JP3554671B2 - 水噴射コンプレッサ配管の防食構造 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧縮機本体の圧縮作用空間内に水を噴射して該空間内の密封と冷却作用を行うようにした水噴射コンプレッサにおける水循環回路を構成する配管の防食構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の水噴射コンプレッサは、圧縮機本体の作用空間内に水を噴射して該作用空間内の密封と冷却作用を行うと共に、吐出された圧縮空気と水の混合流体をレシーバタンクに一旦貯溜して、ここで圧縮空気と水とを分離後圧縮空気は消費側に、一方、水は前記レシーバタンクの貯水槽から配管を介して熱交換器で冷却後、再度圧縮機本体の作用空間に噴射して冷却等の作用を行い、圧縮空気と混合状態で吐出するいわゆる循環閉回路を構成している。
【0003】
このような水噴射コンプレッサは、作用空間をはじめとして各配管系統中に配置する各機器および配管部材は常時水と直接接触する構造であるので十分な防錆又は防食対策が必要となる。
【0004】
この種のものとして特開平10−141262号公報に示す水潤滑式スクリュ圧縮機が公知である。この圧縮機は、前記防錆対策として圧縮機本体のケーシングをステンレス鋼とすると共に、一対のスクリュロータの一方のロータを熱硬化性合成樹脂で、他方のロータをステンレス鋼により形成している。
【0005】
その他に、吐出空気を貯溜するレシーバタンクの内面には比較的防錆効果の大きい耐沸騰水塗装を施したり、水循環系統の各配管や管継手等には耐食性の黄銅等の銅合金材料を用いて構成している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した水循環系統中の各部材にステンレス鋼を使用したものは高い防錆効果が得られる反面、加工性が悪く高価となる。
【0007】
また、レシーバタンク内面に施す防錆塗装は塗装行程において均一な塗膜を得ることが難しく、かつ十分な乾燥時間を確保して数回の重ね塗りが必要であるなど、その製造工程において多くの工程数を必要とするため生産性低下の原因となっている。
【0008】
それと共に、前記塗膜に塗りムラがあったり塗り残しがあった場合にはその部分から腐食が進行したり、また長期使用の間に塗膜が劣化して防錆効果を退化させる等の問題点を内在している。
【0009】
また、配管や管継手として用いる銅合金製の部材は金属材料の中でも比較的比重量が大きいため、使用箇所が多くなると製品全体の重量増大を招く結果となる他、水循環系統中の各機器、例えば熱交換器や水濾過装置や弁機構等の構成部材に用いているアルミニウム合金製の部材と前記銅合金製の配管部材とが循環水を媒体として接触腐食を引き起こし、前記アルミニウム合金の腐食を促進するという問題点を有している。
【0010】
これは、金属材料の中でもきわめて「卑」すなわち腐食電位によって溶出し易いアルミニウム合金と電位差の大きい銅合金間に、循環水を媒体として両金属間に生ずる電極反応によって循環水中に銅イオンが溶出し、その溶出した銅イオンによって前記アルミニウム合金製の部材が腐食するもので、その一例を掲げるとアルミニウム合金を主材料として軽量化を図っている薄肉の熱交換器等の場合、前記接触腐食が進行した場合には局部的に穴があいてしまう孔食が起こり水漏れする等の不具合を生ずる。
【0011】
この対策として、水と直接接触する前記アルミニウム合金部材の接触部位に防食用の表面処理を施すことも行われているが、数多くある部材全てにこのような処理を施すことは実質的に不可能である。
【0012】
本発明は上記課題を解消し、安価でしかも長期に使用しても腐食のない耐久性のある水噴射コンプレッサ配管の防食構造を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本願請求項1にかかる発明は、圧縮作用空間内に水を噴射して該空間内の密封と冷却作用を行うようにした水噴射コンプレッサにおいて、作用空間を形成する圧縮機本体のケーシングと前記作用空間から吐出された圧縮空気と水の混合流体を貯溜するレシーバタンクと、該レシーバタンクに貯溜した水を熱交換器を介して前記圧縮機本体に配管接続する水循環回路を構成し、前記水循環回路中の配管をアルミニウム合金で形成すると共に、該配管を接続する接続部材は銅を主体とした銅合金材料としその外表面を前記アルミニウム合金に対して腐食電位差の小なる金属材料または不動態化し易い及び/又は不動態材料で覆って構成したことを特徴とする。
【0014】
上記請求項に係る発明によれば、アルミニウム合金製の部材全てに対して防食処理を施す必要はなく、配管中の比較的小さい接続部材に表面処理を施すことで循環水を媒体とした異種金属間の電極反応に伴う接触腐食を防止できるので、レシーバタンク、熱交換器、配管その他の機器においても、アルミニウム合金製部材の使用率を高めて製品本体の軽量化とコスト低減が図れる。
【0015】
また、本願請求項2に係る発明は、前記配管の接続部材は、銅を主体とした銅合金又は鉄鋼材料の母材にニッケルクロム(Ni―Cr)メッキまたは無電解ニッケルメッキで被覆処理したもので、このように構成することにより前者においては配管接続部材の母材から循環水中に銅イオンが溶出することが防止でき、後者においては、アルミニウム合金と比較的腐食電位差が小さく溶出しにくい金属であることから、たとえ水と直接接触したとしてもアルミニウム合金製部材の接触腐食を生ずることがない。
【0016】
さらに、前記配管の接続部材を、銅を主体とした銅合金材料の母材に電気的絶縁性を有する樹脂材料で被覆処理することもできる(請求項3)。
【0017】
上記構成により、前記被覆された樹脂材料によって水との直接接触を無くすと共に、配管接続部材の母材である銅合金材料とアルミニウムを主体とした部材間の腐食電位差による電子の流れが絶縁されるため、前記両材料間での接触腐食が防止できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明水噴射コンプレッサの配管防食構造の一実施形態を図1ないし図3に基づき説明する。
【0019】
1は圧縮機本体で、該圧縮機本体のケーシング2内にはおすめす一対のスクリュロータ3,3’ を噛合回転自在に内装し、作用空間内で圧縮された圧縮空気と水との混合流体を吐出管4を介してレシーバタンク5に圧送すると共に、該レシーバタンク5からは逆止弁6,ドレン分離器7,開閉弁8を介して消費側に接続する圧縮空気の供給配管9が接続している。
【0020】
一方、レシーバタンク5下方の貯水槽10からは該熱交換器11に接続する水配管12と該熱交換器から水フイルタ13を経て圧縮機本体1に接続する冷却配管14が接続され、それぞれ、図2に示すように配管の接続部材である配管継手15を介して接続することによって、水の循環閉回路を構成している。
そして、これらの各配管を接続する接続部材の多くは、被接続側となる各機器のボス20に設けた螺合ねじ22にその一端をねじ込み螺合固定するジョイント22と、配管23(水配管12,冷却配管14)の機器側外端24に外嵌するスリーブ25を介して前記ジョイント22の他端に内挿し、スリーブナット26によりジョイント22と配管23とを緊締して外部との水密を保つように構成している。
【0021】
このように構成する本発明水噴射コンプレッサの空気と水の経路について説明すると、吸入空気Aは圧縮機本体1の吸入口に設けたエアフイルタ16を通過後圧縮機本体1内で圧縮され冷却配管14から供給された水と混合状態で吐出管4を介してレシーバタンク5に圧送され一旦貯溜する。
【0022】
そして、ここで圧縮空気と水とが分離され、圧縮空気は供給配管9を介して消費側に、水はレシーバタンク5下方の貯水槽10に貯溜後、水配管12を介して熱交換器11で冷却された後、冷却配管14から圧縮機本体1内に再度噴射され冷却等の作用を行い混合気体として吐出する工程を反復する。
【0023】
なお30は循環水補給用の給水管,31は給水弁,32は圧縮機本体を駆動するモータ又はエンジン等の原動機である。
【0024】
次に、前述した主な機器または部材主要部の使用材料について説明する。
【0025】
レシーバタンク5は、アルミニウムを主体とした特殊合金製で圧縮空気圧力に耐え得る十分な強度をもって構成され、熱交換器11も熱伝導率の高いアルミニウムを主体としたアルミニウム合金で構成された水冷式もしくは空冷式であり、該熱交換器内の流路を通過する冷却媒体としての水を効率よく冷却するように設計されると共に、耐圧に対しても十分な強度を保持している。
【0026】
また、前記各機器間に接続する各配管(吐出管4,水配管12,冷却配管14等)も同様に、アルミニウムを主体としたアルミニウム合金で構成される一方、配管の接続部材である配管継手15、すなわちジョイント22およびスリーブ25およびスリーブナット26は、例えば、図3に示すように、黄銅等のように銅を主体とした銅合金の母材27の表面に、ニッケルクロム(Ni―Cr)メッキまたは無電解ニッケルメッキ等の不動態化し易い金属の表面処理材料28を施して母材全体を被覆している。
【0027】
これらの金属は、アルミニウム合金との腐食電位差は大きいが熱力学的にカソード分極が大きいためカソード反応とつり合ってアルミニウム合金材料の腐食速度が小さくなることで一般的に不動態金属の類に属している。したがって、これらの金属で母材を被覆することにより循環水と直接接触する前記各配管継手15の表面は前記被覆された表面処理材料28によって水との直接接触が断たれるため、母材から循環水中に銅イオンを溶出することがない。
【0028】
而して、水循環系統中のアルミニウムを主体としたアルミニウム合金で形成される機器の水と直接接触する部材の腐食及び孔食を防止できる。
【0029】
次に本発明の第2実施形態について説明する。
【0030】
なお、本第2実施形態は第1実施形態で説明した配管継手15においてその母材の材料と表面処理材料との組合せを変更したもので、各部材の構造は第1実施形態で説明した図2および図3と同じであるので、同図を用いて説明する。
【0031】
本第2実施形態における配管継手15’ を構成するジョイント22’ とスリーブ25’ およびスリーブナット26’ は、図3に示すようにその母材27’ をアルミニウムと比較的腐食電位差が小さく溶出しにくい鉄鋼材料を用い、その表面にニッケルクロム(Ni―Cr)メッキまたは無電解ニッケルメッキ等の不動態化し易い金属である表面処理材料28’ を施して母材全体を被覆している。
【0032】
これにより、循環水と直接接触する前記各配管継手15’ の表面は前記被覆された表面処理材料28’ によって水との直接接触が断たれると共に、仮に前記表面処理材料の表皮膜が剥がれたとしてもアルミニウム合金材料との腐食電位が近いため接触腐食が生じ難く、よって循環水中に鉄鋼イオンが溶出することがない。
【0033】
次いで本発明第3実施形態について説明する。
【0034】
本第3実施形態も、前述第2実施形態と同様に配管継手15においてその母材の材料と表面処理材料との組合せを変更したもので、この場合配管継手15’’を構成するジョイント22’’とスリーブ25’’,スリーブナット26’’は、図3に示すように銅を主体とした銅合金もしくは鉄鋼材料によりなる母材27’’の表面に電気的絶縁性を有する合成樹脂等の樹脂材料を表面処理材料28’’として用い、これを母材全体に焼付け、又は吹付け、もしくは浸漬等の方法で被覆したものである。
【0035】
従って、循環水と直接接触する前記各配管継手15’’の表面は前記被覆された表面処理材料によって水との直接接触が断たれると共に、銅合金を母材とする配管継手とアルミニウムを主体としたアルミニウム合金部材間の腐食電位差による電子の流れが絶縁されるため、配管の接続部材から循環水中に銅または鉄等の金属イオンが溶出することがなく異種金属間の接触腐食が防止できる。
【0036】
なお、本発明は前述各実施形態に限定されるものではなく、材料等は実施に応じて適宜任意に変更して用いることができる。
【0037】
例えば、配管継手を構成するジョイント,スリーブ,スリーブナットの母材表面に被覆する表面処理材料は上述した材料に限らず、例えばアルミニウム合金と腐食電位差の小さい「卑」の金属すなわち亜鉛または亜鉛系のダクロ処理やジンククロメート処理等で覆うようにしてもよい。
【0038】
このように構成すれば、両金属間の腐食電位差がきわめて小さいことにより溶出の進行が遅くなり腐食が生じない等、要するに本発明の要旨の範囲内において適宜変更可能である。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本願請求項1に係る発明によれば、循環水と直接接触する前記各配管継手の表面は前記被覆された表面処理材料によって水との直接接触が無いため、該配管継手の母材から循環水中に銅イオンが溶出することがない。
【0040】
また、本願請求項2に係る発明によれば、循環水と直接接触する前記各配管継手の表面は前記被覆された表面処理材料によって水との直接接触が断たれると共に、仮に前記表面処理材料の表皮膜が剥がれたとしてもアルミニウム合金材料との腐食電位が近いため接触腐食が生じ難く、よって循環水中に鉄鋼イオンが溶出することがない。
【0041】
さらに、請求項3に係る発明によれば、循環水と直接接触する前記各配管継手の表面を電気的絶縁性を有する樹脂材料で被覆してあるので、前記被覆された表面処理材料によって水との直接接触が断たれると共に、その母材である銅合金とアルミニウムを主体としたアルミニウム合金部材間との腐食電位差による電子の流れが絶縁されるため、前記両材料の接触腐食が防止できる。
【0042】
このように本発明によれば、循環水を媒体とした異種金属の接触腐食を防止できるので、水循環回路中に配置した各機器の全てのアルミニウム合金部材に対して防食することができる。
【0043】
これにより、水循環系統中の配管や各機器に対して、軽量で加工性のよいアルミニウム合金製部材の使用比率を高めて製品全体の軽量化とコストの引き下げが可能となると共に、製品全体の耐久性向上も図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における水噴射コンプレッサの配管系統を示す概略図である。
【図2】本願請求項1に係る発明の実施形態における配管接続部材の断面図である。
【図3】図2の配管接続部材の母材近傍部位における断面図である。
【符号の説明】
1 圧縮機本体
2 ケーシング
4 吐出管
5 レシーバタンク
11 熱交換器
12 水配管
14 冷却配管
15 配管継手
22 ジョイント
23 配管
25 スリーブ
27 母材
28 表面処理材料
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧縮機本体の圧縮作用空間内に水を噴射して該空間内の密封と冷却作用を行うようにした水噴射コンプレッサにおける水循環回路を構成する配管の防食構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の水噴射コンプレッサは、圧縮機本体の作用空間内に水を噴射して該作用空間内の密封と冷却作用を行うと共に、吐出された圧縮空気と水の混合流体をレシーバタンクに一旦貯溜して、ここで圧縮空気と水とを分離後圧縮空気は消費側に、一方、水は前記レシーバタンクの貯水槽から配管を介して熱交換器で冷却後、再度圧縮機本体の作用空間に噴射して冷却等の作用を行い、圧縮空気と混合状態で吐出するいわゆる循環閉回路を構成している。
【0003】
このような水噴射コンプレッサは、作用空間をはじめとして各配管系統中に配置する各機器および配管部材は常時水と直接接触する構造であるので十分な防錆又は防食対策が必要となる。
【0004】
この種のものとして特開平10−141262号公報に示す水潤滑式スクリュ圧縮機が公知である。この圧縮機は、前記防錆対策として圧縮機本体のケーシングをステンレス鋼とすると共に、一対のスクリュロータの一方のロータを熱硬化性合成樹脂で、他方のロータをステンレス鋼により形成している。
【0005】
その他に、吐出空気を貯溜するレシーバタンクの内面には比較的防錆効果の大きい耐沸騰水塗装を施したり、水循環系統の各配管や管継手等には耐食性の黄銅等の銅合金材料を用いて構成している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した水循環系統中の各部材にステンレス鋼を使用したものは高い防錆効果が得られる反面、加工性が悪く高価となる。
【0007】
また、レシーバタンク内面に施す防錆塗装は塗装行程において均一な塗膜を得ることが難しく、かつ十分な乾燥時間を確保して数回の重ね塗りが必要であるなど、その製造工程において多くの工程数を必要とするため生産性低下の原因となっている。
【0008】
それと共に、前記塗膜に塗りムラがあったり塗り残しがあった場合にはその部分から腐食が進行したり、また長期使用の間に塗膜が劣化して防錆効果を退化させる等の問題点を内在している。
【0009】
また、配管や管継手として用いる銅合金製の部材は金属材料の中でも比較的比重量が大きいため、使用箇所が多くなると製品全体の重量増大を招く結果となる他、水循環系統中の各機器、例えば熱交換器や水濾過装置や弁機構等の構成部材に用いているアルミニウム合金製の部材と前記銅合金製の配管部材とが循環水を媒体として接触腐食を引き起こし、前記アルミニウム合金の腐食を促進するという問題点を有している。
【0010】
これは、金属材料の中でもきわめて「卑」すなわち腐食電位によって溶出し易いアルミニウム合金と電位差の大きい銅合金間に、循環水を媒体として両金属間に生ずる電極反応によって循環水中に銅イオンが溶出し、その溶出した銅イオンによって前記アルミニウム合金製の部材が腐食するもので、その一例を掲げるとアルミニウム合金を主材料として軽量化を図っている薄肉の熱交換器等の場合、前記接触腐食が進行した場合には局部的に穴があいてしまう孔食が起こり水漏れする等の不具合を生ずる。
【0011】
この対策として、水と直接接触する前記アルミニウム合金部材の接触部位に防食用の表面処理を施すことも行われているが、数多くある部材全てにこのような処理を施すことは実質的に不可能である。
【0012】
本発明は上記課題を解消し、安価でしかも長期に使用しても腐食のない耐久性のある水噴射コンプレッサ配管の防食構造を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本願請求項1にかかる発明は、圧縮作用空間内に水を噴射して該空間内の密封と冷却作用を行うようにした水噴射コンプレッサにおいて、作用空間を形成する圧縮機本体のケーシングと前記作用空間から吐出された圧縮空気と水の混合流体を貯溜するレシーバタンクと、該レシーバタンクに貯溜した水を熱交換器を介して前記圧縮機本体に配管接続する水循環回路を構成し、前記水循環回路中の配管をアルミニウム合金で形成すると共に、該配管を接続する接続部材は銅を主体とした銅合金材料としその外表面を前記アルミニウム合金に対して腐食電位差の小なる金属材料または不動態化し易い及び/又は不動態材料で覆って構成したことを特徴とする。
【0014】
上記請求項に係る発明によれば、アルミニウム合金製の部材全てに対して防食処理を施す必要はなく、配管中の比較的小さい接続部材に表面処理を施すことで循環水を媒体とした異種金属間の電極反応に伴う接触腐食を防止できるので、レシーバタンク、熱交換器、配管その他の機器においても、アルミニウム合金製部材の使用率を高めて製品本体の軽量化とコスト低減が図れる。
【0015】
また、本願請求項2に係る発明は、前記配管の接続部材は、銅を主体とした銅合金又は鉄鋼材料の母材にニッケルクロム(Ni―Cr)メッキまたは無電解ニッケルメッキで被覆処理したもので、このように構成することにより前者においては配管接続部材の母材から循環水中に銅イオンが溶出することが防止でき、後者においては、アルミニウム合金と比較的腐食電位差が小さく溶出しにくい金属であることから、たとえ水と直接接触したとしてもアルミニウム合金製部材の接触腐食を生ずることがない。
【0016】
さらに、前記配管の接続部材を、銅を主体とした銅合金材料の母材に電気的絶縁性を有する樹脂材料で被覆処理することもできる(請求項3)。
【0017】
上記構成により、前記被覆された樹脂材料によって水との直接接触を無くすと共に、配管接続部材の母材である銅合金材料とアルミニウムを主体とした部材間の腐食電位差による電子の流れが絶縁されるため、前記両材料間での接触腐食が防止できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明水噴射コンプレッサの配管防食構造の一実施形態を図1ないし図3に基づき説明する。
【0019】
1は圧縮機本体で、該圧縮機本体のケーシング2内にはおすめす一対のスクリュロータ3,3’ を噛合回転自在に内装し、作用空間内で圧縮された圧縮空気と水との混合流体を吐出管4を介してレシーバタンク5に圧送すると共に、該レシーバタンク5からは逆止弁6,ドレン分離器7,開閉弁8を介して消費側に接続する圧縮空気の供給配管9が接続している。
【0020】
一方、レシーバタンク5下方の貯水槽10からは該熱交換器11に接続する水配管12と該熱交換器から水フイルタ13を経て圧縮機本体1に接続する冷却配管14が接続され、それぞれ、図2に示すように配管の接続部材である配管継手15を介して接続することによって、水の循環閉回路を構成している。
そして、これらの各配管を接続する接続部材の多くは、被接続側となる各機器のボス20に設けた螺合ねじ22にその一端をねじ込み螺合固定するジョイント22と、配管23(水配管12,冷却配管14)の機器側外端24に外嵌するスリーブ25を介して前記ジョイント22の他端に内挿し、スリーブナット26によりジョイント22と配管23とを緊締して外部との水密を保つように構成している。
【0021】
このように構成する本発明水噴射コンプレッサの空気と水の経路について説明すると、吸入空気Aは圧縮機本体1の吸入口に設けたエアフイルタ16を通過後圧縮機本体1内で圧縮され冷却配管14から供給された水と混合状態で吐出管4を介してレシーバタンク5に圧送され一旦貯溜する。
【0022】
そして、ここで圧縮空気と水とが分離され、圧縮空気は供給配管9を介して消費側に、水はレシーバタンク5下方の貯水槽10に貯溜後、水配管12を介して熱交換器11で冷却された後、冷却配管14から圧縮機本体1内に再度噴射され冷却等の作用を行い混合気体として吐出する工程を反復する。
【0023】
なお30は循環水補給用の給水管,31は給水弁,32は圧縮機本体を駆動するモータ又はエンジン等の原動機である。
【0024】
次に、前述した主な機器または部材主要部の使用材料について説明する。
【0025】
レシーバタンク5は、アルミニウムを主体とした特殊合金製で圧縮空気圧力に耐え得る十分な強度をもって構成され、熱交換器11も熱伝導率の高いアルミニウムを主体としたアルミニウム合金で構成された水冷式もしくは空冷式であり、該熱交換器内の流路を通過する冷却媒体としての水を効率よく冷却するように設計されると共に、耐圧に対しても十分な強度を保持している。
【0026】
また、前記各機器間に接続する各配管(吐出管4,水配管12,冷却配管14等)も同様に、アルミニウムを主体としたアルミニウム合金で構成される一方、配管の接続部材である配管継手15、すなわちジョイント22およびスリーブ25およびスリーブナット26は、例えば、図3に示すように、黄銅等のように銅を主体とした銅合金の母材27の表面に、ニッケルクロム(Ni―Cr)メッキまたは無電解ニッケルメッキ等の不動態化し易い金属の表面処理材料28を施して母材全体を被覆している。
【0027】
これらの金属は、アルミニウム合金との腐食電位差は大きいが熱力学的にカソード分極が大きいためカソード反応とつり合ってアルミニウム合金材料の腐食速度が小さくなることで一般的に不動態金属の類に属している。したがって、これらの金属で母材を被覆することにより循環水と直接接触する前記各配管継手15の表面は前記被覆された表面処理材料28によって水との直接接触が断たれるため、母材から循環水中に銅イオンを溶出することがない。
【0028】
而して、水循環系統中のアルミニウムを主体としたアルミニウム合金で形成される機器の水と直接接触する部材の腐食及び孔食を防止できる。
【0029】
次に本発明の第2実施形態について説明する。
【0030】
なお、本第2実施形態は第1実施形態で説明した配管継手15においてその母材の材料と表面処理材料との組合せを変更したもので、各部材の構造は第1実施形態で説明した図2および図3と同じであるので、同図を用いて説明する。
【0031】
本第2実施形態における配管継手15’ を構成するジョイント22’ とスリーブ25’ およびスリーブナット26’ は、図3に示すようにその母材27’ をアルミニウムと比較的腐食電位差が小さく溶出しにくい鉄鋼材料を用い、その表面にニッケルクロム(Ni―Cr)メッキまたは無電解ニッケルメッキ等の不動態化し易い金属である表面処理材料28’ を施して母材全体を被覆している。
【0032】
これにより、循環水と直接接触する前記各配管継手15’ の表面は前記被覆された表面処理材料28’ によって水との直接接触が断たれると共に、仮に前記表面処理材料の表皮膜が剥がれたとしてもアルミニウム合金材料との腐食電位が近いため接触腐食が生じ難く、よって循環水中に鉄鋼イオンが溶出することがない。
【0033】
次いで本発明第3実施形態について説明する。
【0034】
本第3実施形態も、前述第2実施形態と同様に配管継手15においてその母材の材料と表面処理材料との組合せを変更したもので、この場合配管継手15’’を構成するジョイント22’’とスリーブ25’’,スリーブナット26’’は、図3に示すように銅を主体とした銅合金もしくは鉄鋼材料によりなる母材27’’の表面に電気的絶縁性を有する合成樹脂等の樹脂材料を表面処理材料28’’として用い、これを母材全体に焼付け、又は吹付け、もしくは浸漬等の方法で被覆したものである。
【0035】
従って、循環水と直接接触する前記各配管継手15’’の表面は前記被覆された表面処理材料によって水との直接接触が断たれると共に、銅合金を母材とする配管継手とアルミニウムを主体としたアルミニウム合金部材間の腐食電位差による電子の流れが絶縁されるため、配管の接続部材から循環水中に銅または鉄等の金属イオンが溶出することがなく異種金属間の接触腐食が防止できる。
【0036】
なお、本発明は前述各実施形態に限定されるものではなく、材料等は実施に応じて適宜任意に変更して用いることができる。
【0037】
例えば、配管継手を構成するジョイント,スリーブ,スリーブナットの母材表面に被覆する表面処理材料は上述した材料に限らず、例えばアルミニウム合金と腐食電位差の小さい「卑」の金属すなわち亜鉛または亜鉛系のダクロ処理やジンククロメート処理等で覆うようにしてもよい。
【0038】
このように構成すれば、両金属間の腐食電位差がきわめて小さいことにより溶出の進行が遅くなり腐食が生じない等、要するに本発明の要旨の範囲内において適宜変更可能である。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本願請求項1に係る発明によれば、循環水と直接接触する前記各配管継手の表面は前記被覆された表面処理材料によって水との直接接触が無いため、該配管継手の母材から循環水中に銅イオンが溶出することがない。
【0040】
また、本願請求項2に係る発明によれば、循環水と直接接触する前記各配管継手の表面は前記被覆された表面処理材料によって水との直接接触が断たれると共に、仮に前記表面処理材料の表皮膜が剥がれたとしてもアルミニウム合金材料との腐食電位が近いため接触腐食が生じ難く、よって循環水中に鉄鋼イオンが溶出することがない。
【0041】
さらに、請求項3に係る発明によれば、循環水と直接接触する前記各配管継手の表面を電気的絶縁性を有する樹脂材料で被覆してあるので、前記被覆された表面処理材料によって水との直接接触が断たれると共に、その母材である銅合金とアルミニウムを主体としたアルミニウム合金部材間との腐食電位差による電子の流れが絶縁されるため、前記両材料の接触腐食が防止できる。
【0042】
このように本発明によれば、循環水を媒体とした異種金属の接触腐食を防止できるので、水循環回路中に配置した各機器の全てのアルミニウム合金部材に対して防食することができる。
【0043】
これにより、水循環系統中の配管や各機器に対して、軽量で加工性のよいアルミニウム合金製部材の使用比率を高めて製品全体の軽量化とコストの引き下げが可能となると共に、製品全体の耐久性向上も図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における水噴射コンプレッサの配管系統を示す概略図である。
【図2】本願請求項1に係る発明の実施形態における配管接続部材の断面図である。
【図3】図2の配管接続部材の母材近傍部位における断面図である。
【符号の説明】
1 圧縮機本体
2 ケーシング
4 吐出管
5 レシーバタンク
11 熱交換器
12 水配管
14 冷却配管
15 配管継手
22 ジョイント
23 配管
25 スリーブ
27 母材
28 表面処理材料
Claims (3)
- 圧縮作用空間内に水を噴射して該空間内の密封と冷却作用を行うようにした水噴射コンプレッサにおいて、作用空間を形成する圧縮機本体のケーシングと前記作用空間から吐出された圧縮空気と水の混合流体を貯溜するレシーバタンクと、該レシーバタンクに貯溜した水を熱交換器を介して前記圧縮機本体に配管接続する水循環回路を構成し、前記水循環回路中の配管をアルミニウム合金で形成すると共に、該配管を接続する接続部材は銅を主体とした銅合金材料としその外表面を前記アルミニウム合金に対して腐食電位差の小なる金属材料または不動態化し易い及び/又は不動態材料で覆って構成したことを特徴とする水噴射コンプレッサ配管の防食構造。
- 前記配管の接続部材は、銅を主体とした銅合金又は鉄鋼材料の母材をニッケルクロム(Ni―Cr)メッキまたは無電解ニッケルメッキで被覆処理したことを特徴とする請求項1記載の水噴射コンプレッサ配管の防食構造。
- 前記配管の接続部材を、銅を主体とした銅合金材料の母材を電気的絶縁性を有する樹脂材料で被覆処理したことを特徴とする請求項1記載の水噴射コンプレッサ配管の防食構造。
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