JP2002033718A - 光通信システムおよび光通信方法 - Google Patents

光通信システムおよび光通信方法

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JP2002033718A
JP2002033718A JP2000216809A JP2000216809A JP2002033718A JP 2002033718 A JP2002033718 A JP 2002033718A JP 2000216809 A JP2000216809 A JP 2000216809A JP 2000216809 A JP2000216809 A JP 2000216809A JP 2002033718 A JP2002033718 A JP 2002033718A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ハードウェア管理のみで秘密通信を行なうこと
のできる光通信システムおよび光通信方法を提供するこ
とを目的とする。 【解決手段】量子相関性のある光ビームAと光ビームB
を含む光ビーム対生成部と,光ビームAを秘密情報によ
り変調する光変調部とを備え,光ビームAと該光ビーム
Bとを出射する送信側装置と,光ビームAと光ビームB
を受光し,光ビームAと光ビームBの量子相関性を利用
して光ビームAに含まれる雑音を除去し,秘密情報を出
力する受信側装置とを備え,秘密通信する構成をもつ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,第三者に気づかれ
ないように秘密通信する光通信システムおよび光通信方
法に関するものである。特に,量子相関性の強い光を使
用して秘密通信するものである。
【0002】
【従来の技術】従来,秘密に通信する方法は,情報を暗
号化して行なうのが一般的であり,送信側と受信側で暗
号鍵を用意して解読する方法でなされている。あるい
は,情報スペクトルをスペクトル拡散することにより情
報を検出できないようにして送信する方法がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】送信側と受信側で暗号
鍵を用意して解読する方法は,暗号鍵の管理等複雑で,
あった。本発明は,暗号情報,暗号鍵等の管理等の情報
管理が不要な,ハードウェア管理のみで秘密通信を行な
うことができ,スペクトル拡散法より秘密性が高く,原
理の異なる光通信システムおよび通信方法を提供するこ
とを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本出願人は,光パラメト
ック発振器により安定で,高出力の量子相関性の高いコ
ヒーレント光の発振に成功した。そこで,この高出力の
安定性の高いコヒーレント光ビームを使用して,秘密通
信する光通信システムを開発した。
【0005】図8は本発明で使用する光パラメトリック
発振器を示す。図8において,80はポンプ光生成部で
あって,ポンプ光の光源であり,YAGレーザとその第
2高調波発生装置により構成されるものである。81は
KTPの結晶である。82,83は凹面ミラーであっ
て,凹面に部分反射膜84,85を形成したものであ
る。
【0006】図8の構成において,ポンプ光生成部80
は,532nmの第2高調波を発生し,凹面ミラー82
を介してKTP81に入射する。KTPの結晶81にお
いて,凹面ミラー82と83の間で,反射を繰り返し,
パラメトリック過程によりシグナル光ωs とアイドラ光
ωi が発生する。TYPEIIのKTPの場合,ωs ,ω
i は偏光面が直交している。
【0007】光パラメトリック発振器で発生したシグナ
ル光とアイドラ光の間には強い量子相関性がある。その
ようなビーム間の光振幅差の揺らぎは量子雑音以下にな
り,片方のビームに埋もれた量子雑音以下の情報は,光
ビームの量子相関性を利用して外部に信号として取り出
すことができる。そのように光ビームの量子雑音の中に
埋め込まれた情報は,一方の光ビームのみでは他人は情
報を検出することができない。受信側では,秘密情報を
埋め込んだ光ビームと対の量子相関性の高い光ビームを
使用して,光ビームの雑音を除去し,情報を取り出すこ
とができる。光ビームの一部を取り出そうとすると,そ
の光の量子相関性が壊れるため,第三者により秘密情報
を取り出すことは不可能である。そのため,量子相関性
のある光ビームを使用することにより秘密に通信を行な
うことが可能である。
【0008】図1は,本発明の基本構成を示す図であ
る。
【0009】図1(a)は本発明の基本装置構成を示
す。
【0010】図1(a)において,1は送信側装置であ
る。2は光ビーム対生成部であって,量子相関性の高い
光ビーム対を生成するものである。3は光変調部であっ
て,秘密に通信するための秘密情報により生成された電
気信号,磁気信号,圧力信号等の物理的信号(以後,秘
密信号と称する)により光ビーム対の一方の光ビームA
を光変調するものである。6は秘密情報入力部であっ
て,秘密情報を入力し秘密信号に変換するものである。
【0011】10は受信側装置である。11は雑音除去
部であって,送信側装置1から送られる量子相関性の高
い,秘密信号で変調された光ビームAと変調されていな
い光ビームBを受光し,電気信号に変換して,光ビーム
Aに含まれる雑音を除去し,秘密信号を取り出すもので
ある。12は秘密情報出力部であって,秘密信号を出力
するものである。13は光−電気変換部である。
【0012】図1(a)の構成の動作を説明する。
【0013】光ビーム対生成部2は,量子相関性の高い
光ビーム対(光ビームA,光ビームB)を生成する。光
変調部3は,光ビーム対生成部2で生成された量子相関
性の高い光ビーム対の一方である光ビームAを,秘密情
報入力部6で入力された秘密情報をもとに生成された秘
密信号により光変調する。送信側装置1は光ビームAと
光ビームBを受信側装置に送信する。
【0014】受信側装置10は,送信側装置から送られ
る光ビームAと光ビームBを受光する。雑音除去部11
は,光ビームAおよび光ビームBを光−電気変換部13
でそれぞれ電気信号Aおよび電気信号Bに変換する。そ
して,電気信号Aと電気信号Bに含まれる量子雑音の量
子相関性を利用して,例えば,電気信号Aと電気信号B
の差をとる等で光ビームAから変換した電気信号Aに含
まれる量子雑音を除去する。秘密信号で変調されていた
光ビームAは量子雑音を除去されることにより秘密信号
が残される。そこで,秘密情報出力部12はその信号を
出力する。
【0015】図1(b),図1(c)は,本発明の秘密
通信の原理説明図である。
【0016】図1(b)において,横軸は周波数であ
り,縦軸はノイズレベルを表す。Nはショットノイズレ
ベルであり,光ビーム対をもとに変換した電気信号のも
つノイズレベルである。Mは電気信号Aと電気信号Bの
量子雑音を除去したあとのノイズレベルである。光ビー
ムAは周波数Fの秘密信号Pで変調されている。
【0017】図1(c)は光ビームAと光ビームBの光
振幅差をとった後の信号のノイズレベルを表し,秘密信
号で変調された光ビームAの信号スペクトルである。
【0018】図1(b)と図1(c)で示されるよう
に,量子相関性の高い光ビーム対をもとに光ビームAと
光ビームBについて光振幅差を取った場合には,光ビー
ムAのショットノイズは除去され,信号Sが得られる。
【0019】従って,送信側装置において,ショットノ
イズレベル以下の秘密信号Pで光ビームAを変調すれ
ば,その秘密信号Pはショットノイズ以下の大きさの信
号なので,雑音に埋もれる。そのため,光ビームA(も
しくは電気信号A)のみモニターしただけでは,その信
号の存在は検出することができない。この結果,秘密信
号Pの存在を,他人に知られずに送信側装置に送信でき
る。
【0020】一方,受信側装置では,秘密信号Pで変調
された光ビームAと光ビームBの量子相関性の高いこと
を利用して,光ビームAの雑音を除去することにより,
図1(c)に示すように,秘密信号Pを含む信号Sを取
り出すことができる。
【0021】本発明によれば,特に暗号を用意すること
なく秘密通信を行なうことができる。特別な通信管理を
必要とすることなく,ハードウェア管理のみにより秘密
通信を行なうことが可能になる。また,スペクトル拡散
通信より秘密性が高い原理の異なる秘密通信方法を実現
できる。
【0022】
【発明の実施の形態】図2は本発明の実施の形態1を示
す図である。本発明の送信側装置から受信側装置への光
伝送は空気等の大気空間,宇宙空間等の真空空間等の空
間伝送あるいは光ファイバ等の光通信用のケーブル(以
後光通信ケーブルと称する)等の有線のいずれによって
も行なうことができる。あるいは,空間伝送と光通信ケ
ーブルの組合せによって行なうことも可能である。
【0023】本発明の実施の形態1は,空気中の大気空
間を伝送する場合を例として示す。また,光ビーム対の
発生に光パラメトリック発振器を使用する場合を例とし
て説明する。
【0024】図2において,1は送信側装置である。2
は光ビーム対生成部であって,例として光パラメトリッ
ク発振器を示す。21はポンプ光生成部であって,YA
Gレーザ装置である。本実施の形態ではその第2高調波
(532nm)を利用する。22はλ/2波長板であ
り,ポンプ光生成部21から出力される光を減衰調整す
るものである。23は光アソレータ(ISO)である。
24はλ/2波長板であり,光パラメトリック発振器へ
のポンプ光の偏光を結晶軸に対して調整するものであ
る。
【0025】光ビーム対生成部2(以後,光パラメトリ
ック発振器2として説明する)において,26はKTP
であり,TYPEIIのKTP結晶である。27は凹面ミ
ラーである。光パラメトリック発振器2において,シグ
ナル光ωs とアイドラ光ωiの光ビーム対が発生する。
TYPEIIのKTPで構成した場合には,ωs ,ωi
偏光は直交する。本実施例形態では,ωs ,ωi がほぼ
同じ波長の1064nm近傍になるように結晶軸を選ん
でいる。
【0026】28はλ/2波長板であり,光パラメトリ
ック発振器2の出力光の偏光面のPBS(29)に対す
る角度を調整するものである。29は偏光ビームスプリ
ッタ(PBS)であって,互いに直交している光ビーム
対のうちの一方(アイドラ光)を光ビーム出力部37に
出射し,他方(シグナル光)を光変調部30の側に出射
するものである。
【0027】30は光変調部であって,シグナル光を秘
密信号31で変調するものである。光変調部30は,例
えば,EOM(電気光学効果を利用した変調器),AO
M(音響光学効果を利用した変調器),MOM(磁気光
学効果を利用した変調器)等により構成され,秘密信号
31によりシグナル光を振幅変調する。
【0028】36は光出力部であって,光変調されたシ
グナル光を大気空間に出射するものである。37は光出
力部であって,アイドラ光を大気空間に出射するもので
ある。
【0029】10は受信側装置である。51は光入力部
であって,送信側装置1から大気中を送られてきた光ビ
ームを受光するものである。52は光入力部であって,
送信側装置1から大気中を送られてきた光ビームを受光
するものである。32はフォトダイオードであって,光
入力部51で受光された光ビームを電気信号に変換する
ものである。35はフォトダイオードであって,光入力
部52で受光された光ビームを電気信号に変換するもの
である。33は増幅器であって,フォトダイオード32
で変換された電気信号を増幅する低雑音増幅器である。
34は増幅器であって,フォトダイオード35で変換さ
れた電気信号を増幅する低雑音増幅器である。
【0030】53は差信号検出器であって,電気信号A
と電気信号Bとの振幅の差をとるものである。差信号検
出器53は,差動回路であり,例えば,差動増幅器,あ
るいは180度ハイブリッドジァンクション等を使用す
る。54は増幅器であって,差信号検出器53の出力を
増幅するものである。55はスペクトルアナライザであ
って,差信号検出器53の出力のスペクトルを観測する
ものである。
【0031】56はローカル発振器であって,増幅器5
4の出力信号と混合するための信号である。58はロー
パスフィルタであって,信号混合部で混合された信号の
うちの低周波成分を通過させるものである。59はオシ
ロスコープであって,ローパスフィルタを通過した低周
波成分を観測するものである。
【0032】図2の構成の動作を説明する。
【0033】ポンプ光生成部21はレーザ光を発生す
る。その第2高調波成分(532nm)をλ/2波長板
22,ISO(23(光アイソレータ)),λ/2波長
板24,レンズ系25を介して,光パラメトリック発振
器2に入射する。λ/2波長板22はポンプ光生成部2
1の発生する入射光を減衰調整してISO23に入射す
る。光パラメトリック発振器2において,ポンプ光ωP
を入射することにより,KTP26の一端に形成された
反射膜と凹面ミラー27との間で反射を繰り返し,光パ
ラメトリック発振器によりシグナル光成分ωS とアイド
ラ光成分ωi が発生する。λ/2波長板24はポンプ光
の偏光を調整する。
【0034】光パラメトリック発振器2で用いる非線型
結晶は,はTYPEIIのKTP結晶でシグナル光とアイ
ドラ光は偏光面が互いに直交している。このような光に
対しては,波長板28を用いて通過する光の偏光面の角
度を調整することにより偏光ビームスプリッタ29によ
りシグナル光とアイドラ光を分離することができる。
【0035】PBS(29)に入射するシグナル光とア
イドラ光の偏光面の角度が,PBS(29)においてシ
グナル光とアイドラ光が互いに直角な方向に出射される
ような角度になるように,λ/2波長板28により偏光
角度を調整する。その結果,PBS29に入射されたア
イドラ光はPBS29で直角に曲げられ,光出力部37
を介して,大気空間に出射される。
【0036】一方,シグナル光はPBS29を直進し,
光変調部30に入射される。光変調部30は,例えば,
EOM(電気信号変調器)であって,秘密信号31を電
極に印加してシグナル光を変調する。秘密信号で変調さ
れたシグナル光は光出力部36を介して,大気空間に出
射される。
【0037】光入力部51で受光されたシグナル光はフ
ォトダイオード32で電気信号Aに変換され,増幅器3
3で増幅される。また,光入力部52で受光されたアイ
ドラ光は,フォトダイオード35で電気信号Bに変換さ
れ,増幅器34で増幅される。電気信号Aと電気信号B
は,差信号検出器53で振幅差が取られ,雑音が除去さ
れ,電気信号Aに含まれる秘密信号が取り出される。
【0038】差信号検出器53で取り出された,秘密信
号は増幅器54で増幅され,ローカル発振器56からの
ローカル信号と信号混合部57で周波数混合される。そ
して秘密信号の周波数とローカル発振器の周波数との差
の信号成分がローパスフィルター58により取り出さ
れ,秘密情報が得られる。
【0039】例えば,秘密信号を10MHzとし,ロー
カル発振周波数を9.95MHzとするとローパスフィ
ルタ58を50KHzの信号が通過し,秘密信号として
出力することができる。
【0040】なお,上記説明においては,光パラメトリ
ック発振器2をTYPEIIの非線型結晶(KTP等)に
より構成し,PBS29によりシグナル光とアイドラ光
を分離する場合について説明したが,光パラメトリック
発振器2をTYPE Iの非線型結晶(KTP等)により
構成した場合には,シグナル光とアイドラ光の電界の偏
光面は同じ面になる。そのため,PBS29により,シ
グナル光とアイドラ光を分離することができない。この
ような場合には,シグナル光とアイドラ光の周波数の違
いを利用し,プリズム等を使用して分離する。あるいは
シグナル光は通過するがアイドラ光は反射するような反
射膜を形成したビームスプリッタあるいはフィルタによ
り分離する。
【0041】非線型結晶として,上記実施の形態ではK
TPを例として説明したが,本発明では,その他LiN
bO3 ,KDP,Ba2 NaNb5 15,CO(N
2 2,BBO等が使用できる。また,ポンプ用光源
も,YAGレーザ装置を使用する場合について説明した
が,光ビーム対生成用非線型結晶に応じて,Nd3+:C
aWO4 ,Nd3+:glass,ruby,Ar+ ,T
i:Sapphire等のレーザ装置が使用できる。
【0042】上記実施の形態では,送信側装置から受信
側装置への光伝送を大気中を伝送する場合について,説
明したが,変調光および変調されていない側の光をそれ
ぞれ光通信ケーブルを使用して送信しても良い。あるい
は一方のみを光通信ケーブルで行ない,他方は大気中を
空間伝送するようにしてもよい。例えば,秘密情報で変
調したシグナル光は盗聴されにくいように光通信ケーブ
ルで送信し,他方のアイドラ光は大気中を空間伝送する
ようにしても良い。
【0043】図3は,本発明の実施の形態の光変調方法
の説明図である。
【0044】図3は,変調器としてEOMを使用する場
合の変調方法を示す。
【0045】図3において,71は電気光学効果結晶
(LiNbO3 等)であって,電極に印加された電圧に
より入射光の偏光面を回転させるものである。72およ
び73は電極である。74は偏光子である。
【0046】y方向に電気光学効果結晶に入射したシグ
ナル光(直線偏光)は,電極72に印加される秘密信号
の電圧に応じて偏光面が回転して,楕円偏光して出射さ
れる。偏光子74を通過する光は入射される楕円偏光の
形により透過率が変わるので,その出射光の光強度は印
加電圧に応じて変わり,光強度変調される。
【0047】本発明で利用できる変調器は,上記のEO
Mのほか,音響信号により光強度を変調するAOM,磁
気による光強度を変調するMOM等が光通信で使用でき
るものであればどのようなものを使用しても良い。
【0048】上記の説明では,変調方式について,振幅
変調で説明したが,周波数変調,位相変調等光通信で用
いられるものが使用できる。スペクトル拡散通信方式を
使用すれば,キャリアが全く見えなくなり,信号が雑音
により良く埋もれ秘匿度が高くなる。
【0049】図4は本発明における量子雑音レベルと信
号レベルの関係を示す図である。
【0050】図4において,横軸は周波数であり,縦軸
はノイズレベルを示す。
【0051】Aはショットノイズレベルである。Bは秘
密信号の信号レベルを示す。秘密信号は10MHzであ
る。
【0052】図4において,Aは光ビーム対のそれぞれ
のショットノイズレベルを示す。Bは量子相関性の良い
ビーム対で振幅差をとった時の振幅差のノイズレベルで
ある。本発明においては,秘密信号の信号レベルはその
大きさがショットノイズレベルAより大きくならないよ
うに変調を加えるようにする。
【0053】図5は本発明の実施の形態の信号波形の例
を示す。図5(a)は,秘密信号を量子雑音の中に埋め
込んだ信号の例を示す。秘密信号は10MHzである。
【0054】図5(b)は,秘密信号周波数10MHz
をローカル信号周波数9.95MHzで周波数混合し,
ローパスフィルターで50KHz成分を取り出した秘密
信号を示す。
【0055】図6は本発明の実施の形態2を示す。
【0056】図6(a)は,送信側装置において,送信
信号に量子雑音レベルより高いレベルのマーカ信号を搬
送波としてのせ,受信側装置で,復調したマーカ信号の
S/N比を測定することにより盗聴の有無を判定するこ
とができるようにしたものである。
【0057】図6(b)は量子雑音を除去する前の量子
雑音レベルと信号レベルの関係を示す。図6(c)は,
量子雑音を除去した後の信号レベルを示す。
【0058】図6(a)において,1は送信側装置であ
る。2は光ビーム対生成部である。3は光変調部であっ
て,秘密情報とマーカ信号を変調するものである。10
は受信側装置である。13は光−電気変換部Aであり,
光変調されている光ビームAを電気信号Aに変換するも
のである。14は光−電気変換部Bであり,光ビームB
を電気信号に変換するものである。53は差信号検出器
である。82’はS/N比判定部であって,復調したマ
ーカのS/N比を判定するものである。
【0059】図6(a),(b),(c)を参照して,
本発明の実施の形態2を説明する。
【0060】送信側装置1における秘密情報の光変調部
3と受信側装置10における復調までの動作は,前述の
場合と同じであるので説明を省略する。
【0061】送信側装置1において,光変調部3でマー
カ信号を変調する。マーカ信号は量子雑音レベルより,
大きくとっておく。
【0062】図6(b),(c)において,Kはマーカ
信号の周波数であり,76はマーカの周波数スペクトル
を表す。Mは電気信号Aと電気信号Bの振幅差をとった
あとのノイズレベルであり,盗聴がない場合を示す。
M’は盗聴があった場合の信号のノイズレベルを示す。
Nは量子雑音レベルである。盗聴されていない場合に
は,電気信号Aと電気信号Bの量子相関性が良いので,
両者の振幅差をとったあとのノイズレベルMは小さく,
S/N比は良い(図6(c)の信号のノイズレベルM参
照)。盗聴があると,電気信号Aと電気信号Bの量子相
関性が悪くなり,両者の振幅差をとっても,量子雑音が
除去されず,電気信号Aと電気信号Bの振幅差をとった
あとのノイズレベルが高くなり,マーカのS/N比が悪
くなる(図6(c)の信号のノイズレベルM’参照)。
【0063】従って,盗聴マーカとして信号にキャリア
をのせておけば,そのキャリアのS/N比が想定される
損失分より劣化しているかどうかをS/N比判定部8
2’で判定することにより,盗聴の有無を判定すること
ができる。
【0064】図7は,本発明の実施の形態3と実施の形
態4を示す。
【0065】図7(a)は本発明の実施の形態3であ
り,発光素子Aと発光素子Bとにより量子相関性の高い
光を生成するものである。
【0066】光パラメトリック発振器以外でも量子相関
性の高い光は生成することができる。例えば,レーザダ
イオードあるいは発光ダイオードを複数個直列に接続し
ておき,安定度の極めて高い電流源を使用して駆動する
ことにより直列に接続した発光素子から量子相関性のあ
る光を発光することが可能である。
【0067】図7(a)はこのように光ビーム対を発生
させる構成を示す。95は発光素子Aであって,レーザ
ダイオードもしくは発光ダイオードである。96は発光
素子Bであって,レーザダイオードもしくは発光ダイオ
ードである。97は電流源であった,ゆらぎの極めて小
さい,安定度の高い電流源である。
【0068】図7(b)は,本発明の実施の形態4であ
って,送信する光ビームを一本にして送信する場合の構
成を例示する。
【0069】光変調された光ビームと変調されていない
光ビームを送信側装置において合成し,秘密情報を含む
一本の光ビームにより空間伝送,あるいは一本の光通信
ケーブルにより,受信側装置に送信することができる。
受信側装置で光ビームを光分離し,量子相関性を利用し
て量子雑音を除去し,秘密情報を取り出すことができ
る。
【0070】図7(b)では送信側装置1から受信側装
置10への光伝送は大気中を空間伝送により行なってい
るが,偏光面保存光ファイバ等の伝送する光の偏光面が
くずれないような通信ケーブルを使用すれば,光通信ケ
ーブルにより伝送することもできる。
【0071】図7(b)において,1は送信側装置であ
る。2は光ビーム対生成部である。29は光分離器(図
2のPBS29に同じ)であって,光ビーム対生成部2
の発生する光ビームを光ビームAと光ビームBに分離す
るものである。3は光変調部であって,秘密情報で光ビ
ームAを光変調するものである。29’は光合成器であ
って,光変調された光ビームAと光ビームBを合成し
て,一本の光ビームにするものである(例えば,PBS
を使用する)。
【0072】10は受信側装置である。85は光分離部
であり,受光した光ビーム93から,偏光A(92)と
偏光B(93)を分離するものである。13は光−電気
変換部Aであって,光ビームA(92)を電気信号Aに
光−電気変換するものである。14は光−電気変換部B
であって,光ビーム光B(93)を電気信号Bに光−電
気変換するものである。61,62はそれぞれ増幅器
A,増幅器Bであって,それぞれ増幅するものである。
53は差信号検出器である。
【0073】図7(b)の構成の動作を説明する。
【0074】光ビーム対生成部2は 光ビームAと光ビ
ームBの光ビーム対を生成する。光分離器29は一本の
光ビームを光ビームAと光ビームBに分離する。光変調
部3は,秘密情報で光ビームA(92)を変調する。光
合成器29’は,秘密情報で変調された光ビームAと光
ビームBを一本の光ビーム91に合成する。一本の光ビ
ームは空間伝送もしくは光通信ケーブルにより受信側装
置10に送信される。そして,受信側装置10は光ビー
ムAと光ビームBを含む光ビーム91を受光する。光分
離部85は光ビーム91を光ビームA(92)と光ビー
ムB(93)に分離する。光−電気変換部A(13)は
光ビームA(92)を電気信号Aに変換する。光−電気
変換部B(14)は光ビームB(93)を電気信号Bに
変換する。さらに,増幅器A(61)と増幅器B(6
2)でそれぞれ秘密情報で変調されている電気信号Aと
変調されていない電気信号Bを増幅する。差信号検出器
53は電気信号Aと電気信号Bの振幅差をとり,量子雑
音を除去する。差信号検出器53から量子雑音を除去さ
れた秘密情報を含む電気信号Aが出力される。
【0075】なお,図7(b)では,光ビーム対を光分
離器で分離して2本の光ビームにし,一方を光変調する
ようにしているが,光ビーム対を光分離しないで一本の
光ビームのまま,一方の偏光(偏光A)を光変調器で変
調し,光変調された偏光Aと偏光Bを含む一本の光ビー
ムを受信側装置に出射するようにしても良い。
【0076】また,図7(b)では,光ビーム対生成部
は光ビームAと光ビームBを含む一本の光ビームを生成
し,光分離器で光分離するようにしているが,例えば,
図7(a)のような装置構成で光ビームAと光ビームB
の光ビーム対を生成すれば,光分離器29はなくても良
い。
【0077】
【発明の効果】本発明によれば,量子相関性の良い光ビ
ーム対の量子相関性を利用して,秘密通信することがで
きる。本発明は,ハードウェアの管理のみで秘密通信を
行なうことができる。本発明は,他の秘密通信のよう
に,暗号を使用して通信するものでないので,暗号鍵の
管理等の煩雑な処理を必要としない。またスペクトル拡
散法より高い秘密性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1を示す図である。
【図3】本発明の光変調方法の実施の形態を示す図であ
る。
【図4】本発明の量子雑音レベルと信号レベルの関係を
示す図である。
【図5】本発明の信号波形の例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態2を示す図である。
【図7】本発明の本発明の実施の形態3と実施の形態4
を示す図である。
【図8】光パラメトリック発振器の例を示す図である。
【符号の説明】
1:送信側装置 2:光ビーム対生成部 3:光変調部 10:受信側装置 11:雑音除去部 12:秘密情報出力部 13:光−電気変換部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H04B 10/152 10/142 10/04 10/06 Fターム(参考) 2K002 AA02 AB12 BA03 CA02 CA03 CA04 DA01 HA21 5F072 AB01 KK05 KK11 KK30 QQ03 YY15 5J104 AA01 HA09 NA00 5K002 AA01 AA02 AA03 AA04 CA02 CA07 CA16 FA03

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 量子相関性のある光ビームAと光ビーム
    Bよりなる光ビーム対を生成する光ビーム対生成部と,
    該光ビームAを秘密情報により変調する光変調部とを備
    え,該光ビームAと該光ビームBとを出射する送信側装
    置と,該光ビームAと該光ビームBを受光し,該光ビー
    ムAと該光ビームBの量子相関性を利用して該光ビーム
    Aに含まれる雑音を除去し,秘密情報を出力する受信側
    装置とを備え,秘密通信することを特徴とする光通信シ
    ステム。
  2. 【請求項2】 送信側装置は,光ビーム対生成部に入射
    するポンプ光を発生するポンプ光生成部を備え,光ビー
    ム対生成部はポンプ光を入射して光パラメトリック過程
    により光ビーム対を発生する光パラメトリック発振器で
    あることを特徴とする請求項1に記載の光通信システ
    ム。
  3. 【請求項3】 送信側装置は,該光ビーム対生成部の発
    生する光ビーム対を光ビームAと光ビームBに分離する
    光分離部とを備えることを特徴とする請求項1又は2に
    記載の光通信システム。
  4. 【請求項4】 受信側装置は,光ビームAを受光して電
    気信号Aに変換する光−電気変換素子Aと,光ビームB
    を受光して電気信号Bに変換する光−電気変換素子B
    と,該電気信号Aと該電気信号Bを入力して量子雑音を
    除去する雑音除去部を備えることを特徴とする請求項
    1,2又は3に記載の光通信システム。
  5. 【請求項5】 送信側装置において,盗聴の有無を判定
    するためのマーカ信号を光変調し,受信側装置は受信信
    号のS/N比判定部を備え,該マーカ信号のS/N比を
    判定することにより盗聴の有無を判定することを特徴と
    する請求項1,2,3又は4に記載の光通信システム。
  6. 【請求項6】 量子相関性のある光ビームAと光ビーム
    Bよりなる光ビーム対を生成する光ビーム対生成部と,
    該光ビームAを秘密情報により変調する光変調部と,変
    調された該光ビームAと該光ビームBを一本の光ビーム
    に合成する光合成器とを備え,該光ビームAと該光ビー
    ムBを一本の光ビームとして出射する送信側装置と,該
    光ビームAと該光ビームBを含む一本の光ビームを受光
    し,該光ビームAと該光ビームBに分離する光分離器
    と,該光ビームAを電気信号に変換する光−電気変換部
    Aと該光ビームBを電気信号に変換する光−電気変換部
    Bと,該光−電気変換部Aと該光−電気変換部Bの雑音
    の量子相関性を利用して雑音を除去することにより秘密
    情報を出力する受信側装置とを備え,秘密通信すること
    を特徴とする光通信システム。
  7. 【請求項7】 送信側装置は,量子相関性のある光ビー
    ムAと光ビームBよりなる光ビーム対を発生し,該光ビ
    ームAを秘密情報により変調し,該光ビームAと該光ビ
    ームBを送信し,受信側装置は,該光ビームAと該光ビ
    ームBを受光し,該光ビームAと該光ビームBの量子相
    関性を利用して,該光ビームAの雑音を除去することに
    より,秘密情報を出力することを特徴とする光通信方
    法。
  8. 【請求項8】 送信側装置は,量子相関性のある光ビー
    ムAと光ビームBよりなる光ビーム対を発生し,該光ビ
    ームAを秘密情報により変調し,該光ビームAと該光ビ
    ームBを一本の光ビームに構成して出射し,受信側装置
    は,光ビームAと光ビームBを含む一本の光ビームを受
    光し,該光ビームAと該光ビームBに光分離し,該光ビ
    ームAを電気信号Aに変換し,該光ビームBを電気信号
    Bに変換し,該電気信号Aと該電気信号Bについて量子
    相関性を利用して雑音を除去することにより,秘密情報
    を出力することを特徴とする光通信方法。
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