JP3561118B2 - V型内燃機関の電制スロットル装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はV型内燃機関の電制スロットル装置に関し、詳しくは、バルブタイミングに応じてスロットル弁の目標開度を補正する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、スロットル弁をモータなどのアクチュエータによって開閉するよう構成し、アクセル操作量や車速などに基づいて設定される目標トルクから目標空気量を設定し、該目標空気量が得られる開度にスロットル弁の開度を電子制御するよう構成された電制スロットル装置が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記電制スロットル装置が備えられる機関が、バルブタイミングを変化させる可変バルブタイミング機構を備えている場合には、バルブタイミングによって新気割合が変化するため、バルブタイミングに応じて目標開度を補正する必要がある。
【0004】
しかし、内燃機関がV型機関であって、各バンク毎に油圧制御式の可変バルブタイミング機構を備える構成の場合には、切り換え信号に対するバンク間での応答性の違いによって、タイミング切り換えの過渡状態においてバンク間でバルブタイミングのずれが生じることがあった(図4参照)。
このように、バンク間でバルブタイミングのずれがあると、前記新気割合に応じた補正を一方のバンクに適合させると、他方のバンクにおける新気割合の違いによって最適な補正を施すことができず、運転性が悪化する可能性があった。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、バルブタイミング切り換えの応答がバンク間で異なっていても、バルブタイミングに応じた目標開度の補正を適切に行わせることができるようにすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そのため、請求項1記載の発明は、バルブタイミングを運転条件に応じて変化させる可変バルブタイミング機構を各バンク毎に備え、運転条件に応じて設定した目標開度にスロットル弁開度を制御するV型内燃機関の電制スロットル装置において、前記可変バルブタイミング機構によるバルブタイミングに応じて前記目標開度を補正する構成であって、前記各バンクのバルブタイミングをそれぞれに検出し、該検出した各バンク毎のバルブタイミングの平均的な値に対応して前記目標開度を補正するよう構成した。
【0007】
かかる構成によると、バルブタイミングの切り換え過渡時にバンク間にバルブタイミングのずれが生じると、平均的なバルブタイミングに対応して目標開度が補正される。
請求項2記載の発明では、各バンク毎のバルブタイミングの平均値を求め、該平均値に基づいて目標開度の補正量を設定する構成とした。
【0008】
かかる構成によると、各バンク毎にバルブタイミングを検出して、これらの平均値を求め、このバルブタイミングの平均値に応じて目標開度の補正量を設定する。
請求項3記載の発明では、各バンク毎にバルブタイミングに応じた補正量を設定し、該補正量の平均値に基づいて目標開度を補正する構成とした。
【0009】
かかる構成によると、各バンク毎にバルブタイミングを検出して、それぞれのバルブタイミングに対応する補正量を各バンク毎に個別に設定する。そして、前記バンク毎に求めた補正量の平均値を演算し、該平均値によって目標開度を補正する。
【0010】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によると、バルブタイミングの切り換え応答がバンク間で異なっていても、バルブタイミングによる新気割合の変化に対応した適切な補正を目標開度に対して施すことができ、以て、バルブタイミングの切り換え時におけるスロットル開度の制御精度が向上し、運転性を改善できるという効果がある。
【0011】
請求項2記載の発明によると、バンク間でのバルブタイミングの平均値をそのときの機関におけるバルブタイミングとして、目標開度の補正を適切に行わせることができるという効果がある。
請求項3記載の発明によると、各バンク毎のバルブタイミングに応じた2つの要求補正量の平均値を、そのときの機関での適正補正量として、目標開度の補正を適切に行わせることができるという効果がある。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、実施の形態における機関のシステム構成を示す図であり、内燃機関1は、2つのバンクからなるV型機関であり、各バンク1A,1Bには、吸気バルブの開閉タイミングを変化させる可変バルブタイミング機構2A,2Bが備えられている。
【0013】
前記可変バルブタイミング機構2A,2Bは、油圧制御により作動角一定のままカム位相を変化させるものであり、コントロールユニット3からの制御信号によりコントロールソレノイド3A,3BをON/OFFすることで油圧経路が変化して、吸気バルブの閉時期を変化させる構成となっている。
また、各バンクの吸気側カムシャフトには、カム角センサ4A,4Bがそれぞれ設けられ、該カム角センサ4A,4Bからの検出信号と、クランク角センサ5からの検出信号とに基づいて、カム位相を各バンク毎に検出できるようになっている。
【0014】
一方、各バンクに共通の吸気通路に介装されるスロットル弁6を、モータ7により開閉駆動する電制スロットル装置が備えられており、前記モータ7は、前記コントロールユニット3からの開度制御信号に応じて駆動される。
前記コントロールユニット3は、前記スロットル弁6の目標開度を設定し、該目標開度に実際の開度が一致するように、前記モータ7に出力する開度制御信号をフィードバック制御する。
【0015】
前記目標開度の設定は、例えば以下のようにして行われる。
まず、アクセル操作量と車速とに基づいて目標トルクを設定し、該目標トルクと機関回転速度とに基づいて目標燃料量及び目標空燃比を設定する。そして、前記目標燃料量と目標空燃比とに基づいて目標空気量を設定し、該目標空気量に相当する開度を目標開度とする。尚、目標開度の設定の方法を、上記のものに限定するものではない。
【0016】
ところで、前記可変バルブタイミング機構2A,2Bにより吸気バルブの開閉タイミングが切り換えられると新気割合が変化するため、目標空気量に相当する目標開度の要求が変化する。従って、前記目標開度(又は目標空気量)を、バルブタイミングに応じて補正する必要があり、図2のフローチャートに示すようにして前記補正を行う。
【0017】
図2のフローチャートにおいて、ステップ1(図中にはS1と記してある。以下同様)では、バンク1A側のカム位相を、前記カム角センサ4Aとクランク角センサ5とを用いて検出する。
同様に、ステップ2では、バンク1B側のカム位相を、前記カム角センサ4Bとクランク角センサ5とを用いて検出する。
【0018】
ステップ3では、ステップ1,2でそれぞれに検出したカム位相の平均値を演算する。
前記可変バルブタイミング機構2A,2Bにおいて、バンク間に応答性の違いがあると、バルブタイミングの切り換え時にバンク間でタイミングのずれが過渡的に生じる(図4参照)。従って、定常時には、前記ステップ1,2で検出されるカム位相は略一致するが、切り換え過渡時には、カム位相に差を生じることになり、ステップ3では、前記切り換え過渡時に、両バンクのカム位相(バルブタイミング)の平均値を算出することになる。
【0019】
ステップ4では、前記カム位相(バルブタイミング)の平均値に応じて、バルブタイミングによる新気割合の変化を補正するための補正量を設定する。尚、前記補正量は、例えばそのときのカム位相(バルブオーバーラップ),目標トルク,機関回転速度に応じて設定できる。
ステップ5では、前記ステップ4で求めた補正量に従って、目標開度(又は目標空気量)を補正する。
【0020】
上記のようにして、各バンク毎のカム位相(バルブタイミング)の平均値に基づいて、目標開度を補正する構成であれば、バルブタイミングの切り換え時にバンク間でタイミングのずれが生じても、機関の平均的なバルブタイミング(新気割合)に対応した補正を施すことができ、以て、適切に目標開度を補正できる。上記図2のフローチャートに示した実施の形態では、各バンク1A,1Bにおけるカム位相(バルブタイミング)の平均値を演算させる構成としたが、図3のフローチャートに示すようにして、目標開度の補正量を設定する構成としても良い。
【0021】
図3のフローチャートにおいて、ステップ11では、バンク1A側のカム位相を、前記カム角センサ4Aとクランク角センサ5とを用いて検出する。
そして、ステップ12では、前記検出されたバンク1A側のカム位相に基づいて目標開度の補正量を設定する。
次のステップ13では、バンク1B側のカム位相を、前記カム角センサ4Bとクランク角センサ5とを用いて検出する。
【0022】
そして、ステップ14では、前記検出されたバンク1B側のカム位相に基づいて目標開度の補正量を設定する。
ステップ15では、前記ステップ12,ステップ14で設定された各バンク1A,1Bのカム位相(バルブタイミング)に対応する補正量の平均値を演算する。
ステップ16では、前記ステップ15で演算された平均補正量に基づいて目標開度を補正する。
【0023】
尚、上記では、常時、カム位相(バルブタイミング)又は補正量の平均値を求める構成としたが、バンク間でカム位相(バルブタイミング)のずれがあるときにのみ平均値を求める構成とし、ずれがないときには一方のバンクでのカム位相(バルブタイミング)に応じて目標開度を補正させる構成としても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態における機関を示すシステム構成図。
【図2】バルブタイミングに応じた目標開度補正の様子を示すフローチャート。
【図3】バルブタイミングに応じた目標開度補正の別の例を示すフローチャート。
【図4】バンク毎のバルブタイミング切り換えの応答性を示す線図。
【符号の説明】
1 機関
1A,1B バンク
2A,2B 可変バルブタイミング機構
3 コントロールユニット
3A,3B コントロールソレノイド
4A,4B カム角センサ
5 クランク角センサ
6 スロットル弁
7 モータ
Claims (3)
- バルブタイミングを運転条件に応じて変化させる可変バルブタイミング機構を各バンク毎に備え、運転条件に応じて設定した目標開度にスロットル弁開度を制御するV型内燃機関の電制スロットル装置において、前記可変バルブタイミング機構によるバルブタイミングに応じて前記目標開度を補正する構成であって、
前記各バンクのバルブタイミングをそれぞれに検出し、該検出した各バンク毎のバルブタイミングの平均的な値に対応して前記目標開度を補正するよう構成したことを特徴とするV型内燃機関の電制スロットル装置。 - 各バンク毎のバルブタイミングの平均値を求め、該平均値に基づいて目標開度の補正量を設定することを特徴とする請求項1記載のV型内燃機関の電制スロットル装置。
- 各バンク毎にバルブタイミングに応じた補正量を設定し、該補正量の平均値に基づいて目標開度を補正することを特徴とする請求項1記載のV型内燃機関の電制スロットル装置。
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