JP3565255B2 - しいたけ菌床の発生水槽 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、しいたけ菌床からきのこ発生させるために使用するしいたけ発生水槽に関する。
【0002】
【従来の技術】
栽培袋の一部を切断して注水により菌床の上面のみを露出させ、その上面のみからきのこを発生させる技術として、特願平9−290387(以下「先行技術」という)が提案されている。
この先行技術は、きのこを菌床上面のみから効果的に且つ継続的に発生させられる利点をもたらす上で旧来からの全面発生方式より優れているが、室内全体の環境をコントロールする必要があるため設備費用がかかり、又栽培袋そのものを使用するため、ピンホールなどもあきやすく、また栽培後期になるとフィルム内部にキノコバエなどの虫が発生しやすい状況となり、全体の菌床を均一に管理することが難しい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、先行技術のかかる難点を解消するためになされたもので、室内全体管理から複数の菌床を納めたステージごとの単位管理に改め、上面のみを露出させた各菌床の水分を適正に保持しするとともに水温の適正なコントロール、水溶液の内容(栄養分)の適正な調整・補給により、優良な品質のきのこを効率的且つ継続的に大量発生させられる方法に直接使用する発生水槽を提供する。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、上流側に給水口2、下流側に排水口3を有する容器本体1と着脱及び位置調節可能の菌床固定枠4とから成るしいたけ菌床の発生水槽である。
【0009】
また、上記発生水槽が多段式に積まれ、各段の容器本体1の上方部位に散水装置7と送風装置8と照明装置9を備えたしいたけ菌床の多段発生水槽である。
【0010】
【発生水槽の実施の形態その一】
本発明に係る発生水槽の実施形態の一例を図1によって示す。
1が縦43cm×横66cm×高さ20cm内寸のステンレススチール製の容器本体で、上流側に給水口2、下流側に排水口3を有する容器本体で、その上面を蓋するごとく調整ボルト・ナット5、6を介して着脱及び位置調整可能なステンレススチール製の格子状を成す菌床固定枠4が取付けられて構成される。
上記中、菌床固定枠4を着脱及び位置調整可能とする手段は、ボルト・ナット5、6のほか、スライド留め方式、多段調整方式など任意に設計可能であることは言うまでもない。
【0011】
【発生水槽の実施の形態その二】
本発明に係る発生水槽の実施形態の他の例を図2によって示す。
上記構成の容器本体1が三段式に積まれ、各段の容器本体1の上方部位に散水装置7と送風装置8と照明装置9(図面では最上段のみに描いて中段、下段は省略)を備えて構成される。
【0012】
【発生方法の実施の形態】
上記三段式の発生水槽を使用してきのこを発生させる方法を図2及び図3に基づいて説明する。
種菌に北研600号を使用して、常法によって殺菌、冷却、接種、20°C±1°Cで80日間、25°Cで81日目から85日目迄培養を行った角型菌床(重量2700g、横20cm×縦12cm×高さ17cm)を裸にしてその12個を、上記構成の各容器本体1内に密接配列する。
そして、上方から菌床固定枠4で押さえ込み、菌床の上面に水がかからない程度の高さに水溶液を満たし、水温25°Cを維持しつつ循環ポンプPを介して14日間環流させた。なお、同図において3a、3bは容器本体1内の水溶液が菌床上面にオーバーフローしないようにするための水位調整のための排水口である。
【0013】
その間、各段の容器本体1の上方部位の散水装置7と送風装置8とにより、菌床上面への送風を行うとともに1日1回の散水を行った。
その後、環流する水溶液の温度を15°Cに低下させて、散水を3日に1回として、菌床上面からのきのこの発生を行った。菌床は次第に体積を縮小させて浮上を伴うこともあるので随時前記菌床固定枠4の高さ位置を調整して押さえ込み効果を持続させるものとする。
なお、室温は、上記方法によりきのこの発生が見られないときあるいは充分でない時は、20°C前後、発生しているときは13°C前後に設定した。
【0014】
上記実施の形態による発生方法(実施例)による成果を、従来の菌床全面露出による発生方法(対照例1)、前掲先行技術の注水による菌床上面露出による発生方法(対照例2)の各成果と比較すると、以下の表1の通りである。
【0015】
【表1】
Figure 0003565255
【0016】
【発明の効果】
上記の結果から明らかなように、対照例1の菌床を裸にした栽培方法に比べ対照例2及び実施例のように菌床上面のみから発生させる方法の方が、ボリュームのある品質のよいきのこを収穫することができる。また収穫の手間が少なく、且つ高単価で販売できるため収益性が非常によい。きのこの総重量も多い。
【0017】
そして対照例2と実施例では、実施例の方が、各ステージごとに単位管理で、一定温度の水溶液を循環させているため、菌床にとってより適切な温度管理をこまめに行うことができるとともに菌床状態にマッチした水溶液の内容(栄養分)の調整・補給が可能となり、結果として発生数量が多い。
【0018】
また、きのこが発生しているときに部屋の温度を下げても、菌床側面は低温にならないから、側面からの発生がなく、発生しているきのこの成育に一番よい温度で室温を管理でき、きのこの品質もさらに向上する。全体の環境をコントロールする必要がある対照例2に比べ設備費用が格安となる。収穫手間もかけないで済む。
以上から、本発明は、優良な品質のきのこを効率的且つ継続的に大量発生させられるものとしてまことに有利な手段である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る発生水槽の斜視図
【図2】本発明に係る多段式の発生水槽の斜視図
【図3】本発明の作業手順を示す略図的斜視図
【符号の説明】
1 容器本体
2 給水口
3 排水口
3a,3b 水位調整のための排水口
4 菌床固定枠
5、6 調整ボルト・ナット
7 散水装置
8 送風装置
9 照明装置

Claims (2)

  1. 上流側に給水口(2)、下流側に排水口(3)を有する容器本体(1)と着脱及び位置調節可能の菌床固定枠(4)とから成るしいたけ菌床の発生水槽。
  2. 請求項1に記載の発生水槽が多段式に積まれ、各段の容器本体(1)の上方部位に、散水装置(7)と送風装置(8)と照明装置(9)を備えたしいたけ菌床の多段発生水槽。
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