JP3558003B2 - 非可逆回路素子および通信装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、マイクロ波帯などの高周波帯域で使用される、例えばアイソレータやサーキュレータなどの非可逆回路素子、および、この非可逆回路素子を用いた通信装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、集中定数型のアイソレータやサーキュレータなどの非可逆回路素子は、信号の伝送方向に対する減衰量が極めて小さく、逆方向への減衰量が極めて大きいという特性を利用して、発振器や増幅器の安定動作および保護のため通信装置などに多く用いられている。
【0003】
従来のアイソレータの分解斜視図を図8に、その内部構造を図9にそれぞれ示す。また、等価回路を図10に示す。
図8および図9に示すように、集中定数型のアイソレータは、上ヨーク2と下ヨーク8とで構成される磁気閉回路内に、中心導体51,52,53およびフェライト54からなる磁性組立体5、永久磁石3および樹脂枠7をそれぞれ配設したものである。中心導体51,52のポート部P1,P2は、樹脂枠7に形成された入出力端子71,72および整合用コンデンサC1,C2に接続され、中心導体53のポート部P3は整合用コンデンサC3および終端抵抗Rに接続され、各コンデンサC1,C2,C3および終端抵抗Rの一端はアース73に接続されている。
【0004】
図10に示す等価回路ではフェライトを円板形状に表し、直流磁界をHとして表し、中心導体51,52,53を等価的なインダクタLとして表している。このような回路構成により、順方向特性が帯域通過フィルタの特性を持ち、通過帯域より離れた周波数帯域では、順方向であっても信号が若干減衰されるという特徴を備えている。
【0005】
ところで、一般の通信装置において、回路中に使用されている増幅器は必ずある程度の歪みを発生させ、これが基本波の2倍波や3倍波などのスプリアスを生じさせ不要輻射の原因となっている。通信装置の不要輻射は、電力増幅器の異常動作や混信の原因となるため、予め基準や規格が設けられていて、ある一定のレベル以下にする必要がある。不要輻射を防ぐためには、直線性の良い増幅器を用いることが有効であるが、それらは高価であり、代わりにフィルタなどを備えて不要な周波数成分を減衰させる方法が一般的である。しかし、そのようなフィルタを使用するにもコストがかかりまたサイズが大型化するうえ、フィルタによる損失も発生する。
【0006】
そこで、アイソレータやサーキュレータが有する帯域通過フィルタの特性を利用してスプリアス成分を抑制することが考えられるが、図8〜10に示した従来の基本的な構造を備えただけの非可逆回路素子では、不要な周波数帯域で十分な減衰特性を得ることはできなかった。
【0007】
これを解決し、主に基本波の2倍波または3倍波などのスプリアスの周波数帯域で大きな減衰量を得られるようにした非可逆回路素子が特開平10−93308号に示されている。この非可逆回路素子の一例であるアイソレータを図11、図12および図13に示す。図11は、このアイソレータの分解斜視図、図12は内部構造、図13は等価回路である。
【0008】
このアイソレータが、図8〜図10に示した先のアイソレータと異なる点は、帯域通過フィルタ用のインダクタLfを設けている点である。このインダクタLfは中心導体51のポート部P1と整合用コンデンサC1と入出力端子71との間に接続されている。インイダクタとしては小型化に適したソレノイド型コイルが用いられ、900MHz帯のアイソレータの場合、約24nHのインダクタンスものものが用いられる。具体的にはφ0.1mmの銅線を外径φ0.8mmで9ターンしたものが用いられる。
【0009】
このように構成されたアイソレータの入出力端子71に対して直列にキャパシタCfを接続することにより、図13の等価回路に示すように、このキャパシタCfとインダクタLfとで帯域通過フィルタが構成され、通過帯域から離れた周波数帯の信号を減衰させることができる。
【0010】
図14は、図8〜図10に示したのアイソレータ(従来例1)と図11〜図13に示したアイソレータ(従来例2)の周波数特性を示す図である。この図は、900MHz帯のアイソレータの例を示しているが、従来例2は従来例1に比べて2倍波(1800MHz)の減衰量が19.3dBから28.3dBに改善され、3倍波(2700MHz)の減衰量が28.6dBから40.1dBに改善されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
このように、インダクタを非可逆回路素子内に設けて不要な周波数帯域を減衰させるフィルタを構成することにより、単体のフィルタを外部に設ける場合に比べて回路全体としての小型化を図ることができる。
【0012】
しかしながら、最近の移動体通信機器における更なる小型化の要請に伴って、このようなフィルタ用のインダクタを備えた非可逆回路素子自体も小型化が迫られている。そのため、上記のフィルタ用のインダクタも小型化する必要がある。ところが、ソレノイド状に形成したインダクタを小型化した場合、そのインダクタンスが小さくなり、基本波の2倍波や3倍波での減衰量が小さくなってしまう。また、インダクタンスを減少させることなく、ソレノイド状インダクタを小型化するために、磁性体内にソレノイドを形成するといった構造も一応は考えられるが、このような構造では、新たに磁性体部材が必要となり、その製造も容易ではなく、コストアップにつながるという問題があった。
【0013】
この発明の目的は、コストアップを招くことなく、小型で且つ所定の周波数帯域で大きな減衰量が得られるようにした非可逆回路素子、および、この非可逆回路素子を用いた通信装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
この発明は、直流磁界が印加される磁性体に複数の中心導体を互いに交差させて配置し、該複数の中心導体のうち少なくとも1つの中心導体とアースとの間に、該非可逆回路素子の通過帯域の中心周波数よりも高い周波数の共振周波数を有する直列共振回路を接続した非可逆回路素子において、閉磁路を形成するヨークの一部を切り出して形成したインダクタを、前記直列共振回路のインダクタとして用いる。これにより、インダクタがヨークと一体化して部品点数が1つ少なくなり、製造工程の簡略化・コストダウンが図れる。
また、この発明は、前記コンデンサのコールドエンドをこのインダクタをホットエンドに接続する。これにより、製造工程のさらなる簡略化が図れる。
通信機器で問題となるスプリアス成分の主なものは基本波の周波数よりも高い周波数のものである。そこで、該非可逆回路素子の通過帯域の中心周波数(以下、この周波数を「基本波の周波数」という)よりも高い周波数の共振周波数を有する直列共振回路を中心導体とアースとの間にトラップフィルタとして接続することで、基本波の周波数よりも高い周波数のスプリアス信号は、この直列共振回路を介してアースに流れ、信号線路を伝搬するスプリアスが減衰する。一般に共振回路は、共振周波数が高くなるほど小型にできるため、中心周波数より高い周波数のスプリアス成分に共振してこれを選択的に減衰させるようにすれば、図11〜図13に示した従来の非可逆回路素子のように、信号線路上で中心周波数に共振してこれを選択的に通過させるものに比べて小型になり、直列共振回路を構成するインダクタを従来整合用に用いていたコンデンサのコールドエンド側に設けて直接接続することが可能になり、これによりインダクタを効率よく収容することができインダクタを内蔵しつつ非可逆回路素子の小型化を図ることができる。
【0018】
この発明は、前記アース端子を前記ヨークを構成する部材で一体成形する。これにより、アース端子用に別の部材を用いる必要がなくなり、部品点数を少なくすることができるほか、インダクタのコールドエンドとアース端子との距離を短くすることができ、不要インピーダンスの増加を抑えることができる。
【0019】
この発明は、2つ以上の中心導体とアースとの間に前記直列共振回路を設けるこれにより、スプリアス成分の減衰量をより大きくする。または、広い帯域でスプリアスを減衰させる。
【0020】
この発明は、前記2つ以上の直列共振回路のうち、少なくとも1つの共振周波数を他と異ならせる。これにより、広い周波数帯域、または、複数の周波数帯のスプリアス成分を減衰させる。
【0021】
この発明は、前記2つ以上の直列共振回路のうち、少なくとも1つを前記通過帯域の中心周波数の略2倍の共振周波数とし、さらに少なくとも他の1つを前記通過帯域の中心周波数の略3倍の共振周波数とする。
通信機器で問題となるスプリアス成分で最も顕著なものは、基本波の2倍、3倍などの周波数を有する高調波スプリアスである。このような離れた周波数で分布するスプリアスをトラップフィルタで除去するため、複数の直列共振回路の共振周波数をそれぞれ通過帯域の中心周波数の略2倍の共振周波数とし、他の1つを通過帯域の中心周波数の略3倍の共振周波数とする。このように、2倍波、3倍波の周波数に各直列共振回路の共振周波数を合わせることにより効率よくスプリアス成分を減衰させることができる。なお、この発明において、略2倍は、1.5倍〜2.5倍程度の範囲をいい、略3倍は、2.5倍〜3.5倍程度の範囲をいうものとする。
【0022】
この発明は、前記直列共振回路の、前記通過帯域の中心周波数における等価容量を、該通過帯域の中心周波数に対する整合容量となるようにする。
直列共振回路の共振周波数は、中心周波数よりも高く設定されているため、この中心周波数に対しては容量性インピーダンスとなる。そこでこの直列共振回路のインダクタおよびキャパシタを適当に設計することで、中心周波数に対する等価的な整合容量とする。これにより、トラップフィルタとして直列共振回路を設けてもこれ以外に整合コンデンサを設ける必要がなくなり、部品点数の増加を抑えて小型化、コストダウンに寄与する。
【0023】
この発明は、上記非可逆回路素子を、たとえば送信信号と受信信号の分岐を行うサーキュレータとして設けることにより通信装置を構成する。これにより、小型で且つスプリアス特性のよい通信装置を実現する。
【0024】
【発明の実施の形態】
この発明の実施形態に係るアイソレータの構成を図1〜図4を参照して説明する。
図1はアイソレータの分解斜視図、図2は上ヨークを取り外した状態での上面図および側断面図である。図1および図2に示すように、このアイソレータは、磁性体金属からなる箱状の上ヨーク2の内面に円板状の永久磁石3を配置するとともに、この上ヨーク2と、同じく磁性体金属からなる略コ字状の下ヨーク8とによって磁気閉回路を形成し、ケースである下ヨーク8内の底面8a上に樹脂枠7を配設し、樹脂枠7内に、磁性組立体5、コンデンサC1,C2,C3、終端抵抗RおよびインダクタL1を配設したものである。
【0025】
上記磁性組立体5は、直方体板形状のフェライト54の下面に、このフェライト54の底面と同形状である、3本の中心導体51,52,53に共通のアース部を当接させて、フェライト54の上面に、上記アース部から延びる3本の中心導体51,52,53を、絶縁シート(不図示)を介在させて互いに120°の角度をなすように折り曲げて配置し、中心導体51,52,53の先端側のポート部P1,P2,P3を外方へ突出させた構造としている。この磁性組立体5には、フェライト54に対してその厚み方向に磁束が通るように、上記永久磁石3により直流磁界を印加する。
【0026】
樹脂枠7は、電気的絶縁部材からなり、矩形枠状の側壁7aに底壁7bを一体形成したものであり、底壁7bの中央部には丸型の挿通孔7cが形成されている。また、底壁7bの右辺部には矩形の切欠部7dが形成されており、底壁7bの右辺部および手前辺部には矩形の凹部7e,7fが形成されている。
【0027】
丸型の挿通孔7c内に磁性組立体5が挿入配置され、この磁性組立体5の下面の各中心導体51,52,53のアース部は、ケースである下ヨーク8の底面8aに半田付けなどにより接続される。また、入出力端子71,72およびアース端子73が、樹脂枠7にインサートモールドされており、入出力端子71,72は樹脂枠7の左右側面の奥側に配置されていて、アース端子73は左右側面の手前側に配置されている。アース端子73の一端は底壁7bの凹部7e,7f内に露出するように、アース端子73の他端は側壁7aの左右手前部で外面に露出するように設けられている。また、入出力端子71は、一端が右辺の切欠部7dの奥で底壁7bの上面に露出し、他端が側壁7aの右奥で外面に露出するように設けられている。入出力端子72は、一端が左辺の凹部7eの奥で底壁7bの上面に露出し、他端が側壁7aの左奥で外面に露出するように設けられている。
【0028】
切欠部7dには、チップ状のコンデンサC1とインダクタL1が積層して配置され、コンデンサC1のコールドエンドである下面電極とインダクタL1のホットエンドである上面電極が電気的に接続されており、インダクタL1の下面のコールドエンドである下面電極が下ヨーク8に接続されている。なお、インダクタL1は、誘電体基板の両面に電極を形成して製作されたものである。凹部7eには、チップ状の整合用コンデンサC2が配置されている。この整合用コンデンサC2のコールドエンド(下面電極)は、アース端子73に接続されている。凹部7fには、チップ状の整合用コンデンサC3およびチップ状の終端抵抗Rが並んで配置されている。整合用コンデンサC3のコールドエンド(下面電極)および終端抵抗Rのコールドエンドである一端側の電極は、それぞれアース端子73に接続されている。
【0029】
中心導体53のポート部P3は、コンデンサC3のホットエンド(上面電極)および終端抵抗Rのホットエンド(他端側の電極)に接続されている。中心導体51のポート部P1は、コンデンサC1のホットエンドである上面電極および入出力端子71に接続されている。中心導体52のポート部P2は、コンデンサC2のホットエンド(上面電極)および入出力端子72に接続されている。なお、各ポート部P1,P2,P3が各コンデンサC1,C2,C3の上面と同じ高さとなるように、各ポート部P1,P2,P3はステップ状に整形されている。
【0030】
図3は上記アイソレータの等価回路図である。上記のように接続したことにより、入出力端子71とアース(アース端子73)との間にC1,L1からなる直列共振回路がトラップフィルタとして形成されることになり、入出力端子71または中心導体51から入力した信号のうちこの直列共振回路の共振周波数近傍の成分がこのトラップフィルタによってアースに流れ、大きく減衰する。なお、図示の各インダクタンスLは中心導体51,52,53とフェライト54とにより形成される等価的なインダクタンスである。
【0031】
また、L1,C1からなる直列共振回路は、この非可逆回路素子の通過帯域の中心周波数(基本波周波数)よりも高い共振周波数を有するため、この通過帯域の中心周波数に対しては容量性のインピーダンスとして作用し、前記インダクタンスLとともに整合回路を構成している。
【0032】
ここで、この実施形態のアイソレータを900MHz帯に適用する場合、前記インダクタL1を幅0.2mm、長さ2mmに形成することによって1.1nHのインダクタンスとする。そして、コンデンサC1を、6.7pFとする。このように構成することにより、L1,C1の直列共振回路の共振周波数は1.9GHzとなり、900MHzの2倍波およびこれよりも高い周波数成分を減衰させるトラップフィルタとして機能させることができる。また、この直列共振回路は、900MHzに対しては等価的に約9pFとなり、900MHzの信号に対する整合容量として機能させることができる。
【0033】
図4は、上記900MHz帯に適用したアイソレータの伝搬方向の減衰特性を示している。同図において、実線はこの実施形態に係るアイソレータの特性、破線は、図8〜図10に示した従来のアイソレータを900MHz帯に適用した場合の特性である。ここで、基本波の周波数を900MHzとすれば、上記直列共振回路からなるトラップフィルタを設けていない従来のもので、2倍波の減衰量が約19.3dB、3倍波の減衰量が約28.6dBであるのに対し、この実施形態のものでは、2倍波の減衰量は約29.5dB、3倍波の減衰量は約39.0dBとなって大きな減衰量が得られる。
【0034】
なお、上記の実施形態では、インダクタL1を誘電体基板の両面に電極を形成したものとしているが、誘電体基板に代えて磁性体基板を用いてもよく、電極を基板の両面のみならず内部に形成するようにしてもよい。また、インダクタL1の下側電極を下ヨーク8に直接接続したがアース端子73に接続するようにしてもよい。また、ケースである下ヨーク8を樹脂枠7内にインサートモールドすることにより一体成形してもよい。また、下ヨーク8にアース端子を設けてもよい。
【0035】
図5は、この発明の第2の実施形態を示す図である。この図は、インダクタL1′を樹脂枠7の底壁7b内にインサートモールドすることによって一体成形したアイソレータを示している。この実施形態において、第1の実施形態と同一構成の部分は同一番号を付して説明を省略する。この実施形態において、第1の実施形態と異なる点は、樹脂枠7の底壁7bに切欠部7dに代えて凹部7d′を設けた点、すなわち底壁7bの右辺を下ヨーク8まで貫通させず、樹脂の底壁を残した点、および、この凹部の底壁にインダクタL1′をインサートモールドした点である。凹部7d′内にコンデンサC1が配置されコンデンサC1のコールドエンドとインダクタL1′のホットエンドが接続される。またインダクタL1′のコールドエンドはアース端子73に接続されている。このようにインダクタL1′を樹脂枠7内に一体に成形することにより、コンデンサC1と直列共振回路を形成する場合に、インダクタをチップ部品で構成した場合に比べて部品点数を少なくすることができる。
【0036】
上記インダクタL1′のコールドエンドは、下ヨーク8に接続するようにしてもよい。この場合において、下ヨーク8にアース端子を設けてもよい。
また、インダクタL1′とアース端子を同一部材で一体成形してもよい。この場合において、全てのアース端子を同一部材で成形してもよく、このインダクタL1′と1つのアース端子のみを同一部材で一体成形してもよい。
さらに、下ヨーク8を樹脂枠7内にインサートモールドすることにより一体成形してもよい。
【0037】
図6は、この発明の第3の実施形態を示す図である。この図は、ケースである下ヨーク8の一部を舌状に切り出すことにより、インダクタL1″(8b)を形成したアイソレータを示している。この実施形態において、第1の実施形態と同一構成の部分は同一番号を付して説明を省略する。この実施形態において、第1の実施形態と異なる点は、上記のように下ヨーク8の一部を切り出してインダクタL1″を形成すること、および、底壁7bの切欠部7dに代えて凹部7d′を設け、この凹部の底壁部に、コンデンサC1のコールドエンドとインダクタL1″のホットエンドとを接続する電極75をインサートモールドで設けた点である。
【0038】
下ヨーク8はアース端子73に接続されているため、インダクタL1″のコールドエンドはその構成上アースに接続されていることになる。このようにインダクタL1″を下ヨーク8の一部として形成することにより、コンデンサC1と直列共振回路を形成する場合に、インダクタをチップ部品で構成した場合に比べて部品点数を少なくすることができる。
【0039】
また、この実施形態では、樹脂枠7と下ヨーク8が別々に形成されているが、下ヨーク8を樹脂枠7内にインサートモールドすることにより一体成形するようにしてもよい。また、この実施形態では、樹脂枠の底壁にインサートモールドされた電極を介してコンデンサC1のコールドエンドとインダクタL1″のホットエンドを接続しているが、樹脂枠7に貫通孔を設けてコンデンサC1のコールドエンドとインダクタL1″のホットエンドを直接接続するようにしてもよい。また、下ヨーク8にアース端子を設けてもよい。
【0040】
上記1〜3の実施形態では、入出力端子71(ポート部P1)側のみに直列共振回路のトラップフィルタを形成しているが、入出力端子72(ポート部P2)側にも直列共振回路のトラップフィルタを形成するようにしてもよい。この場合、一方の直列共振回路を、このアイソレータの通過帯域の中心周波数の2倍の周波数に設定し、他方の直列共振回路を、アイソレータの通過帯域の中心周波数の3倍の周波数に設定することにより、基本波の2倍波、3倍波を効率よく減衰させることができる。ただし、各直列共振回路の共振周波数は、アイソレータの通過帯域の中心周波数よりも高いものであれば、これに限定されない。また、両方の直列共振回路の共振周波数を同じにしてもよい。
【0041】
なお、以上の実施形態では、アイソレータを例に挙げて説明したが、第3の中心導体のポート部P3に終端抵抗Rを接続することなく、ポート部P3を第3の入出力部として構成したサーキュレータにも本願発明は同様に適用できる。この場合に、このポート部P3にポート部P1またはP2と同じように直列共振回路からなるトラップフィルタを接続した構成にしてもよく、ポート部P3を直接コンデンサC3および入出力端子に接続した構成にしてもよい。
また、ポート部P3に直列共振回路を設ける場合、この直列共振回路の共振周波数をポート部P1のものまたはポート部P2のもののいずれか一方と同じ共振周波数としてもよく、また別の第3の共振周波数としてもよい。また、全て同じ共振周波数としてもよい。
【0042】
サーキュレータの各入出力端子から入力される信号は、3つのポート部のうち、入力された端子のポート部および出力される端子のポート部の2つのポート部を通過するが、このとき、その通過する2つのポート部に設けられている直列共振回路が、この信号に対してトラップフィルタとして機能する。したがって、サーキュレータの各経路をそれぞれ異なる信号が通過する場合、各経路を通過する信号の基本周波数やスプリアス成分に応じて3つの直列共振回路を適当な共振周波数に設定しておくことにより、それぞれの信号のスプリアスを効率よく除去することができる。
【0043】
さらに、この発明の非可逆回路素子は、全体の構造が図1〜図6に示したものに限るものではなく、例えば多層基板の内部に中心導体を形成した構造であってもよい。
【0044】
次に、上記アイソレータを用いた通信装置の例を図7を参照して説明する。同図においてANTは送受信アンテナ、DPXはデュプレクサ、BPFa,BPFb,BPFcはそれぞれ帯域通過フィルタ、AMPa,AMPbはそれぞれ増幅回路、MIXa,MIXbはそれぞれミキサ、OSCはオシレータ、SYNは周波数シンセサイザである。MIXaはSYNから出力される周波数信号を変調信号で変調し、BPFaは送信周波数の帯域のみを通過させ、AMPaはこれを電力増幅して、アイソレータISOおよびDPXを介しANTより送信する。BPFbはDPXから出力される信号のうち受信周波数帯域のみを通過させ、AMPbはそれを増幅する。MIXbはSYNより出力される周波数信号と受信信号とをミキシングして中間周波信号IFを出力する。
【0045】
上記アイソレータISOとして、図1〜図6および尚書きに示した素子を用いる。このアイソレータISOには帯域阻止特性または低域通過特性も備えているので、送信周波数帯域のみを通過させる帯域通過フィルタBPFaを省略してもよい。このようにして全体に小型の通信装置を構成する。
【0049】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、インダクタをヨークを切り出して形成したことにより、部品点数を減らして素子を小型化することができるとともに製造工程を簡略化することができる。
【0050】
請求項2に記載の発明によれば、上記インダクタのホットエンドにコンデンサを直接接続することにより、構造の簡略化、素子の小型化、製造工程の簡略化を図ることができる。
【0051】
請求項3に記載の発明によれば、部品点数を減らして素子を小型化することができるとともに、インダクタとアース端子との間の不要インピーダンスの増加を抑えることができる。
【0052】
請求項4〜6に記載の発明によれば、複数の中心導体に対して直列共振回路を設けたことにより、離れた周波数に分布しているスプリアス成分を効率的に減衰させることができ、複数の直列共振回路の共振周波数を基本波周波数の略2倍および略3倍に設定することにより、信号レベルの大きいスプリアスである2倍波、3倍波を効率的に減衰させることができる。
【0053】
請求項7に記載の発明によれば、直列共振回路を整合回路の整合容量として用いていることができるため、別の整合容量を設ける必要がなくり、製造工程の簡略化、素子の小型化を図ることができる。
【0054】
請求項8に記載の発明によれば、スプリアス特性を改善し、装置からの不要輻射を抑制しつつ小型化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係るアイソレータの分解斜視図
【図2】同アイソレータの上ヨークを取り除いた状態での上面図および側断面図
【図3】同アイソレータの等価回路図
【図4】同アイソレータと従来のアイソレータとの減衰量の周波数特性を示す図
【図5】第2の実施形態に係るアイソレータの上ヨークを取り除いた状態での上面図および側断面図
【図6】第3の実施形態に係るアイソレータの上ヨークを取り除いた状態での上面図、下ヨークの上面図および側断面図
【図7】第4の実施形態に係る通信装置の構成を示すブロック図
【図8】従来のアイソレータの分解斜視図
【図9】同アイソレータの上ヨークを取り除いた状態での上面図および断面図
【図10】同アイソレータの等価回路図
【図11】従来の他のアイソレータの分解斜視図
【図12】同アイソレータの上ヨークを取り除いた状態での上面図および断面図
【図13】同アイソレータの等価回路図
【図14】上記2つの従来のアイソレータの減衰量の周波数特性を示す図
【符号の説明】
2−上ヨーク
3−永久磁石
5−磁性組立体
51,52,53−中心導体
54−フェライト
7−樹脂枠
71,72−入出力端子
73−アース端子
8−下ヨーク(ケース)
C1,C2,C3−コンデンサ
P1,P2,P3−ポート部
L1−(チップ型の)インダクタ
L1′−(樹脂枠にインサートモールドされた)インダクタ
L1″−(下ヨークから切り出して形成された)インダクタ
Claims (8)
- 直流磁界が印加される磁性体に複数の中心導体を互いに交差させて配置し、該複数の中心導体のうち少なくとも1つの中心導体とアースとの間に、該非可逆回路素子の通過帯域の中心周波数よりも高い周波数の共振周波数を有する直列共振回路を接続した非可逆回路素子において、
閉磁路を形成するヨークの一部を切り出して形成したインダクタを、前記直列共振回路のインダクタとして用いた非可逆回路素子。 - 前記直列共振回路のコンデンサのコールドエンドを、前記インダクタのホットエンドに接続した請求項1に記載の非可逆回路素子。
- 前記アース端子を前記ヨークを構成する部材で一体成形した請求項1または2に記載の非可逆回路素子。
- 2つ以上の中心導体とアースとの間に前記直列共振回路を設けた請求項1〜3のうちいずれかに記載の非可逆回路素子。
- 前記2つ以上の直列共振回路のうち、少なくとも1つの共振周波数を他と異ならせた請求項4に記載の非可逆回路素子。
- 前記2つ以上の直列共振回路のうち、少なくとも1つは前記通過帯域の中心周波数の略2倍の共振周波数を有し、さらに少なくとも他の1つは前記通過帯域の中心周波数の略3倍の共振周波数を有する請求項4または請求項5に記載の非可逆回路素子。
- 前記直列共振回路の、前記通過帯域の中心周波数における等価容量を、該通過帯域の中心周波数に対する整合容量となるようにした請求項1〜6のうちいずれかに記載の非可逆回路素子。
- 請求項1〜7のうちいずれかに記載の非可逆回路素子を備えた通信装置。
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