JP3564538B2 - 応力拡大係数の誤差評価方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、応力拡大係数の誤差評価方法に係り、特に、機械構造物、土木構造物などのインフラストラクチャに欠陥が発見された場合の構造健全性評価に適用可能な応力拡大係数誤差評価指標に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
任意の荷重を受ける構造物中のき裂の健全性評価を行うために、有限要素解析を行い、その結果をもとに応力拡大係数(K値)を評価することが広く行われている。これは、K値の解が存在しない場合に特に有効な手法となるが、その実用にあたっては、得られたK値解の精度判定が重要な課題となる。
【0003】
有限要素解析にて、き裂を含む構造を扱う場合、き裂先端における応力の特異性を表現・評価するために多くの手法が考案されている。この中で有力なものの一つがBarsoumとHenshell、Shawが独立に提案した特異要素を用いて特異性を表し、Traceyの式によりK値を評価する手法(変位法:Displacement CorrelationTechnique,以下DCT)である。この手法の特徴は、比較的粗い要素分割で実用的に十分な精度のK値を得ることが期待できる点にあり、過去において多くの研究者がこの特異要素を用いたK値評価において、K値精度を確保するための特異要素寸法選定に関する研究を行ってきた。しかしながら、現在においては要素寸法のみならず、荷重条件もK値に影響を及ぼすことが指摘され、あらゆる条件を満足する特異要素の最適寸法は存在しないとの見解に至っている。
【0004】
一般に、有限要素解析によるK値の解は、要素数を増加させることによりその精度は向上する。しかし、工学問題である以上(特に、特異要素を用いるメリットを最大限生かすためにも)少ない要素数で十分な精度の解が得られることが望ましく、その実現のためには、一度の解析を通じてK値の解と共にその誤差の程度を見積もることができ、それを踏まえた補正や得られた解の実用的観点からの適否を判断することができれば都合がよい。
【0005】
一般に、弾性問題における有限要素解の誤差評価においてはZienkiewicz、Zhuらが提案したエネルギノルムを用いての誤差指標の考え方を適用することが考えられる。しかしながら、この誤差指標は、K値の次元を持たないため、この指標が小さくなる場合にK値の誤差も小さくなることは期待できても、そのK値の誤差の程度を知ることはできない。
【0006】
その結果、数回の解析によりその収束をみるという性格のものであったため、解析に習熟・労力を要し、結果的に解析に要するコストは大きなものとならざるをえなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、一般に、有限要素解析によるK値の解は、要素数を増加させることによりその精度は向上する。しかしながら、工学問題である以上少ない要素数で十分な精度の解が得られることが望ましく、その実現のためには、一度の解析を通じてK値の解と共にその誤差の程度を見積もることができ、それを踏まえた補正や得られた解の実用的観点からの適否を判断できることが望まれている。
【0008】
そこで、この発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、ただ一度の解析により求めた応力拡大係数中の誤差の程度を評価し、結果的に、精度の高い応力拡大係数を短時間で算出することができる応力拡大係数の誤差評価方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し目的を達成するために、
請求項1に記載の応力拡大係数の誤差評価方法は、
き裂先端を原点とし、き裂の上下面を各々θ=±πとする極座標系(r,θ)において、
き裂の周辺に配置した特異要素を用いて有限要素解析を行い、特異要素上の節点のx、y方向各々の変位U(r,θ)、V(r,θ)を求め、
前記節点変位を用いて、以下の式(1)により所要の応力拡大係数を求め、
【数3】
Figure 0003564538
前記節点変位を用いて、以下の式(2)により誤差指標を求める一連の処理を特異要素数の異なる条件で行い、
【数4】
Figure 0003564538
実際的なθ方向の分割を行ったときの特異要素数の条件で、前記式(1)により求めた所要の応力拡大係数に含まれる誤差を前記式 ( ) により求めた誤差指標により評価する、
ことを特徴とする。
【0010】
この発明の応力拡大係数の誤差評価方法によれば、き裂先端変位場の関数形が既知であり、特異要素についてはこの変位の関数形を一部表現しうること、また応力拡大係数をき裂先端要素の変位のみから評価しうることに着目し、応力拡大係数の次元を有する誤差指標(式(2))を提案するものである。これにより、ただ一度の解析を通じて所要の応力拡大係数KDCTと共にその誤差ΔKDCEを見積もることができ、それを踏まえた補正や得られた解の実用的観点からの適否を判断することができる。したがって、短時間で応力拡大係数を求めるとともにその誤差の程度を評価することが可能であり、精度の高い応力拡大係数を算出することができる。
【0011】
この発明に係る応力拡大係数の誤差評価方法は、大型汎用構造解析ソフトウエアに組み込むことにより有用である。
【0012】
例えば、この発明は、
き裂先端を原点とし、き裂の上下面を各々θ=±πとする極座標系(r,θ)において、
き裂の周辺に配置した特異要素を用いて有限要素解析を行い、特異要素上の節点のx、y方向各々の変位U(r,θ)、V(r,θ)を求め、
前記節点変位を用いて、以下の式(1)により所要の応力拡大係数を求め、
【数5】
Figure 0003564538
前記節点変位を用いて、以下の式(2)により前記式(1)によって求められた所要の応力拡大係数に含まれる誤差を評価する、
【数6】
Figure 0003564538
ことを特徴とする応力拡大係数誤差評価プログラムを記憶した記憶媒体にも適用可能である。
【0013】
また、この発明は、
応力拡大係数誤差評価プログラムを記憶した記憶媒体と、
応力拡大係数の誤差を評価するための所定条件の入力を受け付ける入力手段と、
前記入力手段を介して入力された所定条件に基づいて、前記記憶媒体に記憶した前記応力拡大係数誤差評価プログラムを実行する制御手段と、を備えたシステムであって、
前記制御手段は、前記応力拡大係数誤差評価プログラムに基づいて、
き裂先端を原点とし、き裂の上下面を各々θ=±πとする極座標系(r,θ)において、
き裂の周辺に配置した特異要素を用いて有限要素解析を行い、特異要素上の節点のx、y方向各々の変位U(r,θ)、V(r,θ)を求め、
前記節点変位を用いて、以下の式(1)により所要の応力拡大係数を求め、
【数7】
Figure 0003564538
前記節点変位を用いて、以下の式(2)により前記式(1)によって求められた所要の応力拡大係数に含まれる誤差を評価する、
【数8】
Figure 0003564538
ことを特徴とする応力拡大係数誤差評価プログラムを実行するシステムにも適用可能である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の応力拡大係数の誤差評価方法の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
まず、この発明の応力拡大係数(K値)の誤差評価方法に適用される誤差指標ΔKDCE、すなわち、DCE Index(Displacement Correlation Error Index)の導出過程について説明する。
【0016】
まず、図1に示すように、き裂20の先端を原点、き裂20の上下面を各々θ=±πとする極座標系(r,θ)を考える(ここでは、三角形特異要素数8個の場合を示し、図中の黒丸は要素上の節点を示す)。このとき、x、y方向各々の変位u、vの一般解は、
【数9】
Figure 0003564538
として与えられる。ここで、Gはせん断弾性係数、関数fIun、fIvn、fIIun、fIIvnは次式により与えられ、添字のI、IIは各々モードI、IIに、そしてu、vは各々x、y方向の変位に対応する。モードIとは、き裂20に対してy方向に沿った引っ張り方向の変位に対応し、モードIIとは、き裂20に対してx方向に沿ったせん断方向の変位に対応する。κは平面応力・平面ひずみ両状態に対し,き裂先端の変位を共通の式で表すときに用いる係数に対応し、νをポアッソン比として平面ひずみ場にて(3−4ν)、平面応力場に対して(3−ν)/(1+ν)となる量である。
【0017】
【数10】
Figure 0003564538
【0018】
ここでfIvn、fIIunが奇関数、fIun、fIIvnが偶関数であることより、x軸をはさんで上下対称点の相対変位を考えると、それらは単一のモードで表わされる(モード分離)。
【0019】
【数11】
Figure 0003564538
【0020】
一方、特異要素を用いる有限要素解析では、特異要素の一辺上の変位(U(r,θ)、V(r,θ))を、解析の結果得られたその辺θ=θ上のquarter point(r=L/4)、end point(r=L)の節点変位を用いることにより次式として表わされる。
【0021】
【数12】
Figure 0003564538
【0022】
特異要素についてもU(r,θ)≡U(r,θ)−U(r,−θ)、V(r,θ)≡V(r,θ)−V(r,−θ)を導入することにより、式(3)にならったモード分離を行い次式を得ることができる。
【0023】
【数13】
Figure 0003564538
【0024】
この特異要素を用いた計算結果により、K値を評価する手法は種々あるが、よく用いられるものの一つにTraceyの評価式がある。このK値評価式では、き裂面上(θ=π)で式(5)と変位の一般解式(3)にて級数の第2項までをとる場合と対応づけることにより、K値すなわちKDCTを評価している。具体的には、fIv1(π)=fIIu1(π)=κ+1、AI1=KIDCT/(2π)1/2、AII1=−KIIDCT/(2π)1/2、G’≡(2π/L)1/2G/(1+κ)、とおくことにより、次式が得られる。
【0025】
【数14】
Figure 0003564538
【0026】
この式(6)は、具体的には、次式(6)’に示すように、図1に示す特異要素のき裂20’の上下面における4点b、c、d、eの変位で表すことができる。このとき、点b及び点dは、上述したquarter pointに相当し、点c及び点eは、上述したend pointに相当し、それぞれの座標は、b:(L/4,π)、c:(L,π)、d:(L/4,−π)、e:(L,−π)である。
【0027】
【数15】
Figure 0003564538
【0028】
このとき、KDCTではθ=πに対し、K値を評価しているが、特異要素は、変位の解析解が示すべきθ特性が保証されているわけではないので、他の特異要素の辺上変位からK値を評価する場合のK値は、一般に式(6)で求めたKDCTと異なる。
【0029】
さて、き裂先端の十分に小さい領域を選んだ結果、O(r3/2)以上の高次項の影響が十分小さいとの条件が満足される場合には、式(3)にて級数の第2項まで考えることにより、この領域の変位を十分な精度で表わすことができる。ここで、き裂面上に着目し、fIv2(π)=0、fIIu2(π)=0であることより、式(3)は真のK値、すなわちK、KIIを用いて次のように表わされる。
【0030】
【数16】
Figure 0003564538
【0031】
一方、特異要素のき裂面上のU(r,π)、V(r,π)は、式(6)にて定義したKIDCT、KIIDCTを用いて次式で表わされる。
【0032】
【数17】
Figure 0003564538
【0033】
ここで、有限要素解析(FEA)による各節点の変位は、変位関数に含まれる未定係数(特異要素の場合r1/2、rの項の未定係数)を、エネルギの意味で最適になるように決定して与えられるものであり、真の変位の解が特異要素の変位関数に含まれていない限り、式(8)のr/Lの係数は零とはならない。
【0034】
しかしながら、ここで用いる要素は、適合要素であることから、要素を限りなく小さくしていくとき(r方向だけでなくθ方向の分割も小さくする)、有限要素解は、真の解に近づくので、式(8)の第2項は0に、KDCTは、真の解に収束する。
【0035】
したがって、式(8)の第2項は、K値の誤差の目安となる指標に対応し、式(8)のr/Lの係数に(−G’/2)を乗じてK値の次元を持たせた次のΔKDCEを誤差指標とし、DCE Indexと称することにする。
【0036】
【数18】
Figure 0003564538
【0037】
この誤差指標DCE Indexの特長は、特異要素の変位から直接評価が可能であること、要素を無限に小さくしていくと零に収束すること、さらにK値そのものの次元を持つという点にある。その結果、従来提案されている他の誤差指標にありがちな数回の解析により、その収束をみるという性格のものではないため、ただ一度の解析によりK値誤差を推定することができる。これは、解析に要する労力、結果的にコストを大幅に低減することが可能となる。
【0038】
次に、この誤差指標を用いた応力拡大係数の誤差評価方法の一例について説明する。以下に示す例では、特に、上述した誤差指標ΔKDCEを組み込んだ応力拡大係数誤差評価プログラムを記憶した記憶媒体、及び、この応力拡大係数誤差評価プログラムを実行するシステムについて説明する。
【0039】
図2に示すように、このシステム1は、制御手段として機能するCPU10と、入力手段として機能する入力装置12と、計算結果などを表示する表示装置14と、記憶媒体として機能する記憶装置16を備えて構成されている。この記憶装置16としては、フロッピー(登録商標)ディスクやハードディスクなどの磁気ディスク、コンパクトディスクなどの光ディスク、及び、これらを駆動する駆動装置などを含んで構成されている。
【0040】
記憶装置16は、応力拡大係数誤差評価プログラムなどの他に種々の情報を記憶している。この応力拡大係数誤差評価プログラムは、特異要素を用いた有限要素解析を行うプログラムや、応力拡大係数KDCT及びこの応力拡大係数KDCTに含まれる誤差ΔKDCEを算出するプログラムなどを含んでいる。
【0041】
入力装置12は、応力拡大係数KDCTの誤差ΔKDCEを評価するために必要な所定条件の入力を受け付ける。CPU10は、入力装置12を介して入力された所定条件に基づいて、記憶装置16に記憶された応力拡大係数誤差評価プログラムを実行する。表示装置14は、CPU10により応力拡大係数誤差評価プログラムにしたがって算出された応力拡大係数KDCT、及び算出された応力拡大係数KDCTに含まれる誤差ΔKDCEといった計算結果などを表示する。
【0042】
次に、上述したシステム1において、応力拡大係数誤差評価プログラムに基づいて、応力拡大係数KDCT及びこの応力拡大係数KDCTに含まれる誤差ΔKDCEを算出する方法について図3に示したフローチャートを参照して説明する。
【0043】
すなわち、CPU10は、記憶装置16に記憶される応力拡大係数誤差評価プログラムに基づいて、必要な所定条件の入力を受け付ける(ST1)。このとき、入力される所定条件としては、き裂長さa、特異要素数m、特異要素寸法L、ヤング率Eやポアッソン比νなどの物性値、作用する応力σなどの境界条件、領域分割した接点の座標などである。
【0044】
続いて、CPU10は、き裂周辺に配置した特異要素を用いて有限要素解析を行い、特異要素上の節点のx、y方向各々の変位U(r,θ)、V(r,θ)を求める(ST2)。特に、ここでは、図1に示したように、き裂20の周辺の4点について、有限要素解析を行って変位を求める。
【0045】
続いて、CPU10は、ステップST2において求めた節点変位を用いて、上述した式(6)(実質的に式(6)’と同一)により、所要の応力拡大係数KDCTを求める(ST3)。
【0046】
続いて、CPU10は、ステップST2において求めた節点変位を用いて、上述した式(9)により、ステップST3において求めた所要の応力拡大係数K CTに含まれる誤差ΔKDCEを見積もる(ST4)。
【0047】
続いて、CPU10は、最終的に正しいと思われる応力拡大係数K値をKDCT−ΔKDCEとして推定する(ST5)。
【0048】
次に、解析解が存在する二次元弾性問題に対し、特異要素を用いた有限要素解析を行い、式(6)により求めた応力拡大係数KDCTと、解析解Krefの差Kerror=(KDCT−Kref)を式(9)により求めた誤差ΔKDCEと、を比較した例について説明する。
【0049】
いずれも、ヤング率E=206GPa、ポアッソン比ν=0.3とした。κは平面応力条件として評価した。また、特異要素数mは8から始め16、24、30と増加させ、特異要素寸法比L/aについてはL/aを1/3、1/6、1/12、1/24と変化させた(具体的には特異要素のみを再分割)。
【0050】
図4は、一様引張σ=9.8MPaを受ける幅W=10mm、長さH=2W=20mmの片側き裂はりに無次元き裂長さξ=a/W=0.1、0.3のき裂が存在する場合を示すものであり、図5は、図4の場合についてその各々に対してKIDCTを求め、これと次式KIrefより求まるKIerrorをΔKIDCEと比較した結果(m=16)を示す。
【0051】
【数19】
Figure 0003564538
【0052】
図中、特に説明はしていないが、各a/W毎にL/aに対応する4個のデータがあり、L/aとΔKIDCEの大小関係が対応している。図中、KIerro とΔKIDCEの差は、各点と原点を通る傾き1の直線との垂直方向距離として表され、その最大値はa/W=0.1のL/a=1/3のときの0.0156、すなわちKIrefを基準にしてその1.56%である。
【0053】
L/aを小さくしていくと共にΔKIDCEは減少し、それに従ってKIerrorも減少していくことがわかる。図示の範囲内では、ΔKIDCEは、KIerrorと同程度の値をとるとして良いようであり、上述した応力拡大係数誤差評価プログラムに基づいた計算結果の妥当性を裏付けている。
【0054】
なお、上述した比較例のほかに、種々の条件の異なるケースにおいても同様の検証を行った結果、この発明に係る応力拡大係数の誤差評価方法は、極めて精度が高いことが確認された。
【0055】
上述したように、この発明によれば、特異要素を用いる有限要素解析結果をもとに応力拡大係数(K値)を評価するための誤差評価指標を開発し、これをDCE Indexと名付けた。このDCE Indexは、き裂先端変位場の関数形が既知であり、特異要素についてはこの変位の関数形を一部表現しうること、またK値をき裂先端変位のみから評価しうることに着目し、K値の次元を有する誤差指標として開発したものである。
【0056】
DCE Indexは、K値に含まれる誤差そのものではないが、上述したように解析解が分かっている問題への適用結果によると、DCE Indexは、特に多くの問題で重要となるモードIのK値評価において、実際的なθ方向の分割を用いた有限要素解析により、K値誤差そのものに近い値をとるものとなり、実際的な方法としてそれによるK値補正に有用であることが確認された。
【0057】
したがって、短時間で応力拡大係数KDCTを求めるとともにその応力拡大係数に含まれる誤差ΔKDCEの程度を評価することが可能であり、精度の高い応力拡大係数を算出することができる。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、ただ一度の有限要素解析を通じて所要の応力拡大係数KDCTと共にその誤差をΔKDCEにより見積もることができ、それを踏まえた補正や得られたK値解の実用的観点からの適否を判断することができる。この結果、従来提案されている他の誤差指標にありがちな数回の解析により、その収束をみるという性格のものではないため、ただ一度の解析によりK値誤差を推定することができる。したがって、ただ一度の解析により求めた応力拡大係数KDCTをΔKDCEにより補正することが可能であり、結果的に、精度の高い応力拡大係数(K値)を短時間で算出することが可能な応力拡大係数の誤差評価方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、き裂まわりに8個の三角形特異要素を配置した例を示すもので、節点の位置を示すと同時に変数の定義を示す。
【図2】図2は、この発明の応力拡大係数の誤差評価方法が適用されるシステムの構成を概略的に示すブロック図である。
【図3】図3は、図2に示したシステムに適用される応力拡大係数の誤差評価方法を説明するためのフローチャートである。
【図4】図4は、この発明の適用例を示すものであり、対象とした構造及び荷重条件を示す図である。
【図5】図5は、実際のK値誤差KerrorとK値誤差指標ΔKDCEを比較した図である。
【符号の説明】
1…システム
10…CPU
12…入力装置
14…表示装置
16…記憶装置
20…き裂

Claims (1)

  1. き裂先端を原点とし、き裂の上下面を各々θ=±πとする極座標系(r,θ)において、
    き裂の周辺に配置した特異要素を用いて有限要素解析を行い、特異要素上の節点のx、y方向各々の変位U(r,θ)、V(r,θ)を求め、
    前記節点変位を用いて、以下の式(1)により所要の応力拡大係数を求め、
    Figure 0003564538
    前記節点変位を用いて、以下の式(2)により誤差指標を求める一連の処理を特異要素数の異なる条件で行い、
    Figure 0003564538
    実際的なθ方向の分割を行ったときの特異要素数の条件で、前記式(1)により求めた所要の応力拡大係数に含まれる誤差を前記式 ( ) により求めた誤差指標により評価する、
    ことを特徴とする応力拡大係数の誤差評価方法。
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