JP3562620B2 - フィルムマガジン - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、写真フィルムを取り出し可能に収納するフィルムマガジンに関する。
【0002】
【従来の技術】
上記のフィルムマガジンとしては、特開昭56−42227号公報に記載された写真焼付用カートリッジが知られている。この写真焼付用カートリッジでは、図15−イ、ロに示すように、コア201によって一定方向に巻取られる長尺の格納用テープ203が形成するテープロール206の間に複数のピースフィルムPNを、スプライスすることなく順次挟み込んで格納し、また、格納されていたピースフィルムPNを、巻取られた格納用テープ203を巻戻すことによって順次抽出しては、プリンタ装置の露光部まで搬送し、印画紙に焼き付けすることができる。
【0003】
また、上記のフィルムマガジンの別の従来例として、特開平7−64199号公報に記載されたフィルム連続供給装置が知られている。このフィルム連続供給装置では、図16に示されるように、支持軸212上に回転自在に支持されたコア214と、コア214の外周を内側に向かって押し付ける4個のローラ部材216とがケース部材210内に設けられており、ケース部材210の一角に設けられた送りローラ220によって、フィルムをコア214とローラ部材216の間に送り込むことによって、やはり、互いにスプライスされていない複数のフィルムでも、フィルムの断続部で互いに重ね合わせて格納するという手法をとることによって、出し入れすることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の特開昭56−42227号公報に開示された従来技術によるフィルムマガジンでは、収納しようとするフィルムの総全長と匹敵する長さの格納用テープが必要となるので、寸法的に嵩張るフィルムマガジンとなり易く、また、経済性と利便性のために格納用テープを長期間連続使用すると、格納用テープ203の表面に塵埃などが蓄積する可能性がある。また、格納用テープ203をピースフィルムPNと共に巻取るためのコア201の軸芯は所定位置に固定されているため、形成される前記ロール206の外径が、巻取るフィルムの数量や長さに応じて拡大することに応じて、ピースフィルムPNの通過経路Pは変化せざるを得ない構成であった。したがって、ピースフィルムPNの出し入れを十分に円滑に行うためには、ロール206を外側から押さえ込む圧着ローラ207の位置や、圧着ローラ207とフィルム搬送ローラ208の間においてピースフィルムPNをガイドするガイド部材209の位置を、ピースフィルムPNの通過経路Pの変化に沿って変更する必要があり、結果として、フィルムマガジン全体の構造が複雑になってしまうという欠点があった。
【0005】
他方、特開平7−64199公報に開示されたフィルムマガジンでは、格納媒体としての格納用テープは不要である点で有利であるが、コア214上に形成されるフィルムロールは、限定された数(実施形態では4個)のローラ部材216によって外周から直に押し付け保持されているだけであるという理由から、また、形成されたフィルムロールが外径寸法の変化に拘わらずローラ部材216で押さえられるように、ローラ部材216の位置はローラ支持アーム215の揺動と共に移動可能に設けられているが、このローラ支持アーム215の揺動姿勢によっては、ローラ部材216からフィルムロールに対して作用する押し付け力の方向は完全に求心的ではないという理由から、特に、形成されたフィルムロールの外形の真円度が低い場合などにはフィルムの安定した保持を行い難いという欠点があった。さらに、フィルムをマガジンに対して出し入れする操作に際して、ローラ部材216がフィルムとの間に異常な摩擦を生じてフィルム面を損傷しないためには、ローラ部材216がマガジン内に格納されたフィルムロールの外周面上で円滑に転動する必要があり、この円滑度が低下しないための常に細心の注意が必要であった。
【0006】
したがって、本発明の目的の一つは、上に例示した従来技術によるフィルムマガジンの持つ前述した欠点に鑑み、表面に塵埃などが蓄積する可能性のある格納用テープなどを用いる必要がなく、またそのため、寸法的にコンパクトな装置にし易いマガジンを提供することにある。
本発明の他の目的は、格納するフィルムの全長に応じて、形成されるフィルムロールの外径が変化しても、マガジンのフィルム出入口におけるフィルムの通過経路が変化しないフィルムマガジンを提供することにある。
本発明のもう一つの目的は、フィルムロールの外形の真円度が低い場合でも、フィルムをマガジン内で安定して保持可能なフィルムマガジンを提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、フィルムをマガジンに対して出し入れする際に、フィルムマガジン側とフィルムとの間に摩擦を生じる可能性のより少ないフィルムマガジンを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1によるフィルムマガジンは、写真フィルムを巻き回して得られるロール体を同ロール体の外周面との接当を介して保持するベルト部材を有し、前記ロール体は前記ベルト部材を介して回転操作可能に設けられているフィルムマガジンであって、前記ロール体を前記ベルト部材を介して支持する一対の回転ローラと、前記ロール体を前記一対の回転ローラに押し付けるダンサーローラとが設けられており、これによって、前記ロール体は、前記ロール体の外径に拘わらず常に前記一対の回転ローラと接し、その結果、前記ロール体の外径に応じて前記ロール体の回転中心は移動するように構成されていることを特徴構成としている。
【0008】
このような特徴構成を備えているために、本発明の請求項1によるフィルムマガジンでは、ロール体は、ロール体の外径に拘わらず常に一対の回転ローラと接し、その結果、ロール体の外径に応じてロール体の回転中心は移動し、格納するフィルムの全長に応じてロール体の外径が変化しても、マガジンの出入口におけるフィルムの通過経路が変化しないので、この経路変化に対処するための複雑な部品が不要となり、さらに、ロール体を一対の回転ローラに押し付けるダンサーローラが設けられているので、マガジン内に形成されたフィルムロールを円形に保持するための力の一部をこのダンサーローラに負担させ、タイミングベルトに必要な張力を低下させることができる。また、同上のダンサーローラによってフィルムロールの回転駆動の開始時など、フィルムロールの回転駆動の加速、減速時におけるフィルムロールの揺れを抑制することができて都合が良い。
【0009】
ところで、ロール体をその外周と接して保持するベルトの必要な長さは、ロール体の径、すなわち、格納されているフィルムの全長によって変化するが、ロール体の外径に拘わらずベルト部材に張力を保持するためのテンションプーリを設ければ、ロール体の外径変化に基づくベルト部材の弛みが防止されて、その結果、フィルムの巻き始めから巻き終わりまで、常に安定してロール体を保持、および、回転駆動できる。加えて、テンションプーリが、ロール体を挟んで一対の回転ローラの反対側に配置された構成とすれば、ロール体の径の増減に応じて、ロール体を挟んで一対の回転ローラの反対側に広がったり縮んだりする空き領域を利用してダンサーローラとテンションプーリを配置できるので、結果的にフィルムマガジン全体の外形をよりコンパクトにできて都合が良く、この時、ダンサーローラは、テンションプーリの支持部材上に回転自在に支持された構成とすれば良い。
【0010】
ダンサーローラは、静止状態の支持部材上にて一対の回転ローラに対して相対移動可能に支持されており、且つ、一対の回転ローラに近接する向きに付勢された構成とすれば、ロール体の径の増減に応じたテンションプーリとその支持部材の位置変化に拘わらず、常にダンサーローラとロール体の間の接当が維持されて都合が良い。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の請求項4によるフィルムマガジンは、写真フィルムを巻き回して得られるロール体を同ロール体の外周面との接当を介して保持するベルト部材を有し、前記ロール体は前記ベルト部材を介して回転操作可能に設けられているフィルムマガジンであって、前記ロール体を前記ベルト部材を介して支持する一対の回転ローラが設けられており、これによって、前記ロール体は、前記ロール体の外径に拘わらず常に前記一対の回転ローラと接し、その結果、前記ロール体の外径に応じて前記ロール体の回転中心は移動するように構成されており、前記ロール体を前記ベルト部材から解放して、外部に取り出すために、前記一対の回転ローラの少なくとも一方の軸芯が移動可能に設けられていることを特徴構成としている。
【0012】
このような特徴構成を備えているために、本発明の請求項4によるフィルムマガジンでは、ロール体は、ロール体の外径に拘わらず常に一対の回転ローラと接し、その結果、ロール体の外径に応じてロール体の回転中心は移動し、格納するフィルムの全長に応じてロール体の外径が変化しても、マガジンの出入口におけるフィルムの通過経路が変化しないので、この経路変化に対処するための複雑な部品が不要となり、しかも、必要に応じてロール体をフィルムマガジン外へ取り出すことができるので都合が良い。
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の請求項5によるフィルムマガジンは、写真フィルムを巻き回して得られるロール体を同ロール体の外周面との接当を介して保持するベルト部材を有し、前記ロール体は前記ベルト部材を介して回転操作可能に設けられているフィルムマガジンであって、前記ロール体の外径に拘わらず前記ベルト部材に張力を保持するためのテンションプーリが設けられており、前記ベルト部材は、前記写真フィルムのパーフォレーション部と接当する2本のベルト部材であり、前記テンションプーリと、前記テンションプーリを支持するための変位可能な支持部材とを有する一対のテンション付与機構が、前記2本のベルト部材の個々に対応して互いに独立して設けられていることを特徴構成としている。
【0014】
このような特徴構成を備えているために、本発明の請求項5によるフィルムマガジンでは、ベルト部材は、写真フィルムのパーフォレーション部と接当する2本のベルト部材とすれば、格納されるフィルムは主にパーフォレーション部のみを介して保持、駆動されるので、フィルムの画像部に傷が生じ難く都合が良く、しかも、テンションプーリと、テンションプーリを支持するための変位可能な支持部材とを有する一対のテンション付与機構が、2本のベルト部材の個々に対応して互いに独立して設けられているので、2本のベルト部材の間に長さの違いが存在する場合でも、2本のベルト部材の双方が駆動ローラ、および、ロール体の外周面と(滑りなどが生じない状態で)確実に接当することができ、結果的にフィルムの蛇行現象などを未然に防止し易い。
【0015】
さらに、支持部材の姿勢を、ロール体の外径に拘わらずベルト部材に張力を保持するように付勢する付勢手段をも、2本のベルト部材の個々に対応して互いに独立して設けられている構成としても良い。
【0016】
上記目的を達成するために、本発明の請求項7によるフィルムマガジンは、写真フィルムを巻き回して得られるロール体を同ロール体の外周面との接当を介して保持するベルト部材を有し、前記ロール体は前記ベルト部材を介して回転操作可能に設けられているフィルムマガジンであって、前記ロール体を前記ベルト部材を介して支持する一対の回転ローラが設けられており、これによって、前記ロール体は、前記ロール体の外径に拘わらず常に前記一対の回転ローラと接し、その結果、前記ロール体の外径に応じて前記ロール体の回転中心は移動するように構成されており、前記一対の回転ローラの少なくとも一方は、前記ベルト部材を回動させる駆動ローラであり、前記駆動ローラの外周には係合歯が形成されており、前記ベルト部材は、前記駆動ローラの前記係合歯と噛合するタイミングベルトであり、前記ロール体と接していない前記タイミングベルトの部位を支持して、前記部位を所定の経路に沿って駆動させるためのタイミングプーリが、前記2本のタイミングベルトの個々に対応して対をなすように、且つ、前記一対のタイミングプーリどうしが相対回転可能に設けられていることを特徴構成としている。
【0017】
このような特徴構成を備えているために、本発明の請求項7によるフィルムマガジンでは、ロール体は、ロール体の外径に拘わらず常に一対の回転ローラと接し、その結果、ロール体の外径に応じてロール体の回転中心は移動し、格納するフィルムの全長に応じてロール体の外径が変化しても、マガジンの出入口におけるフィルムの通過経路が変化しないので、この経路変化に対処するための複雑な部品が不要となる。また、前記一対の回転ローラの少なくとも一方は、前記ベルト部材を回動させる駆動ローラであるから、駆動ローラをモータなどで駆動制御することによって、ベルト部材の回動操作の制御が可能となり、その結果、ベルト部材の駆動ローラに巻き回された部分とロール体との間に挟まれることで実現される、フィルムマガジン(或いは内部のロール体)に対するフィルムの搬入および搬出の速度を制御することも可能となる。しかも、駆動ローラの外周には係合歯が形成されており、ベルト部材は、駆動ローラの係合歯と噛合するタイミングベルトであるので、モータ等によって駆動ローラに与えられる回転がベルト部材に確実に且つ正確に伝えられ、結果的にフィルムの格納および引き出しを正確に制御することができ、更に、ロール体と接していないタイミングベルトの部位を支持して、部位を所定の経路に沿って駆動させるためのタイミングプーリが、2本のタイミングベルトの個々に対応して対をなすように、且つ、一対のタイミングプーリどうしが相対回転可能に設けられているので、仮に、一方タイミングベルトがいずれかのタイミングプーリに対して歯飛びを起こしても、これがタイミングベルトの弛みや過剰に張力が掛かる等の現象を引き起こし難い。その結果、フィルムの蛇行現象などが未然に防止される。
【0018】
上記目的を達成するために、本発明の請求項8によるフィルムマガジンは、写真フィルムを巻き回して得られるロール体を同ロール体の外周面との接当を介して保持するベルト部材を有し、前記ロール体は前記ベルト部材を介して回転操作可能に設けられているフィルムマガジンであって、前記ロール体をその内周面で支持するコアが設けられており、前記コアを、前記コアの回転中心付近で回転自在に支持する軸部材が設けられており、前記軸部材の、前記コア上に巻き付けられたフィルムの量に応じた移動を所定の線分内に規制する規制手段が設けられていることを特徴構成としている。
【0019】
このような特徴構成を備えているために、本発明の請求項8によるフィルムマガジンでは、ロール体をその内周面で支持するコアを設けているので、フィルムが未だ全く格納されていない状態から格納を開始する際、先ずフィルムどうしを巻き回すことで出発用のロール体をマガジン外で作り、これをマガジン内のベルトの内周面に装填するという面倒な作業が不要となり、駆動ロールを回転させながら、マガジン内のベルトの内周面に既に装填されているコアとベルト部材の境界面に、格納したいフィルムの先端を差し込むだけで格納が開始されるので都合が良い。さらに、コアを、前記コアの回転中心付近で回転自在に支持する軸部材が設けられており、前記軸部材の、コア上に巻き付けられたフィルムの量に応じた移動を所定の線分内に規制する規制手段が設けられているので、コアの回転駆動の開始時など、コアの回転駆動の加速、減速時におけるコアの揺れ、および、その他の原因によるコアの蛇行を抑制することができる。この場合、前記ダンサーローラを省略することができる。
【0020】
前記軸部材は前記コアの両側面から突出したコア軸であり、前記規制手段は、前記コア軸を受け入れ可能で、前記線分に沿って延びたガイド溝である構成としても良い。他方、コアの両側面の中心に凹部を設け、軸部材をフィルムマガジンのケース体上に移動可能に支持されつつ、前記凹部内に受け入れられる軸としても良い。
【0024】
本発明によるその他の特徴および利点は、以下図面を用いた実施形態の説明により明らかになるであろう。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態の一例について図面に基づいて解説する。
図1から5は、本発明によるフィルムマガジンの一実施形態を示している。
ここに示されたフィルムマガジン1は、図3に示されるように、平滑度の高い内側面4i,4iを備えたケース部材4を備えている。内側面4i,4iどうしは35mmフィルムPF1より僅かに広い幅をもって離間しており、両内側面4i,4iの間には、外部からの回転駆動力で回転操作可能な駆動ローラとしてのタイミングプーリ6と、回転軸芯を水平向きに固定されたタイミングプーリ8,10a,10b,10c,10d,10e,10fが回転自在に支持されている。
さらに、両内側面4i,4iの間には、樹脂製の円筒状のコア40が、回転自在、軸芯移動自在、且つ、ケース部材4から取り出し自在に収納されている。コア40の幅寸法は、内側面4i,4i内で自由に、しかも「がたつき」のない状態で移動および回転できるように決められている。
また、ケース部材4内には、ゴム製の無端のタイミングベルト30が設けられており、その一端はコア40の外周に巻き回され、タイミングベルト30の残りの部分は、タイミングプーリ6,8の間を通過した後、図1および図2などに示すように、軸芯が固定されたタイミングプーリ10a,10b,10c,10d,10e,10fの外周に巻き回されている。そして、ケース部材4内には、タイミングベルト30に一定量以上の張力を加えるためのテンションプーリ16a,16bが設けられているので、コア40は、タイミングベルト30によって常にタイミングプーリ6,8の側に引き寄せられている。言い換えれば、タイミングプーリ6,8は、コア40または後述する要領でコア40上に形成されるフィルムのロール体を、タイミングベルト30を介して支持する一対の回転部材を構成しており、その結果、コア40上に巻き付けられるフィルムの量に拘わらず、常に安定してコア40または前記ロール体をケース部材4内にて保持できる。
尚、図1および図3に示されるように、タイミングベルト30は、主に写真フィルムのパーフォレーション部とのみ接当する2本のベルト部材30a,30bからなる。また、コア40も図3に示されるように、幅方向の中間部位に環状の凹部が形成されているので、写真フィルムをその画像部を除く領域で、言い換えれば、主にパーフォレーション部のみで支持することができる。
【0026】
テンションプーリ16a,16bは、ケース部材4上に軸芯12a周りで揺動可能に設けられたロッド12の先端に更に揺動自在に支持されたブラケット14上に回転自在に設けられており、ブラケット14は、付勢機構によって、ロッド12を介してコア40向きに付勢されている。前記付勢機構は、ケース部材4内に回転自在にしかし軸芯位置移動不能に設けられたプーリ24と、一端が軸芯12a付近に連結され、他端がロッド12の中間位置に設けられたピン12bに固定されたコイルバネ26からなる。コイルバネ26の中間部分は、回転自在なプーリ24に巻き回されている。常に収縮しようとするコイルバネ26の弾性回復力は、ピン12bおよびロッド12の先端部を介して、ブラケット14ならびにテンションプーリ16a,16bを、タイミングプーリ6,8の間に設けられたフィルムガイド45向きに付勢するために、タイミングベルト30に張力が維持される結果、タイミングベルト30によって取り囲まれたコア40は、タイミングプーリ6,8の側に引き寄せられることになる。
駆動ローラとしての、タイミングプーリ6は、これと同心状に支持されたギヤ7と一体的に回転するように設けられており、そして、ギヤ7と噛み合うようにプリンタプロセッサー側に設けられ、図示されないステップモータなどで回転駆動される駆動ギヤ50によって回転制御可能となっている。タイミングプーリ6が外力で回転操作されると、タイミングベルト30と、タイミングベルト30の一部に内接したコア40も回動される。
一対のタイミングプーリ6,8の間には、平滑な面を持った一対のフィルムガイド45がフィルム出入口として水平に設けられている。
そこで、タイミングプーリ6ならびにタイミングベルト30を、図2の矢印の方向に回転させながら、フィルムガイド45からピースフィルムPF1などをタイミングプーリ6向きに挿入すると、ピースフィルムPF1の先端は、タイミングプーリ6上のタイミングベルト30とコア40との間に挟持されつつ、先ず、タイミングプーリ6とコア40の接線方向に引き取られ、次に、ピースフィルムPF1の全体がコア40の外周上に巻き付けられて行く、言い換えれば、コア40の外周面とコア40上に巻き付けられているタイミングベルト30との間に収納されて行く。
【0027】
さらに、ピースフィルムPF1に引き続いて、多数のピースフィルムPF2,..PFnが次々に挿入されると、これらも全て、同様に、コア40とタイミングベルト30との間に収納できる。以上の操作によって、図4に示されるように、コア40の外周上には、(タイミングプーリ6の回転操作により、コア40とタイミングベルト30の間に挟まれたロール体RMも、タイミングベルト30を介して回動されるので)ピースフィルムPFからなるロール体RMが形成されるが、このロール体RM内では、常に、最初に挿入したピースフィルムPF1(ロール体RMの最も内側に位置し、コア40に接している)に始まり、最後に挿入したピースフィルムPFn(ロール体RMの最も外側に位置し、タイミングベルト30に接している)に至るまで、その挿入した際の順番が全て維持されている。
以上から理解されるように、一対のタイミングプーリ6,8は、写真フィルムを巻き回して得られるロール体RMを保持し、同時に、ロール体RMを回転駆動する機能を果たしている。
また、常にロール体RMが、一対のタイミングプーリ6,8に押し付けられている構成であるので、格納するフィルムの全長に応じてロール体RMの外径が変化しても、マガジンのフィルム出入口におけるフィルムの姿勢、すなわち、フィルム通過経路としてのフィルムガイド45からフィルムが進入する角度ならびにフィルムガイド45へ排出される角度は変化しない。
さらに、コア40とタイミングベルト30の間に挟まれたフィルムのロール体RMは、格納するフィルムの全長に応じて変化するフィルムロールの外径に拘わらず、また、ロール体RMの外形の真円度が低い場合でも、その外周からタイミングベルト30によって常に求心的に押し付けられているので、フィルムをマガジン内で安定して保持可能な上に、できたフィルムのロールの形状を保持するためにローラ部材などで直に押さえ付けることがないので、フィルムをマガジンに対して出し入れする際に、フィルムマガジン側とフィルムとの間に摩擦を生じる可能性が少ない。
そして、形成されるフィルムのロール体RMを同ロールRMの外周側からの力で転がすことによって格納するので、スプールが外力で強制的に回転駆動され、そのスプールの外周にフィルムが巻き付けられる構成と異なり、スプールによってフィルムが内側から絞られて、フィルムの面どうしの間に摩擦を伴う周方向の「ずれ」が生じない。
図4に示されるように、格納されるフィルムの全長が長くなると、ロール体RMの外径も増大し、その結果、タイミングベルト30のより大きな部分がロール体RMの外周に巻き回されることとなるが、この余分な長さのタイミングベルト30は、ブラケット14ならびにテンションプーリ16a,16bが、付勢機構のコイルバネ26の引っ張り力に抗してフィルムガイド45から離間することによって供給される。
【0028】
また、ブラケット14には、一対のアーム20a,20bが揺動可能に設けられており、このアーム20a,20bの個々の先端にはそれぞれダンサーローラ18a,18bが回転自在に設けられている。ダンサーローラ18a,18bの各々は、ブラケット14からフィルムガイド45向きに突出しており、ブラケット14とアーム20a,20bの間に架け渡された引っ張りコイルバネ22a,22bが収縮しようとする付勢力の作用によって、ダンサーローラ18a,18bは、コア40またはコア40上に形成されたロール体RMと接当し、これらを、ロール体の径に拘わらず、常に一対のタイミングプーリ6,8に対して押し付け維持している。
すなわち、ダンサーローラ18a,18bは、タイミングプーリ6ならびにタイミングベルト30によってロール体RMの回転操作が開始される瞬間および停止される瞬間などに、コア40またはコア40と一体化したロール体RMが自重に基づいて起こし易い、ふらつき又は揺れの現象を最小限度に抑制することができる。また、ダンサーローラ18a,18bは、タイミングベルト30が主に担っている、ロール体RMを円形に保持する機能の一部を負担することによって、タイミングベルト30に必要な張力を低下させることができる。
【0029】
尚、テンションプーリ16a,16bは、ロール体RMを挟んで一対のタイミングプーリ6,8の反対側に配置されているので、ロール体RMの径の増減に応じて、ロール体RMを挟んで一対のタイミングプーリ6,8の反対側で広がったり縮んだりする空き領域に、ダンサーローラ18a,18bならびにテンションプーリ16a,16bを配置することができる。
【0030】
また、図5に示されるように、タイミングプーリ8の軸芯を含むケース体4bの部分は、同プーリに巻かれているタイミングベルト30の部分と共に、タイミングプーリ10bの軸芯を中心にして、上方に揺動移動可能に設けられているので、必要に応じて、コア40またはロール体RMをタイミングベルト30から解放して、フイルムマガジン1の外部に取り出したり、再びタイミングベルト30を巻き回された状態でフイルムマガジン1内に挿入することができる。
【0031】
〔別実施形態〕
<1>図6に示されるように、ダンサーローラ19a,19bを、ブラケット15に対して軸芯位置を変更不能に支持しておき、代わりに、上記実施形態では軸芯を固定されていたタイミングプーリ10cを、コイルバネ21等で外向きに付勢維持された、もう一つのテンションプーリ10tとしても、上記の実施形態と同様に、ロール体の径の増減に応じたテンションプーリとその支持部材の位置変化に拘わらず、常にダンサーローラとロール体の間の接当が維持される構成が実現できる。
【0032】
<2>或いは、図7に例示されるように、ダンサーローラの代わりに、ロール体RMを周囲に形成するためのコア42に、これを回転自在に支持するための軸42aを設け、この軸42aの移動方向を制限する長孔4cをケース体4aなどに形成しておくことによって、始動時または停止時の揺れを防止しても良い。すなわち、前記揺れは一対のタイミングプーリ6,8の軸芯どうしを結ぶ線分と平行な向きを持つので、前記線分とほぼ直角に延びる長孔4cによってこの揺れを防止できる。
【0033】
<3>尚、互いにスプライスされていない複数のフィルムでも、図4に例示されるように、ピースフィルムどうしの切り替わり部で互いに重ね合わせて格納するという手法をとることによって(例えば画像の一齣どうしを重ね合わせれば良い)、多数のピースフィルムを連続的に出し入れすることができる。この時、図4に示されるように、先に格納したフィルム(PF1)の後端が、後から格納するフィルム(PF2)の先端の上に重なるように格納して行けば良い。このような要領で格納しておけば、引き続き格納を続ける場合に、このフィルムどうしの切り替わり部がコア40と共にケース体4内を一周後、再び一対のタイミングプーリ6,8の内側を通過する際に、後続側のフィルム(PF1)の先端が外径側に起き上がって、一対のタイミングプーリ6,8の間から外部に飛び出る事態が防止されて、所定のタイミングプーリ6とロール体RMの間に進入する。同様に、格納されたフィルムの引き出しの際に、後続側のフィルム(PF1)の先端が、先行フィルム(PF2)の後端から離れて、タイミングプーリ6とロール体RMの間に進入してしまう事態が防止されて、先行フィルム(PF2)の後端に押さえられた姿勢を維持することによって、所定のガイド45内に導かれるので、首尾良く途切れなく引き出される。
各実施形態では、互いに分離した多数のピースフィルムを格納するケースを例に挙げて解説したが、互いにスプライスされた状態の長尺フィルムでも格納できることは言うまでもない。
【0034】
<4>また、写真フィルムを巻き回して得られるロール体を保持するベルト部材としては、必ずしもタイミングベルトである必要はなく、柔軟性を備えた帯状の部材であれば良く、例えば、両面が平坦な通常のベルト、或いは、O−リングを用いることもできる。
【0035】
<5>図8から14に示される実施形態のように、2系統のテンションローラを設けても良い。
すなわち、ここに示されたフィルムマガジン101は、図10、11に示されるように、平滑度の高い内側面104i,104iを備えたステンレス鋼など金属製のケース部材104を備えている。内側面104i,104iどうしは35mmフィルムPF1より僅かに広い幅をもって離間しており、両内側面104i,104iの間には、外部からの回転駆動力で回転操作可能な駆動ローラとしてのタイミングプーリ106と、回転軸芯を水平向きに固定されたタイミングプーリ108,110a,110b, 110c,110d,110e,110fが回転自在に支持されている。
さらに、両内側面104i,104iの間には、樹脂製の円筒状のコア140が、回転自在、軸芯移動自在、且つ、ケース部材104から取り出し自在に収納されている。コア140の幅寸法は、内側面104i,104i内で自由に、しかも「がたつき」のない状態で移動および回転できるように決められている。
また、ケース部材104内には、一対のゴム製の無端のタイミングベルト30が設けられており、その一端はコア140の外周に巻き回され、タイミングベルト30の残りの部分は、タイミングプーリ106,108の間を通過した後、軸芯がケース部材104に固定されたタイミングプーリ110a,110b,110c,110d,110e,110fの外周に巻き回されている。そして、ケース部材104内には、タイミングベルト30に一定量以上の張力を加えるためのテンションプーリ116,117が設けられているので、コア140は、タイミングベルト30によって常にタイミングプーリ106,108の側に引き寄せられている。言い換えれば、タイミングプーリ106,108は、コア140(または、後述する要領でコア140上に形成されるフィルムのロール体)を、タイミングベルト30を介して支持する一対の回転部材を構成しており、その結果、コア140上に巻き付けられるフィルムの量に拘わらず、常に安定してコア140または前記ロール体をケース部材104内にて保持できる。
尚、図9に示されるように、タイミングベルト30は、主に写真フィルムのパーフォレーション部とのみ接当する2本のベルト部材30a,30bからなる。
【0036】
この実施形態においては、図8に最も良く示されるように、テンションプーリ116,117は、2本のタイミングベルト30a,30b毎に独立して設けられている。すなわち、図9の左側に示されるタイミングベルト30aに張力を与える116L,117Lおよび、図9の右側に示されるタイミングベルト30bに張力を与える116R,117Rである。テンションプーリ116,117を位置変更可能に支持する支持部材としてのテンションアーム112もまた、2本のタイミングベルト30a,30b毎に独立して設けられている。すなわち、ケース部材104に対して互いに独立して揺動可能な左右一対のテンションアーム112L,112Rが設けられており、左側のテンションプーリ116L,117Lは、テンションアーム112L上に、右側のテンションプーリ116R,117Rは、テンションアーム112R上に、それぞれ回転自在に支持されている。テンションアーム112L,112Rはステンレス鋼などの剛性材料で形成されている。
【0037】
各テンションアーム112L,112Rは、ケース部材104上に軸芯112a周りで揺動可能に設けられており、付勢機構によって、常にテンションアーム112L,112Rの遊端がタイミングプーリ106,108に接近する姿勢に付勢されている。前記付勢機構は、ケース部材104外に回転自在に但し軸芯位置移動不能に設けられたプーリ124L,124Rと、一端がテンションアーム112L,112Rの中間位置に設けられたピン112bに固定されプーリ124に巻き回されたワイヤロープ125L,125Rと、ワイヤロープ125の他端を、タイミングプーリ106,108から引き離すように引っ張るために一端をケース部材104上に固定されたコイルバネ126L,126Rからなる。
このように、タイミングベルト30,30に掛かる張力を所定量以上に保持するためのテンションプーリと、テンションプーリを支持するための変位可能な支持部材としてのテンションアームと、テンションアームの姿勢をロール体の外径に拘わらずタイミングベルト30,30に掛かる張力が保持されるように付勢する付勢機構とが、二本のタイミングベルト30,30の個々に対応して独立して設けられているので、何らかの原因でタイミングベルト30,30の片方が伸びてしまう等、二本のタイミングベルト30,30どうしの間に或程度の長さの相違が生じても、タイミングベルト30,30には所定量以上の張力が維持されるので、伸びた方のタイミングベルト30が、駆動ローラとしてのタイミングプーリ106上を空回りする等の誤動作が防止される。
【0038】
図11に示されるように、駆動ローラとしてのタイミングプーリ106は、これと同心状に支持されたギヤ107と一体的に回転するように設けられており、そして、ギヤ7と噛み合うようにフィルム巻き取り装置またはプリンタプロセッサー側に設けられ、図示されないステップモータなどで回転駆動される駆動ギヤ50によって回転制御可能となっている。タイミングプーリ106が外力で図2の矢印向きに回転操作されると、タイミングベルト30と、タイミングベルト30の一部に内接したコア140も、各々矢印の方向に回動される。
一対のタイミングプーリ6,8の間には、平滑な面を持った一対のフィルムガイド145がフィルム出入口として水平に設けられている。
そこで、タイミングプーリ106ならびにタイミングベルト30を、図2の矢印の方向に回転させながら、フィルムガイド145からピースフィルムPF1などをタイミングプーリ106向きに挿入すると、ピースフィルムPF1の先端は、タイミングプーリ106上のタイミングベルト30とコア140との間に挟持されつつ、先ず、タイミングプーリ6とコア140の接線方向に引き取られ、次に、ピースフィルムPF1の全体がコア140の外周上に巻き付けられて行く、言い換えれば、コア140の外周面とコア140上に巻き付けられているタイミングベルト30との間に収納されて行く。
【0039】
さらに、ピースフィルムPF1に引き続いて、多数のピースフィルムPF2,..PFnが次々に挿入されると、これらも全て、同様に、コア140とタイミングベルト30との間に収納できる。以上の操作によって、図12に示されるように、コア140の外周上には、(タイミングプーリ106の回転操作により、コア140とタイミングベルト30の間に挟まれたロール体RMも、タイミングベルト30を介して回動されるので)多数のピースフィルムPFからなるロール体RMが形成されるが、このロール体RM内では、常に、最初に挿入したピースフィルムPF1(ロール体RMの最も内側に位置し、コア140に接している)に始まり、最後に挿入したピースフィルムPFn(ロール体RMの最も外側に位置し、タイミングベルト30に接している)に至るまで、その挿入した際の順番が全て維持されている。
以上から理解されるように、一対のタイミングプーリ106,108は、写真フィルムを巻き回して得られるロール体RMを常にフィルムガイド145近傍に保持し、同時に、ロール体RMを回転駆動する機能を果たしている。
また、常にロール体RMが、一対のタイミングプーリ106,108に押し付けられている構成であるので、言い換えれば、一対のタイミングプーリ106,108は、コア140またはロール体RMを、タイミングプーリ106とコア140が作る接線またはタイミングプーリ106とロール体RMとが作る接線の方向が、フィルムガイド145の案内方向とほぼ一致する姿勢で保持することができる。したがって、格納するフィルムの全長に応じてロール体RMの外径が変化しても、マガジンのフィルム出入口におけるフィルムの姿勢、すなわち、フィルム通過経路としてのフィルムガイド145からフィルムが進入する角度ならびにフィルムガイド145へ排出される角度は変化せず、スムースなフィルムの出し入れが確保される。
さらに、コア140とタイミングベルト30の間に挟まれたフィルムのロール体RMは、格納するフィルムの全長に応じて変化するフィルムロールの外径に拘わらず、また、ロール体RMの外形の真円度が低い場合でも、その外周からタイミングベルト30によって常に求心的に押し付けられているので、フィルムをマガジン内で安定して保持可能な上に、できたフィルムのロールの形状を保持するためにローラ部材などで直に押さえ付けることがないので、フィルムをマガジンに対して出し入れする際に、フィルムマガジン側とフィルムとの間に摩擦を生じる可能性が少ない。
そして、形成されるフィルムのロール体RMを同ロールRMの外周側からの力で転がすことによって格納するので、スプールが外力で強制的に回転駆動され、そのスプールの外周にフィルムが巻き付けられる構成と異なり、スプールによってフィルムが内側から絞られて、フィルムの面どうしの間に摩擦を伴う周方向の「ずれ」が生じない。
また、タイミングベルト30の回転駆動を介してロール体RMを回転駆動するので、スプールが外力で強制的に回転駆動され、そのスプールの外周にフィルムが巻き付けられる構成と異なり、タイミングベルト30の駆動速度さえ一定にすれば、形成されたロール体RMの外径の変化に拘わらず、フィルムマガジン内に進入するフィルムのフィルムガイド145付近における速度、および、フィルムマガジン内から引き出されるフィルムのフィルムガイド145付近における速度は一定となる。
【0040】
この実施形態では、前述の実施形態を解説した図2に記されたようなダンサーローラ18a,18bは省略されている。タイミングプーリ106ならびにタイミングベルト30によってロール体RMの回転操作が開始される瞬間および停止される瞬間などに、コア140またはロール体RMが自重に基づいて起こすふらつき又は揺れの現象は、ロール体ガイド機構によって抑制されている。
前記ロール体ガイド機構は、コア140の中心に固定された金属製の軸部材140sと、ケース部材104の内側に設けられた一対のガイド溝60,60からなる。軸部材140sは、コア140の両側面から数mmずつ突出するように、コア140の幅よりも長めに設定されており、一対のガイド溝60,60は、この軸部材140sの突出した部位を収納することによって、コア140の移動方向を図12の矢印で示した直線方向のみに規制する。
【0041】
また、図13(イ)に示されるように、ケース部材104は、タイミングプーリ106を支持する上部ケース104aと、タイミングプーリ108を支持する下部ケース104bとに分離形成されており、上部ケース104aは、図13(ロ)に示されるように、下部ケース104bに設けられた軸芯X回りで下部ケース104bに対して揺動可能である。
そして、下部ケース104bには、樹脂製のガイド溝形成部材60a,60aが取り付けられており、このガイド溝形成部材60a,60aの各対向面に前述した一対のガイド溝60,60が形成されている。ガイド溝60,60は、タイミングプーリ106とタイミングプーリ108の各軸芯どうしを結ぶ線分に対してほぼ直角に交差するように、フィルムガイド145から最も離間した第1端部60cからフィルムガイド145に最も近接した第2端部60dまで、直線状に延びている。 第1端部60cは、コア140の軸部材140sをガイド溝60,60内に受け入れるための開口部となっており、第1端部60cには、コア140の軸部材140sの出し入れを容易にするための案内面60eが形成されている。そこで、上部ケース104aを下部ケース104bに対して揺動させて図13(ロ)や図14のように開いた上で、コア140の軸部材140sをガイド溝60,60内に挿入すると、テンションアーム112L,112R等からなる前記付勢機構とタイミングベルト30の張力の作用で、コア140は、ガイド溝60,60の第2端部60d側に付勢される。ガイド溝60,60の第2端部60dは閉じられているので、上部ケース104aを下部ケース104bに対して揺動させて開いた際に、上記付勢力によってフィルムマガジン101外に飛び出さない。
【0042】
因みに、ガイド溝60,60の長さ、言い換えれば、第1端部60cと第2端部60dの位置は、図13(イ)に示されたような、全くフィルムが巻き付けられていない状態のコア140が、タイミングプーリ106とタイミングプーリ108の双方に十分に接近してこれらのプーリと接線を形成可能となることを、閉じられた第2端部60dが阻害しないように、そして、図12に示されたような、フィルムが最大量まで巻き付けられた状態のコア140でも、第1端部60cからガイド溝60,60を逸脱することのないように決められている。
コア140をフィルムマガジン101内にセットする際には、先ず、上部ケース104aを下部ケース104bに対して揺動させて開き、コア140を、その外周の一部に一対のタイミングベルト30,30を巻き掛けながらガイド溝60,60内に挿入し、上部ケース104aを下部ケース104bに対して逆向きに揺動させて閉じれば良い。この閉鎖操作によって、ガイド溝形成部材60a,60aは上部ケース104aの内側に挿入されるように構成されている。
尚、下部ケース104bの、ガイド溝形成部材60a,60aの各外側に相当する位置からは、ノブ70を回転可能に支持するノブ支持板70aが延びており、上部ケース104aを下部ケース104bに対して閉じた後は、下部ケース104bの両側面に設けられたノブ70を手動で時計回りに回転操作すれば、上部ケース104a側に形成された薄い入り江状の係合凹部72が、ノブ70のネック部とノブ支持板70aの間で締め付けられて、上部ケース104aと下部ケース104bとは閉じられた状態でロックされる。ノブ70と係合凹部72からなるこのロック機構は、フィルムマガジン101の両側面に設けられている。
【0043】
タイミングプーリ108、110a,110b,110c,110d,110e,110f,116,117は、その名称の通り、タイミングベルト30の内面に形成されたラック状の歯と係合する歯を備えているが、これらのタイミングプーリ、すなわち、駆動ローラとしてのタイミングプーリ106を除く全てのタイミングプーリはいずれも、図11に例示されたタイミングプーリ110fに代表されるように、左右のタイミングプーリは互いに回転自在に、すなわち具体的にはボールベアリング110Pを介して、軸110S上に支持されている。したがって、コア140をフィルムマガジン101に対して着脱する際などに、タイミングベルト30の内面の歯とこれらのタイミングプーリの間で歯飛びが生じても、タイミングベルト30の中途部分に局部的な延び縮みが維持されることはない。
尚、説明上の便宜のために、図8では、ケース部材を二点鎖線で、ケース部材上に設けられた各構成部品を実線で記し、図9から図12については、これらの全てを原則的に実線で記し、これらを更に覆うポリカーボネート等の透明樹脂製のカバー部材80を二点鎖線で記している。また、図13と14については、カバー部材80が示す外形を実線で示している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるフィルムマガジンの一実施形態を示す斜視図
【図2】図1のフィルムマガジンの正面図
【図3】図1のフィルムマガジンの側面図
【図4】図2のフィルムマガジンの別の状態を示す正面図
【図5】図2のフィルムマガジンのさらに別の状態を示す正面図
【図6】本発明によるフィルムマガジンの別実施形態を示す正面図
【図7】本発明によるフィルムマガジンのさらに別の実施形態を示す正面図
【図8】本発明によるフィルムマガジンのもう一つの別実施形態を示す斜視図
【図9】図8のフィルムマガジンの側面図
【図10】図8のフィルムマガジンの背面図
【図11】図8のフィルムマガジンの平面図
【図12】図8に対応する別の状態におけるフィルムマガジンの側面図
【図13】図8のフィルムマガジンの開閉操作を示す側面図
【図14】コアの出し入れを説明する側面図
【図15】フィルムマガジン従来例を示す斜視図
【図16】フィルムマガジンの別の従来例を示す斜視図
【符号の説明】
4 ケース体
6,8 タイミングプーリ
10 タイミングプーリ
12 ロッド
14 ブラケット
16 テンションプーリ
30 タイミングベルト
40 コア
45 フィルムガイド
PF フィルム
RM ロール体
【発明の属する技術分野】
本発明は、写真フィルムを取り出し可能に収納するフィルムマガジンに関する。
【0002】
【従来の技術】
上記のフィルムマガジンとしては、特開昭56−42227号公報に記載された写真焼付用カートリッジが知られている。この写真焼付用カートリッジでは、図15−イ、ロに示すように、コア201によって一定方向に巻取られる長尺の格納用テープ203が形成するテープロール206の間に複数のピースフィルムPNを、スプライスすることなく順次挟み込んで格納し、また、格納されていたピースフィルムPNを、巻取られた格納用テープ203を巻戻すことによって順次抽出しては、プリンタ装置の露光部まで搬送し、印画紙に焼き付けすることができる。
【0003】
また、上記のフィルムマガジンの別の従来例として、特開平7−64199号公報に記載されたフィルム連続供給装置が知られている。このフィルム連続供給装置では、図16に示されるように、支持軸212上に回転自在に支持されたコア214と、コア214の外周を内側に向かって押し付ける4個のローラ部材216とがケース部材210内に設けられており、ケース部材210の一角に設けられた送りローラ220によって、フィルムをコア214とローラ部材216の間に送り込むことによって、やはり、互いにスプライスされていない複数のフィルムでも、フィルムの断続部で互いに重ね合わせて格納するという手法をとることによって、出し入れすることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の特開昭56−42227号公報に開示された従来技術によるフィルムマガジンでは、収納しようとするフィルムの総全長と匹敵する長さの格納用テープが必要となるので、寸法的に嵩張るフィルムマガジンとなり易く、また、経済性と利便性のために格納用テープを長期間連続使用すると、格納用テープ203の表面に塵埃などが蓄積する可能性がある。また、格納用テープ203をピースフィルムPNと共に巻取るためのコア201の軸芯は所定位置に固定されているため、形成される前記ロール206の外径が、巻取るフィルムの数量や長さに応じて拡大することに応じて、ピースフィルムPNの通過経路Pは変化せざるを得ない構成であった。したがって、ピースフィルムPNの出し入れを十分に円滑に行うためには、ロール206を外側から押さえ込む圧着ローラ207の位置や、圧着ローラ207とフィルム搬送ローラ208の間においてピースフィルムPNをガイドするガイド部材209の位置を、ピースフィルムPNの通過経路Pの変化に沿って変更する必要があり、結果として、フィルムマガジン全体の構造が複雑になってしまうという欠点があった。
【0005】
他方、特開平7−64199公報に開示されたフィルムマガジンでは、格納媒体としての格納用テープは不要である点で有利であるが、コア214上に形成されるフィルムロールは、限定された数(実施形態では4個)のローラ部材216によって外周から直に押し付け保持されているだけであるという理由から、また、形成されたフィルムロールが外径寸法の変化に拘わらずローラ部材216で押さえられるように、ローラ部材216の位置はローラ支持アーム215の揺動と共に移動可能に設けられているが、このローラ支持アーム215の揺動姿勢によっては、ローラ部材216からフィルムロールに対して作用する押し付け力の方向は完全に求心的ではないという理由から、特に、形成されたフィルムロールの外形の真円度が低い場合などにはフィルムの安定した保持を行い難いという欠点があった。さらに、フィルムをマガジンに対して出し入れする操作に際して、ローラ部材216がフィルムとの間に異常な摩擦を生じてフィルム面を損傷しないためには、ローラ部材216がマガジン内に格納されたフィルムロールの外周面上で円滑に転動する必要があり、この円滑度が低下しないための常に細心の注意が必要であった。
【0006】
したがって、本発明の目的の一つは、上に例示した従来技術によるフィルムマガジンの持つ前述した欠点に鑑み、表面に塵埃などが蓄積する可能性のある格納用テープなどを用いる必要がなく、またそのため、寸法的にコンパクトな装置にし易いマガジンを提供することにある。
本発明の他の目的は、格納するフィルムの全長に応じて、形成されるフィルムロールの外径が変化しても、マガジンのフィルム出入口におけるフィルムの通過経路が変化しないフィルムマガジンを提供することにある。
本発明のもう一つの目的は、フィルムロールの外形の真円度が低い場合でも、フィルムをマガジン内で安定して保持可能なフィルムマガジンを提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、フィルムをマガジンに対して出し入れする際に、フィルムマガジン側とフィルムとの間に摩擦を生じる可能性のより少ないフィルムマガジンを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1によるフィルムマガジンは、写真フィルムを巻き回して得られるロール体を同ロール体の外周面との接当を介して保持するベルト部材を有し、前記ロール体は前記ベルト部材を介して回転操作可能に設けられているフィルムマガジンであって、前記ロール体を前記ベルト部材を介して支持する一対の回転ローラと、前記ロール体を前記一対の回転ローラに押し付けるダンサーローラとが設けられており、これによって、前記ロール体は、前記ロール体の外径に拘わらず常に前記一対の回転ローラと接し、その結果、前記ロール体の外径に応じて前記ロール体の回転中心は移動するように構成されていることを特徴構成としている。
【0008】
このような特徴構成を備えているために、本発明の請求項1によるフィルムマガジンでは、ロール体は、ロール体の外径に拘わらず常に一対の回転ローラと接し、その結果、ロール体の外径に応じてロール体の回転中心は移動し、格納するフィルムの全長に応じてロール体の外径が変化しても、マガジンの出入口におけるフィルムの通過経路が変化しないので、この経路変化に対処するための複雑な部品が不要となり、さらに、ロール体を一対の回転ローラに押し付けるダンサーローラが設けられているので、マガジン内に形成されたフィルムロールを円形に保持するための力の一部をこのダンサーローラに負担させ、タイミングベルトに必要な張力を低下させることができる。また、同上のダンサーローラによってフィルムロールの回転駆動の開始時など、フィルムロールの回転駆動の加速、減速時におけるフィルムロールの揺れを抑制することができて都合が良い。
【0009】
ところで、ロール体をその外周と接して保持するベルトの必要な長さは、ロール体の径、すなわち、格納されているフィルムの全長によって変化するが、ロール体の外径に拘わらずベルト部材に張力を保持するためのテンションプーリを設ければ、ロール体の外径変化に基づくベルト部材の弛みが防止されて、その結果、フィルムの巻き始めから巻き終わりまで、常に安定してロール体を保持、および、回転駆動できる。加えて、テンションプーリが、ロール体を挟んで一対の回転ローラの反対側に配置された構成とすれば、ロール体の径の増減に応じて、ロール体を挟んで一対の回転ローラの反対側に広がったり縮んだりする空き領域を利用してダンサーローラとテンションプーリを配置できるので、結果的にフィルムマガジン全体の外形をよりコンパクトにできて都合が良く、この時、ダンサーローラは、テンションプーリの支持部材上に回転自在に支持された構成とすれば良い。
【0010】
ダンサーローラは、静止状態の支持部材上にて一対の回転ローラに対して相対移動可能に支持されており、且つ、一対の回転ローラに近接する向きに付勢された構成とすれば、ロール体の径の増減に応じたテンションプーリとその支持部材の位置変化に拘わらず、常にダンサーローラとロール体の間の接当が維持されて都合が良い。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の請求項4によるフィルムマガジンは、写真フィルムを巻き回して得られるロール体を同ロール体の外周面との接当を介して保持するベルト部材を有し、前記ロール体は前記ベルト部材を介して回転操作可能に設けられているフィルムマガジンであって、前記ロール体を前記ベルト部材を介して支持する一対の回転ローラが設けられており、これによって、前記ロール体は、前記ロール体の外径に拘わらず常に前記一対の回転ローラと接し、その結果、前記ロール体の外径に応じて前記ロール体の回転中心は移動するように構成されており、前記ロール体を前記ベルト部材から解放して、外部に取り出すために、前記一対の回転ローラの少なくとも一方の軸芯が移動可能に設けられていることを特徴構成としている。
【0012】
このような特徴構成を備えているために、本発明の請求項4によるフィルムマガジンでは、ロール体は、ロール体の外径に拘わらず常に一対の回転ローラと接し、その結果、ロール体の外径に応じてロール体の回転中心は移動し、格納するフィルムの全長に応じてロール体の外径が変化しても、マガジンの出入口におけるフィルムの通過経路が変化しないので、この経路変化に対処するための複雑な部品が不要となり、しかも、必要に応じてロール体をフィルムマガジン外へ取り出すことができるので都合が良い。
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の請求項5によるフィルムマガジンは、写真フィルムを巻き回して得られるロール体を同ロール体の外周面との接当を介して保持するベルト部材を有し、前記ロール体は前記ベルト部材を介して回転操作可能に設けられているフィルムマガジンであって、前記ロール体の外径に拘わらず前記ベルト部材に張力を保持するためのテンションプーリが設けられており、前記ベルト部材は、前記写真フィルムのパーフォレーション部と接当する2本のベルト部材であり、前記テンションプーリと、前記テンションプーリを支持するための変位可能な支持部材とを有する一対のテンション付与機構が、前記2本のベルト部材の個々に対応して互いに独立して設けられていることを特徴構成としている。
【0014】
このような特徴構成を備えているために、本発明の請求項5によるフィルムマガジンでは、ベルト部材は、写真フィルムのパーフォレーション部と接当する2本のベルト部材とすれば、格納されるフィルムは主にパーフォレーション部のみを介して保持、駆動されるので、フィルムの画像部に傷が生じ難く都合が良く、しかも、テンションプーリと、テンションプーリを支持するための変位可能な支持部材とを有する一対のテンション付与機構が、2本のベルト部材の個々に対応して互いに独立して設けられているので、2本のベルト部材の間に長さの違いが存在する場合でも、2本のベルト部材の双方が駆動ローラ、および、ロール体の外周面と(滑りなどが生じない状態で)確実に接当することができ、結果的にフィルムの蛇行現象などを未然に防止し易い。
【0015】
さらに、支持部材の姿勢を、ロール体の外径に拘わらずベルト部材に張力を保持するように付勢する付勢手段をも、2本のベルト部材の個々に対応して互いに独立して設けられている構成としても良い。
【0016】
上記目的を達成するために、本発明の請求項7によるフィルムマガジンは、写真フィルムを巻き回して得られるロール体を同ロール体の外周面との接当を介して保持するベルト部材を有し、前記ロール体は前記ベルト部材を介して回転操作可能に設けられているフィルムマガジンであって、前記ロール体を前記ベルト部材を介して支持する一対の回転ローラが設けられており、これによって、前記ロール体は、前記ロール体の外径に拘わらず常に前記一対の回転ローラと接し、その結果、前記ロール体の外径に応じて前記ロール体の回転中心は移動するように構成されており、前記一対の回転ローラの少なくとも一方は、前記ベルト部材を回動させる駆動ローラであり、前記駆動ローラの外周には係合歯が形成されており、前記ベルト部材は、前記駆動ローラの前記係合歯と噛合するタイミングベルトであり、前記ロール体と接していない前記タイミングベルトの部位を支持して、前記部位を所定の経路に沿って駆動させるためのタイミングプーリが、前記2本のタイミングベルトの個々に対応して対をなすように、且つ、前記一対のタイミングプーリどうしが相対回転可能に設けられていることを特徴構成としている。
【0017】
このような特徴構成を備えているために、本発明の請求項7によるフィルムマガジンでは、ロール体は、ロール体の外径に拘わらず常に一対の回転ローラと接し、その結果、ロール体の外径に応じてロール体の回転中心は移動し、格納するフィルムの全長に応じてロール体の外径が変化しても、マガジンの出入口におけるフィルムの通過経路が変化しないので、この経路変化に対処するための複雑な部品が不要となる。また、前記一対の回転ローラの少なくとも一方は、前記ベルト部材を回動させる駆動ローラであるから、駆動ローラをモータなどで駆動制御することによって、ベルト部材の回動操作の制御が可能となり、その結果、ベルト部材の駆動ローラに巻き回された部分とロール体との間に挟まれることで実現される、フィルムマガジン(或いは内部のロール体)に対するフィルムの搬入および搬出の速度を制御することも可能となる。しかも、駆動ローラの外周には係合歯が形成されており、ベルト部材は、駆動ローラの係合歯と噛合するタイミングベルトであるので、モータ等によって駆動ローラに与えられる回転がベルト部材に確実に且つ正確に伝えられ、結果的にフィルムの格納および引き出しを正確に制御することができ、更に、ロール体と接していないタイミングベルトの部位を支持して、部位を所定の経路に沿って駆動させるためのタイミングプーリが、2本のタイミングベルトの個々に対応して対をなすように、且つ、一対のタイミングプーリどうしが相対回転可能に設けられているので、仮に、一方タイミングベルトがいずれかのタイミングプーリに対して歯飛びを起こしても、これがタイミングベルトの弛みや過剰に張力が掛かる等の現象を引き起こし難い。その結果、フィルムの蛇行現象などが未然に防止される。
【0018】
上記目的を達成するために、本発明の請求項8によるフィルムマガジンは、写真フィルムを巻き回して得られるロール体を同ロール体の外周面との接当を介して保持するベルト部材を有し、前記ロール体は前記ベルト部材を介して回転操作可能に設けられているフィルムマガジンであって、前記ロール体をその内周面で支持するコアが設けられており、前記コアを、前記コアの回転中心付近で回転自在に支持する軸部材が設けられており、前記軸部材の、前記コア上に巻き付けられたフィルムの量に応じた移動を所定の線分内に規制する規制手段が設けられていることを特徴構成としている。
【0019】
このような特徴構成を備えているために、本発明の請求項8によるフィルムマガジンでは、ロール体をその内周面で支持するコアを設けているので、フィルムが未だ全く格納されていない状態から格納を開始する際、先ずフィルムどうしを巻き回すことで出発用のロール体をマガジン外で作り、これをマガジン内のベルトの内周面に装填するという面倒な作業が不要となり、駆動ロールを回転させながら、マガジン内のベルトの内周面に既に装填されているコアとベルト部材の境界面に、格納したいフィルムの先端を差し込むだけで格納が開始されるので都合が良い。さらに、コアを、前記コアの回転中心付近で回転自在に支持する軸部材が設けられており、前記軸部材の、コア上に巻き付けられたフィルムの量に応じた移動を所定の線分内に規制する規制手段が設けられているので、コアの回転駆動の開始時など、コアの回転駆動の加速、減速時におけるコアの揺れ、および、その他の原因によるコアの蛇行を抑制することができる。この場合、前記ダンサーローラを省略することができる。
【0020】
前記軸部材は前記コアの両側面から突出したコア軸であり、前記規制手段は、前記コア軸を受け入れ可能で、前記線分に沿って延びたガイド溝である構成としても良い。他方、コアの両側面の中心に凹部を設け、軸部材をフィルムマガジンのケース体上に移動可能に支持されつつ、前記凹部内に受け入れられる軸としても良い。
【0024】
本発明によるその他の特徴および利点は、以下図面を用いた実施形態の説明により明らかになるであろう。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態の一例について図面に基づいて解説する。
図1から5は、本発明によるフィルムマガジンの一実施形態を示している。
ここに示されたフィルムマガジン1は、図3に示されるように、平滑度の高い内側面4i,4iを備えたケース部材4を備えている。内側面4i,4iどうしは35mmフィルムPF1より僅かに広い幅をもって離間しており、両内側面4i,4iの間には、外部からの回転駆動力で回転操作可能な駆動ローラとしてのタイミングプーリ6と、回転軸芯を水平向きに固定されたタイミングプーリ8,10a,10b,10c,10d,10e,10fが回転自在に支持されている。
さらに、両内側面4i,4iの間には、樹脂製の円筒状のコア40が、回転自在、軸芯移動自在、且つ、ケース部材4から取り出し自在に収納されている。コア40の幅寸法は、内側面4i,4i内で自由に、しかも「がたつき」のない状態で移動および回転できるように決められている。
また、ケース部材4内には、ゴム製の無端のタイミングベルト30が設けられており、その一端はコア40の外周に巻き回され、タイミングベルト30の残りの部分は、タイミングプーリ6,8の間を通過した後、図1および図2などに示すように、軸芯が固定されたタイミングプーリ10a,10b,10c,10d,10e,10fの外周に巻き回されている。そして、ケース部材4内には、タイミングベルト30に一定量以上の張力を加えるためのテンションプーリ16a,16bが設けられているので、コア40は、タイミングベルト30によって常にタイミングプーリ6,8の側に引き寄せられている。言い換えれば、タイミングプーリ6,8は、コア40または後述する要領でコア40上に形成されるフィルムのロール体を、タイミングベルト30を介して支持する一対の回転部材を構成しており、その結果、コア40上に巻き付けられるフィルムの量に拘わらず、常に安定してコア40または前記ロール体をケース部材4内にて保持できる。
尚、図1および図3に示されるように、タイミングベルト30は、主に写真フィルムのパーフォレーション部とのみ接当する2本のベルト部材30a,30bからなる。また、コア40も図3に示されるように、幅方向の中間部位に環状の凹部が形成されているので、写真フィルムをその画像部を除く領域で、言い換えれば、主にパーフォレーション部のみで支持することができる。
【0026】
テンションプーリ16a,16bは、ケース部材4上に軸芯12a周りで揺動可能に設けられたロッド12の先端に更に揺動自在に支持されたブラケット14上に回転自在に設けられており、ブラケット14は、付勢機構によって、ロッド12を介してコア40向きに付勢されている。前記付勢機構は、ケース部材4内に回転自在にしかし軸芯位置移動不能に設けられたプーリ24と、一端が軸芯12a付近に連結され、他端がロッド12の中間位置に設けられたピン12bに固定されたコイルバネ26からなる。コイルバネ26の中間部分は、回転自在なプーリ24に巻き回されている。常に収縮しようとするコイルバネ26の弾性回復力は、ピン12bおよびロッド12の先端部を介して、ブラケット14ならびにテンションプーリ16a,16bを、タイミングプーリ6,8の間に設けられたフィルムガイド45向きに付勢するために、タイミングベルト30に張力が維持される結果、タイミングベルト30によって取り囲まれたコア40は、タイミングプーリ6,8の側に引き寄せられることになる。
駆動ローラとしての、タイミングプーリ6は、これと同心状に支持されたギヤ7と一体的に回転するように設けられており、そして、ギヤ7と噛み合うようにプリンタプロセッサー側に設けられ、図示されないステップモータなどで回転駆動される駆動ギヤ50によって回転制御可能となっている。タイミングプーリ6が外力で回転操作されると、タイミングベルト30と、タイミングベルト30の一部に内接したコア40も回動される。
一対のタイミングプーリ6,8の間には、平滑な面を持った一対のフィルムガイド45がフィルム出入口として水平に設けられている。
そこで、タイミングプーリ6ならびにタイミングベルト30を、図2の矢印の方向に回転させながら、フィルムガイド45からピースフィルムPF1などをタイミングプーリ6向きに挿入すると、ピースフィルムPF1の先端は、タイミングプーリ6上のタイミングベルト30とコア40との間に挟持されつつ、先ず、タイミングプーリ6とコア40の接線方向に引き取られ、次に、ピースフィルムPF1の全体がコア40の外周上に巻き付けられて行く、言い換えれば、コア40の外周面とコア40上に巻き付けられているタイミングベルト30との間に収納されて行く。
【0027】
さらに、ピースフィルムPF1に引き続いて、多数のピースフィルムPF2,..PFnが次々に挿入されると、これらも全て、同様に、コア40とタイミングベルト30との間に収納できる。以上の操作によって、図4に示されるように、コア40の外周上には、(タイミングプーリ6の回転操作により、コア40とタイミングベルト30の間に挟まれたロール体RMも、タイミングベルト30を介して回動されるので)ピースフィルムPFからなるロール体RMが形成されるが、このロール体RM内では、常に、最初に挿入したピースフィルムPF1(ロール体RMの最も内側に位置し、コア40に接している)に始まり、最後に挿入したピースフィルムPFn(ロール体RMの最も外側に位置し、タイミングベルト30に接している)に至るまで、その挿入した際の順番が全て維持されている。
以上から理解されるように、一対のタイミングプーリ6,8は、写真フィルムを巻き回して得られるロール体RMを保持し、同時に、ロール体RMを回転駆動する機能を果たしている。
また、常にロール体RMが、一対のタイミングプーリ6,8に押し付けられている構成であるので、格納するフィルムの全長に応じてロール体RMの外径が変化しても、マガジンのフィルム出入口におけるフィルムの姿勢、すなわち、フィルム通過経路としてのフィルムガイド45からフィルムが進入する角度ならびにフィルムガイド45へ排出される角度は変化しない。
さらに、コア40とタイミングベルト30の間に挟まれたフィルムのロール体RMは、格納するフィルムの全長に応じて変化するフィルムロールの外径に拘わらず、また、ロール体RMの外形の真円度が低い場合でも、その外周からタイミングベルト30によって常に求心的に押し付けられているので、フィルムをマガジン内で安定して保持可能な上に、できたフィルムのロールの形状を保持するためにローラ部材などで直に押さえ付けることがないので、フィルムをマガジンに対して出し入れする際に、フィルムマガジン側とフィルムとの間に摩擦を生じる可能性が少ない。
そして、形成されるフィルムのロール体RMを同ロールRMの外周側からの力で転がすことによって格納するので、スプールが外力で強制的に回転駆動され、そのスプールの外周にフィルムが巻き付けられる構成と異なり、スプールによってフィルムが内側から絞られて、フィルムの面どうしの間に摩擦を伴う周方向の「ずれ」が生じない。
図4に示されるように、格納されるフィルムの全長が長くなると、ロール体RMの外径も増大し、その結果、タイミングベルト30のより大きな部分がロール体RMの外周に巻き回されることとなるが、この余分な長さのタイミングベルト30は、ブラケット14ならびにテンションプーリ16a,16bが、付勢機構のコイルバネ26の引っ張り力に抗してフィルムガイド45から離間することによって供給される。
【0028】
また、ブラケット14には、一対のアーム20a,20bが揺動可能に設けられており、このアーム20a,20bの個々の先端にはそれぞれダンサーローラ18a,18bが回転自在に設けられている。ダンサーローラ18a,18bの各々は、ブラケット14からフィルムガイド45向きに突出しており、ブラケット14とアーム20a,20bの間に架け渡された引っ張りコイルバネ22a,22bが収縮しようとする付勢力の作用によって、ダンサーローラ18a,18bは、コア40またはコア40上に形成されたロール体RMと接当し、これらを、ロール体の径に拘わらず、常に一対のタイミングプーリ6,8に対して押し付け維持している。
すなわち、ダンサーローラ18a,18bは、タイミングプーリ6ならびにタイミングベルト30によってロール体RMの回転操作が開始される瞬間および停止される瞬間などに、コア40またはコア40と一体化したロール体RMが自重に基づいて起こし易い、ふらつき又は揺れの現象を最小限度に抑制することができる。また、ダンサーローラ18a,18bは、タイミングベルト30が主に担っている、ロール体RMを円形に保持する機能の一部を負担することによって、タイミングベルト30に必要な張力を低下させることができる。
【0029】
尚、テンションプーリ16a,16bは、ロール体RMを挟んで一対のタイミングプーリ6,8の反対側に配置されているので、ロール体RMの径の増減に応じて、ロール体RMを挟んで一対のタイミングプーリ6,8の反対側で広がったり縮んだりする空き領域に、ダンサーローラ18a,18bならびにテンションプーリ16a,16bを配置することができる。
【0030】
また、図5に示されるように、タイミングプーリ8の軸芯を含むケース体4bの部分は、同プーリに巻かれているタイミングベルト30の部分と共に、タイミングプーリ10bの軸芯を中心にして、上方に揺動移動可能に設けられているので、必要に応じて、コア40またはロール体RMをタイミングベルト30から解放して、フイルムマガジン1の外部に取り出したり、再びタイミングベルト30を巻き回された状態でフイルムマガジン1内に挿入することができる。
【0031】
〔別実施形態〕
<1>図6に示されるように、ダンサーローラ19a,19bを、ブラケット15に対して軸芯位置を変更不能に支持しておき、代わりに、上記実施形態では軸芯を固定されていたタイミングプーリ10cを、コイルバネ21等で外向きに付勢維持された、もう一つのテンションプーリ10tとしても、上記の実施形態と同様に、ロール体の径の増減に応じたテンションプーリとその支持部材の位置変化に拘わらず、常にダンサーローラとロール体の間の接当が維持される構成が実現できる。
【0032】
<2>或いは、図7に例示されるように、ダンサーローラの代わりに、ロール体RMを周囲に形成するためのコア42に、これを回転自在に支持するための軸42aを設け、この軸42aの移動方向を制限する長孔4cをケース体4aなどに形成しておくことによって、始動時または停止時の揺れを防止しても良い。すなわち、前記揺れは一対のタイミングプーリ6,8の軸芯どうしを結ぶ線分と平行な向きを持つので、前記線分とほぼ直角に延びる長孔4cによってこの揺れを防止できる。
【0033】
<3>尚、互いにスプライスされていない複数のフィルムでも、図4に例示されるように、ピースフィルムどうしの切り替わり部で互いに重ね合わせて格納するという手法をとることによって(例えば画像の一齣どうしを重ね合わせれば良い)、多数のピースフィルムを連続的に出し入れすることができる。この時、図4に示されるように、先に格納したフィルム(PF1)の後端が、後から格納するフィルム(PF2)の先端の上に重なるように格納して行けば良い。このような要領で格納しておけば、引き続き格納を続ける場合に、このフィルムどうしの切り替わり部がコア40と共にケース体4内を一周後、再び一対のタイミングプーリ6,8の内側を通過する際に、後続側のフィルム(PF1)の先端が外径側に起き上がって、一対のタイミングプーリ6,8の間から外部に飛び出る事態が防止されて、所定のタイミングプーリ6とロール体RMの間に進入する。同様に、格納されたフィルムの引き出しの際に、後続側のフィルム(PF1)の先端が、先行フィルム(PF2)の後端から離れて、タイミングプーリ6とロール体RMの間に進入してしまう事態が防止されて、先行フィルム(PF2)の後端に押さえられた姿勢を維持することによって、所定のガイド45内に導かれるので、首尾良く途切れなく引き出される。
各実施形態では、互いに分離した多数のピースフィルムを格納するケースを例に挙げて解説したが、互いにスプライスされた状態の長尺フィルムでも格納できることは言うまでもない。
【0034】
<4>また、写真フィルムを巻き回して得られるロール体を保持するベルト部材としては、必ずしもタイミングベルトである必要はなく、柔軟性を備えた帯状の部材であれば良く、例えば、両面が平坦な通常のベルト、或いは、O−リングを用いることもできる。
【0035】
<5>図8から14に示される実施形態のように、2系統のテンションローラを設けても良い。
すなわち、ここに示されたフィルムマガジン101は、図10、11に示されるように、平滑度の高い内側面104i,104iを備えたステンレス鋼など金属製のケース部材104を備えている。内側面104i,104iどうしは35mmフィルムPF1より僅かに広い幅をもって離間しており、両内側面104i,104iの間には、外部からの回転駆動力で回転操作可能な駆動ローラとしてのタイミングプーリ106と、回転軸芯を水平向きに固定されたタイミングプーリ108,110a,110b, 110c,110d,110e,110fが回転自在に支持されている。
さらに、両内側面104i,104iの間には、樹脂製の円筒状のコア140が、回転自在、軸芯移動自在、且つ、ケース部材104から取り出し自在に収納されている。コア140の幅寸法は、内側面104i,104i内で自由に、しかも「がたつき」のない状態で移動および回転できるように決められている。
また、ケース部材104内には、一対のゴム製の無端のタイミングベルト30が設けられており、その一端はコア140の外周に巻き回され、タイミングベルト30の残りの部分は、タイミングプーリ106,108の間を通過した後、軸芯がケース部材104に固定されたタイミングプーリ110a,110b,110c,110d,110e,110fの外周に巻き回されている。そして、ケース部材104内には、タイミングベルト30に一定量以上の張力を加えるためのテンションプーリ116,117が設けられているので、コア140は、タイミングベルト30によって常にタイミングプーリ106,108の側に引き寄せられている。言い換えれば、タイミングプーリ106,108は、コア140(または、後述する要領でコア140上に形成されるフィルムのロール体)を、タイミングベルト30を介して支持する一対の回転部材を構成しており、その結果、コア140上に巻き付けられるフィルムの量に拘わらず、常に安定してコア140または前記ロール体をケース部材104内にて保持できる。
尚、図9に示されるように、タイミングベルト30は、主に写真フィルムのパーフォレーション部とのみ接当する2本のベルト部材30a,30bからなる。
【0036】
この実施形態においては、図8に最も良く示されるように、テンションプーリ116,117は、2本のタイミングベルト30a,30b毎に独立して設けられている。すなわち、図9の左側に示されるタイミングベルト30aに張力を与える116L,117Lおよび、図9の右側に示されるタイミングベルト30bに張力を与える116R,117Rである。テンションプーリ116,117を位置変更可能に支持する支持部材としてのテンションアーム112もまた、2本のタイミングベルト30a,30b毎に独立して設けられている。すなわち、ケース部材104に対して互いに独立して揺動可能な左右一対のテンションアーム112L,112Rが設けられており、左側のテンションプーリ116L,117Lは、テンションアーム112L上に、右側のテンションプーリ116R,117Rは、テンションアーム112R上に、それぞれ回転自在に支持されている。テンションアーム112L,112Rはステンレス鋼などの剛性材料で形成されている。
【0037】
各テンションアーム112L,112Rは、ケース部材104上に軸芯112a周りで揺動可能に設けられており、付勢機構によって、常にテンションアーム112L,112Rの遊端がタイミングプーリ106,108に接近する姿勢に付勢されている。前記付勢機構は、ケース部材104外に回転自在に但し軸芯位置移動不能に設けられたプーリ124L,124Rと、一端がテンションアーム112L,112Rの中間位置に設けられたピン112bに固定されプーリ124に巻き回されたワイヤロープ125L,125Rと、ワイヤロープ125の他端を、タイミングプーリ106,108から引き離すように引っ張るために一端をケース部材104上に固定されたコイルバネ126L,126Rからなる。
このように、タイミングベルト30,30に掛かる張力を所定量以上に保持するためのテンションプーリと、テンションプーリを支持するための変位可能な支持部材としてのテンションアームと、テンションアームの姿勢をロール体の外径に拘わらずタイミングベルト30,30に掛かる張力が保持されるように付勢する付勢機構とが、二本のタイミングベルト30,30の個々に対応して独立して設けられているので、何らかの原因でタイミングベルト30,30の片方が伸びてしまう等、二本のタイミングベルト30,30どうしの間に或程度の長さの相違が生じても、タイミングベルト30,30には所定量以上の張力が維持されるので、伸びた方のタイミングベルト30が、駆動ローラとしてのタイミングプーリ106上を空回りする等の誤動作が防止される。
【0038】
図11に示されるように、駆動ローラとしてのタイミングプーリ106は、これと同心状に支持されたギヤ107と一体的に回転するように設けられており、そして、ギヤ7と噛み合うようにフィルム巻き取り装置またはプリンタプロセッサー側に設けられ、図示されないステップモータなどで回転駆動される駆動ギヤ50によって回転制御可能となっている。タイミングプーリ106が外力で図2の矢印向きに回転操作されると、タイミングベルト30と、タイミングベルト30の一部に内接したコア140も、各々矢印の方向に回動される。
一対のタイミングプーリ6,8の間には、平滑な面を持った一対のフィルムガイド145がフィルム出入口として水平に設けられている。
そこで、タイミングプーリ106ならびにタイミングベルト30を、図2の矢印の方向に回転させながら、フィルムガイド145からピースフィルムPF1などをタイミングプーリ106向きに挿入すると、ピースフィルムPF1の先端は、タイミングプーリ106上のタイミングベルト30とコア140との間に挟持されつつ、先ず、タイミングプーリ6とコア140の接線方向に引き取られ、次に、ピースフィルムPF1の全体がコア140の外周上に巻き付けられて行く、言い換えれば、コア140の外周面とコア140上に巻き付けられているタイミングベルト30との間に収納されて行く。
【0039】
さらに、ピースフィルムPF1に引き続いて、多数のピースフィルムPF2,..PFnが次々に挿入されると、これらも全て、同様に、コア140とタイミングベルト30との間に収納できる。以上の操作によって、図12に示されるように、コア140の外周上には、(タイミングプーリ106の回転操作により、コア140とタイミングベルト30の間に挟まれたロール体RMも、タイミングベルト30を介して回動されるので)多数のピースフィルムPFからなるロール体RMが形成されるが、このロール体RM内では、常に、最初に挿入したピースフィルムPF1(ロール体RMの最も内側に位置し、コア140に接している)に始まり、最後に挿入したピースフィルムPFn(ロール体RMの最も外側に位置し、タイミングベルト30に接している)に至るまで、その挿入した際の順番が全て維持されている。
以上から理解されるように、一対のタイミングプーリ106,108は、写真フィルムを巻き回して得られるロール体RMを常にフィルムガイド145近傍に保持し、同時に、ロール体RMを回転駆動する機能を果たしている。
また、常にロール体RMが、一対のタイミングプーリ106,108に押し付けられている構成であるので、言い換えれば、一対のタイミングプーリ106,108は、コア140またはロール体RMを、タイミングプーリ106とコア140が作る接線またはタイミングプーリ106とロール体RMとが作る接線の方向が、フィルムガイド145の案内方向とほぼ一致する姿勢で保持することができる。したがって、格納するフィルムの全長に応じてロール体RMの外径が変化しても、マガジンのフィルム出入口におけるフィルムの姿勢、すなわち、フィルム通過経路としてのフィルムガイド145からフィルムが進入する角度ならびにフィルムガイド145へ排出される角度は変化せず、スムースなフィルムの出し入れが確保される。
さらに、コア140とタイミングベルト30の間に挟まれたフィルムのロール体RMは、格納するフィルムの全長に応じて変化するフィルムロールの外径に拘わらず、また、ロール体RMの外形の真円度が低い場合でも、その外周からタイミングベルト30によって常に求心的に押し付けられているので、フィルムをマガジン内で安定して保持可能な上に、できたフィルムのロールの形状を保持するためにローラ部材などで直に押さえ付けることがないので、フィルムをマガジンに対して出し入れする際に、フィルムマガジン側とフィルムとの間に摩擦を生じる可能性が少ない。
そして、形成されるフィルムのロール体RMを同ロールRMの外周側からの力で転がすことによって格納するので、スプールが外力で強制的に回転駆動され、そのスプールの外周にフィルムが巻き付けられる構成と異なり、スプールによってフィルムが内側から絞られて、フィルムの面どうしの間に摩擦を伴う周方向の「ずれ」が生じない。
また、タイミングベルト30の回転駆動を介してロール体RMを回転駆動するので、スプールが外力で強制的に回転駆動され、そのスプールの外周にフィルムが巻き付けられる構成と異なり、タイミングベルト30の駆動速度さえ一定にすれば、形成されたロール体RMの外径の変化に拘わらず、フィルムマガジン内に進入するフィルムのフィルムガイド145付近における速度、および、フィルムマガジン内から引き出されるフィルムのフィルムガイド145付近における速度は一定となる。
【0040】
この実施形態では、前述の実施形態を解説した図2に記されたようなダンサーローラ18a,18bは省略されている。タイミングプーリ106ならびにタイミングベルト30によってロール体RMの回転操作が開始される瞬間および停止される瞬間などに、コア140またはロール体RMが自重に基づいて起こすふらつき又は揺れの現象は、ロール体ガイド機構によって抑制されている。
前記ロール体ガイド機構は、コア140の中心に固定された金属製の軸部材140sと、ケース部材104の内側に設けられた一対のガイド溝60,60からなる。軸部材140sは、コア140の両側面から数mmずつ突出するように、コア140の幅よりも長めに設定されており、一対のガイド溝60,60は、この軸部材140sの突出した部位を収納することによって、コア140の移動方向を図12の矢印で示した直線方向のみに規制する。
【0041】
また、図13(イ)に示されるように、ケース部材104は、タイミングプーリ106を支持する上部ケース104aと、タイミングプーリ108を支持する下部ケース104bとに分離形成されており、上部ケース104aは、図13(ロ)に示されるように、下部ケース104bに設けられた軸芯X回りで下部ケース104bに対して揺動可能である。
そして、下部ケース104bには、樹脂製のガイド溝形成部材60a,60aが取り付けられており、このガイド溝形成部材60a,60aの各対向面に前述した一対のガイド溝60,60が形成されている。ガイド溝60,60は、タイミングプーリ106とタイミングプーリ108の各軸芯どうしを結ぶ線分に対してほぼ直角に交差するように、フィルムガイド145から最も離間した第1端部60cからフィルムガイド145に最も近接した第2端部60dまで、直線状に延びている。 第1端部60cは、コア140の軸部材140sをガイド溝60,60内に受け入れるための開口部となっており、第1端部60cには、コア140の軸部材140sの出し入れを容易にするための案内面60eが形成されている。そこで、上部ケース104aを下部ケース104bに対して揺動させて図13(ロ)や図14のように開いた上で、コア140の軸部材140sをガイド溝60,60内に挿入すると、テンションアーム112L,112R等からなる前記付勢機構とタイミングベルト30の張力の作用で、コア140は、ガイド溝60,60の第2端部60d側に付勢される。ガイド溝60,60の第2端部60dは閉じられているので、上部ケース104aを下部ケース104bに対して揺動させて開いた際に、上記付勢力によってフィルムマガジン101外に飛び出さない。
【0042】
因みに、ガイド溝60,60の長さ、言い換えれば、第1端部60cと第2端部60dの位置は、図13(イ)に示されたような、全くフィルムが巻き付けられていない状態のコア140が、タイミングプーリ106とタイミングプーリ108の双方に十分に接近してこれらのプーリと接線を形成可能となることを、閉じられた第2端部60dが阻害しないように、そして、図12に示されたような、フィルムが最大量まで巻き付けられた状態のコア140でも、第1端部60cからガイド溝60,60を逸脱することのないように決められている。
コア140をフィルムマガジン101内にセットする際には、先ず、上部ケース104aを下部ケース104bに対して揺動させて開き、コア140を、その外周の一部に一対のタイミングベルト30,30を巻き掛けながらガイド溝60,60内に挿入し、上部ケース104aを下部ケース104bに対して逆向きに揺動させて閉じれば良い。この閉鎖操作によって、ガイド溝形成部材60a,60aは上部ケース104aの内側に挿入されるように構成されている。
尚、下部ケース104bの、ガイド溝形成部材60a,60aの各外側に相当する位置からは、ノブ70を回転可能に支持するノブ支持板70aが延びており、上部ケース104aを下部ケース104bに対して閉じた後は、下部ケース104bの両側面に設けられたノブ70を手動で時計回りに回転操作すれば、上部ケース104a側に形成された薄い入り江状の係合凹部72が、ノブ70のネック部とノブ支持板70aの間で締め付けられて、上部ケース104aと下部ケース104bとは閉じられた状態でロックされる。ノブ70と係合凹部72からなるこのロック機構は、フィルムマガジン101の両側面に設けられている。
【0043】
タイミングプーリ108、110a,110b,110c,110d,110e,110f,116,117は、その名称の通り、タイミングベルト30の内面に形成されたラック状の歯と係合する歯を備えているが、これらのタイミングプーリ、すなわち、駆動ローラとしてのタイミングプーリ106を除く全てのタイミングプーリはいずれも、図11に例示されたタイミングプーリ110fに代表されるように、左右のタイミングプーリは互いに回転自在に、すなわち具体的にはボールベアリング110Pを介して、軸110S上に支持されている。したがって、コア140をフィルムマガジン101に対して着脱する際などに、タイミングベルト30の内面の歯とこれらのタイミングプーリの間で歯飛びが生じても、タイミングベルト30の中途部分に局部的な延び縮みが維持されることはない。
尚、説明上の便宜のために、図8では、ケース部材を二点鎖線で、ケース部材上に設けられた各構成部品を実線で記し、図9から図12については、これらの全てを原則的に実線で記し、これらを更に覆うポリカーボネート等の透明樹脂製のカバー部材80を二点鎖線で記している。また、図13と14については、カバー部材80が示す外形を実線で示している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるフィルムマガジンの一実施形態を示す斜視図
【図2】図1のフィルムマガジンの正面図
【図3】図1のフィルムマガジンの側面図
【図4】図2のフィルムマガジンの別の状態を示す正面図
【図5】図2のフィルムマガジンのさらに別の状態を示す正面図
【図6】本発明によるフィルムマガジンの別実施形態を示す正面図
【図7】本発明によるフィルムマガジンのさらに別の実施形態を示す正面図
【図8】本発明によるフィルムマガジンのもう一つの別実施形態を示す斜視図
【図9】図8のフィルムマガジンの側面図
【図10】図8のフィルムマガジンの背面図
【図11】図8のフィルムマガジンの平面図
【図12】図8に対応する別の状態におけるフィルムマガジンの側面図
【図13】図8のフィルムマガジンの開閉操作を示す側面図
【図14】コアの出し入れを説明する側面図
【図15】フィルムマガジン従来例を示す斜視図
【図16】フィルムマガジンの別の従来例を示す斜視図
【符号の説明】
4 ケース体
6,8 タイミングプーリ
10 タイミングプーリ
12 ロッド
14 ブラケット
16 テンションプーリ
30 タイミングベルト
40 コア
45 フィルムガイド
PF フィルム
RM ロール体
Claims (9)
- 写真フィルムを巻き回して得られるロール体を同ロール体の外周面との接当を介して保持するベルト部材を有し、前記ロール体は前記ベルト部材を介して回転操作可能に設けられているフィルムマガジンであって、
前記ロール体を前記ベルト部材を介して支持する一対の回転ローラと、前記ロール体を前記一対の回転ローラに押し付けるダンサーローラとが設けられており、これによって、前記ロール体は、前記ロール体の外径に拘わらず常に前記一対の回転ローラと接し、その結果、前記ロール体の外径に応じて前記ロール体の回転中心は移動するように構成されているフィルムマガジン。 - 前記ロール体の外径に拘わらず前記ベルト部材に張力を保持するためのテンションプーリが前記ロール体を挟んで前記一対の回転ローラの反対側に配置されており、前記ダンサーローラは、前記テンションプーリの支持部材上に回転自在に支持されている請求項1に記載のフィルムマガジン。
- 前記ダンサーローラは、静止状態の前記支持部材上にて前記一対の回転ローラに対して相対移動可能に支持されており、且つ、前記一対の回転ローラに近接する向きに付勢されている請求項2に記載のフィルムマガジン。
- 写真フィルムを巻き回して得られるロール体を同ロール体の外周面との接当を介して保持するベルト部材を有し、前記ロール体は前記ベルト部材を介して回転操作可能に設けられているフィルムマガジンであって、
前記ロール体を前記ベルト部材を介して支持する一対の回転ローラが設けられており、これによって、前記ロール体は、前記ロール体の外径に拘わらず常に前記一対の回転ローラと接し、その結果、前記ロール体の外径に応じて前記ロール体の回転中心は移動するように構成されており、
前記ロール体を前記ベルト部材から解放して、外部に取り出すために、前記一対の回転ローラの少なくとも一方の軸芯が移動可能に設けられているフィルムマガジン。 - 写真フィルムを巻き回して得られるロール体を同ロール体の外周面との接当を介して保持するベルト部材を有し、前記ロール体は前記ベルト部材を介して回転操作可能に設けられているフィルムマガジンであって、
前記ロール体の外径に拘わらず前記ベルト部材に張力を保持するためのテンションプーリが設けられており、
前記ベルト部材は、前記写真フィルムのパーフォレーション部と接当する2本のベルト部材であり、
前記テンションプーリと、前記テンションプーリを支持するための変位可能な支持部材とを有する一対のテンション付与機構が、前記2本のベルト部材の個々に対応して互いに独立して設けられているフィルムマガジン。 - 前記支持部材の姿勢を、前記ロール体の外径に拘わらず前記ベルト部材に張力を保持するように付勢する付勢手段が、前記2本のベルト部材の個々に対応して互いに独立して設けられている請求項5に記載のフィルムマガジン。
- 写真フィルムを巻き回して得られるロール体を同ロール体の外周面との接当を介して保持するベルト部材を有し、前記ロール体は前記ベルト部材を介して回転操作可能に設けられているフィルムマガジンであって、
前記ロール体を前記ベルト部材を介して支持する一対の回転ローラが設けられており、これによって、前記ロール体は、前記ロール体の外径に拘わらず常に前記一対の回転ローラと接し、その結果、前記ロール体の外径に応じて前記ロール体の回転中心は移動するように構成されており、前記一対の回転ローラの少なくとも一方は、前記ベルト部材を回動させる駆動ローラであり、
前記駆動ローラの外周には係合歯が形成されており、前記ベルト部材は、前記駆動ローラの前記係合歯と噛合するタイミングベルトであり、前記ロール体と接していない前記タイミングベルトの部位を支持して、前記部位を所定の経路に沿って駆動させるためのタイミングプーリが、前記2本のタイミングベルトの個々に対応して対をなすように、且つ、 前記一対のタイミングプーリどうしが相対回転可能に設けられているフィルムマガジン。 - 写真フィルムを巻き回して得られるロール体を同ロール体の外周面との接当を介して保持するベルト部材を有し、前記ロール体は前記ベルト部材を介して回転操作可能に設けられているフィルムマガジンであって、
前記ロール体をその内周面で支持するコアが設けられており、
前記コアを、前記コアの回転中心付近で回転自在に支持する軸部材が設けられており、前記軸部材の、前記コア上に巻き付けられたフィルムの量に応じた移動を所定の線分内に規制する規制手段が設けられているフィルムマガジン。 - 前記軸部材は前記コアの両側面から突出したコア軸であり、前記規制手段は、前記コア軸を受け入れ可能で、前記線分に沿って延びたガイド溝である請求項8に記載のフィルムマガジン。
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