JP3554645B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、感光体に接触した状態でその感光体を帯電する帯電部材と、その帯電部材の表面温度又はその表面付近の温度を検知する温度検知手段とを備えた複写機,プリンタ,ファクシミリ等の画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、静電複写機,プリンタ等の画像形成装置は、被帯電体である感光体を帯電処理する帯電装置を備えているが、近年ではその帯電装置として感光体に帯電部材である帯電ローラを接触(非接触で近接させるものもある)させて、その状態で帯電する接触帯電方式の帯電装置が注目されている。
このような接触帯電方式の帯電装置に使用される帯電ローラは、感光体に連れ回りされて回転するものが多い。このような帯電ローラの場合には、感光体と接する部分は弾性を有する必要があるため、その部分は例えば導電性のゴム材で形成されている。
【0003】
ところが、このようなゴム材は、一般的にその周囲の温度や湿度等の周囲の環境条件によって電気導電性が変化する性質がある。例えば、高温高湿のもとでは電気導電性が大きくなり、低温低湿のもとでは電気導電性が小さくなる。したがって、常に一定の電圧を帯電ローラに印加していたのでは所望の帯電電位を得ることができないということがあった。
そこで、従来の接触帯電方式の帯電装置には、帯電ローラの最外層の部分の温度をセンサで検出し、その検出温度に応じて帯電ローラに印加する電圧を可変するようにしたものがある(例えば特開平4−186381号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような帯電装置であっても、その帯電装置を搭載した例えば静電複写機を、冬場に暖房のない低い温度の倉庫内から出してそれを暖房のきいた室内に移動させたり、逆にその暖房のきいた部屋から空調設備のない温度が低い部屋に移動させ、その直後に複写動作を開始したときには、安定した電位が得られないために良好な画像が得られないことがあるという問題点があった。
【0005】
すなわち、上述したように静電複写機等の画像形成装置を温度や湿度等の環境条件が大きく異なる場所に移動させた直後に画像形成動作を開始させたときには、帯電ローラの表面は比較的早い段階に周囲の環境条件になじむが、一般的に帯電ローラの表面側の弾性部はゴム材等の熱伝導が悪い材料で形成されているため、ローラの中心に近い側はまだ周囲の環境条件になじんでいない場合が多い。
そのため、帯電ローラの表面温度を検知して、その検知温度に応じて帯電ローラに印加する印加電圧を制御するようにしても、帯電ローラの中心に近い側はその検知温度とは異なる温度にあるため、感光体を最適な帯電電位に帯電させることができないということがあった。
【0006】
この発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、帯電ローラ等の帯電部材が搭載された画像形成装置を周囲温度が大きく異なる場所に移動させた後、比較的早い時期に画像形成動作を開始させても、常に感光体を安定した帯電電位に帯電させることができるようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の目的を達成するため、電源をオン・オフするメインスイッチと、回転する感光体と、その感光体に接触した状態で電圧が印加されることにより感光体を帯電する帯電部材と、その帯電部材の表面温度又はその表面付近の温度を検知する温度検知手段と、その温度検知手段が検知した検知温度に応じて帯電部材に印加する印加電圧を制御する印加電圧制御手段とを備えた画像形成装置に、次の各手段を設ける。
【0008】
すなわち、上記検知温度を記憶する記憶手段と、メインスイッチがオフされた後に再びオンされたときには上記オフされていた時間が所定時間以下のときはメインスイッチのオン直後に温度検知手段が検知した検知温度と上記記憶手段に記憶されているメインスイッチがオフされる直前の検知温度との温度差が所定の温度以上であるときには印加電圧を上記温度差に応じて補正し、その補正をメインスイッチがオンされてから所定時間経過するまで、あるいは所定の枚数の画像形成が行なわれるまで実行し、その後は解除する印加電圧補正手段とを設ける。
【0009】
このようにすれば、画像形成装置を温度が大きく異なる場所に移動した直後に画像形成動作を開始させると、そのとき帯電部材はその表面部と中心付近の内層部とでは温度差があるために、その表面部分の温度を基にして印加電圧を制御したときには感光体を目的とする帯電電位にすることができないが、メインスイッチのオン直後に温度検知センサが検知した検知温度とメインスイッチがオフされる直前の検知温度との温度差が所定の温度以上であるときには、帯電部材に印加する印加電圧が上記温度差に応じて補正されるので、感光体を目的とする帯電電位に帯電することができる。
【0010】
そして、上記補正は、メインスイッチがオンされてから所定時間経過するまで、あるいは所定の枚数の画像形成が行なわれる間だけ実行され、その後は解除されるので、帯電部材がその表面部と中心付近とで温度差が殆どなくなった段階では上記補正が行なわれなくなる。したがって、不必要な補正が行なわれることがない。
【0011】
また、上記印加電圧補正手段が、上記温度差がメインスイッチのオン直後に温度検知手段により検知した検知温度がメインスイッチがオフされる直前の検知温度よりも低くて上記所定の温度以上であるときには、印加電圧を上記温度差に応じてその印加電圧を絶対値で低い電圧になる側に補正する手段であるようにするとよい。
このようにすれば、画像形成装置が暖かい場所から急に寒い場所に移動されたときであっても、その温度差に応じて帯電部材に印加される印加電圧が絶対値で低い電圧になる側に補正されるので、常に安定した帯電電位が得られる。
【0012】
さらに、上記印加電圧補正手段が、上記温度差がメインスイッチのオン直後に温度検知手段により検知した検知温度がメインスイッチがオフされる直前の検知温度よりも高くて上記所定の温度以上であるときには、印加電圧を上記温度差に応じてその印加電圧を絶対値で高い電圧になる側に補正する手段であるようにするとよい。
このようにすれば、画像形成装置が寒い場所から急に暖かい場所に移動されたときであっても、その温度差に応じて帯電部材に印加される印加電圧が絶対値で高い電圧になる側に補正されるので、常に安定した帯電電位が得られる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1はこの発明の一実施形態例を示す画像形成装置である静電複写機をそれが有する各機能実現手段と共に示す構成図、図2は同じくその静電複写機に設けられている帯電部材である帯電ローラの表面温度を検知する温度検知センサを帯電ローラに接触させた状態で示す概略図、図3は同じくその温度検知センサを帯電ローラに対して非接触の位置に移動させた状態を示す概略図である。
【0014】
この画像形成装置である静電複写機(アナログコピー機)は、図1に示すように電源をオン・オフするメインスイッチ3と、回転する感光体1と、その感光体1に接触した状態で電圧が高圧電源回路24から印加されることにより感光体1を画像部表面電位Vs が−900Vになるように帯電する帯電部材である帯電ローラ2と、その帯電ローラ2の表面温度及びその表面付近の温度を検知する温度検知手段である例えばサーミスタからなる温度検知センサ20と、その温度検知センサ20が検知した検知温度に応じて帯電ローラ2に印加する印加電圧を制御する印加電圧制御手段となる印加電圧制御回路22とを備えている。
【0015】
また、この静電複写機は、温度検知センサ20が検知した検知温度を記憶する記憶手段4と、メインスイッチ3がオフされた後に再びオンされたときにはそのオフされていた時間(タイマ38により計測)が所定時間以下のときはメインスイッチ3のオン直後に温度検知センサ20が検知した検知温度とメインスイッチ3がオフされる直前の検知温度との温度差が所定の温度以上であるときには高圧電源回路24により帯電ローラ2に印加する印加電圧を上記温度差に応じて補正し、その補正をメインスイッチ3が再びオンされてから所定時間経過するまで(あるいは所定の枚数の画像形成が行なわれるまでとしてもよい)実行し、その後は解除する印加電圧補正手段5とを設けている。
【0016】
感光体1は、ドラム状に形成されていて、ドラム駆動タイミングベルト,ドラム駆動プーリ,それらを駆動するモータ(いずれも図示を省略している)等からなる感光体駆動系によって矢示A方向に線速200mm/sec になる周速度で回転し、その表面には常に帯電ローラ2が、図示しない加圧バネの付勢力により、例えば接触圧10g/cm(略線接触)で圧接していて、その帯電ローラ2が連れ回りにより矢示方向に等速で従動回転するようになっている。
【0017】
そして、この感光体1と、帯電ローラ2を有する帯電装置と、その帯電ローラ2の表面を清掃するローラクリーナ9と、クリーニングブレード8を有するクリーニング装置と、トナー回収部11とが、一体のプロセスカートリッジ10に形成されている。
その感光体1の回りには、イレーサ18と、現像装置6と、無端ベルトを有する接触型の転写装置である転写ユニット7とがそれぞれ配設されている。なお、13は転写紙P上に転写したトナー像を加熱しながら加圧して定着する定着装置である。
【0018】
温度検知センサ20は、帯電ローラ2の表面に対して接する図2に示す接触位置と、接しない図3に示す非接触位置とに接離機構40により移動される。
そして、その接離機構40は、図1に示す駆動系動作制御手段39により駆動が制御され、その駆動系動作制御手段39はこの静電複写機に設けられているその他の駆動系の駆動制御も行なう。
また、この静電複写機は、温度検知センサ20の温度検知素子25(図4及び図5で後述する)の検知温度に応じて変わる電気抵抗の変化を電圧等の電気信号に変換して読み取り、その検知温度に対応した出力信号を出力する電気信号変換回路21も有している。
【0019】
そして、その電気信号変換回路21からの出力信号に応じて、印加電圧制御回路22が高圧電源回路24による帯電ローラ2への印加電圧を制御する。
その印加電圧制御回路22は、電気信号変換回路21からの出力信号に応じて、予め定められた制御テーブル(後述する図6を参照)にしたがって決定される印加電圧を帯電ローラ2へ印加させるための信号を高圧電源回路24へ出力する。
また、この静電複写機は、温度検知センサ20が上記接触位置にある時には高圧電源回路24により帯電ローラ2に電圧を印加させないようにする電圧印加停止手段30も設けている。
【0020】
この静電複写機は、複写プロセスが開始されると、図示しない露光装置からの光Lが感光体1の表面1aに入射して、帯電ローラ2によって一様に帯電された帯電面が露光されてそこに静電潜像が形成される。この際、帯電面はイレーサ18によって使用される転写紙のサイズより外側の領域部分の静電荷が除去(トリミング)されている。そして、その静電潜像が現像装置6の現像スリーブによって供給されるトナーにより現像されてトナー像(可視像)となる。
【0021】
一方、給紙カセット(図示せず)内の転写紙は、所定のタイミングで回転する給紙ローラにより1枚ずつ送り出され、それがレジストローラ対14で一旦停止されてタイミング調整された後に、感光体1上のトナー像と一致する正確なタイミングで転写ユニット7が設けられている転写部に向けて搬送される。
【0022】
その転写紙Pは、転写ユニット7によって転写バイアスが印加されて図1で上面側にトナー像が転写され、それが感光体1から分離されて定着装置13へ搬送され、そこでトナーが定着された後に装置外部の排紙トレイ等へ排出される。
そして、その転写終了後に感光体1上に残った残留トナー及び紙粉等の異物は、クリーニングブレード8により取り除かれ、その感光体1上に残った残留電位は除電装置(図示せず)により取り除かれて、次の帯電ローラ2による帯電に備える。
【0023】
帯電ローラ2は、図2に示すように鉄等からなる導電性芯金15の外側に、例えばエピクロルヒドリンゴムにより外径を14mmに形成した導電性ゴムローラ部16を一体に装着したものであり、その導電性芯金15の両端が軸受17,17でそれぞれ回転自在に支持されていて、その各軸受17がそれを保持する部材を介して図示しない加圧バネによって感光体1方向に付勢されて、その帯電ローラ2の軸線が感光体1の軸線に平行する状態で感光体1の表面1aに接している。
【0024】
その帯電ローラ2の導電性芯金15は、例えば直径が8mmに形成されていて、そこに帯電ローラ2に電圧を印加する高圧電源回路24から帯電バイアス電圧(図6で後述するように帯電ローラ表面温度に応じて変化する印加電圧)が印加されるようになっており、それによって感光体1の表面1aが一様に帯電される。
【0025】
帯電ローラ2の表面温度を検知する温度検知センサ20は、図4に示すように間隔を置いて平行に並べた導電性板バネ26,26の先端部分の間に温度検知素子25を、図5に示すように、その周囲にシリコングリス27を充填することによって仮り止めし、その同図で下面側に例えばポリイミドアミドによって形成した厚さ10μm程度のフィルム材28を、上面側に例えばフッ素樹脂(テフロン)によって形成した同程度の厚さのフィルム材29を、それぞれ導電性板バネ26,26を挾むように接着により固定保持している。
【0026】
なお、この温度検知素子25は、温度により抵抗値が変化する素子であり、ポリイミドアミドのフィルム材28を介して帯電ローラ2の表面に接する。
その温度検知素子25が取り付けられている対の導電性板バネ26,26は、図4に示すように互いに非接触の状態で、樹脂製の絶縁部材31に一端部がそれぞれ固定されていて、それらがリード線36a,36bにそれぞれ接続されている。そして、その絶縁部材31が図2に示すようにブラケット32に固定保持されている。
【0027】
そのブラケット32は、軸33によって図2の矢示B方向に回動可能に支持されていて、その軸33に巻き掛けられたネジリバネ35によって常に導電性板バネ26が帯電ローラ2に接触する方向に回動付勢されている。
そして、その回動位置が、ブラケット32の下縁部がストッパ軸34に当接する図示の位置で規制されるようになっている。
【0028】
ブラケット32には、レバー部32aが形成されていて、そこに接離機構40の解除レバー23の係合端23aが係合可能になっている。
そして、その接離機構40によって、温度検知センサ20の温度検知素子25をフィルム材28(図5)を介して帯電ローラ2の表面に接触させる図2に示す接触位置と、それを接触させない図3に示す非接触位置とに移動させることができるようになっている。
【0029】
その接離機構40は、長孔23b内に段付きネジ41が嵌入されて図3で左右方向に移動可能に保持された解除レバー23と、その解除レバー23を同図で右方へ付勢する引っ張りバネ43と、作動時(オン時)には引っ張りバネ43の付勢力に抗して解除レバー23を図で左方に移動させるソレノイド45とからなる。
【0030】
この静電複写機は、温度検知センサ20が帯電ローラ2の表面あるいはその近傍の温度から帯電ローラ2の表面温度を検知し、その検知温度に応じて変化する電気抵抗を電気信号変換回路21が電圧等の電気信号に変換して読み取り、その検知温度に対応した出力信号を印加電圧制御回路22に出力する。
その印加電圧制御回路22は、その入力した電気信号に基づいて高圧電源回路24により帯電ローラ2に印加させる印加電圧を決定して、その印加電圧になるように高圧電源回路24の出力電圧を制御する。
【0031】
なお、ここで行なう印加電圧の制御は、図6に示すような帯電電位を一定に維持するために必要な帯電ローラの表面温度と印加電圧との関係に従って行なう。したがって、その印加電圧は、温度検知センサ20が検知した温度に応じてその都度変化する。
このようにして、印加電圧が決定されると、高圧電源回路24はその決定された印加電圧になる出力電圧を帯電ローラ2に印加する。
【0032】
この静電複写機の複写動作は、図8に示すようにプリントキー51(図2)が押されてプリント信号を入力(ON)すると開始される。すなわち、プリント信号がONになってから時間t1 後に、帯電ローラ2に帯電バイアス電圧(印加電圧)を印加させるのに先立ってソレノイド45がオンになる。
【0033】
すると、図2に示した解除レバー23が図3に示した位置に引っ張りバネ43の付勢力に抗して移動されるため、その解除レバー23の係合端23aがブラケット32のレバー部32aに当接してそれを同図で左方側へ押すため、ブラケット32が軸33を中心として同図で反時計回り方向に回動する。
【0034】
したがって、そのブラケット32に固定保持されている温度検知センサ20が同方向に回動され、導電性板バネ26の先端部分に固定されている温度検知素子25が帯電ローラ2の表面から離間し、温度検知センサ20が図3に示す非接触位置になる。
【0035】
また、ソレノイド45がオンになってから時間t2 (図8)が経過すると、感光体1を回転させる駆動系を駆動させて感光体1を図1の矢示A方向に回転させる。それによって、その感光体1の表面1aに所定の接触圧で接している帯電ローラ2が連れ回りで矢示方向に回転する。
【0036】
さらに、ソレノイド45がオンになってから時間t3 (時間t2 よりも長い)が経過すると、高圧電源回路24から帯電ローラ2に対して帯電バイアス電圧が印加される。その電圧の印加が終了した後の時間t4 後にソレノイド45をオフにする。
そして、そのソレノイド45がオフになってから時間t5 (任意のタイミング)後に再びプリントキーが押されてプリント信号を入力(ON)すると、前述した複写プロセスが繰り返し実行される。
【0037】
このように、この静電複写機は、複写プロセスが停止中のときはソレノイド45がオフ状態であり、そのときは温度検知センサ20が接触位置(図2の位置)にあって温度検知素子25がフィルム材28(図5)を介して感光体1の表面に接しており、その時に高圧電源回路24から帯電ローラ2には電圧が印加されない。
【0038】
そして、その帯電ローラ2に電圧が印加されるのは、複写プロセスが実行中のときであり、その時は図8に示すようにソレノイド45がオンになるため温度検知センサ20は図3に示した非接触位置になる。したがって、この時に帯電ローラ2に高電圧が印加されても、その帯電ローラ2から離間した位置にある温度検知センサ20には電気的な影響が全くなく、何ら障害も起きない。
したがって、その温度検知センサ20を介して画像形成装置全体の制御系に電気的なノイズが侵入したり、絶縁耐圧不足により回路に短絡が発生したりする恐れもないので、誤動作も生じない。
【0039】
ところで、従来の静電複写機を、例えば冬場に空調設備のある部屋で温められた状態から、空調設備のない低い温度状態にある例えばプレハブの仮事務所等に貸し出したとする。このとき、空調設備のある部屋で使用されていたときにメインスイッチがオフされる直前の帯電ローラ表面の検知温度が35℃であったものが、空調設備のない仮事務所等に移動した後は16℃にまで下がっていたとする。
【0040】
このように、帯電ローラ表面の検知温度が下がっても、図6で説明したような帯電ローラ表面温度と印加電圧との関係にしたがって帯電ローラに印加する電圧を制御さえすれば、一見問題がないように思える。
ところが、従来の静電複写機における課題で説明したように、帯電ローラの弾性部は一般的にゴム材で形成されていて、そのゴム材は熱伝導が悪いため、上記のように環境温度が急激に変化したときにはその帯電ローラは表面付近の温度とローラ中心付近(内層部分)の温度とではかなりの温度差があるのが普通である。
【0041】
そのため、同一の温度(同一環境)のもとで長時間放置された後の静電複写機の帯電ローラの検知温度と、温度差の大きな場所に急激に移動した直後の静電複写機の帯電ローラの検知温度とが同じであったとしても、その帯電ローラに同じ印加電圧を印加したときには感光体上の帯電電位に差が生じてしまう。
【0042】
図7はこのように帯電電位に差が生じてしまうのを実験により確認したデータであり、通紙枚数と帯電電位との関係をグラフ状に示してある。
この実験は、2つの実験槽を使用し、第1の実験槽の槽内温度を23℃で湿度65%に、第2の実験槽の槽内温度を10℃で湿度15%に予め設定してある。
【0043】
そして、最初に静電複写機を第1の実験槽の中に12時間放置した後、4000枚の転写紙に連続で繰返し複写プロセスを実行する。その4000枚の複写プロセスの実行後はメインスイッチをオフにして、その静電複写機を第2の実験槽に移動した。その際、メインスイッチをオフにした直前の帯電ローラの検知温度は38℃であった。
【0044】
さらに、その第2の実験槽で、そこに移動した静電複写機を2時間放置し、その後で再び4000枚分の複写プロセスを連続で繰返し実行した。その複写プロセス再開時(転写紙1枚目)の帯電ローラの検知温度は17℃であった。
そして、この実験では、第1と第2の実験槽でそれぞれ行なった複写プロセスの実行中に帯電ローラの表面温度をその都度検知し、その検知温度に応じで図6で説明した印加電圧を帯電ローラに印加したときに得られた帯電電位をグラフ上にそれぞれプロットしている。
【0045】
なお、この第1の実験槽内に静電複写機を設置して、4000枚の複写プロセスを連続で繰返し実行した際の帯電ローラの表面温度の変化は25℃〜38℃であった。また、第2の実験槽内で静電複写機を動作させて4000枚の複写プロセスを連続で繰返し実行した際の帯電ローラの表面温度の変化は15℃〜25℃であった。
【0046】
この実験結果から明らかなように、静電複写機をある環境条件のもとで複写プロセスを連続で実行した後にメインスイッチを一旦切り、その静電複写機を以前よりもかなり低い温度の場所に移動させ、その環境温度が変化して間もないタイミングで複写プロセスを再開したときに、その際検知した帯電ローラの表面温度に応じて図6で説明した印加電圧を帯電ローラに印加しただけでは、印加電圧が図7に四角印でプロットしたように、良好な画像が得られる帯電電位Vs の許容領域である−860〜−960Vの範囲から大幅に外れてしまう。
したがって、この場合には画像濃度が高くなって、地肌汚れが発生してしまうので、良好な画像が得られない。
【0047】
しかしながら、この実施の形態による静電複写機は、前述したように図1のメインスイッチ3がオフされた後に再びオンされたときにはそのオフされていた時間が所定時間以下のときはメインスイッチ3のオン直後に温度検知センサ20が検知した検知温度とメインスイッチ3がオフされる直前の検知温度との温度差が所定の温度以上であるときには高圧電源回路24により帯電ローラ2に印加する印加電圧を上記温度差に応じて補正し、その補正をメインスイッチ3が再びオンされてから所定時間経過した後に解除する印加電圧補正手段5を設けているので、上述したように帯電電位が許容領域から外れてしまうようなことがない。
【0048】
すなわち、この実施の形態による静電複写機は、上述したように静電複写機を周囲環境が大きく異なる場所に移動した直後に複写動作させた際に、帯電ローラ2の表面部と中心付近の内層部とで温度差があるために、その表面温度を基にして印加電圧を制御した場合には感光体1上に目的とする帯電電位が得られない場合であっても、メインスイッチ3のオン直後に温度検知センサ20が検知した検知温度とメインスイッチ3がオフされる直前の検知温度との温度差が所定の温度以上であるときには帯電ローラ2に印加する印加電圧を上記温度差に応じて補正するので、目的とする帯電電位にすることができる。
【0049】
つまり、上記のように静電複写機を高い室温の場所から低い室温の場所へ移動させ、その移動後の比較的早い段階で複写動作を再開した場合には、その再開時に温度検知センサ20が検知した検知温度とメインスイッチ3がオフされる直前の検知温度との温度差が所定の温度以上であるときには、帯電ローラ2に印加する印加電圧が、図6で説明した印加電圧に絶対値でそれを低くするような印加電圧を印加するように補正が加えられる。
【0050】
図9は、上述した場合と逆に静電複写機を低い温度の環境から高い温度の場所に移動させた場合の不都合を確認した実験結果を示すものである。
この実験では、最初に第2の実験槽の槽内温度を10℃で湿度を15%にし、その中に静電複写機を12時間放置した後、500枚の転写紙に連続で繰返し複写プロセスを実行した。そして、その500枚の複写プロセスの実行後にメインスイッチをオフにして、その静電複写機を槽内温度が23℃で湿度が65%の第1の実験槽に移動させた。その際、メインスイッチをオフにした直前の帯電ローラの検知温度は13℃であった。
【0051】
その第1の実験槽で静電複写機を2時間放置後に、再び4000枚分の複写プロセスを連続で繰返し実行した。その複写プロセス再開時(転写紙1枚目)の帯電ローラの検知温度は25℃であった。
そして、この実験では、第1と第2の実験槽でそれぞれ行なった合計で4500枚の複写プロセスの実行中に帯電ローラの表面温度をその都度検知し、その検知温度に応じで図6で説明した印加電圧を帯電ローラに印加したときに得られた帯電電位をグラフ上にそれぞれプロットしたものが図9である。
【0052】
なお、この第2の実験槽内に静電複写機を設置して、500枚の複写プロセスを連続で繰返し実行した際の帯電ローラの表面温度の変化は11℃〜13℃であった。また、第1の実験槽内で静電複写機を動作させて4000枚の複写プロセスを連続で繰返し実行した際の帯電ローラの表面温度の変化は25℃〜35℃であった。
【0053】
この実験結果から明らかなように、静電複写機をある環境条件のもとで複写プロセスを連続で実行した後にメインスイッチを一旦切り、その静電複写機を以前よりもかなり高い温度の場所に移動させ、その環境温度が変化して間もないタイミングで複写プロセスを再開したときに、その際検知した帯電ローラの表面温度に応じて図6で説明した印加電圧を帯電ローラに印加しただけでは、印加電圧が図9に三角印でプロットしたように、良好な画像が得られる帯電電位Vs の許容領域である−860〜−960Vの範囲から大幅に外れてしまう。
したがって、この場合には画像濃度が低くなってしまうため、良好な画像が得られない。
【0054】
しかしながら、この実施の形態による静電複写機は、前述した高い温度から低い温度の場所に移動させたときと同様に、メインスイッチ3のオン直後に温度検知センサ20が検知した検知温度とメインスイッチ3がオフされる直前の検知温度との温度差が所定の温度以上であるときには高圧電源回路24により帯電ローラ2に印加する印加電圧を上記温度差に応じて、帯電ローラ2に印加する印加電圧を図6で説明した印加電圧に絶対値でそれを高くするような印加電圧を印加するように補正するので、目的とする帯電電位にすることができる。
したがって、最適な濃度の画像が得られる。
【0055】
このように、この静電複写機は、帯電ローラ2に印加する印加電圧の補正を行なうが、その制御は図2に示すマイクロコンピュータ50が行なう。そのマイクロコンピュータ50は、各種判断及び処理機能を有する中央処理装置(CPU)と、各種の動作を所定のタイミングで行なわせるために必要な各種プログラム及び固定データを格納したプログラムメモリであるROMと、入力データやCPUによる処理データを格納するデータメモリであるRAMと、入出力回路(I/O)とによって構成されており、タイマ機能も有している。
【0056】
図10はそのマイクロコンピュータ50が行なう印加電圧補正処理に関するルーチンを示すフロー図である。
なお、この静電複写機は、ユーザへ納品されてサービスマンが使用可能な状態にセットした後は、差し込みプラグをコンセントから引き抜いたり、そのプラグがコンセントに差し込まれた状態でメインスイッチ3がオフにされても、内部の電源により上記マイクロコンピュータ50が常に動作するようになっている。
【0057】
そのマイクロコンピュータ50は、図10のルーチンがスタートすると、まずステップ1でメインスイッチ3がオフ状態にあるか否かを判断し、オフになっていなければそれがオフになるまで待って、オフになるとステップ2ヘ進む。
そのステップ2ではタイマ38(図1)をスタートさせ、メインスイッチ3がオフになってからの時間の計測を開始させる。
【0058】
次のステップ3では、メインスイッチ3が再びオンされたか否かを判断し、オフ状態のままであるときにはそのまま待って、それがオンされるとステップ4へ進む。
そのステップ4では、ステップ1でメインスイッチ3のオフを確認してからタイマ38がそれまでに計測した経過時間、すなわちメインスイッチ3がオフされた後に再びオンされるまでのオフされていた経過時間をメモリに記憶させる。
【0059】
次のステップ5では、ステップ4で記憶させた経過時間が予めメモリに記憶されている所定時間A(任意に設定できる)以下であるか否かを判断する。
それが所定時間A以下でなければ(NOの判断)、静電複写機はメインスイッチ3がオフされた後に十分時間が経過した後にメインスイッチ3が再びオンされたものであり、帯電ローラ2の導電性ゴムローラ部16は表面と中心部付近とで温度差が殆どなくなっているので、印加電圧の補正は必要ない。
【0060】
したがって、ステップ6へ進んで、現在の帯電ローラ2の検知温度TB に応じて、図6で説明した印加電圧を帯電ローラ2に対して印加するように制御して、このルーチンの処理を終了し、メインルーチンへリターンする。
【0061】
一方、ステップ5の判断で、経過時間が所定時間A以下であるときにはステップ7へ進んで、プリントキー51(図2)がオンにされてプリント信号(図8参照)が入力されているか否かを判断する。
そのプリントキー51が押されていなければそのまま待って、それが押されるとステップ8へ進んで、現在の帯電ローラ2の検知温度TB を温度検知センサ20から入力する。
【0062】
さらに、次のステップ9で、メモリに記憶されているメインスイッチ3がオフされる直前の検知温度TA を呼び出し、ステップ10でその検知温度TA と前述した検知温度TB の温度差が所定の温度(任意に設定できる)以上であるか否かを判断し、それが所定の温度以上でなければ前述したステップ6の処理を行ない、所定の温度以上であればステップ11へ進む。
【0063】
そのステップ11では、検知温度TA と検知温度TB の温度差に応じて帯電ローラ2に印加する電圧の補正を行なう。
すなわち、検知温度TA が検知温度TB よりも所定の温度以上高いときには(静電複写機が温度の高いところから低いところに移動したとき)、帯電ローラ2に印加する印加電圧を、図6で説明した印加電圧に対して絶対値でそれを低くするような印加電圧に補正する。
【0064】
逆に、検知温度TB が検知温度TA よりも所定の温度以上高いときには(静電複写機が温度の低いところから高いところに移動したとき)、帯電ローラ2に印加する印加電圧を、図6で説明した印加電圧に対して絶対値でそれを高くするような印加電圧に補正する。
【0065】
そして、次のステップ12で、メインスイッチ3がオンされてから所定時間Bが経過したか否かを判断し、経過していなければそのまま待って、それが経過すると、帯電ローラ2は導電性ゴムローラ部16の表面部分と中心付近の温度が略同じ温度になっているため上述したような印加電圧の補正を行なう必要がないので(印加電圧補正の解除)、前述したステップ6へ進む。
【0066】
なお、この静電複写機では、常に所定のタイミングで帯電ローラ2の温度を温度検知センサ20により検知しており、それをメモリに一定時間記憶させている。したがって、ステップ9で呼び出すメインスイッチ3がオフされる直前の検知温度TA は、このメモリに記憶されている検知温度のうち、メインスイッチ3がオフされる直前のものを呼び出し、それを検知温度TA とする。
【0067】
また、図10のフローチャートでは、印加電圧補正の解除をするタイミングを、ステップ12でメインスイッチ3がオンされてから所定時間Bが経過したか否かによって判断するようにしているが、その判断をメインスイッチ3がオンされて複写動作が再開されてからの複写枚数をコピー枚数カウンタ等により計測し、その枚数が所定の枚数(任意に設定が可能)に達したか否かにより判断するようにしてもよい。
すなわち、所定の枚数の画像形成が行なわれた後に、印加電圧補正の解除をするようにしてもよい。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、帯電ローラ等の帯電部材が搭載された画像形成装置を周囲温度が大きく異なる環境の場所に移動させた後、比較的早い時期に画像形成動作を開始させても、メインスイッチがオフされてからそれが再びオンされたときにそのオフされていた時間が所定時間以下であり、メインスイッチのオン直後に温度検知センサが検知した検知温度とメインスイッチがオフされる直前の検知温度との温度差が所定の温度以上であるときには、その帯電部材に印加する印加電圧が上記温度差に応じて補正されるので、感光体を常に周囲温度に左右されることなしに目的とする帯電電位に帯電することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態例を示す画像形成装置である静電複写機をそれが有する各機能実現手段と共に示す構成図である。
【図2】同じくその静電複写機に設けられている帯電部材である帯電ローラの表面温度を検知する温度検知センサを帯電ローラに接触させた状態で示す概略図である。
【図3】同じくその温度検知センサを帯電ローラに対して非接触の位置に移動させた状態を示す概略図である。
【図4】同じくその温度検知センサの構成を示す斜視図である。
【図5】同じくその温度検知センサの温度検知素子付近の構成を示す縦断面図である。
【図6】帯電ローラに印加する印加電圧と帯電ローラ表面温度との関係を示した線図である。
【図7】通常の静電複写機では温度の高い場所から低い場所に移動させたときに帯電電位に差が生じてしまうのを実験により確認したデータをグラフ状に示した図である。
【図8】図1の静電複写機各部の動作タイミングを示すタイミング図である。
【図9】通常の静電複写機では温度の低い場所から高い場所に移動させたときに帯電電位に差が生じてしまうのを実験により確認したデータをグラフ状に示した図である。
【図10】図2のマイクロコンピュータが行なう印加電圧補正処理に関するルーチンを示すフロー図である。
【符号の説明】
1:感光体 2:帯電ローラ(帯電部材)
3:メインスイッチ 4:記憶手段
5:印加電圧補正手段
20:温度検知センサ(温度検知手段)
22:印加電圧制御回路(印加電圧制御手段)
50:マイクロコンピュータ
【発明の属する技術分野】
この発明は、感光体に接触した状態でその感光体を帯電する帯電部材と、その帯電部材の表面温度又はその表面付近の温度を検知する温度検知手段とを備えた複写機,プリンタ,ファクシミリ等の画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、静電複写機,プリンタ等の画像形成装置は、被帯電体である感光体を帯電処理する帯電装置を備えているが、近年ではその帯電装置として感光体に帯電部材である帯電ローラを接触(非接触で近接させるものもある)させて、その状態で帯電する接触帯電方式の帯電装置が注目されている。
このような接触帯電方式の帯電装置に使用される帯電ローラは、感光体に連れ回りされて回転するものが多い。このような帯電ローラの場合には、感光体と接する部分は弾性を有する必要があるため、その部分は例えば導電性のゴム材で形成されている。
【0003】
ところが、このようなゴム材は、一般的にその周囲の温度や湿度等の周囲の環境条件によって電気導電性が変化する性質がある。例えば、高温高湿のもとでは電気導電性が大きくなり、低温低湿のもとでは電気導電性が小さくなる。したがって、常に一定の電圧を帯電ローラに印加していたのでは所望の帯電電位を得ることができないということがあった。
そこで、従来の接触帯電方式の帯電装置には、帯電ローラの最外層の部分の温度をセンサで検出し、その検出温度に応じて帯電ローラに印加する電圧を可変するようにしたものがある(例えば特開平4−186381号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような帯電装置であっても、その帯電装置を搭載した例えば静電複写機を、冬場に暖房のない低い温度の倉庫内から出してそれを暖房のきいた室内に移動させたり、逆にその暖房のきいた部屋から空調設備のない温度が低い部屋に移動させ、その直後に複写動作を開始したときには、安定した電位が得られないために良好な画像が得られないことがあるという問題点があった。
【0005】
すなわち、上述したように静電複写機等の画像形成装置を温度や湿度等の環境条件が大きく異なる場所に移動させた直後に画像形成動作を開始させたときには、帯電ローラの表面は比較的早い段階に周囲の環境条件になじむが、一般的に帯電ローラの表面側の弾性部はゴム材等の熱伝導が悪い材料で形成されているため、ローラの中心に近い側はまだ周囲の環境条件になじんでいない場合が多い。
そのため、帯電ローラの表面温度を検知して、その検知温度に応じて帯電ローラに印加する印加電圧を制御するようにしても、帯電ローラの中心に近い側はその検知温度とは異なる温度にあるため、感光体を最適な帯電電位に帯電させることができないということがあった。
【0006】
この発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、帯電ローラ等の帯電部材が搭載された画像形成装置を周囲温度が大きく異なる場所に移動させた後、比較的早い時期に画像形成動作を開始させても、常に感光体を安定した帯電電位に帯電させることができるようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の目的を達成するため、電源をオン・オフするメインスイッチと、回転する感光体と、その感光体に接触した状態で電圧が印加されることにより感光体を帯電する帯電部材と、その帯電部材の表面温度又はその表面付近の温度を検知する温度検知手段と、その温度検知手段が検知した検知温度に応じて帯電部材に印加する印加電圧を制御する印加電圧制御手段とを備えた画像形成装置に、次の各手段を設ける。
【0008】
すなわち、上記検知温度を記憶する記憶手段と、メインスイッチがオフされた後に再びオンされたときには上記オフされていた時間が所定時間以下のときはメインスイッチのオン直後に温度検知手段が検知した検知温度と上記記憶手段に記憶されているメインスイッチがオフされる直前の検知温度との温度差が所定の温度以上であるときには印加電圧を上記温度差に応じて補正し、その補正をメインスイッチがオンされてから所定時間経過するまで、あるいは所定の枚数の画像形成が行なわれるまで実行し、その後は解除する印加電圧補正手段とを設ける。
【0009】
このようにすれば、画像形成装置を温度が大きく異なる場所に移動した直後に画像形成動作を開始させると、そのとき帯電部材はその表面部と中心付近の内層部とでは温度差があるために、その表面部分の温度を基にして印加電圧を制御したときには感光体を目的とする帯電電位にすることができないが、メインスイッチのオン直後に温度検知センサが検知した検知温度とメインスイッチがオフされる直前の検知温度との温度差が所定の温度以上であるときには、帯電部材に印加する印加電圧が上記温度差に応じて補正されるので、感光体を目的とする帯電電位に帯電することができる。
【0010】
そして、上記補正は、メインスイッチがオンされてから所定時間経過するまで、あるいは所定の枚数の画像形成が行なわれる間だけ実行され、その後は解除されるので、帯電部材がその表面部と中心付近とで温度差が殆どなくなった段階では上記補正が行なわれなくなる。したがって、不必要な補正が行なわれることがない。
【0011】
また、上記印加電圧補正手段が、上記温度差がメインスイッチのオン直後に温度検知手段により検知した検知温度がメインスイッチがオフされる直前の検知温度よりも低くて上記所定の温度以上であるときには、印加電圧を上記温度差に応じてその印加電圧を絶対値で低い電圧になる側に補正する手段であるようにするとよい。
このようにすれば、画像形成装置が暖かい場所から急に寒い場所に移動されたときであっても、その温度差に応じて帯電部材に印加される印加電圧が絶対値で低い電圧になる側に補正されるので、常に安定した帯電電位が得られる。
【0012】
さらに、上記印加電圧補正手段が、上記温度差がメインスイッチのオン直後に温度検知手段により検知した検知温度がメインスイッチがオフされる直前の検知温度よりも高くて上記所定の温度以上であるときには、印加電圧を上記温度差に応じてその印加電圧を絶対値で高い電圧になる側に補正する手段であるようにするとよい。
このようにすれば、画像形成装置が寒い場所から急に暖かい場所に移動されたときであっても、その温度差に応じて帯電部材に印加される印加電圧が絶対値で高い電圧になる側に補正されるので、常に安定した帯電電位が得られる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1はこの発明の一実施形態例を示す画像形成装置である静電複写機をそれが有する各機能実現手段と共に示す構成図、図2は同じくその静電複写機に設けられている帯電部材である帯電ローラの表面温度を検知する温度検知センサを帯電ローラに接触させた状態で示す概略図、図3は同じくその温度検知センサを帯電ローラに対して非接触の位置に移動させた状態を示す概略図である。
【0014】
この画像形成装置である静電複写機(アナログコピー機)は、図1に示すように電源をオン・オフするメインスイッチ3と、回転する感光体1と、その感光体1に接触した状態で電圧が高圧電源回路24から印加されることにより感光体1を画像部表面電位Vs が−900Vになるように帯電する帯電部材である帯電ローラ2と、その帯電ローラ2の表面温度及びその表面付近の温度を検知する温度検知手段である例えばサーミスタからなる温度検知センサ20と、その温度検知センサ20が検知した検知温度に応じて帯電ローラ2に印加する印加電圧を制御する印加電圧制御手段となる印加電圧制御回路22とを備えている。
【0015】
また、この静電複写機は、温度検知センサ20が検知した検知温度を記憶する記憶手段4と、メインスイッチ3がオフされた後に再びオンされたときにはそのオフされていた時間(タイマ38により計測)が所定時間以下のときはメインスイッチ3のオン直後に温度検知センサ20が検知した検知温度とメインスイッチ3がオフされる直前の検知温度との温度差が所定の温度以上であるときには高圧電源回路24により帯電ローラ2に印加する印加電圧を上記温度差に応じて補正し、その補正をメインスイッチ3が再びオンされてから所定時間経過するまで(あるいは所定の枚数の画像形成が行なわれるまでとしてもよい)実行し、その後は解除する印加電圧補正手段5とを設けている。
【0016】
感光体1は、ドラム状に形成されていて、ドラム駆動タイミングベルト,ドラム駆動プーリ,それらを駆動するモータ(いずれも図示を省略している)等からなる感光体駆動系によって矢示A方向に線速200mm/sec になる周速度で回転し、その表面には常に帯電ローラ2が、図示しない加圧バネの付勢力により、例えば接触圧10g/cm(略線接触)で圧接していて、その帯電ローラ2が連れ回りにより矢示方向に等速で従動回転するようになっている。
【0017】
そして、この感光体1と、帯電ローラ2を有する帯電装置と、その帯電ローラ2の表面を清掃するローラクリーナ9と、クリーニングブレード8を有するクリーニング装置と、トナー回収部11とが、一体のプロセスカートリッジ10に形成されている。
その感光体1の回りには、イレーサ18と、現像装置6と、無端ベルトを有する接触型の転写装置である転写ユニット7とがそれぞれ配設されている。なお、13は転写紙P上に転写したトナー像を加熱しながら加圧して定着する定着装置である。
【0018】
温度検知センサ20は、帯電ローラ2の表面に対して接する図2に示す接触位置と、接しない図3に示す非接触位置とに接離機構40により移動される。
そして、その接離機構40は、図1に示す駆動系動作制御手段39により駆動が制御され、その駆動系動作制御手段39はこの静電複写機に設けられているその他の駆動系の駆動制御も行なう。
また、この静電複写機は、温度検知センサ20の温度検知素子25(図4及び図5で後述する)の検知温度に応じて変わる電気抵抗の変化を電圧等の電気信号に変換して読み取り、その検知温度に対応した出力信号を出力する電気信号変換回路21も有している。
【0019】
そして、その電気信号変換回路21からの出力信号に応じて、印加電圧制御回路22が高圧電源回路24による帯電ローラ2への印加電圧を制御する。
その印加電圧制御回路22は、電気信号変換回路21からの出力信号に応じて、予め定められた制御テーブル(後述する図6を参照)にしたがって決定される印加電圧を帯電ローラ2へ印加させるための信号を高圧電源回路24へ出力する。
また、この静電複写機は、温度検知センサ20が上記接触位置にある時には高圧電源回路24により帯電ローラ2に電圧を印加させないようにする電圧印加停止手段30も設けている。
【0020】
この静電複写機は、複写プロセスが開始されると、図示しない露光装置からの光Lが感光体1の表面1aに入射して、帯電ローラ2によって一様に帯電された帯電面が露光されてそこに静電潜像が形成される。この際、帯電面はイレーサ18によって使用される転写紙のサイズより外側の領域部分の静電荷が除去(トリミング)されている。そして、その静電潜像が現像装置6の現像スリーブによって供給されるトナーにより現像されてトナー像(可視像)となる。
【0021】
一方、給紙カセット(図示せず)内の転写紙は、所定のタイミングで回転する給紙ローラにより1枚ずつ送り出され、それがレジストローラ対14で一旦停止されてタイミング調整された後に、感光体1上のトナー像と一致する正確なタイミングで転写ユニット7が設けられている転写部に向けて搬送される。
【0022】
その転写紙Pは、転写ユニット7によって転写バイアスが印加されて図1で上面側にトナー像が転写され、それが感光体1から分離されて定着装置13へ搬送され、そこでトナーが定着された後に装置外部の排紙トレイ等へ排出される。
そして、その転写終了後に感光体1上に残った残留トナー及び紙粉等の異物は、クリーニングブレード8により取り除かれ、その感光体1上に残った残留電位は除電装置(図示せず)により取り除かれて、次の帯電ローラ2による帯電に備える。
【0023】
帯電ローラ2は、図2に示すように鉄等からなる導電性芯金15の外側に、例えばエピクロルヒドリンゴムにより外径を14mmに形成した導電性ゴムローラ部16を一体に装着したものであり、その導電性芯金15の両端が軸受17,17でそれぞれ回転自在に支持されていて、その各軸受17がそれを保持する部材を介して図示しない加圧バネによって感光体1方向に付勢されて、その帯電ローラ2の軸線が感光体1の軸線に平行する状態で感光体1の表面1aに接している。
【0024】
その帯電ローラ2の導電性芯金15は、例えば直径が8mmに形成されていて、そこに帯電ローラ2に電圧を印加する高圧電源回路24から帯電バイアス電圧(図6で後述するように帯電ローラ表面温度に応じて変化する印加電圧)が印加されるようになっており、それによって感光体1の表面1aが一様に帯電される。
【0025】
帯電ローラ2の表面温度を検知する温度検知センサ20は、図4に示すように間隔を置いて平行に並べた導電性板バネ26,26の先端部分の間に温度検知素子25を、図5に示すように、その周囲にシリコングリス27を充填することによって仮り止めし、その同図で下面側に例えばポリイミドアミドによって形成した厚さ10μm程度のフィルム材28を、上面側に例えばフッ素樹脂(テフロン)によって形成した同程度の厚さのフィルム材29を、それぞれ導電性板バネ26,26を挾むように接着により固定保持している。
【0026】
なお、この温度検知素子25は、温度により抵抗値が変化する素子であり、ポリイミドアミドのフィルム材28を介して帯電ローラ2の表面に接する。
その温度検知素子25が取り付けられている対の導電性板バネ26,26は、図4に示すように互いに非接触の状態で、樹脂製の絶縁部材31に一端部がそれぞれ固定されていて、それらがリード線36a,36bにそれぞれ接続されている。そして、その絶縁部材31が図2に示すようにブラケット32に固定保持されている。
【0027】
そのブラケット32は、軸33によって図2の矢示B方向に回動可能に支持されていて、その軸33に巻き掛けられたネジリバネ35によって常に導電性板バネ26が帯電ローラ2に接触する方向に回動付勢されている。
そして、その回動位置が、ブラケット32の下縁部がストッパ軸34に当接する図示の位置で規制されるようになっている。
【0028】
ブラケット32には、レバー部32aが形成されていて、そこに接離機構40の解除レバー23の係合端23aが係合可能になっている。
そして、その接離機構40によって、温度検知センサ20の温度検知素子25をフィルム材28(図5)を介して帯電ローラ2の表面に接触させる図2に示す接触位置と、それを接触させない図3に示す非接触位置とに移動させることができるようになっている。
【0029】
その接離機構40は、長孔23b内に段付きネジ41が嵌入されて図3で左右方向に移動可能に保持された解除レバー23と、その解除レバー23を同図で右方へ付勢する引っ張りバネ43と、作動時(オン時)には引っ張りバネ43の付勢力に抗して解除レバー23を図で左方に移動させるソレノイド45とからなる。
【0030】
この静電複写機は、温度検知センサ20が帯電ローラ2の表面あるいはその近傍の温度から帯電ローラ2の表面温度を検知し、その検知温度に応じて変化する電気抵抗を電気信号変換回路21が電圧等の電気信号に変換して読み取り、その検知温度に対応した出力信号を印加電圧制御回路22に出力する。
その印加電圧制御回路22は、その入力した電気信号に基づいて高圧電源回路24により帯電ローラ2に印加させる印加電圧を決定して、その印加電圧になるように高圧電源回路24の出力電圧を制御する。
【0031】
なお、ここで行なう印加電圧の制御は、図6に示すような帯電電位を一定に維持するために必要な帯電ローラの表面温度と印加電圧との関係に従って行なう。したがって、その印加電圧は、温度検知センサ20が検知した温度に応じてその都度変化する。
このようにして、印加電圧が決定されると、高圧電源回路24はその決定された印加電圧になる出力電圧を帯電ローラ2に印加する。
【0032】
この静電複写機の複写動作は、図8に示すようにプリントキー51(図2)が押されてプリント信号を入力(ON)すると開始される。すなわち、プリント信号がONになってから時間t1 後に、帯電ローラ2に帯電バイアス電圧(印加電圧)を印加させるのに先立ってソレノイド45がオンになる。
【0033】
すると、図2に示した解除レバー23が図3に示した位置に引っ張りバネ43の付勢力に抗して移動されるため、その解除レバー23の係合端23aがブラケット32のレバー部32aに当接してそれを同図で左方側へ押すため、ブラケット32が軸33を中心として同図で反時計回り方向に回動する。
【0034】
したがって、そのブラケット32に固定保持されている温度検知センサ20が同方向に回動され、導電性板バネ26の先端部分に固定されている温度検知素子25が帯電ローラ2の表面から離間し、温度検知センサ20が図3に示す非接触位置になる。
【0035】
また、ソレノイド45がオンになってから時間t2 (図8)が経過すると、感光体1を回転させる駆動系を駆動させて感光体1を図1の矢示A方向に回転させる。それによって、その感光体1の表面1aに所定の接触圧で接している帯電ローラ2が連れ回りで矢示方向に回転する。
【0036】
さらに、ソレノイド45がオンになってから時間t3 (時間t2 よりも長い)が経過すると、高圧電源回路24から帯電ローラ2に対して帯電バイアス電圧が印加される。その電圧の印加が終了した後の時間t4 後にソレノイド45をオフにする。
そして、そのソレノイド45がオフになってから時間t5 (任意のタイミング)後に再びプリントキーが押されてプリント信号を入力(ON)すると、前述した複写プロセスが繰り返し実行される。
【0037】
このように、この静電複写機は、複写プロセスが停止中のときはソレノイド45がオフ状態であり、そのときは温度検知センサ20が接触位置(図2の位置)にあって温度検知素子25がフィルム材28(図5)を介して感光体1の表面に接しており、その時に高圧電源回路24から帯電ローラ2には電圧が印加されない。
【0038】
そして、その帯電ローラ2に電圧が印加されるのは、複写プロセスが実行中のときであり、その時は図8に示すようにソレノイド45がオンになるため温度検知センサ20は図3に示した非接触位置になる。したがって、この時に帯電ローラ2に高電圧が印加されても、その帯電ローラ2から離間した位置にある温度検知センサ20には電気的な影響が全くなく、何ら障害も起きない。
したがって、その温度検知センサ20を介して画像形成装置全体の制御系に電気的なノイズが侵入したり、絶縁耐圧不足により回路に短絡が発生したりする恐れもないので、誤動作も生じない。
【0039】
ところで、従来の静電複写機を、例えば冬場に空調設備のある部屋で温められた状態から、空調設備のない低い温度状態にある例えばプレハブの仮事務所等に貸し出したとする。このとき、空調設備のある部屋で使用されていたときにメインスイッチがオフされる直前の帯電ローラ表面の検知温度が35℃であったものが、空調設備のない仮事務所等に移動した後は16℃にまで下がっていたとする。
【0040】
このように、帯電ローラ表面の検知温度が下がっても、図6で説明したような帯電ローラ表面温度と印加電圧との関係にしたがって帯電ローラに印加する電圧を制御さえすれば、一見問題がないように思える。
ところが、従来の静電複写機における課題で説明したように、帯電ローラの弾性部は一般的にゴム材で形成されていて、そのゴム材は熱伝導が悪いため、上記のように環境温度が急激に変化したときにはその帯電ローラは表面付近の温度とローラ中心付近(内層部分)の温度とではかなりの温度差があるのが普通である。
【0041】
そのため、同一の温度(同一環境)のもとで長時間放置された後の静電複写機の帯電ローラの検知温度と、温度差の大きな場所に急激に移動した直後の静電複写機の帯電ローラの検知温度とが同じであったとしても、その帯電ローラに同じ印加電圧を印加したときには感光体上の帯電電位に差が生じてしまう。
【0042】
図7はこのように帯電電位に差が生じてしまうのを実験により確認したデータであり、通紙枚数と帯電電位との関係をグラフ状に示してある。
この実験は、2つの実験槽を使用し、第1の実験槽の槽内温度を23℃で湿度65%に、第2の実験槽の槽内温度を10℃で湿度15%に予め設定してある。
【0043】
そして、最初に静電複写機を第1の実験槽の中に12時間放置した後、4000枚の転写紙に連続で繰返し複写プロセスを実行する。その4000枚の複写プロセスの実行後はメインスイッチをオフにして、その静電複写機を第2の実験槽に移動した。その際、メインスイッチをオフにした直前の帯電ローラの検知温度は38℃であった。
【0044】
さらに、その第2の実験槽で、そこに移動した静電複写機を2時間放置し、その後で再び4000枚分の複写プロセスを連続で繰返し実行した。その複写プロセス再開時(転写紙1枚目)の帯電ローラの検知温度は17℃であった。
そして、この実験では、第1と第2の実験槽でそれぞれ行なった複写プロセスの実行中に帯電ローラの表面温度をその都度検知し、その検知温度に応じで図6で説明した印加電圧を帯電ローラに印加したときに得られた帯電電位をグラフ上にそれぞれプロットしている。
【0045】
なお、この第1の実験槽内に静電複写機を設置して、4000枚の複写プロセスを連続で繰返し実行した際の帯電ローラの表面温度の変化は25℃〜38℃であった。また、第2の実験槽内で静電複写機を動作させて4000枚の複写プロセスを連続で繰返し実行した際の帯電ローラの表面温度の変化は15℃〜25℃であった。
【0046】
この実験結果から明らかなように、静電複写機をある環境条件のもとで複写プロセスを連続で実行した後にメインスイッチを一旦切り、その静電複写機を以前よりもかなり低い温度の場所に移動させ、その環境温度が変化して間もないタイミングで複写プロセスを再開したときに、その際検知した帯電ローラの表面温度に応じて図6で説明した印加電圧を帯電ローラに印加しただけでは、印加電圧が図7に四角印でプロットしたように、良好な画像が得られる帯電電位Vs の許容領域である−860〜−960Vの範囲から大幅に外れてしまう。
したがって、この場合には画像濃度が高くなって、地肌汚れが発生してしまうので、良好な画像が得られない。
【0047】
しかしながら、この実施の形態による静電複写機は、前述したように図1のメインスイッチ3がオフされた後に再びオンされたときにはそのオフされていた時間が所定時間以下のときはメインスイッチ3のオン直後に温度検知センサ20が検知した検知温度とメインスイッチ3がオフされる直前の検知温度との温度差が所定の温度以上であるときには高圧電源回路24により帯電ローラ2に印加する印加電圧を上記温度差に応じて補正し、その補正をメインスイッチ3が再びオンされてから所定時間経過した後に解除する印加電圧補正手段5を設けているので、上述したように帯電電位が許容領域から外れてしまうようなことがない。
【0048】
すなわち、この実施の形態による静電複写機は、上述したように静電複写機を周囲環境が大きく異なる場所に移動した直後に複写動作させた際に、帯電ローラ2の表面部と中心付近の内層部とで温度差があるために、その表面温度を基にして印加電圧を制御した場合には感光体1上に目的とする帯電電位が得られない場合であっても、メインスイッチ3のオン直後に温度検知センサ20が検知した検知温度とメインスイッチ3がオフされる直前の検知温度との温度差が所定の温度以上であるときには帯電ローラ2に印加する印加電圧を上記温度差に応じて補正するので、目的とする帯電電位にすることができる。
【0049】
つまり、上記のように静電複写機を高い室温の場所から低い室温の場所へ移動させ、その移動後の比較的早い段階で複写動作を再開した場合には、その再開時に温度検知センサ20が検知した検知温度とメインスイッチ3がオフされる直前の検知温度との温度差が所定の温度以上であるときには、帯電ローラ2に印加する印加電圧が、図6で説明した印加電圧に絶対値でそれを低くするような印加電圧を印加するように補正が加えられる。
【0050】
図9は、上述した場合と逆に静電複写機を低い温度の環境から高い温度の場所に移動させた場合の不都合を確認した実験結果を示すものである。
この実験では、最初に第2の実験槽の槽内温度を10℃で湿度を15%にし、その中に静電複写機を12時間放置した後、500枚の転写紙に連続で繰返し複写プロセスを実行した。そして、その500枚の複写プロセスの実行後にメインスイッチをオフにして、その静電複写機を槽内温度が23℃で湿度が65%の第1の実験槽に移動させた。その際、メインスイッチをオフにした直前の帯電ローラの検知温度は13℃であった。
【0051】
その第1の実験槽で静電複写機を2時間放置後に、再び4000枚分の複写プロセスを連続で繰返し実行した。その複写プロセス再開時(転写紙1枚目)の帯電ローラの検知温度は25℃であった。
そして、この実験では、第1と第2の実験槽でそれぞれ行なった合計で4500枚の複写プロセスの実行中に帯電ローラの表面温度をその都度検知し、その検知温度に応じで図6で説明した印加電圧を帯電ローラに印加したときに得られた帯電電位をグラフ上にそれぞれプロットしたものが図9である。
【0052】
なお、この第2の実験槽内に静電複写機を設置して、500枚の複写プロセスを連続で繰返し実行した際の帯電ローラの表面温度の変化は11℃〜13℃であった。また、第1の実験槽内で静電複写機を動作させて4000枚の複写プロセスを連続で繰返し実行した際の帯電ローラの表面温度の変化は25℃〜35℃であった。
【0053】
この実験結果から明らかなように、静電複写機をある環境条件のもとで複写プロセスを連続で実行した後にメインスイッチを一旦切り、その静電複写機を以前よりもかなり高い温度の場所に移動させ、その環境温度が変化して間もないタイミングで複写プロセスを再開したときに、その際検知した帯電ローラの表面温度に応じて図6で説明した印加電圧を帯電ローラに印加しただけでは、印加電圧が図9に三角印でプロットしたように、良好な画像が得られる帯電電位Vs の許容領域である−860〜−960Vの範囲から大幅に外れてしまう。
したがって、この場合には画像濃度が低くなってしまうため、良好な画像が得られない。
【0054】
しかしながら、この実施の形態による静電複写機は、前述した高い温度から低い温度の場所に移動させたときと同様に、メインスイッチ3のオン直後に温度検知センサ20が検知した検知温度とメインスイッチ3がオフされる直前の検知温度との温度差が所定の温度以上であるときには高圧電源回路24により帯電ローラ2に印加する印加電圧を上記温度差に応じて、帯電ローラ2に印加する印加電圧を図6で説明した印加電圧に絶対値でそれを高くするような印加電圧を印加するように補正するので、目的とする帯電電位にすることができる。
したがって、最適な濃度の画像が得られる。
【0055】
このように、この静電複写機は、帯電ローラ2に印加する印加電圧の補正を行なうが、その制御は図2に示すマイクロコンピュータ50が行なう。そのマイクロコンピュータ50は、各種判断及び処理機能を有する中央処理装置(CPU)と、各種の動作を所定のタイミングで行なわせるために必要な各種プログラム及び固定データを格納したプログラムメモリであるROMと、入力データやCPUによる処理データを格納するデータメモリであるRAMと、入出力回路(I/O)とによって構成されており、タイマ機能も有している。
【0056】
図10はそのマイクロコンピュータ50が行なう印加電圧補正処理に関するルーチンを示すフロー図である。
なお、この静電複写機は、ユーザへ納品されてサービスマンが使用可能な状態にセットした後は、差し込みプラグをコンセントから引き抜いたり、そのプラグがコンセントに差し込まれた状態でメインスイッチ3がオフにされても、内部の電源により上記マイクロコンピュータ50が常に動作するようになっている。
【0057】
そのマイクロコンピュータ50は、図10のルーチンがスタートすると、まずステップ1でメインスイッチ3がオフ状態にあるか否かを判断し、オフになっていなければそれがオフになるまで待って、オフになるとステップ2ヘ進む。
そのステップ2ではタイマ38(図1)をスタートさせ、メインスイッチ3がオフになってからの時間の計測を開始させる。
【0058】
次のステップ3では、メインスイッチ3が再びオンされたか否かを判断し、オフ状態のままであるときにはそのまま待って、それがオンされるとステップ4へ進む。
そのステップ4では、ステップ1でメインスイッチ3のオフを確認してからタイマ38がそれまでに計測した経過時間、すなわちメインスイッチ3がオフされた後に再びオンされるまでのオフされていた経過時間をメモリに記憶させる。
【0059】
次のステップ5では、ステップ4で記憶させた経過時間が予めメモリに記憶されている所定時間A(任意に設定できる)以下であるか否かを判断する。
それが所定時間A以下でなければ(NOの判断)、静電複写機はメインスイッチ3がオフされた後に十分時間が経過した後にメインスイッチ3が再びオンされたものであり、帯電ローラ2の導電性ゴムローラ部16は表面と中心部付近とで温度差が殆どなくなっているので、印加電圧の補正は必要ない。
【0060】
したがって、ステップ6へ進んで、現在の帯電ローラ2の検知温度TB に応じて、図6で説明した印加電圧を帯電ローラ2に対して印加するように制御して、このルーチンの処理を終了し、メインルーチンへリターンする。
【0061】
一方、ステップ5の判断で、経過時間が所定時間A以下であるときにはステップ7へ進んで、プリントキー51(図2)がオンにされてプリント信号(図8参照)が入力されているか否かを判断する。
そのプリントキー51が押されていなければそのまま待って、それが押されるとステップ8へ進んで、現在の帯電ローラ2の検知温度TB を温度検知センサ20から入力する。
【0062】
さらに、次のステップ9で、メモリに記憶されているメインスイッチ3がオフされる直前の検知温度TA を呼び出し、ステップ10でその検知温度TA と前述した検知温度TB の温度差が所定の温度(任意に設定できる)以上であるか否かを判断し、それが所定の温度以上でなければ前述したステップ6の処理を行ない、所定の温度以上であればステップ11へ進む。
【0063】
そのステップ11では、検知温度TA と検知温度TB の温度差に応じて帯電ローラ2に印加する電圧の補正を行なう。
すなわち、検知温度TA が検知温度TB よりも所定の温度以上高いときには(静電複写機が温度の高いところから低いところに移動したとき)、帯電ローラ2に印加する印加電圧を、図6で説明した印加電圧に対して絶対値でそれを低くするような印加電圧に補正する。
【0064】
逆に、検知温度TB が検知温度TA よりも所定の温度以上高いときには(静電複写機が温度の低いところから高いところに移動したとき)、帯電ローラ2に印加する印加電圧を、図6で説明した印加電圧に対して絶対値でそれを高くするような印加電圧に補正する。
【0065】
そして、次のステップ12で、メインスイッチ3がオンされてから所定時間Bが経過したか否かを判断し、経過していなければそのまま待って、それが経過すると、帯電ローラ2は導電性ゴムローラ部16の表面部分と中心付近の温度が略同じ温度になっているため上述したような印加電圧の補正を行なう必要がないので(印加電圧補正の解除)、前述したステップ6へ進む。
【0066】
なお、この静電複写機では、常に所定のタイミングで帯電ローラ2の温度を温度検知センサ20により検知しており、それをメモリに一定時間記憶させている。したがって、ステップ9で呼び出すメインスイッチ3がオフされる直前の検知温度TA は、このメモリに記憶されている検知温度のうち、メインスイッチ3がオフされる直前のものを呼び出し、それを検知温度TA とする。
【0067】
また、図10のフローチャートでは、印加電圧補正の解除をするタイミングを、ステップ12でメインスイッチ3がオンされてから所定時間Bが経過したか否かによって判断するようにしているが、その判断をメインスイッチ3がオンされて複写動作が再開されてからの複写枚数をコピー枚数カウンタ等により計測し、その枚数が所定の枚数(任意に設定が可能)に達したか否かにより判断するようにしてもよい。
すなわち、所定の枚数の画像形成が行なわれた後に、印加電圧補正の解除をするようにしてもよい。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、帯電ローラ等の帯電部材が搭載された画像形成装置を周囲温度が大きく異なる環境の場所に移動させた後、比較的早い時期に画像形成動作を開始させても、メインスイッチがオフされてからそれが再びオンされたときにそのオフされていた時間が所定時間以下であり、メインスイッチのオン直後に温度検知センサが検知した検知温度とメインスイッチがオフされる直前の検知温度との温度差が所定の温度以上であるときには、その帯電部材に印加する印加電圧が上記温度差に応じて補正されるので、感光体を常に周囲温度に左右されることなしに目的とする帯電電位に帯電することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態例を示す画像形成装置である静電複写機をそれが有する各機能実現手段と共に示す構成図である。
【図2】同じくその静電複写機に設けられている帯電部材である帯電ローラの表面温度を検知する温度検知センサを帯電ローラに接触させた状態で示す概略図である。
【図3】同じくその温度検知センサを帯電ローラに対して非接触の位置に移動させた状態を示す概略図である。
【図4】同じくその温度検知センサの構成を示す斜視図である。
【図5】同じくその温度検知センサの温度検知素子付近の構成を示す縦断面図である。
【図6】帯電ローラに印加する印加電圧と帯電ローラ表面温度との関係を示した線図である。
【図7】通常の静電複写機では温度の高い場所から低い場所に移動させたときに帯電電位に差が生じてしまうのを実験により確認したデータをグラフ状に示した図である。
【図8】図1の静電複写機各部の動作タイミングを示すタイミング図である。
【図9】通常の静電複写機では温度の低い場所から高い場所に移動させたときに帯電電位に差が生じてしまうのを実験により確認したデータをグラフ状に示した図である。
【図10】図2のマイクロコンピュータが行なう印加電圧補正処理に関するルーチンを示すフロー図である。
【符号の説明】
1:感光体 2:帯電ローラ(帯電部材)
3:メインスイッチ 4:記憶手段
5:印加電圧補正手段
20:温度検知センサ(温度検知手段)
22:印加電圧制御回路(印加電圧制御手段)
50:マイクロコンピュータ
Claims (3)
- 電源をオン・オフするメインスイッチと、回転する感光体と、該感光体に接触した状態で電圧が印加されることにより前記感光体を帯電する帯電部材と、該帯電部材の表面温度又はその表面付近の温度を検知する温度検知手段と、該温度検知手段が検知した検知温度に応じて前記帯電部材に印加する印加電圧を制御する印加電圧制御手段とを備えた画像形成装置において、
前記検知温度を記憶する記憶手段と、前記メインスイッチがオフされた後に再びオンされたときには前記オフされていた時間が所定時間以下のときは前記メインスイッチのオン直後に前記温度検知手段が検知した検知温度と前記記憶手段に記憶されているメインスイッチがオフされる直前の検知温度との温度差が所定の温度以上であるときには前記印加電圧を前記温度差に応じて補正し、該補正を前記メインスイッチがオンされてから所定時間経過するまで、あるいは所定の枚数の画像形成が行なわれるまで実行し、その後は解除する印加電圧補正手段とを設けたことを特徴とする画像形成装置。 - 前記印加電圧補正手段が、前記温度差が前記メインスイッチのオン直後に前記温度検知手段により検知した検知温度が前記メインスイッチがオフされる直前の検知温度よりも低くて前記所定の温度以上であるときには、前記印加電圧を前記温度差に応じて前記印加電圧を絶対値で低い電圧になる側に補正する手段であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 前記印加電圧補正手段が、前記温度差が前記メインスイッチのオン直後に前記温度検知手段により検知した検知温度が前記メインスイッチがオフされる直前の検知温度よりも高くて前記所定の温度以上であるときには、前記印加電圧を前記温度差に応じて前記印加電圧を絶対値で高い電圧になる側に補正する手段であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
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