JP3558899B2 - 水系ゲルおよびその物品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水系ゲル、ゲル状の消臭及び/又は芳香材及びその物品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、水系ゲルタイプの消臭及び/又は芳香材として、カラギーナンをゲル化剤としたものが主流を占めているが、凍結融解後の離水現象、ゲルの劣化、香料などの水不溶性の化合物を配合した時に均一なゲル化が形成できない、及びこのような水系ゲルを大気に放置した時香料などの揮散性物質の放出が経日変化で低下するなどの不都合があった。
上記の問題を解決したものとして、
▲1▼ビニル化合物またはビニリデン化合物と無水マレイン酸との共重合体にアンモニアを反応させて得られた反応生成物(a)、多価アミン(b)、水(c)を混合してなる混合物を含水状態のままゲル化処理して得られた含水ゲル(特公昭61−50493号公報参照)
▲2▼ゼラチンまたはコラーゲンとオレフィン−無水マレイン酸共重合体との反応生成物からなる水系ゲル化剤及び水系ゲル(特許第2616960号公報参照)
が紹介されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記▲1▼は、含水ゲル作成時に多価アミンを使用しており、人体への影響に問題があり、また上記▲2▼は、水系ゲル作成時の原料の水への溶解性が不良で、生成した水系ゲルの透明性も満足のいくレベルではないなどの不都合なものであった。更に従来の水系ゲル並び▲1▼、▲2▼は、水系ゲルを大気中に放置した時、香料などの揮散性物質の放出が経日変化で低下して不都合なものであった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記問題点を改善した水性液用ゲル化剤ないし消臭及び/又は芳香材を得るべく鋭意検討した結果、驚くべきことに無水マレイン酸とその他のエチレン性不飽和化合物との共重合体のアンモニア反応物とゼラチンとを組み合わせると反応が生じ、透明性かつ保形性を有する水系ゲルとなることを見出した。又、このような水系ゲルに、消臭性及び/又は芳香性を有する物質の水性液を大量吸収して膨潤する特性を有する吸水性樹脂を組み合わせることで、水系ゲルを大気に放置した時、香料などの揮散性物質の放出が経日変化でほとんど低下せず良好なることを見出し、更に発明を進めた結果上記▲1▼、▲2▼の問題点が改善された、ゲル作成時に人体に毒性のある化合物を使用せずとも作成時の原料の水への溶解性も良好な水系ゲルを見出した。吸水性樹脂を含有し、上記共重合体のアンモニア反応物がゼラチンとゲル化反応をして透明性かつ保形性を有し、又、このような水系ゲルを大気中に放置した時香料などの揮散性物質の放出がほとんど低下しないなど優れた水系ゲルとなるものである。
【0005】
さらに、所望によりこのような水系ゲルに、予め水及び/又は水溶液で膨潤させた水膨潤性樹脂の成形体を含有させれば、水膨潤性樹脂の成形体は、インテリア性を有したキャラクターグッズなどの形状に容易に成形できる上、使用の際は周りの水系ゲルとともに形状を維持したまま小さくなっていく様子を楽しむことができることを見い出し、本発明に到達した。
即ち本発明は、無水マレイン酸とその他のエチレン性不飽和化合物との共重合体のアンモニア反応物(A)とゼラチン(B)との反応物、粉末、粒状および繊維状から選ばれる形状の吸水性樹脂(C)及び水からなる水系ゲル、ゲル状の消臭及び/又は芳香材およびその物品である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明において無水マレイン酸とその他のエチレン性不飽和化合物との共重合体のアンモニア反応物(A)は、無水マレイン酸とその他のエチレン性不飽和化合物との共重合体を作成した後にアンモニアと反応させたものでもよいし、無水マレイン酸とアンモニアとの反応物をその他のエチレン性不飽和化合物と共重合したものでもよい。前者は無水マレイン酸とその他のエチレン性不飽和化合物とを溶媒中で共重合して得られる共重合体にアンモニアを反応させることによって得られるものであり、後者は溶剤の存在下または不存在下に無水マレイン酸とアンモニアを反応させたものをその他のエチレン性不飽和化合物と共重合して得られる。好ましくは前者である。
ここで使用されるその他のエチレン性不飽和化合物は無水マレイン酸を共重合しうる不飽和化合物なら特に限定はなく、具体的には例えば、
【0007】
(1)非イオン性エチレン性不飽和化合物
(i)直鎖状または分岐状の炭素数2〜24のオレフィン類[エチレン、プロピレン、ブテン−1,ブテン−2、イソブチレン、n−ペンテン、イソプレン、2−メチル−1−ブテン、n−ヘキサン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−ペンテン、2−エチル−1−ブテン、ジイソブチレン、2−メチル−4−ジメチル−1−ペンテン、2−メチル−4−ジメチル−2−ペンテン、ドデセン、テトラデセン、ヘキサデセン、オクタデセン等];
(ii)ビニルエーテル[炭素数1〜24のアルキルビニルエーテル(メチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル等)、ポリオキシアルキレン(炭素数2〜4でn=2〜200)モノアリルモノアルキル(炭素数1〜24)エーテル等];
(iii)アルキル基、ヒドロキシアルキル基の炭素数が1〜22の(メタ)アクリル酸アルキルエステル又はヒドロキシアルキルエステル(アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ベヘニル等);
【0008】
(iv)芳香族系不飽和化合物(スチレン、α−メチルスチレン、α−メチルスチレンスルホン酸等);
(v)ハロゲン含有不飽和化合物(塩化ビニル、フッ化ビニル、四フッ化エチレン、ビニリデン(塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等)等);
(vi)窒素含有不飽和化合物{ニトロエチレン、アクリロニトリル、アクリルアミド[(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド等]、N−ビニルピロリドン等};
(vii)その他の不飽和化合物[プロピオン酸ビニル、酢酸ビニルをケン化して得られるビニルアルコール等、グリシジル(メタ)アクリレート等];
(2)アニオン性のエチレン性不飽和化合物
(i)カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル[(メタ)アクリル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、イタコン酸グリコールモノエーテル等];
(ii)スルホン酸基含有不飽和化合物[ビニルスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート等];
(iii)燐酸基含有不飽和化合物[(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル燐酸モノエステル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート等];
【0009】
(3)カチオン性のエチレン性不飽和化合物
(i)3級アミン又は第4級アンモニウム塩基含有不飽和化合物[アリルアミン、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、その4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)等]:
等である。
これらの内好ましくは、非イオン性のエチレン性不飽和化合物であり、好ましくは直鎖状又は分岐状の炭素数2〜24のオレフィン類及びアルキルビニルエーテルであり、更に好ましくはイソブチレン、メチルビニルエーテル及びポリオキシアルキレンモノアリルモノアルキルエーテルであり、特に好ましくはイソブチレン及びメチルビニルエーテルである。これらの単量体を単独で用いても良いし、また2種類以上を組み合わせても良い。
【0010】
重合は無水マレイン酸と上記エチレン性不飽和化合物とを溶媒の存在下又は不存在下熱ラジカル重合、光ラジカル重合、アニオン重合等の公知の方法で重合出来る。共重合はランダムでもブロック共重合でもよい。温度は例えば0〜200℃で常圧下または加圧下にて行われる。熱ラジカル重合の場合はアゾ系化合物(アゾビスイソブチロニトリル等)、過酸化物(t−ブチルパーオキシベンゾエート等)等の重合触媒が、光ラジカル重合の場合は光ラジカル開始剤(ベンゾインアルキルエーテル等)、増感剤(アントラキノン等)が、アニオン重合の場合はチーグラーナッタ系触媒、メタロセン系触媒等が併用される。得られた共重合物は溶媒を脱溶剤して使用してもよいし溶媒が存在したままでも使用しても良い。好ましくは脱溶媒したものである。
重合体中における無水マレイン酸とその他のエチレン性不飽和化合物との組成比は、生成した共重合体のアンモニア反応物が水に溶解するものであればどの程度であっても差し支えない。無水マレイン酸とその他のエチレン性不飽和化合物との組成比はモル比で通常100:1〜1:100であり、好ましくは10:1〜1:10であり、特に好ましくは5:1〜1:5である。また生成した共重合体の重量平均分子量は、通常1,000〜5,000,000であり、好ましくは2,000〜3,000,000である。
【0011】
共重合体とアンモニアとの反応は種々の方法を採用することができるが、共重合体の固体粉末を溶剤中にスラリー状に分散させてアンモニアガスを溶媒中にバブリングしながら接触させる方法あるいは共重合体粉末をアンモニア水に溶解する方法などが好ましく採用される。共重合体とアンモニアとの反応比は共重合体に含まれる無水マレイン酸基1モルに対してアンモニア0.5〜2モル、好ましくは0.8〜2モルである。反応生成物の水溶液(5重量%の濃度)の25℃における粘度は、通常5〜100,000cpsであり、好ましくは10〜10,000cpsであり、特に好ましくは15〜5,000である。
【0012】
本発明においてゼラチン(B)としては、アルカリ処理ゼラチンのほか、酸処理ゼラチンを用いてもよく、またゼラチン加水分解物も用いることができ、少なくとも1個の遊離のアミノ基を持っていればよい。例えば、牛骨の無機物をとり除いてオセインとした後、消石灰の懸濁液中に漬けておき、牛皮は適当な大きさに切断し、水洗してから石灰液中に通常2〜3ケ月間漬ける。このような石灰液による前処理を行って得られるゼラチンをアルカリ処理ゼラチンという。これに対して豚皮を希塩酸又は希硫酸に数十時間漬けて処理して得られるゼラチンを酸処理ゼラチンという。ゼラチンの形状としては、粒状、粉末、シート状のものが使用でき、分子量としては3,000〜30,000が好ましく、特にゲルの透明性かつ保形性を得るためには、分子量5,000〜20,000が好ましい。
【0013】
エチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体のアンモニア反応物(A)とゼラチン(B)との反応において、使用比率はゼラチンの遊離アミノ基の数により一概に特定できないが、透明性かつ保形性を得るには(B)100質量部に対して(A)を通常3〜50質量部、好ましくは5〜40質量部で反応させるのがよい。
(A)と(B)の反応方法としては、例えば▲1▼(A)と(B)を直接混合する方法、▲2▼(A)の水溶液に(B)を混合する方法、▲3▼(B)の水溶液に(A)を混合する方法、▲4▼(A)(B)それぞれの水溶液を予め調整した後両者を混合する方法があるが、均一なゲルを得やすく、好ましい方法は▲4▼である。
【0014】
(A)と(B)との反応が進むと系の粘度が上昇してくる。更に進むとゲル化する。反応の終点はゲル強度によって確認出来る。ゲル強度の測定法は下記に記載する。(A)と(B)とを反応する際の温度は特に限定はないが、例えば40〜60℃で行う場合には数時間で反応が完結し、室温で反応する場合には1昼夜を要する。(A)と(B)との反応物のゲル強度は、通常3〜1,000gであり、好ましくは5〜600であり、特に好ましくは10〜500である。
(ゲル強度測定法)ゲルを25℃に温調した後、直径15.7mmの金属球を取り付けた棒を島津オートグラフ(島津製作所社製、AGS−500B)に接続した。金属球を5cm/分の速度でゲル中に押し込み、金属球がゲル中に完全に入った直後の応力(g)を測定した。これがゲル強度(g)である。
(A)と(B)とが反応した後透明性の大きな水系ゲルが得られる。透明性は透過率(%)で測定が出来る。水系ゲルの透過率(%)は通常70〜100、好ましくは80〜100、特に好ましくは90〜100である。
【0015】
本発明において吸水性樹脂(C)としては、例えば▲1▼デンプンまたはセルロース(イ)とカルボキシル基、スルホン酸基などの親水基を含有する水溶性単量体及び/又は加水分解により水溶性となる単量体から選ばれる1種以上の単量体(ロ)と、架橋剤(ハ)とを必須成分として重合させ、必要により加水分解を行うことにより得られる吸水性樹脂が挙げられる。 上記に例示した吸水性樹脂の製造に用いられる(イ)、(ロ)及び(ハ)の割合、製造法及び吸水性樹脂の具体例は特開昭52−25886号、特公昭53−46199号、特公昭53−46200号及び特公昭55−21041号公報に記載されている。
【0016】
上記に例示した以外の吸水性樹脂としては、例えば▲2▼(イ)と(ロ)とを重合させたもの(デンプン−アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解物、セルロース−アクリロニトリルグラフト重合物の加水分解物など);▲3▼(イ)の架橋物(カルボキシメチルセルロースの架橋物など);▲4▼(ロ)と(ハ)との共重合体(架橋ポリアクリルアミドの部分加水分解物、架橋されたアクリル酸−アクリルアミド共重合体、架橋されたスルホン化ポリスチレン、特開昭52−14689号及び特開昭52−27455号公報記載のビニルエステル−不飽和カルボン酸共重合体ケン化物、架橋されたポリアクリル酸(塩)、架橋されたアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、架橋されたイソブチレン−無水マレイン酸共重合体、及び架橋されたカルボン酸変性ポリビニルアルコール);並びに、▲5▼自己架橋性を有する(ロ)の重合物(自己架橋型ポリアクリル酸塩など)が挙げられる。 又、以上例示した吸水性樹脂は2種以上併用してもよい。
【0017】
これらの吸水性樹脂のうち、更に好ましいものは、▲1▼、並びに▲4▼として例示したもののうち、架橋ポリアクリルアミド共重合体、架橋されたポリアクリル酸(塩)、架橋されたアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、架橋されたイソブチレン−無水マレイン酸共重合体、および架橋されたカルボン酸変性ポリビニルアルコールである。
上記吸水性樹脂(C)の質量に対する水の吸収倍率は、好ましくは10〜2,000倍であり、より好ましくは100〜1,500倍である。又、吸水性樹脂(C)の形状は、粉末、粒状および繊維状のものを使用することができる。粒径については特に制限がないが、好ましくは平均粒径で100〜5,000ミクロン、特に好ましくは200〜3,000ミクロンである。平均粒径が5,000ミクロンを超えると、吸水性速度が遅くなり、水系ゲルとして用いた場合膨潤しない吸水性樹脂の芯ができる場合がある。一方、平均粒径が100ミクロン未満では、吸水性樹脂が密になりすぎるところがあり、水系ゲルの透明性を阻害する場合がある。吸水性樹脂の添加量は、水系ゲルの合計質量部に対し、好ましくは0.05〜3質量部、より好ましくは0.1〜2質量部である。吸水性樹脂の添加量が、3質量部を超えると、水系ゲルの透明性が低下する。一方、吸水性樹脂の添加量が、0.05質量部未満であると香料などの揮散性物質の放出性が低下する。
【0018】
なお、本発明において吸水性樹脂の吸収倍率は次に示す方法により測定して得られる値とする。
<吸水性樹脂の吸収倍率>ナイロン製の網袋(250メッシュ)に吸水性樹脂の試料(サンプル量;Eg)を入れ、これを袋ごと過剰の水又は水性液に浸した。浸漬60分後に袋ごと空中に引き上げ、静置して15分間水切りした後、質量(Fg)を測定して下式より吸収倍率を求めた。[網袋のみを用いて上記と同様の操作を行い、この分の質量(Gg)をブランクとして差し引いた。]
吸収倍率=(F−G)/E
【0019】
本発明の水系ゲルは無水マレイン酸とその他のエチレン性不飽和化合物との共重合体のアンモニア反応物(A)とゼラチン(B)との反応物、吸水性樹脂(C)及び水からなるものである。特に(C)及び水の存在下で(A)と(B)を反応してなる水系ゲルである。水系ゲルの作成方法としては、例えば前記の(A)と(B)の反応方法の時に投入し、例えば▲1▼(A)と(B)を直接混合する時に同時に(C)を加える方法、▲2▼(A)の水溶液に(B)と(C)とを加える方法、▲3▼(A)の水溶液に(B)と水で予め(C)を膨潤させたものとを混合する方法、▲4▼(B)の水溶液に(A)と(C)とを混合する方法、▲5▼(B)の水溶液に(A)と水で予め(C)を膨潤させたものとを混合する方法、▲6▼(A)(B)それぞれの水溶液を予め調整した後両者を混合する直後もしくは混合した後(C)を投入する方法、▲7▼(A)(B)それぞれの水溶液と水で(C)を膨潤させたものを予め調整した後三者を混合する方法があるが、均一なゲルを得やすく、好ましい方法は▲6▼又は▲7▼である。
(A)、(B)、および(C)の混合系において、(C)は室温で5〜30分間で大きく膨潤し、その後又は並行して(A)と(B)との反応が進行する。(C)を含有する(A)と(B)との反応物は、透明性の大きな水系ゲルとなる。
【0020】
本発明の水系ゲルに更に消臭性及び/又は芳香性を有する物質(D)を含有させて消臭及び/又は芳香剤とすることが出来る。(D)としては、消臭性、芳香性又は消臭兼芳香性を有する物質として一般的に使用されているものでよく、特に制限されない。
消臭性を有する物質としては、例えばイネ、松、ヒノキ、笹等の植物からの抽出物質、酸又はアルカリ性の水性液等があり、このものを水又は一部溶剤を含んだ水溶液で希釈した水性液とすることができる。
芳香性を有する物質としては、例えば天然香料や合成香料が挙げられ、これらは水溶性のものであればその水溶液、非水溶性のものであれば水と乳化剤、必要により溶剤などからなる水性エマルジョン又は水性液とすることができる。ここで、芳香性を有する物質はマスキング効果を兼備するため、実用上消臭性を有するとも言えることがある。
【0021】
天然香料としては、じゃ香、霊猫香、竜挺香などの動物性香料、アビエス油、アジヨクン油、アルモンド油、アンゲリカルート油、ベージル油、ベルガモット油、バーチ油、ボアバローズ油、カヤブテ油、カナンガ油、カブシカム、キャラウエー油、カルダモン油、カシア油、セロリー油、シンナモン油、シトロネラ油、コニャック油、コリアンダー油、キュベブ油、クミン油、樟脳油、ジル油、エストゴラン油、ユーリカ油、フエンネル油、ガーリック油、ジンジャー油、グレープフルーツ油、ホップ油、ジュニパーベリー油、ローレルリーフ油、レモン油、レモングラス油、ロベージ油、メース油、ナツメグ油、マンダリン油、タンゼリン油、カラシ油、はっか油、燈花油、玉ねぎ油、こしょう油、オレンジ油、セイジ油、スターアニス油、テレピン油、ウォームウッド油、ワニラ豆エキストラクトなどの植物性香料を含む。
【0022】
合成香料としては、ピネン、リモネンなどの炭化水素類、リナロール、ゲラニオール、シトロネオール、メントール、ボルネオール、ベンジルアルコール、アニスアルコール、β−フェニルエチルアルコールなどのアルコール類、アネノール、オイゲノールなどのフェノール類、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ヘキシルアルデフド、ヘプチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、ノナジエナール、シトラール、シトロネラール、ベンズアルデヒド、シンナミックアルデヒド、ヘリオトロピン、ワニリンなどのアルデヒド類、メチルアミルケトン、メチルノニルケトン、ジアセチル、アセチルプロピオニル、アセチルブチリン、カルボン、メントン、樟脳、アセトフェノン、P−メチルアセトフェノン、イオノンなどのケトン類、アミルブチロラクトン、メチルフェニルグリシド酸エチル、γ−ノニルラクトン、クマリン、シネオールなどのラクトン又はオキシド類、メチルフオーメート、イソプロピルフオーメート、リナリールフオーメート、エチルアセテート、オクチルアセテート、メンチルアセテート、ベンジルアセテート、シンナミルアセテート、プロピオン酸ブチル、酢酸イソアミル、イソ酪酸イソプロピル、イソ吉草酸ゲラニル、カプロン酸アリル、ヘプチル酸ブチル、カプリル酸オクチル、ヘプチンカルボン酸メチル、ベラハゴン酸エチル、オクチンカルボン酸メチル、カプリン酸イソアシル、ラウリル酸メチル、ミリスチン酸エチル、安息香酸エチル、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸ブチル、桂皮酸メチル、桂皮酸シンナミル、サルチン酸メチル、アニス酸エチル、アンスラニル酸メチル、エチルビルベート、エチルα−ブチルブチレートなどのエステル類などを含む。
【0023】
香料は一種類のみでもよいし、二種類以上を調合した調合香料でもよい。
香料とともに、バッチュリ油などの揮発保留剤、オイゲノールなどの変調剤その他香料工業に使用される種々の成分を添加して差し支えない。
香料の使用量は、その種類により多少異なるが通常全質量の0.1〜15%である。
【0024】
本発明の水系ゲルまたは消臭及び/又は芳香材に更に水膨潤性樹脂の成形体(E)を含有させることが出来る。(E)としては、(E1)親水基が導入されたゴム及び/又は合成樹脂、(E2)ゴム及び/又は合成樹脂(1)と水増粘性ポリマー(2)との混練物、(E3)ゴム及び/又は合成樹脂(1)と吸水性樹脂(F)との混練物等が挙げられる。
(E1)、(E2)、(E3)で使用されるゴム及び/又は合成樹脂(1)としては通常のゴムまたは合成樹脂の範疇に含まれる全てのものが使用され、特に限定されない。
例えば、ゴムとしては通常の天然ゴムのほか、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレン非共役ジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、クロルスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン等の各種合成ゴムが挙げられる。
【0025】
合成樹脂としては熱硬化性、熱可塑性を問わず、又、軟質、硬質のいずれであっても使用することができ、たとえば、エチレン−酢酸ビニル共重合体もしくはそのケン化物、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン−アクリル酸塩共重合物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合物、スチレン−ブタジエン共重合物、ポリエステル、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂などがあげられるが、吸水によって容積が膨張し得る程度の柔軟性を有するものが好ましく、硬質のものを使用するときは適当な可塑剤を用いて柔軟性を付与することが好ましい。
【0026】
(E1)の親水基としてはポリエチレンオキサイドブロック、カルボキシル基およびその塩、スルホン酸基およびその塩、水酸基等が挙げられ、これらのブロック及び官能基の入った化合物がゴム及び合成樹脂製造時に配合又は反応して組み込まれる。例えば、親水基が導入された合成樹脂としては、エチレンオキサイドが付加重合されたポリエーテルポリオールを原料としたウレタン樹脂などが挙げられる。
(E1)は、ゴム及び/又は合成樹脂(1)が20〜95質量%で、親水基部分が5〜80質量%のものが好ましい。(E1)中の親水基部分が5質量%より少ないと、水又は水性液の吸収量が低下する。一方親水基部分が80質量%より多くなると、成形が難しくなることがある。
水増粘性ポリマー(2)としては、例えば天然系水増粘性ポリマー、半合成系水増粘性ポリマー及び合成系水増粘性ポリマーが挙げられる。
天然系水増粘性ポリマーとしては、デンプン質(デンプン);動物タンパク質(ゼラチン、カゼイン、コーラゲン);植物タンパク質(大豆タンパク質、小麦タンパク質);繊維素(木材セルロース);海藻抽出物(寒天、カラギーナン);植物種子粘質物(グァーガム、ローカストビーンガム等);植物樹葉粘質物(アラビアゴム、トラガントガム);植物果実粘質物(ペクチン);微生物生産粘質物(キサンタンガム、プルラン、デキストラン、ジュランガム等);植物地下茎粘質物(コンニャクナンマン)などが挙げられる。
【0027】
半合成系水増粘性ポリマーとしては、セルロース誘導体(メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等);デンプン誘導体(可溶性デンプン、カルボキシメチルデンプン等);並びに、アルギン酸誘導体(アルギン酸塩、アルギン酸プロピレングリコール)などが挙げられる。
合成系水増粘性ポリマーとしては、ポリオキシアルキレン化合物(b1)、アクリル系水増粘性ポリマー(b2)、ビニル系水増粘性ポリマー(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等)、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。
ポリオキシアルキレン化合物(b1)としては、例えばポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド(エチレンオキシドの高分子量重合体)、多価アルコール類のアルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシドなど)付加物、ポリオキシエチレン・オキシプロピレングリコール(エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックもしくはランダム共重合体)などが挙げられる。ポリオキシアルキレン化合物の分子量は通常1,000〜2,000,000である。
【0028】
アクリル系水増粘性ポリマー(b2)としては、例えば(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸(塩)[例えば、アクリル酸ソーダ]、2−アルキル−2−アクリルアミドプロパンスルホン酸(塩)[2−アルキル−2−アクリルアミドプロパンスルホン酸ソーダ]、(メタ)アクリロイロキシアルキルトリアルキルアンモニウム4級塩[例えばメタアクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド]、(メタ)アクリロイロキシアルキルジアルキルアミン塩[例えば、ジエチルアミノエチルメタクリレートの3級もしくは4級塩]からなる郡より選ばれるビニル系モノマー少なくとも1種を構成単位とする水増粘性ポリマーであるが、この具体例としては、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、ポリ(メタ)アクリルアミドの部分加水分解物、(メタ)アクリル酸(塩)と(メタ)アクリルアミドと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)もしくは(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウム4級塩との共重合物などが挙げられる。
【0029】
(E2)は、ゴム及び/又は合成樹脂(1)が20〜95質量%で、水増粘性ポリマー(2)が5〜80質量%のものが好ましい。(E2)中の(2)が5質量%より少ないと、水又は水性液の吸収量が低下する。一方(2)が80質量%より多くなると、成形が難しくなることがある。
(E1)〜(E3)の中では、吸水性樹脂(F)が用いられている(E3)が、膨潤速度が速く、膨潤後も水性液が溶け出さずに形状が維持されるので好ましい。
【0030】
吸水性樹脂(F)は前述のもの(C)と同じものが使用出来る。(F)の質量に対する水の吸収倍率は、好ましくは10〜2,000倍であり、より好ましくは100〜1,500倍である。又、(F)は、好ましくは粉末状、粒状および繊維状であり、その平均粒径が200μm以下のものが特に好ましい。平均粒径が200μmより大きいと成形体が膨潤したときに、歪な形状となることがあり、また成形体からの脱落が多くなることがある。
(E3)は、ゴム及び/又は合成樹脂(1)が20〜95質量%で、(F)が5〜80質量%のものが好ましい。(E3)中の(F)が5質量%より少ないと、水又は水性液の吸収量が低下する。一方(F)が80質量%より多くなると、成形が難しくなり、たとえ成形できても吸水性樹脂の脱落が多くなることがある。
本発明において、該水膨潤性樹脂の成形体(E)中には、必要により他の添加物を配合することができる。この添加物としては、例えば顔料(蛍光性顔料や蓄光顔料を含む)、染料、老化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、界面活性剤、可塑剤、充填剤などが挙げられる。該水膨潤性樹脂の成形体(E)は、水又は水性液[例えば前記の消臭性及び/又は芳香性を有する物質(D)の水性液]を吸収して、(E)の質量に対して、好ましくは5〜200倍、より好ましくは10〜100倍に膨潤する性質を有するものである。
【0031】
なお、本発明において水膨潤性樹脂の吸収倍率は次に示す方法により測定して得られる値とする。
<水膨潤性樹脂の吸収倍率>ナイロン製の網袋(250メッシュ)に水膨潤性樹脂の試料片(サンプル量;Hg)を入れ、これを袋ごと過剰の水又は水性液に浸した。24時間ごとに袋ごと空中に引き上げ、静置して15分間水切りした後、質量(Ig)を測定して下式より吸収倍率を求めた。[網袋のみを用いて上記と同様の操作を行い、この分の質量(Jg)をブランクとして差し引いた。]ただし、各測定時間ごとの吸収倍率が平衡(質量の変化率が3%以内)に達した点を水膨潤性樹脂の吸収倍率とした。
吸収倍率=(I−J)/H
【0032】
水膨潤性樹脂の成形体(E)の製法の代表例として、吸水性樹脂(F)を用いた水膨潤性樹脂(E3)の成形体の製法を例示すると、例えば混合工程で(1)、(F)等をロールミキサー、バンバリミキサー、ニーダーなどの混練機を用いて混練する以外は、ゴム及び/又は合成樹脂を製造する一般の方法でよく、加硫タイプのゴム製品の場合は、例えば素練り工程、混合工程、成形工程及び加硫工程などからなっている。特に型製品を製造するときの方法が好ましく、例えば成形及び加硫工程において、圧入加硫法、トランスファー加硫法又は射出成形加硫法により製造することができる。水膨潤性樹脂(E2)の場合も、吸水性樹脂(F)を水増粘性ポリマー(2)に代える以外は上記と同様にして成形体を製造することができる。
なお、ここで混合工程において、(1)、(F)以外に必要に応じてゴムの加工で一般的に用いられるゴム用薬品、例えば加硫剤又は橋かけ剤、加硫促進剤、加硫促進助剤等が使われる。
【0033】
本発明の(E)の成形体の形状は、特に制限しないが、室内、トイレ及び車内等で使用される場合を考慮して、インテリア性に優れた形状として、キャラクターグッズ、動・植物、地形、建造物及び輸送機器等の物体をミニチュアにした形状が好ましい。
(E)は、一個であっても複数個であってもよく、容器内のどこに存在していてもよいが、容器の少なくとも一部に固定されていることが好ましい。固定されることによって、該水性液用ゲル化剤を使ってゲル化させる時に、移動することが防止される。
また(E)が固定される場合、安定性から容器の底面に固定されることが特に好ましい。底面に固定される場合の固定位置は、底面全体であっても底面の一部であってもよく、一部である場合は、中央部、周辺部等特に限定されない。
固定する方法についても特に限定されず、接着剤による接着、容器の底から突き出たピンに差し込むなど、何れの方法であってもよい。
【0034】
また、本発明の水系ゲル、消臭及び/又は芳香材及びその物品を得る場合、使用する水溶液としては(A)、(B)および(C)の他に他の添加剤等を混合することが出来る。これらは別々に水溶液を作製した後混合してもよいし、水系ゲル等を作製時に直接混合してもよい。混合出来るものとしては水溶性又は水不溶性であれ特に制限はないが、例えば溶剤(アルコール、アセトンなど)、顔料、染料、消泡剤、脱酸素剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、防腐剤、充填剤、増量剤等が挙げられる。目的に応じこれらの配合物の任意の濃度のものが使用出来る。しかし、水不溶性の添加物を配合すれば透過率が低下するので、本発明の物品の特徴である透明感を出すためには水不溶性のものは透過率が70%以上になる様に少なく配合する必要がある。本発明の水系ゲルには消臭性及び/又は芳香性を有する物質(D)や水膨潤性樹脂の成形体(E)を含ませ特定の目的を有する物品として使用出来る。
【0035】
本発明に用いられる容器としては、特に限定されないが、例えば円筒状、角柱状、円錐状、角錐状、底面が平らな球状などが挙げられる。
又、容器の材質はガラスであっても合成樹脂であっても良い。合成樹脂としては、通常の合成樹脂の範疇に含まれる全てのもが使用され、特に限定されない。合成樹脂としては熱可塑性、熱硬化性を問わず、又、軟質、硬質のいずれであっても使用することができ、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体もしくはそのケン化物、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン−アクリル酸塩共重合物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合物、スチレン−ブタジエン共重合物、ポリエステル、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂などが挙げられる。
更に、側面から容器を通して中の様子を見て楽しむことができることから、少なくとも一部が透明な容器であることが好ましい。
該水膨潤性樹脂の成形体(E)は、着色されていても着色されていなくてもよいが、視覚的な効果から着色されていることが好ましく、少なくとも(E)は、水系ゲルと異なる色に着色されていることが特に好ましい。
【0036】
【実施例】
以下、本発明の水系ゲルを用いた消臭及び/又は芳香材の実施例を示す図により本発明を説明する。
図1及び図2は、本発明の消臭及び/又は芳香材の一実施例を示す斜視図である。
図3は、図1の容器に消臭性を有する物質の水性液を投入し、均一攪拌した後の状態を示す断面図である。
図1〜3において、1は水膨潤性樹脂の成形体、2は消臭性を有する物質の水性液、3はガラスの容器、4はキャップ、5は接着剤である。
図1において、水膨潤性樹脂(E)はキノコの形をしており、底面が容器の底の中央部に接着剤で固定されている。図2において、水膨潤性樹脂(E)は富士山タイプの山の形をしており、容器の底全面に接着剤で固定されている。
前述したように(E)の成形体の形状はこれに限らず、キャラクターグッズ、動・植物、地形、建造物及び輸送機器等の何れでもよいし、成形体の個数も一個に限らず複数個あってもよい。また、容器の底面に固定される位置も限定されない。
図1及び図2に示した以外の(E)の成形体の形状の一例としては、ツクシの形をしたものが複数個あるもの、オモチャの列車の形をしたものが容器の周囲を1周しているものなどが挙げられる。
【0037】
図4は、図3を4日間放置した後の状態を示す断面図である。
図4において、1’は水膨潤性樹脂の成形体(E)が、消臭性を有する物質の水溶液の一部を吸収し、約40倍に膨潤したものである。また、2は消臭性を有する物質の水溶液、3はガラスの容器、4はキャップ、5は接着剤である。
図5は、1’の成形体の周りに生成した水系ゲルの状態を示した断面図である。図5において、水系ゲルは、図4の容器中にさらにメチルビニルエーテル/無水コハク酸の共重合体にアンモニアを反応して得た反応生成物の水溶液、ゼラチンの水溶液および吸水性樹脂の粉末を加え均一撹拌し、10分後吸水性樹脂の成形体(E)が水性液を吸収して大きくなり、さらに室温で1日放置して生成させた。又、3はガラスの容器、4はキャップ、5は接着剤、6は水系ゲルである。
図3〜図5に示したような経過で水系ゲル中に水膨潤性樹脂の成形体を含有させた。なお、消臭材として使用するときは、勿論蓋を開けて使用し、時間の経過で、水膨潤性樹脂の成形体が周りの水系ゲルとともに小さくなり、2ヶ月後には図に示した状態に戻る。このようにキノコの形状が変化していくことから、キノコの小さくなる過程を楽しむことができ、さらに消臭材の残量を示すインジケーターの働きをも兼ね備える。
以下製造例及び使用例を示す実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下部は質量部を表す。
【0038】
実施例1
(1)溶液Aの調整
ゼラチンSE−1(45部)と砂糖(5部)にイオン交換水(750部)を加え60〜70℃に加温して均一に溶解した。
注)ゼラチンSE−1:アルカリ処理ゼラチン、ニッピゼラチン社製
(2)溶液Bの調整
ハーブ系香料(50部)にノニポール120(50部)を加え均一に溶解した。
注)ノニポール120:ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル系非イオン界面活性剤、三洋化成工業社製
(3)溶液Cの調整
GanterzAN119(10部)にイオン交換水(84部)とアンモニア含有量29%のアンモニア水溶液(6部)とを加え室温下で撹拌すると1時間で均一に溶解した。アンモニア中和率80%の均一に溶解したGanterzAN119の水溶液を得た。
注)Ganterz AN119:メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体、重量平均分子量2.13×10、アイエスピー・ジャパン社製
【0039】
(4)ゲル状芳香剤の調整
溶液A(20部)に溶液B(6部)、溶液C(4部)、サンフレッシュST−620(0.4部)及びイオン交換水(70部)を加えて均一で透明な水性液を調整した。このようにして得られた水溶液を室温で1日放置して、ゲル化反応を行わしめ、均一で透明な水系ゲルを得た。
注)サンフレッシュST−620:アクリル系吸水性樹脂、平均粒径280ミクロン以上、吸水性能250g/g、三洋化成工業社製
【0040】
実施例2
(1)溶液Dの調整
GanterzAN119(10部)にイオン交換水(82.5部)とアンモニア含有量29%のアンモニア水溶液(7.5部)とを加え室温下で撹拌すると30分で均一に溶解した。アンモニア中和率100%の均一に溶解したGanterzAN119の水溶液を得た。
(2)ゲル状芳香材の調整
実施例1で作成した溶液A(40部)に同じく実施例1で作成した溶液B(6部)、溶液D(6部)、サンフレッシュST−620(0.6部)及びイオン交換水(48部)を加えて均一で透明な水性液を調整した。このようにして得られた水溶液を室温で1日放置して、ゲル化反応を行わしめ、均一で透明な水系ゲルを得た。
【0041】
実施例3
(1)溶液Eの調整
イソバン−04(10部)にイオン交換水(84部)とアンモニア含有量29%のアンモニア水溶液(6部)とを加え室温下で撹拌すると1時間で均一に溶解した。アンモニア中和率80%の均一に溶解したイソバン−04の水溶液を得た。
注)イソバン−04:イソブチレン/無水マレイン酸共重合体、分子量6×10、クラレ社製
(2)ゲル状芳香材の調整
実施例1で作成した溶液A(30部)に同じく実施例1で作成した溶液B(6部)、溶液E(3部)、サンフレッシュST−620(0.2部)及びイオン交換水(61部)を加えて均一で透明な水性液を調整した。このようにして得られた水溶液を室温で1日放置して、ゲル化反応を行わしめ、均一で透明な水系ゲルを得た。
【0042】
実施例4
(1)溶液Fの調整
イソバン−04(10部)にイオン交換水(82.5部)とアンモニア含有量29%のアンモニア水溶液(7.5部)とを加え室温下で撹拌すると30分で均一に溶解した。アンモニア中和率100%の均一に溶解したイソバン−04の水溶液を得た。
(2)ゲル状芳香材の調整
実施例1で作成した溶液A(40部)に同じく実施例1で作成した溶液B(6部)、溶液F(4部)、サンフレッシュST−620(0.2部)及びイオン交換水(50部)を加えて均一で透明な水性液を調整した。このようにして得られた水溶液を室温で1日放置して、ゲル化反応を行わしめ、均一で透明な水系ゲルを得た。
【0043】
実施例5
(1)溶液Gの調整
消臭性を有する物質として、エポリオンN−1000(4部)にイオン交換水(52部)を加え均一に溶解した。
注)エポリオンN−1000:植物性有機酸及び有機酸塩、エポリオン社製
(2)ゲル状消臭材の調整
実施例1で作成した溶液A(40部)に溶液G(56部)と実施例1で作成した溶液C(4部)、サンフレッシュST−620(0.4部)を加えて均一で透明な水性液を調整した。このようにして得られた水溶液を室温で1日放置して、ゲル化反応を行わしめ、均一で透明な水系ゲルを得た。
【0044】
実施例6
(1)水膨潤性樹脂の成形品の調整 次の配合比率で混合したものをニーダーで150℃で15分間混練し、傘を広げたキノコの形状をした型に圧入した。成形物を取り出し、質量1.8gの本発明の水膨潤性樹脂の成形体を得た。このようにして得た成形物を実施例1で作成した溶液B(6部)とイオン交換水(140部)とを均一に溶解した水性液に加えた。室温で浸漬4日後に水性液中の水膨潤性樹脂の成形体が大きく膨潤していた。この水膨潤性樹脂の成形体を取り出し、質量を測ると72gであった。
この膨潤した水膨潤性樹脂の成形体の形状は、歪むことなく膨潤前の形態を維持したままで大きくなっていた。
サンフレッシュST−500MPS 53部
エラストランET1040 43部
フタロシアニン顔料 4部
注)サンフレッシュST−500MPS:アクリル系吸水性樹脂、平均粒径20〜50ミクロン、吸水性能400g/g、三洋化成工業社製
エラストランET1040:熱可塑性ウレタン樹脂、武田バーディッシェウレタン工業社製
【0045】
(2)水膨潤性樹脂の成形品を含有したゲル状芳香材の調整 上記の水性液中で膨潤させた水膨潤性樹脂の成形体を含有した水性液に実施例1で作成した溶液A(20部)、同じく実施例1で作成した溶液C(4部)及びサンフレッシュST−620(0.4部)を加えて均一で透明な水性液を調整した。このようにして得られた水性液を室温で1日放置して、ゲル化反応を行わしめ、成形体を含有した均一で透明な水系ゲルを得た。
これを室内に放置した。膨潤した水膨潤性樹脂の成形体は芳香液の揮発により、形状は初期の形態を維持したままで水系ゲルと共に徐々に小さくなり、2ヶ月後にはほぼ膨潤前の大きさに戻っていた。
【0046】
比較例1
(1)ゲル状芳香材の調整
イオン交換水(92.3部)に寒天(1.7部)を加え90〜100℃で加熱溶解し、実施例1で作成した溶液B(6部)を50〜60℃で添加して均一な水溶液を調整した。このようにして得られた水溶液を室温で1日放置して、均一な水系ゲルを得た。
注)寒天:寒天(粉末)、和光純薬工業社製
【0047】
比較例2
(1)ゲル状芳香材の調整
イオン交換水(90.5部)にソアギーナMV101(3.5部)を加え60〜70℃で加熱溶解し、実施例1で作成した溶液B(6部)を50〜60℃で添加して均一な水溶液を調整した。このようにして得られた水溶液を室温で1日放置して、均一な水系ゲルを得た。
注)ソアギーナMV101:カラギーナン、三菱アセテート社製
実施例1〜5及び比較例1,2の評価結果を
【表1】
Figure 0003558899
に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
評価方法は、以下の通りである。
(1)ゲルの外観(1)
室温で1日放置して作成したゲルの外観を目視判定し、次のように評価した。
○…透明
△…わずかに白濁
×…白濁
(2)ゲルの外観(2)
ゲルの外観(1)で使用したゲルを−20℃で16時間凍結させたものを常温で8時間放置することによって解凍し、復元させたときのゲルの外観を目視判定し、次のように評価した。
○…変化なし
△…わずかに変化する
×…変化する
【0050】
(3)透過率
上記に記載した評価方法に準じて行った。
(4)低温安定性
ゲルの外観(1)で使用したゲルを0℃恒温槽中に24時間放置して分離物の有無を調べた。
○…変化なし
△…わずかに離水する
×…離水する
(5)高温安定性
ゲルの外観(1)で使用したゲルを70℃恒温槽中に24時間放置して、ゲルが破壊されて液状になるかどうかを調べた。
○…変化なし
△…わずかに破壊され、液状になる
×…液状になる
【0051】
(6)ゲル強度
上記に記載した測定法に準じて行った。
(7)ゲルの経時での匂いだち及び表面状態
開放容器(開放面積30cm、容量230ml)中にゲル100gを作成し、得られたゲルを開放して、22〜25℃の室温に放置し、2週間後、1ヶ月にゲルの匂いだち及び表面状態を観察した。匂いだち及び表面状態の評価は下記の評価基準に従って行った。
[匂いだちの評価基準]
◎ …匂いだちが非常につよい
○ …匂いだちがややつよい
△ …ふつう
× …匂いだちがややよわい
××…匂いだちが非常によわい
[表面状態の評価基準]
◎ …全く変化なし
○ …僅かに変化あり
△ …若干変化あり
× …やや変化あり
××…明らかに変化あり
【0052】
【発明の効果】
本発明の消臭及び/又は芳香材は、次のような特長がある。
▲1▼使用中、香料などの揮散性物質の放出が良好なので一定の香りが持続する。
▲2▼本発明の消臭及び/又は芳香材は透明感があるので、美観に優れる。
▲3▼使用中、水膨潤性樹脂の成形体が、徐々に形状を維持したままで小さくなっていく状態を楽しむことができ、さらに消臭剤の残量を示すインジケーターの働きをも兼ね備える。
▲4▼本発明の消臭及び/又は芳香剤は保形性が良いため、容器を移動したり倒した場合、変形したりこぼれることがなく、取り扱いやすい。
▲5▼原料の水への溶解性も良好であるため容易に本発明の水系ゲルおよびその物品が得られる。
以上のことから、本発明の消臭及び/又は芳香材は、インテリア性に優れた消臭及び/又は芳香材として有用である。
【0053】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の消臭及び/又は芳香材の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明の消臭及び/又は芳香材の一例を示す斜視図である。
【図3】図1に消臭性を有する物質の水溶液を投入した直後の状態を示す断面図である。
【図4】本発明の水膨潤性樹脂の成形体が消臭性を有する物質の水溶液を吸収した4日後の状態を示す断面図である。
【図5】本発明の水膨潤性樹脂の成形体の周りに生成した水系ゲルの状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 水膨潤性樹脂の成形体
1’水膨潤性樹脂の成形体が消臭性を有する物質の水溶液を吸収し、膨潤したもの
2 消臭性を有する物質の水溶液
3 ガラスの容器
4 キャップ
5 接着剤
6 水系ゲル

Claims (6)

  1. 無水マレイン酸とその他のエチレン性不飽和化合物との共重合体のアンモニア反応物(A)とゼラチン(B)との反応物、粉末、粒状および繊維状から選ばれる形状の吸水性樹脂(C)及び水からなる水系ゲル。
  2. 前記(C)の形状が粉末および粒状であって、その粒径が100〜5,000ミクロンである請求項1記載の水系ゲル。
  3. (C)及び水の存在下で(A)と(B)が反応してなる請求項1又は2記載の水系ゲル。
  4. (A)のその他のエチレン性不飽和化合物がイソブチレン又はメチルビニルエーテルである請求項1〜3いずれか記載の水系ゲル。
  5. 請求項1〜4いずれか記載の水系ゲルに消臭性及び/又は芳香性を有する物質(D)が含有されたことを特徴とする消臭及び/又は芳香材。
  6. 該消臭及び/又は芳香材に水膨潤性樹脂の成形体(E)が含有されたことを特徴とする請求項5記載の消臭及び/又は芳香材物品。
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