JP3566370B2 - 撮像装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、デジタル電子カメラ等の撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ビデオカメラや電子スチルカメラなど、自然画を良好に撮像する撮像装置が実現されている。しかしながら、近年、コンピュータなどの情報機器のパーソナル化により、撮像装置に対してこれまで以上の役割が求められるようになってきた。その新たに求められる役割の一つとして、文字や数字等の単一色の被写体をも良好に撮像する性能が挙げられるが、このような性能を有する撮像装置が既に提案されている(特願平5−269012号)されている。
【0003】
図5は、上記の性能を有する従来のデジタル電子カメラのブロック図である。ここで、1は絞り機能とシャッタ機能を備えるレンズシャッタ、2は光学的なローパスフィルタ、3はメカ系各部の駆動回路、4は被写体の光学像を電機信号に変換する撮像素子、5は撮像素子4を駆動させるために必要なタイミング信号を発生するタイミング信号発生回路(以下、TGという)、6はTG5からの信号を撮像素子4の駆動に必要なレベルに増幅する撮像素子駆動回路、7は撮像素子4の出力ノイズ除去のためのCDS回路や増幅回路を備えた前置処理回路、8はアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路、9は撮像信号処理回路、10は例えばメモリカードやハードディスク等の記録媒体、11は記録媒体10に信号を記録するためのインターフェース回路、12はメカ系駆動回路3、撮像信号処理回路9などの制御のためのシステムコントローラ、13はカメラを外部からコントロールするための操作部である。14はバスコントローラであり、システムコントローラ12の制御により、A/D変換された信号のバスラインをコントロールする。15はデジタル信号を一時蓄積するバッファメモリである。
【0004】
図6は、図5の撮像信号処理回路9の詳細を示すブロック図である。図6において、101は撮像素子4の出力信号を各色毎の信号に分離する色分離回路、102は色分離された信号からR,G,B各色信号を導出する色マトリクス回路、103は被写体に照射する光源の色温度に応じてR,G,B各信号レベルを補正するホワイトバランス補正回路、104は補正されたR,G,B信号から色差信号R−Y、B−Yを導出する色差信号導出回路、105は同じく補正されたR,G,B信号から輝度信号の色成分を補正する信号を導出する低周波輝度信号補正値導出回路、106は撮像信号に重畳している色変調信号を除去する色変調分トラップ回路、107は水平方向の輪郭を強調する水平アパーチャ回路、108は垂直方向の輪郭を強調するアパーチャ回路、109は各信号を加算する加算器、110は減算器、111は2つの入力から1つの出力を選択するマルチプレマサ、112はA/D変換された撮像素子出力を各画素ごとにレベル補正する各色成分補正回路、113,114は2チャンネルの2入力マルチプレクサ、115,116は信号の平均値を導出する積分回路である。
【0005】
図7は、各色成分補正回路112の詳細を示すブロック図である。図7において、117はシステムコントローラ12より送られるデータを分配するデマルチプレクサ、118,119,120,121は、各色成分毎の補正量を一時記憶するシフトレジスタ等の回路、122は4入力から1出力を選択するマルチプレクサ、123は乗算器である。
【0006】
次に、従来例の動作等について図5〜図11を用いて詳細に説明する。まず、撮影者は、撮影時に通常の自然画像撮影を行うのか、あるいは文章等の単色被写体に対する高解像度の撮影(以下ドキュメントモード)を行うのかを操作部13により選択する。
【0007】
ここで、自然画像が選ばれた場合を説明する。撮影者が操作部13で撮影開始を命令するとカメラは撮影動作を始める。まず、不図示の測光回路によって被写体の輝度を測定し、その測定値をもとにレンズシャッタ1の絞り値とシャッタスピードをシステムコントローラ12にて導出する。システムコントローラ13は導出された制御値を基にメカ系駆動回路3によってレンズシャッタ1を駆動する。このようにして、被写体の光学像は適正光量にて撮像素子4のイメージエリア上に結ばれる。撮像素子は、TG5の出力を撮像素子駆動回路6によって増幅した駆動信号により動作される。なお、TG5はシステムコントローラ12によりその動作を制御されている。このようにして駆動された撮像素子の出力は前置処理回路7に出力される。前置処理回路7では撮像素子出力に含まれる低域ノイズを除去するCDS処理、およびA/D変換器のダイナミックレンジを有効に用いるための撮像信号出力の非線形化の処理を行っている。前置処理された撮像信号出力はA/D変換器8においてデジタル信号に変換さ、バスコントローラ14を介して撮像信号処理回路9に入力される。撮像信号処理回路9では、以下に述べる所定の輝度信号処理、色信号処理が行われ、さらに、不図示の所定フォーマットへの信号変換処理を経て、記録媒体I/F11を介して記録媒体10に記録される。
【0008】
撮像処理回路9にはA/D変換された撮像素子出力信号が入力されるが、図8のような色フィルタ配列の撮像素子を用いた場合は、0DDフィールドの撮像素子信号出力は(Mg+Y1)と(G+Cy)の点順次信号を、EVENフィールドの撮像素子信号出力は(G+Y1)(Mg+Cy)の点順次信号を、各々線順次化した信号となる。撮像信号処理回路9では、まず色分離回路101で撮像信号を各色信号c1(Mg+Y1)と(G+Y1)の線順次信号、c2((G+Cy)と(MG+Cy)の線順次信号)に分離する。分離された信号は、色マトリックス回路102において線同時化およびマトリックス演算により各純色信号R0,G0,B0に変換され、WB補正回路103に送られる。WB補正回路103では、システムコントローラ12から送られてくるWB制御信号により被写体を照射している光の色温度補正を行う。色差信号導出回路104は、色温度補正されたRGB信号から色差信号R−YとB−Yを導出する。一方、低周波輝度信号補正値導出回路105では、各色毎の明るさの再現性を上げるために輝度信号を構成する色成分比を補正する補正信号YLとRGB信号を基に導出する。
【0009】
一方、A/D変換器8からの撮像信号は、色変調分トラップ回路106にも入力され、輝度信号に重畳されている変調された色信号を減衰する。その出力から水平アパーチャ回路107と垂直アパーチャ回路108によりそれぞれ水平、垂直方向の輪郭が強調されたアパーチャ信号が導出され、加算器109にてスルーの輝度信号と加算される。そして、減算器110によって、上記加算されて導出された信号Y0から補正値YL分が減算され、補正された輝度信号Yが得られる。
【0010】
次に、ドキュメントモードの撮影を説明する。撮影者が操作部13でドキュメントモードを選択すると、システムコントローラ12の制御によりメカ系駆動回路3を駆動して、光学LPF2を光学系の光路上から退避させる。続いて撮影者が撮像の命令を与えると、自然画撮影時と同様に測光が行われ、撮像素子4のイメージエリア上に適性光量でフォーカスの合った被写体像が結像されるように、不図示の光学レンズとレンズシャッタ1が駆動される。レンズシャッタ1が閉じると、撮像素子4から撮像信号が読出される。この際の読出しは、図9に示したように、ODDとEVENを交互に読出して行く。その結果、読出される信号は、まずODDフィールドの出力信号としてMgとGの点順次信号となる。ただし、1H(水平走査)毎にMgとGの順番が入れ代わる。
【0011】
このようにして撮像素子4から読出された信号は、自然画モードの場合と同様に、前置処理回路7、A/D変換器8を介してバスコントローラ14に入力される。バスコントローラ14では、その撮像出力をバッファメモリ15に転送し、図10(a)に示すような概念で、1H分記憶したら次のアドレス領域からは1H分空けて、その後のアドレス領域の次に1H分を記憶していくというように、飛び飛びにメモリマップ上に記憶していく。
【0012】
以上のようにして、撮像素子信号はメモリマップ上に記憶されるとともに、撮像信号処理回路9にも入力され、撮像信号処理回路9内の色分離回路101にて、単色の色信号であるC1,C2の2種類の色信号に分離される。ODDフィールドでは、色信号C1はMg信号とG信号の線順次信号となり、色信号C2信号はG信号とMg信号の線順次信号となる。さらに、色信号C1,C2はスイッチ113に入力されて、システムコントローラ12により1H毎に切り換えられ、それぞれMg信号とG信号とに同時化される。同時化されたMg信号、G信号は、システムコントローラ12によってスイッチ113の出力側が選択されたスイッチ114を介して積分回路115,116に入力される。積分回路115,116では各色信号を一画面分、もしくは、その一部の領域において平均化し、その出力をシステムコントローラ12に入力する。すると、システムコントローラ12は、MgとGの積分情報から、それぞれMgとGの信号レベルが所定の値と等しくなるための補正量を導出する。続いてEVENフィールドの信号が読出されるが、読出される信号はCyとY1の点順次信号となる。
【0013】
このようにして撮像素子から読出された信号は、MgとGの点順次信号と同様に前置処理回路7、A/D変換器8を介してバスコントローラ14に入力される。バスコントローラ14では、その撮像出力をバッファメモリ15に転送し、図10(b)に示すような概念で、空白部分となっているアドレス領域に1H分ずつメモリマップ上に記憶していく。
【0014】
以上のようにして、撮像信号はメモリマップ上に記憶されるとともに、撮像信号処理回路9にも入力され、撮像信号処理回路9内の色分離回路101にて単色の色信号であるC1,C2の2種類の色信号に分離される。EVENフィールドでは、色信号C1はY1信号となり、色信号C2はCy信号となる。さらに、色信号C1,C2はスイッチ113に入力されるが、EVENフィールドでは色信号C1,C2は線順次化されていないので、スイッチ113を切り換えることは行われない。次に、各信号はシステムコントローラ12によってスイッチ113の出力側が選択されたスイッチ114を介して積分回路115,116に入力される。積分回路115,116では各色信号を一画面分、もしくは、その一部の領域において平均化し、その出力をシステムコントローラ12に入力する。システムコントローラ12では、Y1信号とCy信号の積分情報から、それぞれCy信号とY1信号の信号レベルが所定の値と等しくなるための補正量を導出する。
【0015】
以上のようにして導出した各補正データは、撮像信号処理回路9内の各色成分補正回路112に入力される。各色成分補正回路112では、システムコントローラ12によって制御され切り換えられるスイッチ117により、各色補正用データがそれぞれ所定のレジスタ118から121に設定・記憶される(図7参照)。
【0016】
そして、各補正データが設定・記憶された後、バスコントローラ14によりバッファメモリ15の(ア)のアドレス領域(図10(b)参照)から撮像信号を読出し、撮像信号処理回路9に入力する。撮像信号処理回路9では、撮像信号が各色成分補正回路112に入力される。各色成分補正回路112では、乗算器123に信号が入力されるが、その乗算係数は、システムコントローラ12の制御で切り換わるスイッチ122によって各色信号に対応するレジスタに格納されている補正データが割り当てられていく。このことにより撮像信号S0の各成分は、積分回路115,116で導出された各色の平均信号に応じて補正され、撮像対象が単色の被写体であれば、各画素の信号レベルはすべて一致することになる。
【0017】
このようにして補正された信号YWBがスイッチ111で選択され、Y信号として記録媒体I/F11を介して記録媒体10に記録される。
【0018】
続いて、図10(b)に示したバッファメモリ15の(イ)のアドレス領域から撮像信号を読み出し、アドレス領域(ア)と同様の処理を行う。つまり、バスコントローラ14によりバッファメモリ15の(イ)のアドレス領域から撮像信号を読出し、撮像信号処理回路9に入力する。撮像信号処理回路9では、撮像信号が各色成分補正回路112に入力される。各色成分補正回路112では乗算器123に信号が入力されるが、その乗算係数はシステムコントローラ12の制御で切り換わるスイッチ122によって各色信号に対応するレジスタに格納されている補正データが割り当てられていく。このことにより撮像信号S0の各成分は、積分回路115,116で導出された各色の平均信号に応じて補正され、撮像対象が単色の被写体であれば、各画素の信号レベルはすべて一致することになる。
【0019】
このようにして補正された信号YWBがスイッチ111で選択され、Y信号として記録媒体I/F11を介して記録媒体10に記録される。
【0020】
さて、ドキュメントモードでは、光学LPF2を除去し、かつ、撮像素子4を画素加算することなく一画素単位で読出すことで高解像度化を実現するものであるが、このような場合でも、輪郭強調することは画質の改善効果につながる。そこで図11に示したように、各色成分補正回路112の後段に輪郭強調のための回路して、色変調分トラップ回路123、水平アパーチャ回路124、垂直アパーチャ回路125、加算器126が設けられる。そして、ここでの輪郭強調の強度は、光学LPF2を除去したことで周波数特性の劣化がないため、それ程強くする必要はないとして、自然画モードよりも弱く輪郭強調がなされる。
【0021】
【発明が解決しようとしている課題】
しかしながら、上記の従来のデジタル電子カメラにおいては、以下の問題があった。すなわち、
【0022】
(a) 光学絞りの開口径に応じてMTF(Modulation Transfer Function)、すなわち解像度が変化する。
【0023】
図12(a)に、光学絞り開口とMTFの関係を示す。図示したように、F11より小絞り側では、絞り径が小さくなるほどMTFが劣化する。これは、絞り径が小さくなることで光学絞りを通過する光が干渉を起こすことが原因となっている。
【0024】
ところで、小型のカメラを作るときには小絞り側の径が小さくなり、小絞り側ので光学絞りの制御が難しくなることから、小絞り側において、NDフィルタが絞り開口内に被さるようにすることで、小絞り側の開口面積を大きくすることが多く行われる。このため、絞り開口内はNDフィルタのある領域とない領域とに分れる。この場合には、NDフィルタのない領域の大きさが小さくなるときに光の干渉がおこり、MTFが劣化する。図12(b)は、そのような絞りを用いたときの絞りの開口とMTFの関係を示したものである。図12(b)において、F22の場合に、それより開口の広いときよりもMTFが増しているのは、NDフィルタを入れたことで開口面積が広がったことと、この開口のときにはNDフィルタが開口径の全領域を覆っていることとに拠る。MTFの劣化は画像の解像度を低下させることになるが、ドキュメントモードでは、文字のコントラストを低下させる形で影響が現れる。
【0025】
(b) また、従来のように自然画モードに対してドキュメントモードの輪郭強調を低くしていたのでは、ドキュメントモードとして求められる性能を十分に発揮することができなかった。
【0026】
本発明は、このような背景の下になされたもので、その第1の目的は、絞り値によって解像度が低下することのない撮像装置を提供することにある。
【0027】
本発明の第2の目的は、単一色の被写体を高解像度で撮像し得る撮像装置を提供することにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】
上記第2の目的を達成するため、請求項1記載の発明は、光学像を電気信号に変換する撮像素子を有し、該撮像素子の出力信号を用いてカラー画像信号を形成する第1のモードと、該撮像素子から出力された電気信号を用いて単一色の画像信号を形成する第2のモードとを切換え可能な撮像装置において、前記撮像素子から出力された電気信号に基づいて画像信号を形成するに当たって該画像信号の輪郭を強調する際、前記第2のモード時における輪郭強調の強さを前記第1のモード時に比べて強くするようにして輪郭強調を行う輪郭強調手段を備えている。
【0030】
上記第2の目的を達成するため、請求項2記載の発明は、光学像を電気信号に変換する撮像素子を有し、該撮像素子の出力信号を用いてカラー画像信号を形成する第1のモードと、該撮像素子から出力された電気信号を用いて単一色の画像信号を形成する第2のモードとを切換え可能な撮像装置において、前記撮像素子から出力された電気信号に基づいて画像信号を形成するに当たって該画像信号の輪郭を強調する際、前記第2のモード時における輪郭強調の周波数帯域を前記第1のモード時に比べて高い周波数帯域とするようにして輪郭強調を行う輪郭強調手段を備えている。
【0031】
上記第1又は第2の目的を達成するため、請求項3記載の発明では、請求項1又は請求項2記載の前記輪郭強調手段は、水平アパーチャ回路により構成されている。
【0032】
上記第1又は第2の目的を達成するため、請求項4記載の発明では、請求項1又は請求項2記載の前記輪郭強調手段は、垂直アパーチャ回路により構成されている。
【0033】
上記第1又は第2の目的を達成するため、請求項5記載の発明では、請求項1又は請求項2記載の前記輪郭強調手段は、水平アパーチャ回路および垂直アパーチャ回路により構成されている。
【0035】
上記第2の目的を達成するため、請求項6記載の発明では、請求項2記載の前記輪郭強調手段は、前記第2のモード時における輪郭強調の周波数帯域をナイキスト周波数の近傍、又はナイキスト周波数以上の帯域とするように構成されている。
【0037】
【作用】
請求項記載の発明では、前記輪郭強調手段は、前記撮像素子から出力された電気信号に基づいて画像信号を形成するに当たって該画像信号の輪郭を強調する際、前記第2のモード時における輪郭強調の強さを前記第1のモード時に比べて強くするようにして輪郭強調を行うので、単一色の被写体が高解像度で撮像される。
【0038】
請求項記載の発明では、前記輪郭強調手段は、前記撮像素子から出力された電気信号に基づいて画像信号を形成するに当たって該画像信号の輪郭を強調する際、前記第2のモード時における輪郭強調の周波数帯域を前記第1のモード時に比べて高い周波数帯域とするようにして輪郭強調を行うので、単一色の被写体が高解像度で撮像される。
【0039】
請求項記載の発明では、請求項1又は請求項2記載の前記輪郭強調手段は、水平アパーチャ回路により構成されており、絞り値によって解像度が低下することはなくなるか、或いは単一色の被写体が高解像度で撮像される。
【0040】
請求項記載の発明では、請求項1又は請求項2記載の前記輪郭強調手段は、垂直アパーチャ回路により構成されており、絞り値によって解像度が低下することはなくなるか、或いは単一色の被写体が高解像度で撮像される。
【0041】
請求項記載の発明では、請求項1又は請求項2記載の前記輪郭強調手段は、水平アパーチャ回路および垂直アパーチャ回路により構成されており、絞り値によって解像度が低下することはなくなるか、或いは単一色の被写体が高解像度で撮像される。
【0043】
請求項記載の発明では、請求項記載の前記輪郭強調手段は、前記第2のモード時における輪郭強調の周波数帯域をナイキスト周波数の近傍、又はナイキスト周波数以上の帯域とするように構成されているので、単一色の被写体が高解像度で撮像される。
【0044】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。
【0045】
[第1実施例]
第1実施例による撮像装置(デジタル電子カメラ)の全体構成は、図5に示した従来例と全く同様である。本実施例と従来例との相違点は、撮像信号処理回9にあり、本実施例における撮像信号処理回路9の構成は、図1のようになっている。すなわち、図1と図5との比較から明らかなように、本実施例が従来例と異なっているのは、本実施例ではアパーチャ選択回路127が設けられた点である。
【0046】
このアパーチャ選択回路127は、図2に示したような構成となっている。すなわち、図2において、123は撮像信号に重畳している色変調信号を除去する色変調分トラップ回路、128と133は色変調トラップ回路123より出力される信号を分配するデマルチプレクサ、129,130,131は水平方向の輪郭を強調する第1,第2,第3の水平アパーチャ回路であり、それぞれの強調度(周波数特性)を図3(a)〜(c)のように変えてある。134,135,136は垂直方向の輪郭を強調する第1,第2,第3の垂直アパーチャ回路であり、これも第1,第2,第3水平アパーチャ回路と同様にそれぞれの強調度を変えてある
【0047】
132,137は3つの入力から1つの入力を選択するマルチプレクサ、126は各信号を加算する加算器である。
【0048】
次に、本撮像装置の動作を説明する。
【0049】
撮影者が操作部13によってドキュメントモードを選択すると、システムコントローラ12の制御によりメカ系駆動回路3を駆動して、光学LPF2を光学系の光路上から退避させる。この際、マルチプレクサ111は、アパーチャ選択回路127からの信号が選択される側にスイッチされる。続いて、撮影者が操作部13により撮影開始を命令すると、撮影動作を開始する。まず、不図示の測光回路によって被写体の輝度を測定し、その測定値を基にレンズシャッタ1の絞り値とシャッタスピードをシステムコントローラ12にて導出する。
【0050】
絞り値が決定すると、システムコントローラ12は、その絞り値に応じて、デマルチプレクサ128,133と、マルチプレクサ132,137とにより、最適な強度の輪郭強調がなされるように、第1〜第3の水平アパーチャ回路129〜131、および第1〜第3の垂直アパーチャ回路134〜136の中から、それぞれ適当な回路を選択する。
【0051】
例えば、レンズシャッタ1の特性が図12(a)の場合には、絞り値F4,F5.6,F8,F11のときは図3(a)に示した輪郭強調強度の第1水平アパーチャ回路129、第1垂直アパーチャ回路134を選択し、絞り値F16のときは図3(b)に示した輪郭強調強度の第2水平アパーチャ回路130、第2垂直アパーチャ回路135を選択し、絞り値F22のときは図3(b)に示した輪郭強調強度の第3水平アパーチャ回路131、第3垂直アパーチャ回路136を選択する。また、レンズシャッタ1の特性が図12(b)の場合には、絞り値F4,F22のときは図3(a)に示した輪郭強調強度の第1水平アパーチャ回路129、第1垂直アパーチャ回路134を選択し、絞り値F5.6,F8のときは図3(b)に示した輪郭強調強度の第2水平アパーチャ回路130、第2垂直アパーチャ回路135を選択し、絞り値F11,F16のときは図3(b)に示した輪郭強調強度の第3水平アパーチャ回路131、第3垂直アパーチャ回路136を選択する。
【0052】
ここにおいて、システムコントローラ13は、導出された制御値を基に、メカ系駆動回路3によってレンズシャッタ1を駆動し、以下、従来例で説明した手順で撮影が完了する。
【0053】
このように、光学絞りの開口度に応じて輪郭強調の強度を変えることにより、絞り開口値によって文字解像能力が変わることなく、コントラストの低下することのない、安定した映像が得られる。
【0054】
なお、光学絞りの開口度に応じて水平、および垂直方向の輪郭強調の強度を双方とも変えることなく、水平、または垂直方向のどちらか一方の輪郭強調の強度を変えるようにしてもよい。また、光学絞りの開口度に応じて輪郭強調の強度を変えることによって最も良い効果がえられるのはドキュメントモードであるが、自然画モードにおいても光学絞りの開口度に応じて輪郭強調の強度を変えることにより、同様の効果が得られるようにしても良い。
【0055】
[第2実施例]
次に、第2実施例を説明する。なお、第2実施例の構成要素は、図1、図2に示した第1実施例と同様である。
【0056】
問題点の項で述べたように、自然画と文字では輪郭強調の強さの適正量が異なる。そして、自然画モードで輪郭強調を強めていくとリンギングなどによる画質の劣化がみられる。ドキュメントモードでは、扱う画質の差、および信号処理の差から、画質の劣化するスレッショールドが高いところにあり、自然画よりも輪郭強調を強めにしておいた方が、むしろ好ましい画質となる。
【0057】
そこで、第2実施例では、ドキュメントモード用の第1〜第3の水平アパーチャ回路129〜131と、第1〜第3の垂直アパーチャ回路134〜136のそれぞれの強度は、自然画モード用の水平アパーチャ回路107、垂直アパーチャ回路108のそれぞれの強度よりも強くしている。なお、本実施例においても、第1〜第3の水平アパーチャ回路129〜131、または第1〜第3の垂直アパーチャ回路134〜136のいずれか一方だけを設けてもよい。
【0058】
[第3実施例]
次に、第3実施例を説明する。なお、第3実施例の構成要素も、図1、図2に示した第1実施例と同様である。
【0059】
ドキュメントモードでは、光学LPF2を除去することで、自然画モードでは失われていた画素による空間サンプリングのナイキスト周波数周辺の映像情報を得ることができる。自然画モードでは、ナイキスト周波数の周辺がトラップされることから、図4(a)に示したように、ナイキスト周波数(1/2PH)よりも十分低い周波数帯域が強調されていた。そして、これまでは、ドキュメントモードにおいても、自然画モードと同様の周波数帯域を強調していた。
【0060】
上記のように、ドキュメントモードでは、自然画モードでは失われていた画素による空間サンプリングのナイキスト周波数周辺の映像情報を得ることができるので、第3実施例では、ドキュメントモード時における強調周波数帯域を、図4(b)に示したように自然画モード時よりも高くして、ナイキスト周波数近辺、あるいはナイキスト周波数以上とするように、第1〜第3の水平アパーチャ回路129〜131、または第1〜第3の垂直アパーチャ回路134〜136を構成している。これにより、文字や数字等の単一色の被写体に対してより適正化した輪郭補正をし高画質化を図ることが可能となる。
【0061】
なお、本実施例においても、第1〜第3の水平アパーチャ回路129〜131、または第1〜第3の垂直アパーチャ回路134〜136のいずれか一方だけを設けてもよい。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、光学絞りの開口値に応じて輪郭強調の強度を変えることにより、絞り値によって解像度が低下することを防止でき、また、自然画モードよりもドキュメントモードの輪郭強調の強さを強くすること、または、自然画モードよりもドキュメントモードの輪郭強調の周波数帯域を高い周波数とすることによって、文字等の単一色の被写体を高解像度で撮像することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による撮像信号処理回路の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1のアパーチャ選択回路の構成を示すブロック図である。
【図3】第1実施例におけるアパーチャ回路の特性図である。
【図4】第3実施例のアパーチャ回路の特性図である。
【図5】デジタル電子カメラの概略構成を示すブロック図である。
【図6】従来の撮像信号処理回路の概略構成を示すブロック図である。
【図7】図6の各色成分補正回路の構成を示すブロック図である。
【図8】撮像素子の色フィルタの色配列を示す図である。
【図9】撮像素子からの撮像信号の読出し方を説明するための説明図である。
【図10】バッファメモリに撮像信号を記憶する際のデータ配置を説明するための概念図である。
【図11】輪郭強調用の回路を付加した従来の撮像信号処理回路の概略構成を示すブロック図である。
【図12】絞り開口値とMTFの関係を示した図である。
【符号の説明】
1…レンズシャッタ
2…光学LPF
3…メカ系駆動回路
4…撮像素子
9…撮像信号処理回路
12…システムコントローラ
13…操作部
15…バッファメモリ
127…アパーチャ選択回路
128,133…デマルチプレクサ
129…第1水平アパーチャ回路
130…第2水平アパーチャ回路
131…第3水平アパーチャ回路
132,137…マルチプレクサ
134…第1垂直アパーチャ回路
135…第2垂直アパーチャ回路
136…第3垂直アパーチャ回路

Claims (6)

  1. 光学像を電気信号に変換する撮像素子を有し、該撮像素子の出力信号を用いてカラー画像信号を形成する第1のモードと、該撮像素子から出力された電気信号を用いて単一色の画像信号を形成する第2のモードとを切換え可能な撮像装置において、
    前記撮像素子から出力された電気信号に基づいて画像信号を形成するに当たって該画像信号の輪郭を強調する際、前記第2のモード時における輪郭強調の強さを前記第1のモード時に比べて強くするようにして輪郭強調を行う輪郭強調手段を備えたことを特徴とする撮像装置。
  2. 光学像を電気信号に変換する撮像素子を有し、該撮像素子の出力信号を用いてカラー画像信号を形成する第1のモードと、該撮像素子から出力された電気信号を用いて単一色の画像信号を形成する第2のモードとを切換え可能な撮像装置において、
    前記撮像素子から出力された電気信号に基づいて画像信号を形成するに当たって該画像信号の輪郭を強調する際、前記第2のモード時における輪郭強調の周波数帯域を前記第1のモード時に比べて高い周波数帯域とするようにして輪郭強調を行う輪郭強調手段を備えたことを特徴とする撮像装置。
  3. 前記輪郭強調手段は、水平アパーチャ回路により構成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の撮像装置。
  4. 前記輪郭強調手段は、垂直アパーチャ回路により構成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の撮像装置。
  5. 前記輪郭強調手段は、水平アパーチャ回路および垂直アパーチャ回路により構成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の撮像装置。
  6. 前記輪郭強調手段は、前記第2のモード時における輪郭強調の周波数帯域をナイキスト周波数の近傍、又はナイキスト周波数以上の帯域とすることを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
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