JP3565181B2 - 高耐圧ic - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、パワーデバイスの制御駆動用などに用いられる高耐圧ICで、パワーデバイスとは別の半導体基板または同一半導体基板上に形成される高耐圧ICに関する。
【0002】
【従来の技術】
ここでは参考文献が多数あるため、文献名はまとめて番号を付けて〔発明が解決しようとする課題〕の項の最後に記載し、文章中では文献名の番号を[ ]で示すことに留めた。また参考文献のUSP Noの後に( )で示した内容は特許内容を簡単に説明したものである。
【0003】
パワーデバイス[1] 〜[4] は、モータ制御用のインバータやコンバータ、照明用のインバータ、各種電源およびソレノイドやリレーの駆動用スイッチ等の多くの分野で広く利用されている。このパワーデバイスの駆動や制御は、従来個別の半導体素子や電子部品を組み合わせて構成した電子回路[5],[6] によっていたが、近年LSI(高集積度IC、ICとは集積回路のこと)技術を利用した数十V級の低耐圧IC[7],[8] や数百V級の高耐圧IC[9],[10]が実用化されており、さらに駆動・制御回路とパワーデバイスとを同一半導体基板に集積化したパワーIC[11],[12] が用いられインバータやコンバータなどの変換装置の小型化や高信頼性化が図られている。
【0004】
図6はモータ制御用インバータのパワー部分を中心に説明する回路構成図である。三相モータMoを駆動するために用いるパワーデバイス(ここではIGBTであるQ1〜Q6とダイオードであるD1〜D6を示す)はブリッジ回路を構成し同一パッケージに収納されたパワーモジュール[13]の構造をしている。ここでIGBTとは絶縁ゲート型バイポーラトランジスタのことである。主電源VCCは通常直流100〜400Vと高電圧である。主電源VCCの高電位側をVCCH 、低電位側をVCCL と表した場合、VCCH に接続されるIGBTQ1〜Q3を駆動するためには、IGBTのゲート電極の電位はこれよりさらに高電位となるため、駆動回路にはフォトカプラー(PC:Photo Coupler)や高耐圧IC(HVIC:High Voltage Integrated Circuit)が用いられる。駆動回路の入出力端子I/O(Input/Output)は通常マイクロコンピュータへ接続され、そのマイクロコンピュータによりインバータ全体の制御がなされる。
【0005】
図7は図6で用いられる高耐圧IC(HVIC)の内部構成ユニットのブロック図を示す。その構成をつぎに説明する。入出力端子I/Oを通してマイクロコンピュータと信号のやりとりを行い、どのIGBTをオンさせ、どれをオフさせるかの制御信号を発生させる制御回路CU(Control Unit)と、この制御回路CUからの信号を入力ラインSIN4〜6で受けてIGBTのゲートドライブ用の出力ラインOUT4〜6から信号を出力し、またIGBTの過電流を電流検出端子[14]OC4〜6で、過熱を温度端子[15]OT4〜6で検出し、異常信号を出力ラインSOUT4〜6で出力し、図6の主電源VCCの低電位側VCCL に接続するIGBTQ4〜Q6を駆動する、ゲート駆動回路GDU(GateDrive Unit)4〜6と、GDU4〜6と同じ機能で主電源VCCの高電位側VCCH に接続するQ1からQ3を駆動するゲート駆動回路GDU1〜3と、VCCL レベルの制御回路CUの信号とVCCH レベルとVCCL レベルの間を行き来するGDU1〜3の信号(SIN1〜3、SOUT1〜3)との間を媒介する働きをするレベルシフト回路LSU(Level Shift Unit)とから構成されている。GDU1〜3におけるドライブ電源VDD1 〜VDD3 (図8参照)からの高電位側をVDDH1〜VDDH3、低電位側をVDDL1〜VDDL3で示し、GDU4〜6におけるドライブ電源からの共通電源がVDDC (図8でも省略されている)であり、この共通電源VDDC の高電位側をVDDHC、低電位側をVDDLCで示す。またGDU4〜6およびCUにおけるドライブ共通電源VDDC は10〜20V程度であり、この共通電源VDDC の低電位側VDDLCは図6の主電源VCCの低電位側VCCL に接続する。
【0006】
図8は図7のGDU1とIGBTQ1のさらに詳細な接続図を示す。ここではその他のGDUとIGBTは省略している。GDU1のドライブ電源VDD1 は10〜20V程度であり、その低電位側VDDL1はIGBTQ1 のエミッタ端子Eに即ちインバータ出力のU相に接続され、IGBTQ1のコレクタ端子Cが主電源VCCの高電位側VCCH に接続されている。このため、IGBTQ1がオンした時はVDDL1の電位はVCCH の電位とほぼ等しくなり、またIGBTQ1がオフした時はVDDL1の電位はVCCL の電位とほぼ等しくなる。従って、GDU1と他の回路ユニットとの間には主電源VCCの電圧より、さらに高い絶縁耐圧が必要であり、このことはGDU2、3についても同様である。そしてレベルシフト回路LSUはそれ自体が高耐圧でなければならない。同図においてIGBTQ1は電流検出端子[16]Mと温度検出素子θおよび温度検出端子[17]Tempを備え、ゲート駆動回路GDU1は電流検出端子OC1や温度検出端子OT1によりIGBTQ1の異常を検出し、異常信号を出力ラインSOUT1から出力する。OUT1はゲート駆動端子である。
【0007】
図9は図6と同一回路をインテリジェントパワーモジュール[18]と呼ばれる製品を用いて構成した構成図である。この場合ゲート駆動回路GDU1〜GDU6は、低耐圧ICや個別電子部品および半導体素子からなり、パワーデバイス(Q1〜Q6、D1〜D6)とともにパワーデバイス側のパッケージに備えられている。この場合でも、外付けの駆動回路としてはフォトカプラー(PC)や高耐圧IC(HVIC)が用いられる。
【0008】
図10は図9のIGBTQ1およびGDU1のまわりの回路を詳細に示したものである。SIN1およびSOUT1は外部の構成となるPCやHVICに接続される。
またその他の構成例として、GDU1とQ1を1チップ(同一の半導体基板)に集積化するパワーIC技術[19],[20] や図9の全ての回路を1チップに集積化するパワーIC技術[11],[12] も開示されている。
【0009】
図11は図7に示した高耐圧IC(HVIC)のチップの平面図を示し、各回路ユニットの配置が分かるように描いている。他の回路ユニットから高耐圧で分離される必要のあるGDU1は接合分離[21],[22],[10]や誘電体分離[23],[11],[12]により電気的に分離された島の中に形成されており、その周縁部を高耐圧接合終端構造[11],[21] HVJT(絶縁するために高電圧が印加される接合の終端部の構造をいう)により囲まれている。レベルシフト回路LSUの中には主電源VCCの低電位側の電位VCCL レベルの信号をドライブ電源VDD1 の低電位側の電位VDDL1レベルの信号(入力ラインSIN1の信号)にレベルシフトするための高耐圧nチャネルMOSFET(HVN)が設けられている。この高耐圧nチャネルMOSFETには、中心のドレイン電極D を囲んで高耐圧接合終端構造[10],[11] HVJTが設けられている。またGDU1の分離された島の中にはVDDL1レベルの信号(出力ラインSOUT1の信号)をVCCL レベルの信号にレベルシフトするための高耐圧pチャネルMOSFET(HVP)が設けられており、この場合もドレイン電極D を囲んで高耐圧接合終端構造HVJTが設けられている。そして、GDU1の入力ラインSIN1と出力ラインSOUT1が、高耐圧接合終端構造HVJTの上を通ってGDU1とLSUの間にそれぞれ跨がって配線されている。また各GDUには図8で示したOUT端子、OC端子、OT端子が配置され、GDU1〜GDU3にはVDDH1〜VDDH3の端子、VDDL1〜VDDL3の端子が配置され、またGDU4〜GDU6にはVDDHCの端子とVDDLCの端子が配置されている。同図ではGDU1とGDU4の詳細な説明をし、他のGDUは詳細な配置説明は省略した。
【0010】
前記した従来の高耐圧ICやパワーICの課題は600Vを越える高耐圧化が困難なこと、製造コストが高いことなどであるが、さらに詳細に説明すると次のようになる。
(1)分離技術に関する課題
先に述べたように、他の部分と電位の大きく異なる回路ユニット(例えば図11のGDU1、2、3)を他の部分から電気的に高耐圧で分離する分離技術には誘電体分離[11],[12],[23]、接合分離[10],[21],[22]、自己分離[20],[24] などの技術がある。しかし誘電体分離や接合分離は分離構造が複雑で製造コストが高く、耐圧が高くなるほど、この製造コストがさらに高くなる。また自己分離は製造コストは低く抑えられるが、CMOS(相補形MOSFET)構成では高耐圧化技術が未だ開発されておらず、一方、高耐圧化が可能なNMOS(nチャネルMOSFET)構成ではアナログ回路(先で述べた電流検出回路や温度検出回路を指す)の高精度化が極めて困難である。
(2)高耐圧接合終端構造HVJTに関する課題
高耐圧接合終端構造は、縦型パワーデバイス用のもの[25],[26] 、横型高耐圧デバイス用のもの[27],[28],[29]など個々の用途別に各種構造が開示されている。しかしながら、高耐圧化したICであるHVICやパワーデバイスを集積した高耐圧パワーICにおいては、集積回路ユニット間の高耐圧接合終端構造(図11のGDU1〜3の回り)、高耐圧横型nチャネルMOSFET用の高耐圧接合終端構造(図11のHVNのD の回り)、高耐圧横型pチャネルMOSFET用の高耐圧接合終端構造(図11のHVPのD の回り)、さらには縦型パワーデバイス用の高耐圧接合終端構造など多くの用途の高耐圧接合終端構造を同一チップ上に形成する必要がある。従来のような汎用性の少ない構造で高耐圧ICやパワーICを実現しようとすると、多くの異なる高耐圧接合終端構造HVJTを同一チップ上に形成しなければならず、製造コストが高くなる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
信号配線下の高耐圧接合終端構造に関する課題として次のものがある。
高耐圧ICでは、電位の大きく異なる集積回路ユニット(例えば図11のGDU1とLSU)間での信号のやり取りを行うため、高耐圧接合終端構造HVJT上に信号配線を通すことが必要とされる。ところが、高耐圧接合終端構造HVJT上を信号配線を通すとこの信号配線の電位の影響を受けて、高耐圧接合終端構造HVJTの耐圧が低下する問題がある[30]。この問題を解決するために、いくつかの構造[10],[11],[12],[31] が提案されているが、構造が複雑なため製造コストが高くなる。またこれらの提案されている構造では信号配線の影響を皆無にできなく、耐圧低下の程度を少なくしている丈であり、600V程度の耐圧までは実用化できても、それ以上の耐圧のものはまだ実現していない。
【0012】
この発明は、高耐圧接合終端構造HVJT上を信号配線を通すとこの信号配線の電位の影響を受けて、高耐圧接合終端構造HVJTの耐圧が低下するという前記課題を解決し、低コストな高耐圧ICおよびそれに用いる高耐圧レベルシフト回路を提供することを目的とする。
参考文献
〔1〕USP 4,364,073(IGBT関連)
〔2〕USP 4,893,165(ノンパンチスルー形IGBT関連)
〔3〕USP 5,008,725(パワーMOSFET関連)
〔4〕EP 0,071,916、特開昭58−39065に対応( 高速ダイオード内蔵パワーMOSFET関連)
〔5〕USP 5,091,664(駆動回路関連)
〔6〕USP 5,287,023(駆動回路関連)
〔7〕USP 4,947,234(低耐圧ICとパワーデバイス関連)
〔8〕USP 4,937,646(低耐圧ICとパワーデバイス関連)
〔9〕A.Wegener and M.Amato ”A HIGH VOLTAGE INTERFACE IC FOR HALF−BRIDGECIRCUITS” Electrochemical Society Extended Abstracts,vol.89−1,pp.476−478(1989)
〔10〕T.Terashima et al ”Structure of 600V IC and A New Voltage Sensing Device” IEEE Proceeding of the 5th International Symposium on Power Semiconductor Devices and ICs,pp.224−229(1993)
〔11〕K.Endo et al ”A 500V 1A 1−chip Inverter IC with a New Electric Field Reduction Structure” IEEE Proceeding of the 6th International Symposium on Power Semiconductor Devices and ICs,pp.379−383(1994)
〔12〕N.Sakurai et al ”A three−phase inverter IC for AC220V with a drasticall small chip size and highly intelligent functions” IEEE Proceeding of The 5th International Symposium on Power Semiconductor Devices andICs,pp.310−315(1993)
〔13〕M.Mori et al ”A HIGH POWER IGBT MODULE FOR TRACTION MOTOR DRIVE”IEEE Proceeding of the 5th International Symposium on Power Semiconductor Devices and ICs,pp.287−289(1993)
〔14〕USP 5,159,516 (電流検出方法関連)
〔15〕USP 5,070,322 (温度検出方法関連)
〔16〕USP 5,097,302 (電流検出用素子関連)
〔17〕USP 5,304,837 (温度検出用素子関連)
〔18〕K.Reinmuth et al ”Intelligent Power Modules for Driving Systems”IEEE Proceeding of the 6th International Symposium on Power Semiconductor Devices and ICs,pp.93−97(1994)
〔19〕USP 4,677,325 (IPS関連)
〔20〕USP 5,053,838 (IPS関連)
〔21〕R.Zambrano et al ”A New Edge Structure for 2kVolt Power IC Operation” IEEE Proceeding of the 6th International Symposium on Power Semiconductor Devices and ICs,pp.373−378(1994)
〔22〕M.F.Chang et al ”Lateral HVIC with 1200−V Bipolar and Field−Effect Devices”IEEE Transactions on Electron devices,vol.ED−33,No.12,pp.1992−2001(1986)
〔23〕T.Ohoka et al ”A WAFER BONDED SOI STRUCTURE FOR INTELLIGENT POWER ICs” IEEE Proceeding of the 5th International Symposium on Power Semiconductor Devices and ICs,pp.119−123(1993)
〔24〕J.P.MILLER ”A VERY HIGH VOLTAGE TECHNOLOGY(up to 1200V) FOR VERTICAL SMART POEWR ICs” Electrochemical Society Extended Abstracts,vol.89−1,pp.403−404(1989)
〔25〕USP 4,399,449 (パワーデバイスのHVJT関連)
〔26〕USP 4,633,292 (パワーデバイスのHVJT関連)
〔27〕USP 4,811,075 (横型MOSFETのHVJT関連)
〔28〕USP 5,258,636 (横型MOSFETのHVJT関連)
〔29〕USP 5,089,871 (横型MOSFETのHVJT関連)
〔30〕P.K.T.MOK and C.A.T.SALAMA ”Interconnect Induced Breakdown in HVIC’s” Electrochemical Society Extended Abstracts,vol.89−1,pp.437−438(1989)
〔31〕USP 5,043,781 ( パワーIC関連)
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、解決手段として、高電圧電源の高電位側に主端子の一方が接続され、負荷に主端子の他方が接続された1個以上のパワーデバイスのゲートを駆動するための高耐圧ICで、高電圧電源の低電位側を基準とした低電圧電源により電流を供給される低電位側低耐圧回路部分を含む高耐圧のICチップと、前記パワーデバイスの主端子のうちどちらか一方を基準とした低電圧電源により電流が供給される高電位側低耐圧回路部分を含むゲート駆動用のICチップとを備えたハイブリッド型の高耐圧ICであって、前記低電位側低耐圧回路部分と高電位側低耐圧回路部分との間の信号をレベルシフトして伝送するための高耐圧トランジスタを高耐圧ICチップ側に備え、絶縁するために高電圧が印加される接合の終端部の構造がループ状に形成された高耐圧接合終端構造をこの高耐圧トランジスタが備え、この高耐圧トランジスタのドレイン(コレクタ)電極が前記ループ状の高耐圧接合終端構造のループの一方側に、ソース(エミッタ)電極とゲート(ベース)電極とが前記ループ状の高耐圧接合終端構造のループの他方側に配置されたものであって、前記高耐圧トランジスタのドレイン電極から前記高電位側低耐圧回路部分への信号配線が前記高耐圧接合終端構造をまたいで設けられ、かつ、この信号配線が前記高耐圧接合終端構造表面から離れて設ける。そして、前記高耐圧トランジスタが低電位側低耐圧回路部分からの信号を高電位側低耐圧回路部分へレベルシフトして伝送するための高耐圧nチャネルトランジスタであり、ドレイン電極が高耐圧接合終端構造のループの内側であることとする。あるいは、前記高耐圧トランジスタが高電位側低耐圧回路部分からの信号を低電位側低耐圧回路部分へレベルシフトして伝送するための高耐圧pチャネルトランジスタであり、ドレイン電極が高耐圧接合終端構造のループの外側であることとする。更に、個別のICチップが同一プリント板に設置されたこととする。また。高耐圧トランジスタがMOSFETであるとよい。信号配線がボンディングワイヤーであるとよく、高耐圧接合終端構造の低電位側低耐圧回路部分の端と信号配線との距離が100μm以上で5mm以下であると効果的である。
【0014】
尚、文章中の表現でソース、ゲート、ドレインはMOSFETの場合で、括弧で示したエミッタ、ベース、コレクタはその他のトランジスタの場合を示す。
また、「パワーデバイスの主端子のうちどちらか一方を基準とした低電圧電源により電流を供給される高電位側低耐圧回路部分」の文章中で、どちらか一方とは、高電位側のパワーデバイスがnチャネル素子の場合は負荷側が基準となり、pチャネル素子の場合には電源側が基準となることを意味している。ここで基準となるとは、パワーデバイスのソース(エミッタ)電極が基準電位点(通称アース点)となることを意味する。
【0015】
請求項1〜7によれば、信号配線と高耐圧接合終端構造の距離が従来と比較して一桁以上大きくできるので、信号配線と高耐圧接合終端構造との間の空間容量(浮遊容量)が従来より一桁以上小さくなり、従って、信号配線による高耐圧接合終端構造の耐圧低下の影響も従来より一桁以上小さくすることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下の図中の各符号は前記と同様であり、説明は省略する。
図1は第一参考例で、同図(a)は平面図、同図(b)は側面図を示す。高耐圧接合終端構造HVJTが高電位側低耐圧回路であるGDU1〜GDU3と、高耐圧nチャネルMOSFET(HVN)および高耐圧pチャネルMOSFET(HVP)にそれぞれ設けられている。高耐圧nチャネルMOSFET(HVN)および高耐圧pチャネルMOSFET(HVP)は、ドレイン電極が高耐圧接合終端構造HVJTのループの内側に、ソース電極とゲート電極とが高耐圧接合終端構造HVJTのループの外側に配置されている。そして、高耐圧nチャネルMOSFET(HVN)のドレイン電極D とGDU1、高耐圧pチャネルMOSFET(HVP)のドレイン電極D とLSUとがSIN1およびSOUT1でそれぞれ接続される。このSIN1、SOUT1は金線などのボンディングワイヤで形成される。またGDU1〜GDU3の各高耐圧接合終端構造HVJTの外側の端、およびHVN、HVPの各高耐圧接合終端構造HVJTの外側の端とボンディングワイヤとの間隔を100μm以上離すことによって、空間容量(浮遊容量)を従来より1桁小さくできる。またこの間隔は大きいほど空間容量を小さくできるが実用的には5mm程度が最大で、通常1mm程度がよい。ここで外側の端とはGDU1〜GDU3の各高耐圧接合終端構造HVJTおよびHVNの場合は低電位側低耐圧回路と接する箇所、HVPの場合は高電位側低耐圧回路と接する箇所を意味する。
【0017】
図2は第二参考例で、同図(a)は平面図、同図(b)は側面図を示す。高耐圧接合終端構造HVJTがGDU4〜GDU6とCUおよびLSUとで構成される低電位側低耐圧回路、GDU1〜GDU3、高耐圧nチャネルMOSFET(HVN)および高耐圧pチャネルMOSFET(HVP)にそれぞれ設けられ、高耐圧nチャネルMOSFET(HVN)とGDU1、高耐圧pチャネルMOSFET(HVP)とLSUとがSIN1およびSOUT1で接続される。このSIN1、SOUT1は金線などのボンディングワイヤである。またGDU1〜GDU3の各高耐圧接合終端構造HVJTの外側の端、およびHVN、HVPの高耐圧接合終端構造HVJTの外側の端とボンディングワイヤとは100μm以上離すことによって、前記と同様の効果が得られる。
【0018】
図3は第三参考例で、同図(a)は平面図、同図(b)は側面図を示す。高耐圧接合終端構造HVJTがチップ周辺部、GDU1〜GDU3、高耐圧nチャネルMOSFET(HVN)および高耐圧pチャネルMOSFET(HVP)にそれぞれ設けられ、高耐圧nチャネルMOSFET(HVN)とGDU1、高耐圧pチャネルMOSFET(HVP)とLSUとがSIN1およびSOUT1で接続される。このSIN1、SOUT1は金線などのボンディングワイヤである。またGDU1〜GDU3の各高耐圧接合終端構造HVJTの外側の端、およびHVN、HVPの高耐圧接合終端構造HVJTの外側の端とボンディングワイヤとは100μm以上離すことによって、前記と同様の効果が得られる。
【0019】
図4は第一実施例の平面図を示す。図7の高耐圧ICの構成するゲート駆動ユニットICであるGDUIC1〜GDUIC6を個別のベアチップ(裸のチップのこと)で製作し、その他の構成要素であるHVN、HVP、LSU、CUで構成される高耐圧のIC(HV−IC)をそれらとは別のベアチップで製作し、これらのベアチップをプリント板PCB上に配置する。HVNのドレイン電極D とSIN1の一端とボンディングワイヤで接続され、HVPのソース電極S 、ゲート電極G とVDDH1、SOUT1との一端とそれぞれボンディングワイヤで接続される。HVNは、ドレイン電極が高耐圧接合終端構造HVJTの内側で、ソース電極とゲート電極が外側である。 HVPは、ドレイン電極が高耐圧接合終端構造HVJTの外側で、ソース電極とゲート電極が内側である。また、この他図中の円弧はボンディングワイヤでの接続を示している。このボンディングワイヤと高耐圧接合終端構造HVJTとは100μm以上離すことで空間容量を減らす。前記のベアチップの代わりに、当然ながらパッケージに組み立てたものを用いてもよい。また個別チップ化されたGDUIC1〜GDUIC6をインテリジェントパワーモジュール(IPM)内に組み込み、この機能を除いた高耐圧のIC(HV−IC)が組み込まれたプリント板をIPMのケース上に搭載する場合もある。
【0020】
図5は第四参考例で、高耐圧レベルシフト回路図を示す。電圧発生手段であるRN1、RP1、負荷手段であるRN2、RP2には抵抗もしくはデプレツ ションモードのMOSFETなどによる定電流源を用いるのがよい。電圧制限手段であるZN1、ZP1はツェナーダイオードを用いてもよいが、MOSダイオード(MOSFETのソースとゲートを短絡してダイオードとして用いたもの)を用いるほうがツェナー電圧を低く抑えられるので優れている。電流制限手段であるRN3、RP3は抵抗で、この場合、MOSダイオードであるZN1、ZP1に流れる電流を制限するために付加してあるが、流れる電流を制限する必要が無い場合は当然この抵抗は付加しなくても良い。
【0021】
尚、「パワーデバイスの主端子のうちどちらか一方を基準とした低電圧電源により電流を供給される高電位側低耐圧回路部分」の文章中で、どちらか一方とは、高電位側のパワーデバイスがnチャネル素子の場合は負荷側が基準となり、pチャネル素子の場合には電源側が基準となることを意味している。ここで基準となるとは、パワーデバイスのソース(エミッタ)電極が基準電位点(通称アース点)となることを意味する。
【0022】
高耐圧nチャネルもしくはpチャネルトランジスタにはMOSFETが適しているが、JFET(接合型電界効果トランジスタ)、バイポーラトランジスタ、IGBT(絶縁ゲート型トランジスタ)、SIT(静電誘導型トランジスタ)などのトランジスタでもよい。
また信号配線(SIN1、SOUT1など)には金線を用いるがアルミ線でもよい。高耐圧接合終端構造HVJTの信号配線との電位が大きく異なる側と、信号配線との距離が100μm以上あると、信号配線の電位の影響が高耐圧接合終端構造HVJTに殆ど影響を及ぼすことなく、また信号配線と高耐圧接合終端構造HVJT間の放電現象も生じなくなる。
【0023】
【発明の効果】
この発明によると、信号配線による高耐圧接合終端構造の耐圧低下の影響を小さくし、低コストで高性能な高耐圧ICが実現できる。さらにこれらを用いて低コストで高性能なパワーデバイスの駆動回路を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第一参考例で、(a)は平面図、(b)は側面図
【図2】この発明の第二参考例で、(a)は平面図、(b)は側面図
【図3】この発明の第三参考例で、(a)は平面図、(b)は側面図
【図4】この発明の第一実施例の平面図
【図5】この発明の第四参考例の高耐圧レベルシフト回路図
【図6】モータ制御用インバータのパワー部分を中心に説明する回路構成図
【図7】図6で用いられる高耐圧IC(HVIC)の内部構成ユニットのブロック図
【図8】図7のGDU1とIGBTQ1のさらに詳細な接続図
【図9】図6と同一回路をインテリジェントパワーモジュールと呼ばれる製品を用いて構成した構成図
【図10】図9のIGBTQ1およびGDU1のまわりの回路を詳細に示した図
【図11】図7に示した高耐圧IC(HVIC)のチップの平面図
【符号の説明】
HVIC 高耐圧IC
HVJT 高耐圧接合終端構造
DD1 ドライブ電源
S ソース端子
D ドレイン端子
G ゲート端子
Q1 パワーデバイス(IGBT)
Q2 パワーデバイス(IGBT)
Q3 パワーデバイス(IGBT)
Q4 パワーデバイス(IGBT)
Q5 パワーデバイス(IGBT)
Q6 パワーデバイス(IGBT)
D1 パワーデバイス(ダイオード)
D2 パワーデバイス(ダイオード)
D3 パワーデバイス(ダイオード)
D4 パワーデバイス(ダイオード)
D5 パワーデバイス(ダイオード)
D6 パワーデバイス(ダイオード)
Mo モータ
CC 主電源
PC フォトカプラ
I/O 入出力端子
CU 制御回路
LSU レベルシフト回路
GDU1 ゲート駆動回路
GDU2 ゲート駆動回路
GDU3 ゲート駆動回路
GDU4 ゲート駆動回路
GDU5 ゲート駆動回路
GDU6 ゲート駆動回路
SIN 入力ライン
SOUT 出力ライン
DDC 共通電源
DDHC 共通電源の高電位側
DDLC 共通電源の低電位側
DD ドライブ電源
DDH1 ドライブ電源の高電位側
DDH2 ドライブ電源の高電位側
DDH3 ドライブ電源の高電位側
DDL1 ドライブ電源の低電位側
DDL2 ドライブ電源の低電位側
DDL3 ドライブ電源の低電位側
OUT ゲート駆動端子
OC 電流検出端子
OT 温度検出端子
M 電流検出端子(IGBT側)
Temp 温度検出端子(温度検出素子側)
θ 温度検出素子
K カソード
A アノード
U U相
HVN 高耐圧nチャネルMOSFET
HVP 高耐圧pチャネルMOSFET
ドレイン電極
ドレイン電極
ソース電極
ゲート電極

Claims (7)

  1. 高電圧電源の高電位側に主端子の一方が接続され、負荷に主端子の他方が接続された1個以上のパワーデバイスのゲートを駆動するための高耐圧ICで、高電圧電源の低電位側を基準とした低電圧電源により電流を供給される低電位側低耐圧回路部分を含む高耐圧のICチップと、前記パワーデバイスの主端子のうちどちらか一方を基準とした低電圧電源により電流が供給される高電位側低耐圧回路部分を含むゲート駆動用のICチップとを備えたハイブリッド型の高耐圧ICであって、前記低電位側低耐圧回路部分と高電位側低耐圧回路部分との間の信号をレベルシフトして伝送するための高耐圧トランジスタを高耐圧ICチップ側に備え、絶縁するために高電圧が印加される接合の終端部の構造がループ状に形成された高耐圧接合終端構造をこの高耐圧トランジスタが備え、この高耐圧トランジスタのドレイン(コレクタ)電極が前記ループ状の高耐圧接合終端構造のループの一方側に、ソース(エミッタ)電極とゲート(ベース)電極とが前記ループ状の高耐圧接合終端構造のループの他方側に配置されたものであって、前記高耐圧トランジスタのドレイン電極から前記高電位側低耐圧回路部分への信号配線が前記高耐圧接合終端構造をまたいで設けられ、かつ、この信号配線が前記高耐圧接合終端構造表面から離れて設けられたことを特徴とする高耐圧IC。
  2. 前記高耐圧トランジスタが低電位側低耐圧回路部分からの信号を高電位側低耐圧回路部分へレベルシフトして伝送するための高耐圧nチャネルトランジスタであり、ドレイン電極が高耐圧接合終端構造のループの内側であることを特徴とする請求項1に記載の高耐圧IC。
  3. 前記高耐圧トランジスタが高電位側低耐圧回路部分からの信号を低電位側低耐圧回路部分へレベルシフトして伝送するための高耐圧pチャネルトランジスタであり、ドレイン電極が高耐圧接合終端構造のループの外側であることを特徴とする請求項1に記載の高耐圧IC。
  4. 請求項1の個別のICチップが同一プリント板に設置されたことを特徴とする請求項1に記載の高耐圧IC。
  5. 高耐圧トランジスタがMOSFETであることを特徴とする請求項1に記載の高耐圧IC。
  6. 信号配線がボンディングワイヤーであることを特徴とする請求項1に記載の高耐圧IC。
  7. 高耐圧接合終端構造の低電位側低耐圧回路部分の端と信号配線との距離が100μm以上で5mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の高耐圧IC。
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