JP3569249B2 - ポットリベットシールド型トリガコイル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ポットリベットシールド型トリガコイルに関し、特に、カメラの如き光学機器に使用されるストロボを構成するポットリベットシールド型トリガコイルに関する。
【0002】
【従来の技術】
図3はストロボを説明する図である。
30は変圧巻線を示す。変圧巻線30は、カメラの如き光学機器に使用されるストロボを構成する高電圧発生用の変圧巻線である。63はトリガコンデンサ、61はオフサイリスタ、64はストロボ発光部を構成するキセノン管、65はメインコンデンサ、62は限流抵抗である。図8において、オフサイリスタ61と限流抵抗62より成る直列接続回路には、オフサイリスタ61のカソードを接地電位として図示されない電源トランスの出力が印加されている。ここで、オフサイリスタ61は、定状状態においては非導通の状態にある。トリガコンデンサ63と変圧巻線30の1次巻線38とは直列接続し、直列接続回路は限流抵抗62とオフサイリスタ61のカソードの相互接続点と接地との間に接続している。641はキセノン管64の近傍に配置される高電圧極板である。高電圧極板641は変圧巻線30の2次巻線39の一方の端子に接続し、この2次巻線39の他方の端子は接地している。キセノン管64には、そのカソードを接地電位として電源トランスの出力が印加されている。キセノン管64にはメインコンデンサ65が並列接続している。
【0003】
ストロボの定状状態において、トリガコンデンサ63は、電源トランスから限流抵抗62、トリガコンデンサ63、1次巻線38、接地という経路を介して充電された状態にあるる。ここで、オフサイリスタ61の制御電極にトリガ電圧を印加すると、その瞬間にアノードとカソードの間は導通し、これを介してトリガコンデンサ63は急速に放電して、変圧巻線30の1次巻線38に1次電流が発生流通する。1次巻線38の1次電流により、変圧巻線30の2次巻線39には高電圧が誘起され、この高電圧は高電圧極板641とキセノン管64のカソードの間に印加され、これによりキセノン管64は点弧する。キセノン管64は、点弧したところでメインコンデンサ65から急速に供給される放電電流により発光するに到る。なお、電源トランスの出力電圧は300v程度であり、この300vの出力電圧は変圧巻線30において5000vないし7000vの高電圧に昇圧される。
【0004】
ここで、トリガコイルの従来例を図4を参照して説明する。図4(a)はトリガコイルの従来例の斜視図、図4(b)は図4(a)の線a−a’に沿った軸方向断面を矢印方向に視た図である。
7は合成樹脂材料より成るボビンを示す。ボビン7は上側鍔部71および下側鍔部72と、両鍔部を連結する中心円筒部73より成る。30は銅線をボビン7の中心円筒部73に捲回して形成された巻線を示す。4は1対の低圧の端子を示す。端子4は断面コ字型の取り付け部44、取り付け部44から一体的に延伸形成される巻線接続部45より成る。1対の端子4は、断面コ字型の取り付け部44を下側鍔部72に互いに対向して嵌合固定される。9は高圧ピンを示す。高圧ピン9は、上側鍔部71と一体に形成される取り付け段部91に固定され、これを介してボビン7に取り付けられる。8は棒状コアを示す。棒状コア8は、フェライト微粉末を金型に充填加圧成型し、これを高温において焼成することにより構成される。棒状コア8は上側鍔部71と下側鍔部72とを連結する中心円筒部73に嵌合固定される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
以上のトリガコイルの従来例は、1対の低圧の端子4はボビン7の下側鍔部72に取り付け固定されているが、高圧ピン9は共通端子4’との間の放電の恐れを解消する見地からボビン7の上側鍔部71に取り付け固定されているので、トリガコイルを配線基板に実装するに際してリフローにより一挙に半田付けを実施することができず、高圧ピン9は別途配線基板に半田付けする必要があった。
そして、トリガコイルの従来例は、一般に、オープン構造であるところから、近接して配列される外部回路および部品に対する雑音のレベルが高く、動作に悪影響を与えるものであった。その上に、必要な高電圧を得るに、巻線ターン数を多くする必要がある。或る限られた領域に多くの巻線を形成するには、巻線する銅線として細線を使用しなければならない。捲き線を実施するに際して使用する銅線が細くなる程、捲回の困難度は高まり、製造コストは増大する。
【0006】
また、高圧ピンをボビンの取り付け段部91に挿入してこれを高圧端子としているところから、充分に水平を保持して取り付けることは困難であり、高圧端子平坦度にも問題が生ずる。
この発明は、上述の問題を解消したポットリベットシールド型トリガコイルを提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1:底板10と底板10と一体的にその中心部に立設される磁芯部11と底板10と一体的にその周縁部近傍に立設される沿面経路形成壁12とより成るリベット型コア1を具備し、頂壁21および頂壁21と一体に構成された側壁22より成るポット型コア2を具備し、上側鍔部71および下側鍔部72と両鍔部を連結する中心円筒部73とより成るボビン7に1次巻線38および2次巻線39を捲回構成して磁芯部11に嵌合した変圧巻線30を具備し、リベット型コア1の底板10の周縁部に嵌合固定される端子4および共通端子4’を具備し、端子4および共通端子4’が嵌合固定される底板10の周縁部に対向する沿面経路形成壁12が形成される周縁部に嵌合固定される高圧端子9を具備するポットリベットシールド型トリガコイルを構成した。
【0008】
そして、請求項2:請求項1に記載されるポットリベットシールド型トリガコイルにおいて、端子4および共通端子4’は断面コ字型の取り付け部44と取り付け部44から一体的に延伸形成される巻線接続部45より成り、1次巻線の端末部380を端子4の巻線接続部45および共通端子4’の巻線接続部45にカラゲ仮止めして半田付けし、高圧端子9は断面コ字型の取り付け部99と取り付け部99から上向きに一体的に延伸形成される巻線接続部90より成り、2次巻線の端末部390を高圧端子9の巻線接続部90および共通端子4’の巻線接続部45にカラゲ仮止めして半田付けしたポットリベットシールド型トリガコイルを構成した。
【0009】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を図1および図2の実施例を参照して説明する。図1(a)は実施例の斜視図、図1(b)は図1(a)のa−a’線に沿った縦方向断面を矢印の向きに視た図、図1(c)は図1(a)を下から視た図である。図2(a)はポット型コアの斜視図、図2(b)はボビンに捲回されたコイルの斜視図、図2(c)はリベット型コアと低圧端子および高圧端子の斜視図、図2(d)はポット型コア、ボビンに捲回されたコイル、リベット型コア、低圧端子および高圧端子を組み立てた構成したシールド型トリガコイルの断面を示す図である。
【0010】
フェライトより成るリベット型コア1は、角型の底板10と、底板10と一体的にその中心部に立設される磁芯部11と、底板10と一体的にその周縁部近傍に立設される沿面経路形成壁12とより成る。磁芯部11の高さはポット型コア2の側壁2内面の高さと比較して低くして、ポット型コア2の頂壁21の内表面とリベット型コアの磁芯部11の端面との間に磁路のギャップを形成している。このギャップを調整してコイルのインダクタンスを設定する。リベット型コア1も、フェライト微粉末を金型に充填加圧し、底板10と磁芯部11と沿面経路形成壁12とを一体に成型する。フェライト微粉末より成るリベット型コアの加圧成型体は、次いで、高温において焼成されてリベット型コア1が構成される。
【0011】
2はフェライトより成る角型のポット型コアを示す。21は角型のポット型コア2の頂壁を示す。22はポット型コア2の側壁を示す。側壁22の開口端部には、1対の切り欠き221が形成されている。1対の切り欠き221が形成される側壁22に対向する側壁22の開口端部にはその中央部に1個の切り欠き222が形成されている。ポット型コア2も、フェライト微粉末を金型に充填加圧、成型する。このフェライト微粉末より成るポット型コア2の加圧成型体は、次いで、高温において焼成されてフェライトのポット型コア2が構成される。
【0012】
7は合成樹脂材料より成るボビンを示す。ボビン7は上側鍔部71および下側鍔部72と、両鍔部を連結する中心円筒部73より成る。
30は銅線をボビン7の中心円筒部73に捲回して形成された巻線を示す。詳細な図示説明は省略するが、変圧巻線30は先の図3に示される1次巻線38および2次巻線39より成る。380は1次巻線38の端末部を示し、390は2次巻線39の端末部を示す。変圧巻線30は必要とされる2次電圧に対応したターン数を捲回して形成されている。
【0013】
4は端子であり、断面コ字型の取り付け部44、取り付け部44から一体的に延伸形成される巻線接続部45より成る。共通端子4’は、端子4と同様に断面コ字型の取り付け部44、取り付け部44から一体的に延伸形成される巻線接続部45より成る。9は高圧端子であり、断面コ字型の取り付け部99、取り付け部99から上向きに一体的に延伸形成される巻線接続部90より成る。
ここで、シールド型トリガコイルの組み立て方について説明する。
▲1▼ リベット型コア1の角型底板10の周縁部に、端子4および共通端子4’を断面コ字型の取り付け部44を嵌合することにより固定する。ここで、高圧端子9は、端子4および共通端子4’が取り付けられる角型底板10の周縁部に対向する沿面経路形成壁12が形成される周縁部に、断面コ字型の取り付け部99を嵌合することにより固定する。この嵌合固定に際して、ポット型コア2の側壁に形成される1対の切り欠き221の位置および切り欠き222の位置に留意する。
【0014】
▲2▼ リベット型コア1の磁芯部11に、銅線をボビン7の中心円筒部73に捲回して形成された巻線30を、中心円筒部73を嵌合して一体化する。
▲3▼ 次いで、巻線30の1次巻線の端末部380を端子4の巻線接続部45および共通端子4’の巻線接続部45にカラゲ仮止めして半田付けする。同様に、2次巻線の端末部390を高圧端子9の巻線接続部90および共通端子4’の巻線接続部45にカラゲ仮止めして半田付けする。
▲4▼ ポット型コア2の開口周端面とリベット型コア1の底板10の表面にエポキシ系合成樹脂接着剤を施し、両者間を接合固定する。
【0015】
【発明の効果】
以上の通りであって、この発明によれば、ストロボの如く高電圧を発生するに必要とされるトリガコイルをポットリベットコアに巻線を施して構成したシールド型トリガコイルとすることにより、近接して配列される外部回路および部品に悪影響を与える雑音を低減すると共に、トリガコイルをシールド型トリガコイルとすることによりより少ない巻線数で必要とされる高電圧を得ることができる。そして、高圧2次巻線の端末部390が接続される高圧端子9と変圧巻線30との間に沿面経路形成壁12を介在させ、高圧端子9と高圧2次巻線の他方の端子である共通端子4’との間の沿面距離を増大したことにより、高圧端子9をも低電圧の端子4および共通端子4’の形成される面と共通する面に取り付け固定して両者の間の幾何学的距離を小さく設定してもも、高圧端子9と共通端子4’との間に沿面放電の発生する恐れは解消される。高圧端子9と低電圧の端子4および共通端子4’の3者を共通面であるリベット型コア1の底板10に取り付け固定する構成を採用することにより、リフローによる半田付けを実施することができるに到る。
【0016】
また、端子4および共通端子4’は断面コ字型の取り付け部44と取り付け部44から一体的に延伸形成される巻線接続部45より成り、1次巻線の端末部380を端子4の巻線接続部45および共通端子4’の巻線接続部45にカラゲ仮止めして半田付けし、高圧端子9は断面コ字型の取り付け部99と取り付け部99から上向きに一体的に延伸形成される巻線接続部90より成り、2次巻線の端末部390を高圧端子9の巻線接続部90および共通端子4’の巻線接続部45にカラゲ仮止めして半田付けした。これにより、高圧端子に充分に端子平坦度を付与すると共に、高圧端子9と低電圧の端子4および共通端子4’の3者を共通面であるリベット型コア1の底板10に取り付け固定されることにより、リフローによる半田付けを容易に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例を説明する斜視図および断面図。
【図2】実施例の分解斜視図および断面図。
【図3】ストロボを説明する図。
【図4】従来例の分解斜視図および断面図。
【符号の説明】
1 リベット型コア 10 底板
11 磁芯部 12 沿面経路形成壁
2 ポット型コア 21 頂壁
22 側壁 30 変圧巻線
4 端子 4’共通端子
7 ボビン 71 上側鍔部
72 下側鍔部 73 中心円筒部
9 高圧端子
Claims (2)
- 底板と底板と一体的にその中心部に立設される磁芯部と底板と一体的にその周縁部近傍に立設される沿面経路形成壁とより成るリベット型コアを具備し、
頂壁および頂壁と一体に構成された側壁より成るポット型コアを具備し、
上側鍔部および下側鍔部と両鍔部を連結する中心円筒部とより成るボビンに1次巻線および2次巻線を捲回構成して磁芯部に嵌合した変圧巻線を具備し、
リベット型コアの底板周縁部に嵌合固定される端子および共通端子を具備し、端子および共通端子が嵌合固定される底板の周縁部に対向する沿面経路形成壁が形成される周縁部に嵌合固定される高圧端子を具備することを特徴とするポットリベットシールド型トリガコイル。 - 請求項1に記載されるポットリベットシールド型トリガコイルにおいて、
端子および共通端子は断面コ字型の取り付け部と取り付け部から一体的に延伸形成される巻線接続部より成り、1次巻線の端末部を端子の巻線接続部および共通端子の巻線接続部にカラゲ仮止めして半田付けし、
高圧端子は断面コ字型の取り付け部と取り付け部から上向きに一体的に延伸形成される巻線接続部より成り、2次巻線の端末部を高圧端子の巻線接続部および共通端子の巻線接続部にカラゲ仮止めして半田付けしたことを特徴とするポットリベットシールド型トリガコイル。
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2001
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