JP3566750B2 - 給湯器およびこれを用いた燃焼制御方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、出湯時の湯温を安定化するための給湯器およびこれを用いた燃焼制御方法に関し、更に詳しくは、燃焼停止時から所定の待機時間が経過する毎に点火を行い、出湯時の湯温の安定化に必要なバックアップ熱量を補充するバックアップ燃焼補正を行う給湯器およびこれを用いた燃焼制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来この種の給湯器およびこれを用いた燃焼制御方法としては、燃焼停止時から所定の待機時間が経過する毎(所定のインターバル時間毎)に点火を行い、バックアップ熱量を熱交換器に補充するバックアップ燃焼補正を行う給湯器およびこれを用いた燃焼制御方法がある。
【0003】
この燃焼制御方法においては、所定のインターバル時間毎に供給されるバックアップ熱量(後沸き量を含む)に基づく熱交換器内の湯温が下限設定値(下限温度)および上限設定値(上限温度)と比較され、バックアップ熱量の演算値が許容範囲から上または下に外れたときには、その都度、バーナによる燃焼動作または燃焼ファンによる冷却動作が行われ、熱交換器内の湯温は許容範囲内に収められていた。
【0004】
熱交換器内の湯温が上限温度よりも高いと判断されたときには、熱交換器内の湯温が所定の許容範囲に入るために要する、燃焼ファンによる冷却動作の時間(冷却時間)を演算していた。さらに、該冷却時間だけ燃焼ファンを所定の回転速度で回転して、熱交換器を冷却し、バックアップ熱量に基づく熱交換器内の湯温を許容範囲の範囲内に収めていた。該冷却時間は、例えば、外気温度等の放熱要因を考慮して演算により求められていた。
【0005】
該冷却時間の経過後、燃焼ファンはポストファン回転と呼ばれる低速一定回転動作に移行されていた。
【0006】
一方、バックアップ熱量に基づく熱交換器内の湯温が下限温度よりも低いと判断されたときには、熱交換器に通水させずに、バーナの点着火(ちょい点火と呼ばれている)を行い、所定の短時間(例えば2秒間)だけバーナを燃焼させ、熱交換器内の湯水を加熱して熱交換器内の湯温を許容温度範囲内に高めていた。
【0007】
該バーナの点着火を用いた給湯器の燃焼制御方法は、バックアップ燃焼補正と呼ばれ、バックアップ燃焼に基づく温度補償はバックアップ燃焼補正と呼ばれる。
【0008】
該バックアップ燃焼補正に基づく湯温が上限温度と下限温度の範囲内に入っていると判断されたとき、燃焼ファンは、ポストファン回転を実行していた。
【0009】
なお、ポストファン回転というのは、点火を早めるために予め燃焼ファンを低速で回転(所謂燃焼ファンをアイドリング動作)させておくことである。ポストファン回転を採用することにより、バーナの点火に先だって行われる燃焼ファンの起動に要する時間を短縮することができる。さらに、バックアップ燃焼補正時の熱交換器内の湯温の過熱状態を防ぐことができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の給湯器およびこれを用いた燃焼制御方法では、前記冷却時間だけ燃焼ファンを所定の回転数で回転して熱交換器を冷却し、バックアップ燃焼補正に基づく熱交換器内の湯温が上限および下限温度範囲に入ると、燃焼ファンをポストファン回転と呼ばれる低速一定回転動作に移行していた。
【0011】
さらに、該ポストファン回転における燃焼ファンの回転速度は常に一定であって、外乱である熱交換器の放熱要因(例えば、外気温度、水温等)は考慮されていなかった。
【0012】
このため、熱交換器の放熱効率が高いとき(例えば、冬期や夜間)や、逆に放熱効率が低いとき(例えば、夏期や昼間)に関係なく、一定回転速度でポストファン回転が実行されていた。
【0013】
具体的には、昼間と夜間、または夏期と冬期とでは、ポストファン回転による熱交換器内の湯温の放熱条件に差異が生じていた。
【0014】
つまり、バックアップ燃焼補正に基づく熱交換器内の湯温の温度制御における制御成績が、前記外乱である放熱要因に左右されてしまうという問題点があった。
【0015】
なお、ここでいう制御成績とは、熱交換器内の湯温の追値制御や定値制御を実行するときの制御結果(つまり目標湯温と制御湯温との偏差の評価結果)であって、具体的にはセットリング時間、オーバーシュート量、アンダーシュート量、オフセット量等を意味するものである。
【0016】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、外乱である放熱要因が反映された、バックアップ燃焼補正に基づく熱交換器内の湯温の温度制御ができる給湯器およびこれを用いた燃焼制御方法を提供することを目的としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するための要旨とするところは、以下の5項に存する。
【0018】
[1]項 燃焼停止後、所定の待機時間が経過する毎に点火してバックアップ熱量を補充し熱交換器(11)内の湯温を所定の許容温度範囲内に制御するバックアップ燃焼補正を行う給湯器(10)において、
外乱要因(13)を検出し、外乱要因情報(30a)を生成する外乱要因検出手段(30)と、
該外乱要因情報(30a)に応じてポストファン回転の制御情報(40a)を生成し、該制御情報に基づいて該ポストファン回転を制御するポストファン制御手段(40)と、
を備えて成ることを特徴とする給湯器(10)。
【0019】
[2]項 前記外乱要因(13)は、熱交換器(11)の放熱条件(14)時刻、または季節であることを特徴とする[1]項に記載の給湯器(10)。
【0020】
[3]項 前記ポストファン回転の制御の条件は燃焼ファン(18)による冷却能力であって、該燃焼ファン(18)が単位時間当たりに生成する空気流量、または該燃焼ファン(18)の単位時間当たりの回転数であることを特徴とする[1]項、または[2]項に記載の給湯器(10)。
【0021】
[4]項 前記放熱条件(14)は、前記熱交換器(11)の周辺近傍の外気温度もしくは外気湿度、または前記熱交換器(11)に供給される水の入水温度であることを特徴とする[1]項、または[3]項に記載の給湯器(10)。
【0022】
[5]項 前記外乱要因検出手段(30)は、前記放熱条件(14)として前記熱交換器(11)の周辺近傍の外気温度もしくは外気湿度、前記熱交換器(11)に供給される水の入水温度、または前記時刻もしくは前記季節を検出して前記外乱要因情報(30a)を生成し、
前記ポストファン制御手段(40)は、該外乱要因情報(30a)に基づいて、前記燃焼ファン(18)の冷却能力として前記燃焼ファン(18)が単位時間当たりに生成する空気流量、または前記燃焼ファン(18)の単位時間当たりの回転数に基づいた前記制御情報(40a)を生成し、該制御情報(40a)に基づいて前記ポストファン回転を制御する
ことを特徴とする[1]項、[2]項、[3]項、または[4]項に記載の給湯器(10)を用いた燃焼制御方法。
【0023】
なお、バックアップ燃焼補正とは、燃焼停止時から所定の待機時間が経過する毎に点火を行い、バックアップ熱量を補充するためのバックアップ燃焼補正を行う給湯器(10)における燃焼制御方法である。該所定の待機時間は、後沸き後の湯温が設定温度の下限許容温度範囲内に定めた下限動作温度まで低下するのに要する時間を燃焼停止後の放熱条件に基づいて演算することによって求めることができる。また、前記バックアップ熱量は、下限動作温度から設定温度の上限許容温度範囲内に定めた所定の加熱上限温度まで、熱交換器(11)内の湯温を上昇させるのに必要な熱量を演算することによって求めることができる。また、前記熱交換器(11)内の湯の後沸き量(後沸き温度)は、前記給湯器(10)の燃焼停止時毎に該燃焼停止以前の給湯制御成績を演算することによって求めることができる。
【0024】
【作用】
給湯器(10)は、熱交換器(11)内の湯温を所定の許容温度範囲内に制御するバックアップ燃焼補正を行う。
【0025】
給湯器(10)およびこれを用いた燃焼制御方法においては、所定のインターバル時間毎に供給されるバックアップ熱量(後沸き量を含む)に基づく熱交換器(11)内の湯温が下限設定値(下限温度)および上限設定値(上限温度)と比較され、バックアップ熱量の演算値が許容範囲から上または下に外れたとき、バーナ(12)による燃焼動作または燃焼ファン(18)による冷却動作が行われ、熱交換器(11)内の湯温は許容範囲内に収められる。該冷却時間の経過後、燃焼ファン(18)はポストファン回転に移行される。
【0026】
バックアップ熱量に基づく熱交換器(11)内の湯温が下限温度よりも低いと判断されたときには、熱交換器(11)に通水させずに、バーナ(12)の点着火(ちょい点火と呼ばれている)が行われ、所定の短時間だけバーナ(12)を燃焼させ、熱交換器(11)内の湯水が加熱されて、熱交換器(11)内の湯温が許容温度範囲内に高められる。
【0027】
さらに、バックアップ燃焼補正に基づく湯温が上限温度と下限温度の範囲内に入ると、燃焼ファン(18)、ポストファン回転を実行する。
【0028】
該ポストファン回転とは、点火を早めるために予め燃焼ファン(18)を低速で回転(所謂燃焼ファン(18)をアイドリング動作)させておくことである。
【0029】
ポストファン回転を採用することにより、バーナ(12)の点火に先だって行われる燃焼ファン(18)の起動に要する時間を短縮することができる。さらに、バックアップ燃焼補正時の熱交換器(11)内の湯温の過熱状態を防ぐことができる。
【0030】
本発明の給湯器(10)およびこれを用いた燃焼制御方法では、バックアップ燃焼補正時のポストファン回転における冷却能力は、外乱要因(13)に対応して可変動作が可能である。
【0031】
該外乱要因(13)検出手段(30)は、該外乱要因(13)として熱交換器(11)の放熱条件(14)を検出し、外乱要因(13)情報(30a)を生成する。
【0032】
該放熱条件(14)としては、熱交換器(11)の周辺近傍の外気温度もしくは外気湿度、熱交換器(11)に供給される水の入水温度、または前記時刻もしくは前記季節が用いられる。
【0033】
これにより、ポストファン回転における燃焼ファン(18)回転の冷却能力を熱交換器(11)の周辺近傍の外気温度もしくは外気湿度、熱交換器(11)に供給される水の入水温度、または前記時刻もしくは前記季節等の放熱要因に代表される外乱要因(13)に適応させて決めることができる。
【0034】
また、熱交換器(11)の放熱効率が高いとき(例えば、冬期や夜間)や、逆に放熱効率が低いとき(例えば、夏期や昼間)において、ポストファン回転による熱交換器(11)内の湯温の放熱条件を反映した最適なポストファン回転の冷却能力を選択することができるようになる。
【0035】
さらに、不適切なポストファン回転による、夏場または昼間における不要な熱交換器(11)の過熱や冬場または夜間における熱交換器(11)の過冷却を防ぐことを特徴とするとができ、省エネルギも実現できる。
【0036】
ポストファン制御手段(40)は、外乱要因(13)検出手段(30)が生成した該外乱要因(13)情報(30a)に応じてポストファン回転の制御情報(40a)を生成する。該制御情報(40a)とは燃焼ファン(18)の冷却能力を決めるものであって、燃焼ファン(18)が単位時間当たりに生成する空気流量、または燃焼ファン(18)の単位時間当たりの回転数に基づいた制御量である。
【0037】
ポストファン制御手段(40)は、該制御情報(40a)に基づいてポストファン回転を制御する。
【0038】
これにより、外乱である放熱要因を反映させて、バックアップ燃焼補正時におけるポストファン回転の冷却能力を可変にすることによって、バックアップ燃焼補正におけるバックアップ燃焼補正に基づく熱交換器(11)内の湯温の温度制御の制御成績を向上させることができる。
【0039】
なお、ここでいう制御成績とは、熱交換器(11)内の湯温の追値制御や定値制御を実行するときの制御結果(つまり目標湯温と制御湯温との偏差の評価結果)であって、具体的にはセットリング時間、オーバーシュート量、アンダーシュート量、オフセット量等を意味するものである。
【0040】
【実施例】
以下、図面に基づき本発明の一実施例を説明する。
【0041】
図1は本発明の一実施例にかかる給湯器の構成を示すブロック図である。
給湯器10は、燃焼停止後、所定の待機時間が経過する毎に点火してバックアップ熱量を補充し熱交換器11内の湯温を所定の許容温度範囲内に制御するバックアップ燃焼補正を行うように装置されている。
【0042】
また、給湯器10は、熱交換器11にはバーナ12が設けられ、該バーナ12に連通するガス通路には、ガスを流量を制御するためのガス弁25が装置されている。
【0043】
熱交換器11には、出湯温度を制御するためのバイパス流路22が並列に設けられている(このバイパス流路22は省略することも可能である)。
【0044】
また、熱交換器11には燃焼ファン18が装備されており、燃焼ファン18から給排気用の空気が供給されるように装置されている。
【0045】
燃焼ファン18にはファン回転センサ18aが設けられている。また、燃焼ファン18の周りには、外乱要因13(放熱条件)である給排気用の空気の吸気温度を検出するための外気温度センサ20(外乱要因検出手段30)が設けられている。本実施例では、外気温度センサ20として、サーミスタを用いている。
【0046】
また、前記外気湿度を検出するために外気温センサ20の近傍に湿度センサを併設している。
【0047】
さらに、外乱要因13として前記時刻、または前記季節を検出するためのタイマ32が外乱要因検出手段30に装置されている。
【0048】
熱交換器11の入口側には、水を供給するための給水管15が接続されている。給水管15には、外乱要因13(放熱条件)である給水温度を検出するための入水温センサ21と、入水流量を検出するフローセンサ24とが設けられている。本実施例では、入水温センサ21としてサーミスタ、熱電対等の温度測定素子を用いている。
【0049】
熱交換器11の出口側には出湯管17が接続され、出湯管17の出湯側には水栓16が設けられている。さらに出湯管17には出湯温度を検出するための出湯温度センサ23が設けられている。
【0050】
なお、給湯器10の給湯運転をおこなうための制御装置(図示せず)が装備されていてもよい。該制御装置にはリモコン(図示せず)が接続され、このリモコン(図示せず)には給湯の設定温度を設定するボタンや設定温度の表示部が設けられていてもよい。
【0051】
図2は本発明の一実施例にかかる給湯器の燃焼制御方法を示すブロック図である。
【0052】
演算部41は、外乱要因検出手段30が生成した外乱要因情報30aを受けてポストファン回転の制御情報40aを生成するよう、ポストファン制御手段40に装置されて成る。
【0053】
燃焼ファン制御部43は、該制御情報40aに基づいて該ポストファン回転を制御するよう、ポストファン制御手段40に装置されて成る。
【0054】
前記ポストファン回転の制御の条件は、燃焼ファン18による冷却効率であって、該燃焼ファン18が単位時間当たりに生成する空気流量、または該燃焼ファン18の単位時間当たりの回転数である。
【0055】
記憶部42は、外乱要因検出手段30が生成した外乱要因情報30a、および演算部41が生成したポストファン回転の制御情報40aを、制御履歴として保持するよう、ポストファン制御手段40に装置されて成る。
【0056】
燃焼ファン制御部43は、記憶部42に保存されている制御履歴を反映した制御情報40aを用いてもポストファン回転を制御することが可能である。
【0057】
次に作用を説明する。
図1は本発明の一実施例にかかる給湯器10の構成を示すブロック図である。図1に示す給湯器10において、フローセンサ24は、水栓16を開けることにより、熱交換器11に流入する水の流れを検出してフローセンサ信号を生成する。
【0058】
前記制御装置(図示せず)は、該フローセンサ信号を受けてガスの供給とイグナイタ電極(図示せず)に点火動作を命令し、バーナ12に燃焼命令を与える。また、熱交換器11における湯沸し制御およびバックアップ燃焼補正制御を行う。
【0059】
該湯は出湯管17を通過して、水栓16から出湯される。さらに、前記制御装置(図示せず)は、水栓16を閉めてフローセンサ24が水の流れを検出しなくなったとき、該フローセンサ24からのオフ信号を受けてバーナ12の燃焼停止制御を行う。
【0060】
なお、バックアップ燃焼補正とは、燃焼停止時から所定の待機時間が経過する毎に点火を行い、バックアップ熱量を補充するためのバックアップ燃焼補正を行う給湯器10の燃焼制御方法である。所定の待機時間は、後沸き後の湯温が設定温度の下限許容温度範囲内に定めた下限動作温度まで低下するのに要する時間を燃焼停止後の放熱条件14に基づいて演算することによって求めることができる。バックアップ熱量は、下限動作温度から設定温度の上限許容温度範囲内に定めた所定の加熱上限温度まで、熱交換器11内の湯温を上昇させるのに必要な熱量を演算することによって求めることができる。
【0061】
熱交換器11内の湯の後沸き量(後沸き温度)は、給湯器10の燃焼停止時毎に該燃焼停止以前の給湯制御成績を演算することによって求めることができる。
【0062】
る。
【0063】
更に詳しく本実施例のバックアップ燃焼補正の作用について説明する。
【0064】
図1に示すように、熱交換器11内の湯温を所定の許容温度範囲内に制御するバックアップ燃焼補正を行う給湯器10およびこれを用いた燃焼制御方法においては、所定のインターバル時間毎に供給されるバックアップ熱量後沸き量を含むに基づく熱交換器11内の湯温が下限設定値下限温度および上限設定値上限温度と比較され、バックアップ熱量の演算値が許容範囲から上または下に外れたとき、バーナ12による燃焼動作または燃焼ファン18による冷却動作が行われ、熱交換器11内の湯温は許容範囲内に収められる。該冷却時間の経過後、燃焼ファン18はポストファン回転に移行される。
【0065】
バックアップ熱量に基づく熱交換器11内の湯温が下限温度よりも低いと判断されたときには、熱交換器11に通水させずに、バーナ12の点着火ちょい点火と呼ばれているが行われ、所定の短時間だけバーナ12を燃焼させ、熱交換器11内の湯水が加熱されて、熱交換器11内の湯温が許容温度範囲内に高められる。
【0066】
さらに、バックアップ燃焼補正に基づく湯温が上限温度と下限温度の範囲内に入ると、燃焼ファン18、ポストファン回転を実行する。
【0067】
該ポストファン回転とは、点火を早めるために予め燃焼ファン18を低速で回転所謂燃焼ファン18をアイドリング動作させておくことである。
【0068】
ポストファン回転を採用することにより、バーナ12の点火に先だって行われる燃焼ファン18の起動に要する時間を短縮することができる。さらに、バックアップ燃焼補正時の熱交換器11内の湯温の過熱状態を防ぐことができる。
【0069】
本発明の給湯器10およびこれを用いた燃焼制御方法では、バックアップ燃焼補正時のポストファン回転における冷却能力は、外乱要因13に対応して可変動作が可能である。
【0070】
該外乱要因検出手段30は、該外乱要因13として熱交換器11の放熱条件14を検出し、外乱要因情報30aを生成する。
【0071】
該放熱条件14としては、熱交換器11の周辺近傍の外気温度もしくは外気湿度、熱交換器11に供給される水の入水温度、または前記時刻もしくは前記季節が用いられる。
【0072】
これにより、ポストファン回転における燃焼ファン18の回転の冷却能力を熱交換器11の周辺近傍の外気温度もしくは外気湿度、熱交換器11に供給される水の入水温度、または前記時刻もしくは前記季節等の放熱要因に代表される外乱要因13に適応させて決めることができる。
【0073】
また、熱交換器11の放熱効率が高いとき例えば、冬期や夜間や、逆に放熱効率が低いとき例えば、夏期や昼間において、ポストファン回転による熱交換器11内の湯温の前記放熱条件14を反映した最適なポストファン回転の冷却能力を選択することができるようになる。
【0074】
本実施例では、前記季節に基づいて、ポストファン回転を制御している。具体的には、夏期はポストファン回転の回転数を1400rpmとし、冬期は夏期よりも回転数を落して1000rpmとした。この結果、夏期においては、給湯温度の偏差を摂氏±3度以内に、また、冬期においては、給湯温度の偏差を摂氏±4度以内に抑えられ、十分な制御成績が実現できた。
【0075】
これにより、不適切なポストファン回転による、夏場または昼間における不要な熱交換器11の過熱や冬場または夜間における熱交換器11の過冷却を防ぐことを特徴とするとができ、省エネルギも実現できる。
【0076】
ポストファン制御手段40は、外乱要因13検出手段30が生成した該外乱要因情報30aに応じてポストファン回転の制御情報40aを生成する。該制御情報40aとは燃焼ファン18の冷却能力を決めるものであって、燃焼ファン18が単位時間当たりに生成する空気流量、または燃焼ファン18の単位時間当たりの回転数に基づいた制御量である。
【0077】
ポストファン制御手段40は、該制御情報40aに基づいてポストファン回転を制御する。
【0078】
これにより、外乱要因13を反映させて、バックアップ燃焼補正時におけるポストファン回転の冷却能力を可変にすることによって、バックアップ燃焼補正におけるバックアップ燃焼補正に基づく熱交換器11内の湯温の温度制御の制御成績を向上させることができる。
【0079】
なお、ここでいう制御成績とは、熱交換器11内の湯温の追値制御や定値制御を実行するときの制御結果つまり目標湯温と制御湯温との偏差の評価結果であって、具体的にはセットリング時間、オーバーシュート量、アンダーシュート量、オフセット量等を意味するものである。
【0080】
図2は本発明の一実施例にかかる給湯器10の燃焼制御方法を示すブロック図であって、給湯器10の出湯時における湯温の安定化を行うためのポストファン制御手段40の一実施例を示したものである。
【0081】
外乱要因検出手段30は、前記外乱要因13である前記時刻もしくは前記季節を検出する。また、前記外乱要因13である放熱条件14として前記熱交換器11の周辺近傍の外気温度もしくは外気湿度、または前記熱交換器11に供給される水の入水温度を検出する。
【0082】
該時刻もしくは該季節の検出は、タイマ32によって実行される。また、該外気温度は外気温センサ20によって検出され、該入水温度は入水温センサ21によって検出される。該外気湿度は、外気温センサ20に併設された湿度センサによって検出される。
【0083】
これにより、ポストファン回転における燃焼ファン18の回転の冷却能力を熱交換器11の周辺近傍の外気温度もしくは外気湿度、熱交換器11に供給される水の入水温度、または前記時刻もしくは前記季節等の放熱要因に代表される外乱要因13に適応させて決めることができる。
【0084】
また、熱交換器11の放熱効率が高いとき例えば、冬期や夜間や、逆に放熱効率が低いとき例えば、夏期や昼間において、ポストファン回転による熱交換器11内の湯温の前記放熱条件14を反映した最適なポストファン回転の冷却能力を選択することができるようになる。
【0085】
本実施例では、前記季節に基づいて、ポストファン回転を制御している。具体的には、夏期はポストファン回転の回転数を1400rpmとし、冬期は夏期よりも回転数を落して1000rpmとした。この結果、夏期においては、給湯温度の偏差を摂氏±3度以内に、また、冬期においては、給湯温度の偏差を摂氏±4度以内に抑えられ、十分な制御成績が実現できた。
【0086】
これにより、不適切なポストファン回転による、夏場または昼間における不要な熱交換器11の過熱や冬場または夜間における熱交換器11の過冷却を防ぐことを特徴とするとができ、省エネルギも実現できる。
【0087】
さらに、外乱要因検出手段30は、これらの検出結果に基づいて、外乱要因情報30aを生成する。
【0088】
ポストファン制御手段40に装備された演算部41は、外乱要因検出手段30が生成した外乱要因情報30aを受けてポストファン回転の制御情報40aを生成する。
【0089】
ポストファン制御手段40に装備された燃焼ファン制御部43は、該制御情報40aに基づいて該ポストファン回転を制御する。
【0090】
前記ポストファン回転の制御の条件は、燃焼ファン18による冷却効率であって、該燃焼ファン18が単位時間当たりに生成する空気流量、または該燃焼ファン18の単位時間当たりの回転数である。
【0091】
ポストファン制御手段40に装備された記憶部42は、外乱要因検出手段30が生成した外乱要因情報30a、および演算部41が生成したポストファン回転の制御情報40aを、制御履歴として保持する。
【0092】
ポストファン制御手段40に装備された燃焼ファン制御部43は、記憶部42に保存されている制御履歴を反映した制御情報40aを用いてもポストファン回転を制御する。
【0093】
これにより、外乱要因13を反映させて、バックアップ燃焼補正時におけるポストファン回転の冷却能力を可変にすることによって、バックアップ燃焼補正におけるバックアップ燃焼補正に基づく熱交換器11内の湯温の温度制御の制御成績を向上させることができる。
【0094】
図3は本発明の一実施例にかかる給湯器10の燃焼制御方法を用いたバックアップ燃焼補正の一実施例を示したものである。
【0095】
バックアップ燃焼制御手段50は、給湯器10の燃焼停止時に、その燃焼停止直前の燃焼状態、つまり、ガスの燃焼能力、給湯流量、給水温度、給湯の設定温度等の条件に基づき、燃焼停止後の後沸き量(後沸き温度)(後沸きとは、燃焼停止後、熱交換器11の保有熱量が内部の湯に伝わって湯の温度が上昇する現象をいう)を熱量または熱交換器11内の湯の後沸き温度の値で算出する。この演算にあたっては、理論式を実験によって補正した演算式が用いられる。
【0096】
バックアップ燃焼制御手段50は、外乱要因情報30aと、燃焼ファン18の能力(ファン風量)と、自然冷却条件等に基づき、前記放熱条件14を予め与えられた演算式を用いて時間の関数で求める。
【0097】
バックアップ燃焼制御手段50は前記後沸き量(後沸き温度)と、前記前記放熱条件14とにより後沸きにより上昇した熱交換器11内の湯の温度が給湯設定温度の下限許容温度の範囲内で予め設定された下限動作温度(バイパス流路22を有する給湯器10では下限動作温度に対応する温度)まで低下する所定の待機時間を設定する。
【0098】
バックアップ燃焼制御手段50は、ガス能力、給水温度、給水量等の情報に基づき、熱交換器11内の湯温が前記下限動作温度(または下限動作温度に対応する温度)から設定温度の上限許容温度範囲内に予め設定された所定の加熱上限温度(バイパス流路22を有する給湯器10では加熱上限温度に対応する温度)まで上昇させるのに必要なバックアップ熱量を演算によって求める。
【0099】
バックアップ燃焼制御手段50は、燃焼制御データ50aに基づいて、バックアップ熱量を発生するのに要するバーナ12の燃焼時間を演算により求める。
【0100】
ポストファン制御手段40は前記所定の待機時間が12の停止後経過するときに、バックアップ燃焼制御手段50で演算された時間だけバーナ12の燃焼を行い、下限動作温度(または下限動作温度に対応する温度)まで低下した熱交換器11内の湯温を加熱上限温度(または加熱上限温度に対応する温度)まで高めて燃焼を停止する。
【0101】
ポストファン制御手段40に装備された燃焼ファン制御部43は、記憶部42に保存されている制御履歴を反映した制御情報40aを用いてもポストファン回転を制御する。
【0102】
本実施例では、前記昼夜間の外気温度および外気湿度の変化に基づいて、ポストファン回転を制御している。具体的には、昼間はポストファン回転の回転数を1400rpmとし、夜間は昼間よりも回転数を落して1000rpmとした。この結果、昼間においては、給湯温度の偏差を摂氏±3度以内に、また、夜間においては、給湯温度の偏差を摂氏±4度以内に抑えられ、十分な制御成績が実現できた。
【0103】
これにより、不適切なポストファン回転による、夏場または昼間における不要な熱交換器11の過熱や冬場または夜間における熱交換器11の過冷却を防ぐことを特徴とするとができ、省エネルギも実現できる。
【0104】
これにより、外乱要因13を反映させて、バックアップ燃焼補正時におけるポストファン回転の冷却能力を可変にすることによって、バックアップ燃焼補正におけるバックアップ燃焼補正に基づく熱交換器11内の湯温の温度制御の制御成績を向上させることができる。
【0105】
なお、給湯器10が、バイパス流路22を設けたものにあっては、給湯の設定温度よりも熱交換器11で作り出す湯の作成温度は高くなる。例えば、給湯の設定温度が摂氏40度で、上限許容温度が設定温度に対して+3度、下限許容温度が設定温度に対して−3度に設定されるとき、熱交換器11から出る湯と、バイパス流路22を出る水の割合が8:2でミキシングする場合、水温が15度のとき、ミキシング後の湯温が設定温度の摂氏40度になるためには、熱交換器11の作成温度は約摂氏46.2度にする必要がある。そして、この熱交換器11で作成された湯が、ミキシング後、下限許容温度の摂氏37度以内に抑えるためには、熱交換器11内の湯の温度(下限許容温度に対応する温度)を摂氏42.5度以上に保有する必要があり、また、ミキシング後、上限許容温度の摂氏43度以内に抑えるためには、熱交換器11内の湯の温度(上限許容温度に対応する温度)を摂氏50度以内にする必要がある。
【0106】
【発明の効果】
本発明にかかる給湯器およびこれを用いた燃焼制御方法によれば、ポストファン回転における燃焼ファン回転の冷却能力を、熱交換器の周辺近傍の外気温度もしくは外気湿度、熱交換器に供給される水の入水温度、または前記時刻もしくは前記季節等の放熱要因に代表される外乱要因に適応させて決めることができる。
【0107】
このため、熱交換器の放熱効率が高いとき(例えば、冬期や夜間)や、逆に放熱効率が低いとき(例えば、夏期や昼間)において、ポストファン回転による熱交換器内の湯温の放熱条件を反映した最適なポストファン回転の冷却能力を選択することができるようになる。
【0108】
同時に、不適切なポストファン回転による、夏場または昼間における不要な熱交換器の過熱や冬場または夜間における熱交換器の過冷却を防ぐことを特徴とするとができ、省エネルギも実現できる。
【0109】
つまり、外乱である放熱要因を反映させて、バックアップ燃焼補正時におけるポストファン回転の冷却能力を可変にすることによって、バックアップ燃焼補正におけるバックアップ燃焼補正に基づく熱交換器内の湯温の温度制御の制御成績を向上させることができる。
【0110】
なお、ここでいう制御成績とは、熱交換器内の湯温の追値制御や定値制御を実行するときの制御結果(つまり目標湯温と制御湯温との偏差の評価結果)であって、具体的にはセットリング時間、オーバーシュート量、アンダーシュート量、オフセット量等を意味するものである。また、給湯器のみを備えた実施例を示したが、特にこれに限定されるものではなく、例えば給湯器と風呂沸かし器とを備えた複合器に対しても広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例にかかる給湯器の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施例にかかる給湯器の燃焼制御方法を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施例にかかる給湯器の燃焼制御方法を示すブロック図である。
【符号の説明】
10…給湯器
11…熱交換器
12…バーナ
13…外乱要因
14…放熱条件
15…給水管
16…水栓
17…出湯管
18…燃焼ファン
18a…ファン回転センサ
20…外気温センサ
21…入水温センサ
22…バイパス流路
23…出湯温度センサ
24…フローセンサ
25…ガス弁
30…外乱要因検出手段
30a…外乱要因情報
32…タイマ
40…ポストファン制御手段
40a…ポストファン回転の制御情報
41…演算部
42…記憶部
43…燃焼ファン制御部
50…バックアップ燃焼制御手段
50a…燃焼制御データ
Claims (5)
- 燃焼停止後、所定の待機時間が経過する毎に点火してバックアップ熱量を補充し熱交換器内の湯温を所定の許容温度範囲内に制御するバックアップ燃焼補正を行う給湯器において、
外乱要因を検出し、外乱要因情報を生成する外乱要因検出手段と、
該外乱要因情報に応じてポストファン回転の制御情報を生成し、該制御情報に基づいて該ポストファン回転を制御するポストファン制御手段と、
を備えて成ることを特徴とする給湯器。 - 前記外乱要因は、熱交換器の放熱条件、時刻、または季節であることを特徴とする請求項1に記載の給湯器。
- 前記ポストファン回転の制御の条件は燃焼ファンによる冷却能力であって、該燃焼ファンが単位時間当たりに生成する空気流量、または該燃焼ファンの単位時間当たりの回転数であることを特徴とする請求項1、または2に記載の給湯器。
- 前記放熱条件は、前記熱交換器の周辺近傍の外気温度もしくは外気湿度、または前記熱交換器に供給される水の入水温度であることを特徴とする請求項1、または3に記載の給湯器。
- 前記外乱要因検出手段は、前記放熱条件として前記熱交換器の周辺近傍の外気温度もしくは外気湿度、前記熱交換器に供給される水の入水温度、または前記時刻もしくは前記季節を検出して前記外乱要因情報を生成し、
前記ポストファン制御手段は、該外乱要因情報に基づいて、前記燃焼ファンの冷却能力として前記燃焼ファンが単位時間当たりに生成する空気流量、または前記燃焼ファンの単位時間当たりの回転数に基づいた前記制御情報を生成し、該制御情報に基づいて前記ポストファン回転を制御する
ことを特徴とする請求項1,2,3、または4に記載の給湯器を用いた燃焼制御方法。
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JP11909594A JP3566750B2 (ja) | 1994-05-31 | 1994-05-31 | 給湯器およびこれを用いた燃焼制御方法 |
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JPH07324765A JPH07324765A (ja) | 1995-12-12 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3566750B2 (ja) |
-
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- 1994-05-31 JP JP11909594A patent/JP3566750B2/ja not_active Expired - Fee Related
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