JP3558930B2 - 安定化電源 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザートリミングによって、出力電圧を広範囲に調節できる安定化電源に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、超低電流のレギュレータ(直流安定化電源)においては、特にCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)構成を有するレギュレータIC(集積回路)においては、基準電圧回路部のプロセス(製造上の)ばらつきに起因する出力電圧の変動を、出力分圧抵抗部をトリミングすることで、上記出力電圧を所望の電圧値に調整して補正することが知られている。
【0003】
このようなレギュレータICでは、出力分圧抵抗部に流れる電流(I1 =Vo /(R3 +R4 )を極力抑制するために、第1抵抗部(R3)と、第2抵抗部(R4 )とに、それぞれ数百kΩ〜数MΩとかなり大きい抵抗値を有する抵抗をそれぞれ用いているため、上記第1抵抗部(R3)、第2抵抗部(R4 )は、レギュレータICの、本体基板面積すなわちチップ面積を左右する大きさとなっている。
【0004】
このような出力分圧抵抗部の第1抵抗部(R3 )は、帯状の複数の各抵抗R31〜R3n(nは、2以上の正の整数)が互いに直列となるように電気的に接続されている。さらに、第1抵抗部(R3)では、レーザーの照射による加熱によって容易に断線するヒューズが、各抵抗R31〜R3nに対し、それぞれ並列となるように設けられている。上記ヒューズとしては、多結晶シリコン(以下、Poly-Si と称す)、アルミニウム(以下、Alと称す)、またはAl-Si が用いられている。
【0005】
通常、出力電圧(Vo )の設定は、まず、ウェハ段階(複数のチップが基板上に形成された状態)でのテストにて、第1抵抗部(R3 )と、第2抵抗部(R4)との接続点におけるVadj (Vref )の電圧値を測定し、続いて、その電圧値に基づき、所望する出力電圧値(Vo)となるように、以下の式(1)にてR3 値を計算し〔R3 =R4 ×(Vo−Vref )/Vref …(1)〕、その後、その計算したR3 値となるようにレーザー加工機によるレーザートリミングによって、Poly-Si 等からなる各ヒューズをそれぞれ加熱してカットつまり断線することにより行われる。
【0006】
なお、レーザートリミング前では、第1抵抗部(R3 )である各抵抗R31〜R3nに対し、それぞれ並列に接続されている各ヒューズはそれぞれショート状態(導通状態)にあるため、Voパッドで、Vadj (Vref )の電圧値を測定することが可能である。
【0007】
このように出力電圧値(Vo )が設定された、ウェハ段階での各レギュレータICは、各チップにそれぞれ分断され、続いて、それぞれモールドアッセンブリされた後のファイナルテストを行い、仕様の出力電圧値(Vo)の規格幅から外れるものを不良としている。
【0008】
ここで、レーザートリミング後に、レギュレータICを、再度、ウェハ段階でのテストに導入しないのは、コスト面を考慮したからである。すなわち、レーザートリミング後に、出力電圧値(Vo )をウェハ段階(ウェハ状態)で測定することは、可能であるが、時間がかかりすぎるためコスト面を考慮すると、実質的に不可能である。このことから、レーザートリミングによる出力電圧値(Vo)の調節は、レーザートリミング前のウェハ段階でのテストのときに、Vadj (Vref )を測定して行われる。
【0009】
言い換えると、レーザートリミング後では、ウェハ状態で、最終の出力電圧値(Vo )を設定できないため、第1抵抗部(R3 )、第2抵抗部(R4 )については、設定どおり製造されているものとして計算し、レーザー加工機によるレーザートリミングにより電圧調節を行っている。
【0010】
図4に示すように、このような第1抵抗部22a、第2抵抗部22bの配置は、従来では、配線パターンの設定の容易さにより、熱源ともなるパワートランジスタを含む安定化電源回路21に対し、隣接すると共に、それぞれ一つの領域に集めて配置されていた。つまり、第1抵抗部22aの各抵抗R31〜R3nは、互いに隣り合って平行となるように配置されている。一方、第2抵抗部22bも、各抵抗R41〜R4k(kは、2以上の正の整数)からなり、上記各抵抗R41〜R4kが互いに直列に電気的に接続され、かつ、互いに隣り合って平行となるように配置されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来では、安定化電源回路21のプロセスばらつきに起因する出力電圧値(Vo )の変動は第1抵抗部22aの各ヒューズのトリミングにより調節できるが、第1抵抗部22a、第2抵抗部22bの各抵抗のばらつきがある場合、計算値により出力電圧値(Vo)を設定しているため、出力電圧値(Vo )の精度が悪く、歩留りが劣化するという問題を生じている。
【0012】
すなわち、近年の超低消費電流型のレギュレータICにおいては、出力電圧値(Vo )の高精度化、かつ、低コスト化が求められている。特に、出力電圧値(Vo )を高精度化すれば、リチウムイオン電池などの二次電池で動作する携帯機器などでは電池の寿命をできるかぎり延ばすことが可能となる。
【0013】
従来の技術で述べたとおり、超低消費電流型のレギュレータICは、CMOS構成をとっており、出力電圧値(Vo )が、所望値から、基準電圧回路部のプロセスばらつきに起因して変動するが、出力分圧抵抗部をトリミングにより抵抗値の比を調整することで出力電圧値(Vo)を希望の電圧値に合わせ、上記変動を解消している。
【0014】
このような出力電圧値(Vo )の調整では、トリミング後では、ウェハ状態にて、最終の出力電圧値(Vo )を調整できないため、出力分圧抵抗部の各抵抗については設計どおりに製造されているものと仮定して計算し、トリミングにより出力電圧値(Vo)の調節を行っている。
【0015】
しかしながら、実際は、抵抗にも、抵抗線幅、コンタクト抵抗値等のプロセス上のばらつきも生じる。第1抵抗部22a、第2抵抗部22bは、それらの抵抗値の比により出力電圧値(Vo )を設定するため、1チップ内の各抵抗が同様に、全て例えば+2%というように、ばらつけば問題ないが、1チップ内での各抵抗のばらつき、つまり変動幅が互いに異なるようにばらつく場合、トリミング後の出力電圧値(Vo)は計算値とずれてくる。
【0016】
このため、上記従来では、トリミングにより調節しているにもかかわらず、出力電圧値(Vo )の精度が±2%と悪く、また、トリミング後の出力電圧値(Vo)の測定が、チップのモールド後となるため、モールド後の測定で仕様の範囲内に収まらないものは不良となり、廃棄されるため、モールド後に不良品を廃棄することで、歩留りが劣化すると共に製品コストアップの要因となっているという問題を生じている。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の安定化電源は、以上の課題を解決するために、出力電圧値を安定化して出力するための安定化電源回路が本体基板に設けられ、上記本体基板に、出力電圧値を分圧により調節するための、互いに直列に接続された第1抵抗部と第2抵抗部とが設けられ、上記第1抵抗部は、互いに直列に接続された複数の第1分圧抵抗と、上記各第1分圧抵抗に対し、それぞれ並列に接続され、かつ、電気導電体で加熱により断線するヒューズとを備え、上記各第1分圧抵抗の間の少なくとも一つに、上記第2抵抗部が配置されており、第2抵抗部は、互いに直列に接続された複数の第2抵抗を有し、上記の隣り合う各第1分圧抵抗の各間に、上記第2抵抗がそれぞれ配置されていることを特徴としている。
【0018】
一般に、第1抵抗部の各第1分圧抵抗と第2抵抗部とを、例えばリソグラフィーによって同時に本体基板上に対し、例えば帯状にそれぞれ作成した場合、作成時の各抵抗線幅、コンタクト抵抗値などのプロセス時(作成時)のばらつきにより、各抵抗値が、それぞれ変動することがある。
【0019】
ところで、従来では、第1抵抗部と、第2抵抗部とを、それぞれ、一つの領域内に集め、互いに隣り合う位置に形成していたため、第1抵抗部と第2抵抗部との抵抗値の比における、予期しない変動幅が、上記ばらつきをそのまま反映したものとなり、上記変動幅が大きくなって、出力電圧値の精度が悪化するという問題を生じていた。
【0020】
しかしながら、本発明の構成によれば、隣り合う各第1分圧抵抗の各間に、上記第2抵抗がそれぞれ配置されていることにより、上記ばらつきに起因する、第1抵抗部と第2抵抗部との抵抗値の比における変動幅を、従来より抑制することができる。
【0021】
この結果、上記構成では、プロセス時(作成時)のばらつきにより、各抵抗値がばらついた場合でも、従来より、そのばらつきの影響を軽減できて、出力電圧値の精度を向上できるから、歩留りが向上し、コストダウンを図れる。
【0022】
本発明では、本体基板上における、各第1分圧抵抗の占める面積に応じて、各第2抵抗の占める面積が設定されていることが望ましい。
【0023】
上記構成によれば、各第1分圧抵抗の占める面積に応じて、各第2抵抗の占める面積を設定、例えば各第1分圧抵抗の占める面積と、各第2抵抗の占める面積とを略同一となるように設定することにより、前記ばらつきに起因する、第1抵抗部と第2抵抗部との抵抗値の比における変動幅を抑制することができる。
【0024】
本発明では、本体基板上における、各第1分圧抵抗の間に対する、各第2抵抗の分布が均一となるように設定されていることが好ましい。
【0025】
上記構成によれば、各第1分圧抵抗の間に対する、各第2抵抗の分布を均一となるように設定することにより、前記ばらつきに起因する、第1抵抗部と第2抵抗部との抵抗値の比における変動幅を抑制することができる。
【0026】
本発明においては、安定化電源回路は、出力電圧値を安定に出力するためのパワートランジスタを有していてもよい。また、本発明では、第1抵抗部と第2抵抗部とは、パワートランジスタに近接して配置されていてもよい。
【0027】
上記構成によれば、パワートランジスタによる熱が第1抵抗部と第2抵抗部とに達して上記第1抵抗部と第2抵抗部の各抵抗値の少なくとも一部が上昇しても、各第1分圧抵抗の間の少なくとも一つに、上記第2抵抗部を配置したことにより、上記熱により抵抗値が上昇しても、第1抵抗部と第2抵抗部との抵抗値の比における変動幅を抑制することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図1ないし図3に基づいて説明すれば、以下の通りである。
本発明の安定化電源としての超低消費電流型のシリーズレギュレータIC(集積回路)は、図2(a)に示すように、シリコン等の半導体からなる本体基板1上に、基準電圧回路3(図中ではVref )と、エラーアンプ4と、パワートランジスタ5と、定電流源6と、分圧抵抗部2とを有している。
【0029】
基準電圧回路3は、ツェナーダイオードや抵抗等を用いて安定した基準電圧をエラーアンプ4の−側の入力端子に供給するものである。エラーアンプ4は、上記基準電圧に基づいて、出力電圧値の誤差を検出し、パワートランジスタ5のベース電流を制御することにより、上記出力電圧値を制御するためのオペアンプである。また、上記エラーアンプ4は、Vc パッドからの駆動電圧により駆動されている。定電流源6は、Viパッドから入力される直流を定電流にて基準電圧回路3に供給することで、上記基準電圧を容易に設定するためのものである。
【0030】
パワートランジスタ5は、Vi パッドから入力される直流の1次電圧を、エラーアンプ4からの制御電流により、Vo パッドから出力される安定した出力電圧値に変換して出力するためのものであり、例えばPchのものが用いられている。このような本体基板1、基準電圧回路3、エラーアンプ4、パワートランジスタ5によって、安定化電源回路が形成されている。
【0031】
分圧抵抗部2は、出力電圧値(Vo )を分圧によって調節するためのものであって、リンドープトPoly-Si 、ボロンドープトPoly-Si などの抵抗膜からなり、LPCVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition)などのCVD法を用いてPoly-Si をデポジション(成膜)し、その膜に対し、リンまたはボロンなどの不純物を拡散(ドーピング)させて作成される。
【0032】
このような分圧抵抗部2は、第1抵抗部(R1 )2aと、第2抵抗部(R2 )2bとを互いに直列に接続して有し、それらの間の接続点(Vadj)の電圧が、前記エラーアンプ4に供給されて出力電圧値の誤差を検出するようになっており、よって、第1抵抗部(R1 )2aの他端はVoパッドに接続されている。また、第2抵抗部(R2 )2bの他端は、GNDパッドに接続されている。
【0033】
このような第1抵抗部(R1 )2aは、図2(b)に示すように、帯状の複数の各第1分圧抵抗R11〜R1n(nは、2以上の正の整数)を、互いに直列となるように電気的に接続されて有している。
【0034】
さらに、第1抵抗部(R1 )2aには、各第1分圧抵抗R11〜R1nに対し、それぞれ並列に電気的に接続された、帯状の各ヒューズH11〜H1nが設けられている。各ヒューズH11〜H1nは、それぞれ露出しており、よって、各第1分圧抵抗R11〜R1nに対し上層となるように積層されて形成されている。
【0035】
上記ヒューズとしては、レーザーの照射による加熱によって容易に断線するものが用いられ、例えばPoly-Si 、Al、またはAl-Si が用いられている。このような各ヒューズH11〜H1nを設けたことにより、レーザートリミングによって、出力電圧値を広範囲にわたり、例えばVo=1.0V〜7.0Vまで、0.1Vきざみの設定が可能となる。
【0036】
第2抵抗部(R2 )2bも、帯状の複数の各第2抵抗R21〜R2k(kは、2以上の正の整数)を、互いに直列に電気的に接続して有している。このような各第1分圧抵抗R11〜R1n、各ヒューズH11〜H1nおよび各第2抵抗R21〜R2kはリソグラフィー技術により容易に形成することができる。
【0037】
また、各第1分圧抵抗R11〜R1n、各ヒューズH11〜H1n、および各第2抵抗R21〜R2kは、図1に示すように、互いに隣り合って互いに平行に、かつ、上記三者の長手方向の両端部が互いに揃うように、それぞれ形成されている。これにより、各第1分圧抵抗R11〜R1nおよび各第2抵抗R21〜R2kを最密にて配置して形成できて、それらの、本体基板1上での占有面積を極小化できる。
【0038】
そして、上記各第1分圧抵抗R11〜R1nの間の少なくとも一つに、上記第2抵抗部(R2 )2bが配置されている。具体的には、複数の各第2抵抗R21〜R2kを、上記の隣り合う各第1分圧抵抗R11〜R1nの各間に、それぞれ配置するように、各第1分圧抵抗R11〜R1nおよび各第2抵抗R21〜R2kを互いに配線して接続している。
【0039】
言い換えると、本発明では、本体基板1上における、各第1分圧抵抗R11〜R1nの占める面積に応じて、各第2抵抗R21〜R2kの占める面積が、より好ましくは同程度の面積となるように設定されている。また、本発明では、本体基板1上における、各第1分圧抵抗R11〜R1nの間に対する、各第2抵抗R21〜R2kの分布が均一となるように設定されている。
【0040】
このようなレギュレータICでは、レーザートリミング前のウェハ段階でのテストで、接続点(Vadj )の電圧をVo パッドを介して測定して、式(2)〔R1=R2 ×(Vo −Vref )/Vref …(2)〕に基づいて、必要な第1抵抗部(R1)2aの抵抗値を計算し、その計算値に基づいてレーザー加工機による、各ヒューズH11〜H1nに対するレーザートリミングによって、出力電圧値を調節して、所望する出力電圧値が得られる。
【0041】
その上、上述したように各第1分圧抵抗R11〜R1nからなる第1抵抗部(R1 )2aおよび第2抵抗部(R2 )2bを、できるかぎり交互となるように、つまり、それらの相互間にそれぞれ配置することにより、チップ上での抵抗線幅、コンタクト抵抗値等のばらつき(製造時の)による抵抗ばらつきに起因する分圧比の変動幅を抑制でき、たとえ、レーザートリミング前のウェハ段階でのテストで、レーザートリミングによって、出力電圧値を調節しても、従来より精度のよい出力電圧値が得られる。
【0042】
例えば、Vadj =1V、R2 =1MΩとして、出力電圧値としてのVo =3Vを設定する場合、R1=2MΩとする必要がある。ここで、各第1分圧抵抗R11〜R1nおよび各第2抵抗R21〜R2kについて、1本当たり50kΩの抵抗を用いたとすると、R2として、50kΩ×20本、R1 として、50kΩ×40本必要となる。
【0043】
図3に示したように、それぞれ隣の抵抗値が0.02%ずれた場合、従来の配置では、Vo =3.012Vとなるのに対して、本発明の配置では、Vo=3.0006Vとなり、さらに、それぞれ隣の抵抗値が0.05%ずれた場合、従来の配置では、Vo =3.0302Vとなるのに対して、本発明の配置では、Vo=3.0015Vとの結果となり、かなり改善されたことが分かる。
【0044】
また、出力電圧値Vo =3.2Vで使用する機器の場合、従来では、Vo =3.2V±0.064V(Vo ±2%)となるところを、本発明では、Vo=3.2V±0.032〜0.048V(Vo ±1%〜±1.5%)と設定可能となるので、Vi パッドへの供給源として電池を用いたときに、最大約32mV分の電圧降下分が有用となる。
【0045】
これにより、このようなレギュレータICにおける、出力電圧値(Vo )の高精度化によって、無用な電圧降下分が抑制されるので、リチウムイオン電池などの二次電池で動作する携帯機器などでは電池の寿命をできるかぎり延ばすことが可能となる。
【0046】
また、従来と同じ、Vo =3.2V±2%に仕様を設定すれば、精度が向上した分、モールド状態でテストしても、不良となる割合が減るため、歩留りが向上し、製品のコストダウンが図れる。
【0047】
その上、上記のように各第1分圧抵抗R11〜R1nおよび各第2抵抗R21〜R2kの配置を交互とすることにより、パワートランジスタ5のアンバランスによる、出力電圧値への影響を軽減できる。
【0048】
例えば、プロセス(製造上)のばらつきにより、パワートランジスタ5のどこかに電流が集中する場所がある場合、図1や図3に示すように配置に設定すれば、パワートランジスタ5のばらつき特性の影響を、従来の図4の配置と比較して軽減可能である。従来では、パワートランジスタ5のA部に電流が集中すると、抵抗の温度特性により、A部付近の、第1抵抗部の抵抗値が上昇し、よって、出力電圧値が上昇する。
【0049】
このように本発明では、出力電流依存特性の向上が図れると共に、パワートランジスタ5に近接して、第1抵抗部(R1 )2aと、第2抵抗部(R2 )2bとを配置することができて、設計上の自由度を向上できる。
【0050】
なお、上記では、安定化電源として、トランジスタ式のシリーズレギュレータを例に挙げたが、本発明は、トリミングにより出力電圧値を調整するものであれば、特に限定されるものではなく、例えばチョッパ式のレギュレータや、交流安定化電源にも適用可能である。
【0051】
【発明の効果】
本発明の安定化電源は、以上のように、出力電圧値を安定化して出力するための安定化電源回路が本体基板に設けられ、上記本体基板に、出力電圧値を分圧により調節するための、第1抵抗部と第2抵抗部とが互いに直列に接続されて設けられ、上記第1抵抗部は、互いに直列に接続された複数の第1分圧抵抗と、上記各第1分圧抵抗に対し、それぞれ並列に接続され、かつ、電気導電体で加熱により断線するヒューズとを備え、上記各第1分圧抵抗の間の少なくとも一つに、上記第2抵抗部が配置されており、第2抵抗部は、互いに直列に接続された複数の第2抵抗を有し、上記の隣り合う各第1分圧抵抗の各間に、上記第2抵抗がそれぞれ配置されている構成である。
【0052】
それゆえ、上記構成は、隣り合う各第1分圧抵抗の各間に、上記第2抵抗がそれぞれ配置されていることにより、上記ばらつきに起因する、第1抵抗部と第2抵抗部との抵抗値の比における変動幅を、従来より抑制することができる。
【0053】
この結果、上記構成では、プロセス時(作成時)のばらつきにより、各抵抗値がばらついた場合でも、従来より、そのばらつきの影響を軽減できて、出力電圧値の精度を向上できるから、歩留りが向上し、コストダウンを図れるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の安定化電源の概略説明図である。
【図2】上記安定化電源の説明図であり、(a)は上記安定化電源のブロック図であり、(b)は上記安定化電源における分圧抵抗部の回路図である。
【図3】上記安定化電源の一変形例を示す概略説明図である。
【図4】従来の安定化電源の概略説明図である。
【符号の説明】
1 本体基板
2 分圧抵抗部
2a 第1抵抗部
2b 第2抵抗部
3 基準電圧回路(安定化電源回路)
4 エラーアンプ(安定化電源回路)
5 パワートランジスタ(安定化電源回路)
Claims (5)
- 出力電圧を安定化して出力するための安定化電源回路が本体基板に設けられ、 上記本体基板に、出力電圧を分圧により調節するための、第1抵抗部と第2抵抗部とが互いに直列に接続されて設けられ、
上記第1抵抗部は、互いに直列に接続された複数の第1分圧抵抗と、上記各第1分圧抵抗に対し、それぞれ並列に接続され、かつ、電気導電体で加熱により断線するヒューズとを備え、
上記各第1分圧抵抗の間の少なくとも一つに、上記第2抵抗部が配置されており、
第2抵抗部は、互いに直列に接続された複数の第2抵抗を有し、
上記の隣り合う各第1分圧抵抗の各間に、上記第2抵抗がそれぞれ配置されていることを特徴とする安定化電源。 - 本体基板上における、各第1分圧抵抗の占める面積に応じて、各第2抵抗の占める面積が設定されていることを特徴とする請求項1記載の安定化電源。
- 本体基板上における、各第1分圧抵抗の間に対する、各第2抵抗の分布が均一となるように設定されていることを特徴とする請求項2記載の安定化電源。
- 安定化電源回路は、出力電圧を安定に出力するためのパワートランジスタを有していることを特徴とする請求項1ないし3の何れか一項に記載の安定化電源。
- 第1抵抗部と第2抵抗部とは、パワートランジスタに近接して配置されていることを特徴とする請求項4記載の安定化電源。
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