JP3552436B2 - 汚泥のオゾン処理方法及び処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は汚泥のオゾン処理を行うことによって効率的に濃縮処理を行うようにした処理方法と装置に関し、特に集約処理における汚泥腐敗の主原因である嫌気性細菌をオゾンを用いて不活性化することにより、汚泥の濃縮性を高めることができるオゾン処理方法及び処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の生活水準の向上とか下水排除方式の変遷と整備の進捗に伴って下水処理場に流入する下水中の有機物濃度が増加しており、そのため濃縮装置における汚泥の腐敗が進行して濃縮性が低下し、後続する汚泥処理システムの処理効率の低下とか返流水による水処理システムへの有機物負荷増大を引き起こす要因となっている。
【0003】
更に下水道の普及に伴って下水処理水量も年々増加しており、汚泥の発生量もほぼ同じ比率で増加している(1992年度下水道年鑑,水道産業新聞社発行を参照)。この汚泥の処理は処分地の制約条件が大きい大都市のみならず、中小都市の場合でも大きな問題となる。
【0004】
他方で都市下水処理場における水処理施設で発生した余剰汚泥とか最初沈澱池で発生した生汚泥は、水処理施設の系外に引き抜かれて汚泥処理施設に輸送され、濃縮,消化,脱水,焼却等の工程を経て最終処分が行われる。特に大都市圏においては、人口の集中等の要因により複数の下水処理場が近接している場合が多く、これら各下水処理場の発生汚泥を一カ所に集中して汚泥の集約処理を行うことによって汚泥処理コストを低くすることができる。
【0005】
上記汚泥処理の各種方法を図12に基づいて説明すると、(1)は生汚泥を濃縮,消化後に最終処分もしくは天日乾燥を経て最終処分する方法、(2)は生汚泥を濃縮後に調整、もしくは消化,調整後に機械脱水し、コンポスト化してから最終処分する方法、(3)は生汚泥を濃縮後に調整、もしくは消化,調整後に機械脱水し、最終処分もしくは乾燥,焼却してから最終処分する方法、(4)は生汚泥を濃縮,熱処理後に機械脱水し、焼却してから最終処分する方法、(5)は生汚泥を濃縮,湿式酸化後に機械脱水してから最終処分する方法である(下水道施設設計指針と解説−第423ページ,1984年版,(社)日本下水道協会発行を参照)。
【0006】
上記(3)の汚泥を焼却する場合の消化過程は、汚泥の減量化によってそれ以降の施設の規模の縮小とか消化ガスの利用、汚泥の貯留効果等の利点がある反面、水処理施設への脱離液の影響,汚泥発熱量の低下,敷地とか施設の複雑さ等の問題があり、これらの得失を判断して決める必要がある。
【0007】
上記(4)の方法は熱処理によって濾過性が向上し、汚泥の脱水に薬品を使用しないので、(2)(3)の方法よりも脱水ケーキが少なくなる利点があるが、加熱エネルギーが必要なため汚泥焼却の廃熱利用を前提とし、濾液のBODが高く、厳密な運転管理が要求される。
【0008】
上記(5)の方法は湿式酸化法により高温高圧の下で液状のままで有機物を燃焼させるもので、消化及び焼却過程に替わるものとして用いられる。前記(4)の方法よりも温度と圧力が高くなるため、維持管理は厳密となる。
【0009】
汚泥の集約処理を行うには、各処理場にて発生する汚泥を集中汚泥処理場に輸送する必要があり、その輸送方法としてはトラック輸送、船舶輸送、パイプ輸送等が考えられる。集約処理の長所は、▲1▼汚泥処理施設のスケールメリット、▲2▼環境対策の集約化、▲3▼エネルギー回収の効率化、▲4▼維持管理費のコスト低減、▲5▼汚泥の資源化の向上等が挙げられる。送泥管を用いる場合には自然流下区間と圧送ポンプによる圧送区間に大別できる。現在最も遠い下水処理場から汚泥処理施設までの送泥にかかる時間は24時間程度である。
【0010】
濃縮装置の運転の良否は、後続の汚泥処理システムのみならず、水処理システムにも影響を与える。例えば汚泥量は含水率によって著しく左右されるので汚泥を濃縮して減量することは以後の処理過程での施設の容量が節約されるという効果を生む。含水率99%の汚泥を含水率96%に濃縮すると汚泥量は1/4になる。特に濃縮が十分に行われない場合には、消化処理するために多量の熱を必要とし、消化日数にも影響を与える。更に濃縮汚泥を直接脱水する場合の脱水性が悪化する。
【0011】
汚泥濃縮タンクでの固形物回収率が低いと、分離液中に多量のss(浮遊物質)成分が含まれ、水処理施設に影響を与えることがある。汚泥の濃縮には重力式,浮上式及び遠心濃縮式があり、一般に重力式が多用されているが、近時は汚泥の沈降性及び濃縮性が悪くなってきており、特に夏季には濃縮汚泥の濃度低下とか汚泥の一部が浮上して固形物回収率が低下することがある。そこで先ず重力式を用いて沈降性が悪くなってきたときに余剰汚泥だけを浮上式又は遠心濃縮する方法も考えられるが、2種類の汚泥濃縮タンクを設けると維持管理が複雑になって不経済であるという問題が生じる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
前記したように下水処理場に流入する下水中の有機物濃度の増加に起因して濃縮装置における汚泥の腐敗が進行して濃縮性が低下し、後続する汚泥処理システムの処理効率の低下とか返流水による水処理システムへの有機物負荷増大を引き起こす問題がある。汚泥集約処理の場合、下水汚泥のパイプ輸送を行う際に輸送中の圧送区間で管内が満管になるため、嫌気状態になった汚泥中で嫌気性微生物が有機物を分解して汚泥の腐敗が進行し、施設の腐食、悪臭の発生、濃縮性の悪化、脱水性の悪化、返流水負荷の増大等の問題を引き起こす。
【0013】
上記に対処して、汚泥腐敗の主な原因である嫌気性微生物を過酸化水素とか次亜塩素酸ナトリウム等の化学薬品を用いて不活性化する方法があるが、効果上の問題点がクリヤされていないので実用化には至っておらず、実際には送泥管を洗浄する手段が用いられているにすぎない(汚泥の腐敗抑制による重力濃縮タンクの機能改善に関する調査、日本下水道時事業団技術開発部報1985,送汚泥に伴う汚泥性状の変化の実態及び腐敗抑制のための調査、東京都下水道局1992参照)。
【0014】
そこで本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、汚泥腐敗の主原因である嫌気性細菌をオゾンを用いて不活性化することにより、汚泥の濃縮性を高めることができるオゾン処理方法及び処理装置を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の課題を解決するために、汚泥を密閉型のオゾン処理反応槽に流入して、該汚泥中にオゾンガスを放散することによって濃縮処理を行うようにした下水汚泥のオゾン処理において、先ず請求項1により、オゾン処理した汚泥の粘度を測定して、予め設定されている制御目標値の粘度と測定されたオゾン処理汚泥の粘度に基づいて最適なオゾン注入率をコントローラにより演算し、該コントローラの出力に基づいてオゾン処理反応槽へオゾンガスを供給するオゾン発生機の駆動制御を行う汚泥のオゾン処理方法を提供する。
【0016】
請求項2により、オゾン未処理汚泥の粘度を測定して、予め設定されている制御目標値の粘度に基づいて「粘度の比」を求め、この粘度の比から最適なオゾン注入率をコントローラにより演算し、該コントローラの出力に基づいてオゾン処理反応槽へオゾンガスを供給するオゾン発生機の駆動制御を行うオゾン処理方法を提供し、請求項3により、オゾン処理反応槽にオゾン処理した汚泥の粘度を測定する粘度計と、オゾン未処理汚泥の粘度を測定する粘度計とを配備して、測定されたオゾン未処理汚泥の粘度と制御目標値の粘度とからコントローラにより「粘度の比」を算出し、オゾン処理汚泥の粘度と制御目標値の粘度とからオゾン注入率を演算により求めて、このオゾン注入率を先に求めた粘度の比で補正してから該コントローラの出力に基づいてオゾン処理反応槽へオゾンガスを供給するオゾン発生機の駆動制御を行うようにした汚泥のオゾン処理方法を用いる。
【0017】
請求項4により、上記オゾン処理反応槽に、オゾン処理した汚泥の粘度を測定する粘度計と、オゾン未処理汚泥の粘度を測定する粘度計と、オゾン処理反応槽から引き抜いた汚泥の濃度を測定する汚泥濃度計を配備し、測定されたオゾン未処理汚泥の粘度と制御目標値の粘度とからコントローラにより「粘度の比」を算出し、オゾン処理汚泥の粘度及びオゾン処理汚泥の濃度とからオゾン注入率を演算により求めて、このオゾン注入率を先に求めた粘度の比で補正してから該コントローラの出力に基づいてオゾン処理反応槽へオゾンガスを供給するオゾン発生機の駆動制御を行う汚泥のオゾン処理方法を提供する。
【0018】
更に請求項5により、密閉型のオゾン処理反応槽と、汚泥とオゾンガスの混合物をオゾン注入部から該オゾン処理反応槽の上壁を貫通してオゾン処理反応槽内に自然落下させる接触管と、オゾン処理反応槽の下側部から導出されて前記オゾン注入部に連結された汚泥循環管と、オゾン未処理汚泥とオゾン処理汚泥の粘度を測定する粘度計と、オゾン処理反応槽から引き抜いた汚泥の濃度を測定する汚泥濃度計とを配備してなる汚泥のオゾン処理処理装置の構成にしてある。
【0019】
かかる下水汚泥のオゾン処理方法及び処理装置によれば、基本的作用として、オゾン処理汚泥及び/もしくはオゾン未処理汚泥の粘度が各粘度計により測定され、且つオゾン処理反応槽から引き抜かれた汚泥の濃度が汚泥濃度計により測定されてこれらの測定値がコントローラに入力される。コントローラは測定されたオゾン未処理汚泥の粘度と制御目標値の粘度とから「粘度の比」を算出し、オゾン処理汚泥の濃度と粘度とからオゾン注入率を演算により求めて、このオゾン注入率を先に求めた粘度の比で補正してからオゾン発生機に制御出力信号を発して最適な注入オゾン量が決定される。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に本発明にかかる汚泥のオゾン処理方法及び処理装置の具体的な実施例について説明する。この汚泥の処理方式は該汚泥の最終処分によって種々の方式があるが、本実施例では濃縮の前段にオゾン処理を行い、汚泥の腐敗防止をはかってから以後の処理に移行する。即ち、ステップを簡単に説明すると、「汚泥のオゾン処理」,「濃縮処理」,「脱水処理」,「焼却処理」,「最終処分」となる。
【0021】
図1は本発明の第1実施例にかかる汚泥処理システムの概要図であり、先ず主要な構成要素を説明すると、1は密閉型のオゾン処理反応槽、2はオゾン注入部、2aはオゾン処理反応槽1の上壁を貫通して嵌入された接触管、2bは汚泥循環管、3はオゾン発生機、4は排オゾン処理装置、5は水位調整槽、6aは粘度計、7はコントローラである。
【0022】
かかる構成によれば、汚泥は汚泥供給ポンプP1により汚泥循環管2bに供給され、オゾン発生機3で得られたオゾンガスがオゾン注入部2で汚泥中に注入されてから接触管2a内を自由落下してオゾン処理反応槽1に送り込まれる。この下降時の混合作用によりオゾンガスと汚泥とが充分に接触する。オゾン処理反応槽1内に貯留された汚泥の一部は汚泥循環ポンプP2の駆動に伴ってオゾン処理反応槽1の下側部から引き抜かれ、汚泥循環管2b内でオゾン未処理汚泥と混合されてからオゾン注入部2で再度オゾンガスが注入され、接触管2aからオゾン処理反応槽1に送り込まれて循環する。
【0023】
オゾン処理液は水位調整槽5を経てから次工程に送り込まれ、反応に使われずに排出されるオゾンガスは排オゾン処理装置4で基準値以下に分解処理されてから大気中に放散される。
【0024】
上記の作用中に、ポンプP3によってオゾン処理汚泥が粘度計6aに送り込まれて粘度が測定され、この測定値がコントローラ7に入力される。
【0025】
コントローラ7は測定されたオゾン処理汚泥の粘度と、予め設定されている制御目標値の粘度に基づいてオゾン注入率を演算により求めて、オゾン発生機3に制御出力信号7aを発して最適な注入オゾン量を決定する。
【0026】
図1の汚泥処理システムによれば、オゾン処理反応槽1に送り込まれる汚泥を連続的にオゾン処理することができる。特に接触管2a内に注入されたオゾンガスは、下降する汚泥液流量とのバランスによって均一な気泡となってから汚泥と接触しながら流下し、汚泥とオゾンガスとの混合液はオゾン処理反応槽1内の底壁近傍まで深く潜入することによって槽内の汚泥の撹拌作用をもたらしてオゾン反応の進行が促進される。
【0027】
以下に本実施例の基礎となる各種実験例を説明する。先ず都市下水から得られた汚泥試料について、オゾン処理による濃縮性の変化を沈降実験により求めた。このオゾン処理実験は濃縮性の改善を目的としており、図2に示す半回分式で行った。
【0028】
即ち、オゾン発生機3で得られるオゾンガスをオゾン注入部2で汚泥中に注入し、接触管2a内を自由落下状態でオゾン処理反応槽1に送り込み、オゾン処理反応槽1内に貯留された汚泥の一部を汚泥循環ポンプP2の駆動によってオゾン処理反応槽1の下部から引き抜き、汚泥循環管2bを通過させてオゾン注入部2に送り込み、再度オゾンガスを注入して接触管2aからオゾン処理反応槽1に送り込んで循環させる。オゾン処理した汚泥をサンプリング口8から適宜にサンプリングして粘度と汚泥濃度を分析した。サンプリング汚泥のうち、1リットルを以下に記す沈降実験の試料とした。
【0029】
沈降実験は、生汚泥,オゾン処理汚泥を夫々1リットルのメスシリンダに入れて静置し、適宜の時間に汚泥界面の高さを測定することによって実施した。
【0030】
図3はオゾン注入率を0(mg/l)から150(mg/l)まで変えた場合の粘度(mPa・S)の変化を示しており、汚泥の粘度はオゾン注入率によって変化していることが分かる。原汚泥の粘度は種々な値をとるが、オゾン注入率が増加すると粘度は減少する。
【0031】
図4はオゾン処理直後の粘度と12時間後の汚泥沈降率の関係を示しており、粘度と12時間後の汚泥沈降率との寄与率r2は0.965と相関が高く、粘度が減少するに伴って汚泥の沈降率が単調に減少している。この事実から例えば濃縮槽の沈降界面を約40%にしたい場合には、粘度が7.5(mPa・S)になるようにオゾン処理すればよい。
【0032】
一般的な濃縮槽の滞留時間は12時間であるが、濃縮槽の滞留時間は汚泥の量などによって短くする場合がある。この場合でもオゾン処理直後の汚泥の粘度を測定することによって汚泥の界面高を推定することができる。
【0033】
図5はオゾン処理直後の粘度と6時間後の汚泥沈降率の関係を示しており、粘度と6時間後の汚泥沈降率との寄与率r2は0.958と相関が高く、粘度が減少するに伴って汚泥の沈降率が減少している。従って例えば6時間後の汚泥の界面を約50%にしたい場合には、粘度が6(mPa・S)になるようにオゾン処理すればよいことが分かる。
【0034】
前記図3で説明したように、汚泥の粘度は種々の値をとるが、汚泥中にオゾンを注入すると一定の割合で粘度が減少する。以下オゾン処理した汚泥の粘度をオゾン未処理の汚泥の粘度で除したものを「粘度の比」と定義する。
【0035】
図6はオゾン注入率と粘度の比との関係を示しており、オゾン注入率と粘度との寄与率r2は0.825と相関が高く、オゾン注入率の上昇によって粘度の比が減少している。従って目標とする粘度値から粘度の比を計算により求めて図6のグラフがオゾン注入率を決定することができる。
【0036】
図7は上記実験結果に基づいて実現した本発明の第2実施例の汚泥処理システムの概要図であり、基本的な構成は図1に示した第1実施例と一致しているため、同一の構成部分に同一の符号を付して表示してある。この第2実施例では汚泥供給ポンプP1の前段部分にポンプP4と粘度計6bとを配備してあり、この粘度計6bによる測定値をコントローラ7に入力する。その他の構成は第1実施例と同一である。
【0037】
かかる第2実施例によれば、オゾン未処理の汚泥の粘度が先ずポンプP4に引き抜かれて粘度計6bにより測定された後、該汚泥が汚泥供給ポンプP1により汚泥循環管2bに供給され、オゾン発生機3で得られたオゾンガスがオゾン注入部2で汚泥中に注入されてから接触管2a内を自由落下してオゾン処理反応槽1に送り込まれてオゾンガスと汚泥とが充分に接触する。このオゾン処理反応槽1内の下側部から汚泥循環ポンプP2の駆動に伴って引き抜かれた汚泥が汚泥循環管2b内でオゾン未処理汚泥と混合されてからオゾン注入部2で再度オゾンガスが注入され、接触管2aからオゾン処理反応槽1に送り込まれて循環する。
【0038】
コントローラ7は測定されたオゾン未処理汚泥の粘度と、予め設定されている制御目標値の粘度に基づいて「粘度の比」を算出し、この値からオゾン注入率を演算により求めて、オゾン発生機3に制御出力信号7aを発して最適な注入オゾン量を決定する。この実施例2は原汚泥の粘度の変動状態を加味したオゾン処理が行えるという特徴がある。
【0039】
一方、上記粘度は汚泥濃度(TS)によって変化する傾向がある。図8は1gのTS当たりのオゾン注入率(オゾン注入率/TS)(mg/g)と粘度の比との関係を示しており、オゾン注入率/TSと粘度の比との寄与率r2は0.945と前記オゾン注入率と粘度の比(図6)との相関よりも高く、従ってオゾン注入率/TSを用いる方がオゾン注入率単独の場合よりも粘度の比の減少傾向を精度よく表現することができる。
【0040】
図9は上記実験結果に基づいて実現した本発明の第3実施例の汚泥処理システムの概要図であり、この第3実施例では汚泥供給ポンプP1の前段部分にポンプP4と粘度計6bを配備するとともに、汚泥循環ポンプP2の前段にオゾン処理反応槽1内の下側部から引き抜かれた汚泥の濃度を測定する汚泥濃度計9を配備してあり、この粘度計6bによる測定値と汚泥濃度計9による測定値とをコントローラ7に入力する。その他の構成は第1実施例と同一である。
【0041】
かかる第3実施例によれば、オゾン未処理の汚泥の粘度が先ずポンプP4に引き抜かれて粘度計6bにより測定された後、該汚泥が汚泥供給ポンプP1により汚泥循環管2bに供給され、オゾン発生機3で得られたオゾンガスがオゾン注入部2で汚泥中に注入されてから接触管2a内を自由落下してオゾン処理反応槽1に送り込まれてオゾンガスと汚泥とが充分に接触する。このオゾン処理反応槽1内の下側部から汚泥循環ポンプP2の駆動に伴って引き抜かれた汚泥の濃度が汚泥濃度計9により測定され、更に汚泥循環管2b内でオゾン未処理汚泥と混合されてからオゾン注入部2で再度オゾンガスが注入され、接触管2aからオゾン処理反応槽1に送り込まれて循環する。
【0042】
コントローラ7は測定されたオゾン未処理汚泥の粘度と制御目標値の粘度とから「粘度の比」を算出し、この値とオゾン処理汚泥の濃度とからオゾン注入率を演算により求めて、オゾン発生機3に制御出力信号7aを発して最適な注入オゾン量を決定する。
【0043】
図10は本発明の第4実施例の概要図であり、この例ではオゾン処理反応槽1にポンプP3と粘度計6aを配備してあり、更に汚泥供給ポンプP1の前段部分にポンプP4と粘度計6bを配備してある。この粘度計6a,6bによる測定値をコントローラ7に入力する。その他の構成は第1実施例と同一である。
【0044】
この第4実施例は粘度計6aで測定されたオゾン処理汚泥の粘度によるフィードバック制御に加えて、粘度計6bで測定されたオゾン未処理汚泥の粘度によるフィードフォワード制御を組み合わせた制御が特徴となっている。コントローラ7は測定されたオゾン未処理汚泥の粘度と制御目標値の粘度とから「粘度の比」を算出し、この値とオゾン処理汚泥の粘度と制御目標値の粘度とからオゾン注入率を演算により求めて、このオゾン注入量を先に求めた粘度の比で補正してからオゾン発生機3に制御出力信号7aを発して最適な注入オゾン量を決定する。
【0045】
図11は本発明の第5実施例の概要図であり、この例ではオゾン処理反応槽1にポンプP3と粘度計6aを配備するとともに汚泥供給ポンプP1の前段部分にポンプP4と粘度計6bを配備し、更に汚泥循環ポンプP2の前段にオゾン処理反応槽1内の下側部から引き抜かれた汚泥の濃度を測定する汚泥濃度計9を配備してある。粘度計6a,6bによる測定値と汚泥濃度計9による測定値とをコントローラ7に入力する。その他の構成は第1実施例と同一である。
【0046】
この第5実施例は、前記フィードバック制御とフィードフォワード制御に加えて、原汚泥の濃度による制御を組み合わせた制御が特徴となっている。コントローラ7は測定されたオゾン未処理汚泥の粘度と制御目標値の粘度とから「粘度の比」を算出し、この値とオゾン処理汚泥の粘度と制御目標値の粘度とからオゾン注入率を演算により求めて、このオゾン注入量を先に求めた粘度の比と、汚泥濃度計9で測定された濃度で補正してからオゾン発生機3に制御出力信号7aを発して最適な注入オゾン量を決定する。
【0047】
以上の結果をまとめると以下の結論が得られる。即ち、汚泥をオゾン処理すれば汚泥腐敗の主原因である嫌気性細菌をオゾン処理により不活性化することにより、汚泥の濃縮性を高めることができ、濃縮槽での汚泥の腐敗に起因する各種トラブルを軽減することが可能となる。
【0048】
尚、オゾン注入量を制御する方法としては、▲1▼オゾン注入時間(オゾン接触時間,汚泥滞留時間)を制御する方法、▲2▼注入オゾンガス濃度を制御する方法、▲3▼注入オゾンガス流量を制御する方法、▲4▼以上3方法の組合わせ方法がある。
【0049】
【発明の効果】
以上説明した本発明にかかる汚泥のオゾン処理方法及び処理装置によれば、基本的な動作として、オゾン処理汚泥及び/もしくはオゾン未処理汚泥の粘度を粘度計により測定し、オゾン処理反応槽から引き抜かれた汚泥の濃度を汚泥濃度計により測定してコントローラに入力し、これら測定されたオゾン未処理汚泥の粘度と制御目標値の粘度とから「粘度の比」を算出し、オゾン処理汚泥の濃度と粘度とからオゾン注入率を演算により求めて、このオゾン注入率を先に求めた粘度の比で補正してからオゾン発生機に制御出力信号を発することにより、最適な注入オゾン量を決定することができる。
【0050】
特に汚泥をオゾン処理すれば濃縮性の改善が可能であり、且つ重力濃縮槽の滞留時間の短縮が可能となって濃縮槽での汚泥の腐敗に起因する各種トラブルが軽減されるとともに、濃縮槽以降の汚泥量が減少して処理施設の規模を縮小することができるという効果が得られる。
【0051】
又、汚泥の粘度とか濃度は粘度計又は汚泥濃度計で連続測定できるとともに、オゾンの量はオンラインで測定できるので、運転と同時のモニタリング可能であり、適量なオゾンを用いて処理する制御が可能となる。
【0052】
従って本発明によれば、汚泥の腐敗と変質による汚泥の沈降性とか濃縮性を良好に保持して集約後の汚泥処理を安定に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例にかかる汚泥処理システムの概要図。
【図2】本実施例におけるオゾン処理実験に用いた装置の概要図。
【図3】オゾン注入率を変えた場合の粘度の変化を示すグラフ。
【図4】沈降実験における粘度と12時間後の汚泥沈降率との関係を示すグラフ。
【図5】沈降実験における粘度と6時間後の汚泥沈降率との関係を示すグラフ。
【図6】オゾン注入率と粘度の比との関係を示すグラフ。
【図7】本発明の第2実施例にかかる汚泥処理システムの概要図。
【図8】TS当たりのオゾン注入率と粘度の比との関係を示すグラフ。
【図9】本発明の第3実施例にかかる汚泥処理システムの概要図。
【図10】本発明の第4実施例にかかる汚泥処理システムの概要図。
【図11】本発明の第5実施例にかかる汚泥処理システムの概要図。
【図12】従来の汚泥処理の各種方法を説明するための概要図。
【符号の説明】
1…オゾン処理反応槽
2…オゾン注入部
2a…接触管
2b…汚泥循環管
3…オゾン発生機
4…排オゾン処理装置
5…水位調整機
6a,6b…粘度計
7…コントローラ
8…サンプリグ口
9…汚泥濃度計
Claims (5)
- 汚泥を密閉型のオゾン処理反応槽に流入して、該汚泥中にオゾンガスを放散することによって濃縮処理を行うようにした下水汚泥のオゾン処理において、
オゾン処理した汚泥の粘度を測定して、予め設定されている制御目標値の粘度と測定されたオゾン処理汚泥の粘度に基づいて最適なオゾン注入率をコントローラにより演算し、該コントローラの出力に基づいてオゾン処理反応槽へオゾンガスを供給するオゾン発生機の駆動制御を行うことを特徴とする汚泥のオゾン処理方法。 - 汚泥を密閉型のオゾン処理反応槽に流入して、該汚泥中にオゾンガスを放散することによって濃縮処理を行うようにした下水汚泥のオゾン処理において、
オゾン未処理汚泥の粘度を測定して、予め設定されている制御目標値の粘度に基づいて「粘度の比」を求め、この粘度の比から最適なオゾン注入率をコントローラにより演算し、該コントローラの出力に基づいてオゾン処理反応槽へオゾンガスを供給するオゾン発生機の駆動制御を行うことを特徴とする汚泥のオゾン処理方法。 - 汚泥を密閉型のオゾン処理反応槽に流入して、該汚泥中にオゾンガスを放散することによって濃縮処理を行うようにした下水汚泥のオゾン処理において、
上記オゾン処理反応槽に、オゾン処理した汚泥の粘度を測定する粘度計と、オゾン未処理汚泥の粘度を測定する粘度計とを配備して、測定されたオゾン未処理汚泥の粘度と制御目標値の粘度とからコントローラにより「粘度の比」を算出し、オゾン処理汚泥の粘度と制御目標値の粘度とからオゾン注入率を演算により求めて、このオゾン注入率を先に求めた粘度の比で補正してから該コントローラの出力に基づいてオゾン処理反応槽へオゾンガスを供給するオゾン発生機の駆動制御を行うことを特徴とする汚泥のオゾン処理方法。 - 汚泥を密閉型のオゾン処理反応槽に流入して、該汚泥中にオゾンガスを放散することによって濃縮処理を行うようにした下水汚泥のオゾン処理において、
上記オゾン処理反応槽に、オゾン処理した汚泥の粘度を測定する粘度計と、オゾン未処理汚泥の粘度を測定する粘度計と、オゾン処理反応槽から引き抜いた汚泥の濃度を測定する汚泥濃度計を配備し、測定されたオゾン未処理汚泥の粘度と制御目標値の粘度とからコントローラにより「粘度の比」を算出し、オゾン処理汚泥の粘度及びオゾン処理汚泥の濃度とからオゾン注入率を演算により求めて、このオゾン注入率を先に求めた粘度の比で補正してから該コントローラの出力に基づいてオゾン処理反応槽へオゾンガスを供給するオゾン発生機の駆動制御を行うことを特徴とする汚泥のオゾン処理方法。 - 密閉型のオゾン処理反応槽と、汚泥とオゾンガスの混合物をオゾン注入部から該オゾン処理反応槽の上壁を貫通してオゾン処理反応槽内に自然落下させる接触管と、オゾン処理反応槽の下側部から導出されて前記オゾン注入部に連結された汚泥循環管と、オゾン未処理汚泥とオゾン処理汚泥の粘度を測定する粘度計と、オゾン処理反応槽から引き抜いた汚泥の濃度を測定する汚泥濃度計とを配備したことを特徴とする汚泥のオゾン処理装置。
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