JP3553426B2 - 直接スペクトラム拡散信号により変調されたデータ信号を検出する方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マルチパスフェージングおよび多重アクセス干渉(MAI:multiple access interference)を受ける直接拡散(DS:direct sequence)符号分割多元接続(CDMA)システムに関し、特に、このようなシステムで用いられる信号検出技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
次世代移動ワイヤレス標準に対して提案されているもののようなワイヤレスCDMAシステムにおいて、物理層における主な障害は、所望のユーザと直交しない共通チャネルユーザによって引き起こされるマルチパスフェージングおよび多重アクセス(マルチアクセス)干渉である。rake受信器(R. Price and P. E. Green, ”A Communication Technique for Multipath Channels”, Proceedings of the IRE, Vol.46, pp.555−570, March 1958、参照)は、所望の信号の分解可能なマルチパスレプリカをコヒーレントに合成することによって、マルチパスフェージングに対処しようとするものである。マルチユーザ検出(S. Verdu, ”Multiuser Detection”, Cambridge University Press, New York, 1998、参照)は、所望のユーザを検出する際に、MAIの存在を能動的に考慮することによってMAIの問題に対処するものである。
【0003】
最近になって、受信器パフォーマンスをさらに改善するために、アレイ処理を使用することに関心が高まっている。このような技術は、基地局受信器において複数のアンテナを使用して、アンテナ利得やダイバーシティ利得を得るとともに、空間処理を可能にするものである。これらの空間領域技術を、rake検出およびマルチユーザ検出のような時間領域技術と組み合わせることにより得られる時空間検出器は、従来の時間領域のみの検出器に比べて、CDMAシステムの容量を改善する見込みがある(例えば、A. Paulraj and C. Papadias, ”Space−Time Processing for Wireless Communications”, IEEE Signal Processing Magazine, Vol.14, No.6, pp.49−83, Nov. 1997、参照)。第1世代の時空間CDMA検出器は、アレイ処理を、rake検出またはマルチユーザ検出のいずれか(それぞれ、A. Naguib and A. Paulraj, ”Performance of Wireless CDMA with M−ary Orthogonal Modulation and Cell Site Antenna Arrays”, IEEE Journal on Selected Areas in Communications, Vol.14, No.9, pp.1770−1783, Dec. 1996、または、S. Miller and S. Schwartz, ”Integrated Spatial−Temporal Detectors for Asynchronous Gaussian Multiple−Access Channels”, IEEE Transactions on Communications, Vol.43, No.2/3/4, pp.396−411, Feb./Mar./Apr. 1995、参照)とともに用いていた。その後の時空間CDMA検出器は3種類のすべての処理技術を組み合わせた(H. Huang, S. Schwartz, S. Verdu, ”Combined Multipath and Spatial Resolution for Multiuser Detection: Potentials and Problems”, Proceedings of the IEEE International Symposium on Information Theory, p.380, 1995、あるいは、M. Nagatsuka and R. Kohno, ”A Spatially and Temporally Optimal Multi−User Receiver Using an Array Antenna for DS/CDMA”, IEICE Transactions on Communications, Vol.E78−B, No.11, pp.1489−1497, Nov. 1995、参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のシステムは満足に動作はするが、改善の余地があり、特に、3種類のすべての処理技術を組み合わせた時空間検出器は改善することが可能である。Nagatsuka and Kohnoの論文の検出器は最尤の意味で最適ではあるが、その計算の複雑さ(計算量)はユーザ数に関して指数関数的である。従って、実用的システムを実現するには複雑になり過ぎる。Huang, Schwartz and Verduの論文では、パフォーマンスと複雑さの間のトレードオフを提供しているが、この検出器は、ゼロフォーシング基準を用いているため、適応的に実装されていない。適応的実装により、受信器は、未知の干渉源を考慮に入れることが可能となり、それにより、検出器パフォーマンスが改善され、システム容量が増大する。例えば、基地局受信器は、隣接するセルからの、あるいは、埋め込まれたマイクロセルからの干渉を考慮に入れることが可能となり、一方、ハンドセット受信器は、明示的に復調していない信号からの干渉を考慮に入れることが可能となる。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、rake受信器、アレイ処理、およびマルチユーザ検出を利用してDS−CDMA信号を検出する。アレイ処理と組み合わされる場合、rake受信器は、時空間rake受信器と呼ばれることがある。本発明は、マルチユーザ検出器において、最小平均二乗誤差(MMSE:minimum mean−square error)基準を使用する。この基準により、線形検出器の形式で、比較的単純な実装が可能となるとともに、適応的実装が可能となる。適応的実装は、さまざまな受信信号に関する限定された知識しかないような実際的状況で有用である。上記のように、アップリンクおよびダウンリンクの容量は、未知の干渉を考慮に入れた適応的検出器を使用して改善される。
【0006】
パルス振幅変調(PAM:pulse amplitude modulated)データ信号の場合、本発明の2つの実施例は、パフォーマンスと適応的実装の複雑さとの間のトレードオフの選択肢を提供する。ユーザの信号パラメータに関する完全な知識がある場合には、第1実施例のほうが良好に動作する。しかし、第1実施例は、適応的実装のためのより多くの明示的なチャネル情報を必要とする。受信器がP≧1個のアンテナを有し、受信信号がK個のDS−CDMAデータ信号からなり、各DS−CDMAデータ信号はL個の遅延されたあるいは重み付けられたマルチパスレプリカを有するとする。各アンテナにおいて、フィルタのバンクが、KL個の拡散符号に、それぞれのマルチパスタイミング遅延で整合する。フィルタ出力は、推定されたチャネル(マルチパスおよびアレイ)パラメータの複素共役により重み付けられてから合成され、各成分がK個の符号のうちの1つに対応するK次元ベクトル(K−ベクトル)を形成する。各成分の実部がとられる。マルチパス遅延およびチャネルパラメータの推定値は、例えば、トレーニング(パイロット)信号から得られる。従来の時空間rake受信器であれば、各ベクトル成分を判定デバイスに渡して、対応するユーザのPAMデータシンボルを推定する。しかし、ユーザの信号が時空間領域で直交していなければ、ベクトル成分には他のユーザからのマルチアクセス干渉が混入する。本発明は、判定デバイスの前に線形結合器を使用して、マルチアクセス干渉を抑圧する。この線形結合器は、実K−ベクトルに乗じられる実K×K行列WAによって表される。この行列は、この行列と実K−ベクトルの積と、データシンボルのK−ベクトルとの間の最小二乗誤差を最小にする。この行列は最小平均二乗誤差(MMSE)基準を用いるため、周知の適応アルゴリズムを用いてそれを適応的に得ることができる。最終的なK−ベクトル出力の各成分は、K個の符号のうちの1つに対応し、その後の処理のために判定スライサまたは復号器のいずれかに渡される。
【0007】
第2実施例は、チャネルパラメータが正確に既知であるときにはわずかに劣ったパフォーマンスを有する。しかし、チャネル不整合の実際の条件下では、第2実施例のほうが良好に動作することが多い。適応的実装に関して、この実施例のほうが少ない情報しか必要としない(明示的なチャネル推定値は不要)が、適応は遅くなる可能性がある。第1実施例と同様に、第2実施例のフロントエンドは、P個のアンテナのそれぞれに対するKL個の整合フィルタのバンクの後に、重み付けおよび合成からなる。しかし、第1実施例とは異なり、実部オペレータ(実部取り出し)と線形結合器(K×K行列の乗算)の順序は交換される。この際に、重み付け、合成、および線形結合器は、単一の複素K×KLP行列WBによって表される。結果として得られるK−ベクトルの成分の実部が、その後の処理のために、判定デバイスまたは復号器のいずれかに渡される。適応的実装では、適応アルゴリズムを用いて行列WBを得ることができるため、チャネル推定値は明示的に要求されない。
【0008】
直交PAM(QAM:quadrature PAM)データ信号の場合、信号コンステレーションが2次元であるため、検出器に実部オペレータは不要である。この場合、実部オペレータを用いずに、線形結合器の後に直接に適当な判定デバイスまたは復号器を設けた、第2実施例の変形例が用いられる。
【0009】
MMSE検出法はそれ自体強力であるが、その性能は、線形マルチユーザ検出器の場合のように干渉が射影により除去される代わりに明示的に受信信号から減算される干渉消去のような他のマルチユーザ検出技術とともに用いることによって、さらに改善される。干渉消去は、MMSE線形結合器の前後のいずれに行うことも可能である。
【0010】
MMSE検出器のいずれの実施例も、データ伝送チャネルの他に、パイロット信号として作用する補助チャネルを利用する実用的システムに一般化することが可能である。また、MMSE検出器は、信号が複数の拡散ファクタで送信されるようなシステムでも動作可能である。
【0011】
本発明によるCDMA信号検出器は、マルチユーザ検出を用いない、あるいは、マルチユーザ検出を用いるが未知の干渉を適応的に低減しない従来の信号検出器に比べて、大幅に改善されたパフォーマンスを提供することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
[概要]
k番目のユーザ(k=1,...,K)がデータ系列bk(t)をNチップ拡散系列sk(t)で変調するKユーザシステムを考える。検出器Aの場合、データ系列はパルス振幅変調(PAM)である。検出器Bの場合、データ系列はPAMまたは直交PAM(QAM)のいずれも可能である。送信された信号は、チャネルにおいて周波数選択的なフェージングを受け、受信器には、複素フェージングチャネル係数ck,1(t),...,ck,L(t)を有するL個の時間分解可能なマルチパス成分として到着する。受信器は、Pエレメントリニアアレイであると仮定する。各分解可能マルチパス成分は、リニアアレイに対する角θk,l(t)を有する平面波として到着し、アレイ間隔が、与えられた波面に対してアレイエレメント間に完全な相関があるように十分に近い(例えばλ/2)場合、p番目のエレメントの、第1エレメントに対する位相オフセットhk,l,p(t)は、hk,l,p(t)=exp(π(p−1)sinθk,l(t))である。与えられたシンボル期間に対して、p番目のアンテナにおける受信信号(シンボル間干渉は無視する)は、
【数1】
である。ただし、Akはユーザkの振幅であり、τk,lはk番目のユーザのl番目のマルチパスの遅延であり、np(t)は、セル外干渉および背景ノイズを考慮に入れた加法性ガウシアンノイズ過程である。ここで、分析を簡単にするために以下の仮定をおく。
(a) 信号はビット同期して受信される。
(b) 時間広がりは、シンボル期間に比べて、シンボル間干渉が無視できるほどに小さい。
(c) 位相オフセットおよびチャネル係数は、1シンボル期間にわたり一定である。
第1の仮定は後で落とすことになる。これらの仮定のもとで、式(1)の受信信号に対するチップ整合フィルタ出力は次の複素N−ベクトルとなる。
【数2】
ただし、s k,lはsk(t−τk,l)に対応するチップ整合フィルタN−ベクトルであり、n pはガウシアンノイズに対応する複素N−ベクトルである。(式中太字で示した記号は、明細書本文中では下線で代用して示す。)拡散符号は単位エネルギーを有するように正規化されている。すなわち、‖s k,l‖=1である。拡散符号はランダムであると仮定する。しかし、これらのMMSE検出器の適応的実装では、数個のシンボル期間の後に繰り返す短い拡散符号の使用を要求する。以下、次の記法を使用する。
【0013】
【表1】
アレイ係数およびチャネル係数の対応する推定値は、その値の記号の上に記号^を付けて表す。ノイズベクトルは、ゼロ平均複素ガウシアンベクトルであり、その分布は、(成分ごとの)実成分および虚成分に関して次のように書くことができる。
【数3】
ただし、行列およびベクトルに対する実部演算および虚部演算をRe(X)=(X+X *)/2およびIm(X)=(X−X *)/2と定義し、*は複素共役を表す。従って、Re(n)およびIm(n)は、成分の分散がσ2で相互に無相関の、ゼロ平均ガウシアンランダムベクトルである。
【0014】
[従来の(時空間rake)受信器(図1)]
このアレイ−マルチパスチャネルの場合に、従来技術のシングルユーザ検出器は、所望のユーザの複合アレイ−マルチパス拡散符号信号に整合した相関器である。この検出器は、干渉源の存在を考慮に入れていない。しかし、干渉源がない場合、あるいは、干渉源がアレイ−符号空間で所望のユーザと直交する場合、これは最尤検出器である。図1に示すように、この検出器は、KL個のマルチパス拡散符号s 1,1,...,s 1,L,...,s K,1,...,s K,Lに整合した、各アンテナにおける相関器バンク10である。図1の左端のボックス内の〈s k,l,・〉という記法は、s k,l(k番目のユーザの拡散符号で、l番目のマルチパス遅延に対応するもの)と、そのボックスへの入力ベクトルとの内積をとることを示す。〈s k,l,・〉という記法におけるドットは入力を表す。タイミング推定値は、別個のタイミング推定アルゴリズムを用いて得られる。左上のボックス(ベクトルz 1の第1成分に対応する)の出力は、〈s 1,1,r 1〉=s 1,1 H r 1である。ただし、上付き添字Hは複素ベクトルのエルミート共役(各成分の複素共役をとり、さらにベクトルの転置をとる)を表す。複数の信号、それらの信号の複数のマルチパス成分および複数の受信アンテナの少なくともサブセットに対する整合フィルタ出力を図中(z 1,...,z P)で示す。
【0015】
参照符号11において、相関器出力は、対応するチャネル推定値の複素共役で重み付けられる。具体的には、ユーザkのl番目のマルチパスに対するp番目のアンテナにおける相関器出力は、対応するチャネル(アレイ/マルチパス)係数の推定値hk,l,p^ck,l^の複素共役で重み付けられる。これらの推定値は、別個のチャネル推定アルゴリズムを用いて得られる。各アンテナにおいて、k番目のユーザに対するL個の成分は加算され(12)、その後、k番目のユーザに対して結果として得られるP個の成分が加算される(13k,k=1,...,K)。その後、各成分は、判定デバイスまたは復号器に渡される。PAMデータ信号の場合、k番目のユーザに対する判定デバイス(14k,k=1,...,K)は、k番目のベクトル成分の実部にユークリッド距離の意味で最も近いシンボルを出力する。QAMデータ信号の場合、実部オペレータは不要である。
【0016】
図1から、整合フィルタの出力におけるKLP−ベクトルz=[z 1 T...z P T]Tは次のように書くことができる。
【数4】
ただし、KLP×KLP行列(複素ブロックテプリッツ相関行列)〜Rを
【数5】
と定義し、
【数6】
は2つの行列の間のクロネッカー積演算であり、複素ノイズベクトルは、次の分布を有する複素ガウシアンランダムベクトルである。
【数7】
【0017】
【数8】
という事実(○は2つの同サイズの行列どうしの成分ごとの積を表す)を用いると、チャネル結合器の出力および判定デバイス141〜14Kへの入力におけるK−ベクトルは次のように簡潔に書くことができる。
【数9】
ただし、Hは複素共役転置を表し、○は2つの同サイズの行列どうしの成分ごとの積を表し、
【数10】
である。ノイズベクトルは純粋に実であり、次の分布を有する。
【数11】
ただし、
【数12】
である。データがBPSK変調されている場合、ユーザkに対するビット判定は単に、Re{y conv}の第k成分の硬制限(hard limit)、すなわち、b^k=sgn(Re{y conv,k})である。従来のrake受信器の対応するビット誤り率Pk convは次の通りである。
【数13】
ただし、X (k,k)は、行列Xの(k,k)成分である。さまざまな検出器どうしのパフォーマンス比較は、BPSK変調データに関して与えられるが、それらは一般に、任意のQAM変調データに対しても与えることが可能である。
【0018】
[一般的な時空間線形マルチユーザrake受信器(図2)]
上記の従来の時空間rake受信器は、与えられた1ユーザに対して、復調はそのユーザのみからの情報を使用するという意味で、シングルユーザ受信器である。これは他のユーザからの干渉の存在を考慮に入れていないため、そのパフォーマンスは劣化する。図2に、一般的なマルチユーザ時空間rake受信器を示す。これは、線形結合器を使用して、マルチアクセス干渉を考慮に入れている。この検出器の2つのバージョンについて説明する。第1のバージョン(検出器Aという。)は、線形結合器の前に実部オペレータを使用する。この場合、図2の参照符号20は、実部オペレータのバンクと、その後の線形結合器とからなり、各コンポーネント141,...,14kは、その入力に最も近い推定シンボルを判断するスライサである。第2のバージョン(検出器Bという。)は、複素行列によって表される線形結合器と、その後の実部オペレータとを使用する。この場合、参照符号20は、線形結合器のみからなり、判定デバイスが、実部オペレータおよびスライサからなる。その類似性にかかわらず、実際には、検出器AとBの線形結合器は相異なるパフォーマンスおよび適応的実装となる。以下で、これらの2つの検出器の実施例についてさらに詳細に説明する。
【0019】
[時空間線形マルチユーザ検出器A(図3)]
K個のユーザに対して十分な統計量のセットは、式(3)においてK−ベクトルRe{y conv}として与えられる。線形MMSE検出器の目的は、このベクトルのK×K線形結合器を適用して、その結果得られるベクトルと、データベクトルbの間の平均二乗誤差が最小になるようにすることである。換言すれば、次式のような実K×K行列W Aを求めることである。
【数14】
この検出器は、本質的に、n convを通して現れる残留ガウシアンノイズと、
【数15】
の非対角項を通して現れる多重アクセス干渉の両方に対処するように適当にバランスをとる。その解は次のようになることを示すことができる。
【数16】
【0020】
図3は、本発明による検出器Aのブロック図である。これは、P個のアンテナと、整合フィルタバンク10を含む。ボックス31は、式(6)で与えられるK×K行列W Aによって定義される線形結合器を表す。この行列を言葉で説明すれば次のようになる。これは、3つの項、すなわち、
(a)対角振幅行列(A)、
(b)等価アレイ/チャネル/符号相関行列(M)、および、
(c)アレイ/チャネル/符号相関行列(M)と、振幅行列の2乗(A 2)と、アレイ/チャネル/符号相関行列のエルミート共役(M H)との積に、推定されたアレイ/チャネル/符号相関行列(M^)にバックグラウンドノイズの分散(σ2)で重みを付けたものを加えたものからなる行列(MA 2 M H+σ2 M^)の逆、の積である。この行列は、式(5)で与えられる平均二乗誤差基準を最小にし、式(5)の平均二乗誤差の式の凸性のため、MMSE解(6)は大域的最小を表す。判定スライサのバンク(321,...,32K)が、線形結合器の後にくる。
【0021】
このMMSE検出器の有利な特徴は、最小平均二乗や再帰的最小二乗のような周知の適応アルゴリズム(33)を用いて適応的に実装可能なことである。トレーニング信号(例えば、ユーザのデータビット)を用いて、これらの技術を用いて適応的にW Aを得ることができる。適応的実装は、W Aの直接的計算が複雑すぎると考えられる場合のオプションである。なお、適応的実装は、K個のユーザの拡散符号、マルチパス遅延、およびチャネルパラメータの知識を必要とする。
【0022】
アレイおよびチャネルの推定値が厳密にC^=C、H^=Hであると仮定すると、式(6)におけるW Aの式を次のように書き直すことができる。
【数17】
もう1つの有利な特徴は、次式のように、残留ガウシアンノイズが0に近づくとともに、MMSE検出器は、脱相関(ゼロフォーシング)検出器に近づくことである。
【数18】
換言すれば、式(3)から、次式を得る。
【数19】
そして、多重アクセス干渉は0に強制される。脱相関検出器A(DD−A,decorrelating detector A)の実装では、式(6)で与えられるW AをW A=A −1Re{M}−1で置き換える。ここで、C H[(H H H)○R]Cは正定値であり従って可逆であると仮定すると、Re{C H[(H H H)○R]C}もまた可逆となる。
【0023】
次に、この第1のMMSE検出器(MMSE−A)のビット誤り率を計算する。スライサ入力におけるK−ベクトルは次の通りである。
【数20】
ただし、
【数21】
である。従って、MMSE−A検出器を使用するk番目のユーザに対するビット誤り率は、次のようになる。
【数22】
W A=A −1(Re{C H[(H H H)○R]C})−1とし、完全チャネル推定を仮定すると、DD−Aのビット誤り率は次のようになる。
【数23】
【0024】
このMMSE検出器の1つの欠点は、チャネルおよびアレイの係数の推定を、W Aを得るための適応アルゴリズムに組み込むことができないことである。これらの推定値は、(トレーニングあるいはパイロット信号のような)何らかの別の手段を用いて明示的に取得しなければならない。ここから、「アレイおよびチャネルのパラメータの事前の知識を必要としない適応的MMSEを設計することは可能か?」という疑問が生じる。その答えはYESであり、これについて次のセクションで説明する。
【0025】
[時空間線形マルチユーザ検出器B(図4)]
このセクションの目標は、適応的に実装可能であるとともに明示的なアレイおよびチャネルの推定値を必要としないMMSE検出器を導出することである。(しかし、マルチパス遅延のタイミング推定値は依然として必要となる。)図4に、検出器Aの実部オペレータと線形結合器の位置を交換した、検出器Bの基本構造を示す。この交換により、結果として得られるアレイ結合、マルチパス結合、および線形結合器の縦続構成は、図5に示すような単一の複素K×KLP行列乗積W Bにまとめることができる。具体的には、この行列を、MMSE基準を用いて次のように定義する。
【数24】
式(4)から、
【数25】
となる。ただし、G≡H D Cは、アレイ/チャネル行列である。図5は、本発明によるMMSE−B検出器のブロック図である。これは、P個のアンテナと、整合フィルタのバンク10を含む。ボックス50は、式(10)で与えられるK×KLP行列W Bによって定義される線形結合器を表す。この行列は、上記のように
【数26】
で与えられる平均二乗誤差基準を最小にする。式(10)の最後の行は、この行列が、3つの項、すなわち、
(a)対角振幅行列(A)、
(b)従来の検出器におけるアレイ/チャネル結合器と等価であるが推定値ではなく実際のパラメータを使用するアレイ/チャネル結合器行列H D C、
(c)行列〜RGA 2 G H+σ2 I KLPの逆行列、
の積であることを示している。この逆行列は、式(2)に従って定義される相関行列(〜R)と、アレイ/チャネル結合器行列Gと、振幅行列の2乗(A 2)と、アレイ/チャネル結合器行列のエルミート共役との積に、KLP×KLP単位行列にバックグラウンドノイズの分散(σ2)で重みを付けたものを加えたものからなる。データがPAMである場合、実部オペレータのバンク(301,...,30K)および判定スライサ(321,...,32K)が線形結合器の後にくる。そうではなく、データがQAMである場合、複素判定スライサ(141,...,14K)のみがあればよい。PAMデータの場合、検出器AとBは、構造は類似するが、実部オペレータの配置が異なることにより、等価ではない。
【0026】
BPSKデータに対する検出器Bのビット誤り率を計算するのに、スライサ入力におけるK−ベクトルは
【数27】
である。ただし、
【数28】
である。従って、MMSE−B検出器を使用するk番目のユーザに対するビット誤り率は次式のようになる。
【数29】
【0027】
P個の受信されるN−ベクトルを単一のNP−ベクトルr=[r 1 T r 2 T...r P T]Tに連接することによって、整合フィルタバンクの演算を線形結合器W Bと結合して、rに乗じる単一のK×KP行列を作ることができる。図6に示すように、k番目のユーザに対する検出器構造は、このK×KP行列60の第k行と、その後の実部オペレータ62および判定スライサ63とに還元される。従って、MMSE−B検出器は、単純なタップ重みフィルタアーキテクチャで実装することができる。その対応する脱相関検出器(後述)と、MMSE−A検出器と、DD−A検出器とは、同様にこのアーキテクチャで実装することができる。MMSE−A検出器と同様に、このバージョンのMMSE−B検出器は、周知の適応アルゴリズム(61)を用いて適応的に実装することができる。しかし、MMSE−Bは、アレイおよびチャネルの推定値を必要としないという利点がある。その代わり、トレードオフとして、調整するタップが多くなるために適応が遅くなる可能性がある。
【0028】
2つの検出器の間の直接の解析的比較は困難であるが、以下で、完全なチャネルおよびアレイの推定値のもとで、ノイズ下限が0に近づくにつれて、MMSE−Aのパフォーマンスは一様にMMSE−Bより優れていることを示す。まず、MMSE−Bに対応する脱相関検出器DD−Bは単に、W BをA −1[(H D C)H〜RH D C]−1(H D C)Hで置き換えることを示す。(既に、(H D C)H〜RH D C=C H[(H H H)○R]Cは可逆であると仮定したことを想起すべきである。)
【0029】
命題1:
【数30】
証明:両辺に〜RH D CA 2(H D C)H+σ2 I KLPを乗じることにより、次を得る。
【数31】
従って、(H D C)H〜RH D C=C H[(H H H)○R]Cという事実、および、MMSE−Aにおけるアレイおよびマルチパスの結合器は(H D C)Hによって表すことができるという事実から、DD−Bは、整合フィルタのバンクと、その後の結合器と、その後の脱相関器(C H[(H H H)○R]C)−1と、その後の実部オペレータと、その後のスライサとからなる。DD−Aは、脱相関器と実部オペレータの順序が交換されることと、脱相関器が(Re{C H[(H H H)○R]C})−1であることを除いてはほとんど同一である。W Bを式(11)のU B=A −1[(H D C)H〜RH D C]−1(H D C)Hで置き換えることにより、DD−Bのビット誤り率は次のようになる。
【数32】
【0030】
次に、DD−AがDD−Bよりも一様に低いビット誤り率を有することを示そう。
【0031】
命題2:Pk DD−A(σ)≦Pk DD−B(σ)
【0032】
証明:(これについては、発明者は、Lucent Technologies社のEmre Telatarに対して、時宜を得た明快な洞察に感謝する。)
【0033】
_M≡C H[(H H H)○R]Cと定義する。(本文中では、Mの上にバーを付けた記号を_Mで表す。)これはエルミートである。さらに、これは正定値であると仮定する。[Re(_M)]−1もまた正定値であることが従うので、[Re(_M)]−1のk番目の対角成分が_M −1のk番目の対角成分より大きいことを示せば十分である。(_Mはエルミートであるため、その逆もまたエルミートであり、従って、逆行列の対角成分は実であることに注意する。)yを実に選び、x=[Re(_M)]−1 yとおき、xは実であることに注意すると、x T_Mx=x TRe(_M)x=y[Re(_M)]−1であり、また、x T y=y T[Re(_M)]−1 yである。任意の実のx、実のy、および正定値の_Mに対してx T_Mxy T(_M)−1 y≧(x T y)2であることを主張するBergstromの不等式の一般化を用いると、次式を得る。
【数33】
そして、結論は、yに対してk番目の単位ベクトルを用いることにより従う。この関係にもかかわらず、DD−AとDD−Bのパフォーマンスは実際にはよく似ていることが分かる。さらに重要な点であるが、不正確なアレイおよびチャネルの推定値という実際の場合には、MMSE−BのパフォーマンスはMMSE−Aよりも良好になることがあることが示されている。
【0034】
[MMSE検出器の、非同期マルチレートの場合への拡張]
ここまでは、これらの線形マルチユーザ検出器のビット同期動作を仮定してきた。次に、それらの動作をビット非同期の場合にどのようにして拡張することができるかを示す。まず、同期シングルレート環境における脱相関検出器の動作について考える。同様の推論はMMSE検出器にも当てはまるが、説明を分かりやすくするため、脱相関検出器の場合に注目する。それぞれの拡散符号がs1(t)およびs2(t)の2ユーザがいると仮定する。表2のAは、2つの符号間の時間的関係を示す。細い縦線はシンボル境界を示す。受信信号はr(t)=A1s1(t)b1+A2s2(t)b2+n(t)である。ただし、Akはk番目のユーザの振幅であり、bkはk番目のユーザのデータビットであり、n(t)は加法性ガウシアンノイズである。
【0035】
【表2】
【0036】
ユーザ1が所望のユーザである場合、与えられたシンボル区間に対するその脱相関検出器は、符号s1(t)に対する整合フィルタをs2(t)のヌル空間に射影したものである。表2のBに示す非同期シングルレートの場合、ユーザ1に対する脱相関検出器は、そのシンボル区間中に重畳するユーザ2の符号の線形結合によって張られるヌル空間に射影される。s2 R(t)を、s2(t)のうちs1(t)に重畳する部分とし、s2 L(t−T)を、s2(t−T)のうちs1(t)に重畳する部分とすると、BPSKデータ変調を仮定すれば、ヌル空間はs2 R(t)+s2 L(t−T)とs2 R(t)−s2 L(t−T)で張られる。この考え方は、表2のCに示す非同期マルチレートの場合に拡張することができる。同様の関数定義を用いると、ユーザ1に対する脱相関器は、s2 R(t)+s2(t−T)+s2 L(t−2T)、s2 R(t)+s2(t−T)−s2 L(t−2T)、s2 R(t)−s2(t−T)+s2 L(t−2T)、およびs2 R(t)−s2(t−T)−s2 L(t−2T)で張られるヌル空間にある。データレートどうしの間の相違が増大するにつれて、より制限的な部分空間に制約されることになるため、線形マルチユーザ検出器の有効性は減少する。上記の推論は、干渉し合う波形の適当な部分空間を同様に組み合わせることによって、MMSE検出器にも適用することができる。
【0037】
[MMSE検出器および干渉消去]
本発明のMMSE法は、干渉消去(干渉キャンセラ)という非線形マルチユーザ検出法とともに使用することができる。線形マルチユーザ検出器は、部分空間射影により干渉を低減するが、干渉キャンセラは、干渉を直接に引き去る。2種類の干渉消去が使用可能である。前置結合器(pre−combiner)は、線形結合器の前に消去を行い、後置結合器(post−combiner)は、後に消去を行う。前置結合器消去は、線形結合器によって考慮に入れられていない干渉を消去するために用いられる。例えば、セル内からの高出力で高データレートの信号を、線形結合器で考慮に入れる代わりに消去することを選択することができる。他方、後置結合器消去は、線形結合器によってなされたシンボル推定を精密化するために用いられる。線形マルチユーザ検出器からの予備的なシンボル推定値を用いて、信号は再構成され、受信信号から減算されて、第2段のシンボル推定で用いられる強調された信号が形成される。いずれの干渉消去法でも、干渉を抑圧することによって、容量を増大させることができる可能性がある。
【0038】
図7は、図3の検出器Aによる前置結合器干渉キャンセラのブロック図である。線形結合器W Aへのk番目の入力において、ユーザj=1,...,K(j≠k)による干渉があり、これは、W Aで対処されることになる。しかし、例えばセル内からの高出力の干渉のような、他では考慮されない干渉もあり得る。この干渉は、すべてのアンテナにおける拡散符号、マルチパス遅延、データビット、およびチャネルパラメータが既知であれば、W Aへの入力から引き去ることが可能である。この場合、干渉に対するベースバンド信号が再構成され、W Aのk番目の入力へのその寄与が(再構成された信号をユーザkの処理チェーンに通すことによって)推定され、70k(k=1,...,K)で示される点で減算される。これらの入力に対する他の干渉からの寄与も同様に計算し減算することができる。
【0039】
図8は、図4の検出器Bによる前置結合器干渉キャンセラのブロック図である。検出器Aの前置結合器干渉キャンセラに対する上記と同じ方法を用いて、W Bによって考慮されない干渉を、80で示される点で各入力から減算することができる。
【0040】
図9は、本発明による後置結合器干渉消去受信器のブロック図である。この受信器はP個のアンテナを有し、90、91および92で示される3個のステージを有する。第1ステージ90は、ベースバンド信号r pを受信し、図1のMMSE−A検出器または図2のMMSE−B検出器のいずれかにより、すべてのK個のユーザに対する予備的なシンボル推定値を形成する。第2ステージ91は、第1ステージ90からの予備的シンボル推定値と、K個のユーザの拡散符号、遅延、およびチャネルパラメータの知識とを用いて、各ユーザに対するベースバンド受信信号を再構成する。第2ステージ91は、受信信号r 1,...,r Pから所望のユーザkに関するマルチアクセス干渉を減算して、ユーザkに対する次式の強調された受信信号を形成する。
【数34】
【0041】
なお、ユーザkに関するマルチパス干渉も除去することができることに注意すべきである。ユーザの数Kが非常に少ないのでなければその相対的利得は一般に無視しうるので、このオプションについては詳細に説明しない。理想的には、予備的シンボル推定値およびチャネル推定値が完全であれば、強調された受信信号(強調受信信号)にはマルチアクセス干渉はなくなる。しかし、これは一般に実際には成り立たない。第3ステージ92で、強調受信信号を、図1の従来の時空間受信器で処理して、K個のユーザに対する最終的シンボル推定値b^k (IC)を生成する。
【0042】
上記の後置結合器干渉消去手順は、ステージ91および92を無期限に繰り返すことによって、多数回反復することができる。反復によるパフォーマンス利得は、最初の2、3回の後は減少する。複雑さを低減するため、ユーザのサブセットに対して両方のタイプの干渉消去を実行することができる。
【0043】
【発明の効果】
以上述べたごとく、本発明によれば、ワイヤレスCDMAシステムにおいて、適応的実装により、受信器は、未知の干渉源を考慮に入れることが可能となり、それにより、検出器パフォーマンスが改善され、システム容量が増大する。例えば、基地局受信器は、隣接するセルからの、あるいは、埋め込まれたマイクロセルからの干渉を考慮に入れることが可能となり、一方、ハンドセット受信器は、明示的に復調していない信号からの干渉を考慮に入れることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】マルチエレメントアンテナアレイ、各アンテナにおけるNチップフィルタのバンク、ならびにチャネル重み付け器および結合器を使用する従来のシングルユーザ時空間rake受信器の図である。
【図2】本発明の一般的実施例の図である。
【図3】マルチユーザ時空間MMSE検出器の第1実施例(検出器A)の図である。
【図4】マルチユーザ時空間MMSE検出器の第2実施例(検出器B)の図である。
【図5】第2実施例の適応的実装の図である。
【図6】第1実施例の線形結合器の前に位置する干渉消去の図である。
【図7】第2実施例の線形結合器の前に位置する干渉消去の図である。
【図8】本発明によるマルチユーザ時空間MMSE検出器の線形結合器の後に続く干渉消去の図である。
【図9】本発明による後置結合器干渉消去受信器のブロック図である。
【符号の説明】
10 相関器バンク
14 判定デバイス
30 実部オペレータ
31 線形結合器
32 判定スライサ
33 適応アルゴリズム
61 適応アルゴリズム
62 実部オペレータ
63 判定スライサ
Claims (13)
- K個のユーザからの複数の直接スペクトラム拡散信号によりそれぞれ変調されたデータ信号を検出する方法において、各信号はP個の受信器アンテナでL個の分解可能なマルチパス成分を通して受信されており、
a)前記複数の直接スペクトラム拡散信号の少なくとも1個のサブセットと、これらの信号の複数のマルチパス成分と、該P個の複数の受信器アンテナとに対する整合フィルタ出力を生成するステップと、
b)該整合フィルタ出力からコヒーレントチャネル推定値を生成するステップと、
c)前記コヒーレントチャネル推定値を用いて前記整合フィルタ出力を重み付けして結合するステップと、
d)多重アクセス干渉を抑圧しながら、スペクトラム拡散信号の少なくともサブセットに対する各々のデータシンボルを推定するための、前記L個の分解可能なマルチパス成分及び前記P個の受信器に対応する前記K個のユーザの信号及び係数から生成される相関マトリックスとして機能する線形結合器を使用するステップと、
e)線形結合器の最後のK−ベクトル出力の各成分を次の処理の判定スライサへ通過させるステップとからなることを特徴とする方法。 - 前記コヒーレントチャネル推定値は、前記整合フィルタ出力から生成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記コヒーレントチャネル推定値は、トレーニング信号から生成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- データb1、b2、・・・、bkの各々が高々L個の分解可能なマルチパス成分を有し、該データの各々を搬送するK個の符号化データ拡散信号s1、s2、・・・、sKを分離してK−ベクトルを生成する相関器のバンクと、
多重アクセス干渉を抑圧するために、K個のベクトルに線形結合器を付加する手段と、
各データシンボルの推定値を生成するために線形結合器の出力を処理する手段とからなり、
前記線形結合器は、
対角振幅行列(A)と、
アレイ/チャネル行列(GH)のエルミート転置と、
行列(R〜GA2GH+σ2IKLP)の逆行列との積を形成しており、
R〜は複素ブロックテプリッツ相関行列であり、σ2はバックグラウンドノイズの分散であり、IKLPはKLP行KLP列の単位行列であることを特徴とする受信機。 - P個のアンテナからなるアレイで受信された、L個のパスの周波数選択的フェージングを受けたK個の直接符号拡散データ信号を復調する方法において、
P個のアンテナのそれぞれで受信されたK個の信号のそれぞれのL個のマルチパス遅延されたレプリカに整合するフィルタのバンクで逆拡散を行うステップと、
アレイ/チャネル係数の推定値の複素共役で逆拡散信号を重み付けするステップと、
重み付けされた逆拡散信号を総和してK−ベクトルを形成するステップと、
前記K−ベクトルを線形変換して多重アクセス干渉を抑圧するステップと、
前記線形変換の結果の信号を処理してそれぞれのデータシンボルの推定値を生成するステップとからなり、
前記線形変換は、
対角振幅行列(A)と、
等価アレイ/チャネル/符号相関行列(M)と、
等価アレイ/チャネル/符号相関行列のエルミート共役を(MH)とし、推定されたアレイ/チャネル/符号相関行列を(M^)とし、バックグラウンドノイズの分散をσ2として、行列(MA2MH+σ2M^)の逆行列と、
の積であることを特徴とする方法。 - 前記線形結合器は、最小平均二乗誤差基準を使用することを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記最小平均二乗誤差基準は、k番目のユーザに対して、前記線形結合器の出力と、k番目のユーザのデータシンボルとの間の予期される二乗誤差を最小にする線形結合器を指定することを特徴とする請求項6に記載の方法。
- 前記線形結合器は、ゼロフォーシング誤差基準を使用することを特徴とする請求項1に記載の方法。
- データ信号は振幅変調されており、結合した整合フィルタ出力の各々の実成分は線形結合器の前に抽出されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記線形結合器を使用するステップはさらに、
(a)対角振幅行列Aと、
(b)等価アレイ/チャネル/符号相関行列(M)と、
(c)(i)該アレイ/チャネル/符号相関行列(M)、(ii)該振幅行列の2乗(A2)、及び(iii)バックグランドノイズ分散σ2で重み付けされた推定アレイ/チャネル/符号相関行列(M^)で合計されるアレイ/チャネル/符号相関行列MHのエルミート共役と、の積から行列WAを形成するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。 - 前記線形結合器を使用するステップはさらに、
(a)対角振幅行列Aと、
(b)等価アレイ/チャネル/符号相関行列(M^)の推定値と、
(c)(i)該推定アレイ/チャネル/符号相関行列(M^)、(ii)該振幅行列の2乗(A2)、及び(iii)バックグランドノイズ分散σ2で重み付けされた該推定アレイ/チャネル/符号相関行列(M^)で合計されるアレイ/チャネル/符号相関行列(MH)のエルミート共役と、の積から行列WAを形成するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。 - 前記線形結合器ゼロフォーシング誤差基準は、実部等価アレイ/チャネル/符号相関行列Re(M)の逆行列から行列WAを形成することを含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
- 前記線形結合器ゼロフォーシング誤差基準は、等価アレイ/チャネル/符号相関行列Re(M^)の推定値の実部の逆行列から行列WAを形成することを含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
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