JP3570567B2 - 低振動筒体およびその製造方法 - Google Patents

低振動筒体およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、本体筒に制振構造体を内挿した低振動筒体およびその製造方法に関し、とくに、自動車等のプロペラシャフト(駆動推進軸)や振動抑制が要求されるロール状物等に用いて好適な、とりわけFRP(繊維強化プラスチック)製プロペラシャフトやロール状物等に用いて好適な低振動筒体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
回転駆動される筒状体には、多かれ少なかれ捩り振動や曲げ振動が生じる。とくに外部加振力による振動の周波数と筒状体の固有振動数が一致すると、共振状態に陥り、大きな振動や騒音を発生する。
【0003】
たとえば、自動車等のプロペラシャフトでは、回転という加振力の他にも、エンジンからのトルク発生の変動に伴う周波数の振動や、他部品の振動およびこれらの高次の振動が複雑に作用する。とくにこれらの外部振動による周波数とプロペラシャフトの固有振動数が一致するとプロペラシャフトは共振状態となり、大きな振動や振動に伴う騒音を発生する。
【0004】
振動を低減するために、筒状体の固有振動数を設計的に使用領域から外すことが可能な場合もあるが、プロペラシャフトのように低回転数領域から高回転数領域までの広い領域で使用されるものにおいては、この手法のみで振動を有効に低減させることは、困難な場合が多い。また、近年、FRP製筒状体(たとえばFRP製プロペラシャフト)が検討され、一部で既に採用されるに至っているが、FRP製筒状体では、FRPが異方性材料であるため、等方性材料であるスチールを用いた筒状体では問題とならなかったような低い周波数領域での振動が問題となることがある。
【0005】
このような筒状体の振動を低減する手法として、本体筒内に制振構造体を設け、外部加振力に対する筒状体の振動応答を低くするとともに、筒状体に振動減衰機能をもたせる手法が知られている。たとえば、筒状体内にポリウレタン等の発泡体を、筒状体長手方向中央部にあるいは全長にわたって充填する方法(たとえば特開昭63−199915号公報)や、筒状体を内外二重管構造にする方法(たとえば特開平4−94921号公報)が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような公知の方法では、未だ十分な振動低減効果が得られていない。とくに、FRP製筒状体に対しては、本体筒内に設けられた充填物や内挿物が、十分な制振効果を発揮できていない。
【0007】
また、上記のような公知の方法による知見に基づいて、本発明完成に先立って、次のような試験を行ってみた。
まず第1の試験として、FRP製本体筒の内面に、該内面と相対摺動可能にポリエステルフイルムあるいはフイルム状ポリエステル不織布を複数層に巻いて装着し、回転テストを行ってみたが、装着しない場合に比べいくらか効果はあるものの、十分な振動抑制効果は得られなかった。
【0008】
また、第2の試験として、FRP製本体筒の内面に、全周にわたって発泡ポリスチレンシートを接着してみたが、やはり接着しない場合に比べいくらか効果はあるものの、十分な振動抑制効果は得られなかった。
【0009】
本発明は、このような予備試験の結果も考慮しつつ完成に至ったものである。すなわち本発明の目的は、広い回転数領域にわたって、十分に高い振動抑制効果を発揮し得る、FRP製プロペラシャフト等に用いて好適な低振動筒体およびその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この目的に沿う本発明の低振動筒体は、本体筒に制振構造体が内挿され、該制振構造体は、
(a)前記本体筒の内周面に沿って、かつ該内周面に対して摺動自在に配置された複数個の摩擦係合部と、
(b)前記本体筒の内周面とは離間して該本体筒の周方向に延びている筒状保持部と、
(c)前記摩擦係合部と前記筒状保持部とを連結するとともに前記摩擦係合部を該摩擦係合部が前記本体筒の内周面に密着するように弾性支持している弾性支持部と、
を有しており、
かつ、前記弾性支持部がコルゲート部材からなることを特徴とするものからなる。
この低振動筒体における本体筒の材質としては、特に限定されず、金属製本体筒であってもよい。しかし本発明は、従来広い周波数域での振動低減が難しかった、本体筒がFRP製筒体からなる場合に適用して、とくに大きな効果が得られるものである。
また、本発明の低振動筒体は、FRP製本体筒に制振構造体が内挿され、該制振構造体は、
(a)前記本体筒の内周面に沿って、かつ該内周面に対して摺動自在に配置された複数個の摩擦係合部と、
(b)前記本体筒の内周面とは離間して該本体筒の周方向に延びている筒状保持部と、
(c)前記摩擦係合部と前記筒状保持部とを連結するとともに前記摩擦係合部を該摩擦係合部が前記本体筒の内周面に密着するように弾性支持している弾性支持部と、
を有しており、
かつ、少なくとも前記弾性支持部が紙、合成樹脂フイルム、不織布のいずれかの材料から構成されていることを特徴とするものからなる。
【0011】
上記弾性支持部は、たとえばダンボール紙等の形状として知られているコルゲート形状を有する部材から構成することができる。このコルゲート部材を、本体筒の内周面に沿って配置すればよい。
【0012】
上記摩擦係合部は、上記コルゲート部材の本体筒側頂部自身、つまり本体筒の内周面に接するコルゲート頂部自身により構成してもよく、また、コルゲート部材の本体筒側頂部に接合された別の部材として構成してもよい。
【0013】
また、弾性支持部は、摩擦係合部と筒状保持部との間で実質的に本体筒の径方向に、単に直線状に延びる部材により構成されていてもよい。
【0014】
また、摩擦係合部と弾性支持部が別部材として構成される場合には、両者は連結、より好ましくは接合されることになるが、このとき、摩擦係合部は、その周方向(本体筒周方向)中央部のみで弾性支持部に接合されることが好ましい。
【0015】
本発明に係る低振動筒体の製造方法は、
(a)全体として筒状を形成するように配置された複数個の摩擦係合部と、
(b)全体として筒状をなす前記摩擦係合部の内側に配置された筒状保持部と、
(c)前記摩擦係合部と前記筒状保持部とを連結するとともに前記摩擦係合部を弾性支持しており、コルゲート部材からなる弾性支持部と、
を有する制振構造体を、
本体筒に、前記摩擦係合部が前記本体筒の内周面に対して摺動自在に密着するように内挿することを特徴とする方法からなる。
【0016】
また、本発明に係る低振動筒体の製造方法は、
(a)全体として筒状を形成するように配置された複数個の摩擦係合部と、
(b)全体として筒状をなす前記摩擦係合部の内側に配置された筒状保持部と、(c)前記摩擦係合部と前記筒状保持部とを連結するとともに前記摩擦係合部を弾性支持している弾性支持部と、
を有する制振構造体のうち、少なくとも前記弾性支持部を紙、合成樹脂フイルム、不織布のいずれかの材料で構成するとともに、本体筒をFRP製筒体で構成し、前記摩擦係合部が前記本体筒の内周面に対して摺動自在に密着するように内挿することを特徴とする方法からなる。
【0017】
【作用】
上記のような低振動筒体においては、本体筒に制振構造体が内挿され、制振構造体の摩擦係合部が本体筒内周面に対し摺動自在に密着される。摩擦係合部は、筒状保持部に連結された弾性支持部に弾性支持されており、弾性支持部は、コルゲート部材からなり、あるいは、FRP製本体筒に対しては、少なくとも弾性支持部が紙、合成樹脂フイルム、不織布のいずれかの材料で構成されている。この弾性支持部の弾性によって、および筒状保持部が本体筒内周面に向かう方向の弾性を有している場合にはその弾性も加味された状態で、本体筒内周面にある押圧力をもって密着される。
【0018】
この摩擦係合部と本体筒内周面との間の摩擦力と、弾性支持部の減衰抵抗力とによって、優れた振動減衰特性が得られる。
【0019】
まず、摩擦係合部と本体筒内周面との間の摩擦による振動減衰について説明するに、本体筒に振動が生じた際、本体筒内周面と摩擦係合部との間には相対摺動が生じる。摩擦係合部は、ある押圧力をもって本体筒内周面に押しつけられているから、相対摺動により両者間には摩擦力が生じる。この摩擦力は、必ず上記振動を抑える方向、つまり必ず振動方向とは反対方向の力として作用するものであるから、この摩擦力によって振動が減衰される。
【0020】
また、弾性支持部の減衰抵抗力も振動減衰に寄与する。本体筒から摩擦係合部を介して弾性支持部に振動が伝達されるが、このとき、該振動の加振力によって、弾性支持部には該加振力に対応する方向の弾性変形が生じる。この弾性変形の量は、加振力の大きさにも依存するが、上記摩擦係合部と本体筒内周面との間の相対摺動量にも依存する。つまり、相対摺動量が大きければ、より小さく弾性変形しようとし、相対摺動量が小さければ、より大きく弾性変形しようとする。しかしいずれにしても、弾性支持部や筒状保持部に振動が伝達される限り、弾性支持部には該振動に伴う弾性変形が生じる。弾性変形が生じると、変形の速度に比例した逆方向の減衰抵抗力が生じ、この減衰抵抗力が上記振動を打ち消す方向の力、つまり振動減衰力として作用する。
【0021】
したがって、本発明に係る低振動筒体においては、摩擦係合部による、本体筒内周面との間の摩擦による振動減衰力と、弾性支持部の減衰抵抗力による振動減衰力との両方が、実質的に同時に作用する。両振動減衰力のバランス、つまり、いずれの振動減衰力が全体として得られる振動減衰力に対しどれ程の割合を占めているかは、摩擦係合部と本体筒内周面との間の摩擦力の大きさ、弾性支持部の減衰抵抗力等の各種条件によって変化するものの、両振動減衰力が同時に作用することによって、従来構造では得られなかった優れた振動減衰特性が得られる。
【0022】
また、上記両振動減衰力は、筒体の回転数や振動の周波数とは実質的に無関係に得られるものであるから、広い周波数領域に対して優れた振動減衰特性が得られる。
【0023】
なお、本発明においては、摩擦係合部と本体筒内周面との間の相対摺動の方向を格別限定していないので、本体筒のあらゆる方向の振動に対して、上記のような優れた振動減衰特性を発揮することが可能である。
【0024】
さらに、本発明の低振動筒体においては、本体筒内周面と筒状保持部との間の空間が、弾性支持部によって周方向に複数の空間に仕切られる。つまり、筒体内に形成される気柱が、この部分において、周方向に複数の気柱に分割されることになる。気柱が分割されると、それだけ気柱を形成する筒内気体と壁との接触面積が増大し、気柱振動抑制効果が増大する。その結果、気柱振動の伴う騒音も低減されることになる。
【0025】
【実施例】
以下に、本発明の望ましい実施例を、図面を参照して説明する。
図1ないし図3は、本発明の第1実施例に係る低振動筒体を示しており、本発明をFRP製筒体、とくにFRP製プロペラシャフトに適用した例を示している。本発明の低振動筒体は、FRP製筒体に限らず、金属製や単なる樹脂製筒体にも適用可能であるが、とくにFRP製筒体に適用して大きな効果が得られる。
【0026】
図1は、本発明の第1実施例に係るプロペラシャフトの片方の端部を示している。他方の端部の図示は省略してあるが、本実施例では、図示端部と同様の構成とされている。図1において、1はFRP製筒体からなる本体筒を示しており、本体筒1の両端部には(図1では片方の端部のみ示してある)、金属製継手2が、圧入により接合されている。
【0027】
FRP製の本体筒1を構成するマトリクス樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂を使用するが、他の樹脂、たとえば、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド等の熱可塑性樹脂でもよい。また、強化繊維についても、炭素繊維に限らず、たとえばガラス繊維、アラミド繊維等を使用することが可能であり、これらを併用することも可能である。
【0028】
上記のようなFRP製本体筒1の内側に、制振構造体3が内挿されている。制振構造体3は、図2、図3にも示すように、本体筒1の内周面に沿って周方向に複数不連続に配置された摩擦係合部4と、本体筒1の内周面とは離間して周方向に筒状に延びる筒状保持部5と、摩擦係合部4と筒状保持部5とを連結し、摩擦係合部4を本体筒1の内周面に密着するように弾性支持する弾性支持部6と、からなっている。摩擦係合部4は、本体筒1の内周面に対し摺動自在に、弾性支持部6によって弾性支持されつつ、かつある押圧力を持って本体筒1の内周面に押しつけられつつ、本体筒1の内周面に密着されている。この制振構造体3は、図2に示すように、本体筒1の一方の端部から、本体筒1内の軸方向所定位置まで挿入され、上記密着状態および弾性支持状態を満足するように装着されている。
【0029】
本実施例では、制振構造体3は、弾性支持部6側から付与される摩擦係合部4の本体筒1の内周面に対する押圧力のみをもって、本体筒1内の所定位置に保持されている。したがって、摩擦係合部4は、本体筒1の内周面に対して、周方向、軸方向およびそれらの中間方向のあらゆる方向に摺動自在となっている。但し、低減しようとする振動の方向が限定される場合には、たとえば制振構造体3の軸方向の位置を固定し、周方向のみ上記摺動自在となるようにすることもできる。
【0030】
筒状保持部5は、円筒形状の部材からなり、本体筒1の内径よりも小さい外径を有している。この筒状保持部5は、弾性支持部6が摩擦係合部4を弾性支持する際の支持体として機能するとともに、制振構造体3全体の筒形状を保持する役目を果たしている。なお、本実施例では筒状保持部5は略完全な円筒形状に形成されているが、たとえば図6に示すように、周方向の一ヶ所に切れ目7を有する部材8に構成することも可能である。このような構成は、部材8の弾性(腰)が比較的高い場合とくに有効であり、本体筒1に内挿する場合制振構造体3全体を縮径して挿入しやすくできるとともに、挿入後には、部材8が有する弾性復元力により、図6の矢印で示すように摩擦係合部4を本体筒1の内周面方向に付勢することが可能となる。
【0031】
第1実施例においては、弾性支持部6は、部材6自身が波打ちながら周方向に延びるコルゲート部材からなっている。弾性支持部6は、筒状保持部5に対して、摩擦係合部4を本体筒1の内周面方向に向けて弾性支持しており、ある押圧力をもって各摩擦係合部4を本体筒1の内周面に押しつけている。
【0032】
また本実施例においては、各摩擦係合部4は、その周方向中央部で、弾性支持部6のコルゲート形状の本体筒1側頂部に連結されている。連結は、接着による接合により行われている。摩擦係合部4を中央部で接合することにより、摩擦係合部4は容易に所定姿勢に保たれ、バランスよく本体筒1の内周面に密着される。また、弾性支持部6と筒状保持部5も接着により接合されている。これら接合により、摩擦係合部4、筒状保持部5、弾性支持部6は、本体筒1に内挿前に、一体化された部材としての制振構造体3に構成されている。
【0033】
制振構造体の構造は、上記制振構造体3に限らず、図4あるいは図5に示すような構造を採ることもできる。
図4は、本発明の第2実施例に係る制振構造体11を示している。本実施例においては、別部材としての摩擦係合部4は設けられず、弾性支持部6のコルゲートの本体筒1側頂部自身が摩擦係合部として形成されている。すなわち、弾性支持部6のコルゲートの各本体筒1側頂部が、直接本体筒1の内周面に密着され、該密着部がコルゲートの他の部分によって弾性支持されている。このような構成においては、摩擦係合部4を設けなくてもよい分、制振構造体11を軽量化でき、低振動筒体全体としての軽量性を確保できる。
【0034】
図5は、本発明の第3実施例に係る制振構造体12を示している。本実施例においては、コルゲートタイプの弾性支持部6に代えて、弾性支持部13が、実質的にFRP製本体筒1の径方向に直線状に延びる部材によって形成されている。本実施例においても、各摩擦係合部4の周方向中央部が各弾性支持部13の先端に接合されている。
【0035】
なお、上記各実施例においては、制振構造体3、11、12は、本体筒1の全長よりも若干短か目に形成され、本体筒1の軸方向に長く延びているが、制振構造体を本体筒1の軸方向中央部のみに、あるいは、略全長にわたって断続的に(つまり分割して)内挿することも可能である。
【0036】
また、制振構造体の材質としては、特に限定されないが、摩擦係合部4には本体筒1の内周面に対して比較的高い摩擦係数を有するもの、弾性支持部6や弾性支持部13には、十分に高い減衰抵抗力を有するものが好ましい。とくにFRP製本体筒1に対しては、弾性支持部6や弾性支持部13として、厚手の紙、合成樹脂フイルム、腰のある不織布等が適しており、少なくとも弾性支持部13が、紙、合成樹脂フイルム、不織布のいずれかの材料で構成される。摩擦係合部4や筒状保持部5としても、同様の材質を用いることができる。
【0037】
上記のように構成された各実施例に係る低振動筒体の作用、効果に関し、図1ないし図3に示した第1実施例について説明する。
摩擦係合部4は、本体筒1の内周面に対し、摺動自在に密着、押圧されているので、本体筒1に振動が生じた場合、制振構造体3の慣性力により、摩擦係合部4と本体筒1の内周面との間には上記振動に伴う相対摺動が生じる。このとき、反摺動方向に摩擦力が作用し、該摩擦力は相対摺動を抑える方向に作用するから、本体筒1の振動を抑える方向に作用する。つまり、この摩擦力によって振動減衰力が働く。
【0038】
また、本体筒1の振動が摩擦係合部4を介してコルゲート部材からなる弾性支持部6に伝達されると、弾性支持部6には振動方向への弾性変形が生じる。この弾性変形は、必然的に弾性変形の速度の方向(つまり振動の速度の方向)とは反対方向の減衰抵抗力を同時に生じさせる。この減衰抵抗力は、振動を打ち消す方向の力として作用するから、この減衰抵抗力によっても振動減衰力が働く。
【0039】
したがって、摩擦係合部4と本体筒1内面との間の摩擦による振動減衰力と、弾性支持部6の減衰抵抗力による振動減衰力が、実質的に同時に作用することになり、全体として大きな振動減衰力が得られ、所望の低振動プロペラシャフトが得られる。
【0040】
また、上記摩擦による振動減衰力および減衰抵抗力による振動減衰力は、ともに、本体筒1の回転数や振動の周波数とは、実質的に無関係に発揮されるものである。したがって、広い周波数領域にわたって、優れた振動減衰特性が得られ、正に、プロペラシャフト等に適用して最適な低振動筒体が得られる。
【0041】
また、弾性支持部6によって、本体筒1の内周面と筒状保持部5との間の空間は、周方向に多数の空間に仕切られることになり、筒内に形成される気柱が多数の気柱に分割される。その結果、気柱を構成する気体と、気柱を区画形成する壁(分割壁)との接触面積が、気柱を分割しない場合に比べて著しく増大される。気柱を構成する筒内気体と、気柱を区画形成する壁との間には、気柱振動を抑える方向の粘性力が作用するから、上記のように接触面積が増大されると、気柱振動抑制力も著しく増大される。筒内気柱振動が抑えられると、気柱振動に伴う騒音の発生も大きく低減される。
【0042】
以上の実施例は、本発明をFRP製プロペラシャフトに適用した場合について説明したが、本発明は、前述の如くFRP製筒体に限らず、他の材質の筒体にも適用可能であり、さらには、プロペラシャフトに限らず、他の低振動化を目的とする筒体にも適用可能である。
【0043】
たとえば、第4実施例として、図7に本発明をロールに適用した場合を示す。本実施例においては、たとえばFRP製のロール環21に、図1に示したと同様の制振構造体3が内挿されている。制振構造体3は、前記同様、摩擦係合部4、筒状保持部5、弾性支持部6から構成すればよい。図7において、22は、ロール環21の両端部に嵌着された軸を示している。
【0044】
このようなロール状物、さらにはドラム状物からなる筒体に本発明を適用した場合にも、前述と同様の作用、効果が得られる。
【0045】
なお、本発明完成に至る試験過程で判明したことであるが、図8に示すような構成であっても、少なくとも気柱振動抑制には効果があり、騒音低減効果が得られる。図8においては、本体筒1の内周面に、該内周面と相対摺動自在に、あるいは内周面に接合させて、実質的に内周面全周にわたって延びるシートあるいはフイルム状物31が設けられ、その内側に、周方向に延びるコルゲート体32が接合されている。但しこの構成では、シートあるいはフイルム状物31が周方向に分割されておらず、かつ、筒状保持部が設けられていないので、前述の各実施例で示した程の優れた振動低減効果は得られなかった。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の低振動筒体およびその製造方法によるときは、摩擦係合部、筒状保持部、弾性支持部からなる制振構造体を本体筒に内挿し、摩擦係合部と本体筒内周面との間の摩擦による振動減衰力と弾性支持部の減衰抵抗力に伴う振動減衰力とをともに作用させるようにしたので、全体として大きな振動減衰力を得ることができ、しかも、その優れた振動減衰特性を広い周波数領域にわたって発揮させることができ、振動を極めて小さく抑えた、プロペラシャフトやロール状物に用いて最適な所望の筒体を得ることができる。
【0047】
また、弾性支持部によって筒内気柱を多数に分割できるので、気柱振動を効率よく抑制でき、気柱振動に伴う騒音のレベルを大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る低振動筒体の部分縦断面図である。
【図2】図1の低振動筒体における制振構造体挿入時の部分斜視図である。
【図3】図1の低振動筒体の拡大部分横断面図である。
【図4】本発明の第2実施例に係る低振動筒体の部分横断面図である。
【図5】本発明の第3実施例に係る低振動筒体の部分横断面図である。
【図6】図2に示した制振構造体の変形例に係る制振構造体の側面図である。
【図7】本発明の第4実施例に係る低振動筒体の部分縦断面図である。
【図8】本発明完成前に試験した筒体の部分横断面図である。
【符号の説明】
1 本体筒
2 継手
3、11、12 制振構造体
4 摩擦係合部
5 筒状保持部
6、13 弾性支持部
7 切れ目
8 筒状保持部を構成する部材
21 ロール環
22 軸

Claims (12)

  1. 本体筒に制振構造体が内挿され、該制振構造体は、
    (a)前記本体筒の内周面に沿って、かつ該内周面に対して摺動自在に配置された複数個の摩擦係合部と、
    (b)前記本体筒の内周面とは離間して該本体筒の周方向に延びている筒状保持部と、
    (c)前記摩擦係合部と前記筒状保持部とを連結するとともに前記摩擦係合部を該摩擦係合部が前記本体筒の内周面に密着するように弾性支持している弾性支持部と、
    を有しており、
    かつ、前記弾性支持部がコルゲート部材からなることを特徴とする低振動筒体。
  2. 前記摩擦係合部が、前記コルゲート部材の本体筒側頂部自身により構成されている、請求項1の低振動筒体。
  3. 前記摩擦係合部が、前記コルゲート部材の本体筒側頂部に接合された部材により構成されている、請求項の低振動筒体。
  4. 前記本体筒がFRP製筒体からなる、請求項1ないし3のいずれかに記載の低振動筒体。
  5. FRP製本体筒に制振構造体が内挿され、該制振構造体は、
    (a)前記本体筒の内周面に沿って、かつ該内周面に対して摺動自在に配置された複数個の摩擦係合部と、
    (b)前記本体筒の内周面とは離間して該本体筒の周方向に延びている筒状保持部と、
    (c)前記摩擦係合部と前記筒状保持部とを連結するとともに前記摩擦係合部を該摩擦係合部が前記本体筒の内周面に密着するように弾性支持している弾性支持部と、
    を有しており、
    かつ、少なくとも前記弾性支持部が紙、合成樹脂フイルム、不織布のいずれかの材料から構成されていることを特徴とする低振動筒体。
  6. 前記弾性支持部がコルゲート部材からなる、請求項5の低振動筒体。
  7. 前記摩擦係合部が、前記コルゲート部材の本体筒側頂部自身により構成されている、請求項6の低振動筒体。
  8. 前記摩擦係合部が、前記コルゲート部材の本体筒側頂部に接合された部材により構成されている、請求項6の低振動筒体。
  9. 前記弾性支持部が、前記摩擦係合部と前記筒状保持部との間で実質的に本体筒の径方向に延びる部材により構成されている、請求項5の低振動筒体。
  10. 低振動筒体がプロペラシャフトである、請求項1ないし9のいずれかに記載の低振動筒体。
  11. (a)全体として筒状を形成するように配置された複数個の摩擦係合部と、
    (b)全体として筒状をなす前記摩擦係合部の内側に配置された筒状保持部と、
    (c)前記摩擦係合部と前記筒状保持部とを連結するとともに前記摩擦係合部を弾性支持しており、コルゲート部材からなる弾性支持部と、
    を有する制振構造体を、
    本体筒に、前記摩擦係合部が前記本体筒の内周面に対して摺動自在に密着するように内挿することを特徴とする、低振動筒体の製造方法。
  12. (a)全体として筒状を形成するように配置された複数個の摩擦係合部と、
    (b)全体として筒状をなす前記摩擦係合部の内側に配置された筒状保持部と、
    (c)前記摩擦係合部と前記筒状保持部とを連結するとともに前記摩擦係合部を弾性支持している弾性支持部と、
    を有する制振構造体のうち、少なくとも前記弾性支持部を紙、合成樹脂フイルム、不織布のいずれかの材料で構成するとともに、本体筒をFRP製筒体で構成し、前記摩擦係合部が前記本体筒の内周面に対して摺動自在に密着するように内挿することを特徴とする、低振動筒体の製造方法。
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