JP3563769B2 - 画像表示装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は観察者の眼部近傍に配置され、画像表示手段の画像を拡大した虚像を観察するための画像表示装置に関し、特に臨場感や没頭感の高い画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、観察者の眼部近傍に配置される画像表示装置として、ヘルメットと一体になったヘルメット・マウンテッド・ディスプレイが、またより小型軽量なものとしては頭部に支持部材を装着するヘッド・マウンテッド・ディスプレイ( 以後HMD称す) がある。
【0003】
これらは、いずれもCRT、LCD等の画像表示装置に表示された画像を観察光学系を介して観察者の前方に虚像として拡大表示するものである。
【0004】
これらの画像表示装置は、比較的小さな装置で大画面の表示を行え観察者が移動しながら観察出来ることから仮想現実(VR)システムをはじめとする色々な応用が考えるれており、その方式に対して数多くの提案がなされている。それらの多くの提案は、虚像面の形状が平面に成る様に構成されている。またHMDは、左右2系統の表示系を設ければ、左右両眼に異なる画像を表示する事ができるため左右の眼に視差の有る画像を表示すれば3次元画像の表示が可能で有り、HMDを用いた3次元画像表示装置の提案も数多くなされている。
【0005】
図6は、USP 5,034,809 で開示されているHMDの原理を説明する図である。111−L、111−Rは各々左眼用、右眼用のLCDであり112−L、112−Rは、各々左眼用、右眼用の接眼レンズであり、115−L、115−Rは各々観察者の左眼、右眼である。LCD111−L、111−R上の画像は、各々接眼レンズ112−L、112−Rにより、拡大され虚像面116上の画像として観察者に視認される。この提案では、接眼レンズ112−L,112−Rの光軸を平行にし、LCD111−L、111−Rを所定量各々内側に配置してLCD111−L、111−Rの各々接眼レンズ112−L、112−Rによる虚像が虚像面116上で略重なるように構成されている。
【0006】
【発明が解決しようとしている課題】
虚像面が平面であると観察者にとって表示画像が平板に感じられ、臨場感溢れる画像を表示する事ができなかった。また虚像面が平面であるHMDを仮想現実システムの画像表示用に用いると画像が平板なスクリーンに写っている用に感じられ十分な現実感を得る事が出来ないという問題点が有った。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像表示装置は、画像を表示する画像発生器と、前記画像発生器からの光束を観察者の瞳に導くための光学系で構成され、前記観察者の左右の瞳に対応して、それぞれ設けられた画像表示装置で、前記光学系は、前記画像発生器から前記瞳に向かう光束に沿って、リレー光学系と、前記リレー光学系の光軸に対して回転対称でない形状で光学パワーを有する反射面とを有し、前記光学系による前記観察者の左右の瞳に対応した各虚像面は、同一の円筒面又は放物面上に形成されることを特徴としている。
【0009】
前記反射面の好ましい形態は、前記リレー光学系の中間結像面近傍に位置することを特徴としている。
【0011】
【実施例】
図1は本発明の第1の実施例を説明する概略図である。11はCRT、LCD等の画像発生器、12は画像発生器11の画面上からの光束を中間結像させるためのリレー光学系、13はリレー光学系12からの光束を反射させる平面ハーフミラー、14は平面ハーフミラー13からの光束を観察者の瞳に導くための接眼光学系である凹面ミラー、15は観察者の瞳が位置するアイポイントである。
【0012】
画像発生器11上の3 点a,b,cからの光束( 各々17a,17b,17c) は、各々リレー光学系12を通って平面ハーフミラー13で反射されて凹面ミラー14に導かれさらに反射されて再度平面ハーフミラー13に導かれ今度は平面ハーフミラー13を透過してアイポイント15に入射する。
【0013】
16は、リレー光学系12、平面ハーフミラー13、凹面ミラー14による画像発生器11の虚像面であり、a’,b’,c’は各々画像発生器11上の点a,b,cに対応する。図1中凹面ミラー14より上方に伸びている光束18は、凹面ミラー14により反射されアイポイントに向かう光束を光の進む方向と逆向きに延長したもので仮想的なものである。
【0014】
この様にして観察者は画像発生器11上の画像を拡大してあたかも虚像面16上の画像として視認することが出来る。
【0015】
次に虚像面16を曲面とするための方法の説明をする。
【0016】
本実施例においては、虚像面16はアイポイント15の中心から観察者の両眼の間隔の略1/2例えば35mmだけ左側にずれた点mを含む図1において紙面に垂直な軸を中心とする円筒面となってる。
【0017】
画像発生器11上の各点( 例えばa,b,c) からの光束は、回転対称なレンズで構成される共軸なリレーレンズ12によりほぼ一様な結像作用を受ける。平面ハーフミラー13は光学的パワーをもたないので結像関係には、直接寄与しない。そして、リレー光学系の光軸に対して回転対称でない横にずれた虚像面16を形成するため、本実施例では、凹面ミラー14をリレー光学系の光軸に対して回転対称性でない形状としている。
【0018】
各画角の光束は、凹面ミラー14において重複しないで入射する様にリレーレンズ12の焦点距離および凹面ミラー14の位置を設定してあり、少なくとも各画角の主光線が凹面ミラー14で重複しないように凹面ミラー14をリレー光学系12の中間結像面の略近傍に配置する。各画角の主光線が凹面ミラー14と交わる点(a,b,cに対応させるとa”,b”,c”) の周りの局所的な光学的パワーおよび反射方向を虚像面16を形成する様に設定すれば良い。凹面ミラー14の各画角に対応する局所的領域の重複が大きいと凹面ミラー14の形状を各画角の虚像位置の要求を満たしながら決定する事が困難になる。
【0019】
したがってリレー光学系の光軸に対して回転対称でないミラーによってリレー光学系の光軸に対して回転対称でない形状の虚像を得るためには、各画角の光束の重複が小さいリレー光学系の中間結像面の略近傍に非回転対称性のミラーを設置する事が重要である。また、本実施例では虚像面16は円筒面であるので図1の紙面を対称面として上下が対称であるため凹面ミラー14も同様な紙面に対し対称な形状となっている。
【0020】
図2は、第1の実施例で説明した画像表示装置を右眼用左眼用に各々1個ずつ用いて左右の眼に同時に画像を表示しかつ左右の画像表示装置により形成される虚像面をつなげ連続性のある曲面にしたものである。すなわち各虚像面を同位置の曲面内に位置させたものである。図1と同一の部材については、同一の番号、記号に右眼用の部分にはR、左眼用の部分にはLを付したものを付す。左右の虚像面は、観察者の両眼の略中点mを通り図2中紙面に垂直な軸を中心として観察者の頭を取り囲む円筒面となっており、虚像の取り囲み効果により観察者に臨場感の大きな画像を表示することが出来る。
【0021】
なお説明した第1の実施例とほぼ同様な光学系において凹面ミラーの形状を変える事により、左右の画像表示装置が各々形成する2つの虚像面が合成された虚像面16を観察者の両眼を結ぶ線分15L−15Rの垂直2等分線で紙面内の軸を略回転対称軸とする回転対称な面にすることが出来る。図3は、それを達成した第2の実施例の説明をする該略図であり、図2と同じ部材には同一番号、記号を付す。第1の実施例との違いは、虚像面16が観察者の両眼を結ぶ線分15R15Lの垂直2 等分線であって、観察者が正面無限遠を注視した時の視線の方向と平行な直線である直線m−m’を回転対称軸とする放物面になっている事とそのために凹面ミラー14の形状が異なる点である。この様な形状の虚像面により観察者に迫る様な画像や観察者自身が前方へ進んでいると感じさせる様な画像を表示すると大きな臨場感を与えることが出来る。
【0022】
図4は、リレーレンズとミラー3 枚を用いた第3の実施例を説明するための該略図であり、図1と共通する部材には同一番号、記号を付す。画像発生器11からの光束は、共軸系であるリレーレンズ12を通り、第1のミラー14−1( 凹面) に入射し反射され第2のミラー14−2( 凸面) に導かれ該第2のミラー14−2の近傍で中間結像される。さらに前記光束は、第2のミラー14−2で反射され第3のミラー14ー3凹面) に導かれここでさらに反射されてアイポイント15に入射し観察者に虚像16上の画像として視認される。本実施例では虚像面16は、本発明第1の実施例と同様に虚像面16はアイポイント15の中心から観察者の両眼の巾の略1/2例えば35mm左側にずれた点mを通り図4において紙面に垂直な軸を中心とする円筒面となっている。
【0023】
本実施例では第1のミラー14−1、第2のミラー14−2、第3のミラー14−3ともにリレー光学系の光軸に対して回転対称でない形状のミラーであり、各画角の主光線と第1、第2、第3のミラーとの交点での局所的な光学的パワーと反射の方向が、虚像面16をアイポイント15の中心から観察者の両眼の巾の略1/2例えば35mmだけ左側にずれた点mを通り図4において紙面に垂直な軸を中心とする円筒面となるように設定されている。
【0024】
さらに本実施例においては、第1、第2、第3のミラーにおいてともに各画角の光束の重複が小さく入射するように全体の光学系の配置を設定してあり、各画角の光束に対して収差の補正を行う自由度が残っている。具体的には、第2のミラー14−2は、中間結像点が近傍にあるため該第2ミラー14−2の形状は、結像関係および結像性能に関する収差に対する寄与は少なく、それらとは独立に各画角の主光線の方向を調整する事が出来る。これは、第2のミラー14−2によって結像関係およびディストーション以外の収差とは独立にディストーションの補正をする事ができる事を示している。また本実施例では、第1のミラー14ー2と第3のミラー14−3により、偏心で発生しやすい非点収差、コマ収差の補正と前記説明した様な形状である曲面である虚像面16の形成とを同時に行うことが出来る。
【0025】
図5は、第3の実施例で説明した画像表示装置を右眼用左眼用各々1 個ずつ用いて左右の眼に同時に画像を表示しかつ左右の画像表示装置により形成される虚像面を観察者の瞳を対称に位置させる対称面付近でつながる様にしたものである。
【0026】
図4と同一の部材については、同一の番号、記号に右眼用の部分にはR、左眼用の部分にはLを付したものを付す。左右の虚像面は、観察者の両眼の略中点mを通りかつ紙面に垂直な軸を中心として観察者の頭を取り囲む円筒面となっており、虚像の取り囲み効果により観察者に臨場感の大きな画像を表示することが出来る。
【0027】
次に、本発明の実施例1〜3 の形状および配置データを示す。
【0028】
表示面より観察者の瞳への光束の順に第i番目の屈折面および反射面に付随するローカル座標系の原点位置のグローバル座標系に対する座標は、観察者の瞳が位置するアイポイント位置(各画角の主光線が交わる点)をグローバル座標系の原点としたときの絶対座標(Yi,Zi)で表している。なお、この絶対座標系の各軸は、観察者の瞳の光軸をZ軸、図1、3、4において紙面内でZ軸に対し90゜をなす軸をY軸、紙面に垂直な方向をX軸としている。また、i番目の各屈折面および反射面のYZ面内でのチルト角は、YZ面内においてZ軸に対して反時計回り方向を正とした角度θi(単位:度)で表している。なお、各光学要素に付随したローカル座標系の原点はYZ平面上にあり、XZおよびXY面内での光学要素のチルトはないものとする。さらに、Riは表示面より観察者の瞳側への光束の順に第i番目の光学要素の曲率半径、Diはi番目のレンズ厚または空気間隔、Ni、νiは第i番目の光学要素の屈折率とアッベ数である。
【0029】
なお、Riの符号は表示面から観察者の瞳に進む光軸に沿って曲率中心が表示面側にある場合をマイナス、観察者の瞳側にある場合をプラスとしている。
【0030】
また、本発明の画像表示装置は少なくともリレー光学系の光軸に対し回転対称出ない反射面を各々一面以上有し、その形状は以下の式により規定される。
【0031】
【外1】
Figure 0003563769
但し、上記曲面式における座標(x、y、z)は各反射面の頂点座標(Yi、Zi)を原点としたローカルな座標系であり、各軸は以下のように定義されるものである。
【0032】
z:反射面の頂点位置を原点とし、瞳の光軸方向であるZ方向に対しYZ 面内において反時計方向に反射面のチルト角θiをなす座標
y:反射面の頂点位置を原点とし、z方向に対しYZ面内において反時計方向に90゜をなす座標
x:反射面の頂点位置を原点とし、YZ面に対し垂直な座標
【0033】
なお、上記曲面式はxに関して偶数次の項のみであるため、x座標値の符号によらずx座標の絶対値とy座標値が同じであればz座標値は同じ値をとる。
よって上記曲面式により規定される曲面はYZ面を対称面とする面対称な形状である。
【0034】
なお、上記曲面式はZernikeの6次までの多項式展開をzに関してx、yの項でまとめたものである。
【0035】
【外2】
Figure 0003563769
【0036】
【外3】
Figure 0003563769
【0037】
【外4】
Figure 0003563769
【0038】
【外5】
Figure 0003563769
【0039】
【発明の効果】
本発明の画像表示装置によれば、虚像面を連続的な所定形状をした曲面とするができ、観察者を取り囲む様な虚像面により、観察者に対しより立体的で臨場感、現実感の強い画像を表示することを可能にした。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の光学構成を示す概略図
【図2】本発明の第1の実施例の光学構成を両眼に用いる際の概略図
【図3】本発明の第2の実施例の光学構成を示す概略図
【図4】本発明の第3の実施例の光学構成を示す概略図
【図5】本発明の第3の実施例の光学構成を両眼に用いる際の概略図
【図6】従来の画像表示装置の原理を説明する図
【符号の説明】
11 画像発生器
12 リレー光学系
13 平面ハーフミラー
14 凹面ハーフミラー
15 アイポイント
16 虚像面

Claims (2)

  1. 画像を表示する画像発生器と、前記画像発生器からの光束を観察者の瞳に導くための光学系で構成され、前記観察者の左右の瞳に対応して、それぞれ設けられた画像表示装置において、
    前記光学系は、前記画像発生器から前記瞳に向かう光束に沿って、リレー光学系と、前記リレー光学系の光軸に対して回転対称でない形状で光学パワーを有する反射面とを有し、前記光学系による前記観察者の左右の瞳に対応した各虚像面は、同一の円筒面又は放物面上に形成されることを特徴とする画像表示装置。
  2. 前記反射面は、前記リレー光学系の中間結像面近傍に位置することを特徴とする請求項1の画像表示装置。
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