JP3558470B2 - 絞り成形方法及びスピニングマシン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、絞り成形方法、特に一方の面からのみの絞り加工が困難な形状の絞り成形方法及びそれを行うスピニングマシンに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のスピニングマシンの一例を図4に示す。このスピニングマシン50は、先端に金型52を取付けた回転主軸51と、これに対向配置され、押し棒60を取付けた心押し台53とを備える。54は絞りローラ55a、55bを取付ける工具台、56は主軸駆動用モータを示す。
図7及び図8に示す成形品Aへの被加工円盤Wからの従来のスピニングマシンによる成形要領の一例を図5及び図6に示す。但し成形品Aは中央部を凹凸状に絞り加工を施し、突出段部a及び凹段部bを形成する。この形状の成形品の絞り加工に際しては、被加工円盤の同一面からの加工は困難で、まず図5に示す第1絞り工程において、金型52に対して、押し棒60を前進して被加工円盤Wを挟持する。但し金型52には突出段部aを形成する段部Cを形成し、絞りローラ55aによりこれに添って絞り加工を行い、突出段部aを形成する。ついで凹段部bはそのまゝでは正確な絞り加工はできず、従って第2の絞り工程では図6に示す如く金型63と交換し、被加工円盤Wを裏返して押し棒60を前進して金型63とにより挟持する。但しこの金型63には被加工円盤Wを裏面より絞り加工して凹段部bを形成する段部Dを形成し、絞りローラ55bによりこれに添って絞り加工を行い、凹段部bの裏面の突出部を形成する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この場合、被加工円盤を裏返して加工するに際し、その都度金型の交換、及び被加工円盤の取付け心出しには多数の手数を要する等の問題がある。
本発明はかゝる点に鑑み、被加工円盤の両面からの加工が必要な形状に対しても、金型の交換を必要とせず、しかも被加工円盤の裏返し取付けの手数を省略して成形加工の能率の向上を図ることのできる絞り成形方法及びそれを行うスピニングマシンを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の絞り成形方法は、先端に金型を取付けた対をなす回転主軸を対向して設けるとともに、該金型には軸心に進退可能に挿入した押し棒をそれぞれ備え前記押し棒間に被加工円盤を挟持した状態で一方の金型に被加工円盤を押付け、被加工円盤をその一面側より前記金型に添って絞り加工を行い、ついで前記一方の金型の押し棒を該金型より突出させて被加工円盤を他方の回転主軸側の金型に押付け、被加工円盤をそ他面側より金型に添って円盤状に絞り加工を行うことを特徴とする。
【0005】
上記の方法からなる本発明は、先端に金型を取付けた対をなす回転主軸を対向して備えたことにより、被加工円盤は一方の金型によりその一面から成形加工を施し、ついで他方の金型により裏面からの成形加工を施こし、所要の製品とするものである。
【0006】
又第2の発明は、被加工円盤を金型に押付ける押し棒は、後工程の押し棒を前工程の押し棒に比して大径としたことを特徴とする。
【0007】
上記の方法からなる本発明は、後工程における被加工円盤の保持を確実なものとする。
【0008】
又第3の発明は、上記第1の発明方法を実施するためのスピニングマシンに係わり、対をなし、かつそれぞれ先端に金型を取付けた回転主軸を対向して設け、それぞれの回転主軸には押し棒を進退可能に備え、絞りローラ取付け台にはそれぞれの金型に対し絞り加工を行う絞りローラを備え、一方の金型に対し他方の金型の押し棒を前進させて被加工円盤を押し棒間に挟持した状態で絞りローラにより絞り加工を行うと共に、該金型の押し棒を該金型より突出して前進させ被加工円盤を他方の金型側に移行して該他方の金型に押付け、絞り加工を行うことを特徴とする。
【0009】
上記の構造からなる本発明のスピニングマシンは、対をなす回転主軸を対向して設け、それぞれに押し棒を備えたことにより、一方の回転主軸に取付けた金型に対する被加工円盤の支持は、他方の回転円盤の押し棒の前進押圧により行い、該金型による絞り加工が困難な箇所の絞り加工は、該回転主軸の押し棒による押し出しにより他方の回転主軸の金型に押圧支持されて行われる。
【0010】
又第4の発明は、上記第2の発明方法を実施するためのスピニングマシンに係わり、被加工円盤を金型に押付ける押し棒は、後工程の押し棒を前工程の押し棒に比して大径としたことを特徴とする。
【0011】
上記の構造からなる本発明のスピニングマシンは、前工程により絞り加工を施した部位を後工程の金型と確実に保持せしめる。
【0012】
又第5の発明は、上記第3または4の発明を実施するためのスピニングマシンに係わり、絞り加工を行う絞りローラは、回転主軸に対し垂直に対向した位置にそれぞれ2個設けたことを特徴とする。
【0013】
上記の構造からなる本発明のスピニングマシンは、2個の絞りローラによって同時に絞り加工を施す。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1乃至図3は本発明の実施例を示す。このスピニングマシン1は対をなす回転主軸2、3を対向して設け、それぞれに金型4、5を取付けると共に、押し棒6、7を軸心に進退可能に挿入する。8、9は各押し棒の進退用シリンダを示す。10は絞り工具取付け台で、昇降する刃物支持台11には上下に絞りローラ12、13を取付ける。該工具取付け台10は回転主軸に対し垂直に対向した位置に2台設け(図例では1台)、それぞれに刃物台11、絞りローラ12、13を設けることが好ましい。14、15は各回転主軸駆動用モータを示す。
【0015】
上記構成において、図7及び図8に示す成形品Aの絞り加工に際しては、図2に示す如く、前工程として、まず被加工円盤Wを一方の回転主軸2の金型4の押し棒6に当てがい、他方の回転主軸3側の押し棒7を押し出して支持する。但し該金型4は、成形品Aの突出段部aを形成する段部Cを備える。これにより絞りローラ12により前記突出段部aを形成する。この際、絞りローラ12を回転主軸に対し垂直に対向した位置に2個設けるときは被加工円盤に絞りローラが当接する点(作用点)が対象的に存在する故、加工精度の向上とサイクルタイムの短縮を図ることが出来る。
【0016】
ついで、後工程として被加工円盤に対し同一面からの加工が困難な凹段部bの加工に際しては、回転主軸2側の押し棒6を前進させると共に、押し棒7を被加工円盤Wを押し棒6とで挟持した状態で後退させ、被加工円盤Wを金型5に押し付け保持する。押し棒6は後工程の押し棒7に比して大径とし、前工程によって被加工円盤を絞り加工(塑性加工)した部位を後工程の金型5に押し付ける様に構成する。
【0017】
上記金型5は被加工円盤Aの裏面からの絞り加工により成形品Aの凹段部bを形成すべく段部Dを備える。これにより絞りローラ13により被加工円盤Aの裏面より絞り、凹部bを成形するものである。押し棒6は後工程の押し棒7に比して大径とし金型5に押し付ける様にしたから、後工程における絞り加工においては、被加工円盤はたわみ等を生じることがない。なお、前工程と同様絞りローラ13を回転主軸に対し垂直に対向した位置に2個設けるときはサイクルタイムの短縮を図ることが出来る。
【0018】
【発明の効果】
以上の如く本発明によるときは、被加工円盤に対して一面からだけの絞り加工が困難な凹凸を形成するに際して、従来の金型の交換と被加工円盤の裏返しての取付けの手数を省略し、一度の取付けにより表裏より絞り加工を行うことができ、従来の金型の交換及び被加工円盤の裏返しての取付けの手数を省略することができると共に、前工程から後工程の移行に際し、後工程の押し棒の径を大径とし前工程によって被加工円盤を絞り加工(塑性加工)した部位を後工程の金型に押し付ける様したから、被加工円盤はたわみを生じることなくその加工精度の向上を図ることが出来る。また、絞りローラを回転主軸に対し垂直に対向した位置に2個設けるときは絞りローラが当接する点(作用点)が対象的に存在する故、加工精度の向上とサイクルタイムの短縮を図ることが出来る等の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスピニングマシンの正面図である。
【図2】本発明方法による第1の絞り加工要領の説明図である。
【図3】本発明方法による第2の絞り加工要領の説明図である。
【図4】従来例のスピニングマシンの正面図である。
【図5】従来方法による第1の絞り加工要領の説明図である。
【図6】従来方法による第2の絞り加工要領の説明図である。
【図7】成形品の断面図である。
【図8】成形品の正面図である。
【符号の説明】
1 スピニングマシン
2 回転主軸
3 回転主軸
4 金型
5 金型
6 押し棒
7 押し棒
10 工具取付台

Claims (5)

  1. 先端に金型を取付けた対をなす回転主軸を対向して設けるとともに、該金型には軸心に進退可能に挿入した押し棒をそれぞれ備え、前記押し棒間に被加工円盤を挟持した状態で一方の金型に被加工円盤を押付け、被加工円盤をその一面側より前記金型に添って絞り加工を行い、ついで前記一方の金型の押し棒を該金型より突出させて被加工円盤を他方の回転主軸側の金型に押付け、被加工円盤をその他面側より金型に添って円盤状に絞り加工を行うことを特徴とする絞り成形方法。
  2. 被加工円盤を金型に押付ける押し棒は、後工程の押し棒を前工程の押し棒に比して大径としたことを特徴とする請求項1記載の絞り成型方法。
  3. 対をなし、かつそれぞれ先端に金型を取付けた回転主軸を対向して設け、それぞれの回転主軸には押し棒を進退可能に備え、絞りローラ取付け台にはそれぞれの金型に対し絞り加工を行う絞りローラを備え、一方の金型に対し他方の金型の押し棒を前進させて被加工円盤を押し棒間に挟持した状態で絞りローラにより絞り加工を行うと共に、該金型の押し棒を該金型より突出して前進させ被加工円盤を他方の金型側に移行して該他方の金型に押付け、絞り加工を行うことを特徴とするスピニングマシン。
  4. 被加工円盤を金型に押付ける押し棒は、後工程の押し棒を前工程の押し棒に比して大径としたことを特徴とする請求項3記載のスピニングマシン。
  5. 絞り加工を行う絞りローラは、回転主軸に対し垂直に対向した位置にそれぞれ2個設けたことを特徴とする請求項3または4記載のスピニングマシン。
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