JP3555976B2 - アルミニウム材の抵抗溶接法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、アルミニウム材の抵抗溶接法に関し、さらに詳しくは重ね抵抗溶接法に関する。
【0002】
なお、この明細書において、「アルミニウム材」の語はアルミニウム材とアルミニウム合金材の両方を含む意味で用いる。
【0003】
【従来の技術】
周知のとおり、抵抗溶接法は、銅製その他の電極を被溶接部材に接触状態に配置するとともに、加圧下で被溶接部材の接合予定箇所に電流を流し、その電流による抵抗発熱で接合部の温度を上昇させ、溶接を行う方法である。
【0004】
しかるに、アルミニウム材は、固有抵抗が小さく熱伝導度が大であるため発熱量が小さく、かつ発生熱の拡散が大きい。このため、アルミニウム材の抵抗溶接法においては、発熱量を大にするため大きな溶接電流を流しているが、溶接電流が大きいと電極との接触界面での発熱が大きくなって電極先端で銅とアルミニウムとの合金を作ってしまい、電極寿命が短くなるという欠点があった。しかも、容量の大きな溶接機を使用しなければならないため、溶接機のイニシャルコスト、ランニングコストが高くつくという欠点もあった。
【0005】
そこで、かかる欠点を解消しうるアルミニウム材の抵抗溶接法として、被溶接部材の接合界面に電気伝導度の低いインサート材を介在させることにより、溶接後の低電流化を図りかつ発熱効率を向上した抵抗溶接法が提案されている。そして、具体的なインサート材として、亜鉛薄膜を用いたもの(特公昭54−41550号)、Fe:0.05〜2.0wt%、Mn:0.5〜2.0wt%、Mg:0.7wt%以下を含有し残部Alからなる合金を用いたもの(特開昭63−278679号)、Ti薄膜を用いたもの(特公昭59−26392号)等が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したいずれの方法も、溶融接合部即ちナゲットの破断強度が十分ではなく、大きな外力が加わった場合には接合部が容易に剥離する危険があった。また、Ti系インサート材を用いた場合には、Tiがナゲットに介在物として残存することから、ナゲットに欠陥を生じやすいという欠点もあった。
【0007】
この発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、欠陥を派生することなく、ナゲットの破断強度を向上し得るアルミニウム材の抵抗溶接法の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明は、溶接後のナゲットに高強度アルミニウム合金が形成されるように、インサート材や被溶接部材の組成を設定し、あるいはナゲットそのものの組成を規定したものである。
【0009】
即ち、この発明は、アルミニウム材からなる2個の被溶接部材を、その接合界面にインサート材を介在させて抵抗溶接するアルミニウム材の抵抗溶接法において、前記インサート材が、MgまたはMg合金かMg含有量6wt%以上のAl−Mg系合金のいずれかによって形成されるとともに、該インサート材または前記被溶接部材の少なくとも一方に、Cu:0.05〜10wt%、Si:0.05〜10wt%、Zn:0.05〜10wt%の1種または2種以上が含有されてなることを特徴とするアルミニウム材の抵抗溶接法を要旨とする。
【0010】
インサート材を構成するMgまたはMg合金とは、Mgがインサート材の主たる構成元素であるものをいい、一般的にはMgが全体の50wt%以上を占めて存在するものをいう。また、Mg含有量6wt%以上のAl−Mg系材料とは、Mgを6wt%以上含有するアルミニウム合金をいう。
【0011】
インサート材に含まれるMgは、被溶接部材またはインサート材に含有されるCu、Si、Znの1種または2種以上と組み合わされて、溶接後のナゲットの破断強度を向上させる役割を果たすものである。つまり、溶接によって、インサート材及び被溶接部材はその接合界面において溶融混合し、合金化されてナゲットが形成されるが、このナゲットの組成を、Mgを含有しさらにCu、Si、Znの1種または2種以上を含有するアルミニウム合金とすることにより、ナゲットの強度向上を図り、ひいては破断強度を向上させるものである。しかし、インサート材に含まれるMgが6wt%未満では、Mg量が不足してナゲットの破断強度向上効果に乏しいものとなる。このため、インサート材中のMg量は6wt%以上確保する必要があり、特に好ましくは10wt%以上とするのが良い。
【0012】
一方、Cu、Si、Znの1種または2種以上は、被溶接部材またはインサート材の少なくともいずれか一方に含有されていれば良い。少なくともいずれか一方に含有されることにより、ナゲットを高強度合金化することが可能だからである。しかし、Cu、Si、Znがいずれも0.05wt%未満の場合には、これらの元素が不足してナゲットの破断強度向上効果に乏しいものとなる。このため、Cu、Si、Znの各下限値は0.05wt%とする必要があり、好ましくはそれぞれ0.25wt%を越えて確保するのが良く、0.4wt%以上が特に望ましい。一方、Cu、Si、Znのいずれかが10wt%を越えると、延性、耐食性が低下する。このため、Cu、Si、Znの各上限値は10wt%とする必要があり、好ましくはそれぞれ8wt%以下とするのが良く、6wt%以下が特に望ましい。
【0013】
なお、前述のように、Cu、Si、Znの1種または2種以上は、インサート材または被溶接部材のいずれに含有されていても良いが、被溶接部材に含有されている方が、該被溶接部材自体の強度を向上できる点で望ましい。勿論、インサート材または被溶接部材の両方に含有されていても良い。また、2個の被溶接部材の一方とインサート材とに含有せしめるものとしても良い。また、2個の被溶接部材のいずれにも含有させる場合、含有元素の組み合わせ及び含有量が同じ同種の被溶接部材としても良いし、含有元素の組み合わせや含有量の異なる異種の被溶接部材としても良い。被溶接部材のCu、Si、Zn以外の残部組成は、一般的にはアルミニウムと不可避不純物であるが、溶接性能に影響を及ぼさない範囲でCu、Si、Zn以外の元素を含んでいても良い。例えば、被溶接部材の強度を向上するために、被溶接部材にMgを0.2〜6wt%含有せしめても良い。
【0014】
上記のような被溶接部材とインサート材を用いることにより、溶接後における溶接品のナゲットは、Mgを含有し、さらにCu:0.05〜10wt%、Si:0.05〜10wt%、Zn:0.05〜10wt%の1種または2種以上を含有した組成となしうるが、好ましくは、Mg:6〜17wt%を含有したものとなすのが良い。ナゲットにおけるMg量が6wt%未満では、Mg量が不足してナゲットの破断強度向上効果に乏しいものとなる。一方、ナゲットにおけるMg量が17wt%を超えると、かえって脆化を来す虞れがあり、破断強度の向上を実現できない虞れがある。また、ナゲットに含まれるCu、Si、Znのがいずれも0.05wt%未満の場合には、前述のように、これらの元素が不足してナゲットの破断強度向上効果に乏しいものとなる。このため、ナゲットにおけるCu、Si、Znの各下限値は0.05wt%とする必要があり、好ましくはそれぞれ0.25wt%を越えて確保するのが良く、0.4wt%以上が特に望ましい。一方、Cu、Si、Znのいずれかが10wt%を越えると、溶接品の延性、耐食性が低下する。このため、ナゲットにおけるCu、Si、Znの各上限値は10wt%とする必要があり、好ましくはそれぞれ8wt%以下とするのが良く、6wt%以下が特に望ましい。また、ナゲットにおけるCu、Si、Znの1種または2種以上の合計値は、20wt%以下の範囲に抑制するのが望ましい。20wt%を越えると、やはり溶接品の延性、耐食性が低下する恐れがある。なお、ナゲットにおけるMg、Cu、Si、Zn以外の残部組成は、一般的にはアルミニウムと不可避不純物であるが、ナゲットの性質に悪影響を及ぼさない範囲で、Cu、Si、Zn以外の元素を含んでいても良い。
【0015】
ところで、この発明において、インサート材としてMgまたはMg合金を用いるのは、前述のとおり、ナゲットを高強度合金化するためであるが、これに加えて、次のように抵抗溶接時の電流を少なくできる効果もある。
【0016】
即ち、AlとMgを接した状態で加熱した場合、溶融はその個々の融点ではなくそれらの共晶温度で生ずる。つまり、抵抗溶接時においてはMg又はMg合金をインサートし、通電すると溶融はAlの融点よりも低い437℃で生じるため、ナゲット形成に必要な発熱量が少なくて済み、従って溶接電流値も小さくて済む。さらにMgを6wt%以上含有するAl−Mg系合金では電気抵抗値を増加させる効果があり、発熱効率を高められるため、より効果的となる。
【0017】
そこで、インサート材としてMgまたはMg合金あるいはMg量6wt%以上のAl−Mg系合金を用いることにより、溶接部の低融点化を計り、さらにAl−Mg系合金を用いた場合には抵抗増大効果をも享受し、もって抵抗溶接の低電流化及び発熱効率の向上を、ナゲットの高強度合金化と併せて実現したものである。
【0018】
上記のインサート材の形状は、特に限定されることはない。薄板でも良いし、棒材でも良いし、粉末その他の形状であっても良いが、いずれの場合にもインサート材の厚さは、5μm以上2mm以下に設定するのが良い。5μm未満の厚さでは、溶融ナゲットの組成中のMg濃度が低くなって、ナゲットの高強度合金化を十分に行えない恐れがあり、また融点の低下も小さく抵抗値の増加も少なく、十分な低電流効果も得られない虞れがある。逆に、2mmを超えて厚くなると、インサート材の両面に存在する各被溶接部材との界面で別々のナゲットが形成され、発熱効率が低下し径小のナゲットしか得られない場合があることから、これを防止するためである。特に好ましくは、50〜500μmの厚さとするのが良い。
【0019】
また、インサート材として粉末を用いる場合、粉末粒径は平均で0.1〜200μmに設定するのが望ましい。平均粒径が0.1μm未満では、特にMgは酸化されやすいため、粉末中の酸化Mg(MgO)の割合が大きくなり過ぎる危険がある。逆に、平均粒径が200μmを越えると、圧縮成形(プレス成形)ができずインサート材として使いにくいほか、バインダーと混ぜて塗ることも困難となる。粉末を用いる場合の特に好ましい平均粒径は、1〜50μmである。
【0020】
溶接に際しては、図1に示すように、被溶接部材(1)(1)の接合界面にインサート材(2)を介在配置する。インサート材(2)として粉末を用いる場合には、冷間でプレス成形し板状としても良いし(この場合Al粉末と混合してから成形すれば自由に組成コントロールができる)、粉末をそのまま接合界面に塗布しても良いが、そのままでは付着保持が困難な場合、粉末の保形性を確保すべくバインダーや溶剤を混入して塗布しても良い。バインダーは、溶接性を阻害しないものが好ましく、ポリメタクリル酸−ジブチルフタレート系、ポリビニルブチラール−ポリエチレングリコール系、エチレンセルロース−メチルアジテート系、ポリエチレン−ジメチルフタレート系を例示できる。また、溶剤は、使用するバインダーとの組み合わせで決定されるが、溶接加熱時に速やかに除去できるように揮発しやすいものが好ましく、メタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等のベンゼン類を例示できる。これらの組み合わせとしては、ポリメタクリル酸−ジブチルフタレート系バインダーとメタノール等のアルコール類の組合わせが好ましい。
【0021】
なお、インサート材は必ずしも被溶接部材とは別個独立に製作しなければならないものではなく、クラッド、メッキ、溶射等の手段により、予め被溶接部材の一方または両方にインサート材層を一体的に付着形成しておいても良い。また、接合面に接着剤を介在させて溶接するウェルドボンド法のように、接着と溶接の効果を併せて享受するものとしても良い。
【0022】
インサート材(2)を介在した被溶接部材(1)(1)の外面には、1対の電極(3)(3)を接触させ、かつインサート材(2)を挟みつける方向に加圧して電極(3)(3)間に溶接電流を流す。インサート材を構成するMgあるいはMg合金は低融点化が可能であり、またMg含有量6wt%以上のAl−Mg系合金は抵抗値が大きいうえ融点が低く、従ってインサート材は低電流で効率良く発熱して溶融するとともに、被溶接部材の接合界面も溶融してこれらが混合される。その結果、接合界面にCu、Si、Znの1種または2種以上を含みかつMgを含む、例えばAl−Cu−Mg系、Al−Si−Mg系、Al−Zn−Mg系等に合金化された径大のナゲットが形成されて、被溶接部材(1)(1)の強固な接合が達成される。
【0023】
なお、本発明に係る抵抗溶接法は、これをスポット溶接に適用しても良いし、あるいは図2に示すように、1対の電極(3´)(3´)をローラ状に形成するとともに、被溶接部材(1)(1)との接触状態を保持しつつ前記ローラ状電極を矢印のように同時に転動させながら、あるいは逆に電極はそのままの位置で、被溶接部材とインサート材とをスライドさせながら、接合界面を連続的に溶接するものとしても良い。
【0024】
【作用】
抵抗溶接時に、接合界面においてインサート材と被溶接部材が溶融してこれらが混合され、接合界面にCu、Si、Znの1種または2種以上を含みかつMgを含む合金からなる径大のナゲットが形成される。そして、これら元素の強化作用により、ナゲットの強度が向上し、ひいては破断強度が向上する。また、ナゲットの組成を、Mg:6〜17wt%が含有され、さらにCu:0.05〜10wt%、Si:0.05〜10wt%、Zn:0.05〜10wt%の1種または2種以上が含有されてなるものとすることにより、破断強度が確実に向上する。
【0025】
また、Mgは被溶接材であるAlに対して共晶系であるため、溶接部の融点を低くすることが可能であり、低電流で効率の良い溶融を生じる。また、Al−Mg系合金の場合にはMgによる抵抗増大効果に加えて、該Al−Mg合金が有する低融点効果をも利用でき、少ない発熱量で溶融させることができる。
【0026】
【実施例】
(実施例1)
表1に示すような各種組成のアルミニウム材からなるそれぞれ2枚一組の被溶接部材を用意した。なお、被溶接部材は、長さ100mm×幅30mm×厚さ1.0mmの大きさとした。
【0027】
一方、インサート材として、100%Mgからなるもの(種類A)、Mg:15wt%を含有し、残部Al及び不可避不純物からなるもの(種類B)、Mg:0.6wt%、Mn:1.5wt%、Fe:0.8wt%を含有し、残部アルミニウム及び不可避不純物からなるもの(種類C)の3種類を用意した。インサート材は、いずれも縦10mm×横10mm×厚さ0.5mmの大きさとした。
【0028】
そして、表1に示す組み合わせで、2枚の被溶接部材を、その接合界面にインサート材を介在させて重ね合せたのち、単相整流型抵抗スポット溶接機を用いて抵抗溶接を行った。溶接条件は、溶接電流:10KA、電圧:30V、電極加圧力:400kgf、電極径:19mm、通電時間:0.2秒とした。
【0029】
溶接後、溶接部の破断強度を測定した。また、試料No8及び18については、溶接部のナゲット径も測定した。その結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
上記表1の結果から、本発明実施品は、被溶接部材として純アルミニウムを用いた比較品(No17)に較べて、破断強度が大きいことがわかる。これは、ナゲット部にAl−Cu−Mg系、Al−Si−Mg系、Al−Zn−Mg系等の合金が形成されたためと考えられる。また、Al−Cu系、Al−Si系被溶接部材を用いた溶接品については170℃×10時間加熱したのち、Al−Zn系被溶接部材を用いた溶接品については120℃×10時間加熱したのち、破断強度を求めたところ、いずれの場合も10〜50kgfの破断強度の上昇が認められるものであった。
【0031】
また、試料No8及び18の比較から、溶接電流が同じ10KVAであるにもかかわらず、No18の実施品はNo18の比較品に較べて、ナゲット径が大きく、破断強度も大きく、優れた接合強度が得られている。従って、インサート材としてMgまたはMg合金、あるいはMg量6wt%以上のAl−Mg系合金を用いることにより、同一のナゲット径を得るために要する溶接電流を小さくできることがわかる。
【0032】
なお、表1のNo1〜17に示した組成の各被溶接部材を、インサート材を介在させることなく重ね合わせ、上記と同一条件で抵抗溶接を行ったところ、いずれも接合不可能であった。
【0033】
(実施例2)
A5182Al合金からなる長さ100mm×幅30mm×厚さ1.2mmの被溶接部材を用意するとともに、インサート材として、表2のNo20〜24に示す組成のものを用意した。
【0034】
そして、2枚の被溶接部材を、その接合界面に各インサート材を介在させて(試料No20〜24)、または介在させることなく(試料No19)、重ね合せたのち抵抗溶接を行った。溶接は、インバータ式抵抗溶接機を用いるとともに、溶接電流:12KA、10サイクル、加圧力:400kgf、電極:OFCU(無酸素銅)として行った。また、インサート量は表2のとおりであった。
【0035】
溶接後、ナゲットの組成を調べると共に、溶接部の破断強度を測定した。その結果を表2に示す。
【0036】
【表2】
表2の結果から、インサート材にCu、Si、Znの1種または2種以上を添加することによっても、破断強度を増大できることがわかる。また、ナゲットに、Mg:6〜17wt%が含有され、さらにCu:0.05〜10wt%、Si:0.05〜10wt%、Zn:0.05〜10wt%の1種または2種以上が含有されることにより、破断強度の大きな抵抗溶接品となしうることもわかる。
【0037】
【発明の効果】
この発明は、上述の次第で、インサート材が、MgまたはMg合金かMg含有量6wt%以上のAl−Mg系合金のいずれかによって形成されるとともに、該インサート材または前記被溶接部材の少なくとも一方に、Cu:0.05〜10wt%、Si:0.05〜10wt%、Zn:0.05〜10wt%の1種または2種以上が含有されてなり、かかる被溶接部材とインサート材を用いて抵抗溶接するものであるから、抵抗溶接時に、接合界面においてインサート材と被溶接部材が溶融してこれらが混合され、接合界面にCu、Si、Znの1種または2種以上を含みかつMgを含むAl−Cu−Mg系、Al−Si−Mg系、Al−Zn−Mg系等の合金からなる径大のナゲットを形成することができる。そして、これら元素の強化作用により、ナゲットの強度を向上させることができ、ひいては破断強度を向上することができる。
【0038】
加えて、この発明では、インサート材に含まれるMgがAlに対して共晶系であることにより溶接部の低融点化が可能となり、低電流で溶融を生じさせることができる効果もある。また、インサート材がAl−Mg系合金の場合にはMgによる抵抗増大効果に加えて、該Al−Mg合金が有する低融点効果をも享受することができ、少ない発熱量で溶融させることができる。その結果、小さな溶接電流で大きな発熱量、溶融量を得ることができ、従って、大きな溶接電流を流した場合に生じる電極先端でのCuとAlとの合金化を抑制でき、電極寿命を長くできる。また、溶接機としても大容量のものを用いる必要はなくなるから、イニシャルコスト、ランニングコストの低減を図り得る。
【0039】
また、Ti系インサート材を用いた場合のように、Tiがナゲットに介在物として存在することがないから、溶接部に欠陥を生じる欠点をなくすことができ、継手信頼性の高い溶接品の提供が可能となる。
【0040】
また、溶融接合部(ナゲット)が、Mg:6〜17wt%が含有され、さらにCu:0.05〜10wt%、Si:0.05〜10wt%、Zn:0.05〜10wt%の1種または2種以上が含有されてなるものである場合には、破断強度が確実に向上した抵抗溶接品となしうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施態様を模式的に示す断面図である。
【図2】この発明の他の実施態様を模式的に示すもので、(a)は正面断面図、(b)は側面断面図である。
【符号の説明】
1…被溶接部材
2…インサート材
3…電極
Claims (1)
- アルミニウム材からなる2個の被溶接部材を、その接合界面にインサート材を介在させて抵抗溶接するアルミニウム材の抵抗溶接法において、
前記インサート材が、MgまたはMg合金かMg含有量6wt%以上のAl−Mg系合金のいずれかによって形成されるとともに、該インサート材または前記被溶接部材の少なくとも一方に、Cu:0.05〜10wt%、Si:0.05〜10wt%、Zn:0.05〜10wt%の1種または2種以上が含有されてなることを特徴とするアルミニウム材の抵抗溶接法。
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