JP3567836B2 - 連続式圧延機のスタンド間ルーパ制御方法 - Google Patents
連続式圧延機のスタンド間ルーパ制御方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、連続式圧延機のスタンド間ルーパ制御方法に係り、特に、スタンド間にルーパを有する連続式圧延機のスタンド間ルーパの目標高さ又は角度を決定する際に用いるのに好適な、連続式圧延機のスタンド間ルーパ制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、連続熱間仕上圧延機のように、スタンド間にルーパを有する連続式圧延機のマスフロー制御では、「板圧延の理論と実際」(日本鉄鋼協会)に示されるように、任意のルーパ角度に対して、(1)ルーパ駆動トルクと、ストリップからルーパに加わるトルクとの静的な釣合いの式を用いて、ルーパに必要なルーパトルクを計算するルーパ張力制御と、(2)ルーパ角度を検出して、上流あるいは下流スタンドの圧延ロール速度を修正することによって、ルーパ角度を一定に保つルーパ高さ制御を併用している。
【0003】
このルーパ制御について、図1を参照して説明すると、ルーパアーム20Aの先端に、ストリップ10を押し上げるためのルーパロール20Rが設けられたルーパ20は、スタンド11、12間に配置され、ルーパ角度補償器22に張力を設定することにより、電流制御器24を介してルーパモータ26を制御し、ルーパ20がそのロール20Rを介してストリップ10を押し上げる際のルーパモータ26のトルクと、ストリップ10の張力とを釣り合わせる。ルーパモータ26は定トルクとなっているため、釣合い状態では、ストリップ10の張力が設定張力となる。外乱によりストリップ10の張力が変動すると、釣合いが崩れてルーパ20の水平面に対する角度(ルーパ角度と称する)βが変動し、その角度はルーパ角度検出器28によって検出されると共に、その検出値がルーパ角度補償器22に入力され、角度の変動後でも、張力とルーパトルクが釣り合うようにルーパモータ26を制御する。他方、ルーパ角度検出器28による検出値は、ルーパ角度をスタンド11、12間のストリップ長に換算するためのストリップ長換算器30に入力され、ここでルーパ角度に応じたスタンド間ストリップ長が求められる。このスタンド間ストリップ長に対応するルーパ高さと、予め設定したルーパ高さ設定(目標値)とがルーパ高さ制御器32で比較演算され、その結果求められた偏差量に応じて、ミルモータ速度制御器34が、圧延ロールを駆動するためのミルモータ36を制御する。このようにして、例えば上流側のスタンド11の圧延ロールの回転数が増減され、それに基づいて、ルーパ角度が設定角度となるように制御される。
【0004】
このように、ルーパ制御は、ルーパのトルク制御と角度制御によって、間接的に張力を設定値に制御するものであるが、ルーパ角度及び張力の目標値は、ほとんど全ての圧延材で一定であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のように、ルーパ高さ制御の角度目標値及び張力目標値を一定とすると、圧延材の幅が広いほど、厚みが厚いほど、又、温度が低いほど、必要なルーパトルクが大きくなり、ルーパモータの能力を越えてしまうと、過熱によりルーパモータが故障する恐れがあるため、ルーパモータを保護するために、圧延間隔を空けてルーパモータの負荷を下げる等の圧延条件の制限が必要であった。
【0006】
一方、剛性、重量、断面積等に拘わらず、前記のような圧延材でも十分圧延できるように設備を設計すると、ルーパモータを含むルーパ設備が必要以上に大きくなり、設備投資が過大になるという問題があった。
【0007】
一方、出願人は、特開昭60−227911で、ホットストリップのルーパを用いた張力制御方法を提案しているが、これは、本発明とは逆に、ルーパ軸トルクがトルクモータの出力範囲内で最大に近いトルクとなる角度をルーパ目標角度として張力制御を行うことにより、ストリップ張力の変動に伴うルーパ角度の変化量を大きくして、ストリップ張力の制御を高精度で行うものであった。
【0008】
本発明は、前記従来の問題点を解消するべくなされたもので、ルーパ能力の制約で圧延できなかった圧延材を圧延可能にすることを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、スタンド間にルーパを有する連続式圧延機のスタンド間ルーパ制御方法において、ルーパの目標高さ又は角度をを得るのに必要なルーパトルクが、ルーパモータ能力を越えている時は、前記目標高さ又は角度を小さくして、ルーパモータの過熱を防止することにより、前記課題を解決したものである。
【0010】
更に、前記ルーパトルクがルーパモータ能力を越えていることを、ルーパトルクから予測したルーパモータの温度上昇量により判定するようにしたものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0012】
本実施形態は、図1に示したようなルーパ制御装置において、前記ルーパ高さ制御器32に与えるルーパの目標高さを、圧延材に応じて変更するようにしたものである。
【0013】
具体的には、図2に示す如く、ステップ100で取り込まれたルーパ目標高さの初期値に基づいて、ステップ102で必要なルーパトルクTmを計算する。このルーパトルクTmは、例えば特開昭60−227911に記載したように、ストリップ自重トルクTsと、ルーパ自重トルクTlと、張力トルクTtの和として求めることができる。
【0014】
Tm=Ts+Tl+Tt …(1)
【0015】
ここで、前記ストリップ自重トルクTs、ルーパ自重トルクTl、張力トルクTtは、それぞれ、次式により計算される。
【0016】
Ts=l・Ws・cosβ …(2)
Tl=l1・Wl・cosβ …(3)
Tt=l・Tc(cosθ2−sinθ1) …(4)
【0017】
ここで、lはルーパアーム20Aの長さ、Wsは、スタンド11、12間のストリップ10の自重、βはルーパ角度、l1は、ルーパ軸20Cからルーパの重 心までの距離、Wlはルーパ重量、Tcはストリップ10の実張力、θ1、θ2は、図3に示す角度で、θ1は、ルーパアーム20Aと上流側ストリップ10Aと のなす角度、θ2は、ルーパアーム20Aに垂直な補助線に対する下流側ストリ ップ10Bのなす角度である。
【0018】
ステップ102終了後、ステップ104に進み、ルーパトルクTmを得るのに必要なルーパモータ電流の2乗平均から、ルーパモータの温度上昇量ΔTを予測する。
【0019】
次いでステップ106に進み、該温度上昇量ΔTが上限値Tuを越えたことから、ルーパモータ能力を越えているか否かを判定する。
【0020】
ステップ106の判定結果が正であり、ルーパモータの能力を越えていると判定されるときには、ステップ108に進み、ルーパ目標高さ(ルーパ角度β)を、例えば所定量Δβだけ減少させて、ステップ102に戻り、再び、ルーパモータ温度上昇量を予測する。
【0021】
ステップ102〜108のループを繰り返して、ステップ106の判定結果が否となり、ルーパモータの能力範囲内となったときのルーパ目標高さを最終的なルーパ目標高さとする。
【0022】
本実施形態におけるルーパ目標角度(高さ)とルーパトルクの関係の例を図4に示す。
【0023】
このようにして、ルーパトルク及びルーパモータ温度上昇量を考慮してルーパ目標高さ(角度)を決定することにより、圧延時にルーパ能力を越えることによるモータトリップ等のトラブルを心配しなくともよい。
【0024】
又、このとき、ルーパ張力制御のルーパトルク上限値も同時に制限することで、更に安全に圧延することができる。
【0025】
本実施形態においては、ルーパモータ温度上昇量が上限値を越えたときに、所定量ずつルーパ目標高さを減らすようにしているので、計算の手順が簡略である。なお、ルーパ能力を越えたときにルーパ目標高さを下げる方法はこれに限定されない。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、従来ルーパ能力制約で圧延できなかった圧延材が圧延できるようになる。又、ルーパモータの温度上昇による圧延ピッチ間の規制を緩和できることから、圧延能率も向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の適用対象であるルーパ制御装置の構成を示すブロック線図
【図2】本発明の実施形態におけるルーパ目標高さ決定手順を示す流れ図
【図3】図2の手順によりルーパトルクを計算する際の符号を説明するための線図
【図4】前記実施形態におけるルーパ目標角度とルーパトルクの関係の例を示す線図
【符号の説明】
10…ストリップ
11、12…スタンド
20…ルーパ
20A…ルーパアーム
20R…ルーパロール
22…ルーパ角度補償器
24…電流制御器
26…ルーパモータ
28…ルーパ角度検出器
30…ストリップ長換算器
32…ルーパ高さ制御器
34…ミルモータ速度制御器
36…ミルモータ
Claims (2)
- スタンド間にルーパを有する連続式圧延機のスタンド間ルーパ制御方法において、
ルーパの目標高さ又は角度を得るのに必要なルーパトルクが、ルーパモータ能力を越えている時は、前記目標高さ又は角度を小さくして、ルーパモータの過熱を防止することを特徴とする連続式圧延機のスタンド間ルーパ制御方法。 - 請求項1において、前記ルーパトルクがルーパモータ能力を越えていることを、ルーパトルクから予測したルーパモータの温度上昇量により判定することを特徴とする連続式圧延機のスタンド間ルーパ制御方法。
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