JP3569366B2 - 液晶装置及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶装置及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の液晶装置としては種々の液晶の電気光学的効果を利用した様々な駆動方式の装置があるが、いずれも2枚の基板を所定の間隔に保持した状態で、基板間に液晶層を封入し、この液晶層の表裏に形成した画素領域に対応して形成された電極に所定の駆動電圧を印加することにより、液晶層の配向状態の変化や相変化に基づいて画素領域毎に偏光特性、散乱特性、着色特性、光屈折特性等を変化させ、所望の表示を実現するようになっている。
【0003】
また、これらの液晶装置の表示をカラー化する方法にも様々な方式があり、例えば、複屈折制御(ECB:Electrically ControlledBirefringence)モードを用いて印加電圧により色調を変えるもの、RGBの3原色のカラーフィルタを用いて階調制御により色調を実現するもの等がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の液晶装置においては、液晶層自体は2枚の基板間に一体的に封入されているため、各画素領域毎に電極により所定の電圧を印加しても、画素領域間において全く独立の電界を印加することはできず、必ず周囲の構造的、電界的な影響を受けることとなる。特に、液晶層の周縁部においては横電界の影響を受けるため、液晶層の中心部にある画素領域とは駆動特性や光学特性が異なってしまうという問題点があった。
【0005】
この問題点を回避するために、従来は、液晶セルの周縁部の一定部分をブラックマスクによって遮蔽し、表示態様に大きな差が出ない中央の領域部分のみを用いるという方法が採用されていた。しかし、この方法においては液晶セル面積の利用効率が悪いため、製造コストを増加させるとともにスペース効率も悪いという欠点がある。
【0006】
また、カラー反射型液晶表示体においては、上記ECBモードを用いる場合には、駆動電圧のマージンが狭く、色純度も悪く、表示色も制限されるという問題点がある。一方、カラーフィルタを用いる場合には、フィルタを介して光を発するために表示が暗く、視認性に劣るという問題点がある。
【0007】
そこで本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、液晶セル内における画素領域の横電界の影響を低減するとともに、多くの表示色を明るく表示することの可能な液晶装置及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の液晶装置の製造方法は、2枚の基板間に液晶を封入した液晶装置の製造方法であって、一方の基板表面に一つの走査ライン又はデータライン毎に対応した溝を形成し、該溝内に一方の電極を形成し、他方の基板上に他方の電極を形成し、前記溝内にインクジェット方式により前記液晶を充填した後、前記一方の基板と前記他方の基板とを貼り合わせることで前記溝内の一方の電極と前記他方の電極との間に前記液晶を配置させることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の液晶装置の製造方法は、2枚の基板間に液晶を封入した液晶装置の製造方法であって、一方の基板表面に一つの画素領域毎に対応した凹部を形成し、該凹部内に一方の電極を形成し、他方の基板上に他方の電極を形成し、前記凹部内にインクジェット方式により前記液晶を充填した後、前記一方の基板と前記他方の基板とを貼り合わせることで前記凹部内の一方の電極と前記絶縁膜を介した前記他方の電極との間に前記液晶を配置させることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、添付図面を参照して本発明に係る液晶装置の実施形態を説明する。
【0016】
図1に示すものは本発明に係る第1の実施形態である。基板10は鏡面加工されたシリコンウエハの表面を公知の異方性ウエットエッチングや反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)等のドライエッチングにより加工して、図の紙面と垂直方向に伸びる多数並列した凹溝11を形成したものである。各凹溝11の間には隔壁12が形成されている。この基板10は基本的には絶縁性基板により形成されているが、必要に応じて絶縁性を高めるために凹溝11の形成側の表面に酸化膜等を形成して、表面の絶縁性を確保する。
【0017】
各凹溝11の底面上にはAl、Cr、或いはその他の合金等から成る金属電極13が形成され、凹溝11の延伸方向に沿ってストライプ状に伸びている。基板10の表面上には、内面上にITO(Indium Tin Oxide)等から成る透明電極14が被着された透明基板15が接合されている。この接合方法は、加熱による溶着やシール材を介した接着等により施される。
【0018】
各凹溝11の内部にはそれぞれ表示体層16が封入されている。この表示体層16として各種液晶が用いられるが、必要に応じて2色性色素、高分子粒子その他の添加物が含まれる。
【0019】
また、金属電極13の表面上及び透明電極14の表面上には、表示体層16内の液晶等を配向させる場合、所望のツイスト角を付与する場合に、それぞれ所定方向にラビング処理等の配向処理を施した配向膜が形成される場合もある。
【0020】
各凹溝11内に封入された表示体層16には全て同一の材質が用いられる場合もあるが、特にカラー液晶表示体として構成する場合には、例えば隣接する3つの凹溝11毎に所定の赤、青、グリーン等の着色状態を実現できる異なる3種の材質を用いる。
【0021】
例えば、表示体層としてゲスト・ホスト型の液晶層を用いる場合や高分子分散型の液晶層を用いる場合には、2色性色素の種類を隣接した複数の凹溝11で異なった色調を発現できるように選択して添加する。
【0022】
また、表示体層としてPSCT(ポリマースタビライズドコレステリック相転移)モードの液晶層を用いる場合には、隣接する凹溝11で異なった選択反射色が得られるように、ヘリカルピッチ等を変えた液晶層を封入する。
【0023】
なお、図1にはマトリクス型液晶パネルを形成するための構造を示したが、この液晶パネルの各画素には、MIM(Metal Insulator Metal)素子やTFT(Thin Film Transistor)等のアクティブ素子を設けてもよく、この場合、各アクティブ素子は透明基板15の内面上に設けることができる。
【0024】
上記実施形態においては、走査ライン又はデータライン毎に隔壁を隔てた凹溝に表示体層が収容されているため、隔壁によって横電界を遮断或いは低減することが可能であるから、液晶パネルの周縁部における表示特性の劣化した領域をなくすことが可能であり、ブラックマスクが不要になり、表示面積を増大することができる。なお、上記の横方向の電界遮蔽を確実にするためには、例えば基板10の隔壁を、ドーピング等を施した導電性領域の表面に絶縁膜を被覆した構造とすることも考えられる。
【0025】
また、カラー表示を行う表示体を構成する場合には、隣接する複数の凹溝毎に異なる着色状態を呈する表示体層を封入すればよい。例えば、隣接する凹溝に3原色のそれぞれの着色状態を呈する2色性色素を配合することにより、カラーフィルタが不要なために明るく、しかも色調が多く、制御の容易なカラー表示を実現することができる。
【0026】
図2は、本発明に係る第2の実施形態を示すものである。この実施形態においては、石英その他のガラス製の透明基板20の表面を沸酸処理等のウエットエッチング、或いはCF ガスによる反応性イオンエッチング等のドライエッチングにより、平面正方形の凹部21を縦横に配列した状態に形成する。各凹部21の底面には透明電極23が形成される。また、凹部21を隔てる隔壁22の上面及び側面には、各透明電極間の接続若しくは透明電極と配線との間の接続を行う接続金属層24が形成される。
【0027】
一方、透明基板25の内面上には凹部21に対応して透明電極26が形成され、さらにその表面に絶縁層27が被着されている。この絶縁層27は、透明電極26と接続金属層24との絶縁を行うためのものである。なお、絶縁層27を透明基板20と透明基板25との貼り合わせのための接着層として兼用できるように、接着性を備えた樹脂材を用いて形成してもよい。
【0028】
上記実施形態は透過型の液晶表示装置を構成するためのものであるが、例えば透明電極26の代わりに反射板を兼ねた金属電極を形成することにより反射型の液晶表示装置として構成できる。
【0029】
このような構造の液晶セルに上述と同様の液晶を含む表示体層28を入れ、透明基板20と透明基板25とを接合する。この構造では、凹部21が画素領域毎に形成されているため、凹部21の形状や配列パターン、及び接続金属層24の接続パターンを変えることにより、種々の液晶表示を実現できる。
【0030】
図3は、上記第1及び第2の実施形態における基板10の凹溝11又は透明基板20の凹部21の底面に金属電極13又は透明電極23を形成した後、凹溝11又は凹部21内に表示体層16又は表示体層28を封入する方法を示すものである。
【0031】
図3に示す方法は、インクジェット方式のプリンタヘッドと同一構造の液晶導入ヘッド30をXY方向に走査可能に構成し、水平に配置された基板10又は透明基板20の表面に配列された凹溝11又は凹部21の内部に、表示体層の液晶溶液をノズル31を介して割り付けていくものである。
【0032】
ここで、液晶導入ヘッドの液晶溶液を吐出する方法は、圧電素子を用いたもの、加熱気泡を用いたもの等、公知の種々の方式を用いることができる。ただし、加熱時等には液晶の耐熱性を考慮する必要がある。また、カラー表示を実現するために複数種類の液晶溶液を表示体層とする場合には、溶液の種類と同数のヘッドが必要となる。
【0033】
この場合、各凹溝又は凹部内に充填する溶液量は公知のインクジェット方式における制御技術により正確に調整でき、また、高精細な表示パネルに対する高密度に形成された各凹溝又は凹部内にも確実に溶液を吐出させることができる。
【0034】
このように、インクジェット方式の液晶導入ヘッドを用いることにより、正確かつ確実に表示体層を形成できるとともに、製造コスト、製造時間の増加を抑制することが可能であり、このような凹部形状を備えた液晶パネルの製造にとってきわめて有効な方法である。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、以下の効果を奏する。
【0036】
凹部内に液晶層を充填し、画素領域毎に基板の素材で形成された隔壁により分断されているため、各画素領域に影響を与える横電界の作用を低減することができるとともに、それぞれの凹部内に異なった着色状態を呈する液晶層を導入することにより、明るく、あざやかな多色表示が可能で、制御の容易なカラー表示をフィルタなしで実現することができる。
【0037】
また、画素領域毎に凹部を設ける必要がないため、凹部の形成が容易になる。
【0038】
さらに、凹部毎にインクジェットヘッドから所定量の液晶を吐出させることにより、確実かつ迅速に液晶装置を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液晶装置の第1の実施形態を示す拡大断面図(a)及び概略平面図(b)である。
【図2】本発明に係る液晶装置の第2の実施形態を示す拡大断面図(a)及び概略平面図(b)である。
【図3】上記各実施形態を製造するための方法を示す概略説明図である。

Claims (2)

  1. 2枚の基板間に液晶を封入した液晶装置の製造方法であって、一方の基板表面に一つの走査ライン又はデータライン毎に対応した溝を形成し、該溝内に一方の電極を形成し、他方の基板上に他方の電極を形成し、前記溝内にインクジェット方式により前記液晶を充填した後、前記一方の基板と前記他方の基板とを貼り合わせることで前記溝内の一方の電極と前記他方の電極との間に前記液晶を配置させることを特徴とする液晶装置の製造方法。
  2. 2枚の基板間に液晶を封入した液晶装置の製造方法であって、一方の基板表面に一つの画素領域毎に対応した凹部を形成し、該凹部内に一方の電極を形成し、他方の基板上に他方の電極を形成し、前記凹部内にインクジェット方式により前記液晶を充填した後、前記一方の基板と前記他方の基板とを貼り合わせることで前記凹部内の一方の電極と前記絶縁膜を介した前記他方の電極との間に前記液晶を配置させることを特徴とする液晶装置の製造方法。
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