JP3570627B2 - 木造建造物の接合部の補強具及び補強方法 - Google Patents
木造建造物の接合部の補強具及び補強方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、木造建造物の接合部を簡単に、しかも強固に補強することのできる補強具と、該補強具を用いた木造建造物の接合部の補強方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】
木造家屋など木造建造物においては、例えば、土台と柱など、軸組材同士の接合部(仕口、継ぎ手)は、一般にホゾ、くさび、継ぎなどの手法により接合されている。
近年、耐震目的で様々な接合部の接合方法が提案されているが、強度の点から全て金属の金具が併せて使用されている。
既設の木造家屋について耐震補強工事が行われる場合も、一部に木製の火打ちなどで部材を接合することが行われているものの、近年は耐震性を考慮して、金属製の補強金具で接合されるのが殆どであった。
【0003】
ところが木造家屋には、様々な接合場所がある為、接合場所に合わせて大小様々な種類の接合金具が用意されている。
そのため、建築現場においては、そのようなあらゆる種類の金具を用意し、その場所に合った金具を準備し、接合することが必要であった。
しかも、接合する場所は、高所から低所の床下など、様々に存在し、その都度、重く、しかも相当数の金属金具を持ち運びする必要があり、非常に手間のかかることであった。特に既築住宅の耐震補強施工においては重要な要素である。
また、耐震性能を高めるため、特殊化した金属金具が存在していることもあって、金属金具の接合もそれほど簡単なものではなかった。
さらに、構造材接合部に凹凸がある場合などには、金属補強具の設置スペースを充分に確保することができないという問題もある。
【0004】
本発明者は、既に上記従来の欠点を悉く解消し、重過ぎたり、或いは嵩張ったりする金属金具を用いることなく、しかも強度、耐震性能を充分に保持しつつ、木造建造物の接合部を、現場で手軽に簡単に効率良く補強する方法として、木造建造物の接合部を、アラミド繊維単独又はアラミド繊維と他の強化繊維とからなる複合繊維(a)と、接着剤及び/又は釘、ネジ、或いはボルトとナットから選ばれた接合部材(b)とを用いて接合することを特徴とする木造建造物の接合部の補強方法を提案している(特願2000−217179号)。
【0005】
上記補強方法によれば、重過ぎたり、或いは嵩張ったりする金属金具を用いることなく、しかも強度、耐震性能を充分に保持しつつ、木造建造物の接合部を、現場で手軽に簡単に効率良く補強することができた。
【0006】
しかしながら、上記補強方法では、過度の荷重がかかった場合、アラミド繊維単独又はアラミド繊維と他の強化繊維とからなる複合繊維(a)が、接合部材の釘、ネジ、或いはボルト・ナットなどによりほずれてしまい、強度が低下するという事態が生じており、巨大地震への備えという点から、さらなる改善が望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の欠点を悉く解消し、重過ぎたり、或いは嵩張ったりする金属金具を用いることなく、しかも強度、耐震性能を充分に保持しつつ、接合部材の釘、ネジ、或いはボルト・ナットなどによるアラミド繊維単独又はアラミド繊維と他の強化繊維とからなる複合繊維のほずれ、強度の低下という事態を生じることなく、木造建造物の接合部を、現場で手軽に簡単に効率良く補強することのできる補強具並びに補強方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
即ち、請求項1に係る本発明は、少なくとも左右両端が折り返されていると共に該折り返し部を上下に貫通する貫通孔が設けられたテープ状物と、前記折り返し部に介在させる座金と、前記座金を介して前記貫通孔中に挿入される、ラグスクリュー、或いはボルトとナットから選ばれた接合部材と、からなり、かつ、前記テープ状物がアラミド繊維単独、又はアラミド繊維と他の強化繊維とからなる複合繊維よりなるものである、木造建造物の接合部の補強具を提供するものである。
【0009】
請求項2に係る本発明は、木造建造物の接合部を、請求項1記載の補強具を用いて接合することを特徴とする木造建造物の接合部の補強方法を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の発明の実施の形態は次の通りである。
請求項1に係る本発明は、木造建造物の接合部の補強具に関し、少なくとも左右両端が折り返されていると共に該折り返し部を上下に貫通する貫通孔が設けられたテープ状物と、前記折り返し部に介在させる座金と、前記座金を介して前記貫通孔中に挿入される、ラグスクリュー、或いはボルトとナットから選ばれた接合部材と、からなり、かつ、前記テープ状物がアラミド繊維単独、又はアラミド繊維と他の強化繊維とからなる複合繊維よりなるものである。
【0011】
以下、本発明を図面により詳細に説明する。図1は、請求項1に係る本発明の補強具11の1態様を示す正面図であり、図2はその平面図である。
請求項1に係る本発明の補強具は、基本的には、テープ状物1と、座金2A,2Bと、接合部材3A,3Bと、からなる。
【0012】
テープ状物1は、図1に示す如く、少なくとも左右両端が表側或いは裏側(図1では表側、つまり上側)に折り返されており、場合によっては、このようにして形成される、折り返し部4A,4Bを延ばし左右つないで、ループ状のものとしてもよい。なお、テープ状物1としては、予め左右両端が表側或いは裏側(図1では表側、つまり上側)に折り返されているものを用いてもよいが、図3に示すように平面状のものを用意し、これを使用するに際して左右両端を表側或いは裏側に折り返すことによって、折り返し部4A,4Bが形成されたものとすればよい。折り返しは一般的には、表側になされるが、使用場所など、必要に応じて裏側に折り返してもよい。
テープ状物1には、左右両端が表側或いは裏側に折り返されることにより、そこに折り返し部4A,4Bが形成されているが、さらにこの折り返し部4A,4Bを上下に貫通する貫通孔5A,5Bが設けられている。
このように折り返し部4A,4Bを上下に貫通する貫通孔5A,5Bを設けるためには、図3に示すように平面状のものの左右両端を表側或いは裏側に折り返すことによって折り返し部4A,4Bを形成する場合、図3に示されるように、左右の端部に2箇所ずつ、合計4箇所の孔を設けておくことが必要である。
なお、貫通孔5A,5Bを設けるにあたっては、繊維を切断して強度を低下させることのないように、繊維を徐々に押し広げることによって孔を形成し、そこに鳩目などを挿入したものを用いてもよい。
【0013】
テープ状物1は、アラミド繊維単独、又はアラミド繊維と他の強化繊維とからなる複合繊維よりなるものであり、優れた強度を発揮する基になるものである。すなわち、テープ状物1としては、軽量でしかも強度に優れたアラミド繊維を単独で用いてもよいし、又はアラミド繊維と他の強化繊維とからなる、ハイブリッドタイプの複合繊維を用いてもよい。
ここで他の強化繊維としては、例えば炭素繊維;ガラス繊維;ボロン繊維、チタン繊維等の金属繊維;ポリエステル繊維などの有機繊維など様々なものが挙げられ、特に制限はないが、やはり軽くて強度に優れ、しかも耐熱性に優れるなどの点から特に炭素繊維が好ましい。
従って、テープ状物1としては、アラミド繊維を単独で用いるか、又はアラミド繊維と炭素繊維とからなるハイブリッドタイプの複合繊維を用いることが好ましい。
【0014】
なお、テープ状物1の厚さは、通常、2mm程度であるが、これに制限されるものではなく、使用する態様に応じて、これより厚いものや薄いものを用いることもできる。また、テープ状物1の形状は、一般的には細長いテープ状のものとされるが、使用する接合場所の形状等に応じて適宜選定すればよく、その大きさも、接合場所の形状、大きさ等に応じて、ロール巻きされているものなどからカットするなどして適宜選定すればよい。例えば、テープ状物1の大きさとしては、両端を折り返す前の長さが300〜400mm(折り返し後の長さが200〜300mm)、幅が50mm程度のものが最も一般的であるが、これに制限されるものではない。さらに、接合場所や要求される強度、耐震性能に応じて、クロス状など多層に積層されたものを用いたり、或いは厚さ,本数等を増やしたりすればよい。テープ状物1として、通常は、1枚ものが用いられるが、2枚重ね、或いは3枚重ねのものを用いることもできる。また、建築現場において、繊維の配列方向を変えて積層してもよい。なお、本発明において、テープ状とは、いわゆるシート状のものをも含めた概念である。
【0015】
テープ状物1には、必要に応じて、貫通孔5A,5Bの他に、接合のための孔を1乃至2以上設けることもできる。
このようにして貫通孔5A,5Bの他に、接合のための別の孔を1箇所設けて、合計3つの孔を設けたものについて、各孔に、後記する如き、ラグスクリュー、或いはボルトとナットから選ばれた接合部材を挿入することによって、例えば柱−土台−基礎という3面を強固に接合することができる。図4は、そのような接合のための別の孔を1箇所設けてなる、請求項1に係る本発明の補強具の別態様を示す正面図である。
【0016】
次に、座金2A,2Bは、テープ状物1の左右両端に形成される折り返し部4A,4Bに介在させるものであり、できるだけ隙間なく折り返し部4A,4Bに介在させることが好ましい。
この折り返し部4A,4Bに介在させる座金2A,2Bとしては、角座金が好ましいが、これに制限されるものではない。この座金2A,2Bの大きさは、折り返し部4A,4Bの大きさ等に応じて適宜選定すればよい。一例としては、縦40mm、横50mm、厚さ3mm程度の角座金が挙げられる。座金2A,2Bの厚さは、繊維の切断を防止するため、その厚さを適宜選定すればよく特に限定されないが、例えば2〜3mm程度の厚さのものが一般的である。
なお、このような折り返し部4A,4Bに介在させる座金2A,2Bと同様の形状の座金を、接合部材3A,3Bとテープ状物1との間に置いてもよいし、或いはこれとは異なる形状の座金、例えば丸座金を、接合部材3A,3Bとテープ状物1との間に置いてもよい。図1には、このような座金6A,6Bとして、丸座金を用いたものが示されているが、これに限定されるものではない。
【0017】
また、接合部材3A,3Bは、前記座金2A,2Bを介して前記貫通孔5A,5B中に挿入されるものであり、この接合部材3A,3Bによって、テープ状物1を木造建造物の接合部に接合することになる。
このとき、テープ状物1の折り返し部4A,4Bに介在させた座金2A,2Bを介して、接合部材3A,3Bが、折り返し部4A,4Bを上下に貫通する貫通孔5A,5B中に挿入されることになるから、この接合部材3A,3Bによりテープ状物1がほずれ、強度が低下するのを有効に防止することができる。
【0018】
なお、接合部材3A,3Bは、ラグスクリュー(螺子)、或いはボルトとナットから選ばれたものであり、特にラグスクリューが最も好ましい。接合部材3A,3Bとして釘などは、強度が充分でないため好ましくない。
【0019】
請求項1に係る本発明の補強具は、上記の如きものである。
このような請求項1に係る本発明の補強具を用いて、木造建造物の接合部を接合し、木造建造物の接合部を補強する方法を提供するのが、請求項2に係る本発明の方法である。
すなわち、請求項2に係る本発明は、木造建造物の接合部の補強方法に関し、請求項1に係る本発明の補強具を用いて、木造建造物の接合部を接合することを特徴とするものである。
【0020】
なお、これまで高速道路や橋のコンクリート橋脚の補修に、繊維性の補強材が使用された例はあるが、木造建造物の接合部にアラミド繊維などのテープ状物を用いて補強した例は知られていない。しかも、上記の使用例において、繊維性の補強材は、コンクリート橋脚全周に巻き付けられて使用されているものである。
【0021】
請求項2に係る本発明は、木造建造物の接合部を、請求項1に係る本発明の補強具を用いて接合し、木造建造物の接合部、ひいては木造建造物自体、を補強するものである。
請求項2に係る本発明の補強方法を適用しうる接合部としては、特に制限されないが、ホゾ、くさび、継ぎ、又はこれらの組合せにより接合されている接合部について最も効果的である。
そのような接合部としては、木部と木部、木部とコンクリート、木部と金属、木部と樹脂の他、金属と樹脂、樹脂と樹脂の組合せが挙げられる。
請求項2に係る本発明は、このような木造建造物の接合部の双方の部分(例えば、一方の木部と他方の木部など)にまたがるように、請求項1に係る本発明の補強具を用いて接合する。
【0022】
なお、請求項2に係る本発明においては、請求項1に係る本発明の補強具のみの使用によって、充分な引張り耐力を有するものとすることができるが、必要により、接着剤を併せて用いてもよい。この場合、接着剤は、テープ状物1の一部乃至全面に塗布することができる。
ここで接着剤としては様々な種類のものを用いることができるが、エポキシ樹脂系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、又はポリアミド樹脂系接着剤が特に好ましい。最も一般的には、現場で容易に施工することのできる常温硬化型のエポキシ樹脂系接着剤が用いられる。
【0023】
接合は、接合部の周囲全面(全周)に対して行う必要はなく、接合部の一面乃至三面を接合すれば充分である。例えば、柱の場合、前面の一面のみ、或いは左右の二面乃至三面の接合で充分である。
但し、接合に際しては、木造建造物の接合部の双方の部分(例えば、一方の木部と他方の木部など)にまたがるように、テープ状物を配置することが必要である。この配置は、接合場所や要求される強度、耐震性能に応じて、適宜選定すればよい。
【0024】
また、木造建造物としては、典型的には木造家屋(木造住宅)が挙げられ、とりわけ軸組木造住宅(木造軸組構法住宅)が好適なものとして挙げられるが、これに限定されるものではなく、2×4(ツーバイフォー)住宅、鉄骨系・木質系プレハブ住宅にも適用することができる。
なお、木造建造物としては、既築であると新築であるとを問わないが、補強という点からみて、基本的には既築の木造建造物が主な対象となる。
本発明によれば、このようにして、木造建造物の接合部の補強を行うことができる。
【0025】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0026】
実施例1(引張耐力試験)
図1〜3に示され、かつ、以下に示す如き、請求項1に係る本発明の補強具11を用いて、最大荷重を測定する引張耐力試験を行った。その結果、最大荷重(Pmax)は8.51kNであった。
なお、引張耐力試験は次のようにして行った。
すなわち、ベイツガ製材からなる柱12と、これに短ほぞ16により接合されている土台13との間に、補強具11を図5に示すようにかけ渡し、接合部材3A,3Bとしてのラグスクリューにより接合した状態のものについて、引張り試験機(復動式油圧ジャッキ)を用いて、柱12の上部にあけられている直径25mmの引張り用孔14により引張り、その最大荷重を測定した。
【0027】
本発明の補強具11としては、以下に示すものを用いた。
まずテープ状物1は、図3に折り返し前の状態が示されているように、全長300mm、幅50mm、厚さ4mm(2mm厚×2枚重ね)のアラミド繊維からなるものである。
このようなテープ状物1は、左右のそれぞれ両端から25mmの位置と、同じく75mmの位置をそれぞれ中心とする、直径11mmの孔が2箇所ずつ、合計4箇所設けられており、左右両端をそれぞれの両端から50mmの位置(図3において点線で示される位置)にて、それぞれ表側に折り返すことによって、全長が200mmであり、図6に示すように、折り返し部4A,4Bと、この折り返し部4A,4Bを上下に貫通する貫通孔5A,5Bが設けられているものとなった。
【0028】
次に、折り返し部4A,4Bに介在させる座金2A,2Bとしては、図7に示すように、縦40mm、横50mm、厚さ3mmの角座金を用いた。この角座金は、その中心から図の下側に向かって、5mm下がった位置を中心とする、直径11mmの貫通孔が開けられているものである。
本実施例では、図1に示すように、このような角座金を、折り返し部4A,4Bに介在させた(座金2A,2B)。
【0029】
また、本実施例においては、接合部材3A,3Bとして、直径9mm、長さ80mmのラグスクリューを用いた。
この接合部材3A,3Bとしてのラグスクリューを用い、テープ状物1を、折り返し部4A,4Bに座金2A,2Bを介在させた状態で、柱12と土台13との間に図5に示すようにかけ渡して接合した。すなわち、補強具11を柱12と土台13との間に図5に示すようにかけ渡し接合した。
なお、接合部材3A,3Bとしてのラグスクリューと、テープ状物1との間には、図5に示すように、直径が32mm、厚さが3.2mmの丸座金15を介在させた。
【0030】
比較例1(引張耐力試験)
実施例1において、請求項1に係る本発明の補強具11の代わりに、左右両端を表側に折り返してはいない平面状のテープ状物1(すなわち、折り返し部4A,4Bも、該折り返し部4A,4Bに介在させる座金2A,2Bのいずれも存在しない平面状のテープ状物1)と、丸座金15と、接合部材3A,3Bとしてのラグスクリューとからなる補強具を用いたこと以外は、実施例1と同様にして引張耐力試験を行った。
その結果、テープ状物1についてアラミド繊維のほずれ、破壊が一部生じたことにより、最大荷重(Pmax)は6.21kNにとどまった。
【0031】
上記実施例1と比較例1の結果によれば、実施例1に示される請求項1に係る本発明の補強具11を用いることにより、テープ状物1についてアラミド繊維のほずれ、破壊が生じることがなく、強度の低下が有効に防止されていることが分かる。
【0032】
【発明の効果】
請求項1に係る本発明の補強具は、主たる接合材料がアラミド繊維を基本材料とするテープ状物であるため、重過ぎたり、或いは嵩張ったりすることがない。従って、木造建造物の接合部を、現場で手軽に簡単に効率良く補強することができる。
しかも請求項1に係る本発明の補強具によれば、左右両端の折り返し部に座金を介在させているため、過度の荷重がかかった場合にも、テープ状物1についてアラミド繊維のほずれ、破壊が生じることがなく、木造建造物の接合部について、強度の低下が有効に防止される。
さらに、請求項1に係る本発明の補強具は、アラミド繊維を基本的な接合材料として用いているため、形状を自由に変形させることができるなど、自由度が高い。このため構造材接合部に凹凸がある場合など、金属補強具では設置スペースを充分に確保することができないという問題がある状況においても、容易に接合部を補強することが可能である。
【0033】
また、請求項2に係る本発明によれば、重過ぎたり、或いは嵩張ったりする金属金具を用いることなく、しかもアラミド繊維のほずれ、破壊を生じることなく、木造建造物の接合部を、現場で手軽に簡単に効率良く補強することができる。即ち、請求項2に係る本発明によれば、軽量で、しかも持ち運びの容易なアラミド繊維を基本的な接合材料として用いると共に、折り返し部に座金を介在させているため、アラミド繊維のほずれ、破壊を生じることなく、強度、耐震性能を充分に保持しつつ、金属補強具の設置スペースがないような接合部についても、現場で手軽に接合部を補強することができる。
【0034】
請求項1に係る本発明の補強具により接合部を補強された木造家屋、或いは請求項2に係る本発明の方法により接合部を補強された木造家屋は、いずれも従来の金属金具で補強した木造家屋と比べて、重量が殆ど増加しないにもかかわらず、充分な強度を持ったものとすることができる。
しかも、主たる接合材料をなすアラミド繊維などとして、多層に積層されたものを用いたり、或いはその厚さ、本数等を増やしたりするだけで、容易に、様々な接合場所で要求される強度、耐震性能に応じたものとすることが可能である。また、接合は、接合部の周囲全面(全周)に対して行う必要はなく、接合部の一面乃至三面を接合すれば充分であり、簡便である。
【0035】
さらに、主たる接合材料がアラミド繊維を基本材料とするテープ状物であるため、金属金具のように目立つことが少なく、しかも腐食しないので、必要に応じて適当な塗装を施したりすることにより、床下、屋根裏など人の目に入らない場所ばかりでなく、室内、さらには外壁などの補強にも適用することができる。
従って、本発明は、住宅関連産業において、有効に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1に係る本発明の補強具11の1態様を示す正面図である。
【図2】請求項1に係る本発明の補強具11の1態様を示す平面図である。
【図3】請求項1に係る本発明の補強具を構成するテープ状物1の折り返し前の状態を示す平面図である。
【図4】請求項1に係る本発明の補強具11の別態様を示す正面図である。
【図5】実施例における、引張耐力試験の状況を示す説明図である。
【図6】実施例1で用いたテープ状物1の折り返し後の状態を示す平面図である。
【図7】実施例1で用いた座金2A,2Bを示す平面図である。
【符号の説明】
1 テープ状物
2A,2B 座金
3A,3B 接合部材
4A,4B 折り返し部
5A,5B 貫通孔
6A,6B 座金
11 補強具
12 柱
13 土台
14 引張り用孔
15 丸座金
16 短ほぞ
Claims (2)
- 少なくとも左右両端が折り返されていると共に該折り返し部を上下に貫通する貫通孔が設けられたテープ状物と、前記折り返し部に介在させる座金と、前記座金を介して前記貫通孔中に挿入される、ラグスクリュー或いはボルトとナットから選ばれた接合部材と、からなり、かつ、前記テープ状物がアラミド繊維単独、又はアラミド繊維と他の強化繊維とからなる複合繊維よりなるものである、木造建造物の接合部の補強具。
- 木造建造物の接合部を、請求項1記載の補強具を用いて接合することを特徴とする木造建造物の接合部の補強方法。
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