JP3551215B2 - 蒸気注入ガスタービンとその制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、蒸気を燃焼器に注入して出力の増大と熱効率の向上を図った蒸気注入ガスタービン、これを備えた発電設備のようなガスタービン設備、およびその制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、省エネルギーを促進するために、ガスタービンにより発電を行うとともに、ガスタービンの排熱回収により、冷暖房や給湯の熱需要をまかなうコージエネレーションシステムが導入されている(たとえば、特開平6−108877号公報参照)。このコージェネレーションシステムはガス燃料などの単一のエネルギー源から電気と熱の有効な二次エネルギーを得られるものであるが、このようなシステムに適用されるガスタービンでは、比較的高温となる排ガスの熱エネルギーと発電電力との熱電比が一般に高い。そのために、ガスタービンからの排ガスを排熱ボイラなどに導いて熱回収すると、プロセス蒸気として種々の蒸気使用機器に使用するのに必要な量以上の蒸気が発生することが多々ある。そこで、排熱回収による発生蒸気のうちの熱需要に使用して残った余剰分をガスタービンの燃焼器に注入することにより、注入した蒸気による燃焼器の燃焼温度の低下に応じて燃料供給量を増大させ、ガスタービン出力の増大と熱効率の向上を図っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述のような構成にすると、燃焼器へ注入される蒸気量は、蒸気使用機器での蒸気使用量の変動に応じて増減するので、たとえば、蒸気注入量がゼロの時の燃焼ガス流量に合うようにタービンノズルの口径などを設計したガスタービンでは、燃焼器に蒸気が注入されたときに、この蒸気と圧縮機からの圧縮空気とからなる圧縮流体の量が多くなる。その結果、圧縮流体を燃焼器で燃焼させた後の燃焼ガスが円滑にタービン側へ流入しなくなることから、圧縮機の背圧である車室内の圧力が上昇して、圧縮機が圧縮空気を車室に円滑に送り込めなくなり、ガスタービンの熱効率が低下する。また、車室内の圧力上昇が過度であると、圧縮機がサージングに突入し、ガスタービンの運転ができなくなる場合もある。
【0004】
そこで、従来では、タービン側の燃焼ガスの入口部を拡げて大流量型に改造したり、圧縮機のサージマージンを小さく設定して圧縮機の圧力比が大きくなった状態でも運転を行うようにして、車室内の圧縮流体量および燃料量とタービンへの燃焼ガス量とのバランスをとるようにしている。しかし、タービン側を大流量型にすると、蒸気の注入量が少ない場合には、車室内の圧力が低い部分負荷で運転することになり、ガスタービンの熱効率が低下する。またサージマージンを小さくすると、運転条件の僅かな変動によってもサージを起こし易くなり、運動の安定性を損なうおそれがある。しかも、いずれの手段においても、ガスタービンの耐久性を損なったり、圧縮機やタービンの断熱効率を損なって全体効率が低下する欠点がある。
【0005】
そこで本発明は、圧縮機の流入空気量を燃焼器への注入蒸気量の増減に応じて調整することにより、注入蒸気量の増減にかかわらずタービンに流入する燃焼ガス量が常にほぼ一定になるように設定して、ガスタービンの耐久性、安定性および熱効率を高く維持することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決しようとするための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る蒸気注入ガスタービン設備は、空気を圧縮する圧縮機と、圧縮された空気に燃料を供給して燃焼させる燃焼器と、この燃焼器からの燃焼ガスのエネルギにより駆動されて前記圧縮機を駆動するタービンと、前記タービンにより駆動される発電機と、前記燃焼器に蒸気を注入する蒸気注入手段と、前記燃焼器に注入される蒸気量を検出する蒸気量検出手段と、前記圧縮機の静翼の取付角度を調整して圧縮機の流入空気量を調節する空気量調節機構と、前記蒸気量検出手段により検出された蒸気量の増大に応じて前記空気量調節機構を制御して流入空気量を減少させ、前記圧縮機の出口圧力と入口圧力との比をほぼ一定に維持する制御手段とを備えている。
【0007】
上記蒸気注入ガスタービン設備によれば、制御手段は、蒸気量検出手段によって検出される燃焼器への注入蒸気量を常時監視して、その注入蒸気量に応じて空気量調節機構を制御する。空気量調節機構は、軸流圧縮機に取付角度を可変できるように取り付けられた静翼の取付角度を調整して、圧縮機の流入空気量を注入蒸気量の増大に応じて減少させる。これにより、タービンに流入する燃焼ガス量は注入蒸気量の増減にかかわらずほぼ一定となる。それにより、車室内の圧力が過度に上昇するのが防止されるので、ガスタービンの耐久性の低下を防止できるとともに、サージングに入ることなく安定した運転が保証され、さらに、圧縮機およびタービンの断熱効率の低下を防止してガスタービンの熱効率を高く維持することができる。ここで、注入蒸気量がゼロの状態を定格点として設計することにより、注入蒸気量がゼロのときに、通常のガスタービンと同様の効率で運転できる。
【0008】
また、本発明の請求項2に係る蒸気注入ガスタービン設備は、空気を圧縮する圧縮機と、圧縮された空気に燃料を供給して燃焼させる燃焼器と、この燃焼器からの燃焼ガスのエネルギにより駆動されて前記圧縮機を駆動するタービンと、前記タービンにより駆動される発電機と、前記燃焼器に蒸気を注入する蒸気注入手段と、前記圧縮された空気の圧力を検知する圧力検知手段と、前記圧縮機の静翼の取付角度を調整して圧縮機の流入空気量を調整する空気量調節機構と、前記圧力検知手段により検知された圧力に基づいて前記空気量調節機構を駆動して、前記圧力が前記注入蒸気量の増減によって変動するのを抑制するように流入空気量を調整し、前記圧縮機の出口圧力と入口圧力との比をほぼ一定に維持する制御手段とを備えている。
【0009】
上記蒸気注入ガスタービン設備によれば、制御手段が、監視用として、通常、車室に設けられている圧力検知手段により検知される圧縮空気の圧力を常時監視して、その検知圧力が変動したときに空気量調節機構を制御する。この圧縮空気の圧力は燃焼器への注入蒸気量が増減したときに変動しようとするが、たとえば、注入蒸気量の増大に伴って前記圧力が設定値より上昇する方向に変動し始めたのを圧力検知手段が検知すると、制御手段が空気量調節機構を制御する。すなわち、空気量調節機構は、軸流圧縮機の静翼の取付角度が小さくなるよう調整することにより、圧縮機の流入空気量を減少させる。逆に、注入蒸気量の減少に伴って前記圧力が設定値より下降する方向に変動し始めると、空気量調節機構が静翼の取付角度を大きくなるよう調整して、圧縮機の流入空気量を増加させる。
【0010】
それにより、圧縮機による圧縮空気の圧力、すなわち車室内の圧力は、この圧縮空気に混合される注入蒸気量の増減にかかわらず、変動するのが抑制されてほぼ設定値に維持される。そのため、やはり、ガスタービンの耐久性、安定性および熱効率を高く維持できる。
【0011】
本発明の好適な蒸気注入ガスタービン設備によれば、さらに、前記タービンから排出される排ガスを熱源とする排熱ボイラを備え、前記蒸気注入手段は前記排熱ボイラからの蒸気を前記燃焼器に注入するように構成されている。
したがって、ガスタービンから出る比較的高温の排ガスの熱を有効に回収しているので、システム全体としての熱効率が向上する。
【0012】
また、本発明の請求項4に係る蒸気注入ガスタービン設備の制御方法は、空気を圧縮する圧縮機と、圧縮された空気に燃料を供給して燃焼させる燃焼器と、この燃焼器からの燃焼ガスのエネルギにより駆動されて前記圧縮機を駆動するタービンと、前記タービンにより駆動される発電機とを設け、前記燃焼器に蒸気を注入するとともに、この注入される蒸気量の増大に応じて前記圧縮機の流入空気量を減少させ、前記圧縮機の出口圧力と入口圧力との比をほぼ一定に維持するよう制御する。この制御方法によれば、請求項1の場合と同様に、ガスタービン設備の耐久性および熱効率を高く維持できる。
【0013】
また、本発明の請求項5に係る蒸気注入ガスタービン設備の制御方法は、空気を圧縮する圧縮機と、圧縮された空気に燃料を供給して燃焼させる燃焼器と、この燃焼器からの燃焼ガスのエネルギにより駆動されて前記圧縮機を駆動するタービンと、前記タービンにより駆動される発電機とを設け、前記燃焼器に蒸気を注入するとともに、圧縮された空気の圧力に基づいて、この圧力が注入蒸気量の増減によって変動するのを抑制するように前記圧縮機の流入空気量を調整し、前記圧縮機の出口圧力と入口圧力との比をほぼ一定に維持するよう制御する。この制御方法によれば、請求項2の場合と同様に、ガスタービン設備の耐久性および熱効率を高く維持できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る蒸気注入ガスタービン1を用いて構成したガスタービン設備を示す概略構成図である。
同図において、ガスタービン1は、圧縮機2で空気を圧縮して燃焼器3に導くとともに、都市ガスのようなガス燃料を、燃焼器3内に噴射して燃焼させ、その高温高圧の燃焼ガスのエネルギによりタービン4を駆動させる構成になっている。このタービン4は圧縮機2を駆動するとともに、減速機7およびカップリング8を介して発電機9を駆動する。発電機9からの発電電力は種々の電力負荷に供給される。
【0015】
タービン4の排ガスGは、排熱ボイラ10に導かれ、排ガス流路13、煙突およびサイレンサー17を通って大気中に放出される。一方、給水タンク18から給水ポンプ19により送られた水は、煙突14内のエコノマイザー20で排ガスGにより予熱されたのちに、排熱ボイラ10で排ガスGと熱交換される。すなわち、排熱ボイラ10は、排ガス流路13に導入された排ガスGから熱回収して飽和蒸気を生成し、その飽和蒸気の一部は、開閉弁11を介して圧力制御弁12により一定圧力に調整され、プロセス蒸気として、冷暖房機器や給湯機器などの種々の蒸気使用機器に供給される。すなわち、このガスタービン設備はコージェネレーションシステムを構成しており、熱電比がかなり高くなっていることから、多量の飽和蒸気が生成される。この多量の飽和蒸気は、上述のようにプロセス蒸気として使用する他に、その一部が、蒸気導入路35およびこれに設けられた調圧弁21よりなる蒸気注入手段37を介して、燃焼器3に注入される。蒸気注入手段37では、排熱ボイラ10の飽和蒸気を調圧弁21により後述の車室の圧力よりも若干高い蒸気圧まで減圧したのちに、蒸気導入路35を通って燃焼器3に注入するようになっている。
【0016】
図2は、蒸気注入ガスタービン1の一部破断した側面図を示す。同図には、圧縮機2として軸流圧縮機を備えた蒸気注入ガスタービン1を例示してあるが、本発明は、遠心型圧縮機を有する蒸気注入ガスタービンにも適用できる。この軸流圧縮機2は、回転軸22の外周面に配設された多数個の動翼23と、ハウジング24の内周面に複数段に配設された静翼27との組合せにより、吸気筒28から吸入した空気を圧縮して、その圧縮空気を環状に形成された車室29に送給する。この車室29内には、図1の排熱ボイラ10より供給される飽和蒸気が環状の蒸気マニホールド30を介して蒸気ノズル31から噴射され、圧縮空気と混合されたのちに燃焼器3に供給される。
【0017】
燃焼器3は、環状の車室29に、その周方向に沿って複数個(たとえば6個)が等間隔で配設されており、車室29内で飽和蒸気と混合された圧縮空気が、矢印aで示すように、先端側から流入してスワーラ33により旋回流とされたのちに燃焼室32内の燃焼領域に導かれるとともに、矢印bで示すように、燃焼器3の周壁の希釈孔(図示せず)から燃焼室32内の燃焼領域の下流に流入する。一方、燃焼器3には、燃料ノズル34から燃料が燃焼室32内に噴射され、この燃料が圧縮空気と混合されて燃焼し、その高温高圧の燃焼ガスが蒸気とともにタービン4に送られる。
【0018】
蒸気注入手段37の蒸気導入路35には蒸気量検出手段である流量計38が配設されており、この流量計38は燃焼器3に注入される蒸気量を計量する。また、前記車室29には、これの内部の圧力検知手段としての圧力センサ39が配設されている。なお、燃料ノズル34の近接位置には、蒸気経路からの蒸気の一部をNOx 低減用として燃焼器3内に噴射する蒸気ノズル40が設けられており、この蒸気ノズル40から噴射される蒸気により燃焼温度が低下してNOx が低減される。
【0019】
圧縮機2には流入空気量を調節する空気量調節機構41が設けられている。この空気量調節機構41は、図5に示すように、静翼27の流出角αを変更するよう、圧縮機2の周方向断面における静翼27の取付角度θを調整することにより、圧縮機2の流入空気量を調節するようになっている。ここで、上記の取付角度θは、静翼27の周方向線Hと翼弦L(前縁と後縁を結ぶライン)とがなす角度であり、この取付角度θを調整して流出角αが大きくなるように変更すると、空気の軸流速度が小さくなり圧縮機2への流入空気量が減少する。
【0020】
図2の空気量調節機構41は、圧縮機2の最前段から4番目までの4つの静翼27の取付角度θを調整するものであり、つぎに、この空気量調節機構41について、要部を拡大して詳細に示した図3の縦断面図および図3のIV−IV線断面図である図4を参照しながら説明する。
【0021】
図3に示すように、この実施形態では、ハウジング24の周方向に沿って並んだ多数個の静翼27を1段として、4段の静翼27を連動してその取付角度θを調整するようになっている。断面逆F字形状となった回転リング42が、各段の静翼27の配列位置に近接した位置において、ハウジング24の外部にその周方向に沿って回転自在に設けられている。静翼27は、その中心軸43の先端(図3の上端)に嵌め込み固定されたL字状の連結アーム44から、取付ピン47が回転リング42の方向に延びており、この取付ピン47の先端が支持ピン48により回転リング42に回転自在に支持されることにより、各段ごとに対応する回転リング42に連結されている。すなわち、各回転リング42が周方向に回転すると、この回転リング42に取付ピン47および連結アーム44を介して連結されている各段の静翼27の取付角度θが調整される構成になっている。
【0022】
各段の回転リング42は連動して回転されるようになっており、その機構について説明する。図3に示すように、圧縮機2の軸方向に沿ったシャフト49が、各回転リング42にまたがるように外側に位置して、その両端部をハウジング24に回転自在に支持されており、このシャフト49には4本の作動レバー50が各回転リング42に対向して固定されている。各作動レバー50の自由端と回転リング42とは、これらに両端部を回転自在に取り付けられたターンバックル51によりそれぞれ連結されている。また、シャフト49には、単一の駆動レバー52が固定されており、この駆動レバー52の自由端には、図4に示すように、ハウジング24の外面に固定された油圧シリンダ53のピストンロッド54が回転自在に連結されている。
【0023】
したがって、空気量調節機構41の駆動源である油圧シリンダ53が作動して、たとえばピストンロッド54が図4の矢印方向に突出されると、駆動レバー52が同図の矢印方向に回動してシャフト49を回転させるので、このシャフト49に固定されている各作動レバー50が、同図の矢印方向に回動して、ターンバックル51を介し、対応する回転リング42を押すようにして回転させる。それにより、各回転リング42にそれぞれ連結されている各段の静翼27が互いに連動して回動し、図5の取付角度θが調整されて、それらの流入空気Eに対する流入角αが変更される。
【0024】
なお、図2に示すように、空気量調節機構41は、図3および図4に示したのと同一の機構が圧縮機2の径方向に対向した下部にも設けられており、それにより、各回転リング42をバランスよく作動させるようになっている。また、ターンバックル51は、設置時にその長さを調整することにより、作動レバー50の角度を調整できるようになっている。1つの回転リング42に連結された1段落分の静翼27は、その取付角度θが、すべて同一角度だけ調整される。この調整角度は、段ごとに異なり、たとえば、後段側の静翼27ほど調整角度が小さくなるよう、レバー50、52のレバー比などが設定されている。
【0025】
つぎに、空気量調節機構41の駆動源である油圧シリンダ53の制御について、図6を参照しながら説明する。油圧シリンダ53の制御手段であるコントローラ57は、流量計38により検出する燃焼器3への注入蒸気量または圧力センサ39により検知する車室29内の圧力のデータを、A−D変換器58によりデジタル信号に変換して中央処理部57Aに取り込む。中央処理部57Aは、この入力されたデータとRAM57Cに予め設定されたデータとに基づいて、ROM57に記憶したプログラムに従って演算を行い、制御データを算出して出力する。この制御データがD−A変換器59でアナログ信号に変換され、油圧コントローラ60がアナログ制御データに基づいて油圧シリンダ53の作動を制御する。ここで、コントローラ47による油圧シリンダ53の制御は、流量計38による注入蒸気量または圧力センサ39による車室29の室内圧力のいずれか一方のデータに基づき行われる。
【0026】
つぎに、コントローラ57による油圧シリンダ53の制御について、図7の特性図を参照しながら説明する。図7において、横軸は圧縮機2の空気流量を、縦軸は圧縮機2の圧力比、つまり、車室29の圧力(圧縮機の出口圧力)と圧縮機2の入口圧力との比を示し、それぞれ、定格運転で注入蒸気量ゼロの場合の空気流量Gdおよび圧力比πdで除して無次元化したものである。また、Aは注入蒸気量がゼロで圧縮機2の回転数を一定としたときのタービン入口温度一定の運転ライン、Bは圧力比をこれ以上に上げると圧縮機2が失速して振動が生じるサージ限界ライン、Cはサージ限界ラインBに対して所要のサージマージンMを見込んで設定した運転上の限界ラインをそれぞれ示す。さらに、Fは、注入蒸気量がゼロのときの静翼27の取付角度を変更したときの特性曲線、Hはそれぞれ圧縮機2の断熱効率を示す特性曲線である。
【0027】
図7の特性曲線Fに示した数字は、図2および図3における最前段(左端)の回転リング42に連結された最前段の静翼27の取付角度θと注入蒸気量がゼロのときの取付角度θdとの偏差角δ=θ−θdを示す。その他の段の静翼27の偏差角δは、図7に示していないが、後段へ行く程変化量が小さくなっており、それに合わせて、取付角度θの調整量も後段へ行く程小さくなっている。
【0028】
いま、注入蒸気量に基づいて図2の空気量調節機構41を制御して流入空気量を調整する場合について説明する。注入蒸気量がゼロの状態から増大していくと、その注入蒸気量の増大が、図6の流量計38により検出されて、検出データがコントローラ57の中央処理部57Aに入力される。中央処理部57Aは、入力された検知データとRAM57Cの設定データとに基づいて、図7の特性Dを得るのに必要な制御データを演算し、その制御データに基づき、図6の油圧コントローラ60を介して空気量調節機構41の油圧シリンダ53を制御する。この制御により、空気量調節機構41は、注入蒸気量の増大に比例して静翼27の偏差角δがマイナス側へ大きくなるように、静翼27の取付角度θを小さくする。それにより、注入蒸気量が増大した分だけ圧縮機2の流入空気量が減少するので、空気と蒸気の合計流量は同一になり、その結果、図7の特性曲線Dから明らかなように、圧力比がほぼ一定になるよう制御され、タービン4へ流入する燃焼ガス量もほぼ一定に制御される。
【0029】
すなわち、注入蒸気量が増減しても、特性曲線Dの範囲内で運転され、圧縮機2の断熱効率は最大でも1%減少するだけであり、比較的高い効率を維持しながら運転できる。また、蒸気注入量がゼロの場合、つまりDとAの交点では通常のガスタービンの場合と全く同じ断熱効率が得られる。一方、圧力比はほぼ一定に維持されるから、常に十分なサージマージンMを確保することができ、ガスタービンの耐久性および運転の安定性が高く維持される。
【0030】
また、車室29の圧力に基づいて空気量調節機構41を制御して流入空気量を調整する場合も、上述とほぼ同様に制御される。すなわち、中央処理部57Aは、圧力センサ39により検知された車室29の圧力データとRAM57Cの設定データとに基づいて、図7の特性D(圧力比一定)を得るのに必要な制御データを演算し、その制御データに基づき油圧コントローラ60を介して空気量調節機構41の油圧シリンダ53を制御する。それにより、空気量調節機構41は、静翼27の取付角度θを調整して、車室29の圧力が図7の特性曲線Dで示す一定の圧力比から変動しないように流入空気量を調節する。この場合も、注入蒸気量が増大した分だけ圧縮機2の流入空気量が減少して蒸気と空気の合計流量が同一になるよう制御されるので、タービン4へ流入する燃焼ガス量もほぼ一定に制御される。
【0031】
なお、前記実施形態における図1の排熱ボイラ10はなくてもよく、その場合、他の蒸気源からの蒸気を燃焼器3に導入すればよい。
【0032】
【発明の効果】
以上のように本発明の蒸気注入ガスタービンまたは蒸気注入ガスタービンの制御方法によれば、注入蒸気量の増減にかかわらず、常にガスタービンの熱効率および耐久性を高く維持できる。
【0033】
また、本発明のガスタービン設備によれば、上記ガスタービンの熱効率および耐久性が高く維持されるのに加えて、ガスタービンから出る比較的高温の排ガスの熱を排熱ボイラにより有効に回収しているので、システム全体としての熱効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の蒸気注入ガスタービンを用いたガスタービン設備を示す概略構成図である。
【図2】同上の蒸気注入ガスタービンを示す一部破断した概略側面図である。
【図3】図2の空気量調節機構の部分を拡大して詳細に示した縦断面図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】圧縮機の静翼の翼列を示す横断面である。
【図6】同上の空気量調節機構の制御系を示すブロック構成図てある。
【図7】同上の蒸気流入ガスタービンの特性図である。
【符号の説明】
1…蒸気注入ガスタービン、2…圧縮機、3…燃焼器、4…タービン、9…発電機、10…排熱ボイラ、27…静翼、37…蒸気注入手段、38…流量計(蒸気量検出手段)、39…圧力計(圧力検知手段)、41…空気量調節機構、57…コントローラ(制御手段)、θ…静翼の取付角度、α…静翼の流出角。
Claims (5)
- 空気を圧縮する圧縮機と、
圧縮された空気に燃料を供給して燃焼させる燃焼器と、
この燃焼器からの燃焼ガスのエネルギにより駆動されて前記圧縮機を駆動するタービンと、
前記タービンにより駆動される発電機と、
前記燃焼器に蒸気を注入する蒸気注入手段と、
前記燃焼器に注入される蒸気量を検出する蒸気量検出手段と、
前記圧縮機の静翼の取付角度を調整して圧縮機の流入空気量を調節する空気量調節機構と、
前記蒸気量検出手段により検出される蒸気量の増大に応じて前記空気量調節機構を制御して前記流入空気量を減少させ、前記圧縮機の出口圧力と入口圧力との比をほぼ一定に維持する制御手段とを備えた蒸気注入ガスタービン設備。 - 空気を圧縮する圧縮機と、
圧縮された空気に燃料を供給して燃焼させる燃焼器と、
この燃焼器からの燃焼ガスのエネルギにより駆動されて前記圧縮機を駆動するタービンと、
前記タービンにより駆動される発電機と、
前記燃焼器に蒸気を注入する蒸気注入手段と、
前記圧縮された空気の圧力を検知する圧力検知手段と、
前記圧縮機の静翼の取付角度を調整して圧縮機の流入空気量を調節する空気量調節機構と、
前記圧力検知手段により検知された圧力に基づいて前記空気量調節機構を駆動して、前記圧力が前記注入蒸気量の増減によって変動するのを抑制するように前記流入空気量を調整し、前記圧縮機の出口圧力と入口圧力との比をほぼ一定に維持する制御手段とを備えた蒸気注入ガスタービン設備。 - 請求項1または2において、さらに、前記タービンから排出される排ガスを熱源とする排熱ボイラを備え、前記蒸気注入手段は前記排熱ボイラからの蒸気を前記燃焼器に注入するように構成されている蒸気注入ガスタービン設備。
- 空気を圧縮する圧縮機と、圧縮された空気に燃料を供給して燃焼させる燃焼器と、この燃焼器からの燃焼ガスのエネルギにより駆動されて前記圧縮機を駆動するタービンと、前記タービンにより駆動される発電機とを設け、
前記燃焼器に蒸気を注入するとともに、この注入される蒸気量の増大に応じて前記圧縮機の流入空気量を減少させ、前記圧縮機の出口圧力と入口圧力との比をほぼ一定に維持する蒸気注入ガスタービン設備の制御方法。 - 空気を圧縮する圧縮機と、圧縮された空気に燃料を供給して燃焼させる燃焼器と、この燃焼器からの燃焼ガスのエネルギにより駆動されて前記圧縮機を駆動するタービンと、前記タービンにより駆動される発電機とを設け、
前記燃焼器に蒸気を注入するとともに、圧縮された空気の圧力に基づいて、この圧力が注入蒸気量の増減によって変動するのを抑制するように前記圧縮機の流入空気量を調整し、前記圧縮機の出口圧力と入口圧力との比をほぼ一定に維持する蒸気注入ガスタービン設備の制御方法。
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Patent Citations (3)
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