JP3560646B2 - ボイラの低NOx 燃焼方法および装置 - Google Patents

ボイラの低NOx 燃焼方法および装置 Download PDF

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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ボイラの低NO燃焼方法および装置に係わり、特に、排ガス中の窒素酸化物と未燃分を低減するのに好適なボイラの低NO燃焼方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
化石燃料を用いた燃焼設備からの燃焼排ガス中に含まれる窒素酸化物(以下、NOと称す)は、大気汚染物質のひとつとして大きな社会問題となっており、近年では酸性雨の原因物質としても取りあげられている。
このため、このNOの低減法はいろいろな方法が提案され、かつ実施されている。NO低減法は、大別して炉内の燃焼方法によって低減する方法と、発生したNOを火炉の後流に設けた装置(すなわち、脱硝装置)によって除去する方法とに分けられる。ここでは、前者の燃焼方法によって、NOを低減する方法について説明する。
【0003】
この燃焼方法によってNOを低減する方法としては、二段燃焼法、炉内脱硝法等多くの方法があるが、いずれもバーナの空気比(=バーナ投入空気量/理論燃焼空気量)を制御して、炉内に還元領域(空気比:1.0未満の領域)を形成し、この領域でのNO還元反応を利用したものである。
二段燃焼法とは、バーナから供給する空気量を理論燃焼空気量より若干少なめ、すなわちバーナ空気比を0.7〜1.0にして、その下流域において不足分の空気を供給する方法である。
【0004】
一方、炉内脱硝法は、燃焼排ガスの流れに沿って複数のバーナ段と、その下流域に空気だけを供給するポート(以下、NOポートという)を有するボイラにおいて、各バーナ段の空気比を変化させ、より効果的にNOを還元させようとする方法である(特開昭52−92134号公報、特公昭55−21922号公報、特開昭54−95020号公報、特開昭59−24106号公報、実開昭56−47321号公報他)。この方法には、よりNOを効果的に低減するために以下に示すようなさまざまな各段のバーナ空気比の組合わせが提案され、実施されている。
【0005】
a)図9は、複数のバーナ段を有する燃焼設備において、最下流バーナの空気比を他のバーナ空気比より低くし、かつ全てのバーナ空気比を1.0未満にした燃焼方法(特開昭52−92134号公報他)を示す図である。
b)図10は、最下流バーナの空気比を0(燃料だけを供給)、または燃料を排ガスとともに供給(空気比は限りなく0に近い)し、他のバーナ空気比を1.0以上にした燃焼方法(特公昭55−21922号公報)を示す図である。
【0006】
c)図11は、上記b)の方法において、上流側バーナ空気比を1.0未満とし、かつ最下流バーナの上流に空気だけを供給するポートを設け、最下流バーナの上流側を空気過剰(空気比1.0以上)にした燃焼方法(特開昭54−95020号公報)を示す図である。
d)図12は、下流にしたがって、バーナ空気比を低くした燃焼方法(特開昭59−24106号公報)を示す図である。
【0007】
e)図13は、最上流バーナの空気比を他のバーナ空気比より低くし、かつ全てのバーナ空気比を1.0未満にした燃焼方法(実開昭56−47321号公報)を示す図である。
f)図14は、上流バーナほど、バーナ空気比を低くした燃焼方法(特開昭59−77208号公報)を示す図である。
【0008】
これらの方法のうち、a)〜d)はいずれも下流側バーナの空気比を低くし、このバーナによって発生する多量の還元物質で上流側バーナで発生したNOを効果的に還元しようとするものである。これらの方法では、最下流バーナで発生する還元物質のうち窒素原子を含むHCN(またはCNラジカル)やNH(またはNH(i=1,2)ラジカル)は、上流からのNOと反応すると無害なNガスとなるが、NOと反応しないで最下流バーナの下流に設置したNOポートからの空気中の酸素(O)と反応するとNOとなってしまう。また、火炉出口までの滞留時間の最も少ない最下流バーナの空気比を低くするために、燃料として燃焼速度の遅い微粉炭を用いた場合、火炉出口の灰中未燃分が多くなってしまうといった問題がある。
【0009】
一方、e)およびf)の方法は、最上流バーナによって還元領域を形成するため、上記のような問題は小さいが、空気比を低くするとバーナからの火炎が不安定となり、失火といった問題が生じる。上流側に安定した火炎が形成されている場合(例えば、a)〜d)の方法)には、それほど問題はないが、これらの方法(e)およびf)の方法)では、上流側に火種がなくなることが生じるために、火炉上流部に未燃成分が溜り、極めて危険な状態(火炉爆発等)になる。
【0010】
また、火炉の高さ寸法を短縮可能にするとともに、火炉より排出する燃焼ガス中の窒素酸化物を低減可能にする石炭焚ボイラが特開平5−240403号公報に開示されている。上記発明の構成を図15に示す。図15において1はボイラ火炉であり、火炉下部には二段の微粉炭バーナ2と4が設けられ、バーナ2と4の間の位置に、微粉炭投入口103を設けて、ここより微粉炭90を投入するものである。なお、微粉炭90を投入する際はごく少量の加熱蒸気や空気を用いることが示されている。しかしながら、上記技術は、大型燃焼炉であるボイラ火炉中央域に達するように微粉炭を投入し、かつバーナ2、4の燃焼ガスと十分混合させる点について十分でなく、また、投入した微粉炭が着火性よく火炉内に拡散する点について不十分であると思われる。
【0011】
本願発明者らの検討によれば、微粉炭は液体燃料やガス体燃料に比べて着火性や燃焼性に劣るので、上記問題点を解決するためには、投入装置としては着火装置と着火後の火炎を維持する保炎装置を備えた、いわゆる微粉炭バーナを使用し、かつバーナに微粉炭を供給するための搬送流体としては、その微粉炭を燃焼させるに必要な理論空気量の30%程度以上の流量の流体を用い(火炉からバーナへの逆火防止と微粉炭の搬送エネルギの面より)、また火炉内での燃焼、拡散の点については、バーナから微粉炭とともに噴射される噴射用流体は、バーナに微粉炭を供給するに必要とされた流体量に比し、流量、酸素含有量が多いことが望ましい。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術、特に現在提案され、実施されている炉内脱硝法は、上記でも述べたように、NOポートからの空気による残留含窒素還元物質(HCN、NH等)の酸化(NO生成)、微粉炭燃焼での灰中未燃分増加、燃焼不安定による安全性の低下、燃料の火炉内への投入と拡散等について充分な配慮がされておらず、NOポートによりNOが再生成される。微粉炭燃焼で燃焼効率が低下する。炉内爆発等の危険性がある等の問題があった。
【0013】
本発明の目的は、上記炉内脱硝法の有する欠点をなくし、燃焼効率の低下や安全性の低下を引き起こすことなく、火炉内に還元領域を形成して、効果的に火炉出口のNOを低減する燃焼方法および装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本願で特許請求する発明は以下のとおりである。
(1)燃焼装置火炉内の燃焼ガスの流れに沿って3段以上のバーナと、その下流に1段以上の空気だけを投入するポートとを備え、火炉内に還元領域を1個所以上形成するボイラの低NOx 燃焼方法において、前記還元領域を形成する低空気比バーナの空気比を0.6以上、かつ0.8未満とし、該低空気比バーナの上流側のバーナの空気比を0.85を越え、かつ1.2以下とし、さらに前記低空気比バーナの下流側のバーナの空気比を0.85を越え、かつ1.0未満に調整して燃焼させることを特徴とするボイラの低NOx 燃焼方法。
(2)(1)において、各バーナへの燃料として固体燃料を供給し、かつ前記低空気比バーナ、または前記下流側のバーナに供給する固体微粉燃料の粒径を他のバーナに供給する燃料の粒径よりも細かくしたことを特徴とするボイラの低NOx 燃焼方法。
(3)(1)または(2)において、各バーナへの燃料として固体微粉燃料を供給し、かつ前記低空気比バーナまたは前記下流側のバーナに供給する固体微粉燃料を他のバーナに供給する固体燃料より高揮発分燃料としたことを特徴とするボイラの低NOx 燃焼方法。
(4)燃焼装置火炉内の燃焼ガスの流れに沿って3段以上のバーナと、その下流に1段以上のNOポートを有し、火炉内に還元領域を1個所以上形成するボイラの低NOx 燃焼装置において、前記還元領域を形成する低空気比バーナの上流および下流に該低空気比バーナの空気比よりも高い空気比のバーナを設けるとともに、前記還元領域を形成する低空気比バーナの空気比を0.6以上、かつ0.8未満とし、該低空気比バーナの上流側のバーナの空気比を0.85を越え、かつ1.2以下とし、さらに前記低空気バーナの下流側のバーナの空気比を0.85を越え、かつ1.0未満に制御する手段を備えたことを特徴とするボイラの低NOx 燃焼装置。
(5)(4)において、各バーナおよびNOポートからの空気に燃焼排ガスを混入する機構と、混入する排ガス量を各バーナの空気比およびNOポートからの空気量に応じて調整する手段とを設けたことを特徴とするボイラの低NOx 燃焼装置。
(6)燃焼装置火炉内の燃焼ガスの流れに沿って3段以上のバーナと、その下流に1段以上のNOポートを有し、火炉内に還元領域を1個所以上形成するボイラの燃焼方法であって、還元領域を形成する低空気バーナの上流域に設けたバーナは該低空気比バーナの空気比より高くして安定燃焼バーナとし、前記低空気バーナの下流域に設けたバーナは低空気比バーナよりも高い空気比で、かつ上流域にて残留した含窒素還元物質を消費するバーナとして形成するとともに、上記バーナの点火に際しては、上流バーナ、そのすぐ下流の低空気比バーナ、ついでその下流のバーナの順に点火し、消火に際しては、点火と逆の順序で行なうことを特徴とするボイラの低NOx 燃焼方法。
(7)燃焼装置火炉内の燃焼ガスの流れに沿って3段以上のバーナと、その下流に1段以上のNOポートを有し、火炉内に還元領域を1個所以上形成するボイラの燃焼方法であって、還元領域を形成する低空気比バーナの上流域に設けたバーナは該低空気バーナより空気比を高くして安定燃焼バーナとし、前記低空気比バーナの下流域に設けたバーナは低空気バーナより高い空気比で、かつ上流域にて残留した含窒素還元物質を消費するバーナとして形成するとともに、上記バーナの点火に際しては、最初に、前記バーナのうちの最上流のバーナ、ついで最下流のバーナ、最後に前記低空気比バーナの順に点火し、消火に際しては、点火と逆の順序で行なうことを特徴とするボイラの低NOx 燃焼方法。
【0015】
【作用】
本発明を用いると、低空気比バーナによって形成された火炎中で発生した含窒素還元物質(HCN、NH等)は、上流のバーナで発生したNOを無害なNガスに転換するとともに、残留した含窒素還元物質は、下流のバーナで発生したNOと反応してNとなり、NOポートからの空気による含窒素還元物質の酸化(NOの再生成)を抑制することができる。
【0016】
また、火炉出口までの滞留時間の最も短い最下流バーナの空気比をそれほど低くする必要がないため、燃焼速度の遅い微粉炭等固体燃焼においても火炉出口での灰中未燃分を増加し、燃焼効率を低下させることがない。
さらに、燃焼が不安定な最低空気比バーナの上流に確実に火炎を形成できる空気比のバーナを設置するので、火炉上流部において着火不良等による未燃成分の滞留を防ぐことができる。また、最低空気比のバーナ自身についても、起動時の着火装置、着火後の保炎装置を設けているので、着火不良や未燃分の滞留、さらにはその爆発等を防止できる。
【0017】
【実施例】
以下、本発明の実施例を、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の実施例に係わるボイラの断面図を示す。この図では、火炉1には燃焼排ガスの流れに沿って上流から下流へ3段のバーナ2、3、4およびその下流にNOポート5が1段設置されている。この3段のバーナのうち中段バーナ3は、還元領域を形成するための低空気比バーナである。下段バーナ2および上段バーナ4は、上記中段バーナ3よりバーナ空気比を高く保持し、下段バーナ2の空気比は燃焼可能な空気比に設定する。また、上段バーナ4の空気比は中段バーナ3の空気比よりも高く、理論燃焼空気比1.0より低い値に制御する。
【0018】
さらに、この実施例では、燃焼排ガスが各段バーナ2、3、4およびNOポート5に混入できるように、排ガスライン6と排ガス量を調整する調整器7があり、この排ガスライン6は各段バーナ2、3、4およびNOポート5用に分岐され、分岐ライン8、9、10、11には排ガス量を調整するための調整器12、13、14、15が設置されている。
【0019】
図1に示した本発明の実施例における中段バーナ3、すなわち低空気比バーナの空気比について図2を用いて説明する。このバーナ3は、炉内に還元領域を形成するためのものであり、NOを還元するための還元物質を生成する必要がある。図2には、バーナ空気比とNO濃度および含窒素還元物質(HCN、NH)濃度との関係を表わす実験結果を示す。この実験は、予混合バーナを用い、燃料としてはプロパン(C)を用いた。この図からも明らかなように、還元物質であるHCNやNHの生成するバーナ空気比は0.8ないし0.85未満である。
【0020】
この結果から、図1に示した中段バーナ3の空気比は0.85未満、望ましくは0.8未満に設定する必要がある。なお、この中段バーナ3については、微粉炭バーナの場合は搬送、逆火防止の面からは空気比0.3以上が必要であり、また、単体でも火炎形成が可能なように、空気比を0.6以上、0.85未満に設定することが望ましく、点火機能と保炎機能を有する燃焼装置(バーナ)形式となっている。
【0021】
つぎに、下段バーナ2の空気比について考察してみる。この下段バーナ2は、着火不安定となる低空気比バーナである中段バーナ3の上流に確実な火種を形成するとともに、中段バーナ3で発生する含窒素還元物質(HCN、NH)の総量に見合ったNO量を発生する空気比が望ましい。図3に、メタンガス(CH)の可燃限界曲線を示す。この図は、予混合燃焼の条件で横軸に排ガス量(または燃焼用媒体のO濃度)、縦軸にCH濃度をとって可燃限界範囲を示したものである。なお、図中に示した破線はCH濃度と燃焼用媒体中のO濃度から計算した等空気比線である。当然、この可燃限界曲線は燃料種や燃焼方法(例えば、予混合燃焼と拡散燃焼)の違いによって異なるものであるが、いずれの場合にも理論燃焼空気比1.0前後に安定燃焼域が存在する。これらの結果から、下段バーナ2の空気比は少なくとも0.8以上、望ましくは0.85を越えるようにする必要がある。また、この空気比の上限値は、望ましくは1.2以下である。
【0022】
上段バーナ4は、中段バーナ3で発生した含窒素還元物質(HCN、NH等)のうち、下段バーナ2で発生したNOと反応せず残留した含窒素還元物質を完全燃焼領域、すなわち最下流のNOポート5からの空気による酸化領域に供給されないようにするとともに、このバーナ4の下流には還元領域がないので、極力NO発生を抑制した空気比にする必要がある。このため上段バーナ4の空気比は、図2からも明らかなように、少なくとも0.8以上、望ましくは0.85を越え1.0未満に設定することが必要である。
【0023】
燃料として固体燃料(例えば、微粉炭燃料)を用いた場合、図1に示す中段バーナ(低空気比バーナ)に粒径の小さい粒子または揮発分の多い燃料を用いると、バーナ近傍での揮発分の放出量が多くなり、着火性が向上して還元領域の形成が容易となるとともに、低空気比にも係わらず安定燃焼が可能となる。また、微粒子または揮発分の多い燃料を最下流の上段バーナに用いた場合には、燃焼速度が大きくなるため、火炉出口における灰中未燃分の低減に大きな効果が得られる。なお、上記の揮発分の多い燃料としては、微粉炭等固体燃料に限らず、ガスまたは液体燃料を用いることもできる。着火保炎性の向上には、バーナ構造が関与することは当然であり、保炎器に濃縮した固体燃料微粉を衝突させて保炎性を強化した微粉炭バーナ(図4)等を中段バーナまたは上段バーナに用いても、同様な効果が望める。
【0024】
つぎに、図1に示した本発明の実施例における燃焼用空気に混入する燃焼排ガスの作用について説明する。この排ガス混合は、燃焼により発生するNOのうち温度依存性が大きく(高温ほどNO発生量が多い)、空気中の窒素ガス(N)に起因したサーマルNOの比率が高いガス焚や油焚燃焼のような場合には、火炎温度を下げてNOを低減する働きがある。また、燃焼排ガスは本発明のように各バーナの空気比を制御する場合には、各バーナからの運動量を確保し、炉内の混合状態を変化させる役目がある。例えば、図1における中段バーナ3は、空気比を低く抑えるために、供給される空気量が少なく運動量が小さくなる。このため、下段バーナ2によって形成されたNOを含む燃焼ガスとの混合が不良となり、充分なNO還元反応がおこらず、火炉出口のNO排出量が多くなるといった問題が生じる。このように、各バーナの空気比を制御した燃焼方法では、炉内の混合状態がNO低減等に重要である。そこで、本発明ではこの炉内の混合状態を制御するために、各バーナ2、3、4およびNOポート5に混入する排ガス量を調整器7、12、13、14、15を用いて調整することができるようになっている。
【0025】
本発明の点消火の方法について説明する。
本発明の実施例では、まず望ましい点火の一つの方法は、最下段バーナ2から中段バーナ3、上段バーナ4と順次滞留時間の長いバーナから点火していくのが望ましい。消火方法は、上記点火方法の逆の順序で実施する。このような方法をとることにより、最下段バーナ2だけを用いた時には、バーナとNOポート5との距離が大きくなり、また、最下段バーナ2と中段バーナ3を用いた時は、中段バーナ3から発生するHCNやNHがNOポート5からの空気によって再酸化する(NO生成)ことを、停止バーナ(上段バーナ4)が間にあるために極力抑えることができる。このような方法を採用することにより、点消火時にも、未燃分を増加させることなく、NOを抑制することができる。
【0026】
また、点消火の望ましい他の方法として、最下段バーナ2から上段バーナ4、最後に中段バーナ3の順序に点火し、消火方法は点火方法の逆の順序で実施する。このようにすることにより、点消火時にも未燃分を増加させることなく、NOを抑制することができる。
本発明は、還元領域を形成する低空気比バーナの上流および下流に、このバーナより空気比の高い安定燃焼可能なバーナおよび残留した含窒素還元物質(HCN、NH等)を消費するバーナを設置し、最下流に完全燃焼用のNOポートを設けたものであるから、バーナ段が4段以上、対向燃焼方式、コーナファイアリング方式等の場合にもさまざまな空気比制御が可能である
これらの実施例を図5〜図8に示す。図5には、バーナ段が4段の場合を示しているが、この場合には、最上流下段バーナ2の空気比を燃焼可能な空気比および上段バーナ4の空気比をNOポートからの酸化領域に含窒素還元物質が供給されないような値(0.8以上、望ましくは0.85を越え、かつ1.0未満)に制御し、中段バーナ3−1、3−2のうちどちらか、または2段とも空気比0.85未満、望ましくは0.8未満の低空気比バーナとして空気量を制御すれば、図1に示す実施例と同程度のNO低減効果が得られる。なお、上記で中段バーナ3−1、3−2のうちどちらかを低空気比にした場合には、残りのバーナは極力NO生成量を抑えるために、空気比を1.0未満にすることが望ましい。これらの空気比制御は、図5に示した4段バーナ以外、それ以上の段数を有するボイラについても適用できる。
【0027】
対向燃焼(4段バーナ)の場合の一実施例を図6に示す。この実施例では、缶前中段バーナ3−1−1、3−2−1のうち上流側バーナ3−1−1および缶後中段バーナ3−1−2、3−2−2のうち下流側バーナ3−2−2を低空気比バーナとしており、この実施例でも同程度の効果が得られる。
火炉内旋回燃焼(4段バーナ)の場合の中段バーナ群の一実施例を図7および図8に示す。図7は上流側中段バーナ面の横断面、図8は下流側中段バーナ面の横断面を示しており、図7の缶前左側バーナ3−1−▲1▼および缶後右側バーナ3−1−▲3▼と図8の缶前右側バーナ3−2−▲2▼および缶後左側バーナ3−2−▲4▼を低空気比バーナとしている。その他、図示することは省略するが、下段バーナ2や上段バーナ4を複数段にしても、上記した実施例と同様の目的を達成することができる。その他の燃焼方法、燃焼システムにおいても、最上流に安定燃焼可能なバーナ、NOポートのすぐ上流に残留した含窒素還元物質を消費するバーナを設置した燃焼設備において、これらのバーナの間に還元領域を形成する低空気比バーナを設置すれば、図1に示した本発明の実施例と同等の効果が得られる。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、火炉内に空気比の低い還元領域が形成され、さらにNOポートからの空気による酸化領域に含窒素還元物質が残留してNOになることがないので、火炉出口のNO排出量を低減することができる。
燃焼速度の遅い固体燃料を用いた場合にも、火炉内滞留時間の最も短い最下流バーナの空気比をある程度高く設定(0.8以上、望ましくは0.85を越え、かつ1.0未満)できるので、火炉出口における灰中未燃分の増加による燃焼効率の低下を防ぐことができる。
【0029】
また、火炉の最上流には燃焼可能な空気比に設定したバーナが設置され、火炉上流部に不安定燃焼による未燃成分の滞留を防止することができるので、炉内爆発等の危険性がなくなり安全性が向上する。
さらに、本発明は3段以上のバーナおよび1段以上のNOポートを有する燃焼設備ならば、各段のバーナ空気比およびNOポートからの空気量を制御するだけでよいため、既存のボイラ等燃焼設備に容易に採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になるボイラ装置の一実施例を示す断面図。
【図2】バーナ空気比とNO濃度および含窒素還元物質濃度との関係を表わす実験結果を示す図。
【図3】メタンガスの可燃限界曲線を示す図。
【図4】保炎を強化した微粉炭バーナの断面図。
【図5】本発明の他の実施例を示す縦断面および横断面図。
【図6】本発明の他の実施例を示す縦断面および横断面図。
【図7】本発明の他の実施例を示す縦断面および横断面図。
【図8】本発明の他の実施例を示す縦断面および横断面図。
【図9】従来の炉内脱硝燃焼法を用いたボイラの断面図。
【図10】従来の炉内脱硝燃焼法を用いたボイラの断面図。
【図11】従来の炉内脱硝燃焼法を用いたボイラの断面図。
【図12】従来の炉内脱硝燃焼法を用いたボイラの断面図。
【図13】従来の炉内脱硝燃焼法を用いたボイラの断面図。
【図14】従来の炉内脱硝燃焼法を用いたボイラの断面図。
【図15】従来の炉内脱硝燃焼法を用いたボイラの断面図。
【符号の説明】
1…火炉、2…下段バーナ、3…中段バーナ(低空気比バーナ)、4…上段バーナ、5…NOポート、6…排ガスライン、7…排ガス流量調整器、8〜11…排ガスライン、12〜15…排ガス流量調整器、16…燃料ライン、17…ホッパ用排ガスライン、18…ホッパ用排ガス流量調整器、19…燃焼用空気ライン、20…全空気量調整器、21…分岐空気用流量調整器。

Claims (7)

  1. 燃焼装置火炉内の燃焼ガスの流れに沿って3段以上のバーナと、その下流に1段以上の空気だけを投入するポートとを備え、火炉内に還元領域を1個所以上形成するボイラの低NOx 燃焼方法において、前記還元領域を形成する低空気比バーナの空気比を0.6以上、かつ0.8未満とし、該低空気比バーナの上流側のバーナの空気比を0.85を越え、かつ1.2以下とし、さらに前記低空気比バーナの下流側のバーナの空気比を0.85を越え、かつ1.0未満に調整して燃焼させることを特徴とするボイラの低NOx 燃焼方法。
  2. 請求項1において、各バーナへの燃料として固体燃料を供給し、かつ前記低空気比バーナ、または前記下流側のバーナに供給する固体微粉燃料の粒径を他のバーナに供給する燃料の粒径よりも細かくしたことを特徴とするボイラの低NO燃焼方法。
  3. 請求項1または2において、各バーナへの燃料として固体微粉燃料を供給し、かつ前記低空気比バーナまたは前記下流側のバーナに供給する固体微粉燃料を他のバーナに供給する固体燃料より高揮発分燃料としたことを特徴とするボイラの低NO燃焼方法。
  4. 燃焼装置火炉内の燃焼ガスの流れに沿って3段以上のバーナと、その下流に1段以上のNOポートを有し、火炉内に還元領域を1個所以上形成するボイラの低NOx 燃焼装置において、前記還元領域を形成する低空気比バーナの上流および下流に該低空気比バーナの空気比よりも高い空気比のバーナを設けるとともに、前記還元領域を形成する低空気比バーナの空気比を0.6以上、かつ0.8未満とし、該低空気比バーナの上流側のバーナの空気比を0.85を越え、かつ1.2以下とし、さらに前記低空気バーナの下流側のバーナの空気比を0.85を越え、かつ1.0未満に制御する手段を備えたことを特徴とするボイラの低NOx 燃焼装置。
  5. 請求項4において、各バーナおよびNOポートからの空気に燃焼排ガスを混入する機構と、混入する排ガス量を各バーナの空気比およびNOポートからの空気量に応じて調整する手段とを設けたことを特徴とするボイラの低NO燃焼装置。
  6. 燃焼装置火炉内の燃焼ガスの流れに沿って3段以上のバーナと、その下流に1段以上のNOポートを有し、火炉内に還元領域を1個所以上形成するボイラの燃焼方法であって、還元領域を形成する低空気バーナの上流域に設けたバーナは該低空気比バーナの空気比より高くして安定燃焼バーナとし、前記低空気バーナの下流域に設けたバーナは低空気比バーナよりも高い空気比で、かつ上流域にて残留した含窒素還元物質を消費するバーナとして形成するとともに、上記バーナの点火に際しては、上流バーナ、そのすぐ下流の低空気比バーナ、ついでその下流のバーナの順に点火し、消火に際しては、点火と逆の順序で行なうことを特徴とするボイラの低NO燃焼方法。
  7. 燃焼装置火炉内の燃焼ガスの流れに沿って3段以上のバーナと、その下流に1段以上のNOポートを有し、火炉内に還元領域を1個所以上形成するボイラの燃焼方法であって、還元領域を形成する低空気比バーナの上流域に設けたバーナは該低空気バーナより空気比を高くして安定燃焼バーナとし、前記低空気比バーナの下流域に設けたバーナは低空気バーナより高い空気比で、かつ上流域にて残留した含窒素還元物質を消費するバーナとして形成するとともに、上記バーナの点火に際しては、最初に、前記バーナのうちの最上流のバーナ、ついで最下流のバーナ、最後に前記低空気比バーナの順に点火し、消火に際しては、点火と逆の順序で行なうことを特徴とするボイラの低NO燃焼方法。
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