JP2004100303A - 木造建造物の補強構造及びその補強方法 - Google Patents

木造建造物の補強構造及びその補強方法 Download PDF

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Abstract

【課題】木造建造物の接合部分を容易かつ低コストで補強し、地震や台風等の外力に対して木造建造物の強度や剛性を十分に確保できるようにする。
【解決手段】ポリエチレン等の熱可塑性樹脂の長繊維を素材とする不織布1にエポキシ樹脂剤を含侵させから、土台3と柱4の接合部分の表面に接着して接合部分を補強する。エポキシ樹脂剤で鉄板2を接合部分の表面に接着した上から、エポキシ樹脂剤を含侵させた不織布1を接合部分に重ねて接着することにより、更に補強強度を増強すると共に補強強度のバラツキを抑えることができる。
【選択図】  図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、木造建造物の接合部分の補強構造及びその補強方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から大規模の地震や台風のたびに木造建造物に大きな被害が出ているが、その原因の大半は、建造部材同士の接合部分や耐力壁の破損によって引き起こされている。このため従来から、次のような補強手段が提案されている。すなわちその1は、柱等の連結や組合せ部分に、種々の形状をした補強金具を取り付けて補強するものがある。その2は、高強度の繊維強化シートを使用するもので、例えばアラミド繊維シート(例えば特許文献1及び2参照。)、ガラス繊維シート(例えば特許文献1及び2参照。)、ビニロン繊維シート(例えば特許文献1参照。)あるは炭素繊維シート(例えば特許文献1、2及び3参照。)を、エポキシ樹脂剤により構造物の接合部分の表面に接着するものがある。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−37483号公報(第2頁)
【特許文献2】
特開2001−90255号公報(第4−5頁)
【特許文献3】
特開平9−195524号公報(第1頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、第1の補強金具を使用する手段では、しばしば、この補強金具自体が荷重により変形すること、また接合部材にこの補強金物の取付用の孔を開けるために、かなりの断面欠損が生じること、さらにこの補強金具の製造コストや多大な取付コストが掛かるという問題がある。また第2の繊維強化シートを使用する手段では、接合部分の変形や、取付用の孔による断面欠損は防止できるものの、この素材繊維自体がきわめて高価であるために、木造建造物には採用され難いのが実情である。
【0005】
そこで本発明の目的は、木造建造物に掛かる地震や台風等の外力に対して、強度や剛性を十分に確保することができる、安価な木造建造物の補強構造、及びその補強方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、本発明による木造建造物の補強構造の第1の特徴は、エポキシ樹脂剤を含侵させた、熱可塑性樹脂の長繊維を素材とする不織布を、木造建造物の接合部分の表面に接着してあることにある。また本発明による木造建造物の補強構造の第2の特徴は、前記特徴1に記載した熱可塑性樹脂が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、アクリルのいずれかの1であることにある。なお、ここに記載する木造建造物の接合部分には、筋交い部材の端部の接合部分も含まれる。
【0007】
このような熱可塑性樹脂の長繊維を素材とする不織布は、強度も十分で、かつ上述した繊維強化シートに比べて安価であるが、伸び率が60%と大きいために、従来は木造建造物の補強構造に使用されなかった。しかるに、この不織布にエポキシ樹脂剤を含侵させてコンポシットを形成することによって、延び率を減少させることができ、エポキシ樹脂剤の強力な接着力と相俟って、木造建造物の接合部分のズレ、変形および破損等を防止できることが実験によって判明した。したがって、このような安価な補強構造によって、木造建造物の強度と剛性を高めることができるため、地震や台風等の大きな外力が加わった場合に、木造建造物全体の過大な揺れや破損を防止することができる。
【0008】
また、この不織布は、幅の大きな原反を容易に製造できるので、接合部分が広い耐力壁や床等の補強構造にも利用できる。さらにこの不織布は、ハサミやカッターで、容易に所定の形状に切断することができ、これにエポキシ樹脂剤を塗って含浸させ、木造建造物の接合部分に貼り付けるだけで補強することができるので、容易かつ短時間で補強することができる。また木造建造物の改修工事等おいて、床下等の作業スペースが狭いところにある接合部分であっても、現場で容易かつ確実に補強することができる。
【0009】
本発明による木造建造物の補強構造の第3の特徴は、前記特徴1〜2のいずれかに記載したエポキシ樹脂剤を含侵させた不織布に、金属板を重ね合わせて木造建造物の接合部分の表面に接着してあることにある。
【0010】
すなわち、このように不織布と金属板とを重ね合わせて、接合部分に接着すると、不織布だけを接着した場合よりも、補強強度のばらつきが少なくなると共に、更に補強強度が増大することが実験によって判明した。また熱可塑性樹脂やエポキシ樹脂剤は、鉄板の発錆を防止するため、特に海岸近辺や湿気の多い地域等での使用に対して、十分な耐力性を確保することができる。なお、不織布と金属板との重ね合わせは、不織布の片面上に金属板を接着する場合に限らず、金属板を挟んで、その両面上に不織布を重ね合わせる場合も含まれる。
【0011】
本発明による木造建造物の補強構造の第4の特徴は、前記特徴1〜3のいずれかの1に記載した接合部分が、耐力壁の周辺の接合部分であることにある。ここで、耐力壁とは、縦支柱等と横支柱等とで組立てた矩形形状等の枠組に、矩形形状等の構造用面材を嵌め込んだものを意味する。
【0012】
このように発明を構成することにより、耐力壁と周辺の枠組構造部材との接合部分変形やズレが防止できるので、枠組構造の強度および剛性を高めることができる。したがって地震や台風等の大きな外力が加わった場合の、木造建造物の横揺れや破損を大幅に低減することができる。
【0013】
本発明による木造建造物の補強方法の第1の特徴は、熱可塑性樹脂の長繊維を素材とする不織布にエポキシ樹脂剤を含侵させる工程と、この不織布を木造建造物の接合部分の表面に接着する工程とを有することにある。
【0014】
このように発明を構成することにより、上述した木造建造物の補強構造の第1の特徴に記載したものと同様な作用効果を得ることができる。
【0015】
本発明による木造建造物の補強方法の第2の特徴は、木造建造物の接合部分の表面にエポキシ樹脂剤によって金属板を接着する工程と、熱可塑性樹脂の長繊維を素材とする不織布にエポキシ樹脂剤を含侵させる工程と、この不織布を、金属板の表面を覆うようにして木造建造物の接合部分の表面に接着する工程とを有することにある。
【0016】
このように発明を構成することにより、上述した木造建造物の補強構造の第3の特徴に記載したものと同様な作用効果を得ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1に示す不織布1は、熱可塑性樹脂であるポリプロピレンを素材とする長繊維1aを、ランダム方向に順次積層したものを、ローラーで加熱圧縮して、シート状に形成したものである。なお、木造建造物の補強構造として使用する場合には、シート状に形成したものを複数枚重ね合わせて使用する。なお、熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレンの他、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、アクリルを使用することもできる。
【0018】
図2は、土台3に柱4の端部を蟻構造仕口にして、T字型に組み付けた木造建造物の接合部分の補強構造を示している。この補強構造は、まず接合部分に矩形形状をした鉄板2をエポキシ樹脂剤で接着する。次に、鉄板2よりややサイズの大きい不織布1に、エポキシ樹脂剤を塗布して含浸させ、このエポキシ樹脂剤が固化しない間に、この鉄板を覆うようにして接合部分の表面に接着したものである。
【0019】
図3は、上述したT字型に組み付けた木造建造物の接合部分の表面に、まずT字型の鉄板12をエポキシ樹脂剤で接着し、その上を覆うようにエポキシ樹脂剤を含浸させた横長矩形形状を有する不織布11a,11bを、エポキシ樹脂剤が固化しない間に、それぞれ接着させた補強構造を示している。なお上述したいずれの補強構造についても、まずエポキシ樹脂剤を含浸させた不織布1等に鉄板2等を接着し、この鉄板にエポキシ樹脂剤を塗布して、この不織布と鉄板とを、接合部分に接着してもよい。
【0020】
このように接合部分を補強することによって、過大な外力が加わった場合にも、土台3等と、柱4等の接合部分のズレや破損を防止でき、この接合部分の剛性と強度とを増強することができる。
【0021】
図4は、土台23aと土台23bとを、蟻構造継手23cによって連結した、木造建造物の接合部分の補強構造を示している。すなわちエポキシ樹脂剤を含浸させた不織布21を、蟻構造継手23c部分の周囲に巻きつけて接着したものである。
【0022】
したがって、過大な外力が加わった場合にも、蟻構造継手23cがいわゆる口をあけるような変形や破損を防止でき、この接合部分の剛性と強度とを増強することができる。
【0023】
図5は、筋交部材35の両端部の接合部分の補強構造を示している。筋交部材35は、土台33aと、胴差33bと、柱34a,34bとで形成された矩形形状の空間に、対角線状に斜めに組み付けたものである。図中左上に位置する筋交部材35の一端は、胴差33bと、柱34aとの交点に組み付けてあり、まずこの3本の柱の接合部分に、矩形形状をした鉄板32aを、エポキシ樹脂剤によって接着する。そしてエポキシ樹脂剤を含侵させた縦長の不織布31a,31b,31cを、各々の柱に沿って、鉄板32aを覆うように接着させて、筋交部材35の端部の接合部分を補強する。
【0024】
一方図中右下に位置する筋交部材35の他端は、他の手段による補強構造を示している。すなわちこの部分の補強構造は、まず矩形形状をした鉄板32b,32cを、エポキシ樹脂剤によって、それぞれ筋交部材35と柱34bとが、土台33aに接合する部分に接着する。次にエポキシ樹脂剤を含侵させた縦長の不織布31d,31eを、ぞれぞれ筋交部材35と柱34bとに沿って、鉄板32b,32cを覆うように接着させる。そして最後に、エポキシ樹脂剤を含侵させた縦長の不織布31fを、土台33aに沿って、不織布31d,31eの上から接着してこの筋交部材の端部の接合部分を補強する。
【0025】
このようにして筋交部材35の両端部の接合部分を補強することによって、この接合部分の変形やズレを防止できるので、この筋交い構造の剛性と強度を増加させることができる。したがって地震や台風等によって大きな外力が加わった場合にも、木造建造物の過大な揺れや破損を回避することができる。
【0026】
図6は、土台43aと、胴差43bと、柱44a,44bとで形成された矩形形状の空間に、構造用面材からなる耐力壁46を嵌め込み、この耐力壁の周囲と、これらの柱との接合部分を補強した補強構造を示している。すなわち、まず耐力壁46を、土台43aと、胴差43bと、柱44a,44bとで形成された矩形形状の内側に嵌合するように挿入し、四隅の接合部分にL字型の鉄板42a〜42dを、エポキシ樹脂材で接着する。そして、エポキシ樹脂材を含侵させた帯状に形成した不織布41a〜41dを、L字型の鉄板42a〜42dを覆うようにして、耐力壁46の周辺端と土台43a等との接合部分に接着して補強する。
【0027】
したがって、このように耐力壁46の周辺の接合部分を補強することによって、この耐力壁の剛性と強度を増加させることができ、地震や台風等によって大きな外力が加わった場合にも、木造建造物の過大な揺れや破損を回避することができる。なお上述したように、耐力壁46の四隅の接合部分にL字型の鉄板42a〜42dを接着する代わりに、この耐力壁46の四辺を全て覆うように縦長の鉄板を、それぞれ接着することにより、耐力壁の強度と剛性とをさらに増加することができる。
【0028】
【実施例】
本発明による木造建造物の補強構造の強度等について、財団法人 ベターリビングの筑波建設試験センターにおいて実験を行った。図7〜図8に、土台と柱とをT字型に連結した部分について、その補強構造の引張強度を比較した実験結果を示す。図7は、この実験に供試した三種の補強構造を示しており、杉材からなる105mm角の土台の中央位置にほぞ穴加工を施し、このほぞ穴に、短ほぞ加工した杉材からなる105mm角の柱を、垂直に取り付けたものである。そして、図(A)に示す補強構造は、従来から使用されてきたT字型金具(CP・T 10−Zn65)をビス止めして、この接合部分を補強したものである。
【0029】
図(B)に示す補強構造は、エポキシ樹脂剤を含浸させた縦長の不織布を接着して、この接合部分を補強したものである。なおこの不織布は、デュポン社製のTypar S37(登録商標)を使用しており、このTypar S37は、ポリプロピレンの長繊維を素材とする厚さ0.43mmの不織布を、二層重ね合わせたものである。図(C)に示す補強構造は、図(A)に示すT字型金具を、エポキシ樹脂剤で接合部分に接着し、その上から図(B)に示すエポキシ樹脂剤を含浸させた不織布を接着して補強したものである。
【0030】
図8は、上述した柱を油圧ジャッキ垂直方向に引っ張った時の、最大耐力を示す。なお、この最大耐力は、それそれ3つの供試体について行った実験結果の平均値である。図8から明らかなように、エポキシ樹脂剤を含浸させた不織布を接着した補強構造(B)は、従来のT字型金具による補強構造(A)に比較すると、最大耐力は、7.88KN/8.83KN=0.89と、10%程度低下する程度で、ほぼ同等の耐力を有する。したがって、補強金具のように変形によるガタが生じないこと、また取り付け作業の容易さ等も考慮すると、補強構造(B)は、地震や台風に対して、有効な対抗手段となる。またT字型金具と、エポキシ樹脂剤を含浸させた不織布とを接着した補強構造(C)は、従来のT字型金具による補強構造(A)に比較すると、最大耐力は、17.09KN/8.83KN=1.94と、約2倍程度に増加する。したがって、強度および取り付け作業の点で、補強構造(C)は、地震や台風に対して、極めて有効な対抗手段となる。
【0031】
次に、図9〜図10に、耐力壁の周辺の接合部分の補強構造の効果を比較した実験結果を示す。図9は、この実験に供試した耐力壁の三種の補強構造を示しており、土台と胴差と左右の柱によって形成した、横幅1820mm、高さ2625mmの枠組内に、厚さ9.5mmの4級構造用パネルを嵌合させ、このパネルの周辺を、周囲を形成する左右の柱と、土台および胴差とに、釘打ちして固定したものである。そして、図(A)に示す補強構造は、従来から使用されてきた角金具(CP−7)を、パネルの周辺接合部分の四隅にビス止めして、この接合部分を補強したものである。図(B)に示す補強構造は、パネルの四周辺の接合部分に、エポキシ樹脂剤を含浸させた帯状の不織布を接着したものである。そして、図(C)に示す補強構造は、図(A)に示す角金具(CP−7)を、パネルの周辺接合部分の四隅にエポキシ樹脂剤で接着し、その上から図(B)に示すエポキシ樹脂剤を含浸させた帯状の不織布を接着したものである。
【0032】
図10は、上述した耐力壁に横加重を加えた場合に、この耐力壁が破損する直前の最大せん断力を示す。なお、この最大せん強度は、それぞれ3つの供試体について行った実験結果の平均値である。図10から明らかなように、エポキシ樹脂剤を含浸させた不織布を接着した補強構造(B)は、従来の角金具による補強構造(A)に比較すると、15.61KN/8.22KN=1.90と、2倍弱の最大せん断力を有する。また、角金具とエポキシ樹脂剤を含浸させた不織布とを接着した補強構造(C)は、従来の角金具による補強構造(A)に比較すると、18.15KN/8.22KN=2.21と、2倍強の最大せん断力を有する。したがって、安価、強度の増加および取り付け作業が容易である等の点で、補強構造(B)と、補強構造(C)とは、地震や台風等に対して、極めて有効な対抗手段となる。
【0033】
図11〜図12に、実際の木造家屋の耐力壁に、従来の補強構造と、本発明による補強構造とを適用した場合の、動的耐震実験の比較を示す。すなわち従来の補強構造は、耐力壁の四辺を釘打ちにだけにより、周囲の枠組み部材に固定したものである。また比較する本発明による補強構造は、上記釘打した耐力壁の四辺の接合部に、エポキシ樹脂剤を含浸した帯状の不織布を接着したものである。図11は、木造家屋の耐力壁の位置と、加速度計の取り付け位置を示す。そして、加振器をこの木造家屋のほぼ中央位置の天井部に設置し、東西および南北方向に、それぞれ1〜20Hzの正弦波で加振し、三箇所に設置した加速度計で応答加速度を計測した。
【0034】
図12に、それぞれの加速度計の設置位置における最大変位量と、その減少率とを示す。図12から明らかなように、耐力壁の四辺を釘打ち止めした従来の補強構造に比べると、この上からエポキシ樹脂剤を含侵させた不織布を接着した補強構造は、最大変位量がほぼ半減した。したがって、地震や台風によって大きな外力が加わった場合に、木造建造物の横揺れが大幅に低減でき、破損も防止できる。なお、測点3−B(西側)の変位は、25%と減少が少ない結果となっているが、これは、計測点が既存の建物と接している部分に近いため、応答変位が抑えられたものと推定される。
【0035】
【発明の効果】
木造建造物の接合部分に、安価な不織布に強力な接着力を有するエポキシ樹脂剤を含侵させて接着することによって、接合部分の強度と剛性を高めることができるため、地震や台風等の大きな外力が加わった場合に、接合部分の変形やズレを防止でき、木造建造物全体の過大な揺れや破損を防止することができる。また、この不織布は、幅の大きな原反を容易に製造できるので、接合部分が広い耐力壁や床等の補強構造にも利用できる。
【0036】
さらにこの不織布は、ハサミやカッターで、容易に所定の形状に切断することができ、これにエポキシ樹脂剤を塗って含浸させ、木造建造物の接合部分に貼り付けるだけで補強することができるので、容易かつ短時間で補強することができる。また木造建造物の改修工事等おいて、床下等の作業スペースが狭いところにある接合部分であっても、現場で容易かつ確実に補強することができる。
【0037】
接合部分に、エポキシ樹脂剤によって金属板を接着し、その上からエポキシ樹脂剤を含侵させた不織布を重ね合わせて接着することによって、補強強度を大幅に増加させ、強度のバラツキを抑えることができる。また、耐力壁の周辺を、エポキシ樹脂剤を含侵させた不織布を接着して補強することによって、この耐力壁構造の強度と剛性とを高めることができるので、地震や台風等の大きな外力に対して、木造建造物の過大な横揺れや破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】不織布の一部拡大構造図である。
【図2】T字型仕口の接合部分の補強構造図である。
【図3】T字型仕口の接合部分の他の補強構造図である。
【図4】柱と柱とを長手方向につなぐ蟻構造継手の部分の補強構造図である。
【図5】筋交部材の両端接合部分の補強構造図である。
【図6】耐力壁の周辺接合部分の補強構造図である。
【図7】引張り実験に供試したT字型仕口の接合部分の補強構造図である。
【図8】T字型仕口の接合部分の補強構造の引張り実験結果を示す表である。
【図9】横荷重実験に供試した耐力壁の周辺接合部分の補強構造図である。
【図10】耐力壁の周辺接合部分の補強構造の横荷重実験結果を示す表である。
【図11】動的耐震実験に供試した木造建造物の耐力壁と加振器と加速度計の位置を示す断面図である。
【図12】動的耐震実験結果を示す表である。
【符号の説明】
1,11a〜41d      不織布
2,12,32a〜42d   鉄板(金属板)
3,13,23a〜43a   土台
33b,43b        胴差
4,14,34a〜44b   柱
35             筋交部材
46             耐力壁

Claims (6)

  1. エポキシ樹脂剤を含侵させた熱可塑性樹脂の長繊維を素材とする不織布を、木造建造物の接合部分の表面に接着してあることを特徴とする木造建造物の補強構造。
  2. 請求項1において、前記熱可塑性樹脂がポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、アクリルのいずれかの1であることを特徴とする木造建造物の補強構造。
  3. 請求項1〜2のいずれかにおいて、前記エポキシ樹脂剤を含侵させた不織布に金属板を重ね合わせて木造建造物の接合部分の表面に接着してあることを特徴とする木造建造物の補強構造。
  4. 請求項1〜3のいずれかの1において、前記接合部分が耐力壁の周辺の接合部分であることを特徴とする木造建造物の補強構造。
  5. 熱可塑性樹脂の長繊維を素材とする不織布にエポキシ樹脂剤を含侵させる工程と、
    上記不織布を木造建造物の接合部分の表面に接着する工程とを有する
    ことを特徴とする木造建造物の補強方法。
  6. 木造建造物の接合部分の表面にエポキシ樹脂剤によって金属板を接着する工程と、
    熱可塑性樹脂の長繊維を素材とする不織布にエポキシ樹脂剤を含侵させる工程と、
    上記不織布を、上記金属板の表面を覆うようにして上記木造建造物の接合部分の表面に接着する工程とを有する
    ことを特徴とする木造建造物の補強方法。
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