JP3555615B2 - 投写型表示装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、光源から出射された光束を光学的に処理して画像情報に対応した光学像を形成する光学系と、ここで形成された光学像を拡大投写する投写レンズと、前記光学系を収納する外装ケースと、を有する投写型表示装置に関するものである。さらに詳しくは、本発明はこのような投写型表示装置の内部を効率良く冷却するための冷却機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
投写型表示装置は基本的には次の各部分から構成されている。すなわち、光源ランプユニットと、ここから出射された白色光束を映像情報に対応したカラー画像を合成できるように光学的に処理する光学レンズユニットと、ここで合成された光束をスクリーン上に投写する投写レンズユニットと、電源ユニットと、制御回路等が搭載された回路基板群である。投写レンズユニットを除きこれらの各部分は装置外装ケース内に配置されている。投写レンズユニットは、一般には装置の前面から突出した状態で取付けられている。外装ケースの表面には、電源スイッチ等の操作部材、リモートコントロール用の受光窓等が配置されている。
【0003】
この種の投写型表示装置では、内部の発熱源である光源ランプユニット、電源ユニット等を冷却するための冷却機構が組み込まれている。一般的には、外装ケースの通気口から吸気ファンによって外気を導入して、内部の発熱源の部分を経由して外気を流した後に、排気ファンによって外装ケースに形成した排気口から空気を外部に排出するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
投写型表示装置を携帯に便利なように小型でコンパクトに構成すると、内部空間も狭くなり、冷却用空気の流通路を充分に確保できないこともある。また、電源ユニット等は、ノイズ発生を防止するためにシールド板で覆うことが望ましいが、このようにすると、電源ユニットの内部は他の部分と隔離された空間となる。このため、電源ユニットの内部に冷却用空気が充分に流れず、効率良く冷却できない結果にもなる。さらには、外装ケースの開けた外気の導入口に目詰まりが起きた場合には、充分な外気を装置内部に導入できないので、冷却動作が不十分になるという弊害も発生する。
【0005】
本発明の課題は、このような点に着目して、装置内部の各部分を効率良く冷却することのできる冷却機構を備えた投写型表示装置を実現することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の投写型表示装置は、光源から出射された光束を光学的に処理して画像情報に対応した光学像を形成する光学系と、ここで形成された光学像を拡大投写する投写レンズと、前記光学系を収納する外装ケースと、を有する投写型表示装置において、前記外装ケースの底壁には第1の吸気口が形成されており、前記外装ケースの上壁には、前記第1の吸気口と対応する位置に、第2の吸気口が形成されており、前記第1の吸気口と前記光学系との間には、吸気ファンが配置されており、前記第1の吸気口と前記第2の吸気口とから吸気され、前記光学系を冷却した空気を前記外装ケースの外に排出する排気口を前記外装ケースに備え、前記光学系には、前記第2の吸気口から導入された外気を前記吸気ファンの吸引側に導くと共に、当該吸気ファンから吹きだされた空気を前記第2の吸気口の側に導く空気流通路が形成されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の投写型表示装置において、前記吸気ファンの周囲は封止板によって覆われていることが好ましい。
【0009】
【作用】
本発明の投写型表示装置では、外装ケースの底壁に第1の吸気口が形成されており、外装ケースの上壁には、前記第1の吸気口と対応する位置に、第2の吸気口が形成されており、第1の吸気口と光学系との間に吸気ファンが配置されている。したがって、吸気ファンの吸引側の吸気口が目詰まりした場合でも、この第2の吸気口から充分な吸気を導入できる。よって、常に内部の冷却を充分に行うことができる。
【0010】
【実施例】
以下に、図面を参照して本発明の一実施である投写型表示装置を説明する。
【0011】
(全体構成)
図1には本例の投写型表示装置の外観を示してある。本例の投写型表示装置1は、直方体形状をした外装ケース2を有している。外装ケース2は、基本的には、アッパーケース3と、ロアーケース4と、装置前面を規定しているフロントケース5から構成されている。フロントケース5の中央からは投写レンズユニット6の先端側の部分が突出している。
【0012】
図2には、投写型表示装置1の外装ケース2の内部における各構成部分の配置を示してある。この図に示すように、外装ケース2の内部において、その後端側には電源ユニット7が配置されている。これよりも装置前側に隣接した位置には、光源ランプユニット8および光学レンズユニット9が配置されている。光学レンズユニット9の前側の中央には、投写レンズユニット6の基端側が位置している。一方、光学レンズユニット9の一方の側には、装置前後方向に向けて入出力インタフェース回路が搭載されたインタフェース基板11が配置され、これに平行に、ビデオ信号処理回路が搭載されたビデオ基板12が配置されている。さらに、光源ランプユニット8、光学レンズユニット9の上側には、装置駆動制御用の制御基板13が配置されている。装置前端側の左右の角には、それぞれスピーカ14R、14Lが配置されている。光学レンズユニット9の裏面中央には冷却用の吸気ファン15が配置され、光源ランプユニット8の裏面側である装置側面には排気ファン16が配置されている。そして、電源ユニット7における基板11、12の端に面する位置には、吸気ファン14からの冷却用空気流を電源ユニット7内に吸引するための補助冷却ファン17が配置されている。
【0013】
(外装ケースの構造)
図1に示すように、外装ケース2のアッパーケース3は、長方形の上壁3aと、その前側を除く三方の辺からほぼ垂直に下方に延びている左右の側壁3b、3cおよび後壁3dから形成されている。同様に、ロアーケース4は、長方形の底壁4aと、その前側を除く三方の辺からほぼ垂直に起立している左右の側壁4b、4cおよび後壁4dから形成されている。フロントケース5は、中央部分が僅かに前方に凸状態に湾曲しており、この部分には環状リム5aが周囲に形成された円形の開口5bが開いており、ここを通って、投写レンズユニット6の前端側の部分が装置前方側に延びている。アッパーケース3とロアーケース4とは、左右の側壁におけるそれぞれ2箇所の位置で、固定ねじ21a、21bおよび22a、22bにより相互に連結されている(図16参照)。フロントケース5は、上下からアッパーケース3およびロアーケース4によって挟まれた状態で保持されている。
【0014】
アッパーケース3の上壁3aには、その中央の前方側の位置に、エアーフィルタカバー23が取付けられている。このカバー23には多数の通気孔が形成されており、この内側には、ここを介して外部から塵等が侵入することの無いように、エアーフィルタ24が取付けられている(図2(b)参照)。この上壁3aの前方側の左右の端には、内蔵スピーカー14R、14Lに対応した位置に多数の連通孔25R、25Lが形成されている。また、上壁3aの左側の端の部分には、操作スチッチ蓋26が取付けられている。この操作スイッチ蓋26はその一方の端を中心として図1(c)に示すように開閉できるようになっている。この蓋26を開くと、その内部に配列された多数の操作スイッチ26aが露出する(図17(b)参照)。
【0015】
ロアーケース4の底壁4aには、内蔵されている光源ランプユニット8に対応する位置にランプ交換蓋27が取付けられている。この交換蓋27は下壁4aにねじ止めされており、ねじを緩めて蓋27を取外ずれせ内蔵の光源ランプユニット8を交換することができる。この交換蓋27よりも前側の位置には、通気孔28が形成されている。この通気孔28は、内蔵の冷却用の吸気ファン15に対応した位置に形成されている。この通気孔28の裏面側にもエアーフィルタ29(図2(b)参照)が取付けられ、ここから塵等が内部に侵入することを防止している。
【0016】
底壁4aの前端の左右の角には、高さ調整用フット31(31R、31L)が配置されている。これらのフット31は、それを回すことにより高さの微調整ができ、フロントケース5の両端の下側部分に突出している高さ調整ボタン32(32R、32L)を操作することにより、これらのフット31の高さを大まかに調整(粗調整)できるようになっている。底壁4aの後端側の中央には突起33が形成されており、この突起33と、上記の2個のフット31とにより装置1は3点支持された状態でテーブル等に設置される。なお、設置面に凹凸がある場合等に装置ががたつくことの無いように、底壁の後端側の両端にも補助突起34R、34Lが形成されている。
【0017】
一方、装置前面を規定しているフロントケース5の右側の上端位置と、装置後面の上半部分を規定しているアッパーケース3の後壁3dの中央位置には、それぞれ、受光窓35F、35Rが配置されている。これらの受光窓はリモートコントローラからの制御光を受けるためのものである。このように本例では、装置の前後に受光窓を形成してあるので、装置の前側および後ろの側のいずれの側からでも遠隔操作を行うことができるので便利である。
【0018】
装置後面の下半部分を規定しているロアーケース4の後壁4dには、その左端の部位には、外部電力供給用のACインレット36、および主電源スイッチ37が配置されている。
【0019】
装置の左側の側面には携帯用ハンドル38が取付けられている。このハンドル38の2つの基端部分38a、38bは、アッパーケース3およびロアーケース4の側壁3b、4bの合わせ面の部分に回転可能に取付けられている。アッパーケース側の側壁3bには、ハンドル収納用の凹部3eが形成されており、ここにハンドル38を収納できるようになっている。また、側壁3bの上端部分には、装置の動作状態を表示するためのLED表示部39が配置されている。ロアーケース側の側壁4bには、下端を中心として開閉可能な入出力用端子蓋41が取付けられている。これを開けると、内部に配置されている多数の入出力端子42が露出する(図17(a)参照)。
【0020】
装置の反対側の側面を規定しているアッパーケースおよびロアーケースの側壁3c、4cには、これらの双方の渡る状態で、排気孔43が形成されている。この排気孔43の裏面側にはエアーフィルタを介して冷却用の排気ファン16が位置している。
【0021】
(光源ランプユニット)
図2(a)および図7を参照して、光源ランプユニット8について説明する。光源ランプユニット8は、光源ランプ801と、これを内蔵しているほぼ直方体形状のランプハウジング802から構成されている。本例では、ランプハウジング802は、インナーハウジング803とアウタハウジング804の二重構造となっている。光源ランプ801は、ハロゲンランプ等のランプ本体805と、リフレクタ806から構成されており、ランプ本体805からの光を光軸1aに沿って光学レンズユニット9の側に向けて出射する。
【0022】
アウタハウジング804は、光軸1a方向の前面が開口となっており、ここには紫外線フィルタ809が取付けられている。光軸1a方向の裏面には、冷却空気の通過用のスリット群807が多数形成されている。インナーハウジング803は、光源ランプ801の前面に取付けられており、出射光の通過部分は開口となっていると共に、外周部分には、冷却空気の通過孔808が多数形成されている。本例では、このインナーハウジング803と光源ランプ801が一体に形成されている。ランプ交換は、これらを一体のままで、着脱するように構成されている。
【0023】
(光学レンズユニット)
光学レンズユニット9は、その色合成手段を構成しているプリズムユニット910以外の光学素子が、図3(a)に示す形状をした上下のライトガイド901、902の間に上下から挟まれて保持された構成となっている。これらの上ライトガイド901、下ライトガイド902は、それぞれ、アッパーケース3およびロアーケース4の側に固定ねじにより固定されている。また、これらの上下のライトガイド板901、902は、プリズムユニット910の側に同じく固定ねじによって固定されている。プリズムユニット910は、ダイキャスト板である厚手のヘッド板903の裏面側に固定ねじよって固定されている。このヘッド板903の前面には、投写レンズユニット6の基端側が同じく固定ねじによって固定されている。したがって、本例では、ヘッド板903を挟み、プリズムユニット910と投写レンズユニット6とが一体となるように固定された構造となっている。このように剛性の高いヘッド板903を挟み、これらの双方の部品が一体化されている。したがって、衝撃等が投写レンズユニット6の側に作用しても、これらの双方の部材に位置ずれが発生することが無い。
【0024】
(光学系)
ここで、本例に組み込まれている光学系について説明する。図19には本例の投写型表示装置1の光学系のみを示してある。本例の光学系は、上記の光源ランプ805と、均一照明光学素子であるインテグレータレンズ921、922から構成される照明光学系923と、この照明光学系923から出射される白色光束Wを、赤、緑、青の各色光束R、G、Bに分離する色分離光学系924と、各色光束を変調するライトバルブとしての3枚の液晶ライトバルブ925R、925G、925Bと、変調された色光束を再合成する色合成光学系としてプリズムユニット910と、合成された光束をスクリーン上に拡大投写する投写レンズユニット6から構成される。また、色分離光学系924によって分離された各色光束のうち、青色光束Bを対応する液晶バルブ925Bに導く導光系927を有している。
【0025】
光源ランプ805としては、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。均一照明光学系923は、反射ミラー931を備えており、照明光学系からの出射光のの中心光軸1aを装置前方向に向けて直角に折り曲げるようにしている。このミラー931を挟み、インテグレータレンズ921、922が前後に直交する状態に配置されている。
【0026】
色分離光学系924は、青緑反射ダイクロックミラー941と、緑反射ダイクロイックミラー942と、反射ミラー943から構成される。白色光束Wは、まず、青緑反射ダイクロイックミラー941において、そこに含まれている青色光束Bおよび緑色光束Gが直角に反射されて、緑反射ダイクロイックミラー942の側に向かう。赤色光束Rはこのミラー942を通過して、後方の反射ミラー943で直角に反射されて、赤色光束の出射部944からプリズムユニット910の側に出射される。ミラー941において反射された青および緑の光束B、Gは、緑反射ダイクロイックミラー942において、緑色光束Gのみが直角に反射されて、緑色光束の出射部945から色合成光学系の側に出射される。このミラー942を通過した青色光束Bは、青色光束の出射部946から導光系の側に出射される。本例では、均一照明光学素子の白色光束の出射部から、色分離光学系924における各色光束の出射部944、945、946までの距離が全て等しくなるように設定されている。
【0027】
色分離光学系924の各色光束の出射部944、945、946の出射側には、それぞれ集光レンズ951、952、953が配置されている。したがって、各出射部から出射した各色光束は、これらの集光レンズ951、952、953に入射して平行化される。
【0028】
このように平行化された各色光束R、G、Bのうち、赤色および緑色の光束R、Gは液晶ライトバルブ925R、925Gに入射して変調され、各色光に対応した映像情報が付加される。すなわち、これらのライトバルブは、不図示の駆動手段によって映像情報に応じてスイッチング制御されて、これにより、ここを通過する各色光の変調が行われる。このゆな駆動手段は公知の手段をそのまま使用することができる。一方、青色光束Bは、導光系927を介して対応する液晶ライトバルブ925Bに導かれて、ここにおいて、同様に映像情報に応じて変調が施される。本例のライトバルブは、例えば、ポリシリコンTFTをスイッチング素子として用いたものを使用できる。
【0029】
導光系927は、入射側反射ミラー971と、出射側反射ミラー972と、これらの間に配置した中間レンズ973と、液晶パネル925Bの手前側に配置した集光レンズ973から構成される。各色光束の光路長、すなわち、光源ランプ805から各液晶パネルまでの距離は緑色光束Bが最も長くなり、したがって、この光束の光量損失が最も多くなる。しかし、導光系927を介在させることにより、光量損失を抑制できる。よって、各色光束の光路長を実質的に等価にすることができる。
【0030】
次に、各液晶パネル925R、G、Bを通って変調された各色光束は、色合成光学系910に入射され、ここで再合成される。本例では、前述のようにダイクリックプリズムからなるプリズムユニット910を用いて色合成光学系を構成している。ここで再合成されたカラー映像は、投写レンズユニット6を介して、所定の位置にあるスクリーン上に拡大投写される。
【0031】
ここで、本例の光学系においては、上記の構成に加えて、1/2波長板を、各色の光束の経路に配置して、各色の光束をS偏光に揃えることが好ましい。このようにS偏光のみを利用できるようにすると、P偏光およびS偏光が混在しているランダム偏光をそのまま利用する場合に比べて、ダイクロイックミラーでの色分離性が改善される。また、導光系927はミラーを用いて光束を反射しているが、S偏光はP偏光に比べて反射率が良いので、光量損失等を抑制することができるという利点もある。
【0032】
(プリズムユニット910)
次に、プリズムユニット910は、三角柱状の4個の屈折率の同じプリズムを貼り合わせることにより、正方形断面の角柱状にしたものであり、各貼り合わせ面には誘電体膜が形成されて所望の光学特性が付与されている。
【0033】
これらの4個のプリズムを正確に貼り合わせないと、得られたプリズムユニット910を介して合成された各色の画像がスクリーン上で揃わなくなり、画質が低下してしまう。例えば、図20に示すように、貼り合わせ面が段差ができるとこのような弊害が発生する。各プリズムを正確に貼り合わせるための方法としては、図21に示すように、4個のプリズム910a、910b、910cおよび910dのうち、一対のプリズム910a、910bをまず、段差を付けて貼り合わせると共に、残りの一対のプリズム910c、910dも同様に、段差を付けて貼り合わせ、しかる後に、これらの段差面910e、910fを位置合わせ面として利用して、各対のプリズムを貼り合わせるようにしている。
【0034】
しかし、この方法では、一方向の位置合わせはできるが、これに直交する方向の位置合わせができない。そこで、本例のプリズムユニット910は、次のようにして、4個のプリズムを正確に貼り合わせるようにしている。図22に示すように、プリズム910cを最も長くし、プリズム910b、910dを最も短くし、残りのプリズム910aを中間の長さに設定する。最も長いプリズム910cと、最も短いプリズム910dとを、上下に段差のある状態で貼り合わせる。同様に、中間の長さのプリズム910aと最も短いプリズム910bとを上下に段差のある状態で貼り合わせる。この後に、最も長いプリズム910cと中間の長さのプリズム910aとが上端側に段差が付いた状態となるように、各対のプリズムを貼り合わせる。
【0035】
このように貼り合わせて得られるプリズムユニット910においては、位置合わせ面として、従来と同様な位置合わせ面910e、910fの他に、下端側にもこれに平行な位置合わせ面910g、910iが形成される。さらには、これらの位置合わせ面に直交する位置合わせ面910jが上端側に形成される。したがって、これらの面に治具をあてがって、4個のプリズムを正確に貼り合わせることができる。
【0036】
また、このように貼り合わせた本例のプリズムユニット910は、プリズム910cの上端に形成されている直交する位置合わせ面910fおよび910jを利用して、次のように光学レンズユニット9の所定の取付け位置に取り付けることにより、正確にその位置決めを行うようにしている。
【0037】
すなわち、本例では、プリズム固定板911として図23に示す形状の樹脂製のものを使用している。この固定板911の表面には、上記のプリズム910cの上端の面910jが丁度嵌まり込む深さの直角二等辺三角形の取付け溝911aが形成されている。この溝の底面911bに対して、プリズム910cの上端面910kが接着固定される。溝の直交する一対の側面911c、911dに、それぞれプリズム910cの位置合わせ面910j、910fを押しつけることにより、プリズムユニット910の中心が正確に位置決めされるので、プリズムユニット910は正確な位置に取付けられる。
【0038】
本例では、プリズム固定板911が複数本の固定ねじにより、ヘッド板903の底壁92に固定され、この上面にプリズムユニット910が取付けられた構造となっている。
【0039】
(光ストローク等の防止機構)
次に、本例のプリズムユニット910においては、ライトバルブ925Rを通過した変調光束が入射するプリズム面に赤色光束は通過するが、青色光束を吸収遮断するガラスフィルタ912を貼り付けておくことが好ましい。すなわち、図24に示すように、プリズムユニット910の赤色変調光束の入射面910Rに、ガラスフィルタ912を貼り付けておく。各ライトバルブ925R,G、Bを通過した各色の変調光束は、プリズムユニット910内を通過して、そのX状の反射面で反射されて、投写レンズユニット6の側に出射される。しかし、各色の僅かの量の光は、反射面で反射せずにそのまま通過して、プリズムユニット910を挟み対峙している液晶ライトバルブの側に到る。例えば、青色の変調光束が青反射面を通過して赤色のライトバルブ925Rの裏面からここに入射してしまうことがある。逆に、赤色の変調光束が赤反射面を通過して青色のライトバルブ925Bの裏面からここに入射してしまうことがある。さらには、緑色の変調光束が、プリズムユニット910内を通過せずに、赤色のライトバルブ925Rの側に反射されてしまうことがある。このように裏面側から液晶ライトバルブに光が入射すると、その液晶パネルが誤動作する等の悪影響が出るおそれがある。特に、短波長側の光である青色の光によるこのような影響が特に大きい。そこで、上記のように、プリズムユニット910における赤色変調光束の入射面910Rに、ガラスフィルタ912を貼り付けて、青色光束が裏面側から液晶ライトバルブ925Rに入射することを防止すれば、このような弊害を回避することができる。
【0040】
なお、上記のフィルタ912に加えて、青色の変調光束の入射面の側にも、赤色光束を吸収するフィルタを取り付けてもよい。
【0041】
(電源ユニット)
電源ユニット7は、図2に示すように、金属製のシールドケース701の内部に各構成素子が内蔵され、この部分で発生する電気的、磁気的ノイズが外部に漏れることを防止してある。シールドケース701は、装置の外装ケース2の左右の側壁に渡る大きさであり、左端の部分は、装置前方側に向けて一定の幅で突出した平面形状をしている。すなわち、この突出部分702の前方には、光学系ブロック9の均一照明系の反射ミラー931が装置前後方向に対して45度の角度で配置されている。この裏面側の空間はとかくデットスペースになり易い。本例では、この空間703を有効利用するために、シールドケース701をこの空間703の側に突出させて突出部分702を形成し、電源ユニットの構成部品の配置空間を確保している。
【0042】
電源ユニット7のシールドケース701は、矩形の中空断面をしており、その剛性は他の部分に比べて一般的に高い。このケース701の底面側は、複数本の固定ねじによって、ロアーケース4の底部4aに固定されている。また、その上面側は、同じく複数本の固定ねじによって、アッパーケース3の上壁3aに固定されている。このように、本例では、装置後端側においては、アッパーケース3およびロアーケース4を、剛性の高いシールドケース701に固定してあるので、装置後端部分の外装ケースは、一体性が高く、また剛性も高くなっている。
【0043】
ここで、電源ユニット7は、装置内に配置されている他の部品に比べて、重量が大きい。この電源ユニット7と共に装置内において重量の大きい部品は、ヘッド板903の前後に固定したプリズムユニット910および投写レンズユニット6である。本例では、図2から良く分かるように、電源ユニット7を装置後端において横長の状態に配置してある。また、電源ユニット7の各構成素子の配置を適切に設定することにより、その重心が、装置の幅方向の中央に位置するように調整してある。これに対して、装置前端側においては、その中央にプリズムユニット910と投写レンズユニット6が配置されている。したがって、本例においては、装置の重心位置が、ほぼ装置の幅方向および前後方向の中心に位置するようになる。この結果、携帯用ハンドル38を引出して、図25に示すように装置左側が上に向いた姿勢で装置を持ち運んでいる際に、誤って装置を落下させても、装置は、その中心が前後左右の中央に位置しているので、その姿勢のまま落下することになる。装置の重心位置が前後あるいは左右に片寄った位置にあると、装置は重心の側に倒れながら落下する。このように落下すると、装置の外装ケースの角の部分が床面等に最初に衝突するので、局部に過大な衝撃力が作用して、その部分が破損するおそれが極めて高い。しかしながら、本例では、装置はそのまま前後、左右に倒れることなく落下するので、下側の装置右側面が全体としてほぼ同時に床面等に衝突し、局部的な破損が発生するおそれが極めて低いという利点がある。
【0044】
さらに、電源ユニット7は従来においては、その底面あるいは上面の側を外装ケース2の側に固定しているのみである。しかし、本例では、図2(b)から分かるように、電源ユニット7の装置上下方向における重心位置に対応する高さ位置の所でも、固定ねじ704によって、外装ケース2の側に固定している。本例では、ロアーケース4の後壁4dに固定している。この結果、装置に前後方向の振動が加わった場合に、電源ユニット7の前後の揺れが効果的に防止される。
【0045】
一方、本例の電源ユニット7では、ここから各駆動部分への電力供給路等を可能な限り短くすることにより、ノイズ発生源であるリード線を可能な限り短くし、これによりノイズの発生を抑制するようにしている。まず、ACインレット36および主電源スイッチ37は、電源ユニット7のシールドケース701の後側面に対して直接に固定してある。したがって、これらの各部分から電源ユニット7まで引き回されるリード線を省略できる。
【0046】
また、装置裏面に取り付けたランプ交換蓋27の開閉に連動するインターロックスイッチ710も電源ユニット7のシールドケース701の前側面に一体的に取り付けてある。すなわち、図2に示すように、インターロックスイッチ710は、シールドケース突出部分702の装置右側に僅かに離れた部分に取付けられている。このスイッチ710の動作部分711は下方に向いており、ここが、交換蓋27の上面から垂直に延びる作動突起271によって常に上方に押し上げられている。この状態では、インターロックスイッチ710はオン状態にある。これに対して、交換蓋27を外した状態では、スイッチ710の動作部分が下方に移動して、スイッチはオフ状態に切り換わる。このように、従来においては電源ユニット7から離れた位置にあったスイッチ710を電源ユニットのシールドケース701の側面に固定して、そこまでのリード線を短くしてある。
【0047】
さらには、本例の電源ユニット7においては、装置前側に隣接配置されているランプユニット8の駆動回路であるバラスト回路部分720を、ランプユニット8と同一の側に配置してあり、ここからランプユニット8までのリード線を極力短くするようにしてある。
【0048】
このように、本例においては、電源ユニット7から引き出されて各駆動部分に到る電力供給路を極力短くしてあるので、従来に比べて、ノイズ源が少なくなり、ノイズ発生を抑制することができる。
【0049】
(基板の配置)
図11、図12および図13を参照して、インタフェース基板11、ビデオ基板12および制御基板13の配置について説明する。まず、制御基板13は、図16に示すように、アッパーケース3の上壁3aの下側位置においてこれと平行に配置され、外周縁の複数の箇所で固定ねじにより、アッパーケース3の側に固定されている。この基板13は、光学系ブロック9および光源ランプユニット8の上面を覆う形状をしている。また、プリズムユニット910の直上部分は矩形に切りかかれた形状となっている。この基板13の装置左側の端部には、装置上面の左側の端に配列されている操作スイッチ群26aに対応する接点が配列されている。
【0050】
図13から分かるように、インタフェース基板11はロアーケース4の底壁4aよりも僅かに高い位置において平行に配置されている。また、ビデオ基板12は、このインタフェース基板11の表面側から装置上下方向に起立した姿勢で、装置左側の側壁に平行に配置されている。これらの2枚の基板11、12は、ロアーケース4の底壁4aに固定した基板固定金具111によって支持されている。また、基板固定金具111の上端にはシールド板112が取付けられており、このシールド板112の上端側は、ビデオ基板12の上端まで延びている。したがって、これらの2枚の基板11、12、シールド板112および基板固定金具111によって、これらの間にシールド空間が区画形成されている。したがって、これらの間に配置されている電気素子、電子素子から発生したノイズが外部に漏れることが防止される。
【0051】
ここで、各基板間の電気的接続は次のようになっている。まず、インタフェース基板11の表面には、ビデオ基板12の側とのコネクタ113が配置されている。ビデオ基板12の下端側の表面には、このコネクタ113に差し込み接続可能なコネクタ114が配置されている。同様に、ビデオ基板12の上端側の表面には制御基板13の側とのコネクタ115が配置されている。制御基板13の裏面には、このコネクタ115に差し込み接続可能なコネクタ116が配置されている。したがって、図13に示すように、各基板11、12、13を配置した状態においては、相互の対応するコネクタ同志が接続した状態になる。
【0052】
このように、本例では、各基板間の接続がリード線等を引き回すことなく形成されている。したがって、ノイズ発生源が少なく、ノイズの発生を抑制することができる。
【0053】
さらに、本例では、図11から分かるように、制御基板13の外周縁の角の部分を、固定ねじを用いて、外装ケース2の側、すなわち接地側に固定してある。このような角の部分は、ノイズ発生が起こり易い部分である。しかし、本例のようにこのような部分を接地することにより、ノイズの発生を抑制することが可能となっている。
【0054】
(ヘッド板の部分の構造)
図4、図6を主として参照してヘッド板903の形状を説明する。ヘッド板903は、装置の幅方向に向けて垂直な姿勢で延びる垂直壁91と、この垂直壁91の下端から水平に延びる底壁92から基本的に構成されている。垂直壁91は、図8に示すように、表面に縦横に補強リブ91aが多数本形成されて面外剛性が高い壁であり、その中央部分には、プリズムユニット910からの出射光が通過するための矩形の開口91bが形成されている。また、この垂直壁91には、プリズムユニット固定ねじのねじ孔91cが形成されていると共に、投写レンズユニット6の基端側を固定するためのねじ孔91dが形成されている。図4から分かるように、垂直壁91の前面側の表面には投写レンズユニット6の基端側が固定され、その後面側の表面にはプリズムユニット910固定される。
【0055】
このように、剛性の高い垂直壁91を挟み、位置合わせした状態で、プリズムユニット910および投写レンズユニット6が固定されるので、これらの一体性は高く、衝撃力等が作用しても、相互の位置ずれが発生するおそれは極めて少ないという利点がある。
【0056】
ヘッド板903の底壁92の裏面には、冷却ファン15が取付けられている。この底壁92には、冷却用空気を流通させるための連通孔(図示せず)が形成されている。
【0057】
ここで、図2(b)および図4(a)から分かるように、ヘッド板903の垂直壁91の上端および下端には、それぞれ、アッパーケース3およびロアーケース4への取付け部91e、91fが形成されている。これらの部分が固定ねじによって、それぞれアッパーケース3およびロアーケース4の側に固定される。
【0058】
このように、本例においては、前述したように、アッパーケース3およびロアーケース4は、その後端側の部分が電源ユニット7に固定され、前端側の部分がヘッド板903に固定されている。このように、前後において剛性の高い部分に固定されているので、アッパーケース3およびロアーケース4の一体性、剛性が高くなる。よって、耐衝撃性の改善され、落下等により破損が起きることが少なくなる。
【0059】
(冷却機構)
次に、図7、図8、図9および図10を参照して、本例の投写型表示装置1における各発熱部分の冷却機構について説明する。
【0060】
本例の装置1における基本的な冷却用空気の流れは、平面的には、図8に示すような経路となる。装置1の底壁4aに形成した通気孔28を通って外部から冷却用吸引ファン15によって吸引された空気は、光学レンズユニット9の内部を通過して、装置の右側面に配置されている排気ファン16によって、再び外部に排出される。主要な空気流の流通経路は図8において太線で示してあるように、その一部の空気流1100は、平面的に見て、光学レンズユニット9を通過して、直線に排気ファン16に至り、ここを通過して外部に排出される。
【0061】
別の空気流1120は、光学レンズユニット9から光源ランプユニット8の前面側から、そのアウタハウジング804に形成されている通気孔804a、およびインナーハウジング803に形成されている通気孔808を介して、その内部に入り込む。ここを通過した後は、裏面側の排気口807を通過して、その裏側の排気ファン16を介して外部に排出される。
【0062】
これに対して、別の空気流1130は、光学レンズユニット9を介して、電源ユニット7の端に取り付けてある補助吸引ファン17によって吸引されて、電源ユニット7の内部に引き込まれ、この内部を通過して他端側から排気ファン16によって吸引されて外部に排出される。
【0063】
図9には、電源ユニット7の内部を通過する空気流1130の流通経路の立体的な流れを示してある。この図に示すように、空気流1130は、吸引ファン15によって外部から吸引された後に、光学レンズユニット9における各ライトバルブ925R、G、Bの入射側および出射側の表面に沿って上方に吹き上げられ、上ライトガイド901に開けた通気孔を通って、この上面とアッパーケースの上壁3aの裏面の間に入りこみ、これらの間に沿って横方向の流れる。次に、上ライトガイド901に開けた通気孔を通って、均一照明光学素子であるインテグレターレンズ921、922が配置されている光学レンズユニット9の部分を降下して、下ライトガイド902に開けた通気孔からその下側に回り込み、しかる後に、吸引ファン17を介して電源ユニット7の内部に導入される。この後は、排気ファン16の側に流れ、ここを介して外部に排出される。
【0064】
このように、本例では、補助の排気ファン17を配置して、強制的に電源ユニット7の内部に冷却用空気流を導入している。したがって、発熱源である電源ユニットの内部を効果的に冷却することができる。
【0065】
図7には、光源ランプユニット8を通過して流れる空気流1120の立体的な流れを示してある。この図に示すように、空気流1120は、上ライトガイド901とアパーケース上壁3aの裏面の間に沿って流れて、光源ランプユニット8の出射側の前端上部に至る。ここから光源ランプユニット8の各構成部分の表面に沿って流れて、後ろ側の排気ファン16に到る。すなわち、空気流1120は、アウターハウジング804の内外の表面に沿って流れると共に、インナーハウジング803の内外の表面に沿って流れる。さらには、リフレクタ806の表面に沿って流れる。
【0066】
このように、本例では、光軸に沿って光源ランプユニット8の前端側から後ろ側に向けて空気流1120が形成されて、ランプ805、リフレクタ806等の発熱源の周囲が効率良く冷却される。
【0067】
次に、本例では、図9、10から分かるように、アッパーケースの上壁3aの側にも、通気孔24が形成されている。したがって、例えば、吸気ファン15の通気孔28に取り付けたフィルタ29に目詰まりが発生して、ここを介して充分な外気を導入できなくなった場合には、次のように、上側の通気孔24から外気が導入される。図10に示すように、下側の通気孔28が詰まると、内部が負圧状態となるので、上側の通気孔24から外気が導入され、太線1140で示すような空気流が発生する。この空気流1140は通気孔24から導入されて下側の吸気ファン15に吸引され、ここを介して再び上方に吹き上げられる。一部は循環流となって吸気ファン15を介して循環する(勿論、このような循環流は下側の通気孔28に目詰まりが起きていない正常な場合でも発生している。)。それ以外の空気流は、上述したような各空気流1110、1120、1130として各部分を通過して流れて、排気ファン16から外部に排出される。
【0068】
ここで、下側の通気孔28の目詰まり時に上側の通気孔24からの外気の導入を効果的に行うことができるように、吸気ファン15の周囲には、封止板1150を取り付けてある。この封止板1150は、通気孔24に対応する部分には通気口が開いているが、その周囲は、下ライトガイド902、ヘッド板の底壁92の裏面に密着されている。従って、図10に示すような循環流が効率良く形成される。すなわち、上側の連通孔24からの外気の導入が効果的に行われる。
【0069】
このように、本例では、連通孔24を設けてあるので、吸気ファン15の側の外気導入用の連通孔28が詰まった場合でも、装置内部の冷却を支障なく行うことができる。また、封止板1150を取り付けてあるので、このような目詰まり状態において、吸気ファン15から離れた通気孔24からの外気の導入を効率良く行うことができる。
【0070】
(ライトバルブの位置決め機構)
次に、図4、図5を参照して、本例の液晶ライトバルブ925R、G、Bの位置決め機構について説明する。これら3枚のライトバルブの位置決め機構は同一であるので、一つのライトバルブ925Rの位置決め機構について説明する。
【0071】
ライトバルブ925Rが取付けられたライトバルブブロック1200は、ヘッド板903の底壁92の上面に固定されている。このライトバルブブロック1200は、この底壁92に取付けられる下調整板1210を有している。この下調整板1210には、左右一対の長孔1211、1212が形成されており、これらは光路方向に長い形状となっており、これらを介して、固定ねじ1213、1214によってヘッド板の底壁92に固定されている。
【0072】
この下調整板1210の上面には、光路に垂直となる状態でフォーカス調整板1220が取付けられている。このフォーカス調整板1220は、垂直壁1221と、この下端から水平に光路上流側に延びる底壁1222と、垂直壁1221の上端から水平に光路下流側に延びる上壁1223を備えている。底壁1222の中心にはダボ1224が形成され、これが下調整板1210によって回転可能に支持されている。よって、フォーカス調整板1220はこのダボ1224を通る垂線を中心として左右に旋回可能である。底壁1222は、一対の固定ねじ1225によって下調整板1210の側に固定されている。一方、フォーカス板1220の上壁1223は、固定ねじ1226によって、プリズムユニット910の上面を覆うカバー910aに固定されている。このねじ1226のねじ孔1227はねじ1226よりも大きな寸法に設定されており、したがって、ねじ1226を緩めれば、フォーカス調整板1220の位置を前後左右に僅かに移動させることが可能となっている。また、この上壁1223の先端部分にはノッチ1228が形成されている。プリズムユニットカバー910aの側には、このノッチ1228に対して所定の間隔で対峙する位置にもノッチ910bが形成されている。フォーカス板1220を取り付けた状態においては、これらのノッチの間には、マイナスドライバー等の刃先を差し込み可能な差し込み溝1229が形成される。固定ねじ1226等を僅かに緩めた状態で、この差し込み溝1229にドライバー等の刃先を差し込んで回転すると、フォーカス調整板1220は、プリズムユニット910に対して、ダボ1224を中心として垂線回りに旋回すると共に、光路方向(前後方向)にも移動する。
【0073】
このように光路方向に沿って前後に移動可能なフォーカス板1220の垂直壁1221には、これと平行な状態で垂直調整板1230が支持されている。すなわち、垂直壁1221の上下には垂直調整板支持部が形成され、これらの間に垂直調整板1230が挟まれている。この垂直調整板1230の下端はアイライメントばね1231を介してフォーカス板1220の下端側に支持され、上端側は、フォーカス板1220に取り付けた左右一対のアライメント調整ねじ1232、1233によって下方に押されている。したがって、この一対の調整ねじ1232、1233のねじ込み量を調整することにより、垂直調整板1230をフォーカス板1220に対して相対的に上下に移動させることができる。
【0074】
この垂直調整板1230には、これと平行な状態で水平調整板1240が支持されている。この水平調整板1240は、左右の一方の側にアライメント調整ばね1241で押され、他方の側は1本のアライメント調整ねじ1242によって押されている。したがって、このねじ1242のねじ込み量を調整することにより、水平調整板1240を垂直調整板1230に対して横方向に相対移動させることができる。この水平調整板1240の中央部分に、液晶ライトバルブ925Rが取付けられたライトバルブユニット1250が固定されている。
【0075】
この構成のライトバルブブロック1200は、これをヘッド板底壁92に固定した後には、下調整板1210を光路方向に沿って前後に調整すると共に、フォーカス板1220をダボ1224を中心として垂線の回りに旋回することにより、ライトバブル925Rのフォーカス位置、すなわち光路方向の位置決めを簡単に行うことができる。また、垂直調整板1230、水平調整板1240を上下、左右に移動させることにより、ライトバブル925Rのアライメント調整を行うことができる。
【0076】
ここで、本例のライトバブルブロック1200においては、3枚の板、すなわち、フォーカス調整板1220、垂直調整板1230および水平調整板1240は、左右の略中央部分、上端の中央部分の合計3箇所の位置で、U字状の調整板固定ばね1260によって固定されている。従来のように、これらの3枚の板を、固定ねじによって固定している場合とは異なり、フォーカス合わせ等を行う際に、固定ねじを緩める等の操作が不要であり、固定ばね1260を取り付けたまま調整することができるという利点がある。また位置決めを行った後に、従来のように固定ねじを締め付けて3枚の板を固定すると、締め付け動作によって、折角調整した3枚の板がずれてしまうおそれがあるが、本例では、このような操作が不要なので、調整後に3枚の板がずれるおそれはない。しかるに、位置決め後に、3枚の板を完全に一体化するために、本例では、3枚の板の上端部分に、接着剤溜1270を形成してある。この接着剤溜1270には、3枚の板の位置合わせが終わった後に、接着剤を流しこみ、これらを接着固定する。
【0077】
(高さ調整用フットの構造)
図14、15には、それぞれ、高さ調整用フット31R、31Lを示してある。これらの双方のフットは同一形状であり、その高さ調整機構も同一であるので、一方のフット31Lについて説明する。このフット31Lは、装置のフロントケース5の下端から露出している円盤状のフット本体311と、この上端から同軸状態に延びるシャフト312を有している。シャフト312は、ロアーケース4に固定支持されているフットアジャスタ板313によって上下に移動可能な状態で支持されており、その外周にはほぼ全長に渡って雄ねじ317が形成されている。
【0078】
フロントケース5の下端から前方に露出しているフットストッパーボタン32Lの裏面側には、板状のフットストッパ314が一体形成されている。このフットストッパー314には上記のシャフト312が貫通している貫通部315が形成されている。さらに、フットストッパばね316によって、常に、フットストッパ314は装置前方側に向けて押されている。したがって、このフットストッパ314の前側のボタン32Lは常にフロントケース5から前方に突出した状態に保持されている。この状態においては、フットストッパ314の貫通部315の内周面の一部分がシャフト312の外周面に所定の圧力で当たっている。この貫通部の内周面には、シャフトの雄ねじ317に螺合可能な雌ねじ318が形成されている。
【0079】
この構成の高さ調整用フット31Lは、ばね316によって上下の移動が禁止されている。しかるに、ボタン32Lをばね力に抗して押し込むと、そのフットストッパ314がシャフト312から外れる。この結果、フット31Lはフットアジャスタ板313に沿って上下に自由に移動可能となる。したがって、装置1を両手で持ち上げて、左右のボタン32L,Rを押せば、フット31L、31Rは自重により落下するので、フットを所定の長さだけ引き出すことができる。この後は、フットが目標とする長さだけ引き出された状態でボタン32L,Rを離せば、フットはその位置に固定される。
【0080】
この後は、フット自体を旋回させると、そのシャフト312が、ストッパ314の側のねじ318に沿って上下に微小移動する。したがって、ボタン32L、Rを押して大まかに調整したフット31L,Rの長さを、フット自体を回転させることにより、微調整することができる。このようにして、本例では、装置1の前端側の高さ調整を簡単な操作により、しかも短時間で行うことができ、装置1を希望の傾斜角度に設定することができる。
【0081】
(ハンドル取付け構造)
図17を参照して、ハンドル38の取付け構造を説明する。ハンドル38は、装置1の側面に形成されたハンドル収納用凹部3eに収納されている。ハンドル38はその一対の下端部分38a、38bを中心として旋回して、横に引き出した状態にできる。本例では、ハンドルの回転軸381の軸受け部分が、アッパーケースの側壁3bと、ロアーケース側壁4bを組み合わせることにより形成されるようになっている。また、ハンドルの下端部分38a、38bの周面には、僅かに突出した突出面383が形成されている。この突出面383によって、ハンドル38は図17(a)の実線で示す収納位置と、想像線で示す引出し位置に、所定の拘束力で固定されるようになっている。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の投写型表示装置によれば、第1の吸気口が目詰まりした場合でも、第2の補助の吸気口から充分な吸気を導入できる。よって、常に内部の冷却を充分に行うことができる。ここで、吸引ファンの周囲を封止板によって覆うようにすれば、円滑な空気流を形成できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である投写型表示装置の外観形状を示す図である。
【図2】図1の装置の内部の各部品の配置を示す図であり、(a)はその平面的な配置を示す図、(b)はその立体的な配置を示す図である。
【図3】光学レンズユニットと投写レンズユニットの部分を取り出して示す図であり、(a)はその概略平面構成図、(b)はその概略断面構成図である。
【図4】ヘッド板、プリズムユニットおよび投写レンズユニットを取り出して示す図であり、(a)はその概略平面図、(b)はその概略断面図である。
【図5】ライトバルブブロックを示す図であり、(a)はその平面図、(b)はその正面図、(c)はその側面図である。
【図6】ヘッド板の形状を示す概略正面図である。
【図7】光源ランプユニットの構成を示す概略断面構成図である。
【図8】冷却空気流の平面的な流れを示す説明図である。
【図9】冷却空気流の立体的な流れを示す説明図である。
【図10】冷却空気流の立体的な流れを示す説明図である。
【図11】基板の配置を示すための説明図である。
【図12】基板の配置を示すための説明図である。
【図13】基板の配置を示すための説明図である。
【図14】高さ調整フットの構造を示す部分断面図である。
【図15】高さ調整フットの構造を示す部分断面図である。
【図16】アッパーケースとロアーケースの固定構造を示す部分断面図である。
【図17】ハンドル取付け部分の構造を示す部分断面図である。
【図18】図1の装置の重心位置を示す説明図である。
【図19】図1の装置に組み込まれている光学系の概略構成図である。
【図20】プリズムユニットの位置ずれの例を示す説明図である。
【図21】従来のプリズムユニットの貼り合わせ方法を説明するための説明図である。
【図22】本例のプリズムユニットの貼り合わせ方法を説明するための説明図である。
【図23】プリズムユニット固定板の形状を示す説明図である。
【図24】プリズムユニットの好ましい例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 投写型表示装置
1a 光軸
2 外装ケース
3 アッパーケース
4 ロアーケース
6 投写レンズユニット
7 電源ユニット
7a 通気孔
704 電源ユニットの固定ねじ
8 光源ランプユニット
802 ランプケース
804a、808 通気孔
807 通気孔
9 光学レンズユニット
903 ヘッド板
910 プリズムユニット(色合成手段)
924 色分離手段
925R、925G、925B ライトバルブ
15 吸気ファン
16 排気ファン
17 補助吸気ファン
24 通気孔(空気排出口)
28 通気孔(冷却用空気取り入れ口)
43 排気口
1100、1120、1130、1140 空気流
1150 封止板
Claims (2)
- 光源から出射された光束を光学的に処理して画像情報に対応した光学像を形成する光学系と、ここで形成された光学像を拡大投写する投写レンズと、前記光学系を収納する外装ケースと、を有する投写型表示装置において、
前記外装ケースの底壁には第1の吸気口が形成されており、
前記外装ケースの上壁には、前記第1の吸気口と対応する位置に、第2の吸気口が形成されており、
前記外装ケースには、前記第1の吸気口と前記第2の吸気口とは別に排気口が形成されており、
前記第1の吸気口と前記光学系との間には、吸気ファンが配置されており、
前記光学系には、前記吸気ファンによって前記第1の吸気口から導入された外気を前記光学系を冷却するように流通させ前記排気口から排気させる空気流通路と、前記第2の吸気口から導入された外気を前記吸気ファンの吸引側に導くと共に、前記吸気ファンによって前記第2の吸気口から導入された外気を前記光学系を冷却するように流通させ前記排気口から排気させる空気流通路が形成されていることを特徴とする投写型表示装置。 - 請求項1において、前記吸気ファンの周囲は封止板によって覆われていることを特徴とする投写型表示装置。
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