JP3568003B2 - 燃料噴射弁の噴射圧調整構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディーゼルエンジンのシリンダーヘッドに配設し、ピストンに設けた燃焼室に向けて燃料噴射ポンプより圧送される燃料を噴射する燃料噴射弁の噴射圧調整構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の燃料噴射弁における噴射圧調整構造は、特開昭60−1372号公報等にあるが、これらの従来構造について、図6より説明する。図6は従来の燃料噴射弁の正面断面図である。シリンダーヘッドCH内に内嵌されたホルダー1’内において、スプリング受け3’を介して針弁2’を下方に付勢するためのノズルスプリング4’が上下方向に内嵌されており、該ノズルスプリング4’の上端は、スプリング押え5’にて押さえられ、該スプリング押え5’より上方に調整用ネジ6’を突設して、該ホルダー1’の上端面より上方に突出させており、該突出部分に止めナット7’を外嵌している。噴射圧はノズルスプリング4’の付勢力にて決定するものであり、つまり、該ノズルスプリング4’の上端位置の上下位置調整にて調整される。図6図示の従来の燃料噴射弁では、弁の上方に配設した調整用ネジ6’の回転操作で、該スプリング押え5’を上下位置調整し、噴射圧を調整する構造となっている。
【0003】
なお、燃料通路について説明しておくと、ホルダー1’の上下途中部に、横方向に、燃料噴射ポンプからの圧送燃料を吸入する噴射管継手8’が螺入されており、該ホルダー1’内にて、該噴射管継手8’より横方向に、該調整用ネジ6’を回避するように水平燃料通路1’aが穿設されていて、該水平燃料通路1’aより下方のノズル部分に向けて、垂直燃料通路1’bが穿設されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
昨今、低燃費、高出力、かつ、排気エミッション低減のため、燃料噴射装置としては、高圧噴射化が要求され、シリンダーヘッドについては、熱負荷軽減が要求される。高圧噴射化と熱負荷軽減の両立を図るためには、シリンダーヘッドに内嵌する燃料噴射弁のホルダー口径を短縮し、シリンダーヘッドの冷却水ジャケットのスペースを十分確保することが望まれる。もし、この冷却水ジャケットの拡大スペースの確保のため、従来構造でのホルダー部分の口径を縮小すれば、噴射管継手部でのシール性が課題となり、前述の高圧噴射と熱負荷軽減の両立を阻害してしまうので、ホルダー部分は高圧管継手の螺入部分が十分確保でき、かつ、縮小化が図れることが望ましいのである。
【0005】
この中で、前記の構造の従来の燃料噴射弁においては、ホルダー1’の平面視中央部にて調整用ネジ6’を内嵌しているので、噴射管継手8’は、これに交叉しないように、外側寄りに配設する必要があり、また、水平燃料通路1’aも、調整用ネジ6’を回避すべく、偏心状に穿設するスペースを要する。
従ってこれらの噴射管継手8’や水平燃料通路1’aを配設する部分のホルダ ’の径長を長くしなければならず、冷却水ジャケットの拡大化を阻害し、熱負荷軽減の実現が困難となる。もし、この部分のホルダー1’の径長を充分に取らなければ、噴射管継手8’のホルダー1’への螺入部分が短くなり、螺合強度やシール性の面で問題を生じる。
【0006】
また、一方では、燃料噴射弁を含めてのシリンダーヘッドのコンパクト化と低コスト化が望まれるが、噴射圧の調整機構である調整用ネジ6’がスプリング押え5’より上方に突設されているために、燃料噴射弁全体としての高さが高くなり、上下方向に長い配設スペースを要し、シリンダーヘッドの上下長さもこの長さを確保しなければならず、コンパクト化を阻害している。
【0007】
更に、調整用ネジ6’及び止めナット7’が燃料噴射弁の上方に配設されていることによる不具合として、止めナット7’の下端とホルダー1’の上端面との間にシールを施す必要があるが、止めナット7’の配設位置は、ホルダー1’を内嵌するシリンダーヘッドの上方で、弁腕室内となっているので、シールS部分(図6参照)における燃料漏れにより、潤滑油との混合を生じるおそれがある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以上のような課題を解決するために、次のような手段を用いる。
燃料噴射ポンプから圧送される燃料をピストン燃焼室に噴射すべく、ディーゼルエンジンのシリンダーヘッドCHに配設される燃料噴射弁において、弁ホルダー1内に、針弁2を下方に付勢するノズルスプリング4の上端を押さえるスプリング押え5を内嵌し、該スプリング押え5を、該弁ホルダー1の上下途中部に水平方向に嵌挿する調整用バー6の上下動にて上下位置を調整可能とし、該ホルダー1のスプリング室1cの上部に交叉するように、該調整用バー6を嵌挿可能で上下位置を調整可能とする上下の長孔1dを穿設し、該長孔1dの直上方における弁ホルダー1の外側面にはネジ部1eが形成され、該ネジ部1eに調整用ナット7a及び止めナット7bを外嵌螺装し、該調整用ナット7aの回転による上下動によって、調整用バー6の上下位置を調整可能としたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例を、添付の図1乃至図5の図面に基づいて説明する。
図1は本発明の燃料噴射弁の正面断面図、図2は同じく側面断面図、図3は同じく平面図、図4は図1におけるA−A矢視断面図、図5は図2におけるB−B矢視断面図である。
【0010】
燃料噴射弁の外観構成は、大部分をホルダー1にて形成しており、該ホルダー1の下方にスペーサ9を、該スペーサ9の下方に噴射ノズル10を配設固定してなっている。シリンダーヘッドCHへの嵌入においては、該シリンダーヘッドCH内に内嵌されたケースナット11内に対して、まず噴射ノズル10を内嵌し、その上からスペーサ9を内嵌して噴射ノズル10の上面に位置決め固定し、更にその上からホルダー1を内嵌して、スペーサ9の上面に位置決め固定する。該ホルダー1の上端には、固定用ネジ1cが形成されていて、上方より弁押え具12を螺装して、シリンダーヘッドCHの上面に固定する。
【0011】
燃料噴射弁の内部構造について説明する。まず、燃料通路に関しては、ホルダー1の上端寄り部分の側方に燃料噴射ポンプからの圧送燃料を吸入する噴射管継手8を螺入しており、その内端部は、該ホルダー1の上下中心線CL付近に達している。該ホルダー1内において、噴射管継手8の内端より水平燃料通路1aが穿設され、更に下方に向けて垂直燃料通路1bが穿設されている。
【0012】
該垂直燃料通路1bは、スペーサ9内に穿設した連絡通路9aに連通し、更に噴射ノズル10内に穿設した燃料通路10dに連通している。該噴射ノズル10の下端にはサック部10aが形成されていて、サック部10aに噴孔が穿設されており、該噴孔を介して、ピストン頭部の燃焼室に向けて燃料が噴射される。該噴射ノズル10内において、該サック部10aの噴孔に対しては、垂直方向に、針弁2を内嵌する針弁室10bを穿設しており、該針弁室10bの途中部が燃料溜まり10cとなっていて、該燃料溜まり10cに前記の燃料通路10dの下端部が連通しているのである。
【0013】
燃料の噴射過程について説明する。燃料噴射タイミングに、燃料噴射ポンプから、燃料が噴射管継手8を介して、燃料噴射弁内の燃料通路に圧送され、噴射ノズル10の燃料溜まり10cに達する。針弁室10bには、後記のノズルスプリング4にて下方付勢される針弁2が内嵌されているが、燃料溜まり10cに達した燃料圧にて、針弁2が上方に押され、該燃料溜まり10cの下方における針弁室10bが開口し、下端サック部10aの噴孔に燃料が送られ、噴射される。そして、燃料噴射ポンプからの燃料圧送が絶たれると、燃料溜まり10cにおける燃料圧が下がり、下方付勢されている針弁2が下方摺動して、燃料溜まり10cより針弁室10bへの連通路を塞ぎ、噴射が終了するのである。
【0014】
次に、噴射圧の調整機構について説明する。噴射圧は、針弁2の下方付勢力に左右される。該付勢力が強ければ、ノズル開孔時(燃料噴射時)において、針弁2が噴射中の燃料を押圧する力が強いので、噴射圧が高くなる。この付勢力を強くするのは、ホルダー1内の中心部に垂直方向に穿設されたスプリング室1c内において上下伸縮可能に内嵌されて、スプリング受け3を介して針弁2を上方より押圧するノズルスプリング4の上端位置を下方に移動することによって可能である。
【0015】
そこで、噴射圧調整のためのノズルスプリング4の上端位置の位置決め部材として、調整用バー6を設けている。ノズルスプリング4の上端は、スプリング押え5に直接当接させており、該スプリング押え4の上部を嵌合するようにホルダー1内に水平方向に嵌挿配設するのが、該調整用バー6である。該ホルダー1には、該調整用バー6を嵌挿可能とするように、また、上下位置を調整可能とするように、上下に長い長孔1dを、該スプリング室1cの上部に交叉するよう、水平方向に穿設している。
【0016】
更に、ホルダー1の長孔1dの直上方における外側面にはネジ部1eが形成されていて、上記のようにホルダー1内に嵌挿した調整用バー6の上下位置決めをする部材として、該ネジ部1eに調整用ナット7a及び止めナット7bを外嵌螺装する。なお、両ナット7a・7bの位置は、ホルダー1における噴射管継手8の螺入部の下方である。調整用ナット7aの下端は、調整用バー6の上端に当接しており、該調整用ナット7aを回転操作することで、該調整用ナット7aごと該調整用バー6が上下移動する。位置決めする高さに調整用バー6を合わせたら、調整用ナット7aの上方に螺装している止めナット7bを回転操作して、該調整用ナット7aと密着させ、調整用バー6及び調整用ナット7aの位置固定を確実にする。
【0017】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成したので、次のような効果を奏する。
このように、噴射圧調整機構としてのノズルスプリング4の位置調整部材を、ホルダー1の上下途中部分に水平方向に嵌挿した調整用バー6にて構成しているので、従来の燃料噴射弁のようにノズルスプリング押え5’より上方に突設する調整用ネジ6’のように、燃料噴射弁の上部分の高さを高く設ける必要がなく、即ち、全体の上下長さを短縮化できる。
また、調整用ナット7a及び止めナット7bの位置は、シリンダーヘッドCH内であって、シリンダーヘッドCH上方の弁腕室内に従来存在していた止めナット7’とホルダー1’との間のシール部分がなく、潤滑油と燃料とが混合するという事態は生じえない。
【0018】
更に、このように、ホルダー1の上下途中部分で水平方向に調整用バー6を嵌挿するので、ホルダー内においては、該調整用バー6より上方には、従来のように調整用ネジ6’の嵌挿部分が存在しない。従って、両ナット7a・7bの上方に螺入する噴射管継手8の内側端を、前記の如く中心線CL付近にまでねじ込むことができるのであり、更に、水平燃料通路1aも、従来のように、該調整用ネジ6’の嵌挿部分を回避する必要がないので、最短経路に穿設可能である。従って、該噴射管継手8の螺入部分のホルダー1の径長を短くできる一方、噴射管継手8のホルダー1内への螺入部分も充分に取れて、螺合強度及びシール性も確保できるのである。
【0019】
従来、噴射圧調整用としてのノズルスプリングの位置調整用部材として、ホルダー内にてスプリング押えから上方に突設していた調整用ネジの嵌挿部分がなくなり、調整用バーの上方においては、ホルダー内には、何も嵌挿されていない。従って、燃料噴射弁におけるこれより上方部分の長さを短縮化して、全体の上下長さを短縮化でき、シリンダーヘッドのコンパクト化にも繋がり、低コスト化を実現できる。
【0020】
また、調整用バーの上方において噴射管継手のホルダー内への螺入部分を深く取ることができ、更に、ホルダー内における噴射管継手からの燃料通路も、従来のように調整用ネジを回避すべく長く取ることなく、短絡化できて、該噴射管継手の螺入部分は、従来に比してホルダー径を短縮化できる。
以上のことから、燃料噴射弁の上下長及び径長を短縮化できて、燃料噴射弁事態のコンパクト化及び低コスト化を実現でき、一方、このようにホルダー径長さを短くしても、燃料管継手の螺合強度及びシール性は確保されているのである。そして、ホルダー径を短縮化することによって、シリンダーヘッドにおける冷却水ジャケットの拡大化を図ることができ、高圧噴射を確保したままシリンダーヘッドの熱負荷軽減が図れ、低燃費、高出力、かつ、排気エミッション低減のための、高圧噴射化に貢献するのである。
【0021】
また、調整用ナットで容易に調整用バーの上下高さを調整することができ、そして、その位置は、燃料噴射弁の上下途中部分となっているから、シリンダーヘッド内に位置しており、従来のように、調整用ナットがシリンダーヘッドの上方の弁腕室内に位置して、ナットとホルダー間のシール部分を通して燃料と潤滑油が混合するという不具合を生じることがなくなるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃料噴射弁の正面断面図である。
【図2】同じく側面断面図である。
【図3】同じく平面図である。
【図4】図1におけるA−A矢視断面図である。
【図5】図2におけるB−B矢視断面図である。
【図6】従来の燃料噴射弁の正面断面図である。
【符号の説明】
1 ホルダー
1a 水平燃料通路
1b 垂直燃料通路
1c スプリング室
1d 長孔
2 針弁
3 スプリング受け
4 ノズルスプリング
5 スプリング押え
6 調整用バー
7a 調整用ナット
7b 止めナット
8 噴射管継手
9 スペーサ
10 噴射ノズル
CH シリンダーヘッド
Claims (1)
- 燃料噴射ポンプから圧送される燃料をピストン燃焼室に噴射すべく、ディーゼルエンジンのシリンダーヘッドCHに配設される燃料噴射弁において、弁ホルダー1内に、針弁2を下方に付勢するノズルスプリング4の上端を押さえるスプリング押え5を内嵌し、該スプリング押え5を、該弁ホルダー1の上下途中部に水平方向に嵌挿する調整用バー6の上下動にて上下位置を調整可能とし、
該ホルダー1のスプリング室1cの上部に交叉するように、該調整用バー6を嵌挿可能で上下位置を調整可能とする上下の長孔1dを穿設し、該長孔1dの直上方における弁ホルダー1の外側面にはネジ部1eが形成され、該ネジ部1eに調整用ナット7a及び止めナット7bを外嵌螺装し、該調整用ナット7aの回転による上下動によって、調整用バー6の上下位置を調整可能としたことを特徴とする燃料噴射弁の噴射圧調整構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28746995A JP3568003B2 (ja) | 1995-11-06 | 1995-11-06 | 燃料噴射弁の噴射圧調整構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28746995A JP3568003B2 (ja) | 1995-11-06 | 1995-11-06 | 燃料噴射弁の噴射圧調整構造 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09126094A JPH09126094A (ja) | 1997-05-13 |
JP3568003B2 true JP3568003B2 (ja) | 2004-09-22 |
Family
ID=17717747
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28746995A Expired - Lifetime JP3568003B2 (ja) | 1995-11-06 | 1995-11-06 | 燃料噴射弁の噴射圧調整構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3568003B2 (ja) |
-
1995
- 1995-11-06 JP JP28746995A patent/JP3568003B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
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JPH09126094A (ja) | 1997-05-13 |
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