JP3560053B2 - 磁気浮上ステージ - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は磁気浮上ステージに係り、特に半導体ウエハ等の精密な位置合わせを要する半導体製造装置等に、その精密位置決め装置として用いられる磁気浮上ステージに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体デバイスの高集積化が進むにつれて、回路の配線が微細化し、配線間距離も狭くなりつつある。従って、半導体製造のマスク合わせ等に用いられる装置は、ナノメータオーダの精密な位置合わせが要求される。しかも半導体製造においては、量産性が要求されるため、高速で移動位置合わせ動作をしないと、そのスループットにも影響する。この様に、半導体製造の分野等においては、測定対象物、加工対象物を高速且つ高精度に移動して位置決めする必要性がますます要求されている。
【0003】
この様な要請に応えるため、固定側の電磁石で試料を載置したステージを磁気吸引力により非接触で浮上保持しつつ、水平方向又は鉛直方向の制御用電磁石により同様に非接触で位置決め動作を行う磁気浮上ステージが提案されている。
【0004】
しかしながら、係る提案による磁気浮上ステージは、上部が平板状のテーブルとなり、下部に開口を有する箱形の磁性材をその外周側及び内周側から電磁石で挟み込むことにより、その磁気吸引力を磁性体に及ぼすことで、位置決め動作を行っていた。このため、装置全体が大掛かりなものとなり、更に電磁石が浮上ステージの外部に露出するため、漏洩磁束が周囲に配置された別の装置等に影響を及ぼす等の問題が生じていた。更に半導体製造装置はその清浄度の確保等のため真空雰囲気におかれる場合があるが、この様な磁気浮上ステージでは露出した電磁石からガスが生じ、高清浄度環境の維持という面からは問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した事情に鑑みて為されたもので、コンパクトな構造で、且つ漏洩磁束が少なく、真空環境にも対応可能な磁気浮上ステージを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁気浮上ステージは、試料を載置するテーブル部とその外周から垂下する側板とを有する浮上体と、該浮上体を磁石の磁気力で浮上保持すると共に位置制御するアクチュエータを備えた固定体とからなる磁気浮上ステージであり、前記固定体は前記浮上体のテーブル部と側板とで覆われることを特徴とする。
【0007】
又、前記アクチュエータは、永久磁石又は永久磁石と電磁石との組合せからなり、前記固定体に平面的に配置されたことを特徴とする。
【0008】
又、前記浮上体は試料を載置するテーブル部の下面の中央付近を取り囲むように固定した内側側板を備え、該側板と前記固定体にはそれぞれ磁極面が相対する永久磁石を備え、磁気軸受として前記浮上体を浮上支持することを特徴とする。
【0009】
又、前記永久磁石は、磁化された永久磁石を磁化方向が逆になるように複数段積層した磁石列を一対設け、一方は前記固定体に固定し、他方は前記浮上体の前記側板に固定したことを特徴とする。
【0010】
又、前記浮上体のテーブル部と、該テーブル部の外周から垂下する側板とは、その外表面がシールド材で覆われていることを特徴とする。
【0011】
又、前記固定体の外囲部には複数に重ねて立設された磁性材からなる側板を備え、前記テーブルの四周から垂下する側板の下端部が前記固定側の複数に重ねて立設された側板間に間挿されることを特徴とする。
【0012】
又、前記電磁石はコイルを磁極内に配置し、樹脂で該コイルを封止したものであることを特徴とする。
【0013】
又、前記試料を載置するテーブル部と、該テーブル部の外周から垂下する側板とを備えた浮上体と、前記テーブル部と側板とで囲まれた空間内に該浮上体を浮上支持すると共に位置制御するアクチュエータを備えた固定体とからなり、該固定体は空間内の略中央部に前記浮上体の自重を支持する永久磁石を配置し、前記空間内の外周の四隅に前記浮上体の水平方向制御用電磁石を配置し、該電磁石間の中間部分に前記浮上体の鉛直方向制御用電磁石を配置したことを特徴とする。
【0014】
上述した本発明の磁気浮上ステージによれば、アクチュエータは、テーブル部とその外周から垂下する側板とに囲まれた空間内に配置されたことから、極めてコンパクトな構造の磁気浮上ステージが提供される。
又、アクチュエータを取り囲むテーブル部と該テーブル部の四周から垂下する側板は、その外表面がシールド材で覆われ、下端部がラビリンス構造となっていることから、外部への漏洩磁束を大幅に低減することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1乃至図3は、本発明の一実施形態の磁気浮上ステージの配置を示す。浮上体Tは、その中央に試料を載置するテ−ブル部である平板12とその平板の四周から垂下する側板13とを備え、下方が開口した箱体状を為している。その箱体状を為したテーブル内部に固定体であるアクチュエータAが配置される。即ち、アクチュエータAは、テーブルの平板12と側板13とに囲まれた空間内に、浮上体Tを浮上保持する受動磁気軸受の一方を構成する永久磁石7と、浮上体Tを水平方向に移動させる電磁石1,2と、浮上体Tを鉛直方向に移動させる電磁石3と、これらの電磁石の磁極面と浮上体に固定されたターゲット間の相対変位を検出する変位センサ14等を備えている。
【0017】
下方に開口した箱体状を為すテーブルTの側板13の内周面には、水平(x)方向電磁石1の磁気力を受けるターゲット4、水平(y)方向電磁石2の磁気力を受けるターゲット5が固定されている。鉛直(z)方向の位置決め用の電磁石3の磁気力を受けるターゲット6は側板13の内表面側に水平に固定されている。
【0018】
アクチュエータAは、浮上体Tを構成するテーブル部の平板12とその四周から垂下する側板13で囲まれた空間内に、その略中央部にテーブルの自重を支持する磁気軸受7,8を配置し、空間内の外周の四隅に、浮上体Tをx,y方向に移動させる電磁石1,2を配置し、x,y方向の電磁石の中間部分に浮上体Tを鉛直(z)方向に移動させる電磁石3を配置している。これにより、電磁石のコイルを含めた全ての部分を浮上体Tの平板12と側板13とに囲まれた空間内に配置できる。
【0019】
水平方向の位置制御用電磁石1,2をテーブルの四隅部分に配置することで、x方向移動制御、y方向移動制御、z軸回りの回転制御を容易に行うことができる。又、水平方向の位置制御用電磁石1,2の中間に鉛直方向の位置制御用電磁石3を配置することで、z軸方向移動制御、x軸回り、y軸回りの回転制御を行うことができる。これらの制御は、静電容量センサ等の高精度の位置計測用のセンサを用い、そのセンサ出力を目標値と比較して、電磁石の励磁電流にフィードバック制御することで、ナノメータオーダの6軸回りの位置決め制御を行うことができる。
【0020】
鉛直方向制御用電磁石3は、図3に示すように、1対の電磁石からなり、該電磁石はそれぞれ上下方向に磁極面を有して両磁極面が対面するように配置され、両磁極面間に前記浮上体Tに固着した磁性体6を水平方向に間挿するように配置している。しかしながら、この鉛直方向制御用電磁石は、それぞれ上下方向に磁極面を有して両磁極面が互いに反対方向に位置するように配置され、両磁極面がそれぞれ前記浮上体の浮上体外周の側板の上側及び下側に水平方向に固着した磁性体に対面するように配置するようにしてもよい。
【0021】
アクチュエータAは、テーブルの平板と側板で囲む空間内の略中央部にテーブルの自重を支持する磁気軸受7,8を配置している。図3の断面図に示すように、平板12にはその略中央部に垂下する第2の側壁13aを備える。そして、側壁13aの一面と固定側11の一面との間に一対の永久磁石列7,8を設けて、受動型の磁気軸受を構成している。この実施形態においては、断面長方形を為している側板13aの4箇所に永久磁石列8を備え、これに対向する固定側11の面に同様に4箇所の永久磁石列7を配置している。この永久磁石列7,8は、図4(A)に示すように、それぞれN,S極に磁化された永久磁石をそれぞれの磁化方向が逆になるように複数段積層している。
【0022】
この磁石列7,8を図4(A)に示すように、対向して設け、一方は固定側のアクチュエータAに固定し、他方は浮上体Tの内周側の側板13aの側面にそれぞれが対向するように固定する。すると、図4(B)に示すように、磁力線は浮上側の永久磁石列と固定側の永久磁石列のそれぞれの逆極性の磁極間を貫通する。従って、図4(C)に示すように、テーブルに固定された浮上側永久磁石列は自重により固定側永久磁石列に対して、下方に位置したところで鉛直方向復元力Fが発生し、これにバランスして浮上体Tの自重を支持した状態で保持される。
【0023】
この様に永久磁石を用いた受動型磁気軸受はテーブルの内周側に配置された側板と固定側との間に4箇所設けられているが、その鉛直方向中心位置が、テーブルの重心位置と概略一致するように配置されていることが好ましい。これにより、テーブルの試料を載置する平板12が水平な状態で浮上体Tをより安定に浮上保持することができる。
【0024】
浮上体T及びアクチュエータAの固定部11の外周面には、その表面にパーマロイ等の高透磁率のシールド材15が貼り付けられており、電磁石及び永久磁石からの漏洩磁束が外部に洩れないようになっている。しかしながら、テーブルと固定部との空隙はシールド材で固定することができないので、この部分に隙間ができて漏洩磁束が生じてしまうことを防止するため、図5に示す構造を採用することが好ましい。即ち、固定側の外周部には二重に立設された磁性材からなる側板11b,11cを備え、テーブル部(平板12)の四周から垂下する側板13の下端部が固定側の二重に立設された側板11b,11cに間挿されるように配置する。
これにより、シールドのラビリンス構造が得られ、アクチュエータAの電磁石又は永久磁石による磁束の外部への漏洩を防止することができる。尚、シールドのラビリンス構造は、図6に示すように三層構造としてもよい。
【0025】
又、本実施形態においては、水平方向の位置制御用電磁石1,2及び鉛直方向の位置制御用電磁石3は、それぞれ同一の形状・寸法を有している。このため、同一規格品を採用することができ、経済的に磁気浮上ステージを構成することができる。又、図7に示すように、各電磁石コイルCは磁極内部に装填され、その入口部分がエポキシ等の樹脂Eでモールド封止をされている。このため、コイル部分が外部に露出しないので、高真空雰囲気内にこの装置を配置しても脱ガスという問題が生ぜず、清浄度を損なうという問題が生じない。
【0026】
又、上記の実施の形態では6自由度を能動的に制御する例について示したが、鉛直方向の位置制御用電磁石3を外して、水平面内のみを位置決め制御するようにしても勿論よい。このように本発明の趣旨を逸脱することなく、種々の変形実施例が可能である。
【0027】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明によれば、下方に開口した箱体状の浮上体のスペース内に、アクチュエータとなる電磁石及び永久磁石を収納した、コンパクトな構造の磁気浮上ステージを実現することができる。又、外部への漏洩磁束を少なくしたので、周囲への電磁的な悪影響を及ぼすことを防止することができる。更に又、電磁石のコイルが外部に露出しないので、脱ガスという問題が無く、高真空環境下においても使用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の磁気浮上ステージの上面から見た配置図。
【図2】上記磁気浮上ステージの側面透視図。
【図3】本発明の実施形態の磁気浮上ステージのx−x線に沿った側面断面図。
【図4】上記実施形態における永久磁石による受動型の磁気軸受の説明図。
【図5】ラビリンス構造の磁気シールドの説明図。
【図6】ラビリンス構造の磁気シールドの説明図。
【図7】電磁石の(A)平面図、(B)縦断正面図、(C)横断側面図。
【符号の説明】
T 浮上体
A アクチュエータ
1 水平方向(x)電磁石
2 水平方向(y)電磁石
3 鉛直方向(z)電磁石
4 水平方向(x)電磁石ターゲット
5 水平方向(y)電磁石ターゲット
6 鉛直方向(z)電磁石ターゲット
7 固定側永久磁石列
8 浮上側永久磁石列
9,11 固定部
12 テーブル平板
13 テーブル側板
14 変位センサ
15 シールド材
【発明の属する技術分野】
本発明は磁気浮上ステージに係り、特に半導体ウエハ等の精密な位置合わせを要する半導体製造装置等に、その精密位置決め装置として用いられる磁気浮上ステージに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体デバイスの高集積化が進むにつれて、回路の配線が微細化し、配線間距離も狭くなりつつある。従って、半導体製造のマスク合わせ等に用いられる装置は、ナノメータオーダの精密な位置合わせが要求される。しかも半導体製造においては、量産性が要求されるため、高速で移動位置合わせ動作をしないと、そのスループットにも影響する。この様に、半導体製造の分野等においては、測定対象物、加工対象物を高速且つ高精度に移動して位置決めする必要性がますます要求されている。
【0003】
この様な要請に応えるため、固定側の電磁石で試料を載置したステージを磁気吸引力により非接触で浮上保持しつつ、水平方向又は鉛直方向の制御用電磁石により同様に非接触で位置決め動作を行う磁気浮上ステージが提案されている。
【0004】
しかしながら、係る提案による磁気浮上ステージは、上部が平板状のテーブルとなり、下部に開口を有する箱形の磁性材をその外周側及び内周側から電磁石で挟み込むことにより、その磁気吸引力を磁性体に及ぼすことで、位置決め動作を行っていた。このため、装置全体が大掛かりなものとなり、更に電磁石が浮上ステージの外部に露出するため、漏洩磁束が周囲に配置された別の装置等に影響を及ぼす等の問題が生じていた。更に半導体製造装置はその清浄度の確保等のため真空雰囲気におかれる場合があるが、この様な磁気浮上ステージでは露出した電磁石からガスが生じ、高清浄度環境の維持という面からは問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した事情に鑑みて為されたもので、コンパクトな構造で、且つ漏洩磁束が少なく、真空環境にも対応可能な磁気浮上ステージを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁気浮上ステージは、試料を載置するテーブル部とその外周から垂下する側板とを有する浮上体と、該浮上体を磁石の磁気力で浮上保持すると共に位置制御するアクチュエータを備えた固定体とからなる磁気浮上ステージであり、前記固定体は前記浮上体のテーブル部と側板とで覆われることを特徴とする。
【0007】
又、前記アクチュエータは、永久磁石又は永久磁石と電磁石との組合せからなり、前記固定体に平面的に配置されたことを特徴とする。
【0008】
又、前記浮上体は試料を載置するテーブル部の下面の中央付近を取り囲むように固定した内側側板を備え、該側板と前記固定体にはそれぞれ磁極面が相対する永久磁石を備え、磁気軸受として前記浮上体を浮上支持することを特徴とする。
【0009】
又、前記永久磁石は、磁化された永久磁石を磁化方向が逆になるように複数段積層した磁石列を一対設け、一方は前記固定体に固定し、他方は前記浮上体の前記側板に固定したことを特徴とする。
【0010】
又、前記浮上体のテーブル部と、該テーブル部の外周から垂下する側板とは、その外表面がシールド材で覆われていることを特徴とする。
【0011】
又、前記固定体の外囲部には複数に重ねて立設された磁性材からなる側板を備え、前記テーブルの四周から垂下する側板の下端部が前記固定側の複数に重ねて立設された側板間に間挿されることを特徴とする。
【0012】
又、前記電磁石はコイルを磁極内に配置し、樹脂で該コイルを封止したものであることを特徴とする。
【0013】
又、前記試料を載置するテーブル部と、該テーブル部の外周から垂下する側板とを備えた浮上体と、前記テーブル部と側板とで囲まれた空間内に該浮上体を浮上支持すると共に位置制御するアクチュエータを備えた固定体とからなり、該固定体は空間内の略中央部に前記浮上体の自重を支持する永久磁石を配置し、前記空間内の外周の四隅に前記浮上体の水平方向制御用電磁石を配置し、該電磁石間の中間部分に前記浮上体の鉛直方向制御用電磁石を配置したことを特徴とする。
【0014】
上述した本発明の磁気浮上ステージによれば、アクチュエータは、テーブル部とその外周から垂下する側板とに囲まれた空間内に配置されたことから、極めてコンパクトな構造の磁気浮上ステージが提供される。
又、アクチュエータを取り囲むテーブル部と該テーブル部の四周から垂下する側板は、その外表面がシールド材で覆われ、下端部がラビリンス構造となっていることから、外部への漏洩磁束を大幅に低減することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1乃至図3は、本発明の一実施形態の磁気浮上ステージの配置を示す。浮上体Tは、その中央に試料を載置するテ−ブル部である平板12とその平板の四周から垂下する側板13とを備え、下方が開口した箱体状を為している。その箱体状を為したテーブル内部に固定体であるアクチュエータAが配置される。即ち、アクチュエータAは、テーブルの平板12と側板13とに囲まれた空間内に、浮上体Tを浮上保持する受動磁気軸受の一方を構成する永久磁石7と、浮上体Tを水平方向に移動させる電磁石1,2と、浮上体Tを鉛直方向に移動させる電磁石3と、これらの電磁石の磁極面と浮上体に固定されたターゲット間の相対変位を検出する変位センサ14等を備えている。
【0017】
下方に開口した箱体状を為すテーブルTの側板13の内周面には、水平(x)方向電磁石1の磁気力を受けるターゲット4、水平(y)方向電磁石2の磁気力を受けるターゲット5が固定されている。鉛直(z)方向の位置決め用の電磁石3の磁気力を受けるターゲット6は側板13の内表面側に水平に固定されている。
【0018】
アクチュエータAは、浮上体Tを構成するテーブル部の平板12とその四周から垂下する側板13で囲まれた空間内に、その略中央部にテーブルの自重を支持する磁気軸受7,8を配置し、空間内の外周の四隅に、浮上体Tをx,y方向に移動させる電磁石1,2を配置し、x,y方向の電磁石の中間部分に浮上体Tを鉛直(z)方向に移動させる電磁石3を配置している。これにより、電磁石のコイルを含めた全ての部分を浮上体Tの平板12と側板13とに囲まれた空間内に配置できる。
【0019】
水平方向の位置制御用電磁石1,2をテーブルの四隅部分に配置することで、x方向移動制御、y方向移動制御、z軸回りの回転制御を容易に行うことができる。又、水平方向の位置制御用電磁石1,2の中間に鉛直方向の位置制御用電磁石3を配置することで、z軸方向移動制御、x軸回り、y軸回りの回転制御を行うことができる。これらの制御は、静電容量センサ等の高精度の位置計測用のセンサを用い、そのセンサ出力を目標値と比較して、電磁石の励磁電流にフィードバック制御することで、ナノメータオーダの6軸回りの位置決め制御を行うことができる。
【0020】
鉛直方向制御用電磁石3は、図3に示すように、1対の電磁石からなり、該電磁石はそれぞれ上下方向に磁極面を有して両磁極面が対面するように配置され、両磁極面間に前記浮上体Tに固着した磁性体6を水平方向に間挿するように配置している。しかしながら、この鉛直方向制御用電磁石は、それぞれ上下方向に磁極面を有して両磁極面が互いに反対方向に位置するように配置され、両磁極面がそれぞれ前記浮上体の浮上体外周の側板の上側及び下側に水平方向に固着した磁性体に対面するように配置するようにしてもよい。
【0021】
アクチュエータAは、テーブルの平板と側板で囲む空間内の略中央部にテーブルの自重を支持する磁気軸受7,8を配置している。図3の断面図に示すように、平板12にはその略中央部に垂下する第2の側壁13aを備える。そして、側壁13aの一面と固定側11の一面との間に一対の永久磁石列7,8を設けて、受動型の磁気軸受を構成している。この実施形態においては、断面長方形を為している側板13aの4箇所に永久磁石列8を備え、これに対向する固定側11の面に同様に4箇所の永久磁石列7を配置している。この永久磁石列7,8は、図4(A)に示すように、それぞれN,S極に磁化された永久磁石をそれぞれの磁化方向が逆になるように複数段積層している。
【0022】
この磁石列7,8を図4(A)に示すように、対向して設け、一方は固定側のアクチュエータAに固定し、他方は浮上体Tの内周側の側板13aの側面にそれぞれが対向するように固定する。すると、図4(B)に示すように、磁力線は浮上側の永久磁石列と固定側の永久磁石列のそれぞれの逆極性の磁極間を貫通する。従って、図4(C)に示すように、テーブルに固定された浮上側永久磁石列は自重により固定側永久磁石列に対して、下方に位置したところで鉛直方向復元力Fが発生し、これにバランスして浮上体Tの自重を支持した状態で保持される。
【0023】
この様に永久磁石を用いた受動型磁気軸受はテーブルの内周側に配置された側板と固定側との間に4箇所設けられているが、その鉛直方向中心位置が、テーブルの重心位置と概略一致するように配置されていることが好ましい。これにより、テーブルの試料を載置する平板12が水平な状態で浮上体Tをより安定に浮上保持することができる。
【0024】
浮上体T及びアクチュエータAの固定部11の外周面には、その表面にパーマロイ等の高透磁率のシールド材15が貼り付けられており、電磁石及び永久磁石からの漏洩磁束が外部に洩れないようになっている。しかしながら、テーブルと固定部との空隙はシールド材で固定することができないので、この部分に隙間ができて漏洩磁束が生じてしまうことを防止するため、図5に示す構造を採用することが好ましい。即ち、固定側の外周部には二重に立設された磁性材からなる側板11b,11cを備え、テーブル部(平板12)の四周から垂下する側板13の下端部が固定側の二重に立設された側板11b,11cに間挿されるように配置する。
これにより、シールドのラビリンス構造が得られ、アクチュエータAの電磁石又は永久磁石による磁束の外部への漏洩を防止することができる。尚、シールドのラビリンス構造は、図6に示すように三層構造としてもよい。
【0025】
又、本実施形態においては、水平方向の位置制御用電磁石1,2及び鉛直方向の位置制御用電磁石3は、それぞれ同一の形状・寸法を有している。このため、同一規格品を採用することができ、経済的に磁気浮上ステージを構成することができる。又、図7に示すように、各電磁石コイルCは磁極内部に装填され、その入口部分がエポキシ等の樹脂Eでモールド封止をされている。このため、コイル部分が外部に露出しないので、高真空雰囲気内にこの装置を配置しても脱ガスという問題が生ぜず、清浄度を損なうという問題が生じない。
【0026】
又、上記の実施の形態では6自由度を能動的に制御する例について示したが、鉛直方向の位置制御用電磁石3を外して、水平面内のみを位置決め制御するようにしても勿論よい。このように本発明の趣旨を逸脱することなく、種々の変形実施例が可能である。
【0027】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明によれば、下方に開口した箱体状の浮上体のスペース内に、アクチュエータとなる電磁石及び永久磁石を収納した、コンパクトな構造の磁気浮上ステージを実現することができる。又、外部への漏洩磁束を少なくしたので、周囲への電磁的な悪影響を及ぼすことを防止することができる。更に又、電磁石のコイルが外部に露出しないので、脱ガスという問題が無く、高真空環境下においても使用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の磁気浮上ステージの上面から見た配置図。
【図2】上記磁気浮上ステージの側面透視図。
【図3】本発明の実施形態の磁気浮上ステージのx−x線に沿った側面断面図。
【図4】上記実施形態における永久磁石による受動型の磁気軸受の説明図。
【図5】ラビリンス構造の磁気シールドの説明図。
【図6】ラビリンス構造の磁気シールドの説明図。
【図7】電磁石の(A)平面図、(B)縦断正面図、(C)横断側面図。
【符号の説明】
T 浮上体
A アクチュエータ
1 水平方向(x)電磁石
2 水平方向(y)電磁石
3 鉛直方向(z)電磁石
4 水平方向(x)電磁石ターゲット
5 水平方向(y)電磁石ターゲット
6 鉛直方向(z)電磁石ターゲット
7 固定側永久磁石列
8 浮上側永久磁石列
9,11 固定部
12 テーブル平板
13 テーブル側板
14 変位センサ
15 シールド材
Claims (4)
- 試料を載置するテーブル部の平板と、その外周から垂下する第1の側板とにより下方が開口した箱体状を為している浮上体と、該浮上体を磁石の磁気力で浮上保持すると共に位置制御するアクチュエータを、前記下方が開口した箱体状を為している浮上体の内部に備えた磁気浮上ステージであり、
前記浮上体には、前記平板の中央付近を取り囲むように垂下する第2の側板を備え、該第2の側板と前記アクチュエータにはそれぞれ磁極面が相対する永久磁石を備え、磁気軸受として前記浮上体の自重を浮上支持し、
前記第1の側板の内周面に磁気力を受けるターゲットを備え、該ターゲットに磁極面が相対する電磁石の磁気力により前記浮上体を位置制御し、
前記浮上体のテーブル部の平板と、該平板の外周から垂下する第1の側板とは、その外表面がシールド材で覆われていて、前記アクチュエータの外周部には複数に重ねて立設された磁性材からなる側板を備え、前記テーブル部の外周から垂下する第1の側板の下端部が前記アクチュエータの外周部の複数に重ねて立設された側板間に間挿されることを特徴とする磁気浮上ステージ。 - 前記永久磁石は、磁化された永久磁石を磁化方向が逆になるように複数段積層した磁石列を一対設け、一方は前記固定体に固定し、他方は前記浮上体の前記側板に固定したことを特徴とする請求項1記載の磁気浮上ステージ。
- 前記電磁石はコイルを磁極内に配置し、樹脂で該コイルを封止したものであることを特徴とする請求項1記載の磁気浮上ステージ。
- 前記アクチュエータの四隅に前記浮上体の水平方向制御用電磁石を配置し、該電磁石間の中間部分に前記浮上体の鉛直方向制御用電磁石を配置したことを特徴とする請求項1記載の磁気浮上ステージ。
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