JP3564489B2 - 光通信システムおよび光通信方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,第三者に気づかれないように秘密通信する光通信システムおよび光通信方法に関するものである。特に,量子相関性の強い光を使用して秘密通信するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来,秘密に通信する方法は,情報を暗号化して行なうのが一般的であり,送信側と受信側で暗号鍵を用意して解読する方法でなされている。あるいは,情報スペクトルをスペクトル拡散することにより情報を検出できないようにして送信する方法がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
送信側と受信側で暗号鍵を用意して解読する方法は,暗号鍵の管理等複雑で,あった。本発明は,暗号情報,暗号鍵等の管理等の情報管理が不要な,ハードウェア管理のみで秘密通信を行なうことができ,スペクトル拡散法より秘密性が高く,原理の異なる光通信システムおよび通信方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本出願人は,光パラメトック発振器により安定で,高出力の量子相関性の高いコヒーレント光の発振に成功した。そこで,この高出力の安定性の高いコヒーレント光ビームを使用して,秘密通信する光通信システムを開発した。
【0005】
図8は本発明で使用する光パラメトリック発振器を示す。図8において,80はポンプ光生成部であって,ポンプ光の光源であり,YAGレーザとその第2高調波発生装置により構成されるものである。81はKTPの結晶である。82,83は凹面ミラーであって,凹面に部分反射膜84,85を形成したものである。
【0006】
図8の構成において,ポンプ光生成部80は,532nmの第2高調波を発生し,凹面ミラー82を介してKTP81に入射する。KTPの結晶81において,凹面ミラー82と83の間で,反射を繰り返し,パラメトリック過程によりシグナル光ωs とアイドラ光ωi が発生する。TYPEIIのKTPの場合,ωs ,ωi は偏光面が直交している。
【0007】
光パラメトリック発振器で発生したシグナル光とアイドラ光の間には強い量子相関性がある。そのようなビーム間の光振幅差の揺らぎは量子雑音以下になり,片方のビームに埋もれた量子雑音以下の情報は,光ビームの量子相関性を利用して外部に信号として取り出すことができる。そのように光ビームの量子雑音の中に埋め込まれた情報は,一方の光ビームのみでは他人は情報を検出することができない。受信側では,秘密情報を埋め込んだ光ビームと対の量子相関性の高い光ビームを使用して,光ビームの雑音を除去し,情報を取り出すことができる。光ビームの一部を取り出そうとすると,その光の量子相関性が壊れるため,第三者により秘密情報を取り出すことは不可能である。そのため,量子相関性のある光ビームを使用することにより秘密に通信を行なうことが可能である。
【0008】
図1は,本発明の基本構成を示す図である。
【0009】
図1(a)は本発明の基本装置構成を示す。
【0010】
図1(a)において,1は送信側装置である。2は光ビーム対生成部であって,量子相関性の高い光ビーム対を生成するものである。3は光変調部であって,秘密に通信するための秘密情報により生成された電気信号,磁気信号,圧力信号等の物理的信号(以後,秘密信号と称する)により光ビーム対の一方の光ビームAを光変調するものである。6は秘密情報入力部であって,秘密情報を入力し秘密信号に変換するものである。
【0011】
10は受信側装置である。11は雑音除去部であって,送信側装置1から送られる量子相関性の高い,秘密信号で変調された光ビームAと変調されていない光ビームBを受光し,電気信号に変換して,光ビームAに含まれる雑音を除去し,秘密信号を取り出すものである。12は秘密情報出力部であって,秘密信号を出力するものである。13は光−電気変換部である。
【0012】
図1(a)の構成の動作を説明する。
【0013】
光ビーム対生成部2は,量子相関性の高い光ビーム対(光ビームA,光ビームB)を生成する。光変調部3は,光ビーム対生成部2で生成された量子相関性の高い光ビーム対の一方である光ビームAを,秘密情報入力部6で入力された秘密情報をもとに生成された秘密信号により光変調する。送信側装置1は光ビームAと光ビームBを受信側装置に送信する。
【0014】
受信側装置10は,送信側装置から送られる光ビームAと光ビームBを受光する。雑音除去部11は,光ビームAおよび光ビームBを光−電気変換部13でそれぞれ電気信号Aおよび電気信号Bに変換する。そして,電気信号Aと電気信号Bに含まれる量子雑音の量子相関性を利用して,例えば,電気信号Aと電気信号Bの差をとる等で光ビームAから変換した電気信号Aに含まれる量子雑音を除去する。秘密信号で変調されていた光ビームAは量子雑音を除去されることにより秘密信号が残される。そこで,秘密情報出力部12はその信号を出力する。
【0015】
図1(b),図1(c)は,本発明の秘密通信の原理説明図である。
【0016】
図1(b)において,横軸は周波数であり,縦軸はノイズレベルを表す。Nはショットノイズレベルであり,光ビーム対をもとに変換した電気信号のもつノイズレベルである。Mは電気信号Aと電気信号Bの量子雑音を除去したあとのノイズレベルである。光ビームAは周波数Fの秘密信号Pで変調されている。
【0017】
図1(c)は光ビームAと光ビームBの光振幅差をとった後の信号のノイズレベルを表し,秘密信号で変調された光ビームAの信号スペクトルである。
【0018】
図1(b)と図1(c)で示されるように,量子相関性の高い光ビーム対をもとに光ビームAと光ビームBについて光振幅差を取った場合には,光ビームAのショットノイズは除去され,信号Sが得られる。
【0019】
従って,送信側装置において,ショットノイズレベル以下の秘密信号Pで光ビームAを変調すれば,その秘密信号Pはショットノイズ以下の大きさの信号なので,雑音に埋もれる。そのため,光ビームA(もしくは電気信号A)のみモニターしただけでは,その信号の存在は検出することができない。この結果,秘密信号Pの存在を,他人に知られずに送信側装置に送信できる。
【0020】
一方,受信側装置では,秘密信号Pで変調された光ビームAと光ビームBの量子相関性の高いことを利用して,光ビームAの雑音を除去することにより,図1(c)に示すように,秘密信号Pを含む信号Sを取り出すことができる。
【0021】
本発明によれば,特に暗号を用意することなく秘密通信を行なうことができる。特別な通信管理を必要とすることなく,ハードウェア管理のみにより秘密通信を行なうことが可能になる。また,スペクトル拡散通信より秘密性が高い原理の異なる秘密通信方法を実現できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
図2は本発明の実施の形態1を示す図である。本発明の送信側装置から受信側装置への光伝送は空気等の大気空間,宇宙空間等の真空空間等の空間伝送あるいは光ファイバ等の光通信用のケーブル(以後光通信ケーブルと称する)等の有線のいずれによっても行なうことができる。あるいは,空間伝送と光通信ケーブルの組合せによって行なうことも可能である。
【0023】
本発明の実施の形態1は,空気中の大気空間を伝送する場合を例として示す。また,光ビーム対の発生に光パラメトリック発振器を使用する場合を例として説明する。
【0024】
図2において,1は送信側装置である。2は光ビーム対生成部であって,例として光パラメトリック発振器を示す。21はポンプ光生成部であって,YAGレーザ装置である。本実施の形態ではその第2高調波(532nm)を利用する。22はλ/2波長板であり,ポンプ光生成部21から出力される光を減衰調整するものである。23は光アソレータ(ISO)である。24はλ/2波長板であり,光パラメトリック発振器へのポンプ光の偏光を結晶軸に対して調整するものである。
【0025】
光ビーム対生成部2(以後,光パラメトリック発振器2として説明する)において,26はKTPであり,TYPEIIのKTP結晶である。27は凹面ミラーである。光パラメトリック発振器2において,シグナル光ωs とアイドラ光ωi の光ビーム対が発生する。TYPEIIのKTPで構成した場合には,ωs ,ωi の偏光は直交する。本実施例形態では,ωs ,ωi がほぼ同じ波長の1064nm近傍になるように結晶軸を選んでいる。
【0026】
28はλ/2波長板であり,光パラメトリック発振器2の出力光の偏光面のPBS(29)に対する角度を調整するものである。29は偏光ビームスプリッタ(PBS)であって,互いに直交している光ビーム対のうちの一方(アイドラ光)を光ビーム出力部37に出射し,他方(シグナル光)を光変調部30の側に出射するものである。
【0027】
30は光変調部であって,シグナル光を秘密信号31で変調するものである。光変調部30は,例えば,EOM(電気光学効果を利用した変調器),AOM(音響光学効果を利用した変調器),MOM(磁気光学効果を利用した変調器)等により構成され,秘密信号31によりシグナル光を振幅変調する。
【0028】
36は光出力部であって,光変調されたシグナル光を大気空間に出射するものである。37は光出力部であって,アイドラ光を大気空間に出射するものである。
【0029】
10は受信側装置である。51は光入力部であって,送信側装置1から大気中を送られてきた光ビームを受光するものである。52は光入力部であって,送信側装置1から大気中を送られてきた光ビームを受光するものである。32はフォトダイオードであって,光入力部51で受光された光ビームを電気信号に変換するものである。35はフォトダイオードであって,光入力部52で受光された光ビームを電気信号に変換するものである。33は増幅器であって,フォトダイオード32で変換された電気信号を増幅する低雑音増幅器である。34は増幅器であって,フォトダイオード35で変換された電気信号を増幅する低雑音増幅器である。
【0030】
53は差信号検出器であって,電気信号Aと電気信号Bとの振幅の差をとるものである。差信号検出器53は,差動回路であり,例えば,差動増幅器,あるいは180度ハイブリッドジァンクション等を使用する。54は増幅器であって,差信号検出器53の出力を増幅するものである。55はスペクトルアナライザであって,差信号検出器53の出力のスペクトルを観測するものである。
【0031】
56はローカル発振器であって,増幅器54の出力信号と混合するための信号である。58はローパスフィルタであって,信号混合部で混合された信号のうちの低周波成分を通過させるものである。59はオシロスコープであって,ローパスフィルタを通過した低周波成分を観測するものである。
【0032】
図2の構成の動作を説明する。
【0033】
ポンプ光生成部21はレーザ光を発生する。その第2高調波成分(532nm)をλ/2波長板22,ISO(23(光アイソレータ)),λ/2波長板24,レンズ系25を介して,光パラメトリック発振器2に入射する。λ/2波長板22はポンプ光生成部21の発生する入射光を減衰調整してISO23に入射する。光パラメトリック発振器2において,ポンプ光ωP を入射することにより,KTP26の一端に形成された反射膜と凹面ミラー27との間で反射を繰り返し,光パラメトリック発振器によりシグナル光成分ωS とアイドラ光成分ωi が発生する。λ/2波長板24はポンプ光の偏光を調整する。
【0034】
光パラメトリック発振器2で用いる非線型結晶は,はTYPEIIのKTP結晶でシグナル光とアイドラ光は偏光面が互いに直交している。このような光に対しては,波長板28を用いて通過する光の偏光面の角度を調整することにより偏光ビームスプリッタ29によりシグナル光とアイドラ光を分離することができる。
【0035】
PBS(29)に入射するシグナル光とアイドラ光の偏光面の角度が,PBS(29)においてシグナル光とアイドラ光が互いに直角な方向に出射されるような角度になるように,λ/2波長板28により偏光角度を調整する。その結果,PBS29に入射されたアイドラ光はPBS29で直角に曲げられ,光出力部37を介して,大気空間に出射される。
【0036】
一方,シグナル光はPBS29を直進し,光変調部30に入射される。光変調部30は,例えば,EOM(電気信号変調器)であって,秘密信号31を電極に印加してシグナル光を変調する。秘密信号で変調されたシグナル光は光出力部36を介して,大気空間に出射される。
【0037】
光入力部51で受光されたシグナル光はフォトダイオード32で電気信号Aに変換され,増幅器33で増幅される。また,光入力部52で受光されたアイドラ光は,フォトダイオード35で電気信号Bに変換され,増幅器34で増幅される。電気信号Aと電気信号Bは,差信号検出器53で振幅差が取られ,雑音が除去され,電気信号Aに含まれる秘密信号が取り出される。
【0038】
差信号検出器53で取り出された,秘密信号は増幅器54で増幅され,ローカル発振器56からのローカル信号と信号混合部57で周波数混合される。そして秘密信号の周波数とローカル発振器の周波数との差の信号成分がローパスフィルター58により取り出され,秘密情報が得られる。
【0039】
例えば,秘密信号を10MHzとし,ローカル発振周波数を9.95MHzとするとローパスフィルタ58を50KHzの信号が通過し,秘密信号として出力することができる。
【0040】
なお,上記説明においては,光パラメトリック発振器2をTYPEIIの非線型結晶(KTP等)により構成し,PBS29によりシグナル光とアイドラ光を分離する場合について説明したが,光パラメトリック発振器2をTYPE Iの非線型結晶(KTP等)により構成した場合には,シグナル光とアイドラ光の電界の偏光面は同じ面になる。そのため,PBS29により,シグナル光とアイドラ光を分離することができない。このような場合には,シグナル光とアイドラ光の周波数の違いを利用し,プリズム等を使用して分離する。あるいはシグナル光は通過するがアイドラ光は反射するような反射膜を形成したビームスプリッタあるいはフィルタにより分離する。
【0041】
非線型結晶として,上記実施の形態ではKTPを例として説明したが,本発明では,その他LiNbO3 ,KDP,Ba2 NaNb5 O15,CO(NH2 )2 ,BBO等が使用できる。また,ポンプ用光源も,YAGレーザ装置を使用する場合について説明したが,光ビーム対生成用非線型結晶に応じて,Nd3+:CaWO4 ,Nd3+:glass,ruby,Ar+ ,Ti:Sapphire等のレーザ装置が使用できる。
【0042】
上記実施の形態では,送信側装置から受信側装置への光伝送を大気中を伝送する場合について,説明したが,変調光および変調されていない側の光をそれぞれ光通信ケーブルを使用して送信しても良い。あるいは一方のみを光通信ケーブルで行ない,他方は大気中を空間伝送するようにしてもよい。例えば,秘密情報で変調したシグナル光は盗聴されにくいように光通信ケーブルで送信し,他方のアイドラ光は大気中を空間伝送するようにしても良い。
【0043】
図3は,本発明の実施の形態の光変調方法の説明図である。
【0044】
図3は,変調器としてEOMを使用する場合の変調方法を示す。
【0045】
図3において,71は電気光学効果結晶(LiNbO3 等)であって,電極に印加された電圧により入射光の偏光面を回転させるものである。72および73は電極である。74は偏光子である。
【0046】
y方向に電気光学効果結晶に入射したシグナル光(直線偏光)は,電極72に印加される秘密信号の電圧に応じて偏光面が回転して,楕円偏光して出射される。偏光子74を通過する光は入射される楕円偏光の形により透過率が変わるので,その出射光の光強度は印加電圧に応じて変わり,光強度変調される。
【0047】
本発明で利用できる変調器は,上記のEOMのほか,音響信号により光強度を変調するAOM,磁気による光強度を変調するMOM等が光通信で使用できるものであればどのようなものを使用しても良い。
【0048】
上記の説明では,変調方式について,振幅変調で説明したが,周波数変調,位相変調等光通信で用いられるものが使用できる。スペクトル拡散通信方式を使用すれば,キャリアが全く見えなくなり,信号が雑音により良く埋もれ秘匿度が高くなる。
【0049】
図4は本発明における量子雑音レベルと信号レベルの関係を示す図である。
【0050】
図4において,横軸は周波数であり,縦軸はノイズレベルを示す。
【0051】
Aはショットノイズレベルである。Bは秘密信号の信号レベルを示す。秘密信号は10MHzである。
【0052】
図4において,Aは光ビーム対のそれぞれのショットノイズレベルを示す。Bは量子相関性の良いビーム対で振幅差をとった時の振幅差のノイズレベルである。本発明においては,秘密信号の信号レベルはその大きさがショットノイズレベルAより大きくならないように変調を加えるようにする。
【0053】
図5は本発明の実施の形態の信号波形の例を示す。図5(a)は,秘密信号を量子雑音の中に埋め込んだ信号の例を示す。秘密信号は10MHzである。
【0054】
図5(b)は,秘密信号周波数10MHzをローカル信号周波数9.95MHzで周波数混合し,ローパスフィルターで50KHz成分を取り出した秘密信号を示す。
【0055】
図6は本発明の実施の形態2を示す。
【0056】
図6(a)は,送信側装置において,送信信号に量子雑音レベルより高いレベルのマーカ信号を搬送波としてのせ,受信側装置で,復調したマーカ信号のS/N比を測定することにより盗聴の有無を判定することができるようにしたものである。
【0057】
図6(b)は量子雑音を除去する前の量子雑音レベルと信号レベルの関係を示す。図6(c)は,量子雑音を除去した後の信号レベルを示す。
【0058】
図6(a)において,1は送信側装置である。2は光ビーム対生成部である。3は光変調部であって,秘密情報とマーカ信号を変調するものである。10は受信側装置である。13は光−電気変換部Aであり,光変調されている光ビームAを電気信号Aに変換するものである。14は光−電気変換部Bであり,光ビームBを電気信号に変換するものである。53は差信号検出器である。82’はS/N比判定部であって,復調したマーカのS/N比を判定するものである。
【0059】
図6(a),(b),(c)を参照して,本発明の実施の形態2を説明する。
【0060】
送信側装置1における秘密情報の光変調部3と受信側装置10における復調までの動作は,前述の場合と同じであるので説明を省略する。
【0061】
送信側装置1において,光変調部3でマーカ信号を変調する。マーカ信号は量子雑音レベルより,大きくとっておく。
【0062】
図6(b),(c)において,Kはマーカ信号の周波数であり,76はマーカの周波数スペクトルを表す。Mは電気信号Aと電気信号Bの振幅差をとったあとのノイズレベルであり,盗聴がない場合を示す。M’は盗聴があった場合の信号のノイズレベルを示す。Nは量子雑音レベルである。盗聴されていない場合には,電気信号Aと電気信号Bの量子相関性が良いので,両者の振幅差をとったあとのノイズレベルMは小さく,S/N比は良い(図6(c)の信号のノイズレベルM参照)。盗聴があると,電気信号Aと電気信号Bの量子相関性が悪くなり,両者の振幅差をとっても,量子雑音が除去されず,電気信号Aと電気信号Bの振幅差をとったあとのノイズレベルが高くなり,マーカのS/N比が悪くなる(図6(c)の信号のノイズレベルM’参照)。
【0063】
従って,盗聴マーカとして信号にキャリアをのせておけば,そのキャリアのS/N比が想定される損失分より劣化しているかどうかをS/N比判定部82’で判定することにより,盗聴の有無を判定することができる。
【0064】
図7は,本発明の実施の形態3と実施の形態4を示す。
【0065】
図7(a)は本発明の実施の形態3であり,発光素子Aと発光素子Bとにより量子相関性の高い光を生成するものである。
【0066】
光パラメトリック発振器以外でも量子相関性の高い光は生成することができる。例えば,レーザダイオードあるいは発光ダイオードを複数個直列に接続しておき,安定度の極めて高い電流源を使用して駆動することにより直列に接続した発光素子から量子相関性のある光を発光することが可能である。
【0067】
図7(a)はこのように光ビーム対を発生させる構成を示す。95は発光素子Aであって,レーザダイオードもしくは発光ダイオードである。96は発光素子Bであって,レーザダイオードもしくは発光ダイオードである。97は電流源であった,ゆらぎの極めて小さい,安定度の高い電流源である。
【0068】
図7(b)は,本発明の実施の形態4であって,送信する光ビームを一本にして送信する場合の構成を例示する。
【0069】
光変調された光ビームと変調されていない光ビームを送信側装置において合成し,秘密情報を含む一本の光ビームにより空間伝送,あるいは一本の光通信ケーブルにより,受信側装置に送信することができる。受信側装置で光ビームを光分離し,量子相関性を利用して量子雑音を除去し,秘密情報を取り出すことができる。
【0070】
図7(b)では送信側装置1から受信側装置10への光伝送は大気中を空間伝送により行なっているが,偏光面保存光ファイバ等の伝送する光の偏光面がくずれないような通信ケーブルを使用すれば,光通信ケーブルにより伝送することもできる。
【0071】
図7(b)において,1は送信側装置である。2は光ビーム対生成部である。29は光分離器(図2のPBS29に同じ)であって,光ビーム対生成部2の発生する光ビームを光ビームAと光ビームBに分離するものである。3は光変調部であって,秘密情報で光ビームAを光変調するものである。29’は光合成器であって,光変調された光ビームAと光ビームBを合成して,一本の光ビームにするものである(例えば,PBSを使用する)。
【0072】
10は受信側装置である。85は光分離部であり,受光した光ビーム93から,偏光A(92)と偏光B(93)を分離するものである。13は光−電気変換部Aであって,光ビームA(92)を電気信号Aに光−電気変換するものである。14は光−電気変換部Bであって,光ビーム光B(93)を電気信号Bに光−電気変換するものである。61,62はそれぞれ増幅器A,増幅器Bであって,それぞれ増幅するものである。53は差信号検出器である。
【0073】
図7(b)の構成の動作を説明する。
【0074】
光ビーム対生成部2は 光ビームAと光ビームBの光ビーム対を生成する。光分離器29は一本の光ビームを光ビームAと光ビームBに分離する。光変調部3は,秘密情報で光ビームA(92)を変調する。光合成器29’は,秘密情報で変調された光ビームAと光ビームBを一本の光ビーム91に合成する。一本の光ビームは空間伝送もしくは光通信ケーブルにより受信側装置10に送信される。そして,受信側装置10は光ビームAと光ビームBを含む光ビーム91を受光する。光分離部85は光ビーム91を光ビームA(92)と光ビームB(93)に分離する。光−電気変換部A(13)は光ビームA(92)を電気信号Aに変換する。光−電気変換部B(14)は光ビームB(93)を電気信号Bに変換する。さらに,増幅器A(61)と増幅器B(62)でそれぞれ秘密情報で変調されている電気信号Aと変調されていない電気信号Bを増幅する。差信号検出器53は電気信号Aと電気信号Bの振幅差をとり,量子雑音を除去する。差信号検出器53から量子雑音を除去された秘密情報を含む電気信号Aが出力される。
【0075】
なお,図7(b)では,光ビーム対を光分離器で分離して2本の光ビームにし,一方を光変調するようにしているが,光ビーム対を光分離しないで一本の光ビームのまま,一方の偏光(偏光A)を光変調器で変調し,光変調された偏光Aと偏光Bを含む一本の光ビームを受信側装置に出射するようにしても良い。
【0076】
また,図7(b)では,光ビーム対生成部は光ビームAと光ビームBを含む一本の光ビームを生成し,光分離器で光分離するようにしているが,例えば,図7(a)のような装置構成で光ビームAと光ビームBの光ビーム対を生成すれば,光分離器29はなくても良い。
【0077】
【発明の効果】
本発明によれば,量子相関性の良い光ビーム対の量子相関性を利用して,秘密通信することができる。本発明は,ハードウェアの管理のみで秘密通信を行なうことができる。本発明は,他の秘密通信のように,暗号を使用して通信するものでないので,暗号鍵の管理等の煩雑な処理を必要としない。またスペクトル拡散法より高い秘密性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1を示す図である。
【図3】本発明の光変調方法の実施の形態を示す図である。
【図4】本発明の量子雑音レベルと信号レベルの関係を示す図である。
【図5】本発明の信号波形の例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態2を示す図である。
【図7】本発明の本発明の実施の形態3と実施の形態4を示す図である。
【図8】光パラメトリック発振器の例を示す図である。
【符号の説明】
1:送信側装置
2:光ビーム対生成部
3:光変調部
10:受信側装置
11:雑音除去部
12:秘密情報出力部
13:光−電気変換部
Claims (6)
- ポンプ光を非線形光学媒質に入射して生成される量子相関性のある光ビームAと光ビームBよりなる光ビーム対を生成する光ビーム対生成部と,該光ビームAを秘密情報により変調する光変調部とを備え,量子雑音以下の信号レベルの信号により光ビームAを変調し,該秘密情報を含む信号により変調された光ビームAと該光ビームBとを出射する送信側装置とを備え,
受信側装置は,前記光ビームAと光ビームBを受信し,該光ビームAを電気信号に変換する光−電気変換部Aと該光ビームBを電気信号に変換する光−電気変換部Bと,光−電気変換部Aと光−電気変換部Bとの差をとる差信号検出器とを備え,
該光ビームAと該光ビームBの量子相関性を利用して該光ビームAに含まれる雑音を除去することにより光ビームAに含まれる秘密情報を出力することを特徴とする光通信システム。 - 前記非線形光学媒質を備える光ビーム生成部は,ポンプ光を入射して光パラメトリック過程により光ビーム対を発生する光パラメトリック発振器を含むものであり,光ビームAは光パラメトリック信号のシグナル光もしくはアイドラ光の一方であり,光ビームBはシグナル光もしくはアイドラ光の他方であることを特徴とする請求項1に記載の光通信システム。
- 送信側装置は,該光ビーム対生成部の発生する光ビーム対を光ビームAと光ビームBに分離し,二本のビームにする光分離部と,分離された光ビームAと光ビームBを合成する光合成器を備え,
前記光分離部により分離された光ビームAを量子雑音以下の信号レベルの信号で変調し,該光合成器により該変調された光ビームAと光ビームBを合成し,一本の光ビームとして出射することを特徴とする請求項1又は2に記載の光通信システム。 - 送信側装置において,盗聴の有無を判定するためのマーカ信号を光ビームAに光変調し,受信側装置は受信信号のS/N比判定部を備え,該マーカ信号のS/N比を判定することにより盗聴の有無を判定することを特徴とする請求項1,2又は3に記載の光通信システム。
- 送信側装置は,ポンプ光を非線形光学媒質に入射することにより量子相関性のある光ビームAと光ビームBの光ビーム対を発生し,該光ビームAを量子雑音以下の信号レベルの信号により秘密情報として変調し,該光ビームAと該光ビームBを出射し,
受信側装置は,光ビームAと光ビームBを受光し,該光ビームAと該光ビームBに光分離し,該光ビームAを電気信号Aに変換し,該光ビームBを電気信号Bに変換し,該電気信号Aと該電気信号Bの差をとることにより量子相関性を利用して雑音を除去することにより,秘密情報を出力することを特徴とする光通信方法。 - 送信側装置は非線形光学媒質により生成される光ビームAと光ビームBを分離し,二本のビームにし,該光ビームAを量子雑音以下の信号レベルの信号により変調し,該変調された光ビームAと光ビームBを合成することにより一本のビームとし,送信側に出射することを特徴とする請求項5に記載の光通信方法。
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