JP3554139B2 - 無機繊維質ペーパー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は無機繊維質ペーパーに関し、厚みが薄く緻密でその表面が平滑であり、例えばプラスチックや金属の補強材などとして有用な無機繊維質ペーパーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ペーパー状の無機補強材としては、ガラス繊維や炭素繊維等の織布がある。または数mmから数cmに切断した短繊維を均一に散布して結合材によって繊維を結合させた不織布等がある。これらは、プラスチックや金属の補強に用いられている。
【0003】
このようなペーパー状の無機補強材は、通常、液状樹脂や溶剤を用いた樹脂液または溶融金属を含浸させるため、含浸処理に耐える強度が要求される。また含浸処理によって補強材を構成するペーパーがほぐれないようにするために相当な結合力も必要である。このために、特開昭60−81399号公報では、繊維径が100μ以下で、繊維長が繊維径の10倍以上としたペーパーが提案されている。
【0004】
また、安価で大量に入手可能な無機繊維として、セラミックファイバーが知られている。この種のセラミックファイバーは、アルミナとシリカが共に40〜60重量%であり、またはアルミナとシリカとジルコニアを主成分とする組成を有し、溶融物を瞬間に冷却しながら繊維化して作られる。
【0005】
このようなセラミックファイバーは、製造方法に起因して50重量%程度の非繊維物であるショットを含んでいる。
【0006】
補強材として、前述のようなセラミックファイバーを使用する場合、ショットを含んだまま、または前処理によりショットを減少させてから、使用していた。
【0007】
従来、一般に生産されていた無機繊維質ペーパーの厚みは1〜3mm、薄いものでも0.3mm程度であった。
【0008】
この程度の厚みでは、厚みに対するショットの径が比較的小さいので、ショットの大きさは問題にならなかった。表面にあるショットは振動や擦れにより簡単に除去されて、ショットが表面に残ることがなく、平滑なペーパーが得られた。これらのペーパーは他の材質のペーパーと積層しても他を傷つけることはなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
近年、電子産業の発展は目覚ましく、電子機器の高性能化、小型化、軽量化が進んでいる。このため、機器部材の小型化が必要である。例えば、摺動部材の耐摩耗性を向上させたり、半導体基板の熱伝導性を向上させる補強材として使用する無機繊維質ペーパーも、その厚みを100μ以下にすることが望まれている。
【0010】
しかし、ペーパーの厚みを極端に薄くして行くと、従来は問題にならなかったショットの大きさが問題になってきた。ショットが抄紙後のペーパーの表面に突起物として残るという現象が問題になってきた。
【0011】
セラミックファイバーに含まれるショットは、径が小さいと簡単に取り除けない。径の小さいショットを取り除くことは、非常な労力とコストを要する。ショットの径が小さくなればなるほど、その労力とコストは飛躍的に大きくなる。
【0012】
本発明の目的は、ショットの除去に要する労力とコストを低減できる無機繊維質ペーパーを提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、主成分としての無機繊維と、ミクロフィブリル化した有機繊維からなり、必要に応じて結合材を加えてなるペーパーにおいて、ペーパーの厚みが20〜60μであり、無機繊維は、長さが1〜300μであり、直径が0.1〜4μであり、無機繊維に含まれるショットは、ペーパーの厚みに対する直径の比率が1:1〜2:1であるショットがペーパーに対して1.0重量%以下であり、全繊維に対する有機繊維の重量割合が30〜40重量%であり、ペーパーの透気度が10〜100秒であることを特徴とする無機繊維質ペーパーを要旨としている。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、種々のショットの内、特定の大きさのものに量的な限定を加えることにより除去に要するコストを低く押さえ、非常に薄く、緻密で、柔軟で、強度があり、かつ平滑な無機繊維質ペーパーを得た。すなわち、本発明に含まれるショットは、ペーパーの厚みに対する直径の比率が1:1〜2:1であるショットの量が1.0重量%以下である。
【0015】
本発明の無機繊維とは、セラミックファイバーやウイスカーである。
【0016】
セラミックファイバーは、アルミナおよびシリカが共に40〜60重量%を占め、またはアルミナとシリカとジルコニアを主成分とする組成を有し、溶融急冷法で作られ、ショットを含んでいる。
【0017】
ウイスカーは、ショットを含まず、繊維が細かくて揃っているので、ペーパーの透気度を調整するのに好適である。ウイスカーとしては、例えば炭化珪素、窒化珪素、チタン酸カリウム、硼酸アルミニウム、ムライトなどのウイスカーが使用できる。チタン酸カリウム、ムライトのウイスカーが安価に入手容易であり、特に好ましい。ウイスカーの含有量は、無機繊維に占める割合で、50重量%以下が好ましい。50重量%を越えると、透気度が大きくなって、プラスチックや金属の含浸が困難になる。
【0018】
無機繊維の長さは1〜300μが好ましい。1μ未満では抄紙のために結合材が多量に必要になる。300μを越えると、ムラができ易く、また抄紙したペーパーの細孔径が大きくなって、透気度が下がる。
【0019】
無機繊維の直径は0.1〜4μが好ましい。0.1μ以下では繊維を製造するのが困難であり、4μを越えると、ムラができて、薄いペーパーを抄紙できない。
【0020】
ショットは、ペーパーの厚みに対する直径の比率が1:1〜2:1(すなわち、厚み対直径が1対1〜1対2)であるショットが1.0重量%以下が好ましい。比率を1:1〜2:1としたのは、1:1未満であれば、ショットはペーパーの内に埋もれてしまい、2:1を越えると、ショットはペーパーから容易に脱落して、ペーパーに与える影響が少ないからである。また、ペーパー厚み対直径が1対1〜1対2のショットが1.0重量%を越えると、ペーパーの強度、表面の平滑さ、柔軟性などが乏しくなる。
【0021】
本発明による、ミクロフィブリル化した有機繊維は、例えばセルロースが好適に使用できる。このような有機繊維は、抄紙の際に無機繊維と絡み合って、十分な強度を付与する働きがある。全繊維に対する有機繊維の割合は、30〜40重量%が好ましい。30重量%未満では、ペーパーの強度が小さく、40重量%を越えると、耐熱温度や耐食性の無機繊維質としての特性が低下する。
【0022】
ペーパーの厚みは、20〜60μmが好ましい。20μm以下では製造が困難となり、60μm以上では、例えば小型部材や微少部分の補強材として使用しにくい。
【0023】
本発明で使用する結合材とは、ペーパーの引張強度を向上させるために必要に応じて使用する有機系結合材である。例えばアクリル樹脂、PVA、澱粉、熱可塑性樹脂などが好適に使用できる。
【0024】
本発明で使用する無機繊維質ペーパーの透気度は、5〜100秒が好ましい。5秒未満では、孔の面積が大きくて、補強材として強度が低い。100秒を越えると、プラスチックや金属を含浸するのが困難になる。
【0025】
【実施例】
繊維径0.1〜2μ、繊維長1〜200μ、直径50〜100μのショットの含有量を調整した種々のアルミナ48重量%、シリカ52重量%のセラミックファイバー、およびチタン酸カリウムのウイスカーを無機繊維として使用した。有機繊維としては、カナディアンフリーネスによる測定結果が10cc以下のミクロフィブリル化セルロース(繊維含有量10%、ダイセル化学社製)を使用した。これらの無機繊維と有機繊維の混合比率を変えて抄紙しペーパーを作製した。その配合を表1に示し、その特性を表2に比較例と共に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
実施例1〜4
30リットルの容器に、各セラミックファイバー21gとミクロフィブリル化セルロース90gを入れ、水を加えて、全体の容積を20リットルとする。これを均一に分散するまで約5分間撹拌して調整液を作製した。この調整液100mlを別に用意した20リットルの容器に移し、水を加え、全体を15リットルとした。この液を撹拌後、抄紙機を用いて抄紙した。その後、160℃に加熱して乾燥することにより厚み約50μ、直径230mmの無機繊維質ペーパーを得た。
【0028】
実施例5〜8
各セラミックファイバーを18gとし、ミクロフィブリル化セルロースを120gとした他は、実施例1〜4と同様にして無機繊維質ペーパーを得た。
【0029】
実施例9、10
30リットルの容器に、セラミックファイバーおよびウイスカーの合量で21gと、ミクロフィブリル化セルロース90gを入れ、水を加えて、全体の容積を20リットルとした。これを均一に分散するまで約5分間撹拌して調整液を作製した。この調整液100mlを別に用意した20リットルの容器に移し、水を加えて全体を15リットルとした。この液を撹拌後、抄紙機を用いて抄紙した。その後、160℃に加熱して乾燥することにより厚み約50μ、直径230mmの無機繊維質ペーパーを得た。
【0030】
巻取試験は、幅1200mmで抄紙して、乾燥後直ちにペーパーをロールに巻き取った。長さは1kmとした。
【0031】
透気度は、100ccの空気が通過する時間であり、ペーパーの緻密度を表すものである。測定は、JIS P 8117に従った。
【0032】
比較例1
実施例1〜4と同様にして無機繊維質ペーパーを得た。比較例1は、ショットが多い例である。表面が荒れていて、透気度が小さい。
【0033】
比較例2〜5
各セラミックファイバーを25.5gとし、ミクロフィブリル化セルロースを45gとした他は、実施例1〜4と同様にして無機繊維質ペーパーを得た。比較例2〜5は、ミクロフィブリル化した有機繊維が少ないので、強度が小さく巻き取りができなかった。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、ペーパーに含まれる特定の大きさのショットの量を制限し、ミクロフィブリル化した繊維を使用することで、厚みが薄く、緻密で、表面が平滑な無機繊維質ペーパーを得ることができた。このような無機繊維質ペーパーは、連続抄紙が可能であり、例えばプラスチックや金属の補強材、特に数十μ程度の微少部分の補強材として有効である。
Claims (3)
- 主成分としての無機繊維と、ミクロフィブリル化した有機繊維からなるペーパーにおいて、ペーパーの厚みが20〜60μであり、無機繊維は、長さが1〜300μであり、直径が0.1〜4μであり、無機繊維に含まれるショットは、ペーパーの厚みに対する直径の比率が1:1〜2:1であるショットがペーパーに対して1.0重量%以下であり、全繊維に対する有機繊維の重量割合が30〜40重量%であり、ペーパーの透気度が10〜100秒であることを特徴とする無機繊維質ペーパー。
- 無機繊維がウイスカーを全繊維に対する重量割合で50重量%以下含む請求項1に記載の無機繊維質ペーパー。
- 結合材を加えてなる請求項1または2に記載の無機繊維質ペーパー。
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