JP3556826B2 - 管の超音波探傷方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はボイラ用伝熱管等、内部を熱流体が通流する管の亀裂等の傷を探知する管の超音波探傷方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、火力発電用ボイラの炉壁は、伝熱管(以下管という)を互いに密接して配列され、その炉外側が金物で支持されると共に、炉壁からの熱損失を防止するため保温材及びケーシングで被われている。然るに、最近の火力発電用ボイラにあっては、昼夜の負荷調整のため頻繁な発停が繰り返されており、かかる発停の繰返しによって発生する熱応力で、前記支持用金物と管との溶接部の管外面側に熱疲労亀裂が、また溶接部近傍の管内面に腐食疲労亀裂が発生している。これらの亀裂は、ボイラの定期検査において管内の探傷を行ない、確実に検出して管を新管に取り替えることが要求される。
【0003】
図6はかかる発電用ボイラにおける管の探傷方法の従来技術の1例を示す。
図6において、1は管であり、複数の管1が支持金物2に溶接され、支持されている。4は溶接部である。かかるボイラ用伝熱管1の探傷を行なうにあたっては、従来は、図6に示すように、ボイラ炉壁側の保温材やケーシングを除去した後、管1外周面1aを磨き、該外周面1aに軸方向の斜角探触子3及び円周方向の斜角探触子3aを当てて超音波を付与することにより、管1の探傷を行なっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
かかる従来技術による管の探傷方法にあっては、亀裂の形態に拘らず斜角探触子3、3aのみによる探傷によって亀裂を探傷していたため、亀裂からの反射エコーの高さ(超音波の波高)のみでは亀裂の深さを正確に測定することができなかった。即ち、かかる従来技術にあっては、亀裂20の形態が図4に示すように密集している場合は亀裂深さを浅く評価し、図5に示すように単独の亀裂20’の場合には該亀裂20’の深さを深く評価する傾向があった。
【0005】
かかる従来技術による管の探傷方法による超音波波形の反射エコー高さ(波高の高低)と管1の亀裂(傷)の深さとの1例を図7に示す。
図7に明らかなように、前記従来技術に係る管の探傷方法による場合は、エコー高さと亀裂高さとの間は大きなばらつきがあって相関性が見られず、このため亀裂形態によって探傷結果が左右され、信頼性のある探傷結果が得られ難いという問題点があった。
【0006】
本発明はかかる従来技術の課題に鑑み、管の亀裂の形態によって探傷結果が左右されることが無く、正確に亀裂の探傷度を評価可能として信頼性の高い管の探傷方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる課題を解決するため、管の外周面から超音波を管内に付与して管の亀裂を探傷するにあたり、斜角探触子により前記管の亀裂に反射される超音波のエコー高さを測定し、垂直探触子により前記亀裂に反射される超音波の繰り返し数を測定して、前記エコー高さから前記亀裂の深さを、又前記繰り返し数から前記亀裂の密集度合を夫々推定あるいは判定し、前記推定あるいは判定された亀裂の深さ及び密集度合から管の損傷を検知することを特徴とする管の超音波探傷方法にある。
【0009】
かかる発明によれば、斜角探触子により亀裂から反射される超音波のエコー高さを測定し垂直探触子により亀裂から反射される超音波の減衰量つまり超音波の繰り返し数を測定し、前記双方の測定値を対応させる。
そして、前記エコーの高さが高い程亀裂の深さが深く、前記エコーの反射回数(繰り返し数)が少ない、つまり反射される超音波の減衰量が大きい程、亀裂の密集度合が大きいと推定あるいは判定する。
従って、かかる発明によれば、前記のような、エコー高さの測定結果に基づく亀裂の深さと、超音波の繰り返し数の測定結果に基づく亀裂の密集度合とにより、管の損傷度を高精度で検知することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態を例示的に詳しく説明する。但しこの実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がないかぎりは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0011】
図1は本発明の実施形態に係る発電用ボイラにおける伝熱管の探傷方法を示す要部斜視図、図2は上記実施形態における管の損傷区分(探傷特性)を示す線図、図3は上記実施形態における探傷結果を示す線図である。
【0012】
図1において、1はボイラの伝熱管(以下管という)、2は支持金物であり、複数の前記管1が前記支持金物2に溶接されて支持されている。4は溶接部である。前記管1は、その外周面1aが平滑に磨かれ、図6に示す従来技術と同様な軸方向の斜角探触子3及び円周方向の斜角探触子3aが取付けられている。
【0013】
そして本発明の実施形態においては、前記2つの探触子3、3aに加えて、垂直探触子3bを管1の外周面1aに接触させて取付け、前記斜角探触子3、3aと併せて後述するような亀裂状態の探傷を行なっている。
【0014】
次に、かかる構成からなる管の超音波探傷装置による探傷方法について説明する。
先ず、軸方向及び円周方向の斜角探触子3及び3aを管1の外面1aの軸方向及び円周方向に夫々当てて、亀裂の有無を調査する。この段階で亀裂が検出されなかった場合は、探傷を終了する。
【0015】
前記斜角探触子3、3aによる探傷で亀裂が検出された場合は、該斜角探触子3、3aに亀裂から反射される超音波のエコーの高さを測定する。次いで、垂直探触子3bを管1の該当部位即ち亀裂が検出された部位に当てて超音波の減衰量を検出する。
【0016】
管1の亀裂は該管1に懸かる応力の状態により、図4に示すような密集亀裂20、あるいは図5に示すような単独の亀裂20’になる。前記密集亀裂20の場合は亀裂から反射する超音波が減衰するとともに、その密集度合が多くなる程、該減衰量が大きくなり、また、反射エコーの高さは低くなる。また、単独の亀裂20’の場合は超音波の減衰が殆ど無いため亀裂からの反射エコーの高さは高くなる。
【0017】
また、亀裂から反射される超音波の減衰が大きい程、つまり前記亀裂の密集度合が大きい程、垂直探触子3bによる亀裂の底部からの反射エコーの繰り返し数が減少する。従って、前記垂直探触子3bにより繰り返し数を測定することにより超音波の減衰量、つまり、亀裂の密集度合を検出することができる。
即ち、垂直探触子3bを用いる垂直探傷による亀裂の底部からの反射エコーの繰り返し数が少ない程、つまり前記のように超音波の減衰が大きい程亀裂の密集度合が大きく損傷度が大きくなることとなる。
【0018】
図2は、この実施形態に係る探傷方法において斜角探触子3、3aと垂直探触子3bとを併用することによって亀裂の損傷度をA、B、Cの3つに区分して示したものであり、Aがもっとも損傷度が大きくB、Cの順に小さくなる。
つまり、一般に亀裂の深さが深い程、損傷度が大きく有害な欠陥であることから、図2においては、縦軸に前記斜角探触子3、3aによって測定される亀裂からの反射エコーの高さをとり、横軸に前記垂直探触子3bによって測定される底面エコーの反射回数、つまり亀裂に反射される超音波の繰り返し数をとって亀裂の深さ(エコー高さ)及び密集度合(反射回数、つまり繰り返し数)による損傷度を区分している。
【0019】
図2に示されているように、エコー高さが高くなって亀裂の深さが深く、かつ底面エコー反射回数つまり繰り返し数が少なくなって亀裂の密集度合が大きい亀裂の状態にあるほど損傷度が大きいAゾーンとなり、エコー高さが低くなり、反射回数が多くなるに従がい、小さいBゾーンからCゾーンの順に損傷度が小さくなる。
【0020】
従って、かかる実施形態によれば、斜角探触子3、3aにより亀裂から反射される超音波のエコー高さを測定し垂直探触子3bにより亀裂から反射させる超音波の減衰量つまりエコー反射回数(繰り返し数)を測定し、前記双方の測定値を対応させる。そして、前記エコーの高さが高い程亀裂の深さが深く、前記エコーの反射回数(繰り返し数が)が少ない、つまり反射される超音波の減衰量が大きい程、亀裂の密集度合が大きいという相関関係から管1の損傷度が大きいものと判定することにより、管1の損傷度を検知する。
【0021】
図3は外径38.1mm、肉厚5.5mmのボイラ用伝熱管において、図1に示す本発明の実施形態に係る超音波探傷装置を使用して探傷を行なった実験例である。
同図における数値は亀裂深さであり、深さの深い亀裂になる程、損傷度の大きいAゾーンに入るか又はこれに近付いており、同図により本発明の探傷方法が実際の損傷度の判定に適合していることが分かる。
【0022】
【発明の効果】
以上記載のごとく、本発明によれば、斜角探触子により亀裂から反射される超音波エコー高さを測定するとともに、垂直探触子により亀裂から反射される超音波に繰り返し数を測定して、双方の測定結果を対応させることにより、亀裂の深さ及び密集度合を推定あるいは判定することが可能となる。これによって亀裂の形態に左右させることなく管の損傷度を高精度で検知することができ、信頼性の高い管の超音波探傷方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るボイラ用伝熱管の超音波探傷装置の構成図である。
【図2】上記実施形態における探傷特性線図である。
【図3】上記実施形態における超音波探傷結果の一例を示す線図である。
【図4】管の密集亀裂の状況を示す説明図である。
【図5】管の単独亀裂の状況を示す説明図である。
【図6】従来技術に係る超音波探傷装置を示す図1対応図である。
【図7】従来技術における探傷特性線図である。
【符号の説明】
1 管
2 支持金物
3 軸方向斜角探触子
3a 円周方向斜角探触子
3b 垂直方向斜角探触子
20、20’ 亀裂
Claims (1)
- 管の外周面から超音波を管内に付与して管の亀裂を探傷するにあたり、斜角探触子により前記管の亀裂に反射される超音波のエコー高さを測定するとともに、垂直探触子により前記亀裂に反射される超音波の繰り返し数を測定し、
前記エコー高さから前記亀裂の深さを、又前記繰り返し数から前記亀裂の密集度合を夫々推定あるいは判定し、
前記推定あるいは判定された亀裂の深さ及び密集度合から管の損傷を検知することを特徴とする管の超音波探傷方法。
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- 1998-03-31 JP JP10393798A patent/JP3556826B2/ja not_active Expired - Fee Related
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