JP3558568B2 - 磁気ディスク基板のテクスチャリング加工方法および装置 - Google Patents

磁気ディスク基板のテクスチャリング加工方法および装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気ヘッドが近接した状態で対向させられる平坦な磁気記録面を少なくとも一面に有する磁気ディスクにテクスチャリング加工を行う方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、ハードディスクドライブ(HDD)と称される記憶装置には、高速で回転させられる磁気ディスク基板と、その磁気ディスク基板の高速回転によりその一面に対して僅かに浮上させられた状態で対向する磁気ヘッドとが設けられている。この磁気ディスク基板は、一般に、軽金属製円板の一面上に、たとえばNi−Pメッキにより構成された下地層、蒸着或いはスパッタなどを用いて磁性金属から形成された磁性薄膜層、カーボンなどの固体潤滑剤から成る保護層が順次積層されたものであり、それら各層が積層されている磁気記録面は高精度な研磨によって可及的に平坦とされることにより鏡面状態とされる。
【0003】
しかしながら、上記磁気ディスク基板に対する記録密度が高くなるに伴って、その磁気ディスク基板の磁気記録面とそれに対向する磁気ヘッドとの間の間隔がたとえば1/10μm程度に小さくされる傾向にあることから、磁気ディスク基板の磁気記録面とそれに対向する磁気ヘッドとが相互に吸着する可能性が高くなり、ハードディスクドライブの起動が困難となるおそれがあった。
【0004】
これに対し、磁気ヘッドの吸着を防止するために十分な大きさではあるが、浮上中の磁気ヘッドと干渉するほど大きくはない高さたとえば10乃至50Å(オングストローム:10−8cm)の凹凸高さで周方向に伸びる微小な条痕を、多結晶アルミナ焼結体から成る砥粒を用いてたとえば上記下地層の表面に形成する所謂テクスチャリング加工を行うことにより、磁気記録面への磁気ヘッドの吸着を防止する技術が知られている。たとえば、特開平6−176358号公報、特開平7−57253号公報、特開平4−214223号公報に記載された技術がそれである。これらによれば、回転駆動される磁気ディスク基板の一面に対して多結晶アルミナ焼結体から成る砥粒を含むスラリーを供給すると同時に、磁気ディスク基板よりも小径の摺接用パッドをその磁気ディスク基板の偏心位置に押し付けつつ磁気ディスク基板よりも大幅に低い回転速度で回転させることにより、或いは磁気ディスク基板の径よりも小幅の摺接用パッドを用いて磁気ディスク基板を挟圧しつつその磁気ディスク基板を回転させることにより、磁気ディスク基板の一面に設けられた下地層に円周方向の条痕が形成される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のテクスチャリング加工は、磁気ディスク基板の一面の一部に対して、その磁気ディスク基板よりも小径の摺接用パッドが局部的に押し付けられることにより、或いはその磁気ディスク基板の径よりも小幅の摺接用パッドで磁気ディスク基板の一部が挟圧されることによって行われるため、オングストロームオーダーの微小な条痕を全周にわたって均質に形成することが困難であった。また、磁気ディスク基板の一面の一部がその磁気ディスク基板よりも大幅に低い回転速度で回転させられる摺接用パッドに摺接させられることにより条痕が形成されるので、研磨能率が十分に得られなかった。
【0006】
本発明は以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、磁気ディスク基板の一面において均質な条痕を能率良く得られるテクスチャリング加工方法および装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための第1の手段】
かかる目的を達成するための発明方法の要旨とするところは、磁気ディスク基板の一面に磁気ヘッドの吸着を防止するための微小な条痕を設けるテクスチャリング加工方法であって、(a) 前記磁気ディスクよりも大径であって中心軸まわりに回転させられる平面研磨工具の環状研磨面に対して、前記磁気ディスク基板の一面全体を、その環状研磨面の中心軸がその磁気ディスク基板の外側となるようにして押し付ける第1研磨工程と、(b)その第1研磨工程において前記平面研磨工具の環状研磨面に一面が押し付けられている前記磁気ディスク基板を、その中心線まわりに前記平面研磨工具の回転速度よりも20倍以上高い回転速度で自転させる第2研磨工程とを、含むことにある。
【0008】
【第1発明の効果】
このようにすれば、第1研磨工程により、磁気ディスクよりも大径であって中心線まわりに回転させられる平面研磨工具の環状研磨面に対して、磁気ディスク基板の一面全体が、その環状研磨面の中心軸がその磁気ディスク基板の外側となるようにして押し付けられるとともに、第2研磨工程により、その磁気ディスク基板がそれ自身の中心線まわりに上記平面研磨工具の回転速度よりも20倍以上高い回転速度で回転(自転)させられることにより、微小な条痕が周方向に形成される。このとき、磁気ディスク基板の一面の全体にその磁気ディスク基板よりも大径の平面研磨工具の環状研磨面の一部が押し付けられることによって行われるため、オングストロームオーダーの微小な条痕が全周にわたって均質に形成される。また、磁気ディスク基板を、平面研磨工具の回転速度よりも20倍以上の高い回転速度で自転させられるので、磁気ディスク基板の一面に形成される条痕の方向が周方向となり、しかも条痕の形成について高い能率が得られる。
【0009】
【発明の他の態様】
ここで、好適には、前記平面研磨工具の環状研磨面は、天然繊維または合成繊維から製造された布により構成されたものである。このようにすれば、磁気ディスク基板の一面に形成される条痕の大きさが安定する。また、研磨液として供給されるスラリーに含まれる遊離砥粒が環状研磨面に好適に保持される利点がある。
【0010】
また、好適には、前記平面研磨工具の環状研磨面に対して遊離砥粒を含むスラリーを供給する工程がさらに含まれる。このようにすれば、固定砥粒型の平面研磨工具を用いる場合に比較して、目詰まりや研磨焼けが好適に防止される。
【0011】
また、好適には、前記第1研磨工程は、前記磁気ディスク基板を前記平面研磨工具の環状研磨面に対して490Pa乃至49kPaの面圧力で押圧するものである。このようにすれば、周方向に伸びるオングストロームオーダの微小な条痕が好適に形成される。490Paを下回ると条痕の形成に関して実用的な能率が得られず、49kPaを上まわると、形成される条痕が大きく且つばらつくという不都合が発生する。
【0013】
【課題を解決するための第2の手段】
また、前記発明方法を好適に実施するための装置発明の要旨とするところは、磁気ディスク基板の一面に磁気ヘッドの吸着を防止するための微小な条痕を設けるテクスチャリング加工装置であって、(a)前記磁気ディスクよりも大径の環状研磨面を有する平面研磨工具を、その環状研磨面の中心まわりに回転駆動する平面研磨工具回転駆動装置と、(b)前記磁気ディスク基板を保持し、その平面研磨工具回転駆動装置により回転駆動される平面研磨工具の環状研磨面に対して、その磁気ディスク基板の一面全体を、その環状研磨面の中心軸がその磁気ディスク基板の外側となるようにして押し付ける磁気ディスク基板保持装置と、(c)その磁気ディスク基板保持装置により前記平面研磨工具の環状研磨面に一面が押し付けられている前記磁気ディスク基板を、その中心線まわりにその平面研磨工具の回転速度よりも20倍以上高い回転速度で駆動する磁気ディスク基板回転駆動装置とを、含むことにある。
【0014】
【第2発明の効果】
このようにすれば、磁気ディスクよりも大径であって平面研磨工具回転駆動装置により中心線まわりに回転させられる平面研磨工具の環状研磨面に対して、磁気ディスク基板保持装置により保持された磁気ディスク基板の一面全体が、その環状研磨面の中心軸がその磁気ディスク基板の外側となるようにして押し付けられるとともに、磁気ディスク基板回転駆動装置により、その磁気ディスク基板がそれ自身の中心線まわりに上記平面研磨工具の回転速度よりも20倍以上高い回転速度で回転(自転)させられることにより、微小な条痕が周方向に形成される。このとき、磁気ディスク基板の一面の全体にその磁気ディスク基板よりも大径の平面研磨工具の環状研磨面の一部が押し付けられることによってテクスチャリング加工が行われるため、オングストロームオーダーの微小な条痕が全周にわたって均質に形成される。また、磁気ディスク基板を、平面研磨工具の回転速度よりも20倍以上の高い回転速度で自転させられるので、磁気ディスク基板の一面に形成される条痕の方向が周方向となり、しかも条痕の形成について高い能率が得られる。
【0015】
【発明の好適な実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
図1および図2は、本発明の一実施例の磁気ディスク基板テクスチャリング加工装置(以下、テクスチャリング加工装置という)10を模式的に示す斜視図および平面図である。このテクスチャリング加工装置10は、磁気ディスク基板Pの径と同等或いはそれ以上の径方向の幅寸法を有する環状研磨面16を備えて垂直な中心線Cまわりに回転可能に設けられた研磨テーブルである平面研磨工具12と、その平面研磨工具12を一回転方向Eにおいてたとえば3乃至10r.p.m 程度の一定の回転速度で回転駆動する平面研磨工具回転駆動装置14と、その平面研磨工具12よりも小径たとえば1/2以下の磁気ディスク基板Pを保持し、その平面研磨工具回転駆動装置14により上記平面研磨工具12と同じ方向Fに回転駆動される平面研磨工具12の環状研磨面16の一部に対して、その磁気ディスク基板Pの一面すなわち磁気記録面の全面を押し付ける磁気ディスク基板保持装置18と、その磁気ディスク基板保持装置18により環状研磨面16に一面が押し付けられている磁気ディスク基板Pを、その垂直な中心線Dまわりに平面研磨工具12よりも高い回転速度たとえば100乃至200r.p.m 程度の一定の回転速度で自転するように回転駆動する磁気ディスク基板回転駆動装置20と、上記環状研磨面16に研磨液(スラリー)を供給する研磨液供給装置21とを備えている。この研磨液は、たとえば平均粒径が0.12μm程度の多結晶ダイヤモンド砥粒を0.1重量%含む水性或いは油性のスラリー状の研磨用ルブリカント(研磨液)から成るものである。
【0017】
上記平面研磨工具12の環状研磨面16は、たとえばポリエステル繊維製の糸が綾織り或いは平織りされ且つ表面に起毛処理が施された平坦な布から構成されている。また、上記磁気ディスク基板保持装置18は、位置固定のブラケット22に設けられた複数個(本実施例では3個)の保持ローラ24と、その保持ローラ24に当接することにより上記環状研磨面16上において中心軸まわりに回転可能に保持される保持リング部材26とを備えている。この保持リング部材26内には、磁気ディスク基板Pが丁度嵌め入れられる径寸法を備えており、図示しないウエイトがその磁気ディスク基板Pの上に載置されることにより、磁気ディスク基板Pが所定の荷重たとえば490Pa乃至49kPa程度の荷重で磁気ディスク基板Pの一面が前記環状研磨面16に押圧された状態で自転可能に保持されるようになっている。前記磁気ディスク基板回転駆動装置20によって上記保持ローラ24の1つが回転駆動されると、磁気ディスク基板Pが所定の荷重で環状研磨面16に押圧された状態で回転駆動させられる。
【0018】
上記磁気ディスク基板Pは、所謂ハードディスクドライブに用いられる所定径寸法たとえば3.3インチ径の円板状の記憶媒体であって、たとえば図3に示すような下地層形成工程、テキスチャリング加工工程、磁性層形成工程、保護層形成工程を経て構成されたものである。上記下地層形成工程では、たとえばアルミニウム合金製の基体30の一面上に、たとえばNi−Pメッキにより構成された下地層32が形成され(図3)、上記テキスチャリング加工工程では、前記テクスチャリング加工装置10によりその下地層32の表面に対してたとえばオングストローム・オーダの微小な凹凸であって周方向に伸びる条痕Aが形成され(図4)、上記磁性層形成工程では、その条痕Aが形成された下地層32の上に蒸着或いはスパッタなどを用いて磁性金属から形成された磁性薄膜層34が形成され、上記保護層形成工程では、上記磁性薄膜層34の上にカーボンなどの固体潤滑剤から成る保護層36が順次積層されたもの(図5)である。それら各層32、34、36が積層されている磁気ディスク基板Pの一面である磁気記録面は、基本的には高精度な研磨によって可及的に平坦とされることにより略鏡面状態とされているが、下地層32に形成された微小な条痕Aがそのまま保護層36の表面にも現れることにより、オングストローム・オーダの微小な条痕Aが周方向に形成される。図6は、本発明者が行った実験により得られた条痕Aの径方向におけるプロファイルを示す測定値である。
【0019】
以下、上記テキスチャリング加工工程においてテクスチャリング加工装置10によって下地層32の表面に対して微小な条痕Aを形成するテクスチャリング加工を説明する。先ず、下地層32が形成された面を環状研磨面16に対向させた状態で磁気ディスク基板Pが保持リング部材26内に嵌め入れられて図示しないウエイト板がその上に載置され、研磨液供給装置21から環状研磨面16に対して研磨液(スラリー)が連続供給されつつ(スラリー供給工程)、平面研磨工具回転駆動装置14および磁気ディスク基板回転駆動装置20が作動させられる。これにより、磁気ディスク基板Pよりも大径であって中心線Cまわりに回転させられる平面研磨工具12の環状研磨面16の一部に対して、磁気ディスク基板Pの下地層32が形成された面が全面的に押し付けられる(第1研磨工程)と同時に、その磁気ディスク基板Pがそれ自身の中心線Dまわりに上記平面研磨工具12よりも高い回転速度で回転(自転)させられる(第2研磨工程)ので、最大振幅が30Å程度の微小な条痕Aが周方向に形成される。
【0020】
表1は、本発明者がNi−Pメッキ鏡面仕上げ磁気ディスク基板Pを用いて以下の実験条件にて行った実験結果を示している。試料1はテクスチャリング加工装置10の加工面圧を9.8kPaとした場合、試料2はテクスチャリング加工装置10の加工面圧を29.4kPaとした場合、試料3は布製テープの一部を磁気ディスク基板Pの一部に押し付けるテープ式テクスチャリング加工装置(たとえば特開平6−176358号の開示)を用いた場合である。表1の表面粗さは、Zygo社製NewView200HRにて16箇所測定した平均値である。表1の試料1および試料2から明らかなように、テクスチャリング加工装置10を用いたテキスチャリング加工が行われた場合には、テープ式テクスチャリング加工と同等の表面粗さでありながら、表面粗さのばらつきが大幅に小さくなる。
【0021】
Figure 0003558568
【0022】
テープ式テクスチャリング加工装置の試験条件
・テープ:千代田製1801−G
・ディスク基板:Ni−Pメッキ鏡面仕上げ磁気ディスク基板
・テープ送り速度:10cm/min.
・ディスク基板の回転数:200r.p.m
・加工面圧:98kPa
・スラリー供給量:10ml/min.
【0023】
Figure 0003558568
【0024】
また、表2は、本発明者がNi−Pメッキ鏡面仕上げ磁気ディスク基板Pを用いてパッド形状以外は以下に示す共通の実験条件にて行った実験結果を示している。試料4は、平面研磨工具12の環状研磨面16の形状すなわちパッド形状の外径が300mmφ且つ内径が20mmφであって、たとえば図2に示す位置で加工された場合、試料5は、環状研磨面16の形状すなわちパッド形状の外径が120mmφ且つ内径が60mmφであって、たとえば図7に示す位置で加工された場合の研磨結果を示している。表2の試料4および試料5から明らかなように、テクスチャリング加工される面の全面がパッドに摺接させられる試料4ではテクスチャリング加工面にスクラッチが見られなかったが、テクスチャリング加工される面の一部が磁気ディスク基板Pの径よりも小さな幅寸法のパッドに摺接させられる試料5では、テクスチャリング加工面に多数のスクラッチが形成された。このスクラッチは、パットの磁気ディスク基板Pが回入する側の端部に付着し非転動状態で固定された砥粒により引っ掻かれることにより発生すると推定される。また、この試料5では、応力が偏在して加工中の磁気ディスク基板Pに歪みが発生するため、平坦度などの精度が低下する不都合もある。
【0025】
テクスチャリング加工の試験条件
・パッド:千代田製1801−G
・ディスク基板:Ni−Pメッキ鏡面仕上げ磁気ディスク基板(84mmφ)
・研磨テーブル回転数:5r.p.m
・ディスク基板の回転数:100r.p.m
・ディスク基板の中心位置:テーブルの中心から90mm
・加工面圧:9.8kPa(100g/cm
・スラリー供給量:5ml/min.
【0026】
Figure 0003558568
【0027】
上述のように、本実施例によれば、磁気ディスク基板Pの一面全体がその磁気ディスク基板Pよりも大径の平面研磨工具12の環状研磨面16に対して、環状研磨面16の中心線Cが磁気ディスク基板Pの外側となるようにして押し付けられることによってテクスチャリング加工が行われるため、オングストロームオーダーの微小な条痕Aが全周にわたって均質に形成される。また、磁気ディスク基板Pが平面研磨工具12よりも大幅に高い回転速度で回転させられて磁気ディスク基板Pの一面の全体が同時に研磨されるので、研磨加工能率が十分に得られる。
【0028】
また、本実施例では、平面研磨工具12の環状研磨面16は、天然繊維または合成繊維から製造された布により構成されたものであるので、磁気ディスク基板Pの一面に形成される条痕Aの大きさが安定する。また、研磨液として供給されるスラリーに含まれる遊離砥粒すなわち平均粒径が0.12μm程度の多結晶ダイヤモンド砥粒が上記環状研磨面16に好適に保持される利点がある。
【0029】
また、本実施例によれば、平面研磨工具12の環状研磨面16に対して遊離砥粒を含むスラリーを供給する工程がさらに含まれているので、固定砥粒型の平面研磨工具を用いる場合に比較して、目詰まりや研磨焼けが好適に防止される。
【0030】
また、本実施例によれば、前記第1研磨工程において、磁気ディスク基板Pが平面研磨工具12の環状研磨面16に対して490Pa乃至49kPaの面圧力で押圧されるので、周方向に伸びるオングストロームオーダの微小な条痕Aが好適に形成される。490Pa(5g/cm)を下回ると条痕Aの形成に関して実用的な能率が得られず、49kPa(500g/cm)を上まわると、形成される条痕Aが大きく且つばらつくという不都合が発生する。
【0032】
以上、本発明の一実施例を図面を用いて説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0033】
たとえば、前述の実施例のテクスチャリング加工装置10において、磁気ディスク基板Pは磁気ディスク基板保持装置18の保持リング部材26内に嵌め入れられた状態で保持されていたが、保持リング部材26との間の相対回転を阻止する装置が設けられていてもよい。また、上記磁気ディスク基板Pは、上記保持リング部材26に替えて用いられる厚肉円板状の貼付板の下面に貼り付けられるか或いは嵌め入れられた状態で保持されてもよい。
【0034】
また、前述の実施例において、磁気ディスク基板Pは、その回転中心線Dまわりに自転させられつつ、その回転中心線Dを中心とする公転円に沿って公転させられてもよい。このようにすれば、磁気ディスク基板Pの一面の平坦度が一層高められる。
【0035】
また、前述の実施例のテクスチャリング加工装置10では、一枚の磁気ディスク基板Pに対してテクスチャリング加工を行うものであったが、複数枚の磁気ディスク基板Pに対して同時にテクスチャリング加工を行うものであってもよい。
【0036】
また、前述の実施例のテクスチャリング加工装置10において、平面研磨工具12の環状研磨面16は、ポリエステル繊維製の糸が綾織り或いは平織りされ且つ表面に起毛処理が施された平坦な布から構成されていたが、不織布やフェルト板などであってもよいし、合成樹脂ボンドなどにより砥粒を固定した固定砥粒型の砥石板が用いられてもよい。
【0037】
また、前述の実施例のテクスチャリング加工装置10において、平面研磨工具12および磁気ディスク基板Pの回転数は種々変更され得る。たとえば、磁気ディスク基板Pの回転数を上昇させることにより、磁気ディスク基板Pの一面に形成される条痕Aの方向をクロスさせることができる。
【0038】
なお、上述したのはあくまでも本発明の一実施例であり、本発明はその主旨を逸脱しない範囲において種々の変更が加えられ得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のテクスチャリング加工装置の構成の要部を概略説明する斜視図である。
【図2】図1のテクスチャリング加工装置の平面図である。
【図3】図1の磁気ディスク基板Pの製造工程の要部を説明する図であって、下地層形成工程により下地層が形成された状態を示す要部断面図である。
【図4】図1の磁気ディスク基板Pの製造工程の要部を説明する図であって、テクスチャリング加工工程により下地層上に条痕跡Aが形成された状態を示す要部断面図である。
【図5】図1の磁気ディスク基板Pの製造工程の要部を説明する図であって、磁性薄膜形成工程および保護層形成工程によって下地層上に磁性薄膜および保護層が形成された状態を示す要部断面図である。
【図6】テクスチャリング加工により図4の下地層上に形成された条痕跡Aのプロファイルを径方向において測定したデータを示す図である。
【図7】テクスチャリング加工実験に用いたパッドとそれにより研磨される磁気ディスク基板Pを示す平面図である。
【符号の説明】
10:磁気ディスク基板テクスチャリング加工装置
12:平面研磨工具
14:平面研磨工具回転駆動装置
16:環状研磨面
18:磁気ディスク基板保持装置
20:磁気ディスク基板回転駆動装置
P:磁気ディスク基板

Claims (5)

  1. 磁気ディスク基板の一面に磁気ヘッドの吸着を防止するための微小な条痕を設けるテクスチャリング加工方法であって、
    前記磁気ディスクよりも大径であって中心軸まわりに回転させられる平面研磨工具の環状研磨面に対して、前記磁気ディスク基板の一面全体を、該環状研磨面の中心軸が該磁気ディスク基板の外側となるようにして押し付ける第1研磨工程と、
    該第1研磨工程において前記平面研磨工具の環状研磨面に一面が押し付けられている前記磁気ディスク基板を、その中心線まわりに前記平面研磨工具の回転速度よりも20倍以上高い回転速度で自転させる第2研磨工程と、
    を、含むことを特徴とする磁気ディスク基板のテクスチャリング加工方法。
  2. 前記平面研磨工具の環状研磨面は、天然繊維または合成繊維から製造された布により構成されたものである請求項1の磁気ディスク基板のテクスチャリング加工方法。
  3. 前記平面研磨工具の環状研磨面に対して遊離砥粒を含むスラリーを供給する工程を、さらに含むものである請求項2の磁気ディスク基板のテクスチャリング加工方法。
  4. 前記第1研磨工程は、前記磁気ディスク基板を前記平面研磨工具の環状研磨面に対して490Pa乃至49kPaの面圧力で押圧するものである請求項3の磁気ディスク基板のテクスチャリング加工方法。
  5. 磁気ディスク基板の一面に磁気ヘッドの吸着を防止するための微小な条痕を設けるテクスチャリング加工装置であって、
    前記磁気ディスクよりも大径の環状研磨面を有する平面研磨工具を、該環状研磨面の中心まわりに回転駆動する平面研磨工具回転駆動装置と、
    前記磁気ディスク基板を保持し、該平面研磨工具回転駆動装置により回転駆動される平面研磨工具の環状研磨面に対して、該磁気ディスク基板の一面全体を、該環状研磨面の中心軸が該磁気ディスク基板の外側となるようにして押し付ける磁気ディスク基板保持装置と、
    該磁気ディスク基板保持装置により前記平面研磨工具の環状研磨面に一面が押し付けられている前記磁気ディスク基板を、その中心線まわりに該平面研磨工具の回転速度よりも20倍以上高い回転速度で駆動する磁気ディスク基板回転駆動装置と、
    を、含むことを特徴とする磁気ディスク基板のテクスチャリング加工装置。
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