JP3570961B2 - ボウルミル用動力伝達装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、請求項1の前提部分に記載のボウルミル(ボウル式粉砕機)用動力伝達装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本発明は、その出発点を、直角ベベルギア式伝動装置によって駆動されるボウルミルに置いている。
【0003】
ベベルギア段階の出力が、固定された環体を有するプラネタリギア式伝動装置のサンギアに伝えられるというタイプの駆動装置は従来技術として公知である(例えばRenk Tacke社刊行のEpicyclic bevel−gear transmissions for vertical roller mills参照)。ここで、粉砕ボウルへの動力伝達はプラネタリキャリアを介して行われる。プラネタリキャリアは、動力伝達のための複数のプラネタリギアを収容している。
【0004】
このようなミルを用いた粉砕工程では、被粉砕物への大きな動力伝達を低速かつ高トルクで行う必要がある。この目的のために必要とされる高い減速比は、伝動段階における実現可能な最大径、及び水平ベベルギアの直径によって制限される。プラネタリギア段階における直径は、粉砕力をミルの基礎部分に直接伝達する伝動装置ハウジングによって制限される。
【0005】
上記のような駆動装置は、2つのプラネタリギア段階を有して構成される。ここで、ベベルギア式伝動装置が、第1プラネタリギア伝動段階の第1サンピニオンを駆動する。第2プラネタリギア伝動段階は、プラネタリキャリアに設けられた非回転式接続部材によって駆動される。このプラネタリキャリアは、固定環体内で回転して、第1サンギアの軸線方向上方に配置されているさらなるサンギアを回転させる。この第2プラネタリギア段階は、第1プラネタリギア段階の軸線方向上方に同軸配置されている。動力分配のために設けられているプラネタリギアによってさらなる固定環体内で回転駆動されるさらなるプラネタリキャリアは、粉砕ボウルへと動力を伝える。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記タイプの動力伝達装置は、大きな回転質量を動かすために多大な動力を消費する。ベアリングは相当に高価であり、多数の部品を組立てることは容易ではない。さらに、プラネタリキャリアを回転させるために取付けられるベアリングをモニターすることは、不可能ではないが、相当に難しい。
【0007】
以上の問題を出発点として、本発明の課題は、高い減速比によって大きなトルク出力を実現でき、コンパクトでかつ組立てが容易な動力伝達装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記課題は、請求項1に記載の特徴によって解決される。
【0009】
種々のサイズで実施される本発明に係る動力伝達装置の構成によれば、従来の装置と比較して、より広い動力範囲をカバーすることができ、動力パワースペクトルは上方まで拡大される。
【0010】
本発明に係るコンパクトなプラネタリギア段階ユニットの特長によって、動力伝達装置のかなりの部分を予備組立てすることができ、全体の組立作業が容易になる。
【0011】
プラネタリギアをハウジングに対して固定し回転させない構成の特長によって、本発明に係る伝動装置におけるベアリング装置は、潤滑とモニターとが容易である。加えて、ギアには跳ね掛け潤滑を行うことができる。
【0012】
プラネタリギアの簡単な歯合構成が奏する特長によって、歯元部には交番曲げ応力が作用せず、従ってギアは高い歯元耐久性を有し、あるいはその点を利用して歯のサイズを小さくすることもできる。
【0013】
本発明による装置を用いれば、粉砕性能を維持しながら、著しく軽量でコンパクトな設備が実現される。
【0014】
駆動形態が奏する有利な特長によって、本発明の動力伝達装置はモジュラー方式で組立て可能である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る実施形態を詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明による動力伝達装置の長手方向断面図である。この動力伝達装置のハウジングの下方部分11は、基板9上に載置されている。動力の入力は駆動シャフト4によって行われる。駆動シャフト4は、その一端が、例えば電気モータに連結され、他端にはベベルギア7を備えている。駆動用モータはここに示していない。駆動シャフト4は駆動側において、ベアリング6によってガイドされている。ベアリング6は、フランジ付きハウジングの下方部分12にカートリッジを介して装着されている。フランジ付きハウジング内において、シャフトの他端には第2ベアリング5が設けられており、これらベアリングの間にベベルギア7が支持されている。水平ベベルギア8と歯合することによって、駆動力は直立シャフトへと角度を変えて伝達される。歯合作用に基づく軸線方向力及び半径方向力を支持するために、ベベルギア8の直立シャフトは、その下端部をベアリングユニット10によってガイドされている。ベアリングユニット10は、フランジ付きハウジングの下方部分12に固定されている。シャフトをいくぶん突出させ、シャフトを着脱可能カップリング3を介して非回転方式でサンピニオン23のシャフトへと接続する形態で、さらなるベアリング13がシャフトの他端部に設けられている。このカップリング3は、好ましくは歯付きカップリングであり、第1プラネタリギア伝動段階を取り囲むフランジ付きハウジング2内に配置されている。サンピニオン23の軸線方向は、ベベルギア伝動装置の直立シャフト上に支持され、一方半径方向は、複数のプラネタリギア15の間に浮遊状態でガイドされている。複数のプラネタリギア15は、非回転方式でプラネタリギアシャフト14に接続されている。プラネタリギアシャフト14は、ハウジングの上方部分1内でベアリング16,20によって支持されている。ベアリング16とベアリング20との間には、プラネタリギアシャフト14に接してプラネタリギア22が設けられており、回転する環体17へと動力を伝える。環体17はスラストプレート19に直接接続され、圧入によって摩擦嵌合されると共に、キーを用いて係合されている。しかし、スラストプレート19と環体17との間の非回転接続は、他の方式で実現することもできる。プラネタリギアシャフト14はハウジングの上方部分1内で直接支持されているので、動力伝達結果として生じる支持トルクは、ハウジングを介して基礎部分11へと直接伝達される。複数のプラネタリギアシャフト14のためのプラネタリキャリアは、ベアリング18を含めて、ハウジングの上方部分1と一体の構造部材を構成している。
【0017】
公知であるため図示していない粉砕プレートは、スラストプレート19の上に設けられる。スラストプレート19の軸線方向に作用する非常に大きな粉砕力は、スラストベアリング18を介してハウジングの上方部分1へと伝達され、ここからさらに、ハウジングの円筒状下方部分11を介して基礎部分へと直接的に伝達される。
【0018】
基礎部分9に、フランジ付きハウジング2,12と伝動装置とを収容する凹所を設ければ、ハウジングの下方部分11を完全に省略してもよい。このような実施形態では、動力は直接基礎部分に伝達され、振動の面で有利である。
【0019】
スラストベアリング18は、ミルのサイズ及び発生する粉砕圧に応じて、動液圧式ベアリングまたは静液圧式ベアリングを選択することが可能であり、あるいはそれら2種類を組合せて構成してもよい。
【0020】
付加的な出費なく、プラネタリギア伝動段階23,15,22,17のギアに螺旋歯を形成して、歯の耐圧強度を高めることができる。このような実施形態では、スラストベアリング18は、歯合によって生じるスラスト力に基づく力から解放され得る。第1及び第2プラネタリギア伝動段階(23,15;22,17)のスラスト力は、互いに相殺することができ、サンピニオン23の軸方向力は、直立ベベルギアシャフトを経由してベアリングユニット10へと伝達することができる。変更形態として、駆動列におけるトルク変動を打消すか、低減させるために、サンピニオン23のシャフトを、フレキシブルな支持部材を用いて直立ベベルギアシャフトに接続してもよい。回転方向には拘束されたこのような接続方式によって、サンピニオン23のシャフトは、軸線方向の動きが拘束されている直立ベベルギアシャフトに対して、軸線方向に、ある程度移動可能となる。
【0021】
さらに、サンピニオン23のシャフトに発生している軸線方向力を測定することによって、例えばトルク、動力といった現在の設備稼動データに関する情報を得ることも可能である。このような情報を得ることによって、過負荷及び伝動装置の破損の危険が生じた場合に、稼動状態をコントロールしたり規制(つまり作動停止)したりして、適切な処置をとることができる。このような目的で、軸線方向の弾性的移動が可能とされているサンピニオン23のシャフトと、鉛直方向に拘束支持されているベベルギア8のシャフトとの間にセンサ24を取付け、軸線方向の弾性的移動が可能な状態で着座しているサンピニオンシャフトがベベルギア8のシャフトへと伝達する力を記録することができる。この目的に対して適切なセンサ24としては、例えばロードセル(ピエゾタイプ、誘電タイプ、またはそれに類するもの)、あるいは、サンピニオン23のシャフトとベベルギア8のシャフトとの間の相対変位を記録する変位センサを挙げることができる。変位センサの場合には、弾性連結部材のばね定数を用いて、発生している力を間接的に知ることができる。測定信号を伝達するために、ベベルギア8のシャフトには貫通孔を設け、その中に測定用電線及び信号伝達要素を収容する。
【0022】
スラストプレート19の半径方向は、ラジアルベアリング21によってガイドされている。
【0023】
他の実施形態として、下方部分12を有するフランジ付きハウジング2を、基礎部分に固定された直立ハウジングに置換えて、べべルギア伝動装置を収容してもよい。この種の完成モジュールは、ハウジングの下方部分11の半径方向に形成されたトンネル部を通して挿入し、持ち上げられたサンピニオン23の下方に位置決めすることができる。サンピニオン23を有するシャフトを下降させることによって、サンギアシャフトは、カップリング3を介してベベルギアシャフトに接続される。この下降工程は、持ち上げ工程と同様に、ハウジングの上方部分1及び他のカバープレートに形成された開口部を通じて昇降装置によって行われる。
【0024】
全てのハウジング実施形態において、組立て後に、構成部材を部分的に分解することが可能とされている。
【0025】
全ての回転部材は、それ自身の軸線回りにのみ回転する。このことは、ベアリング装置に対する潤滑及びモニターが容易であることを意味する。両プラネタリギア伝動段階23,15,22,17の歯合部に対しては、跳ね掛け式潤滑を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による動力伝達装置の長手方向断面図である。
【符号の説明】
1 ハウジング上方部分
2 フランジ付きハウジング
3 カップリング(非回転式接続部材)
4 駆動シャフト
5,6,13,16,20 ベアリング
7,8 ベベルギア
9 基礎部分
10 ベアリングユニット
11 ハウジングまたは基礎部分の下方部分
12 フランジ付きハウジングの下方部分
14 プラネタリギアシャフト
15,22 プラネタリギア
17 環体
18 スラストベアリング
19 スラストプレート
21 ラジアルベアリング
23 サンピニオン
24 センサ

Claims (15)

  1. 動力入力部として直角配置されたベベルギア段階(7,8)と、ボウルミル式粉砕機のスラストプレート(19)への動力出力部としての多段階プラネタリギア伝動装置(23,15,22,17)とを備えたボウルミル用動力伝達装置において、
    前記ベベルギア伝動装置(7,8)は、動力を、第1プラネタリギア伝動段階(23,15)のサンピニオン(23)を経由して、ハウジングの上方部分(1)内で回転自在に支持されているプラネタリギアシャフト(14)に取付けられたプラネタリギア(15)へと伝達し、該プラネタリギア(15)に対して同軸離間し前記プラネタリギアシャフト(14)に取付けられたさらなるプラネタリギア(22)は、さらなるプラネタリギア伝動段階(22,17)の環体(17)へと動力を伝達し、かつ該環体(17)は、前記スラストプレート(19)に非回転方式で接続されていることを特徴とするボウルミル用動力伝達装置。
  2. 前記ベベルギア段階(7,8)は、完成ユニットとして、前記プラネタリギア伝動段階(23,15;22,17)を取外すことなく、該プラネタリギア伝動段階(23,15;22,17)へと接続可能かつ該プラネタリギア伝動段階(23,15;22,17)から分離可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  3. 前記サンピニオン(23)と前記ベベルギア(8)の前記直立シャフトとの間の非回転式接続部材(3)は、取外し可能とされていることを特徴とする請求項2に記載の装置。
  4. 前記サンピニオン(23)と前記ベベルギア(8)の直立シャフトとの間の非回転式接続部材(3)は、歯付きカップリングであることを特徴とする請求項3に記載の装置。
  5. 前記ベベルギア段階完成ユニット(7,8)は、前記ミルの前記ハウジング下方部分(11)に形成されたトンネル部へと横方向に挿入可能とされていることを特徴とする請求項2に記載の装置。
  6. 前記ベベルギア段階完成ユニット(7,8)は、フランジ付きハウジング(2)によって、前記プラネタリギア伝動段階(22,17)の上方部分(1)へフランジ結合可能とされていることを特徴とする請求項2に記載の装置。
  7. 前記フランジ付きハウジング(2)は、複数の部材を有して構成され、部分的に分解可能とされていることを特徴とする請求項6に記載の装置。
  8. 前記スラストプレート(19)及び前記ハウジングの前記上方部分(1)には、前記サンピニオン(23)へのアクセスを可能とするための開口部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  9. 前記環体(17)は、前記スラストプレート(19)に対して、圧入摩擦嵌合により非回転方式で接続されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  10. 前記環体(17)は、前記スラストプレート(19)に対して、圧入に加えて形状係合により非回転方式で接続されていることを特徴とする請求項9に記載の装置。
  11. 前記スラストプレート(19)は、ラジアルベアリング(21)によって、半径方向にガイド可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  12. 前記プラネタリギア(15,22)の前記プラネタリキャリア及び前記スラストベアリング(18)は、前記ハウジングの前記上方部分(1)に一体で設けられていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  13. 前記プラネタリギア伝動装置(23,15,22,17)における歯は、螺旋歯とされていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  14. 前記サンピニオン(23)は、軸線方向の移動が可能な状態で接続されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  15. 前記サンピニオン(23)の前記シャフトの軸線方向力を記録するためにセンサ(24)が設けられていることを特徴とする請求項1または14に記載の装置。
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