JP3558846B2 - 集塵機能を備えた床面艶出機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、操作ハンドルを押して走行させながらパッドをモータで高速回転して床面の艶出しを行う床面艶出機の技術分野に属するものであって、具体的には、パッドを高速回転して艶出しする時に発生するパッド屑や床面上のゴミと云った各種のダストを、周囲に飛散させずに集塵する機能を備えた床面艶出機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
作業者が操作ハンドルを押して走行させながらパッドをモータで高速回転して床面の艶出しを行う従来の手押し走行式床面艶出機は、パッドの上面側とその周囲をパッドカバーで覆うことにより、パッドの回転時に発生する各種のダストを周囲に飛散させないようにしている。
【0003】
ところが、パッドの周囲をパッドカバーで覆うだけでは、運転が進むに従ってカバー内部にダストが溜ってしまって、パッドカバーの下端口に取付けたスカートが凹凸面とか段差面等でまくれたり引掛ったりして床面との間に隙間が生じると、この隙間から内部に溜っていたダストが旋回気流と共に勢い良く飛散して周囲を汚す問題があった。
【0004】
そこで、例えば実開平5−39457号公報に見られるように、パッドカバーにダクトを介してフイルターバッグを接続することにより、艶出しによって生じた各種のダストをパッドの回転による旋回気流に乗せてダクトを通してフイルターバッグに集塵させることが考えられた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、パッドカバー内で高速回転するパッドによる旋回気流だけでは、風量が少くてパッドカバー内に溜ったダストをフイルターバッグ側に充分に送り込むことができなかった。
【0006】
また、上記従来の床面艶出機は、パッドの回転によって発生する旋回気流でダストをフイルターバッグ内に押し込んで集塵するため、フアンで吸引する場合と異なり気流の行きやすい方向にダストが自由に流れてしまうことになり、その結果、パッドの回転で円周方向に旋回された気流は、直接フイルターバッグ内に向かうものと、旋回して再びパッド側に戻ってしまうものとが発生し、戻ったダストはパッド側に再度吸引されたり、その周囲をグルグル回る状態に成ってしまって、ダストがパッド内に浸透、捕獲されたり、パッドホルダや各種フランジの曲げ部分等に堆積したりして、集塵効率を悪くする問題があった。
【0007】
加えて、押し込み式でダストをフイルターバッグ内に集塵させる構成であるため、その押し込み力でパッドカバーのスカート部分から気流が漏れて、ダストが外部に流出してしまう問題もあった。
【0008】
従って本発明の技術的課題は、パッドカバー内で高速回転するパッドによる旋回気流をより強いものにして、パッドカバー内に溜ったダストをパッドに戻したり外部に漏らしたりすることなく、確実にフイルターバッグ側に送り込んで集塵効果を高めることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の技術的課題を解決するために本発明で講じた手段は以下の如くである。
【0010】
パッドカバー内に設けたパッドをモータで高速回転して床面の艶出しを行い、この艶出しによって生じたダストをパッドの回転による旋回気流に乗せてパッドカバー内よりフイルターバッグに送り込んで集塵するように構成した床面艶出機に於いて、
【0011】
(1) パッドカバーの内部で、且つ、パッドの外周部分にダストの排出通路となる環状の間隔を区画形成し、この排出通路の外周接線方向にフイルターバッグに通じるダスト排出口を連設すると共に、上記ダストの排出通路となる間隔を、パッドカバーの内部で、且つ、パッドの上側部分に、パッドと同径又はパッドよりも若干小径或は大径のリング状に造った遮断壁を、パッドカバーの内周面に対して間隔をあけて取付けることによって構成すること。(請求項1)
【0012】
) パッドカバーの上側部にフイルターバッグの取付部を設けると共に、排出通路の外周接線方向に設けたダスト排出口の先端側をパッドカバーの上面中央方向に屈曲して、その先端口を上記パッドカバーの上側部に取付けたフイルターバッグに接続すること。(請求項
【0013】
) パッド自身に通気性を持たせる一方、このパッドの上側面に取付けるパッドホルダーの一部又は複数部分と、パッドカバーの一部又は複数部分の夫々に
、空気の通気口を設けること。(請求項
【0014】
) パッドカバーの下端口に、その底部側を常時床面側に接触させるスカートを取付けると共に、このスカートの下側部を垂直又は垂直よりも少し内側に傾斜した状態に構成すること。(請求項
【0015】
) 下側にパッドを取付けるパッドホルダーの外周縁を、パッドの外周面に沿って下方に少しだけ屈曲形成すること。(請求項
【0016】
上記(1)で述べた請求項1に係る手段によれば、高速回転しながら床面に接触してこれを磨くパッドの外周部分に、環状のダスト排出通路が区画形成され、而かも、この排出通路の外周接線方向にはフイルターバッグに通じるダスト排出口が設けられているため、パッドの艶出し回転によって生じたダストを、パッドに戻したり外部に漏らしたりすることなくこのダスト排出通路内で勢い良く旋回させて、その旋回中に確実にフイルターバッグ内に集塵させることを可能にする。
【0017】
更に上記()で述べた請求項に係る手段によれば、パッドの艶出し回転によって生じたダストを、リング状の遮断壁をパッドの上側部に取付けることによってパッドカバー内に設けた排出通路内で勢い良く旋回させることができるため、このダストを外部に漏らしたりパッド側に送り戻したりすることなく、確実にフイルターバッグ内に送り込んで集塵させることを可能にする。
【0018】
上記()で述べた請求項に係る手段によれば、ダスト排出通路の外周接線方向に設けたダスト排出口の先端側を、パッドカバーの上側部中央方向に屈曲してあるため、この先端口をパッドカバーの上側部に取付けたフイルターバッグに接続して集塵できると共に、フイルターバッグをパッドカバーの上側部に取付けて床面艶出機の全体をコンパクトに、且つ、体裁良く造ることを可能にする。
【0019】
上記()で述べた請求項に係る手段によれば、パッドカバー内で高速回転するパッドの遠心力によって、空気が通気性を持たせたパッド内部を通ってその先端部からパッドカバー内に旋回気流となって放出され、これと同時にパッド底面と床面との間に生じる真空作用によってパッドホルダーの通気口に対して吸引作用が及ぶため、新鮮な空気がパッドカバー及びパットホルダーの各通気口からパッド内部を通って吸引されるから、フイルターバッグに送り込まれる風量を増大して集塵効果を高めることができると共に、パッドの目詰りを防止することを可能にする。
【0020】
上記()で述べた請求項に係る手段によれば、パッドカバーの下端口に取付けたスカートが、ダスト排出通路内で旋回するダストの外部への漏れを防止すると共に、このスカートが排出通路内に於けるダストの旋回方向を上向きにガイドして、旋回中のダストをダスト排出口を通してフイルターバッグ側に送り込み易くすることを可能にする。
【0021】
上記()で述べた請求項に係る手段によれば、パッドホルダーの外周縁を下向きに屈曲したため、この部分やパッドホルダーの上面部分にダストが堆積することがなく、パッドの艶出し回転によって生じたダストの殆どを排出通路側に送り込んで、集塵効果を高めることを可能にする。
【0022】
以上の如くであるから、上記(1)〜()で述べた手段によって上述した技術的課題を解決して、前記従来の技術の問題点を解消することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る集塵機能を備えた床面艶出機の実施の形態を、添付した図面と共に詳細に説明する。
【0024】
図1は本発明に係る集塵機能を備えた床面艶出機の側面図を、また図2は本発明の要部を拡大して示した部分側断面図、図3はその正断面図、図4は平面図であって、これ等の図面に於いて、1は艶出機で、2は艶出機1の前部底面側に取付けたパッドカバー、3はこのパッドカバー2の内部に回転自在に取付けたそれ自体通気性を備えたパッドであって、艶出機1の外ケース1a内に取付けたモータ4の回転軸4aが回転すると、パッド3が連動して高速回転される仕組に成っている。
【0025】
2Sはパッドカバー2の下端口にホルダー2Zを介して取付けたスカートで、ゴム等の弾性素材や繊維素材等を用いて構成したこのスカート2Sは、弾性ワイヤーを挿入した下端縁部分を常時床面側に接触させてダストの漏出を防止すると共に、その下端側を垂直又は内側に少し傾斜させて設けることによって、パッド3の回転によってパッドカバー2の内部(具体的には後述するダスト排出通路内)で旋回するダストの流れを、上方にガイドするように構成されている。
【0026】
5は上記モータ4の回転軸4aの下端部にネジ4Kで固定した接続フランジ、6はこの接続フランジ5の底面側に取付ネジ5T…を用いて一体に取付けたパッドホルダー、7はパッドホルダー6の底面中央部に垂設したボルト部6Tに螺合して締付けることによって、その鍔7aと上記パッドホルダー6の間でパッド3を挟持して固定する締付ナットであって、3Xは締付ナット7の締付によってパッド3の底面に形成される空間である。
【0027】
次に、6aは…は上記パッドホルダー6に設けた通気口、2aは上記パッドカバー2を構成する天井板2Tの中央に設けた通気口、1Xは艶出機1の車台、1Sはパッドカバー2の上側部に設けた車台1Xのフレーム、1Vはフレーム1Sに開口した通気口であって、このフレーム1Sの上に上述したモータ4が取付けられており、また、車台1Xの後部上側には電源用のバッテリ12が搭載されている。
【0028】
また、6Zはパッド3の外周面に沿って下方に少しだけ屈曲したパッドホルダー6の外周縁、8は艶出機1の後方部に左右の脚杆8a,8aを介して立設した操作ハンドル、8Tは操作ハンドル8の上端部に取付けた操作ボックス、13は車台1Xに設けた車軸13aに取付けた走行用の車輪、14と15は車台1Xの後部に取付けた補助輪、14aは補助輪14の車軸である。
【0029】
次に、9は上記パッドカバー2の内部天井面に取付けたリング状(筒状)を成す遮断壁で、パッド3と同径又はパッドよりも若干小径或は大径に造ったこの遮断壁9は、パッド3の上面側を囲むことによって、パッドカバー2及びスカート2Sの内部で、而かも、パッド3の外周部分に環状の間隔、即ち、環状のダスト排出通路2Hを区画形成する仕組に成っている。
【0030】
図3と図4に於いて、10は上記排出通路2Hの外周接線方向に連設した筒状のダスト排出口で、根端部の口10Hを排出通路2Hの一部上面に幅広く開口接続したこのダスト排出口10は、根端部側を一旦上方に立ち上げた後、その途中をパッドカバー2の上面中央側に直角に屈曲した略エルボ(ベンド)形状に造られていて、その先端口10aを上記パッドカバー2の上側部、具体的には、上記フレーム1Sの上面に設けたフイルターホルダー11aに装着されているフイルターバッグ11(市販の電気掃除機用のフイルターバッグを使用する場合もある)に挿入接続されている。
【0031】
尚、上述したパッドホルダー6に設けた各通気口6a…は、パッド3の高速回転によって、パッド3自身の内部と上述した空間3Xの部分に発生した真空作用による吸引力によって、図2及び図3に示した矢印の如くフレーム1Sとパッドカバー2に設けた各通気口1V,2aを通してパッドカバー2内に吸引した外部の空気を、通気性を備えたパッド3の内部及び上記底面の空間3X側に送り込むことができるものであって、その結果、パッド3の高速回転によって常にパッドカバー2内の排気通路2Hに強力な旋回気流が生じる仕組に成っている。
【0032】
本発明に係る床面艶出機は以上述べた如き構成であるから、図1乃至図3に示すようにフイルターバッグ11をダスト排出口10の先端部10aに取付けて艶出し運転を行うと、モータ4によって高速回転されるパッド3が床面を磨いて艶出し(バッフイング)を行う一方、この艶出しによって生じた各種ダストを、パッド3の回転による旋回気流に乗せてパッドカバー2のダスト排出通路2Hよりダスト排出口10を通してフイルターバッグ11内に送り込んで集塵することができる。
【0033】
更に、パッド3を取付けたパッドホルダー6の外周縁6Zは下向きに屈曲して、この外周縁6Zとパッドホルダー6の上面のいずれにもダストが堆積しないように工夫しているため、パッド3の艶出し回転によって生じたダストの殆どを上記の排出通路2Hに送り込んで旋回させることにより、集塵効果を高めることができる。
【0034】
また、パッド3の回転によって生じる旋回気流は、遠心力によって通気性を持たせたパッド3の内部を通してその先端部からパッドカバー2内の排出通路2Hに放出されて、環状に区画されたこの排出通路2H内に強力な旋回気流を生じせしめる一方、パッド3の内部及びその底面空間3Xの部分に生じた真空作用によって、外気をパッドホルダー6の各通気口6a…からパッド3の内部に順次取り入れることができるため、排出通路2Hに更に強力な旋回気流を常時発生させて、パッド3の回転による艶出しによって発生したダスト類を、この強力な旋回気流に乗せて接線方向に接続した排出口10を通してフイルターバッグ11に送り込んで集塵することができる。
【0035】
更に本発明では、上記パッドカバー2の下側に取付けたスカート2Sがダストの漏出を防止するだけではなく、上記排出通路2H内で旋回するダストの流れを上向きにガイドするため、旋回中のダストを排出口10側に確実に送り込んでフイルターバッグ11に集塵させることができる。
【0036】
また、例えば家庭用の電気掃除機等に用いているものと同じ市販のフイルターバッグ11に集塵されたダスト類は、フイルターバッグ11を排出口10の先端口10aから取外すことによってそのまま廃棄処分することができ、また、フイルターバッグ11は排出口10の途中をパッドカバー2の上面側に屈曲した関係で、パッドカバー2の上側部に艶出機の運転に邪魔にならないように体裁良く取付けて使用することができる。
【0037】
【発明の効果】
本発明に係る集塵機能を備えた床面艶出機は以上述べた如くであって、パッドの回転によってパッドホルダー内部に発生する旋回気流をより強いものにして、パッドカバー内のダスト類を速やかにフイルターバッグ側に送り込むことができるから、周囲にダスト類を飛散させることなく床面の艶出しを支障無く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る集塵機能を備えた床面艶出機の側面図である。
【図2】同じく本発明に係る集塵機能を備えた床面艶出機の要部を拡大して示した一部断面側面図である。
【図3】同じく本発明の要部を拡大して示した一部断面正面図である。
【図4】本発明の要部を拡大して示した平面図である。
【符号の説明】
1 床面艶出機
2 パッドカバー
2S スカート
2H 排出通路
3 パッド
4 モータ
6 パッドホルダー
6a 通気口
6Z パッドカバーの外周縁
9 遮断壁
10 排出口
11 フイルターバッグ

Claims (5)

  1. パッドカバー内に設けたパッドをモータで高速回転して床面の艶出しを行い、この艶出しによって生じたダストをパッドの回転による旋回気流に乗せてパッドカバー内よりフイルターバッグに送り込んで集塵するように構成した床面艶出機に於いて、
    パッドカバーの内部で、且つ、パッドの外周部分にダストの排出通路となる環状の間隔を区画形成し、この排出通路の外周接線方向にフイルターバッグに通じるダスト排出口を連設すると共に、上記ダストの排出通路となる間隔を、パッドカバーの内部で、且つ、パッドの上側部分に、パッドと同径又はパッドよりも若干小径或は大径のリング状に造った遮断壁を、パッドカバーの内周面に対して間隔をあけて取付けることによって構成したことを特徴とする集塵機能を備えた床面艶出機。
  2. パッドカバーの上側部にフイルターバッグの取付部を設けると共に、排出通路の外周接線方向に設けたダスト排出口の先端側をパッドカバーの上面中央方向に屈曲して、その先端口を上記パッドカバーの上側部に取付けたフイルターバッグに接続したことを特徴とする請求項1記載の集塵機能を備えた床面艶出機。
  3. パッド自身に通気性を持たせる一方、このパッドの上側面に取付けるパッドホルダーの一部又は複数部分と、パッドカバーの一部又は複数部分の夫々に、空気の通気口を設けたことを特徴とする請求項1記載の集塵機能を備えた床面艶出機。
  4. パッドカバーの下端口に、その底部側を常時床面側に接触させるスカートを取付けると共に、このスカートの下側部を垂直又は垂直よりも少し内側に傾斜した状態に構成したことを特徴とする請求項1、2又は記載の集塵機能を備えた床面艶出機。
  5. 下側にパッドを取付けるパッドホルダーの外周縁を、パッドの外周面に沿って下方に少しだけ屈曲形成したことを特徴とする請求項3に記載の集塵機能を備えた床面艶出機。
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