JP3561816B2 - 土の密度・水分量の測定装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、土木建築分野、とくにフィルダムの地表近くの盛土を管理する場合に適用される土の密度・水分量を測定する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、土の密度・水分量を測定する方法として、放射性同位元素(RI)を用いる方法があり、その種類として図5に示すように、地中に挿入した線源から放射される放射線を地上に配置した検出器により測定する透過型と、地上に配置した線源から放射される放射線を地上に配置した検出器により測定する散乱型があり、土の中を通過してくるガンマ線の量を検出器で測定し、その量から密度を求めることができ、また同様に、中性子線の量を検出器で検出することにより土の水分量を求めることができる。
【0003】
しかしながら、上記従来の方法のうち、散乱型は線源から検出器への放射線の経路が不安定なため測定精度が劣るという問題を有し、また透過型は散乱型より測定精度に優るが、線源と検出器間の検出経路上に礫等が有るとそのデータも入力してしまうため、精度向上のためには、測定点1カ所につき4方向又は8方向或いはそれ以上の方向より測定しデータのバラツキをなくす必要がある。さらに、両者ともに1回の測定に1分程度要するため、測定方向を多くするほど測定点1カ所当たりの所用時間が増加するという問題を有している。
【0004】
この問題を解決するために、本出願人は、特願平4−287199号(特開平6−138013号公報)において、線源を土中に挿入し線源を中心として検出器を地上の測定装置内で回転させることにより、線源から出る放射線量を検出する方法を提案している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平6−138013号公報においては、検出器を地上の測定装置内で回転させるという基本特許を提案しているが、測定装置をその水平度を維持しながら且つ線源を中心にしていかにして回転させるかという課題を解決しないと、高精度の測定はできない。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであって、短時間、高精度に、かつ簡単な作業で土の密度および水分量を測定することができる測定装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そのために本発明の土の密度・水分量の測定装置は、地上に設置される固定架台と、該固定架台を水平状態に調整する調整機構と、前記固定架台に回転自在に装着される回転架台と、該回転架台の側面に押圧される駆動ローラと、前記回転架台に取り付けられる一対の支持プレートと、これら一対の支持プレートに装着される複数の支持台と、これら支持台に装着される計測器と、該計測器の底面に設けられ地中に挿入される線源棒とを備え、前記回転架台を線源棒を中心として水平状態を維持しながら回転させることにより、線源から出る放射線量を検出することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1〜図4は、本発明の土の密度・水分量の測定装置の例を説明するための図であり、図1(A)は測定装置の平面図、図1(B)は図1(A)のB−B線で切断した断面図、図1(C)は図1(A)のC−C線で切断した断面図、図2は図1(A)の側面図、図3は図2のA部の拡大斜視図、図4は測定方法を説明するための図である。
【0010】
図1及び図2において、測定装置1は、概略、地上に載置される支持脚2と、支持脚2に上下動可能に螺合されたレベル調整台3と、レベル調整台3に固定された固定架台4と、固定架台4に回転自在に支持された回転架台5と、回転架台5に装着された計測器6と、回転架台5を回転駆動させるための駆動モータ7とから構成され、固定架台4は、3本の支持脚2により3点支持され、かつレベル調整台3の高さ調節により水平レベルの調整が可能にされている。
【0011】
計測器6の底面には、線源6aを内蔵して線源棒6bが設けられている。線源6aは、放射性同位元素のうちガンマ線を出すCo−60(コバルト60)と、中性子線を出すCf−252(カリフォニウム252)を封じ込めた米粒大のものを用いる。また、計測器6内に内蔵される検出管は従来から用いられているGM管を採用してもよいし、計測器をできるだけ小型にするためには、ガンマー線用として、従来のGM管の代わりに、例えばNAI(無機シンチレータ)やゲルマニウムを用い、或いはさらに小型化するために例えばNE213 (液体シンチレータ)やLiグラス(固体シンチレータ)を用い、中性子線検出用として例えば中性子管を用いる。なお、線源としてCf−252を用い、検出管としてNE213 を用いれば、1つの検出管で密度および水分量を検出することができる。
【0012】
図1(C)に示すように、固定架台4は、円筒形状の円筒部4aと円筒部4aの下部外側に水平に延設されたフランジ部4bを有し、フランジ部4bがレベル調整台3に溶接にて固定されている。固定架台4の円筒部4aの外周には、図1(B)に示すようにベアリング9が固定され、また、図1(C)に示すようにサイドローラ10が固定されている。これらベアリング9及びサイドローラ10は、円筒部4aの外周に等間隔で複数個配置されている。
【0013】
円筒架台5は、円筒形状の円筒部5aと円筒部5aの上部内側に水平に延設されたフランジ部5bを有し、円筒架台5のフランジ部5bは、固定架台4側の複数のベアリング9上に支持されると共に、円筒架台5の円筒部5aは、サイドローラ10により水平方向の移動が規制され、その結果、円筒架台5はベアリング9及びサイドローラ10の作用により、固定架台4の円筒部4aに回転自在に支持されている。なお、円筒架台5の円筒部5aの下端内側に沿って脱落防止用の線材8が溶接にて固定されている。
【0014】
レベル調整台3の一つには支柱11が固定され、支柱11に押圧レバー12の一端が回動自在に装着され、押圧レバー12の他端には、駆動モータ7に連結された減速機13、カップリング14及び駆動ローラ15が装着されている。押圧レバー12とレベル調整台3との間にはスプリング16が設けられ、このスプリング16により押圧レバー12は図1(A)で時計方向に引っ張られるため、駆動ローラ15は回転架台5の円筒部5aに押圧され、駆動ローラ15の回転により回転架台5が回転する機構になっている。なお、回転トルクを増大させるために、駆動ローラ15をウレタン製とし、回転架台5の円筒部5aの外周にゴムを貼ることが好ましい。
【0015】
回転架台5のフランジ部5bの4箇所には、取付板17が固定され、対向する取付板17間に一対の支持プレート19が取り付けられている。支持プレート19の両端には取付用フランジ19aが形成され、取付用フランジ19aには直角に交差する長孔19bが形成されている。この長孔19bは、取付用フランジ19aを調整ネジ20により取付用プレート17に固定する際に支持プレート19の取付位置を前後左右に調整し、線源棒6bを削孔された孔に合致させるためのものである。
【0016】
一対の支持プレート19には、計測器6の底面を4箇所で支持するための4つの支持台21が装着される。そのために、図3に明示するように、支持プレート19の側面には、一方の取付用フランジ19aの位置と支持プレート19の中央より図1(A)で右側に寄せた位置に、2つの長孔19cが形成され、また長孔19cの上部に受け台19dが溶接にて固定されている。
【0017】
支持台21は、計測器6の底面を支持するベース部21aと、計測器6の4隅を位置決めするコーナー部21bと、コーナー部21bの上部から水平に延設されたフランジ部21cとを備え、コーナー部21bには2本のボルト22が固定され、フランジ部21cにはナット23が溶接にて固定され、ナット23には調整ボルト25が螺合されている。
【0018】
支持台21の支持プレート19への装着は、支持台21側のボルト22を支持プレート19側の長孔19cに挿入し、ナット26により締め付けることにより行われる。支持台21の高さを調整する場合には、ナット26を緩め調整ボルト25を回すことにより行うことができる。
【0019】
上記構成からなる本発明における測定方法を説明すると、先ず、測定箇所を水平状態にならし地面を図示しない削孔機を用いて線源挿入孔を削孔する。次に、線源挿入孔を中心にして固定架台4及び回転架台5を設置し、回転架台5の支持台21上に図示しない回転芯合わせ用プレートを載せ、調整ネジ20により支持プレート19の位置を調整して線源棒6bと線源挿入孔の位置を合致させ、また、支持台21の高さ方向を調整ボルト25により調整する。次に、レベル調整台3の高さを調節して固定架台4を水平状態に調整後、回転芯合わせ用プレートを撤去し、支持台21に計測器をセットする。次に、駆動モータ7を駆動させると、回転架台5は線源棒6bを中心として回転し、回転する計測器6による測定を開始し、線源6aからの放射線量を検出し、計測器6が1分間程度回転すれば測定を終了する。そして、計測器6により検出されたガンマ線および中性子線の量に基づいて、データ処理用コンピュータにおいて土の密度および水分量が演算される。本発明においては、図4の点線で示す円錐形の部分の土の水分および密度が測定されることになる。なお、回転架台5の回転方向は反転可能であり、回転速度は1〜3rpmの間で調整可能である。
【0020】
以上の説明から明らかなように本発明によれば、底面に線源棒を有する計測器を地中に挿入し、前記線源棒を中心にして前記計測器を水平状態を維持しながら回転させることにより、線源から出る放射線量を検出するため、短時間、高精度に、かつ簡単な作業で土の密度・水分量を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の土の密度・水分量の測定装置の例を説明するための図であり、図1(A)は測定装置の平面図、図1(B)は図1(A)のB−B線で切断した断面図、図1(C)は図1(A)のC−C線で切断した断面図である。

【図2】図1(A)の側面図である。
【図3】は図2のA部の拡大斜視図である。
【図4】本発明の測定方法を説明するための図である。
【図5】従来の測定方法を説明するための図である。
【符号の説明】
1…測定装置、2…支持脚、3…レベル調整台、4…固定架台、5…回転架台
6…計測器、6a…線源、6b…線源棒、7…駆動モータ、9…ベアリング
10…サイドローラ、11…支柱、12…押圧レバー、15…駆動ローラ
16…スプリング、19…支持プレート、20…調整ネジ、21…支持台
25…調整ボルト

Claims (1)

  1. 地上に設置される固定架台と、該固定架台を水平状態に調整する調整機構と、前記固定架台に回転自在に装着される回転架台と、該回転架台の側面に押圧される駆動ローラと、前記回転架台に取り付けられる一対の支持プレートと、これら一対の支持プレートに装着される複数の支持台と、これら支持台に装着される計測器と、該計測器の底面に設けられ地中に挿入される線源棒とを備え、前記回転架台を線源棒を中心として水平状態を維持しながら回転させることにより、線源から出る放射線量を検出することを特徴とする土の密度・水分量の測定装置。
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