JP3560965B1 - 等速ジョイントの組み付け方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】転動体の外径公差及びローラ部材の内径公差に影響されることがなく、ローラ部材に対する転動体の組立作業性を向上させることにある。
【解決手段】治具によって環状に保持された全数の転動体28を、ローラ部材30の片側端部に形成されたフランジ部42と反対側から内径部40の軸線方向に沿って該内径部40内に一括して挿入する。全数の転動体28がローラ部材30の内径部40内に装着された後、フランジ部42と反対側の内径部40の片側端部に環状溝44を介してサークリップを装着し、前記フランジ部42とサークリップとの間で転動体28を保持する。
【選択図】図4

Description

本発明は、例えば、自動車の駆動力伝達部において、一方の伝達軸と他方の伝達軸とを連結させる等速ジョイントの組み付け方法に関する。
従来より、自動車の駆動力伝達部では、一方の伝達軸と他方の伝達軸とを連結し回転力を各車軸へと伝達する等速ジョイントが用いられている。
この種の従来技術に係る等速ジョイントとして、特許文献1には、ローラ1の円筒内周面2の軸方向両端部に、転動体3(コロ、ニードル等)の抜けを防止する一組の鍔部を形成し、この内周面の一組の鍔部間に、全数よりも1個少ない複数の転動体3を一連に並べ、この一連の転動体3の両端の2個の間にできた隙間の最小間隔d2と転動体3の直径d1との関係をd2<d1となるように設定すると共に、その差(d1−d2)を数μm〜数十μmの締め代(圧入代)とし、前記隙間に最後の1個の転動体3aをローラ1の円筒内周面2の半径外方向から圧入して、ローラ1の円筒内周面2に沿って複数の転動体3を一連に装着する技術的思想が開示されている(図14参照)。
このようにしてローラ1の円筒内周面2に沿って複数の転動体3を一連に並べる方法は、キーストン法と呼ばれ、ローラ1と転動体3とがばらけない組立体として一体化して同時に脚軸に組み付けることができるとしている。
特開平10−184717号公報
しかしながら、前記特許文献1に開示された転動体の組み付け方法において、キーストン効果を発生させるためには、隙間内に圧入する最後の1本の転動体の圧入代を確保するために、ローラの内周側の内径公差と転動体の外径公差とを、それぞれできるだけ小さく設定する必要がある。
仮に、前記公差(内径公差及び外径公差)を大きく設定した場合、圧入代が零となって圧入とはならない場合や、またこれとは反対に圧入代が大きくなりすぎて圧入できない場合、あるいは圧入できたとしても転動体が変形する場合がある。
また、前記公差を小さく設定しようとすると、ローラの内周面等における加工の困難さを伴い、製造コストが高騰するという問題がある。
さらに、前記隙間に対して最後の1本の転動体を圧入するために、ローラユニットの組立の困難性を伴い、組立コストが増大するという問題がある。
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであり、ローラ部材の内径面に対して複数の転動体がキーストン効果によって保持されることを確保しながら、転動体の外径公差及びローラ部材の内径公差に影響されることがなく、ローラ部材に対する転動体の組立作業性を向上させて製造コストをより一層低減することが可能な等速ジョイントの組み付け方法を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、所定間隔離間し軸線方向に沿って延在する複数の案内溝が内周面に設けられ筒状のアウタ部材と、前記アウタ部材の開口する内空部内に設けられ前記案内溝に向かって膨出する複数のトラニオンと、前記案内溝に接触し前記トラニオンに外嵌されるリング状のローラ部材と、前記トラニオンと前記ローラ部材との間に転動自在に介装される複数の転動体と前記ローラ部材の内径部の軸線方向に沿った一方の端部に形成され半径内方向に向かって突出するフランジ部と、前記ローラ部材の内径部の軸線方向に沿った他方の端部に装着され前記転動体を保持する保持部材とを備えるトリポート型の等速ジョイントの組み付け方法において、
前記ローラ部材に保持部材が装着される前、全数の転動体は、環状に並べられ、該ローラ部材の内径部の壁面と転動体の外周面との間で径方向のクリアランスが設けられた状態で前記フランジ部と反対側の他方の端部から内径部の軸線方向に沿って前記内径部内に一括して挿入される工程と、
前記全数の転動体が内径部内に一括して挿入された後、前記ローラ部材の内径部の軸線方向に沿った他方の端部に前記転動体を保持する保持部材が装着される工程と、
を有することを特徴とする。
さらに、本発明は、所定間隔離間し軸線方向に沿って延在する複数の案内溝が内周面に設けられ筒状のアウタ部材と、前記アウタ部材の開口する内空部内に設けられ前記案内溝に向かって膨出する複数のトラニオンと、前記案内溝に接触し前記トラニオンに外嵌されるリング状のローラ部材と、前記トラニオンと前記ローラ部材との間に転動自在に介装される複数の転動体と前記ローラ部材の内径部の軸線方向に沿った一方の端部及び他方の端部に装着され前記転動体を保持する一組の保持部材とを備えるトリポート型の等速ジョイントの組み付け方法において、
前記ローラ部材の一方の端部に保持部材が装着され且つ他方の端部に保持部材が装着される前、全数の転動体は、環状に並べられ、該ローラ部材の内径部の壁面と転動体の外周面との間で径方向のクリアランスが設けられた状態で他方の端部から内径部の軸線方向に沿って前記内径部内に一括して挿入される工程と、
前記全数の転動体が内径部内に一括して挿入された後、前記ローラ部材の内径部の軸線方向に沿った他方の端部に前記転動体を保持する保持部材が装着される工程と、
を有することを特徴とする。
この場合、前記ローラ部材の内径部内に挿入された後の全数の転動体は、該ローラ部材の内径部内でキーストン状態に保持され、キーストン効果が発生することによって転動体がローラ部材の内径部から分離・脱落することが好適に阻止される。
また、ローラ部材の内径部の壁面と転動体の外周面との間には、径方向のクリアランスが設けられることにより、ローラ部材の内径部内への全数の転動体の一括挿入作業がより一層容易となる。なお、前記径方向のクリアランスは、数μm〜数十μmに設定されるとよい。
さらに、前記保持部材には、少なくとも、サークリップ又はワッシャ等が含まれ、ローラ部材の内径部内に装着された転動体は、前記保持部材とフランジ部との間、又は、一方の端部に装着される保持部材と他方の端部に装着される保持部材との間で好適に保持される。
本発明によれば、ローラ部材の内径部の壁面と転動体の外周面との間で径方向のクリアランスが設けられた状態で全数の転動体をローラ部材の内径部に対して軸線方向から一括して挿入しているため、前記転動体の外径公差及びローラ部材の内径部の内径公差に影響されることがなく、ローラ部材に対する転動体の組立作業性を向上させ、製造コストをより一層低減することができる。
換言すると、特許文献1に示される従来技術ではキーストン効果を発生させるために、隙間に対して最後の1個の転動体をローラの円筒内周面の半径外方向(横方向)から圧入するために、公差(内径公差及び外径公差)をできるだけ小さく設定しなければならないのに対し、本発明では、ローラ部材と転動体との間で径方向のクリアランスが設けられた状態で全数の転動体をローラ部材の内径部の軸線方向(縦方向)から一括して挿入することにより全数の転動体がローラ部材の内径部内でキーストン状態に保持されてキーストン効果を発生させているため、最後の1本の転動体を圧入することが不要となる。
なお、「キーストン状態」とは、転動体がキーストン効果によってローラ部材の内径部から分離・離脱することが好適に阻止された状態、すなわち、キーストン効果が発生することが可能な状態でローラ部材の内径部内に組み込まれている状態をいう。
換言すると、ローラ部材の内径部内に転動体が挿入された後、キーストン効果が発生するように、転動体の外径とローラ部材の内径部の内径とが、予め、所定値に設定されており、ローラ部材の内径部内に全数の転動体が挿入された後、各々の転動体が隣接する他の転動体と接触していなくてもキーストン状態にあるといえる。
本発明によれば、以下の効果が得られる。
すなわち、転動体の外径公差及びローラ部材の内径部の内径公差の管理が従来技術と比較して緩やかになり、加工作業が容易となると共に、その転動体の組立作業(ローラ部材の内径部内への挿入)も容易となり、加工コスト及び組立コストを低減させて全体の製造コストを削減することができる。
本発明に係る等速ジョイントの組み付け方法について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
図1において参照符号10は、本発明の実施の形態に係る等速ジョイントの組み付け方法によって組み付けられたトリポート型の等速ジョイントを示し、この等速ジョイント10は、図示しない第1軸の一端部に一体的に連結されて開口部を有する筒状のアウタカップ(アウタ部材)12と、第2軸14の一端部に固着されてアウタカップ12の孔部内に収納されるインナ部材16とから基本的に構成される。
前記アウタカップ12の内壁面には、図1に示されるように、軸線方向に沿って延在し、軸心の回りにそれぞれ120度の間隔をおいて3本の案内溝18a〜18cが形成される(但し、案内溝18b、18cは図示するのを省略している)。前記案内溝18a〜18cは、断面が曲線状に形成された天井部20と、前記天井部20の両側に相互に対向し断面円弧状に形成された摺動部22a、22bとから構成される。
第2軸14にはリング状のスパイダ24が外嵌され、前記スパイダ24の外周面には、それぞれ案内溝18a〜18cに向かって膨出し軸心の回りに120度の間隔をおいて3本のトラニオン26a〜26cが一体的に形成される(但し、トラニオン26b、26cは、図示するのを省略している)。
前記トラニオン26a(26b、26c)の外周部には、複数本の転動体28を介してリング状のローラ部材30が外嵌される。なお、転動体28は、例えば、ニードル、ころ等を含む転がり軸受けであればよい。
前記ローラ部材30の外周面は、図2に示されるように、摺動部22a、22bに面接触するように前記摺動部22a、22bの断面形状に対応して形成された円弧状面部32と、前記円弧状面部32から第1面34に連続する第1環状傾斜面部36aと、前記円弧状面部32から第2面38に連続する第2環状傾斜面部36bとから構成される。
また、ローラ部材30の内周には、一定の直径からなり、転動体28の転動面として機能する内径部40が形成され、前記内径部40の上部(一方の端部)には、半径内方向に所定長だけ突出して形成された環状のフランジ部42が一体的に設けられる。一方、前記フランジ部42と反対側の内径部40の下部(他方の端部)には、環状溝44を介してサークリップ(保持部材)46が装着される。従って、ローラ部材30の内径部40内に装着された転動体28は、前記サークリップ46とフランジ部42とによって上下方向から保持される。
なお、図3に示されるように、前記サークリップ46に代替して、ローラ部材30の環状凹部48内に圧入されるワッシャ(保持部材)50を用いてもよい。
保持部材としては、前記サークリップ46又は前記ワッシャ50に限定されるものではなく、例えば、クリップ、圧入部材、スプリングロックワッシャ、スプリングワッシャ、ワッシャ、止め輪、リテーニングリング、ばね座金、グリップ止め輪、リング等が含まれる。
さらに、図13に示されるように、ローラ部材30の内径部40の軸線方向に沿った一方の端部及び他方の端部にそれぞれサークリップ46、46を装着し、前記一対のサークリップ46、46の間で転動体28を保持するようにしてもよい。
例えば、トリポート型の等速ジョイントでは、トラニオン26a(26b、26c)とローラ部材30との間で、該トラニオン26a(26b、26c)の軸線方向に沿って相対的なスライド動作が発生するため、該ローラ部材30の内径部40の両端部に、転動体28の軸線方向に沿った変位を規制する、例えば、サークリップ46、46等の保持部材を設ける必要があるからである。
なお、前記相対的なスライド動作とは、ローラ部材30に対してトラニオン26a(26b、26c)がその軸線方向に沿ってスライド動作し、又はトラニオン26a(26b、26c)に対してローラ部材30がその軸線方向に沿ってスライド動作することをいう。
ローラ部材30の内径部40とフランジ部42との境界部分には、図2に示されるように、前記内径部40の壁面に対して潤滑材(グリース)が塗布されたときに、油溜まり部として機能する環状溝部52が形成される。
前記ローラ部材30の内径部40には、複数本の転動体28が周方向に沿って略平行に並設され、前記転動体28は、後述するように、内径部40の端部に半径内方向に向かって突出するフランジ部42によって該内径部40から分離・脱落しないように保持される。なお、ローラ部材30の内径部40に沿って装着される複数の転動体28は、それぞれ略同一の直径を有し、略同一形状に形成されているものとする。トラニオン26a(26b、26c)は、外径が一定の円柱状に形成される。
本実施の形態に係る等速ジョイントの組み付け方法が適用された等速ジョイント10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、その作用効果について説明する。
先ず、等速ジョイント10の組立作業について説明する。
図4に示されるように、治具60(図5参照)を用いてローラ部材30の内径部40の軸線方向(フランジ部42の反対側の方向)から全数(所定数)の転動体28を該ローラ部材30の内径部40内に一括して挿入する。なお、ローラ部材30の内径部40の壁面には、予め、潤滑材(グリース等)を塗っておく。
この場合、ローラ部材30の内径部40内に一括して挿入された全数の転動体28を前記潤滑材によって保持してもよいし、あるいは、図示しない他の機械的又は物理的な保持手段によって保持してもよい。例えば、ローラ部材30の内径部40に挿入された全数の転動体28を図示しない磁石の磁力によって保持する等の方法がある。
前記治具60は、図5及び図6に示されるように、円柱体62と、前記円柱体62の軸線方向に沿った一端部の外周面を囲繞するリング体64とを備える。前記リング体64と円柱体62との間には、全数の転動体28が収納可能な空間部からなり、全数の転動体28を周方向に沿って整列させる環状段部68が形成される。この場合、前記円柱体62をローラ部材30側に向かって上昇させることにより全数の転動体28を一括して押し出すことができる。
換言すると、環状段部68内に装填された複数の転動体28は、円柱体62の外周面62aとリング体64の内周面64aとの間の空間部によって拘束され、且つ環状段部68の壁面68aによって支持される(図6参照)。
図5に示されるように、前記治具60に形成された前記環状段部68に沿って複数の転動体28を環状に並べて装填する。全数(図5中では15本を示しているがこれに限定されるものではない)の転動体28が環状段部68内に装填されたとき、前記全数の転動体28は、キーストン効果を発生させることが可能なキーストン状態に保持されていなくてもよいが、より好ましくは、キーストン効果を発生させることが可能なキーストン状態に保持された状態にあるとよく、最も好ましくは、キーストン効果が発生した状態で保持されているとよい。
なお、本実施の形態において、「キーストン状態」とは、転動体28がキーストン効果によってローラ部材30の内径部40から分離・離脱することを好適に阻止された状態、すなわち、キーストン効果が発生することが可能な状態でローラ部材30の内径部40内に組み込まれている状態をいう。
換言すると、ローラ部材30の内径部40内に全数の転動体28が一括して挿入された後、キーストン効果が発生するように、転動体28の外径とローラ部材30の内径部40の内径とが、予め、所定値に設定されており、ローラ部材30の内径部40内に全数の転動体28が挿入された後、各々の転動体28が隣接する他の転動体28と接触していなくてもキーストン状態にあるといえる。図10は、全数の転動体28が隣接する他の転動体28とクリアランスCを介して非接触状態にあり、且つローラ部材30の内径部40の壁面に接触した前記キーストン状態を示したものであるが、前記転動体28がローラ部材30の内径部40の壁面に必ずしも接触している必要はない。
続いて、図6に示されるように、フランジ部42の反対側であるローラ部材30の第1面34とリング体64の上面とを当接させ、リング体64を固定した状態で円柱体62を軸線方向に沿って上昇させることにより、全数の転動体28がローラ部材30の内径部40内に押し出され、ローラ部材30の内径部40内に一括して挿入される。
前記円柱体62が上昇することにより、図7に示されるように、全数の転動体28がローラ部材30の内径部40の軸線方向に沿って一括して変位し、前記転動体28がローラ部材30の内径部40内に対して挿入される。
この場合、全数の転動体28は、加圧力によって押圧される圧入ではなく、単にローラ部材30の内径部40に沿って進入し該内径部40内に挿入されるだけである。内径部40内に挿入された前記転動体28の端部がローラ部材30のフランジ部42に当接することにより、その変位が規制される。
ローラ部材30の内径部40に塗布された潤滑油により前記内径部40内に転動体28が装填された状態を保持したまま、サークリップ46を環状溝44に装着することにより、前記転動体28は前記サークリップ46とフランジ部42との間で好適に保持される。
この場合、ローラ部材30の内径部40内に装填された全数の転動体28は、キーストン状態に保持されてキーストン効果が発生することによって内径部40からの分離・脱落が阻止される。図9は、キーストン効果によって全数の転動体28が保持された状態を示したものであり、図9中における一点鎖線は、キーストン効果によって隣接する転動体28同士が接触する複数の接触点を結んだ仮想円Bを示す。
なお、図8に示されるように、ローラ部材30の内径部40の壁面と転動体28との間で径方向のクリアランスAを設けることにより、治具60による転動体28の挿入がより一層容易となる。前記径方向のクリアランスAは、例えば、数μm〜数十μmに設定されるとよい。
特許文献1に開示された従来技術に係る転動体3の組立方法では、隙間に最後の1個の転動体3aをローラ1の円筒内周面2の半径外方向から圧入して、ローラ1の円筒内周面2に沿って複数の転動体3を一連に装着する方法が採用されている。従って、キーストン効果を発生させるためには、隙間内に圧入する最後の1本の転動体3aの圧入代を確保するために、ローラ1の内周側の内径公差と転動体3の外径公差とを、それぞれできるだけ小さく設定する必要がある。
これに対して、本実施の形態では、予め治具60に並設された全数の転動体28をローラ部材30の内径部40に対して軸線方向から一括して挿入しているため、前記転動体28の外径公差及びローラ部材30の内径公差に影響されることがなく、ローラ部材30に対する転動体28の組立作業性を向上させ、製造コストをより一層低減することができる。
換言すると、従来技術ではキーストン効果を発生させるために、隙間に対して最後の1個の転動体3aをローラ1の円筒内周面2の半径外方向から圧入するために、公差(内径公差及び外径公差)をできるだけ小さく設定しなければならないのに対し、本実施の形態では、全数の転動体28をローラ部材30の内径部40の軸線方向から一括して挿入することによりキーストン効果を発生させることが可能なキーストン状態としているため、最後の1本の転動体28を圧入することが不要となるからである。
本実施の形態では、転動体28の外径公差及びローラ部材30の内径部40の内径公差の管理が従来技術と比較して緩やかになり、加工作業が容易となると共に、その転動体28の組立作業(ローラ部材30の内径部40内への挿入)も容易となる。
この結果、本実施の形態では、転動体28の外径公差及びローラ部材30の内径部40の内径公差の設定が、隣接する転動体28間の円周方向のクリアランスが零よりも大きくなるように設定し、且つ転動体28のスキュー角を考慮して設定すればよいだけである。
なぜならば、全数の転動体28をローラ部材30の内径部40に装着した際、隣接する転動体28間に円周方向のクリアランスを設けておかないと該転動体28が回転不能となり転動体28としての機能が発揮できなくなるからである。
なお、図11及び図12に示されるように、環状空間70部内に装填された転動体28を下側から支持する落下防止用のシャッタプレート72が設けられた治具74を用い、図4とは反対方向であるローラ部材30の上方から全数の転動体28を一括して該ローラ部材30の内径部40内に挿入するようにしてもよい。
本発明の実施の形態に係る等速ジョイントの組み付け方法によって組み付けられた等速ジョイントの軸線と直交する方向に沿った部分拡大縦断面図である。 図1に示す等速ジョイントを構成するローラ部材の縦断面図である。 図1に示す等速ジョイントの第1変形例に係る部分拡大縦断面図である。 ローラ部材の内径部に対して下方向から全数の転動体を挿入する状態を示す斜視図である。 治具の環状段部内に全数の転動体が装填された状態を示す斜視図である。 前記治具がローラ部材に当接し、転動体が前記ローラ部材の内径部内に挿入される前の状態を示す縦断面図である。 治具を構成する円柱体が上昇して、ローラ部材の内径部内に全数の転動体が一括して挿入された状態を示す縦断面図である。 ローラ部材の内径部の壁面と転動体の径方向のクリアランスを示す平面図である。 ローラ部材の内径部内に挿入された全数の転動体がキーストン効果によって保持された状態を示す一部省略平面図である。 ローラ部材の内径部内に挿入された全数の転動体が隣接する他の転動体と接触することがなくキーストン状態に保持された一部省略平面図である。 ローラ部材の内径部に対して上方向から全数の転動体を挿入する状態を示す斜視図である。 シャッタプレートを有する治具がローラ部材に当接し、転動体が前記ローラ部材の内径部内に挿入される前の状態を示す縦断面図である。 図1に示す等速ジョイントの第2変形例に係る部分拡大縦断面図である。 従来技術に係る等速ジョイントにおいて、ローラの円筒内周面への転動体の圧入方法を示す横断面図である。
符号の説明
10、10a、10b…等速ジョイント
16…インナ部材 18a〜18c…案内溝
26a〜26c…トラニオン 28…転動体
30…ローラ部材 40…内径部
42…フランジ部 44…環状溝
46…サークリップ 50…ワッシャ
60、74…治具 62…円柱体
64…リング体 68…環状段部

Claims (5)

  1. 所定間隔離間し軸線方向に沿って延在する複数の案内溝が内周面に設けられ筒状のアウタ部材と、前記アウタ部材の開口する内空部内に設けられ前記案内溝に向かって膨出する複数のトラニオンと、前記案内溝に接触し前記トラニオンに外嵌されるリング状のローラ部材と、前記トラニオンと前記ローラ部材との間に転動自在に介装される複数の転動体と前記ローラ部材の内径部の軸線方向に沿った一方の端部に形成され半径内方向に向かって突出するフランジ部と、前記ローラ部材の内径部の軸線方向に沿った他方の端部に装着され前記転動体を保持する保持部材とを備えるトリポート型の等速ジョイントの組み付け方法において、
    前記ローラ部材に保持部材が装着される前、全数の転動体は、環状に並べられ、該ローラ部材の内径部の壁面と転動体の外周面との間で径方向のクリアランスが設けられた状態で前記フランジ部と反対側の他方の端部から内径部の軸線方向に沿って前記内径部内に一括して挿入される工程と、
    前記全数の転動体が内径部内に一括して挿入された後、前記ローラ部材の内径部の軸線方向に沿った他方の端部に前記転動体を保持する保持部材が装着される工程と、
    を有することを特徴とする等速ジョイントの組み付け方法
  2. 所定間隔離間し軸線方向に沿って延在する複数の案内溝が内周面に設けられ筒状のアウタ部材と、前記アウタ部材の開口する内空部内に設けられ前記案内溝に向かって膨出する複数のトラニオンと、前記案内溝に接触し前記トラニオンに外嵌されるリング状のローラ部材と、前記トラニオンと前記ローラ部材との間に転動自在に介装される複数の転動体と前記ローラ部材の内径部の軸線方向に沿った一方の端部及び他方の端部に装着され前記転動体を保持する一組の保持部材とを備えるトリポート型の等速ジョイントの組み付け方法において、
    前記ローラ部材の一方の端部に保持部材が装着され且つ他方の端部に保持部材が装着される前、全数の転動体は、環状に並べられ、該ローラ部材の内径部の壁面と転動体の外周面との間で径方向のクリアランスが設けられた状態で他方の端部から内径部の軸線方向に沿って前記内径部内に一括して挿入される工程と、
    前記全数の転動体が内径部内に一括して挿入された後、前記ローラ部材の内径部の軸線方向に沿った他方の端部に前記転動体を保持する保持部材が装着される工程と、
    を有することを特徴とする等速ジョイントの組み付け方法
  3. 請求項1又は2記載の方法において、
    前記ローラ部材の内径部内に挿入された後の全数の転動体は、該ローラ部材の内径部内でキーストン状態に保持されることを特徴とする等速ジョイントの組み付け方法
  4. 請求項1又は2記載の方法において、
    前記径方向のクリアランスは、数μm〜数十μmに設定されることを特徴とする等速ジョイントの組み付け方法
  5. 請求項1又は2記載の方法において、
    前記保持部材には、少なくとも、サークリップ又はワッシャが含まれることを特徴とする等速ジョイントの組み付け方法
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