JP3565736B2 - ビニル系重合体の重合方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビニル系単量体を連続的に塊状重合または溶液重合を行う方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビニル系単量体の連続塊状重合法および連続溶液重合法は、例えば特公昭52−32665号公報、特開平3−111408号公報および特公平7−72213号公報に開示されているように、完全混合型反応槽を用いて反応槽内を十分に攪拌混合しながら、連続的に単量体を含む原料混合物を反応槽に供給しつつ、連続的に反応混合物を抜き出すことにより実施される。また、これらの先行技術はすべて反応槽内に気相部を有しており、気相部を加圧下に維持することにより液相部の発泡を回避して実施されている。しかしながら、反応槽内に気相部をもつ完全混合型反応槽において連続的に重合反応を行う場合には、反応槽に供給する反応原料の供給流量と反応混合物の抜き出し量が全く同じである場合を除いては反応槽内の液量は常に変動している。反応混合物の比重は、通常は反応原料の比重とは一致せず、また経時的に変動するため、反応原料の供給流量と反応混合物の抜き出し量を全く同じにすることは現実的には不可能であり、完全混合型反応槽を用いて連続重合を行う場合、反応槽内の液量は必ず変動する。
【0003】
反応槽内の液量の変動は、重合反応を行うにあたっての滞在時間が変動していることを意味しており、このような滞在時間の変動は重合体含有率の変動、共重合体を製造する場合においては共重合組成の変動、また重合発熱量が常に変化するため重合温度の変動が起こり、その結果重合体の立体規則性が不均一になるため、重合体の品質の低下を招いた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術においては反応槽内の液量の管理方法および管理幅について一切言及されておらず、未だ改良の余地が残った。
【0005】
本発明の目的は、このような従来技術の問題点に鑑み、気相部を有する完全混合型反応槽を用いてビニル系単量体を連続的に重合反応を行うに際し、工業的に有利な方法で、安定にかつ均一な重合体の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、気相部を有する完全混合型反応槽を用いて、ビニル系単量体をラジカル重合開始剤の存在下、連続的に塊状重合法または溶液重合法で重合するに際し、反応槽から反応混合物を一定流量で抜き出しつつ、反応原料の反応槽への供給量を、下記式(1)および式(2)を満足するように調整することにより、反応槽内における反応混合物の液量を管理することを特徴とするビニル系単量体の重合方法である。
(Vmax−Vmin)/(Vmax+Vmin)≦0.05 (1)
Vmax:反応槽内の反応混合物の最大液量[kg]
Vmin:反応槽内の反応混合物の最小液量[kg]
(qmax−qmin)/(qmax+qmin)≦0.1 (2)
qmax:反応原料供給量の最大値[kg/hr]
qmin:反応原料供給量の最小値[kg/hr]
また、もう一つの本発明は、気相部を有する完全混合型反応槽を用いて、ビニル系単量体をラジカル重合開始剤の存在下、連続的に塊状重合法または溶液重合法で重合するに際し、反応原料を一定流量で反応槽に供給しつつ、反応槽からの反応混合物の抜き出し量を、前記式(1)および下記式(3)を満足するように調整することにより、反応槽における反応混合物の液量を管理することを特徴とするビニル系単量体の重合方法である。
(Qmax−Qmin)/(Qmax+Qmin)≦0.15 (3)
Qmax:反応混合物抜き出し量の最大値[kg/hr]
Qmin:反応混合物抜き出し量の最小値[kg/hr]
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の重合方法をさらに詳細に説明する。
【0008】
本発明の方法は、ビニル系単量体をラジカル重合開始剤の存在下で重合を行う場合に適用される。ビニル系単量体以外の単量体の重合反応においては、反応速度における取り扱いが異なることから必ずしも本発明の方法により制御できるとは限らない。本発明の方法が適用できるビニル系単量体としては、例えばアルキル(メタ)アクリレート、スチレン、アクリロニトリル等が挙げられる。本発明の方法により、単量体を単独で用いて単独重合体を製造し、あるいは2種類以上の単量体を混合して用いて共重合体を製造することが可能である。また、本発明の方法は、連続的に塊状重合または溶液重合を行う場合に適用できる。溶液重合の場合は、単量体および重合体と相溶性がよい溶媒を用い均一系で重合反応を行う。用いる溶媒は単量体によって異なるが、例えば単量体がメチルメタクリレートの場合、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、エチルベンゼン、メチルイソブチルケトン、酢酸n−ブチルなどが使用可能である。溶媒の使用量は特に制限されない。
【0009】
本発明の方法は、ラジカル重合開始剤の存在下において重合反応を行うことにより実施される。ラジカル重合開始剤としては有機過酸化物あるいはアゾ化合物を用いることが可能であり、例えば日本油脂(株)、和光純薬(株)の製品カタログに掲載されている有機過酸化物、アゾ化合物が挙げられる。ラジカル開始剤は一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0010】
また、本発明では重合体の分子量を調整する目的で連鎖移動剤としてメルカプタン化合物を添加して重合反応を行うことができる。メルカプタン化合物としては特に限定されるものではないが、例えばn−ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等が好適である。
【0011】
本発明の第一の重合方法では、反応槽から反応混合物を一定流量で抜き出しつつ、単量体およびラジカル重合開始剤に所望により溶媒が加えられてなる反応原料の反応槽への供給量を、下記式(1)および式(2)を満足するように調整することにより反応槽内における反応混合物の液量(以下、反応混合物の液量を適宜「液量」という。)を管理することが重要である。
(Vmax−Vmin)/(Vmax+Vmin)≦0.05 (1)
(qmax−qmin)/(qmax+qmin)≦0.1 (2)
ここで、qmax及びqminの値としては、1分間の積算流量から求められる反応原料の供給量q[kg/hr]のうち、対象とする反応槽運転期間中の最大値、および最小値を用いた。
【0012】
一般に、完全混合型反応槽を含む重合工程で得られた反応混合物は、連続的に熱交換器等を通して200〜270℃に加熱した後、揮発成分分離工程に送られ、揮発成分を除去した後、重合体として製品とされる。また、通常は重合工程と揮発成分分離工程は直結したプロセスとして構成され、反応原料の供給から重合体の取り出しまでを一貫して連続的に運転される。こうした製造プロセスを安定に運転するには、重合工程のみならず揮発成分分離工程を安定に運転することが極めて重要である。
【0013】
揮発成分分離工程を安定に運転するに際しての留意事項は、常に同じ状態で反応混合物を揮発成分分離工程に供給することである。同じ条件として管理すべきは、重合体含有率、反応混合物の供給流量および反応混合物の供給温度の3つが挙げられる。
【0014】
この重合方法では、完全混合型反応槽から反応混合物を例えば抜き出しポンプを用いて常に一定流量で抜き出している。このため、揮発成分分離工程に反応混合物が常に一定流量で供給される。また、揮発成分分離工程への供給流量が一定であることから熱交換器による到達温度がほぼ一定となり、揮発成分分離工程に供給される反応混合物の温度を一定にして運転することが可能となる。
【0015】
さらに、前記式(1)および式(2)を満足するように重合工程を運転管理することにより、反応槽内の液量変動が小さいので重合体含有率の変動を最小限に抑制することが可能となる。
【0016】
反応槽の液量の変動幅が式(1)の範囲を超えて大きい場合には、重合体含有率の変動が大きくなるため揮発成分分離工程の運転が不安定になるばかりか、重合温度の維持も困難となり、共重合の場合には共重合組成の安定した重合体が得にくい。さらに立体規則性が崩れやすく光学性能が低下するといった品質低下をもたらしやすい。(Vmax−Vmin)/(Vmax+Vmin)≦0.03であることが好ましい。
【0017】
また、反応原料の供給量の変動幅が式(2)を超えて大きい場合には、重合温度の変動が大きくなり好ましくない。反応原料の供給量の変動は、反応槽に流入する熱量の変動を意味する。このために重合温度を一定にするための制御が複雑になり、困難を極める。一般に重合温度の制御は、反応槽のジャケット、反応槽内に設置したドラフトチューブあるいはコイル等への熱媒循環による伝熱除熱あるいは加熱、反応原料の温度調整、単量体蒸気の環流冷却等の方法が用いられる。重合温度の変動が重合発熱量の変動に起因するものであれば重合温度の制御は上記方法で可能であるが、重合温度の変動が重合発熱量の変動と反応原料の供給量の2つに起因するものであるとき、変動の周期性が複雑化し管理するのが難しくなる。したがって、反応原料の供給量の変動は可能な限り小さいことが好ましい。(qmax−qmin)/(qmax+qmin)≦0.05であることがより好ましい。
【0018】
式(2)を満足するように運転する方法としては、反応槽の液量の経時変化、及び反応原料の供給量の経時変化を記録し、まず、目標とする反応槽の液量を維持するための反応原料の供給量の平均値を求めることが必要である。該平均値流量値を求めた後は、該平均流量値を基準として式(2)の範囲内で供給することが可能となる。
【0019】
本発明のもう一つの重合方法においては、反応原料を一定流量で反応槽に供給しつつ、反応槽からの反応混合物の抜き出し量を、下記式(1)および式(3)を満足するように調整することにより、反応槽における反応混合物の液量を管理することが重要である。
(Vmax−Vmin)/(Vmax+Vmin)≦0.05 (1)
(Qmax−Qmin)/(Qmax+Qmin)≦0.15 (3)
ここで、Qmax及びQminの値としては、反応原料の供給量qが一定の条件で、反応槽の極大液量及び極小液量と、極大液量及び極小液量を記録した時刻から反応混合物の抜き出し量をそれぞれ求め、対象とする反応槽運転期間中における最も多い抜き出し量及び最も少ない抜き出し量を、それぞれ最大値及び最小値として用いた。
【0020】
この重合方法を重合反応速度論的に考察すると以下のようなことが導き出せる。すなわち、反応槽内は攪拌翼によって十分に攪拌混合が達成されて完全混合モデルが成り立つと考えると下記式(4)および式(5)が成立する。
dV/dt=q−Q (4)
V・d(1−φ)/dt=q−Q・(1−φ)−V・Kp・CI 0.5・(1−φ) (5)
V:反応槽内の液量[m3]
q:反応原料の供給量[m3/hr]
Q:反応液の抜き出し量[m3/hr]
φ:反応液の重合体転化率[−]
Kp:重合速度係数[1/(mol/m3)0.5/hr]
CI:反応液中のラジカル開始剤濃度[mol/m3]
式(4)および式(5)中のdV/dt、d(1−φ)/dtは、それぞれ反応槽における液量の変化速度、重合体転化率の変化速度を表している。ここで、q=Qを仮定すれば、式(4)中のdV/dt=0であり、液量は一定である。しかしながら、実際の運転ではq≠Qであり液量は変動している。
【0021】
そこで、q=一定の条件下で、液量を管理するためにQを変動させる場合を考える。すなわち、式(5)においては、右辺第一項は一定で第二項が変動している場合である。定常運転下においては式(5)中Qはqに等しくはないもののqにかなり近い値であることは間違いない。また、重合体転化率φも変動しているが平均値を例えば0.5とすれば0.5±0.1の範囲に存在すると考えて差し支えない。ここでQの変動幅ΔQが重合体転化率の変化に与える影響を考えると、qに同じ変動幅ΔQを与えた場合、ΔQ全量が重合体転化率の変動に影響するのに対して、Qに与えた場合はΔQ(1−φ)でしか変動を与えないことになる。φ=0.5とすれば、qを変動させる場合に比べると、Qを変動させる場合は重合体転化率の変動は半分になることが示される。重合体転化率の変動が小さくなれば、重合体含有率の変動も小さくなる。
【0022】
このことから、反応原料の供給速度を一定にしたままで、反応混合物の抜き出し量によって反応槽の液量を管理することの方がさらに有利であることが解る。しかし、反応槽の液量を抜き出し量をもって管理すれば重合体含有率の変動は小さくなるが、この液量および抜き出し量の変動がいくら大きくても良いということではない。変化量が大きければ本発明の効果は意味のないものとなる。したがって本発明の効果を十分に発現するためには式(1)および式(3)を満たす範囲をもって管理することが重要である。
【0023】
式(1)は、反応槽の液量の平均値に対して変動幅が10%以内であることを意味している。また、式(3)は、反応混合物の抜き出し量の平均値に対して変動幅が30%以内であることを意味している。反応槽の液量管理に集中するあまり、抜き出し量に急激な変動を与えると次の揮発成分分離工程に変動を与え運転上支障を与える危険が大きくなるためである。(Qmax−Qmin)/(Qmax+Qmin)≦0.1であることが好ましい。
【0024】
式(3)を満足するように運転する方法としては、反応槽の液量の経時変化、及び反応混合物の抜き出し用のギアポンプ回転数の経時変化を記録し、まず、目標とする反応槽の液量を維持するためのギアポンプ回転数の平均値、並びにギアポンプ1回転あたりの抜き出し量を求めることが必要である。該平均回転数を求めた後は、該平均回転数と1回転あたりの抜き出し量を基準として式(3)の範囲内で反応混合物を抜き出すことが可能となる。
【0025】
本発明の重合方法は、いずれも使用する単量体に応じた適切な重合温度を選択して実施されるが、一般に110℃〜170℃の範囲の温度で実質的に一定温度となるように行うことが好ましい。また、好ましい重合体含有率は30重量%〜70重量%である。重合体含有率が低すぎると生産性が低下し工業的に不利となる。また重合体含有率が高すぎるとゲル効果による重合反応の加速現象が著しく反応の制御は困難である。
【0026】
本発明を実施するのに用いられる反応槽は反応原料の供給口および反応混合物の抜き出し口が設けられ、攪拌装置を備えた反応槽であり、攪拌装置は反応域全体にわたる混合性能を持つことが必要である。反応槽内は不活性ガスを用いて加圧状態とし、反応混合物の発泡を抑制する。この操作により、反応槽内の液量の検出が可能となる。液量の検出には、反応槽底部中央にD/Pセルを設置して液高さの差圧を測定することにより管理する方法が好ましい。
【0027】
また、反応原料の供給および反応混合物の抜き出しはポンプを用いて行い、反応原料の流路には流量計を設け、供給量を管理する。抜き出し用のポンプはギアポンプが好ましい。重合反応においては、一般に反応混合物は粘調体であり流量計によって流量を検出することが困難である。
【0028】
また、本発明では、反応原料の供給量、又は反応混合物の抜き出し量は、反応槽の液量を監視しながら手動で設定値を変更してもよく、反応槽の液量のD/Pセル出力値等を該供給量、または抜き出し用のギアポンプ回転数にフィードバックすることにより自動制御してもよい。
【0029】
本発明の方法により重合された反応混合物は、通常、未反応単量体、又は更に溶媒を含む未反応単量体を主成分とする揮発成分分離工程へ連続的に送られ、170〜290℃に加熱した後、揮発成分の大部分を減圧下で連続的に分離除去する。重合体中の残存揮発成分の含有量は、最終的に1重量%以下、好ましくは0.3重量%以下とされる。
【0030】
このようにして製造したビニル系重合体を成形材料として用いる際には、高級アルコール類、高級脂肪酸エステル類等の滑剤を添加することができる。また、必要に応じて紫外線吸収剤、熱安定剤、着色剤、帯電防止剤等を添加することができる。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を実施例によってさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0032】
[実施例1]
精製されたメチルメタクリレート98wt%およびメチルアクリレート2wt%とからなる単量体混合物に対し、n−オクチルメルカプタン0.15モル%(0.22wt%)およびラジカル重合開始剤としてtert−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート1.8×10−3モル%(0.0040wt%)を混合した反応原料を重合温度135℃の攪拌混合されている反応槽に連続的に19〜21kg/hrの流量で供給した。反応混合物の抜き出しは反応槽底部からギアポンプを用いて抜き出し、ポンプの回転数は40rpmで一定とした。反応槽内の液量が80kgとなった時点から反応原料供給量を21kg/hrで2時間運転し、以後、反応原料供給を19kg/hrと21kg/hrでそれぞれ4時間ずつ交互に運転し、100時間連続で運転した。この間の反応槽内の反応混合物の最大液量は82kg、最小液量は78kgであった。
【0033】
連続的に抜き出した反応混合物は引き続きベントエクストルーダに供給して未反応単量体を主成分とする揮発成物を分離除去し、ベントエクストルーダの先端より重合体をストランド状で取り出しペレタイザーに通して重合体ペレットを得た。ベントエクストルーダを通して回収される重合体と揮発成分量から重合体含有率を求め、100時間の運転において20時間おきに測定した結果を表1に示した。また、運転期間中重合温度は反応槽のジャケット温度によって調整を行い、重合温度は135℃±1.5℃で管理することが可能であった。ベントエクストルーダは常時安定に運転することが可能であり、ストランド切れを起こすこともなかった。
【0034】
[比較例1]
反応原料供給量を最初の2時間は24kg/hr、以後、16kg/hrと24kg/hrでそれぞれ4時間ずつ交互に運転した以外は実施例1と同じく100時間連続で運転した。この間の反応槽内の反応混合物の最大液量は88kg、最小液量は72kgであった。20時間おきの測定結果を表1に示した。重合体含有率の変動が大きいのと合わせて、重合温度の変動が大きく、ジャケット温度の調整によっても一定に管理することは難しかった。また、運転期間中ベントエクストルーダ出口におけるストランド切れが10回と多発し、運転継続に苦労した。
【0035】
【表1】
[実施例2]
精製されたメチルメタクリレート98wt%およびメチルアクリレート2wt%からなる単量体混合物に対し、n−オクチルメルカプタン0.15モル%(0.22wt%)およびラジカル重合開始剤としてtert−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート1.8×10−3モル(0.0040wt%)を混合した反応原料を重合温度135℃の攪拌混合されている反応槽に連続的に20kg/hrの一定速度で供給した。
【0036】
反応槽内の液量が80kgとなった時点からギアポンプ回転数38rpmで反応液の抜き出しを2時間行い、以後、42rpmと38rpmでそれぞれ4時間ずつ交互に100時間連続で運転した。この間の反応槽内の反応混合物の最大液量は82kg、最小液量は78kgであった。同じくこの間の反応槽内の反応混合物の極大液量は82kg、4時間後に極小液量が78kgとなり、再び4時間後の極大液量が82kgとなり、以降同様の変化を繰り返したため、反応混合物抜き出し量の最小値を19kg/hr、最大値を21kg/hrとした。
【0037】
連続的に抜き出した反応混合物は引き続きベントエクストルーダに供給して未反応単量体を主成分とする揮発成物を分離除去し、重合体を得た。ベントエクストルーダを通して回収される重合体と揮発成分量から重合体含有率を求め、100時間の運転において20時間おきに測定した結果を表1に示した。また、運転期間中重合温度は反応槽のジャケット温度によって調整したが、ジャケット温度は135±2℃でほとんど操作する必要がなかった。
【0038】
[比較例2]
ギアポンプ回転数を最初の2時間は32rpm、以後、48rpmと32rpmでそれぞれ4時間ずつ交互に運転した以外は実施例1と同じく100時間連続で運転した。この間の反応槽内の反応混合物の最大液量は88kg、最小液量は72kgであった。同じくこの間の反応槽内の反応混合物の極大液量は88kg、4時間後に極小液量が72kgとなり、再び4時間後に極大液量が88kgとなり、以降同様の変動を繰り返したため、反応混合物抜き出し量の最小値を16kg/hr、最大値を24kg/hrとした。20時間おきの測定結果を表2に示した。重合体含有率の変動が大きいのと合わせて、重合温度の変動が大きく、ジャケット温度の調整によっても一定に管理することは難しかった。また、運転期間中ベントエクストルーダのベントアップが7回発生し、運転継続に苦労した。
【0039】
【表2】
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、気相部を有する完全混合型反応槽を用いてビニル系単量体を連続的に重合を行うに際し、重合体含有率、重合温度の変動が小さく安定にかつ均一な重合体を製造することができる。
Claims (2)
- 気相部を有する完全混合型反応槽を用いて、ビニル系単量体をラジカル重合開始剤の存在下、連続的に塊状重合法または溶液重合法で重合するに際し、反応槽から反応混合物を一定流量で抜き出しつつ、反応原料の反応槽への供給量を、下記式(1)および式(2)を満足するように調整することにより、反応槽内における反応混合物の液量を管理することを特徴とするビニル系単量体の重合方法。
(Vmax−Vmin)/(Vmax+Vmin)≦0.05 (1)
Vmax:反応槽内の反応混合物の最大液量[kg]
Vmin:反応槽内の反応混合物の最小液量[kg]
(qmax−qmin)/(qmax+qmin)≦0.1 (2)
qmax:反応原料供給量の最大値[kg/hr]
qmin:反応原料供給量の最小値[kg/hr] - 気相部を有する完全混合型反応槽を用いて、ビニル系単量体をラジカル重合開始剤の存在下、連続的に塊状重合法または溶液重合法で重合するに際し、反応原料を一定流量で反応槽に供給しつつ、反応槽からの反応混合物の抜き出し量を、前記式(1)および下記式(3)を満足するように調整することにより、反応槽における反応混合物の液量を管理することを特徴とするビニル系単量体の重合方法。
(Qmax−Qmin)/(Qmax+Qmin)≦0.15 (3)
Qmax:反応混合物抜き出し量の最大値[kg/hr]
Qmin:反応混合物抜き出し量の最小値[kg/hr]
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