置を検出するようになっている。露光に先立ち、レチクルRとウエハWの相対的な位置合せは次のような手順により行なう。
【0004】
不図示のウエハ搬送装置により、ウエハWがXYステージ11に載置されると、CPU9は図9で示す1番目の計測ショットS1に形成されている位置合せ用マークMlxが、位置合せ光学系Sの視野範囲内に位置するよう、ステージ駆動装置10に対してコマンドを送り、XYステージ11を駆動する。ここで、非露光光を照射する位置合せ用照明装置2より照射された光束は、ビームスプリッタ3、レチクルR、および投影光学系1を介して、位置合せ用マークMlx(以降、ウエハマークともいう)を照明している。ウエハマークMlxは、図8(b)に示すように、同一形状の矩形パターンを一定ピッチλ で複数配置したものである。
【0005】
ウエハマークMlxから反射した光束は、再度投影光学系1およびレチクルRを介してビームスプリッタ3に到達し、ここで反射して結像光学系4を介して撮像装置5の撮像面上にウエハマークMlxの像WMを形成する。撮像装置5においてマークM1xの像WMは光電変換され、A/D変換装置6において、2次元のディジタル信号列に変換される。図8(a)の7は積算装置であり、図8(b)に示すように、A/D変換装置6によりディジタル信号化されたウエハマーク像WM′に対して処理ウインドウWpを設定し、該ウインドウ内において、図8(b)に示すY方向に移動平均処理を行い、2次元画像信号を1次元のディジタル信号列S(x)に変換する。
【0006】
図8中の8は位置検出装置であり、積算装置7から出力された1次元のディジタル信号列S(x)に対し、予め記憶しておいたテンプレートパターンを用いてパターンマッチを行ない、最もテンプレートパターンとのマッチ度が高いS(x)のアドレス位置をCPU9に対して出力する。この出力信号は、撮像装置5の撮像面を基準としたマーク位置であるため、CPU9は、予め不図示の方法により求められている撮像装置5とレチクルRとの相対的な位置から、ウエハマークMlxのレチクルRに対する位置ax1を計算により求める。以上で1番目の計測ショットS1のx方向の位置ずれ量が計測されることになる。
【0007】
次にCPU9は、1番目の計測ショットS1のy方向計測用マークM1yがy方向用位置合せ光学系の視野範囲に入るよう、XYステージ11を駆動する。ここでx方向計測と同様な手順でy方向の位置ずれ量ay1を計測する。以上で、S1での計測が終了したことになる。
【0008】
次にCPU9は、2番目の計測ショットS2にXYステージ11を移動し、1番目と同様な手順でx,y方向の位置ずれ量を計測する。以下同様に、予め定められた計測ショット数n(図9ではn=4)分の計測を行ない、各々の計測ショットでの位置ずれ計測値axi,ayi(i=1,2,…,n)を記憶する。
【0009】
CPU9は、このようにして得られた各計測ショットでの位置ずれ量から、次のようにしてウエハWのレチクルRに対する相対的な位置合せを行なう。
【0010】
CPU9は、各計測ショットでの設計上のマーク位置d =[dxi,dyi をウエハマーク計測によって得られた実際のマーク位置a =[axi,ayi に補正変換により重ね合わせようとしたとき、補正の残差e =[exi,eyi を含んだ補正位置g =[gxi,gyi =[axi+exi ,axi+exi とd の関係が
【0011】
【数1】
Figure 0003571874
で表されたとして、補正の残差e の2乗和
【0012】
【数2】
Figure 0003571874
が最小になるような変換パラメータA,Sを計算する。次にCPU9は、AおよびSで定められた所定の変換パラメータを元にXYステージを駆動し、計測されたマーク位置と設計上のマーク位置との誤差が最小になるようなステップ&リピートによる位置合せを行ないながら、ウエハ上に形成された全てのショットの露光を行なっている。
ここでAおよびSは、
【0013】
【数3】
Figure 0003571874
であり、α ,α は各々ウエハのx方向、y方向の伸び、θ ,θ は各々ショット配列のx軸、y軸の回転成分を表している。また、Sはウエハ全体としての並行ずれを表している。この方法によれば、全ての露光ショットで位置ずれ計測を行なわず、限られたサンプルショットを使って位置合せを行なうため、装置のスループットが向上するメリットがある。
【0014】
しかしながら、実際の半導体製造工程では計測マークの変形等に由来するショットの計測誤差はロット毎に様々である。そのため、あらかじめ固定されたサンプルショットを用いた場合、ショットの計測誤差の大きいプロセスウエハの位置合せにおいてはサンプルショット数の不足による補正精度の低下が生じ、またロットの計測誤差の小さいプロセスウエハの位置合せにおいては、必要な精度を満たす為のサンプルショット数に比べ固定されたサンプルショット数が多すぎるためスループットの低下を招くというような欠点がある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、複数の基板のそれぞれにあらかじめ所定の配列に従って形成された複数の位置合せ用マークを用いて、前記複数の基板のそれぞれを位置合せする位置合せ方法および装置ならびにデバイス製造方法において、計測すべき位置合せ用マークを適切に選択することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するため本発明の位置合せ方法は、複数の基板のそれぞれにあらかじめ所定の配列に従って形成された複数の位置合せ用マークを用いて、前記複数の基板のそれぞれを位置合せする位置合せ方法であって、前記複数の基板のうちの第1基板上に形成されている第1複数の前記位置合せ用マークの位置を順次計測する第1工程と、前記第1工程において得られた前記第1複数の計測位置とそれらの設計上の位置との間の幾何変換におけるパラメータとしての第1変換パラメータ(B,Θ,S)を決定する第2工程と、前記第1変換パラメータによる前記設計位置の幾何変換後の位置と前記設計位置に対応した前記計測位置との差としての残差と前記第1変換パラメータとに基づき、前記第1複数の前記位置合せ用マークのうちから、前記複数の基板のうちの前記第1基板とは異なる第2基板の位置合せに用いる、前記第1複数以下の第2複数の前記位置合せ用マークを選択する第3工程とを具備し、前記第3工程は、前記残差に基づき、前記第1複数の前記位置合せ用マークのうちの前記第1複数より少ない第2複数の前記位置合せ用マークを選択する第4工程と、前記第2複数の前記位置合せ用マークに対して、前記第1工程において得られた前記第2複数の計測位置とそれらの設計上の位置との間の幾何変換におけるパラメータとしての第2変換パラメータ(B2,Θ2,S2)を決定する第5工程と、前記第1変換パラメータに基づいて前記第2換パラメータを評価する第6工程と、前記第6工程における評価結果に基づいて、前記第2基板の位置合せ用に前記第2複数の前記位置合せ用マークを選択する第7工程とを含むことを特徴とする。
前記第7工程において、前記第6工程における評価結果によっては、前記第2複数を多くした上で、前記第4乃至第6の工程を繰り返すとよい。
【0017】
また、本発明のデバイス製造方法は、このような位置合せ方法により、複数の基板のそれぞれを位置合せする位置合せ工程と、前記位置合せ工程において位置合せされた前記複数の基板のそれぞれを露光する露光工程とを含むことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の位置合せ装置は、複数の基板のそれぞれにあらかじめ所定の配列に従って形成された複数の位置合せ用マークを用いて、前記複数の基板のそれぞれを位置合せする位置合せ装置であって、前記複数の基板のうちの第1基板上に形成されている第1複数の前記位置合せ用マークの位置を順次計測する第1手段(CPU9、位置合せ光学系S、ステージ駆動装置10等)と、
前記第1手段により得られた前記第1複数の計測位置とそれらの設計上の位置との間の幾何変換におけるパラメータとしての第1変換パラメータを決定する第2手段(CPU9)と、前記第1変換パラメータによる前記設計位置の幾何変換後の位置と前記設計位置に対応した前記計測位置との差としての残差と前記第1変換パラメータとに基づき、前記第1複数の前記位置合せ用マークのうちから、前記複数の基板のうちの前記第1基板とは異なる第2基板の位置合せに用いる、前記第1複数以下の第2複数の前記位置合せ用マークを選択する第3手段(CPU9)とを具備し、前記第3手段は、前記残差に基づき、前記第1複数の前記位置合せ用マークのうちの前記第1複数より少ない第2複数の前記位置合せ用マークを選択する第4手段と、前記第2複数の前記位置合せ用マークに対して、前記第1手段により得られた前記第2複数の計測位置とそれらの設計上の位置との間の幾何変換におけるパラメータとしての第2変換パラメータを決定する第5手段と、前記第1変換パラメータに基づいて前記第2変換パラメータを評価する第6手段と、前記第6手段による評価結果に基づいて、前記第2基板の位置合せ用に前記第2複数の前記位置合せ用マークを選択する第7手段とを含むことを特徴とする。
ここで括弧内の記載は、実施例において対応する要素を示す。
【0019】
つまり、本発明では、複数の基板のそれぞれを位置合わせする際、複数の基板のうちの第1基板で第1複数の位置合せ用マークの計測位置と設計上の位置との間の第1変換パラメータを得、その第1変換パラメータと第1変換パラメータによる変換の残差に基づいて、第1複数の位置合せ用マークのうちから、前記複数の基板のうち、第1基板とは異なる第2基板の位置合せに用いる、前記第1複数以下の第2複数の位置合せ用マークを選択するこれにより、第2基板において必要かつ最小限の位置計測により変換パラメータを決定できるようにし、もって精度とスループットの両立を図っている。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい実施形態においては、位置合せ対象物の位置の計測は、その設計上の位置からのずれ量を計測することにより行うことができる。
【0021】
また、位置合せ対象物の配列位置のうちの幾つかを選択するための所定の論理としては、前記残差が小さい計測位置の位置合せ対象物の配列位置を優先して選択する論理等を用いることができる。また、その残差として、各残差に対して、その残差に係る計測位置の基板中心からの距離rと前記基板中心からの所定の半径Rの比(R/r)で重み付けしたものや、各残差に対して、配列位置が、位置的に偏らないように選択されるような重み付けを行ったものを使用することができる。
【0022】
また、他の基板について変換パラメータを決定する際に、その変換パラメータと1枚目の基板により決定された変換パラメータとの差が所定の条件を満たさないときは、前記残差あるいは重み付けされた残差が小さい計測位置の位置合せ対象物の配列位置をさらに追加して選択し、再度変換パラメータを決定し、前記所定の条件が満たされるまであるいは選択された配列位置が所定の数になるまで、この追加選択と再度変換パラメータのを決定工程を繰り返すようにしてもよい。
以下、本発明の実施形態を、実施例を通じてより具体的に説明する。
【0023】
【実施例】
図1は、本発明の第1の実施例に係る位置合せ装置を有する露光装置を示す概略図である。同図において、位置合せ光学系S、A/D変換装置6、積算装置7、および位置検出装置8の機能は従来例と同様であるので、ここでは詳細な説明は省くが、本実施例では、図8(a)の従来例の構成に加えて記憶装置12が追加されている。図4および図5は、この装置による露光手順を示すフローチャートである。
【0024】
この装置において、不図示のウエハ搬送装置により、最初のロットの1枚目のウエハWがXYステージ11に載置されると(ステップS1、S2)、CPU9は、図2で示す1番目の計測ショットS1に形成されている位置合せ用マークMlxが、位置合せ光学系Sの視野範囲内に位置するよう、ステージ駆動装置10に対してコマンドを送り、XYステージ11を駆動する。このとき、非露光光を照射する位置合せ用照明手段2より照射された光束は、ビームスプリッタ3、レチクルR、および投影光学系1を介して、位置合せ用マークMlxを照明している。位置合せマークMlxは、図8(b)で示すような格子状マークである。次に、A/D変換装置6、積算装置7、位置検出装置8は、従来例で説明したのと同様な方法で、レチクルRとマークMlxとの相対的な位置ずれ量を求める。次に、CPU9は、y方向の位置合せマークであるMlyが、位置合せ光学系Sの視野範囲に入るよう、XYステージ11を駆動し、Mlxと同様な方法でレチクルRとマークMlyとの相対的な位置ずれ量を求める(ステップS3、S4)。
【0025】
次にCPU9は、XYステージ11を2番目の計測ショットS2のx方向計測用マークM2xが位置合せ光学系Sの視野範囲に入るよう移動し、以下、計測ショットS1と同様にして、ウエハW上に図2(a)に示されるように形成されている各計測ショットS2、S3・・・S32について、順次、そのx方向ずれとy方向ずれ量を計測する(ステップS3〜S5)。
【0026】
次にCPU9は、各計測ショットのマークM1x、M1y・・・の設計上のマーク位置d =[dxi,dyi を上述のウエハマーク計測によって得られた実際のマーク位置a =[axi,ayi に補正変換により重ね合わせようとしたとき、補正の残差e =[exi,eyi を含んだ補正位置g =[gxi,gyi =[axi+exi ,axi+exi とd の関係が
【0027】
【数4】
Figure 0003571874
で表されたとして、補正の残差e の2乗和が最小になるような変換パラメータB,Θ,Sを、
【0028】
【数5】
Figure 0003571874
としたときのVが最小になる条件の元に計算する(ステップS6)。ここで、i=1,2,…,32、B,Θ,Sは、
【0029】
【数6】
Figure 0003571874
である。ここでβ ,β は、各々ウエハのx方向、y方向の伸び、θ ,θ は各々ショット配列のx軸、y軸の回転成分を表している。また、Sはウエハ全体としての並行ずれを表している。これらの変換パラメータは、ウエハW1に形成されているパターンの、理想的な位置からのずれの誤差要因として、倍率成分、回転成分、並行ずれ成分を表している。
【0030】
次にCPU9は求めた変換パラメータβ ,β ,θ ,θ ,s ,s をリファレンスの補正量βref ,βref ,θref ,θref ,sref ,sref とし、浅差E=( e ,e ,…,e32) とともに記憶装置12に記憶する(ステップS6)。この変換パラメータは、変換式(4)が一次式であることより、ウエハWに形成されているショット配列の線形成分に相当するものである。またここでは全ショットを計測して補正量を算出しているため、リファレンス補正量は最も精度よくショット配列の線形成分を推定しているものとなっている。
【0031】
次に、CPU9は求めた変換パラメータにより設計上のショット配列格子を変換した格子に従ってXYステージ11をステップ&リピート駆動し、ウエハWの各ショットを順次露光し(ステップS7)、全てのショットの露光が終了した時点で、ウエハWをウエハ搬送装置により不図示のウエハ収納キャリアに収納する(ステップS9)。
【0032】
次にCPU9は、各ショットの計測値A=(a ,a ,…,a32)と、リファレンスの補正量βref ,βref ,θref ,θref ,sref ,sref と、残差E=(e ,e ,…,e32)とからサンプルショットを次のようにして選択する(ステップS8)。つまり図5に示すように、まず、残差の|e |のもっとも小さいショットから順に4ショット選択する(ステップS81、S82)。この4ショットの計測値から変換パラメータを算出する(ステップ84)。求めた変換パラメータをβxs ,βys ,θxs ,θys ,sxs ,sysとしたとき、βref ,βref ,θref ,θref ,sref ,sref との差分の絶対値をあらかじめ定めた値Δβ ,Δβ ,Δθ ,Δθ ,Δs ,Δs と比較し(ステップS85、S86)、もし
【0033】
【数7】
Figure 0003571874
が成り立てば、サンプルショットの追加を中止し、この4ショットをサンプルショットとして記憶装置12に記憶する(ステップS83〜S87)。もし、式(7)が成り立たないならば、次に誤差の小さいショットから誤差の小さい順に1つづつサンプルショットに追加し(ステップS88)、追加のたびにサンプルショットの計測値から変換パラメータを算出し(ステップS84)、そして、上記式(7)が成り立つか(ステップS85、S86)、またはサンプルショット数が所定の最大値Smax に達するまで(ステップS83)ショットの追加と変換パラメータの算出を繰り返す。その後、最終的なサンプルショットの数と位置を記憶装置12に記憶する(ステップS87)。たとえば、図2(b)のような誤差を持つウエハからサンプルショットを選ぶ際には、残差の小さいショットを順次選んで行き、図3(a)、図3(b)、図3(c)の各補正パラメータβxs,θxs,Sxsが所定の範囲内に収まるためには、それらの図に示されるように、図2(b)に示す7ショットS2、S7・・・S27を必要とすることになる。このような選択アルゴリズムにより、全ショットを計測して補正パラメータを求めた場合とほぼ同様の精度で補正パラメータを求めることができる。ここでは簡単のためX方向についてのみ説明したが、Y方向についても全く同様である。また、あらかじめ定めた値Δβ ,Δβ ,Δθ ,Δθ ,ΔS ,ΔSを、位置合せするウエハに求められる精度に応じて適当に設定することで、必要最小限のショット数で高スループットを維持しつつ、所望の精度を達成することができるようになっている。
【0034】
次にCPU9は、ウエハ搬送装置により次に処理すべきウエハWをXYステージ11に載置する(ステップS1、S2)。CPU9は一枚目のウエハで求めたサンプルショット位置を記憶装置12から読み出し、このサンプルショットについて、順次位置合せマークを先に説明したのと同様な方法で計測し、各ショットでのx方向ずれとy方向ずれ量a2i=[a2xi ,a2yi を求める(ステップS10〜S12)。次に、CPU9は、1枚目のウエハWのときと同様に変換パラメータB ,Θ ,S を求めて算出したショット配列に従い、XYステージ11をステップ&リピートをして全てのショットを露光する(ステップS13〜S14)。
【0035】
3枚目以降の各ウエハについても、同一ロット内の全てのウエハについて処理が終るまで2枚目のウエハWと同じ手順で計測、ステップ&リピート、露光を行なう(ステップS1、S2、S10〜S16)。CPU9は予め1ロットのウエハ枚数を記憶しており、ウエハのロットが変わったときは、最初のロットの場合と同様に、1枚目については全ショットのマーク位置の計測を行って、、変換パラメータや残差の算出、記憶等を行い、同一ロットの残りのウエハについては2枚目のウエハの場合と同様の手順を繰り返す。
【0036】
なお、ロット間でショット計測誤差の傾向に差異がない場合は、最初のロットで記憶されたサンプルショットを、次のロットの計測時に呼び出して使うことも可能になっており、その場合、最初の1枚目についての全ショット計測を省略でき、スループットが向上する。
【0037】
【他の実施例】
上述の実施例では、ロット最初のウエハW上に形成されているショットの計測値の誤差を昇順にならべ、順次サンプルショットを選択した(ステップS82、S88)が、誤差そのものを用いる代わりに、図6のステップS82’、S88’に示されるように、候補ショットのウエハ中心からの距離r とウエハ中心から所定の距離Rの比で重み付けされた誤差量
【0038】
【数8】
Figure 0003571874
をサンプルショットの選択に用いるようにしてもよい。その際、ウエハの外周部分でサンプルショットの計測精度が劣化する場合、外周のショットを除外する効果がある。また、ウエハ中心部分のショットを用いて倍率および回転を補正する場合は、r が小さい程補正精度が劣化するが、R/r で重みづけすることにより中心部分のショットを除外して補正精度劣化を防ぐ効果もある。
【0039】
また、誤差に対する重みとしてショットのばらつきの程度を表す評価値を採用するようにしてもよい。つまり、一般にウエハ上の計測位置は計算精度上ウエハ全面にわたって均等にばらついていることが求められるため、新たにサンプルショットを選択する際にそれまでに選択されたサンプルショットからもっとも離れているショットを優先して選択するのである。具体的には、図7のステップS91〜S94に示されるように、すでに選択されたショットS ,(座標(d =[dxi,dyi )とサンプルショット以外の候補ショットS ,(座標(d =[dxk,dyk )との距離|d −d |をS と全てのサンプルショット間で計算し、もっとも近いサンプルショットとの距離MIN(|d −d |)と候補ショットS の残差の積
【0040】
【数9】
Figure 0003571874
をS の誤差量ewkとする。そして、全ての候補ショットについてewkを求め、|ewk|が最小のショットをサンプルショットに選択する。こうすることで、誤差がウエハ上の一部で局所的小さくなるようなロットに対してもサンプルショットを偏らせることなく配置することが可能になり、倍率と回転の補正精度を劣化させることなく高精度な位置合せができるようになる。
【0041】
次に、このような露光装置を利用することができるデバイス製造例を説明する。図10は微小デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造のフローを示す。ステップ31(回路設計)では半導体デバイスの回路設計を行なう。ステップ32(マスク製作)では設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。一方、ステップ33(ウエハ製造)ではシリコン等の材料を用いてウエハを製造する。ステップ34(ウエハプロセス)は前工程と呼ばれ、上記用意したマスクとウエハを用いて、リソグラフィ技術によってウエハ上に実際の回路を形成する。次のステップ35(組み立て)は後工程と呼ばれ、ステップ34によって作製されたウエハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の工程を含む。ステップ36(検査)では、ステップ35で作製された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行なう。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これを出荷(ステップ37)する。
【0042】
図11は上記ウエハプロセスの詳細なフローを示す。ステップ41(酸化)ではウエハの表面を酸化させる。ステップ42(CVD)ではウエハ表面に絶縁膜を形成する。ステップ43(電極形成)ではウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ44(イオン打込み)ではウエハにイオンを打ち込む。ステップ45(レジスト処理)ではウエハに感光剤を塗布する。ステップ46(露光)では、上記説明した露光装置によってマスクの回路パターンをウエハに焼付露光する。ステップ47(現像)では露光したウエハを現像する。ステップ48(エッチング)では現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ49(レジスト剥離)では、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行なうことによってウエハ上に多重に回路パターンを形成する。
【0043】
本実施形態の製造方法を用いれば、従来は製造が難しかった高集積度の半導体デバイスを低コストで製造することができる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、測すべき位置合せ用マークを適切に選択ることができる。そしてこの選択に従い、第2基板において置計測により変換パラメータを決定すれば度とスループットの両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による第1実施例の要部概略図である。
【図2】図1の装置におけるウエハのショット位置を示す図である。
【図3】図1の装置において、変換パラメータに基づいてサンプルショットを選ぶ様子を示す図である。
【図4】図1の装置の動作を示す全体フローチャートである。
【図5】図4におけるショット選択のフローチャートである。
【図6】本発明による第2実施例のショット選択のフローチャートである。
【図7】本発明による第3実施例のショット選択のフローチャートである。
【図8】従来例の要部概略図である。
【図9】従来例におけるサンプルショット位置を示す図である。
【図10】図1の装置により製造し得る微小デバイスの製造の流れを示すフローチャートである。
【図11】図10におけるウエハプロセスの詳細な流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1:投影光学系、2:位置合せ用照明装置、3:ビームスプリッタ、4:結像光学系、5:撮像装置、6:A/D変換装置、7:積算装置、8:位置検出装置、9:CPU、10:ステージ駆動装置、11:XYステージ、12:記憶装置、S1,S2・・・:ショット、M1y,M1x,M2y,M2x・・・:位置合せ用マーク(ウエハマーク)、W:ウエハ。

Claims (8)

  1. 複数の基板のそれぞれにあらかじめ所定の配列に従って形成された複数の位置合せ用マークを用いて、前記複数の基板のそれぞれを位置合せする位置合せ方法であって、
    前記複数の基板のうちの第1基板上に形成されている第1複数の前記位置合せ用マークの位置を順次計測する第1工程と、
    前記第1工程において得られた前記第1複数の計測位置とそれらの設計上の位置との間の幾何変換におけるパラメータとしての第1変換パラメータを決定する第2工程と、
    前記第1変換パラメータによる前記設計位置の幾何変換後の位置と前記設計位置に対応した前記計測位置との差としての残差と前記第1変換パラメータとに基づき、前記第1複数の前記位置合せ用マークのうちから、前記複数の基板のうちの前記第1基板とは異なる第2基板の位置合せに用いる、前記第1複数以下の第2複数の前記位置合せ用マークを選択する第3工程と
    を具備し、
    前記第3工程は、
    前記残差に基づき、前記第1複数の前記位置合せ用マークのうちの前記第1複数より少ない第2複数の前記位置合せ用マークを選択する第4工程と、
    前記第2複数の前記位置合せ用マークに対して、前記第1工程において得られた前記第2複数の計測位置とそれらの設計上の位置との間の幾何変換におけるパラメータとしての第2変換パラメータを決定する第5工程と、
    前記第1変換パラメータに基づいて前記第2変換パラメータを評価する第6工程と、
    前記第6工程における評価結果に基づいて、前記第2基板の位置合せ用に前記第2複数の前記位置合せ用マークを選択する第7工程と
    を含むことを特徴とする位置合せ方法。
  2. 前記第7工程において、前記第6工程における評価結果に基づいて、前記第2複数を多くしたうえで、前記第4乃至第6の工程を繰り返すことを特徴とする請求項に記載の位置合せ方法。
  3. 前記第4工程において、前記残差が小さい前記位置合せ用マークを優先して選択することを特徴とする請求項またはに記載の位置合せ方法。
  4. 前記第4工程において、前記残差に対して、前記残差に係る位置に基づく重み付けをし、該重み付けをされた前記残差に基づき、前記位置合せ用マークを選択することを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の位置合せ方法。
  5. 前記第6工程において、前記第1変換パラメータと前記第2変換パラメータとの差を評価基準とすることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の位置合せ方法。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の位置合せ方法により、複数の基板のそれぞれを位置合せする位置合せ工程と、
    前記位置合せ工程において位置合せされた前記複数の基板のそれぞれを露光する露光工程と
    を含むことを特徴とするデバイス製造方法。
  7. 複数の基板のそれぞれにあらかじめ所定の配列に従って形成された複数の位置合せ用マークを用いて、前記複数の基板のそれぞれを位置合せする位置合せ装置であって、
    前記複数の基板のうちの第1基板上に形成されている第1複数の前記位置合せ用マークの位置を順次計測する第1手段と、
    前記第1手段により得られた前記第1複数の計測位置とそれらの設計上の位置との間の幾何変換におけるパラメータとしての第1変換パラメータを決定する第2手段と、
    前記第1変換パラメータによる前記設計位置の幾何変換後の位置と前記設計位置に対応した前記計測位置との差としての残差と前記第1変換パラメータとに基づき、前記第1複数の前記位置合せ用マークのうちから、前記複数の基板のうちの前記第1基板とは異なる第2基板の位置合せに用いる、前記第1複数以下の第2複数の前記位置合せ用マークを選択する第3手段と
    を具備し、
    前記第3手段は、
    前記残差に基づき、前記第1複数の前記位置合せ用マークのうちの前記第1複数より少ない第2複数の前記位置合せ用マークを選択する第4手段と、
    前記第2複数の前記位置合せ用マークに対して、前記第1手段により得られた前記第2複数の計測位置とそれらの設計上の位置との間の幾何変換におけるパラメータとしての第2変換パラメータを決定する第5手段と、
    前記第1変換パラメータに基づいて前記第2変換パラメータを評価する第6手段と、
    前記第6手段による評価結果に基づいて、前記第2基板の位置合せ用に前記第2複数の前記位置合せ用マークを選択する第7手段と
    を含むことを特徴とする位置合せ装置。
  8. 基板にパターンを露光する露光装置であって、
    請求項に記載の位置合せ装置を含むことを特徴とする露光装置。
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