JP3553490B2 - 硬さ試験機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁ブレーキを備えた硬さ試験機に関わる。
【0002】
【従来の技術】
ロックウェル硬さ試験機やブリネル硬さ試験機は、試料に対し、予め定められた方法で荷重を負荷することにより試料の硬さ特性を評価する試験機である。
上記硬さ試験機は、試料を載置する試料台と、この試料台に載置された試料に上方から荷重を負荷する圧子と、を備え、試料台を圧子方向に上昇させ、試料と圧子とを接触させて試料台を一旦停止させる。そして、その状態から所定の試験荷重を負荷するようになっており、試料台の停止には電磁ブレーキが用いられている。
【0003】
電磁ブレーキは、試料と圧子が接触して所定の荷重が圧子にかかると、試料台下部に配置された電磁石に電流が流れ、試料台の上昇動作にブレーキがかかるものであり、この電磁ブレーキを用いると試料に荷重をかける動作が正確に行われるという利点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、試料台は機械的強度や剛性が高いことが要求されるので、材料として鉄などの磁性体が用いられる。従って、電磁ブレーキでは電磁石を利用しているため、試料台が磁化され、試料台上に載置された試料も磁化される。
このことは、硬さ試験の測定精度には影響のない程度であるが、薄い試料や軽い試料のように磁石に吸引されやすい試料の試験においては、試料の取り替え時に試料が試料台に貼り付いてしまい、試料の取り替え操作が面倒となる。
【0005】
本発明の課題は、上記事情に鑑みてなされたものであって、電磁ブレーキを使用していても、薄い試料等が効率良く、また、磁化されると問題となる試料を試験できる硬さ試験機を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、
請求項1記載の発明は、電磁ブレーキ(例えば、図1の電磁ブレーキ9)を用いて試料台(例えば、図1の試料台5)の昇降動作を制御する硬さ試験機(例えば、図1のロックウェル硬さ試験機1)において、
前記電磁ブレーキを駆動させる駆動電流を供給した後、当該駆動電流と逆方向の電流を、当該駆動電流より短い時間供給する電流供給手段(例えば、図1の制御部10、電力変換装置11a)を備えていることを特徴としている。
【0007】
請求項1記載の発明によれば、電流供給手段によって、電磁ブレーキを駆動させる駆動電流を供給した後、当該駆動電流と逆方向の電流を、当該駆動電流より短時間供給することを特徴としたため、当該駆動電流の通電時間と同時間、もしくは、それ以上の時間の電流の通電により、試料台が逆方向に磁化されるのを防ぎ、電磁ブレーキの駆動により磁化された試料台を脱磁し、薄い試料等の磁石に吸引されやすい試料が試料台に貼り付きにくくし、試料の取り替えを効率よく、また磁化されると問題となる試料を試験することができる。
ここで、上記の電力供給手段のような、直前の電流と比較して短くかつ逆方向の電流は複数回通電してもよく、こうすることにより、徐々に試料台の磁力が脱磁され、さらに、大きな脱磁効果が得られる。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、
前記電流供給手段は、電磁ブレーキを駆動するごとに、前記電磁ブレーキに流す電流方向を反転させて供給するように構成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明によれば、電流供給手段によって、電磁ブレーキを駆動するごとに、電磁ブレーキに流す電流方向を反転させて供給するようしたため、電磁ブレーキに正逆方向の電流が均等に供給されるようになり、電磁ブレーキによる試料台の磁化される極性が一方向に偏ることがなくなり、より脱磁効果が得られ、磁石に吸引されやすい試料が効率良く、また磁化されると問題となる試料を試験することができる。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、
前記電流供給手段は、前記電磁ブレーキを駆動させる駆動電流を、ブレーキ動作ごとに電流の流れる方向を反転させて供給することを特徴としている。
【0011】
請求項3記載の発明によれば、電流供給手段によって、電磁ブレーキを駆動させる駆動電流が、ブレーキ動作ごとに電流の流れる方向が反転されて供給されるので、電磁ブレーキの駆動により磁化された試料台に逆方向の磁力を与え、試料台の磁力を脱磁し、薄い試料等の磁石に吸引されやすい試料が試料台に貼り付きにくくなり、試料の取り替えを効率よく行うことができる。
【0012】
請求項4記載の発明は、電磁ブレーキを用いて試料台の昇降動作を制御する硬さ試験機において、
前記電磁ブレーキによって磁化された試料台を脱磁する高周波数の電圧を前記電磁ブレーキに印加する高周波電圧印加手段を備えていることを特徴とする硬さ試験機。
【0013】
請求項4記載の硬さ試験機よれば、高周波数電圧印加手段によって、電磁ブレーキの駆動により磁化された試料台を脱磁する高周波数の電圧を前記電磁ブレーキに印加する高周波電圧印加手段を備えているため、交流脱磁により、試料台の磁力を脱磁することができ、磁石に吸引されやすい試料の取り替え時における試料の取り替えが容易になり、効率良く試験を行うことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
本発明を適用したロックウェル硬さ試験機1は、例えば、図1、図2に示すように、本体部としての試験機本体2と、前記試験機本体2に回動自在に支持され、自由端部に圧子3が取り付けられる荷重アーム4と、前記圧子3の下方の試験機本体2に設けられ、試料sを載置して昇降する試料台5と、前記荷重アーム4の下方に設けられ、前記荷重アーム4の自由端側を回動させ、試料表面に圧痕を形成させるための押圧力を作用させる力を付与する荷重アーム作動部6と、前記荷重アーム作動部6が作動した際に発生した力を前記荷重アーム4に伝達する板ばね7などにより構成された圧痕形成機構部8を備えるともに、前記試料台5の昇降を停止する電磁ブレーキ9と、電磁ブレーキ9の作動を制御する制御部10などにより構成されている。
【0015】
前記試験機本体2は、その内部に荷重アーム作動部6と、電磁ブレーキ9の駆動源となる電装部11などを備えている。電装部11は、電力供給源となる他に、サイクロコンバータやインバータ等の電力変換装置11aを内蔵し、制御部10から送信される制御信号に応じて供給する電力の変換と制御を行う。
【0016】
前記荷重アーム4は、試験機本体2に十字ばね或いは転がり軸受等により回動自在に支持されるとともに、自由端部には圧子3が着脱自在に取り付けられている。また、この荷重アーム4は、前記板ばね7と一体化されている。
更に、荷重アーム4には、荷重アーム4と荷重バネ7の間の開き量から試料sに与えられる荷重を測定する荷重センサ41と、試験機本体2と荷重アーム4の間の開き量から荷重アーム4の変位を測定するアーム位置センサ42が設けられている。
前記板ばね7と前記荷重アーム4との間には、長手方向に沿って溝部7aが設けられ、圧子3側の先端は開口している。
【0017】
試料台5は、例えば、円形の板であり、試料台5の裏面には、試料台支持用のネジ軸51が設けられている。
試料台5は、このネジ軸51を試験機本体2の下部に設けられた案内筒12に挿入することにより設置される。
【0018】
案内筒12の上部には、電磁ブレーキ9が設けられ、電磁ブレーキ9は、ネジ軸51が挿入されるナット9aと、ナット9a上部から水平に突出して設けられたハンドル9bと、ナット9aと案内筒12の間に設けられた電磁石9cなどから構成される。
ナット9a内部は、上記ネジ軸51のネジと嵌合するようなネジ穴になっており、ハンドル9bを一方向に回転させることにより、試料台5を圧子3の方向に上昇させ、他方に回転させることにより、試料台5を下降させることが出来るようになっている。
【0019】
ナット9aの下に設けられた電磁石9cは電装部11と接続され、制御部10によって電磁石9cに流れる電流が制御され、試料sに対して所定の作動荷重がかけられると、電磁石9cに電流が流れ、上記ナット9aの回転運動をストップさせるようになっている。
また、制御部10によって、電磁石9aの脱磁または脱磁が可能となるように、正方向の電流も逆方向の電流も流すことができるようになっている。
【0020】
前記荷重アーム作動部6は、サーボモータ61と、ボールねじ62と、前記ボールねじ62の先端部に取り付けられ、前記板ばね7に固定される固定治具63と、を備えている。従って、前記サーボモータ61が駆動して前記ボールねじ62が上下動することにより、前記板ばね7と一体化された荷重アーム4が回動するようになっている。
【0021】
制御部10は、上述した荷重センサ41から送信される現荷重値に応じて試料台5の下部に設けられた電磁ブレーキ9に供給する電圧および電流の制御を行う。
具体的には、予め設定された電磁ブレーキ9の作動荷重値と荷重センサ41から送信される荷重値とを比較し、荷重センサ41から送信される荷重値が作動荷重値に達したときに、制御部10は、電磁ブレーキ9のスイッチをONにし、電磁石9cに電流を流し、電磁石9cの上部に設けられたナット9aの回転運動を停止させる。
【0022】
また、制御部10は、上記電磁ブレーキ9の使用による試料台5の磁化を防ぐために、2つの方法を用いて試料台5の脱磁を行う。
1つのめ方法は、電磁石9cを流れる電流の方向を反転させる方法である。
具体的には、電磁ブレーキ9の駆動の後、電磁ブレーキ9の駆動に用いられた電流と反対方向の電流を電磁ブレーキ駆動時間より短く電磁石9cに流し、さらに、先に流した電流の方向と反対に、かつ時間を短く電流を流すことを複数回繰り返し(この複数回の電流を脱磁用電流と呼ぶ)、電磁石9cによって磁化された試料台5の脱磁を行う。
さらに、ブレーキ動作ごとに電流の流れる方向を反転させ、電磁ブレーキ9に正負の電流が同一の割合でかけられるようにし、磁化する方法を一方向に偏らせないという方法が複合的に用いられている。
【0023】
例えば、図3に示すように、制御部10は、電磁ブレーキ9の駆動用電流、試料台5の脱磁用電流、荷重アーム4の操作用電流の方向を順に反転させる。すると、電磁ブレーキ9の駆動電流により磁化された試料台5は、脱磁用電流を流すことにより脱磁されるとともに、電磁ブレーキ9の駆動用電流は、ブレーキ動作ごとに反転し、電磁ブレーキ9に正負の電流が同一の割合でかけられるようになり、試料台5の脱磁効果を高められる。
【0024】
2つのめ方法は、電磁ブレーキ動作直後、あるいは、試験の終了を行う前に、電磁石9cに高周波数の電圧をかけ、試料台5を完全に脱磁させる方法であり、制御部10は、電装部11に内蔵された電力変換装置11aに制御信号を送信し、電磁ブレーキ9に対して、図4(a)に示すような、一定の大きさの電圧を与え、この電圧の周波数を徐々に上げていく。そして、図4(b)に示すように電磁石9cのコイルに流れる電流を徐々に減少させ、最終的に電磁石9c内のコイルを流れる電流を完全になくすことで、試料台5を完全に脱磁させる。
【0025】
さらに、制御部10は、上述した電磁ブレーキ9の制御のほかに、制御部10に内部の記憶装置に記憶されたプログラムに従い、試験荷重の設定、荷重アーム4の制御、試験結果の算出等の硬さ試験機1の動作に関わる電気的な制御を行う。
【0026】
次に、上述の構成におけるロックウェル硬さ試験機1の試験動作について図5に示すフローチャートに従って説明する。
まず、ロックウェル硬さ試験機1のスイッチがONされ、入力部(図示省略)から初試験荷重および試験荷重の入力がなされると、ステップS1で荷重アーム4の初期化がなされる。すなわち、制御部10は荷重アーム4の中立位置を検出し、荷重アーム4が中立位置から所定量下方に回動するような力信号をサーボモータ61に与え、この力により荷重アーム4を所定の位置に据える。
次いで、ステップS2では、荷重センサ41の値をリセットするとともに、入力された初試験荷重から所定の値を引いて、電磁ブレーキ9を作動させる荷重値(以下、オートブレーキ荷重と呼ぶ)を設定する。
【0027】
以上のように、荷重アーム4の位置が準備され、制御部10のデータが初期化されると、ユーザは、試料台4下部に設けられたナット9aをハンドル9bによって回転させ、試料台5を上昇させるとともに、制御部10は、目標量をオートブレーキ荷重、制御量を荷重センサ41の値として、試料台5を所定の位置に据えるためのPID制御に移行する。
つまり、制御部10は、現時点での荷重センサ41の値およびアーム位置センサ42の値を図示しないA/D変換器によってデジタルデータに変換後、制御部10に記憶し(ステップS3)、ステップS4において、制御部10に記憶された荷重センサ41の値とサーボモータ61から荷重バネ7に与えた力の値からエラー値を計算してこのエラー値に基づいてサーボモータ61への制御信号をD/A変換し、図示しない駆動回路によって増幅した後、サーボモータ61に出力する。
【0028】
次に、ステップS5では、荷重センサ41から検出される荷重値が電磁ブレーキ9を駆動させる荷重値(オートブレーキ荷重)か否かが判別され、荷重値が電磁ブレーキ作動する荷重でない場合(ステップS5;NO)は、ステップS6に処理を移行するが、この場合、ステップS10における力制御の切り変えがまだ行われていないため、力値の制御チェックはNOになり(ステップS6;NO)、ステップS7に移行する。次いで、ステップS7とステップS8においても、電磁ブレーキ9のスイッチがONになっていないため、制御チェックはNOになり、制御部の動作はステップS3に移行することになり、ステップS3以降の処理が再度行われる。
【0029】
上記のように、ユーザによる試料台5の上昇動作とともに、ステップS3〜ステップS8までのループ処理を複数回繰り返し、試料台5が上昇され、試料台5上の試料sと圧子3の間にオートブレーキ荷重がかかると(ステップS5;YES)、電磁ブレーキ9はONされ、制御部10は電磁ブレーキ9内の電磁石9cに電流を流し、ユーザによるナット9aの回転操作をストップさせる(ステップS9)。そして、ブレーキ保持時間およびブレーキ電流反転時間のタイマーをセットし、試料台5の位置を保持するための力の制御へ切り替える(ステップS10)。
【0030】
次に、力値が精度チェックを行う力でないと判定され(ステップS6;NO)、電磁ブレーキ作動中にステップS7に移行すると、制御部10によりブレーキ作動中にブレーキ電流反転時間に達したか否かが判定され、ブレーキ反転時間に達したと判定された場合(ステップS7;YES)には、制御部は、まず、電磁ブレーキ9内の電磁石9cに、電磁ブレーキ駆動電流を流し、次に先に流した電流の方向と反対方向に、かつ短く電流を流すことを複数回繰り返し(ステップS11)、電磁石9cによって磁化された試料台5を脱磁する。
【0031】
一方、ブレーキ電流反転時間が終了したと判定された場合(ステップS7;NO)には、ステップS8に移行して、制御部10により、ブレーキ保持時間以内か否かが判別される。そして、電磁ブレーキ保持時間以内であると判別されると(ステップS8;YES)、制御部10は、電磁ブレーキ9をオフにした後、目標荷重として正確な初期荷重がかけられるような値を設定し(ステップS12)、再び、ステップS3移行の動作を繰り返して行う。
【0032】
そして、この状態で、ステップS6に移行すると、ステップS6の判定がYESとなって、ステップS13に移行する。
このステップS6において、制御部10は、荷重センサ41が検出した値と、ステップS12において設定された値とを比較し、荷重センサ41から検出された値が精度チェックを行う範囲以内の値か否かが判定される。そして、荷重センサ41から検出された値が精度チェックを行う値ならば(ステップS6;YES)、アーム位置センサ42からアームの変位量を検出して、荷重アーム4の位置が上昇しすぎていたり、下降しすぎていたりすると(ステップS13;NO)、サーボモータ61を停止して(ステップS14)、試験を終了する。
一方、荷重アーム4の位置が試験力精度範囲内である場合(ステップS13;YES)、サーボモータ61を駆動させ、荷重アーム4を所定の位置に移動させ、試料sに初試験荷重を加え(ステップS15)、その後、サーボモータ61を駆動させ、荷重アーム4を下降させ、試料sに試験荷重をかける(ステップS16)、そして、荷重アーム4を上昇させて、試料sにかかる荷重を初試験荷重に戻し(ステップS17)、荷重アーム4の変位量に基づいて硬さ値を求め、その値を表示部(図示省略)に表示する(ステップS18)。
【0033】
そして、試験終了時には、電磁ブレーキ9に対して、一定の大きさの電圧を与え、この電圧の周波数を徐々に上げていく。そして、電磁石9cのコイルに流れる電流を徐々に減少させ、最終的に電磁石9c内のコイルを流れる電流を完全になくすことで、試料台5を完全に脱磁させてもよい。
【0034】
以上のように、本実施の形態におけるロックウェル硬さ試験機1は、電磁ブレーキ9を駆動した後に、先に流した電流の方向と反対に、かつ時間を短く電流を流すことを複数回繰り返し、電磁ブレーキ9内の電磁石9cの脱磁を行い、さらに、電磁ブレーキ9の作動ごとに電流の方向を反転させ、電磁ブレーキ9に正負の電流が同一の割合でかけられるようにさせ、試料台5の磁化を防ぐことが出来る。
【0035】
また、上記記載のロックウェル硬さ試験機1は、試験終了時に、電磁ブレーキ9内の電磁石9cに一定の大きさの電圧を与え、この電圧の周波数を徐々に上げていき、電磁石9cのコイルに電流を流れないようにさせ、試料台5を完全に脱磁させる。
【0036】
よって、本実施の形態におけるロックウェル試験機1は、電磁石9c上部に設けられた試料台5の磁化を防ぐことにより、薄い試料が試料台5に吸引されることを防止出来ることとなって、試料の取り替えが容易となり、また、磁化されると問題になる試料の試験が可能となる。
【0037】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成する範囲での変形、改良等は含まれるものとする。
例えば、上記実施例は、ロックウェル硬さ試験機としたが、ロックウェル硬さ試験機に限定する必要はなく、試料台の上下動を制御する機構を持つ硬さ試験機ならば、例えば、ブリネル試験機やビッカーズ試験機にも適用される。
【0038】
また、試料台の上昇操作を手動で行う必要はなく、モータ等により自動で上昇させるようにしてもよい。
【0039】
また、本実施例では、試料台上の試料に所定の荷重がかかったときに、電磁ブレーキのスイッチをONにするとしたが、荷重による制御に限定される必要はなく、例えば、圧子と試料の距離による制御を行い、圧子と試料が所定距離接近した時点で電磁ブレーキをかけてもよい、そうすることにより、圧子と試料が接触する際の衝撃が緩和されるため、接触時に初試験力を越えてしまうという問題を解消できる。
【0040】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、電流供給手段によって、電磁ブレーキを駆動させる駆動電流を供給した後、当該駆動電流と逆方向の電流を、当該駆動電流より短時間供給することを特徴としたため、当該駆動電流の通電時間と同時間、もしくは、それ以上の時間の電流の通電により、試料台が逆方向に磁化されるのを防ぎ、電磁ブレーキの駆動により磁化された試料台を脱磁し、薄い試料等の磁石に吸引されやすい試料が試料台に貼り付きにくくし、試料の取り替えを効率よく、また磁化されると問題となる試料を試験することができる。
【0041】
請求項2記載の発明によれば、電流供給手段によって、電磁ブレーキを駆動するごとに、電磁ブレーキに流す電流方向を反転させて供給するようしたため、電磁ブレーキに正逆方向の電流が均等に供給されるようになり、電磁ブレーキによる試料台の磁化が一方向に偏ることがなくなり、磁石に吸引されやすい試料の取り替え時における試料の取り替えが容易になり、効率良く試験を行うことができるとともに、磁化されると問題になる試料の試験が可能となる。
【0042】
請求項3記載の発明によれば、電流供給手段によって、電磁ブレーキを駆動させる駆動電流が、ブレーキ動作ごとに電流の流れる方向が反転されて供給されるので、電磁ブレーキの駆動により磁化された試料台に逆方向の磁力を与え、試料台の磁力を脱磁し、薄い試料等の磁石に吸引されやすい試料が試料台に貼り付きにくくなり、試料の取り替えを効率よく行うことができる。
【0043】
請求項4記載の硬さ試験機よれば、高周波数電圧印加手段によって、電磁ブレーキの駆動により磁化された試料台を脱磁する高周波数の電圧を前記電磁ブレーキに印加する高周波電圧印加手段を備えているため、交流脱磁により、試料台の磁力を脱磁することができ、磁石に吸引されやすい試料の取り替え時における試料の取り替えが容易になり、効率良く試験を行うことができるとともに、磁化されると問題になる試料の試験が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の硬さ試験機の側断面図である。
【図2】電磁ブレーキの構成を示す側断面図である。
【図3】電磁ブレーキ駆動時に、電磁ブレーキにかけられる電圧の変化を示す図である。
【図4】試験終了時に、電磁ブレーキにかけられる電圧、および電流の推移を示す図である。
【図5】電磁ブレーキの動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1 ロックウェル硬さ試験機
2 本体部
5 試料台
51 軸ネジ
9 電磁ブレーキ
9a ナット
9b ハンドル
9c 電磁石
10 制御部
11 電装部
11a 電力変換装置
Claims (4)
- 電磁ブレーキを用いて試料台の昇降動作を制御する硬さ試験機において、
前記電磁ブレーキを駆動させる駆動電流を供給した後、当該駆動電流と逆方向の電流を、当該駆動電流より短い時間供給する電流供給手段を備えていることを特徴とする硬さ試験機。 - 前記電流供給手段は、電磁ブレーキを駆動するごとに、前記電磁ブレーキに流す電流方向を反転させて供給するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の硬さ試験機。
- 前記電流供給手段は、前記電磁ブレーキを駆動させる駆動電流を、ブレーキ動作ごとに電流の流れる方向を反転させて供給することを特徴とする請求項1又は2に記載の硬さ試験機。
- 電磁ブレーキを用いて試料台の昇降動作を制御する硬さ試験機において、
前記電磁ブレーキによって磁化された試料台を脱磁する高周波数の電圧を前記電磁ブレーキに印加する高周波電圧印加手段を備えていることを特徴とする硬さ試験機。
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