JP3568243B2 - ジアルキルテトラリンの製造方法 - Google Patents

ジアルキルテトラリンの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、アルケニルベンゼンを環化反応させることにより、ジアルキルテトラリンを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
ジアルキルテトラリンは、高分子材料や医薬材料の原料として広範な用途を持っている。特に、1,5−ジメチルテトラリンを脱水素して得られる1,5−ジメチルナフタレンは、異性化工程を経て工業的に有用な2,6−ナフタレンジカルボン酸の原料である2,6−ジメチルナフタレンに変換することができる。
【0003】
ところで、ジメチルナフタレンは、石油または石炭から誘導された製油所ストリーム中に、分離するのが困難で費用のかかる異性体混合物として存在する。
したがって、特定のジメチルナフタレンを単独で、あるいは他の1種または2種の特定の異性体との混合物として製造するための技術が切望されている。
【0004】
1つの有望な方法として、1種以上のアルケニルベンゼンを、その相当するジアルキルテトラリンに接触環化し、次いでこの環化物を脱水素化して、その相当するジアルキルナフタレにすることが挙げられる。
このようなジアルキルナフタレン、例えば1,5−ジメチルナフタレンは、異性化によって1,6−体および2,6−体との3種のみの混合物となり、容易に2,6−ジメチルナフタレンを分離精製することができる。
【0005】
一方、アルケニルベンゼンからジメチルナフタレンを合成する方法としては、固体リン酸触媒を用い、100〜350℃の温度で接触させる方法(特公昭50−12430号公報)が提案されている。
しかし、この方法では、テトラリン選択性が高く、比較的安定した触媒活性が得られるものの、溶出したリン酸成分による生成物の汚れが発生したり、あるいは装置腐食を防止するために高価な材質製の装置の使用が余儀なくされるという問題がある。
【0006】
また、シリカ・アルミナ、シリカ・マグネシア、シリカ・アルミナ・ジルコニア等の固体酸を触媒とする方法(USP3,244,758号、同3,775,496号、同3,775,497号、同3,775,498号、同3,775,500号明細書)が提案されている。
これらは、いずれも高い転化率を示すものの、目的生成物の選択率は低く、必ずしも満足するものではなかった。
【0007】
本発明は、以上の従来技術の問題を解決して、触媒の溶出がなく、しかも転化率および目的生成物の選択率が高いアルケニルベンゼンからのジアルキルテトラリンの製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の目的を達成するために検討を重ねたところ、固体超強酸または周期律表第VIII族元素を含有させた固体超強酸の存在下で、アルケニルベンゼンを反応させると、緩和な反応条件下で、したがって触媒の溶出等の問題は生ぜず、しかも高選択的にジアルキルテトラリンが生成して来ることを見出し、本発明を提案するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、固体超強酸または周期律表第VIII族元素(以下、単にVIII族元素と記す)を含有させた固体超強酸の存在下において、一般式(1)で示されるアルケニルベンゼンを接触環化してジメチルテトラリンを製造する方法を要旨とする。
【0010】
【化2】
Figure 0003568243
【0011】
式(1)中、Rは水素、メチル、エチルおよびイソプロピルからなる群から選ばれる1員であり、Rは水素およびメチルからなる群から選ばれる1員であり、Rは−CH=CH−CHおよび−CH−CH=CHからなる群から選ばれるアルケニル基である。
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の出発原料は、上記一般式(1)で示されるアルケニル基(R)を有する置換ベンゼン類(アルケニルベンゼン)である。
例として、o−トリル−2−ペンテン、o−トリル−1−ペンテン、m−トリ−2−ペンテン、m−トリル−1−ペンテン等が挙げられる。
【0013】
本発明では、これらアルケニル基を有する置換ベンゼン類が上記の触媒の存在下で反応し、置換基がベンゼン環と結合してテトラリン環を形成する。
【0014】
上記の出発原料は、それぞれ単独で、またはアルケニルベンゼン類の混合物の形態で用いてもよいし、あるいは有機溶媒で希釈して用いても構わない。
この溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、ヘプタン、ヘキサン等の飽和脂肪族炭化水素等が挙げられる。
【0015】
本発明における触媒は、固体超強酸と呼ばれるものであり、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、ハフニウム、珪素、ゲルマニウム、スズ、マグネシウム、カルシウム等の酸化物または水酸化物に硫酸根を含有させたものを指す。
【0016】
固体超強酸とは、一般には100%硫酸より強い酸と定義される(「超強酸・超塩基」田部浩三,野依良治共著、講談社サイエンティフィック(1980)参照)。一方、固体酸強度は、ベンゼン溶媒中でのハメット指示薬を用いた滴定法により決定することができ、本発明では、このハメット指示薬のPKa値が−5.6以下のもの、好ましくは硫酸のPKa値−11.93未満、すなわち硫酸の酸強度より高いものを固体超強酸とする。
【0017】
この触媒の調製方法は、一般に、上記の酸化物または水酸化物に、硫酸根を含有する処理剤を混入し、その後焼成を行う方法が採用される。
【0018】
上記の硫酸根を含有する処理剤は、通常は、0.01〜10N、好ましくは0.1〜5Nの硫酸、あるいは0.1〜10モル濃度の硫酸アンモニウム等を、触媒(上記の酸化物または水酸化物)重量あたり1〜10倍量使用する。
この他に、焼成処理中に硫酸根を生成するような処理剤、例えば、硫化水素、亜硫酸ガス等を使用してもよく、これら処理剤の使用量は、上記の硫酸や硫酸アンモニウム等を使用する場合における硫酸根の量と同程度となるようにすればよい。
【0019】
上記の処理剤を混入させた後の焼成は、450〜800℃、好ましくは500〜650℃にて、酸化雰囲気下で、0.5〜10時間の焼成を行って、安定化処理することが必要である。
この焼成安定化処理を還元雰囲気下で行えば、硫酸根の結合状態の変化あるいは還元分解等によると思われる原因によって、触媒活性の大幅な低下が起こり、好ましくない。
【0020】
このような焼成を行った後、そのまま本発明における環化反応の触媒として用いることができるが、これにVIII族元素を含有させたものも使用することができる。
VIII族金元素の導入は、硫酸根を含有させる前に行ってもよいし、後に行っても問題はない。
【0021】
VIII族元素は、白金、ニッケル、鉄、コバルト、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウムおよびイリジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属あるいはその化合物を指し、これらはいずれも通常の含浸法、イオン交換法等の手法にて、上記の焼成後の固体超強酸(担体)に導入(担持)することができる。
白金を例にとれば、塩化白金酸、テトラアンミン白金錯体等の水溶液の形で担持することができる。
【0022】
VIII族金属の含有量は、担体に対して0.1〜10重量%が好ましく、さらに好ましくは0.5〜5重量%である。
【0023】
本発明において、上記の触媒を用いて上記のアルケニルベンゼンの環化反応を行う場合、その反応方式には特に制限はなく、バッチ法、連続法、その他、いずれも採用できる。
反応装置にも特に制限はなく、移動床、固定床、流動床、その他、いずれも採用できる。ただし、操作性の面からは、固定床流通式によるものが好ましい。
【0024】
上記触媒の使用量は、バッチ法で行う場合について言えば、アルケニルベンゼンに対して0.1〜10重量%、好ましくは0.3〜3重量%が適している。ただし、所望ならば、これより多量であっても少量であってもよく、また他の反応方式で行う場合には、これを目安にして適宜決定すればよい。
反応温度は、−50℃〜300℃、好ましくは0〜200℃、さらに好ましくは常温〜150℃である。
反応圧力は、常圧〜100kg/cm、好ましくは常圧〜50kg/cm、さらに好ましくは常圧〜20kg/cmである。
そして、固定床流通式の場合、WHSVは、0.001〜100/h、好ましくは0.01〜50/h、さらに好ましくは0.05〜20/hである。
【0025】
なお、本発明において、環化反応(脱水素を伴う)により生成する水素が、原料のアルケニルベンゼンを水素化する反応の併発を防ぐために、不活性ガスを共存させるのが好ましい。
この不活性ガスとしては、窒素、スチーム、炭酸ガス等が挙げられる。
【0026】
【実施例】
〔触媒の調整〕
(1)ジルコニア固体酸触媒の調製:
市販のオキシ塩化ジルコニウム900重量部を純水7000重量部に溶解し、これに適当量のアンモニア水を加えてpHを10とした。
生成した沈澱物を、一昼夜熟成し、ろ過、洗浄、乾燥を行い、Zr(OH)の白色粉末300gを得た。
【0027】
この白色粉末を1N硫酸650重量部に導入し、過剰の硫酸をろ過した後、110℃で乾燥し、600℃で3時間焼成を行い、触媒Aを得た。
触媒Aについて、ベンゼン溶媒中でのハメット指示薬を用いた滴定法により、固体酸強度を測定し、結果を表1に示す。
【0028】
(2)チタニア固体酸触媒の調製:
市販の四塩化チタン500重量部を純水800重量部に溶解し、これに適当量のアンモニア水を加えてpHを10とした。
生成した沈殿物を、一昼夜熟成し、ろ過し、Ti(OH)の白色粉末150重量部を得た。
【0029】
この白色粉末を1モル濃度の硫酸アンモニウム水溶液500重量部に導入し、過剰の硫酸アンモニウム水溶液をろ過した後、110℃で乾燥し、600℃で3時間焼成を行い、触媒Bを得た。
触媒Bについて、(1)と同様にして固体酸強度を測定し、結果を表1に示す。
【0030】
(3)アルミナ固体酸触媒の調製:
市販の硝酸アルミニウム700重量部を純水950重量部に溶解し、これに適当量のアンモニア水を加えてpHを10とした。
生成した沈澱物を、一昼夜熟成し、ろ過、乾燥し、Al(OH)の白色粉末220重量部を得た。
【0031】
この白色粉末を2モル濃度の硫酸アンモニウム水溶液500重量部に導入し、過剰の硫酸アンモニウム水溶液をろ過した後、110℃で乾燥し、600℃で3時間焼成を行い、触媒Cを得た。
触媒Cについて、(1)と同様にして固体酸強度を測定し、結果を表1に示す。
【0032】
(4)白金含有ジルコニア固体酸触媒の調製:
市販のオキシ塩化ジルコニウム900重量部を純水7000重量部に溶解し、これに適当量のアンモニア水を加えてpHを10とした。
生成した沈澱物を、一昼夜熟成し、ろ過、洗浄、乾燥を行い、Zr(OH)の白色粉末300重量部を得た。
【0033】
この白色粉末を塩化白金酸水溶液(担体《Zr(OH)の白色粉末》100重量部に対し、白金金属に換算して0.5重量部となるような濃度の水溶液)に含浸し、110℃で一昼夜乾燥し、1N硫酸650重量部中に導入し、過剰の硫酸をろ過した後、600℃で3時間焼成を行い、触媒Dを得た。
触媒Dについて、(1)と同様にして固体酸強度を測定し、結果を表1に示す。
【0034】
(5)白金含有チタニア固体酸触媒の調製:
市販の四塩化チタン500重量部を純水800重量部に溶解し、これに適当量のアンモニア水を加えてpHを10とした。
生成した沈澱物を、一昼夜熟成し、ろ過、乾燥し、Ti(OH)の白色粉末150重量部を得た。
【0035】
この白色粉末を、塩化白金酸水溶液(担体《Ti(OH)の白色粉末》100重量部に対し、白金金属に換算して0.5重量部となるような濃度の水溶液)に含浸し、110℃で乾燥し、1モル濃度の硫酸アンモニウム水溶液500重量部に導入し、過剰のアンモニウム水溶液をろ過した後、110℃で乾燥し、600℃で3時間焼成を行い、触媒Eを得た。
触媒Eについて、(1)と同様にして固体酸強度を測定し、結果を表1に示す。
【0036】
(6)白金含有アルミナ固体酸触媒の調製:
市販の硝酸アルミニウム700重量部を純水950重量部に溶解し、これに適当量のアンモニア水を加えてpHを10とした。
生成した沈澱物を、一昼夜熟成し、ろ過、乾燥し、Al(OH)の白色粉末220重量部を得た。
【0037】
この白色粉末を、塩化白金酸水溶液(担体《Al(OH)の白色粉末》100重量部に対し、白金金属に換算して0.5重量部となるような濃度の水溶液)に含浸し、110℃で乾燥し、2モル濃度の硫酸アンモニウム水溶液500重量部に導入し、過剰のアンモニウ水溶液をろ過した後、110℃で乾燥し、600℃で3時間焼成を行い、触媒Fを得た。
触媒Fについて、(1)と同様にして固体酸強度を測定し、結果を表1に示す。
【0038】
(7)酸化ハフニウム固体酸触媒の調製:
市販の酸化ハフニウム100重量部を1モル濃度の硫酸アンモニウム400重量部に導入し、過剰の硫酸アンモニウム水溶液をろ過した後、110℃で乾燥し、600℃で3時間焼成を行い、触媒Mを得た。
触媒Mについて、(1)と同様にして固体酸強度を測定し、結果を表2に示す。
【0039】
(8)シリカ固体酸触媒の調製:
市販の水ガラス100重量部を1モル濃度の硫酸アンモニウム400重量部に導入し、過剰の硫酸アンモニウム水溶液をろ過した後、110℃で乾燥し、600℃で3時間焼成を行い、触媒Nを得た。
触媒Nについて、(1)と同様にして固体酸強度を測定し、結果を表2に示す。
【0040】
(9)酸化スズ固体酸触媒の調製:
市販の塩化第1スズ100重量部を1モル濃度の硫酸アンモニウム400重量部に導入し、過剰の硫酸アンモニウム水溶液をろ過した後、110℃で乾燥し、600℃で3時間焼成を行い、触媒Oを得た。
触媒Oについて、(1)と同様にして固体酸強度を測定し、結果を表2に示す。
【0041】
(10)ニッケル含有ジルコニア固体酸触媒の調製:
塩化白金酸水溶液の代わりに硝酸ニッケル水溶液を用いる以外は、(4)と同様にしてニッケル含有ジルコニア固体酸触媒の調製を行い、触媒Pを得た。
触媒Pについて、(1)と同様にして固体酸強度を測定し、結果を表2に示す。
【0042】
(11)ルテニウム含有ジルコニア固体酸触媒の調製:
塩化白金酸水溶液の代わりに硝酸ルテニウム水溶液を用いる以外は、(4)と同様にしてルテニウム含有ジルコニア固体酸触媒の調製を行い、触媒Qを得た。
触媒Qについて、(1)と同様にして固体酸強度を測定し、結果を表2に示す。
【0043】
(12)ロジウム含有ジルコニア固体酸触媒の調製:
塩化白金酸水溶液の代わりに塩化ロジウム水溶液を用いる以外は、(4)と同様にしてロジウム含有ジルコニア固体酸触媒の調製を行い、触媒Rを得た。
触媒Rについて、(1)と同様にして固体酸強度を測定し、結果を表2に示す。
【0044】
(13)パラジウム含有ジルコニア固体酸触媒の調製:
塩化白金酸水溶液の代わりに塩化パラジウム水溶液を用いる以外は、(4)と同様にしてロジウム含有ジルコニア固体酸触媒の調製を行い、触媒Sを得た。
触媒Sについて、(1)と同様にして固体酸強度を測定し、結果を表2に示す。
【0045】
(14)オスミウム含有ジルコニア固体酸触媒の調製:
塩化白金酸水溶液の代わりにオスミウム酸水溶液を用いる以外は、(4)と同様にしてオスミウム含有ジルコニア固体酸触媒の調製を行い、触媒Tを得た。
触媒Tについて、(1)と同様にして固体酸強度を測定し、結果を表2に示す。
【0046】
(15)イリジウム含有ジルコニア固体酸触媒の調製:
塩化白金酸水溶液の代わりに塩化イリジウム水溶液を用いる以外は、(4)と同様にしてイリジウム含有ジルコニア固体酸触媒の調製を行い、触媒Uを得た。
触媒Uについて、(1)と同様にして固体酸強度を測定し、結果を表2に示す。
【0047】
なお、表1には、後述する比較例で調製し使用した触媒の中からGとJを選んで、(1)と同様にして固体酸強度を測定し、この結果も併せて示す。
【0048】
表1,表2中*印を付したハメット指示薬のpKa値の欄は、ベンゼン溶媒中での変色点判定結果を示しており、“+”は「変色」、“±”は「やや変色」、“−”は「変色せず」を意味する。
また、使用したハメット指示薬は、pKa値“−3.0”では「ジシンナマルアセトン」、“−5.6”では「ベンザルアセトフェノン」、“−8.2”では「アントラキノン」、“−11.4”では「パラニトロトルエン」、“−12.7”では「パラニトロクロルトルエン」である。
【0049】
【表1】
Figure 0003568243
【0050】
【表2】
Figure 0003568243
【0051】
実施例1:
固定床流通式反応装置を用いて、上記で得られた触媒Aの2g存在下に、o−トリル−2−ペンテンの10wt%のトルエン溶液を、WHSV=0.2/h(アルケニルベンゼンに対して)で、供給した。
反応温度は30℃、反応圧力は常圧、キャリアーとして窒素ガスを20cc/minで供給した。この結果を表3に示す。なお、転化率、選択率は、以下のように設定した。
【0052】
【数1】
Figure 0003568243
【0053】
実施例2〜9:
触媒、反応温度を表3に示す通りに変更する以外は、実施例1と同様に反応を行い、結果を表3に示す。
【0054】
【表3】
Figure 0003568243
【0055】
実施例10〜18:
触媒、反応温度を表4に示す通りに変更する以外は、実施例1と同様に反応を行い、結果を表4に示す。
【0056】
【表4】
Figure 0003568243
【0057】
実施例19〜24:
反応圧力、WHSV、触媒、反応温度を表5に示す通りに変更する以外は、実施例1と同様に反応を行い、結果を表5に示す。
【0058】
【表5】
Figure 0003568243
【0059】
比較例1:
市販のオキシ塩化ジルコニウム900重量部を純水7000重量部に溶解し、適当量のアンモニア水を加えてpHを10とした。
生成した沈澱物を、一昼夜熟成し、ろ過、洗浄、乾燥を行い、Zr(OH)の白色粉末900重量部を得た。
【0060】
この白色粉末を600℃で3時間焼成したものを触媒(触媒G)とした以外は、実施例1と同様に反応を行い、結果を表6に示す。
【0061】
比較例2:
市販の四塩化チタン500重量部を純水800重量部に溶解し、適当量のアンモニア水を加えてpHを10とした。
生成した沈澱物を、一昼夜熟成し、ろ過、乾燥し、Ti(OH)の白色粉末150重量部を得た。
【0062】
この白色粉末を600℃で3時間焼成したものを触媒(触媒H)とした以外は、実施例1と同様に反応を行い、結果を表6に示す。
【0063】
比較例3:
市販の硝酸アルミニウム700重量部を純水950重量部に溶解し、適当量のアンモニア水を加えてpHを10とした。
生成した沈澱物を、一昼夜熟成し、ろ過、乾燥し、Al(OH)の白色粉末220重量部を得た。
【0064】
この白色粉末を600℃で3時間焼成したものを触媒(触媒I)とした以外は、実施例1と同様に反応を行い、結果を表6に示す。
【0065】
比較例4:
市販のオキシ塩化ジルコニウム900重量部を純水7000重量部に溶解し、適当量のアンモニア水を加えてpHを10とした。
生成した沈澱物を、一昼夜熟成し、ろ過、洗浄、乾燥を行い、Zr(OH)の白色粉末300重量部を得た。
【0066】
この白色粉末を塩化白金酸水溶液(担体《Zr(OH)の白色粉末》100重量部に対し、白金金属に換算して0.5重量部となるような濃度の水溶液)に含浸し、110℃で一昼夜乾燥後、600℃で3時間焼成したものを触媒(触媒J)とし、反応温度を130℃とした以外は、実施例1と同様に反応を行い、結果を表6に示す。
【0067】
比較例5:
市販の四塩化チタン500重量部を純水800重量部に溶解し、適当量のアンモニア水を加えてpHを10とした。
生成した沈澱物を、一昼夜熟成し、ろ過、乾燥し、Ti(OH)の白色粉末150重量部を得た。
【0068】
この白色粉末を、塩化白金酸水溶液(担体《Ti(OH)の白色粉末》100重量部に対し、白金金属に換算して0.5重量部となるような濃度の水溶液)に含浸し、110℃で乾燥後、600℃で3時間焼成したものを触媒(触媒K)とした以外は、比較例4と同様に反応を行い、結果を表6に示す。
【0069】
比較例6:
市販の硝酸アルミニウム700重量部を純水950重量部に溶解し、適当量のアンモニア水を加えてpHを10とした。
生成した沈澱物を、一昼夜熟成し、ろ過、乾燥し、Al(OH)の白色粉末220重量部を得た。
【0070】
この白色粉末を、塩化白金酸水溶液(担体《Al(OH)の白色粉末》100重量部に対し、白金金属に換算して0.5重量部となるような濃度の水溶液)に含浸し、110℃で乾燥後、600℃で3時間焼成したものを触媒(触媒L)とした以外は、比較例4と同様に反応を行い、結果を表6に示す。
【0071】
比較例7:
市販のシリカアルミナ(SiO/Al=20)をそのまま触媒とし、反応温度を300℃とした以外は、実施例1と同様に反応を行い、結果を表6に示す。
【0072】
比較例8:
市販のH型モルデナイト(SiO/Al=10)をそのまま触媒とし、反応温度を240℃とした以外は、実施例1と同様に反応を行い、結果を表6に示す。
【0073】
比較例9:
市販のH型Y形ゼオライト(SiO/Al=5)をそのまま触媒とし、反応温度を200℃とした以外は、実施例1と同様に反応を行い、結果を表6に示す。
【0074】
比較例10:
市販の超安定水素形態結晶性アルミノケイ酸塩ゼオライトY(SiO/Al=20、単位格子寸法=24.25Å)をそのまま触媒とし、反応温度を180℃とした以外は、実施例1と同様に反応を行い、結果を表6に示す。
【0075】
【表6】
Figure 0003568243
【0076】
以上の結果から、触媒に硫酸根を含有させることにより、いずれも高い転化率および選択率を示し、固体超強酸触媒が本反応に有効であることが判る。
また、他の触媒系と比較しても(比較例7〜10)、本発明の方法は、緩和な反応条件下(反応温度、反応圧力等)で行うことが可能であると同時に、副生物が少ないことも判る。
【0077】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、反応条件が緩和でよいため、触媒の溶出等の問題が生ぜず、また副生物の発生も少なく、これらの結果として、生成物の汚れや装置の腐食と言った問題のないアルケニルベンゼンからのジアルキルテトラリンの製造方法を提供することできる。
加えて、本発明の製造方法は、原料アルケニルベンゼンの転化率が高く、しかも目的生成物であるジアルキルテトラリンの選択率が高く、その工業的意義は極めて高い。

Claims (2)

  1. 一般式(1)で示されるアルケニルベンゼンを、固体超強酸または周期律表第VIII族元素を含有させた固体超強酸の存在下で、環化することを特徴とするジアルキルテトラリンの製造方法。
    Figure 0003568243
    式(1)中、Rは水素、メチル、エチルおよびイソプロピルからなる群から選ばれる1員であり、Rは水素およびメチルからなる群から選ばれる1員であり、Rは−CH=CH−CHおよび−CH−CH=CHからなる群から選ばれるアルケニル基である。
  2. 固体超強酸が、ハメット指示薬のpKa値(ベンゼン溶液中)<−11.93を示す硫酸根を含有する金属酸化物および金属水酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載のジアルキルテトラリンの製造方法。
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