JP3570048B2 - 反射型光電センサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は反射型光電センサに関し、特に入射光を正反射する物体の有無やその表面状態を検出するための反射型光電センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来表面が光沢を有して入射光を正反射する検出物体を検出するための光電センサとして、光を検出物体の表面に集光させる集光型の光電センサと、光を拡散させて検出物体に入射する発散ビーム型の光電センサが用いられている。図8,図9は集光ビーム型光電センサ100であり、投光素子101の光を集光レンズ102を介して検出物体に入射させる。そしてその反射光を受光レンズ103を介して受光素子104によって受光し、受光レベルにより物体の有無を検出する。図10,図11は発散ビーム型光電センサ110であり、投光レンズ111が物体の広い範囲に投光する点を除いて集光ビーム型光電センサと同様である。これらの光電センサは、いずれも光沢のある検出物体の有無を検出する正反射検出型のセンサである。しかるに集光ビーム型及び発散ビーム型光電センサ100,110は、物体の変動や表面状態に応じて検出特性が異なる。即ち図8(b),図10(b)に示すように、ある角度だけ物体が傾いても検出可能な角度の許容範囲±θ1,θ2を比較すると、発散ビーム型光電センサ110の方が角度の許容範囲が広い(θ1<θ2)。又距離変動の影響は、図9(c),図11(c)に示すように一定距離だけ変位したときの受光範囲の比d2′/d2の方がd1′/d1より小さい。即ち発散ビーム型光電センサ110の方が距離変動の影響を受けにくく、良い特性が得られる。しかしながら検出物体の表面に微小な凹凸がある場合に、図9(d)に示すように集光ビーム型光電センサ100は一定の範囲であれば受光可能となるが、発散ビーム型光電センサ110は例えば図11(d)に示すように微小な山形の凹凸があれば反射光が分離され、図中ハッチングの部分では反射光が得られず、受光素子104側に入射しなくなることがあって、検知できなくなるという欠点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このように発散ビーム型及び集光ビーム型はいずれも検出特性が異なっており、角度変動,距離変動,微小凹凸の影響を受けにくい光電センサとすることができないという欠点があった。
【0004】
本発明はこのような従来の問題点に着目してなされたものであって、検出物体の距離変動や角度変動の影響を受けにくく、しかも微小な凹凸によって誤検知の可能性が少ない反射型光電センサを実現することを目的とする。
【0005】
又本願の請求項2の発明では、これに加えて物体の光沢を検知する光沢度検知用の光電センサにこのような機能を設けるようにすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本願の請求項1の発明は、物体検知領域におかれた物体からの正反射光を検出する反射型光電センサであって、光源と、前記光源より入射した光を平行な光に変換するコリメートレンズと、前記コリメートレンズにより平行にされた光を拡散する拡散手段と、前記拡散手段から出射する光のうち、中心部分から出射した光を物体検知領域に向け集束し、周辺部分から出射した光を物体検知領域に向けて拡散して入射させる投光レンズと、物体検知領域からの正反射光を受光する受光手段と、前記受光手段により受光された正反射光のレベルによって物体の有無あるいは表面状態を判別する判別手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0007】
本願の請求項2の発明は、物体検知領域におかれた物体からの正反射光を検出する反射型光電センサであって、光源と、前記光源より入射した光を平行な光に変換するコリメートレンズと、前記コリメートレンズにより平行にされた光を拡散する拡散手段と、前記拡散手段から出射する光のうち、中心部分から出射した光を物体検知領域に向け集束し、周辺部分から出射した光を物体検知領域に向けて拡散して入射させる投光レンズと、投光レンズの物体検知領域側の面に設けられ、P偏光又はS偏光のいずれか一方の光のみを出射する偏光フィルタと、物体検知領域からの正反射光のうち、P偏光成分及びS偏光成分の光を夫々分離して受光する受光手段と、前記受光手段により受光された正反射光のP偏光及びS偏光成分の出力レベルによって物体の有無あるいは表面状態を判別する判別手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0010】
このような特徴を有する本願の請求項1の発明によれば、光源より投光レンズを介して光を物体検知領域に照射し、検出物体からの反射光を受光手段によって受光して、その受光レベルに基づいて物体の有無を判別している。このとき光源を面光源とすれば、その光源の中心から出た光は検出物体の表面で集束され、周辺からの光は検出物体の表面に拡散して入射することとなり、集光型光電センサ及び拡散型光電センサの双方の特性を有する光電センサとすることができる。又請求項2の発明では、いずれか一方の偏光成分を有する光を出射し、その反射光の偏光成分が保存されているかどうかによって光沢を判別する光電センサに光源面積を拡大するようにしたものである。請求項3では、光源を投光素子とその光を拡散する拡散手段により構成しており、請求項4では、更にコリメートレンズを設けることによって光の利用効率を向上させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の第1実施形態による反射型光電センサ1を示す図である。本図に示すように反射型光電センサ1は光源2と投光レンズ3を有しており、この投光レンズ3によって照射される物体からの反射光を受光する受光レンズ4及び受光素子5を有している。受光素子5の出力は増幅器6を介して比較器7に出力される。比較器7は一定の閾値レベルで物体の有無を判別するものであり、出力回路8を介して物体検知信号を出力する。ここで光源2と投光レンズ3との間隔と検出レンズ3より検出物体10までの間隔は、結像の式が成り立つような位置に配置する。即ち投光レンズの焦点距離をf、投光レンズ3と光源2との距離をa、投光レンズ3と検出物体10までの距離をbとすると、次式
1/f=1/a+1/b
が成り立つ距離となるように配置する。ここでこの光源2が点光源であれば前述した集光型光電センサとなるが、本実施形態では光源2を点光源でなく、焦点距離fに対して比較的大きい面光源としておく。こうすれば光源2から出射された光のうち、その中心部分から出射した光は検出物体10の表面に集束される。又光源2の光源面積が大きいため、光源2の周辺部から出射した光はコマ収差により図中破線で示すように拡散するため、検出物体10の広い範囲に入射することとなる。このため前述した従来例の発散ビーム型及び集光ビーム型光電センサの双方の光の出射状態に等しくなり、これらの双方の特性を兼ね備えた光電センサとすることができる。即ち角度変動,距離変動に対して強く、しかも検出物体の表面の微小な凹凸があってもその影響を受け難い光電センサとすることができる。ここで図1のA−A′で示す受光レンズの位置における強度分布は図2(b)に示すものとなって、この範囲内で光を受光することができる。
【0012】
次に光源を比較的光源面積の大きい面光源とするための構成について説明する。光源を面光源とするためには、例えば図3(a)に示すようにほぼ点光源と考えられる投光素子、例えば発光ダイオード11を光源とし、その所定位置にコリメートレンズ12を設ける。コリメートレンズ12は発光ダイオード11より出射する光をその光軸に平行な光に変換するものである。コリメートレンズ12は本実施形態では裏面を平面のものとしておき、その裏面に密着させて拡散手段として拡散板13を配置する。拡散板13は平行光を拡散させるため、等価的に面光源となって光源の面積を拡散板13の大きさまで大きくすることが可能である。図4は拡大された光源と検出物体との間を光の追跡図として示したものである。ここでは図を分かりやすくするために検出物体10をそのまま透過して受光レンズ4に入射するように示しているが、実際には検出物体10の表面で光は反射されて受光レンズ4及び受光素子5に加わる。この図から明らかなように光源の中心を出射した光は検出物体10の表面で集束し、その反射光が受光素子5に得られる。更に光源の周辺から出射した光は検出物体10の比較的広い範囲に入射し、その反射光の一部が受光素子5に入射する。このため前述したように発散ビーム型及び集光ビーム型の双方の特性を有する光電センサとすることができる。このような拡散板13を用いると、投光レンズ3の曲率,形状を適宜選択することによって、容易に図2(a)に示すように受光位置A−A′での強度分布を一定の範囲内で平坦にすることができ、角度変動や距離変動及び微小凹凸の影響をより受け難い光電センサとすることができる。
【0013】
図3(b)は光を拡散させ光源面積を拡大するための他の方法について示している。この例ではコリメートレンズ14の背面14aをシボ加工し、コリメートレンズ14から出射される光を拡散するようにしている。又図3(c)に示すようにフレネルレンズ15を用い、このフレネルレンズ15の発光ダイオード11側を凸レンズとし、フレネルレンズ15の投光レンズ3側の面15aを回折格子とする。こうすればこれらの作用によって光を一旦平行とし、しかもフレネルレンズ15の全面より拡散する光を出射することができる。従っていずれの場合も光が拡散し、拡散した位置から新たな光源となって等価的に光源の面積が拡大できることとなる。
【0014】
又光電センサには光を投受光するヘッド部と信号処理するアンプ部とを分離し、光ファイバによって接続した分離型の光電センサも用いられている。光源として発光ダイオード11でなくこのような光ファイバを用いた場合の面光源化について説明する。図5(a)は光源が光ファイバ21を介してヘッド部に与えられるものとすると、その先端部に円柱状のロッド22を設けて光源面積を拡大するようにしたものである。円柱状ロッド22は例えばガラス又はプラスチック製の透明円筒状部材であり、その側面を光が反射することによって広い範囲で光が出射できる。
【0015】
又図5(b)は光ファイバ21の先端にロート23を設けている。ロート23は円錐台形状で光の出射面が広がるように構成されている。ロート23はロッド22と同様にガラス又はプラスチック製の透明部材で構成する。このように光源を拡大すれば焦点距離の短いレンズを用いなくてもよいこととなる。
【0016】
図6(a)は本発明の第2実施形態による光学系部分の構成を示す図である。図6(a)は図3(a)においてコリメートレンズ12を用いることなく拡散板のみを用いて構成したものである。図6(a)は拡散板のみを用いた場合の光の分布を示す図であり、投光素子である発光ダイオード11からの光が拡散板13に入射して拡散する状態を示している。その他の構成は第1実施形態と同一である。この場合にも前述した実施形態とほぼ同様の効果を得ることができる。しかし光が拡散する方向に分布するため全ての光が投光レンズ3に入射することがなく、光の利用効率が高くない。又図1のA−A′線上での光の分布は図2(b)に示すように不均一となる。そのため図6(b)に示すようにコリメートレンズ12を用いて一旦光を平行にした後、拡散板13により光を拡散するようにすれば、光の利用効率を向上することができる。又拡散板に代えて図3(b),(c)に示す面14a,15aのシボ加工や回折格子を用いても、同様に光の利用効率を向上することができる。
【0017】
図7は本発明の第3の実施形態による光電センサの一例を示す図である。本図において光学系部分は前述した実施形態と同様に、ヘッド部51には光源52とコリメートレンズ53,拡散板54が設けられる。又拡散板54の背後には一定間隔を隔てて投光レンズ55が配置され、更に投光レンズ55の前面側には光の偏光方向を揃えるための偏光フィルタ56が設けられる。光源を面光源とすること、及び光源と投光レンズ55及び検出物体との位置関係は第1の実施形態と同様とする。偏光フィルタ56は光源の光を特定の偏光方向、例えばP偏光及びS偏光のいずれか一方、この場合S偏光成分の光のみを検出物体に出射するものである。検出物体からの反射光は図示のように偏光ビームスプリッタ57によりS偏光成分は反射、P偏光成分は透過させることにより分離される。そしてこれらの反射光は一対の受光部、即ち受光レンズ58と受光素子59及び受光レンズ60,受光素子61によって受光される。この受光レンズ58,60の前面にはP偏光成分のみを透過させる偏光フィルタ、S偏光成分のみを透過させる偏光フィルタ63が配置されている。これらの受光素子59,61の出力は夫々増幅器64,65を介して増幅され、差分回路66に入力される。差分回路66はこれらの入力信号の差のレベルに基づいて検出物体の表面状態を判別するものである。即ち検出物体の表面の光沢度が高ければ光源部から出射された光の偏光方向が保存されるため、入射した光と同一の偏光成分の反射光のレベルが他方の偏光成分より高く、差分回路66の出力レベルは高くなる。一方光沢度の低い検出物体では偏光分が保存されないため両方向の偏光成分の反射光のレベル差、即ち差分回路の出力は低くなる。このため差分出力に基づいて検出物体の光沢度を判別することができる。又差分回路に代えて増幅回路64,65の出力比に基づいて光沢度を算出することもできる。本実施形態においても第1,第2実施形態と同様に、検出物体の傾きや距離変動,表面の微小な凹凸の影響をあまり受けることなく検出物体の表面状態が検出できる。
【0018】
ここで投光素子と受光素子の位置に夫々光ファイバの端部を配置し、ヘッド部と信号処理部とを分離するように構成することができることはいうまでもない。又光源面積を拡大する手段は図3のいずれでもよい。更に第2の実施形態のようにコリメートレンズを用いずに投光部を構成することもできる。
【0019】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように本願の請求項1,2の発明によれば、正反射する物体を検出する反射型光電センサにおいて、物体が傾いた場合や距離変動が生じた場合、又はその表面に微小な凹凸がある場合のいずれの場合にもその影響を受け難く、確実に物体の有無や光沢度を検出することができる光電センサとすることが可能である。又、拡散板を用いることによって受光位置での受光レベルをほぼ一定にすることができ、コリメートレンズを用いて投光素子の光を一旦平行光とすることにより、光の利用効率を向上させることができるという効果得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態による反射型光電センサの全体構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態による光電センサの受光位置での受光強度分布を示すグラフである。
【図3】本実施形態の光学系部分の投光部の種々の構成を示す図である。
【図4】本実施形態の光線軌跡を示す図である。
【図5】本実施形態において光源に光ファイバを用いた場合の光源面積を拡大する手法を示す図である。
【図6】(a)はコリメートレンズを使用しない第2図実施形態による反射型光電センサの投光部の構成、(b)はコリメートレンズを使用した第1の実施形態の構成を示す図である。
【図7】本発明の第3実施形態による光電センサの全体構成を示すブロック図である。
【図8】従来の集光ビーム型光電センサと検出物体が傾いたときの状態を示す図である。
【図9】従来の集光ビーム型光電センサの距離変動及び表面状態に対する影響を示す図である。
【図10】従来の発散ビーム型光電センサと検出物体が傾いたときの状態を示す図である。
【図11】従来の発散ビーム型光電センサの距離変動及び表面状態に対する影響を示す図である。
【符号の説明】
1 反射型光電センサ
2 光源
3,55 投光レンズ
4 受光レンズ
5 受光素子
6 増幅器
7 比較器
8 出力回路
10 検出物体
11 発光ダイオード
12,14,53 コリメートレンズ
13,54 拡散板
15 フレネルレンズ
21 光ファイバ
22 ロッド
23 ロート
51 ヘッド部
56,62,63 偏光フィルタ
64,65 増幅回路
66 差分回路

Claims (2)

  1. 物体検知領域におかれた物体からの正反射光を検出する反射型光電センサであって、
    光源と、
    前記光源より入射した光を平行な光に変換するコリメートレンズと、
    前記コリメートレンズにより平行にされた光を拡散する拡散手段と、
    前記拡散手段から出射する光のうち、中心部分から出射した光を物体検知領域に向け集束し、周辺部分から出射した光を物体検知領域に向けて拡散して入射させる投光レンズと、
    物体検知領域からの正反射光を受光する受光手段と、
    前記受光手段により受光された正反射光のレベルによって物体の有無あるいは表面状態を判別する判別手段と、を備えることを特徴とする反射型光電センサ。
  2. 物体検知領域におかれた物体からの正反射光を検出する反射型光電センサであって、
    光源と、
    前記光源より入射した光を平行な光に変換するコリメートレンズと、
    前記コリメートレンズにより平行にされた光を拡散する拡散手段と、
    前記拡散手段から出射する光のうち、中心部分から出射した光を物体検知領域に向け集束し、周辺部分から出射した光を物体検知領域に向けて拡散して入射させる投光レンズと、
    投光レンズの物体検知領域側の面に設けられ、P偏光又はS偏光のいずれか一方の光のみを出射する偏光フィルタと、
    物体検知領域からの正反射光のうち、P偏光成分及びS偏光成分の光を夫々分離して受光する受光手段と、
    前記受光手段により受光された正反射光のP偏光及びS偏光成分の出力レベルによって物体の有無あるいは表面状態を判別する判別手段と、を備えることを特徴とする反射型光電センサ。
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