JP3569725B2 - 磁石ベルト - Google Patents

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、磁石ベルト輸送システム（ＢＴＭ）に用いられる磁石ベルトに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
磁石ベルト輸送システムは、車上に動力を持たせ、これで磁石ベルトを引き回し、磁石ベルトをレールの鉄製吸着面に吸着させ、両者の磁気摩擦力によって車両の推力を得るものである。
この磁石ベルト輸送システムに用いられる従来の磁石ベルトを図５に示す。同図において、磁石ベルト２１は、弾性合成樹脂製のベルト基材２２の一方の面に、図示しないプーリーに係合する多数の短尺方向の係合突条２３を備え、他方の面に、長手方向に相互間隔をおいて短尺方向に延びるように多数のヨーク２４が、ボルト２５と座金２６とで固着されている。そして、ヨーク２４に磁石２７が固着されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の磁石ベルトにおいては、プーリーに係合する一方の面にボルト２５が突出するため、プーリーの係合歯との干渉を避ける必要から、磁石を密に取付けることができず、またプーリーの係合歯の数も制限される。この結果、プーリーの駆動力を効率よく円滑に伝えることができないという問題点がある。
従って、本発明は、プーリーに係合する面にボルトが突出せず、磁石を可及的に密に取付けることができ、またプーリーの係合歯の数も制限されない磁石ベルトを提供することを課題としている。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、上記課題を解決するため、一方の面にプーリーに係合する多数の係合突条３を備えた熱可塑性合成樹脂製のベルト基材２と、このベルト基材２と同質の合成樹脂製で、ベルト基材２の他方の面に多数固着される磁石保持体４と、この磁石保持体４に固定されるヨーク５と、このヨーク５上に固定される磁石片６とを具備した磁石ベルト１において、磁石保持体４を、ベルト基材２の係合突条３に重なる位置に配置し、ねじ筒９をヨーク５から延出させ、磁石保持体４及びベルト基材２を貫通し、係合突条３に形成されたねじ受け凹所１１に達するように設け、このねじ受け凹所１１に頭部が没するように、ねじ筒９にボルト１３を螺合することによって、ヨーク５をベルト基材２に固定した。
【０００５】
【作用】
本発明の磁石ベルト１においては、ベルト基材２の裏側の各係合突条３と同一位置に磁石保持体４が設けられるから、磁石片６が係合突条３と同数になる。ボルト１３は係合突条３内に頭部を埋め込んで螺合されるから、プーリとベルトとの係合に支障を来すことがなく、係合突条３の数も制限されない。従って、プーリーの駆動力を効率よく円滑に磁石ベルト１に伝えることができる。
【０００６】
【実施例】
図面を参照して本発明の一実施例を説明する。図１は磁石ベルトの断面図、図２は図１におけるＩＩ−ＩＩ断面図、図３は充填物を充填する前の磁石ベルトの一部の底面図、図４は磁石ベルトの斜視図である。
【０００７】
磁石ベルト１は、例えばポリウレタンのような、熱可塑性で弾性を有する合成樹脂製の無端状のベルト基材２を備えている。図示しないが、ベルト基材２内には、補強用の鋼撚り線が多数長手方向に埋め込まれている。ベルト基材２の一方の面には、図示しない駆動用のプーリーに係合する多数の短尺方向の係合突条３を備えている。ベルト基材２の他方の面には、磁石保持体４とヨーク５とを介して多数の磁石片６が固着されている。
【０００８】
磁石保持体４は、ベルト基材２と同質の合成樹脂製で、ヨーク５と磁石片６とを保持し、ベルト基材２の長手方向に相互間隔をおいて短尺方向に延びるように多数固着されている。磁石保持体４は、ベルト基材２の反対面にある係合突条３に重なる位置に配置され、ベルト基材２に溶着されている。
【０００９】
ヨーク５は、底板部７と、これから直角に起立した平行一対の吸着片８とを備えている。底板部７には、ねじ筒９が、吸着片８と反対方向へ直角に延出するように溶着されている。ヨーク５は、インサート成型により、磁石保持体４と一体に構成されている。底板部７の上に磁石片６を接着した後、吸着片８，８間にポリウレタン樹脂の充填物１０を充填して、磁石保持体４、ヨーク５、磁石片６の３者が一体化される。
【００１０】
ベルト基材２には、各係合突条３の上にねじ受け凹所１１と、それの中央部から反対面側へ貫通する貫通孔１２とを有する。貫通孔１２には、ヨーク５のねじ筒９が挿入され、ねじ筒９の端部はねじ受け凹所１１に達している。
【００１１】
ボルト１３は、ねじ受け凹所１１に頭部が没するように、座金１４を介してねじ筒１１に螺合される。ボルト１３によって、磁石保持体４もろともヨーク５をベルト基材２に固定している。ボルト１３を固定した後、凹所１１にもポリウレタン樹脂のを充填物１５が充填される。
【００１２】
この実施例の磁石ベルト１は、例えば磁石ベルト輸送システムにおける車両上の動力につながるプーリに掛け回して用いられる。ベルト基材２の裏側の係合突条３をプーリの外周の歯に係合させる。各係合突条３と同一位置に磁石保持体４が設けられているから、磁石片６が係合突条３と同数になる。ボルト１３は係合突３条内に頭部を埋め込んで螺合されるから、プーリとベルト１との係合に支障を来すことがなく、係合突条３の数も制限されない。従って、プーリーの駆動力を効率よく円滑に磁石ベルト１に伝えることができる。
【００１３】
【発明の効果】
以上のように、本発明においては、一方の面にプーリーに係合する多数の係合突条３を備えた熱可塑性合成樹脂製のベルト基材２と、このベルト基材２と同質の合成樹脂製で、ベルト基材２の他方の面に多数固着される磁石保持体４と、この磁石保持体４に固定されるヨーク５と、このヨーク５上に固定される磁石片６とを具備させて磁石ベルト１構成し、磁石保持体４を、ベルト基材２の係合突条３に重なる位置に配置し、ねじ筒９をヨーク５から延出させ、磁石保持体４及びベルト基材２を貫通し、係合突条３に形成されたねじ受け凹所１１に達するように設け、このねじ受け凹所１１に頭部が没するように、ねじ筒９にボルト１３を螺合することによって、ヨーク５をベルト基材２に固定したため、プーリーに係合する面にボルトが突出せず、磁石を可及的に密に取付けることができ、またプーリーの係合歯の数も制限されない磁石ベルトを提供することができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図１】磁石ベルトの断面図である。
【図２】図１におけるＩＩ−ＩＩ断面図である。
【図３】充填物を充填する前の磁石ベルトの一部の底面図である。
【図４】磁石ベルトの斜視図である。
【図５】従来の磁石ベルトの斜視図である。
【符号の説明】
１ 磁石ベルト
２ ベルト基材
３ 係合突条
４ 磁石保持体
５ ヨーク
６ 磁石片
９ ねじ筒
１１ ねじ受け凹所
１３ ボルト

Claims (2)

1. 一方の面にプーリーに係合する多数の短尺方向の係合突条を備えた熱可塑性合成樹脂製のベルト基材と、
   このベルト基材と同質の合成樹脂製で、ベルト基材の他方の面に長手方向に相互間隔をおいて短尺方向に延びるように多数固着される磁石保持体と、
   この磁石保持体に固定されるヨークと、
   このヨーク上に固定される磁石片とを具備した磁石ベルトにおいて、
   前記磁石保持体が、前記ベルト基材の係合突条に重なる位置に配置され、
   前記ヨークから延出し、前記磁石保持体及びベルト基材を貫通し、前記係合突条に形成されたねじ受け凹所に達するねじ筒が設けられ、
   前記ねじ受け凹所に頭部が没するように、ねじ筒に螺合されことによってヨークをベルト基材に固定するボルトとを具備したことを特徴とする磁石ベルト。
2. 前記磁石保持体が、前記ベルト基材に溶着されていることを特徴とする請求項１に記載の磁石ベルト。

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