JP2021095854A - 蒸気注入ガスタービン - Google Patents
蒸気注入ガスタービン Download PDFInfo
- Publication number
- JP2021095854A JP2021095854A JP2019226389A JP2019226389A JP2021095854A JP 2021095854 A JP2021095854 A JP 2021095854A JP 2019226389 A JP2019226389 A JP 2019226389A JP 2019226389 A JP2019226389 A JP 2019226389A JP 2021095854 A JP2021095854 A JP 2021095854A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- steam
- output
- flow rate
- gas turbine
- combustor
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Engine Equipment That Uses Special Cycles (AREA)
Abstract
【課題】燃料流量の変化を抑えつつ高い出力変化率に対応し、NOx発生量の増加、高温部品の寿命減少、燃焼安定性の低下、消炎等を抑制する。【解決手段】ガスタービンと、排熱回収ボイラと、排熱回収ボイラで発生した蒸気を燃焼器に導く蒸気配管と、蒸気配管に設けられた蒸気流量調整弁と、前記ガスタービンの出力を測定する出力センサS1と、前記蒸気流量調整弁の開度を制御するコントローラとを備え、前記排熱回収ボイラで生成した蒸気を前記燃焼器に注入する蒸気注入ガスタービンにおいて、前記出力センサS1で測定された前記ガスタービンの測定出力と、前記ガスタービンに対する要求出力Wrとに基づき、前記蒸気流量調整弁により前記燃焼器への注入蒸気流量を制御して前記要求出力Wrに前記測定出力を近付ける。【選択図】図2
Description
本発明は蒸気注入ガスタービンに関し、特にガスタービンの排熱から生成した蒸気の一部又は全部をガスタービンに注入して発電出力を増加させることで熱電比を変更することができる蒸気注入ガスタービンに係る。
ガスタービンから排出されるNOxの低減方法として、ガスタービンの排気ガスの熱エネルギーで蒸気を生成し、生成した蒸気をガスタービンの燃焼器に注入することで火炎温度を下げ、サーマルNOxの生成を抑制することが知られている。ガスタービンの出力を増加させることを目的として、生成した蒸気を燃焼器に注入するシステムも知られている。
特許文献1には、目標出力の増減に応じて燃焼器への注入蒸気量を変えることで、タービン入口温度をほぼ一定に保つ蒸気注入ガスタービンが開示されている。
近年、電力需給のバランスを調整するためにガスタービンが用いられることがある。太陽光発電や風力発電のような再生可能エネルギーの導入が進みつつある現在、蒸気注入ガスタービンの出力変化率の向上が強く求められている。
しかし、蒸気発生量が変化するスピードは、燃料流量が変化するスピードに比べて遅い。そのため、蒸気注入ガスタービンの出力変化率を大きくしようとすると、一般には燃料流量を大きく変化させる必要がある。要求出力の急増に伴って燃料流量が過大になると、NOx発生量の増加、メタル温度上昇による高温部品の寿命減少等につながる。反対に、要求出力の急減に伴って燃料流量が過少になると、燃焼安定性の低下や消炎等のリスクが高まる。
本発明の目的は、燃料流量の変化を抑えつつ高い出力変化率に対応することができ、NOx発生量の増加、高温部品の寿命減少、燃焼安定性の低下、消炎等を抑制することができる蒸気注入ガスタービンを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、圧縮機、前記圧縮機から導入される圧縮空気と共に燃料を燃焼させる燃焼器、及び前記燃焼器から導入された燃焼ガスで駆動されるタービンを含んで構成されたガスタービンと、前記タービンの排気ガスを熱源として蒸気を発生させる排熱回収ボイラと、前記排熱回収ボイラで発生した蒸気を前記燃焼器に導く蒸気配管と、前記蒸気配管に設けられた蒸気流量調整弁と、前記ガスタービンの出力を測定する出力センサと、前記蒸気流量調整弁の開度を制御するコントローラとを備え、前記排熱回収ボイラで生成した蒸気を前記燃焼器に注入する蒸気注入ガスタービンにおいて、前記コントローラは、前記出力センサで測定された前記ガスタービンの測定出力と、前記ガスタービンに対する要求出力とを入力し、前記蒸気流量調整弁により前記燃焼器への注入蒸気流量を制御して前記要求出力に前記測定出力を近付けることを特徴とする蒸気注入ガスタービンを提供する。
本発明によれば、燃料流量の変化を抑えつつ高い出力変化率に対応することができ、NOx発生量の増加、高温部品の寿命減少、燃焼安定性の低下、消炎等を抑制することができる。
以下に図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
(第1の実施の形態)
−蒸気注入ガスタービン−
図1は本発明の第1実施形態の蒸気注入ガスタービンを含んで構成した熱電可変型コジェネレーションシステムの全体構成の一例を表す模式図である。同図に示したシステムは、蒸気注入ガスタービン1を含んで構成されている。蒸気注入ガスタービン1は、ガスタービン10、蒸気供給系統40及びコントローラ50を含んで構成されている。蒸気注入ガスタービン1は排熱回収ボイラ41で生成した蒸気Sの一部又は全部を燃焼器12に注入して高効率化を図っており、電力需給のバランスを調整する役割も担っている。
−蒸気注入ガスタービン−
図1は本発明の第1実施形態の蒸気注入ガスタービンを含んで構成した熱電可変型コジェネレーションシステムの全体構成の一例を表す模式図である。同図に示したシステムは、蒸気注入ガスタービン1を含んで構成されている。蒸気注入ガスタービン1は、ガスタービン10、蒸気供給系統40及びコントローラ50を含んで構成されている。蒸気注入ガスタービン1は排熱回収ボイラ41で生成した蒸気Sの一部又は全部を燃焼器12に注入して高効率化を図っており、電力需給のバランスを調整する役割も担っている。
−ガスタービン−
ガスタービン10は、圧縮機11、燃焼器12及びタービン13を含んで構成されている。圧縮機11は、大気圧の空気(外気)a1を吸い込んで圧縮し、高圧の圧縮空気a2を生成する。タービン12の回転動力が所定値以上に上昇するまでの間、圧縮機11は起動用モータ(不図示)で駆動される。圧縮機11には、空気a1の取入れ口に入口案内翼(IGV)11aが備わっており、入口案内翼11aの開度を調整することで空気a1の吸い込み量が調整される。燃焼器12は、圧縮機11から導入される圧縮空気a2と共に燃料fを燃焼させて燃焼ガスgを生成する。燃焼器12の構成は後述する。
ガスタービン10は、圧縮機11、燃焼器12及びタービン13を含んで構成されている。圧縮機11は、大気圧の空気(外気)a1を吸い込んで圧縮し、高圧の圧縮空気a2を生成する。タービン12の回転動力が所定値以上に上昇するまでの間、圧縮機11は起動用モータ(不図示)で駆動される。圧縮機11には、空気a1の取入れ口に入口案内翼(IGV)11aが備わっており、入口案内翼11aの開度を調整することで空気a1の吸い込み量が調整される。燃焼器12は、圧縮機11から導入される圧縮空気a2と共に燃料fを燃焼させて燃焼ガスgを生成する。燃焼器12の構成は後述する。
燃焼器12で生成された燃焼ガスgはタービン13に導入される。タービン13は燃焼器12で生成された燃焼ガスgで駆動される。圧縮機11のロータとタービン13のロータは軸10aを介して連結している。圧縮機11及びタービン13の一方(本実施形態ではタービン13)は軸10bを介して発電機14と連結している。タービン13の回転動力により圧縮機11及び発電機14が駆動される。
蒸気注入ガスタービン1にはガスタービンの出力を測定する出力センサS1が設けられており、出力センサS1で測定された出力がコントローラ50に入力されるようになっている。出力センサS1は発電量検出器(例えば電力計)であり、ガスタービン10の出力として発電量[MW]を測定する。
燃焼器12は、燃焼器ケーシング16及び燃焼器カバー17で包囲されている。図1では燃焼器12を1つのみ図示してあるが、ガスタービン10の外郭であるタービンケーシング18の外周部に周方向に複数(例えば6つ)設けられている。各燃焼器12は、燃焼器ライナ(燃焼器内筒)21、尾筒(インピンジメントスリーブ)22、燃焼器ケーシング16、蒸気注入ポート23、及び燃料ノズル24を含んで構成されている。
燃焼器ライナ21は、内部に燃焼室を形成する円筒状の部材であり、圧縮空気a2と燃焼ガスgとを隔てる役割を果たす。燃焼ガスgの流れ方向における燃焼器ライナ21の下流側の端部(図1中の右端)は尾筒22の上流側の端部(同図中の左端)に挿し込まれている。尾筒22は、燃焼器ライナ21とタービン13とを接続し、燃焼ガスgをタービン13に導く役割を果たす。尾筒22はタービン13に向かって断面積が小さくなる筒状の部材である。これら燃焼器ライナ21及び尾筒22は上記燃焼器ケーシング16で包囲されている。燃焼器ケーシング16は筒状の部材であり、一端がタービンケーシング18に連結されている。燃焼器ケーシング16の他端は上記燃焼器カバー17で塞がれている。蒸気注入ポート23は、燃焼器ケーシング16に少なくとも1つ設けられている。この蒸気注入ポート23には、蒸気配管P1を介して排熱回収ボイラ41が接続されている。
燃料ノズル24は、燃焼器ライナ21の内側の燃焼室に燃料fを噴射するものであり、燃焼ガスgの流れ方向において燃焼室の上流側の部分に燃焼噴射孔が臨むように燃焼器カバー17に取り付けられている。燃料ノズル24には燃料fを供給する燃料配管が接続している。燃料配管には燃料流量調整弁Vfが設けられており、燃料流量調整弁Vfの開度を調整することで燃料ノズル24への燃料供給流量を調整しガスタービン10の出力を変化させることができる。燃料流量調整弁Vfの開度(燃料噴射量)は、ガスタービン10の起動運転の完了後には例えば測定出力Wmが要求出力Wrに近付くように別途制御される。燃料流量調整弁Vfは例えばコントローラ50からの指令信号により制御される。また、燃料配管には、この燃料配管を流れる燃料fの流量を測定する流量センサS2が設けられており、流量センサS2で測定された燃料流量がコントローラ50に入力されるようになっている。
燃焼器ケーシング16と燃焼器ライナ21との間には円筒状のライナフロースリーブ26が介在する。このライナフロースリーブ26は燃焼器ライナ21と同心状に配置されており、燃焼器ケーシング16に取り付けられている。燃焼ガスgの流れ方向におけるライナフロースリーブ26の上流側の端部は燃焼器カバー17に接触し燃焼器カバー17で塞がれており、下流側の端部は開口している。また尾筒22と燃焼器ライナ21との間には筒状の尾筒フロースリーブ27が介在する。燃焼ガスgの流れ方向におけるライナフロースリーブ26の下流側の端部は尾筒フロースリーブ27の上流側の端部に挿し込まれている。
圧縮機11から吐出された圧縮空気a2は、タービンケーシング18の内部において尾筒22と尾筒フロースリーブ27との間の環状の流路に流入して燃焼ガスgの流れと逆方向に流れ、その際に尾筒22を外側から冷却する。その後、この圧縮空気a2はライナフロースリーブ26と燃焼器ライナ21との間の環状の流路に流入し、燃焼器ライナ21の外周面に沿って燃焼ガスgの流れと逆方向に流れる際に燃焼器ライナ21を外側から冷却する。
圧縮空気a2の一部は燃焼器ライナ21の周壁面に設けられた複数の冷却孔(不図示)から燃焼器ライナ21の内側へ冷却空気a3として流入し、燃焼器ライナ21の内周面のフィルム冷却に使用される。圧縮空気a2の別の一部は、燃焼器ライナ21の周壁に設けられた複数の希釈孔31から燃焼器ライナ21の内側へ希釈空気a4として流入し、燃焼ガスgと共に尾筒22を介してタービン13に供給される。燃焼ガスgの流れ方向において希釈孔31は火炎帯の形成領域よりも下流側に位置する。
圧縮空気a2の更に別の一部は、燃焼器ライナ21の周壁に設けられた複数の燃焼孔32から燃焼器ライナ21の内側へ二次燃焼空気a5として流入し、燃焼空気a6と燃焼反応しきれなかった燃料fの燃焼に使用される。残りの圧縮空気a2は、燃料ノズル24の外周に設けた旋回器33から主たる燃焼空気a6として燃焼器ライナ21の内部に流入し、燃料ノズル24から噴出される燃料fの燃焼に使用される。燃焼空気a6や二次燃焼空気a5と燃料fとの燃焼反応により生成された燃焼ガスgは、冷却空気a3や希釈空気a4と混合してタービン13へと送られる。タービン13を駆動した燃焼ガスg等は低圧の排気ガスeとしてタービン13から排出され、排熱回収ボイラ41に供給され、排熱回収ボイラ41において熱を回収されて排出される。
−蒸気供給系統−
蒸気供給系統40は、排熱回収ボイラ41、蒸気配管系統P及び蒸気流量調整弁Vs1−Vs3を含んで構成されている。
蒸気供給系統40は、排熱回収ボイラ41、蒸気配管系統P及び蒸気流量調整弁Vs1−Vs3を含んで構成されている。
排熱回収ボイラ41は、給水加熱器42、ボイラ43及び蒸気過熱器44を含んで構成され、タービン13の排気ガスeを熱源として給水を加熱して蒸気sを発生させる。排熱回収ボイラ41で生成された蒸気sは蒸気配管系統Pを介して蒸気消費設備X等に供給され、蒸気消費設備X等で使用される。蒸気消費設備Xは熱源として蒸気sを必要とする工場等の設備である。
蒸気配管系統Pは、蒸気配管P1−P3を含んで構成されている。蒸気配管P1は、排熱回収ボイラ41で発生した蒸気sを燃焼器12に導く燃焼器12への蒸気注入用の配管であり、燃焼器12の蒸気注入ポート23と排熱回収ボイラ41の蒸気出口とを接続している。前述したライナフロースリーブ26の周壁には蒸気注入孔28が周方向に複数設けられており、注入ポート23から燃焼器12に注入された蒸気sは各蒸気注入孔28を介してライナフロースリーブ26の内部に流入する。複数の蒸気注入孔28の全部又は一部は、少なくとも1つの上記希釈孔31と対向している。
蒸気配管P1には蒸気流量調整弁Vs1が設けられており、蒸気流量調整弁Vs1の開度を調整することで燃焼器12への蒸気注入流量を調整しガスタービン10の出力を変化させることができる。蒸気流量調整弁Vs1はコントローラ50からの指令信号により制御される。また、蒸気配管P1には、排熱回収ボイラ41で発生した(蒸気配管P1を流れる)蒸気sの圧力を測定する圧力センサS3が設けられており、圧力センサS3による測定蒸気圧力がコントローラ50に入力されるようになっている。蒸気配管P1にはまた、蒸気配管P1を流れる蒸気sの温度を測定する温度センサS4が設けられており、温度センサS4による測定蒸気温度もコントローラ50に入力される。
蒸気配管P2は、排熱回収ボイラ41で発生した蒸気sを蒸気消費設備Xに供給するプロセス蒸気送気用の配管であり、蒸気配管P1から分岐して蒸気消費設備Xまで延びている。蒸気配管P2には蒸気流量調整弁Vs2が設けられており、蒸気流量調整弁Vs2の開度を調整することで蒸気消費設備Xへの蒸気送気流量を調整することができる。蒸気流量調整弁Vs2はコントローラ50からの指令信号により制御される。
蒸気配管P3は、排熱回収ボイラ41で発生した蒸気sを大気に放出するための配管であり、蒸気配管P1から分岐して延び、先端は開放されている。蒸気配管P3には蒸気流量調整弁Vs3が設けられており、蒸気流量調整弁Vs3の開度を調整することで蒸気放出流量を調整したり蒸気放出を止めたりすることができる。蒸気流量調整弁Vs3はコントローラ50からの指令信号により制御される。
排熱回収ボイラ41で発生した蒸気sは蒸気配管P2を介して蒸気消費設備Xに供給される。排熱回収ボイラ41による蒸気発生量が蒸気消費設備Xで必要な蒸気流量以上になったら、余剰の蒸気sの一部又は全部が蒸気配管P1を介してガスタービン10の燃焼器12に注入される。燃焼器12に流入された蒸気sは、まず燃焼器ケーシング16とライナフロースリーブ26の間の環状の空間に導かれ、蒸気注入孔28を介してライナフロースリーブ26の内側に流入する。ライナフロースリーブ26の内部に流入した蒸気sの大部分は希釈孔31を通って燃焼器ライナ21の内側に流入し、燃焼ガスgの流れ方向において火炎帯の下流側で燃焼ガスgや希釈空気a4に合流する。
希釈孔31を通過する蒸気sは燃焼後の燃焼ガスgや希釈空気a4と混ざり合うため火炎帯には直接影響しない。希釈孔31から燃焼室に蒸気を供給することで、燃焼安定性に影響を及ぼすことなく、燃焼器12からタービン13に供給される作動流体の流量を増加させてガスタービン10の出力を向上させることができる。また、蒸気sを混合するので、その分だけ燃料fの供給流量を増加させることもできるため、タービン入口温度が同一の条件下であれば蒸気sを燃焼器12に注入しない場合に比べて出力や効率を向上させることができる。図1に示した熱電可変コジェネレーションシステムでは、こうして燃焼器12に蒸気sを注入することで、ガスタービン10の出力を増加させて熱電比を変化させることができる。
また、タービン13へ流入する燃焼ガスgの温度が蒸気sにより低下する。そのため、ガスタービン出力が同一の条件下では、蒸気sを燃焼器12に注入しない場合に比べて、尾筒22やタービン13の構成要素のメタル温度を下げることができ、ガスタービン10の信頼性や寿命も向上する。
希釈孔31を通過しなかった残りの蒸気sは、ライナフロースリーブ26と燃焼器ライナ21との間の環状の流路を流れる圧縮空気a2に混ざって燃焼ガスgの流れ方向における上流側に流れる。この蒸気sは、旋回器33を介して燃焼空気a6と共に燃焼室に流入し、火炎帯の温度を下げて低NOx化に寄与する。
−コントローラ−
図2はコントローラ50による注入蒸気流量の制御ロジックの一例を表すブロック線図である。図3はガスタービンの測定出力と蒸気流量制御弁の基本開度との関係のデータを表すグラフである。図4は測定出力及び要求出力の差分と基本開度に関する補正係数との関係のデータを表すグラフである。
図2はコントローラ50による注入蒸気流量の制御ロジックの一例を表すブロック線図である。図3はガスタービンの測定出力と蒸気流量制御弁の基本開度との関係のデータを表すグラフである。図4は測定出力及び要求出力の差分と基本開度に関する補正係数との関係のデータを表すグラフである。
コントローラ50は、蒸気流量調整弁Vs1の開度を制御するコンピュータであり、蒸気流量調整弁Vs1の制御機能の他、熱電可変型コジェネレーションシステムの全体を制御する機能を備えていても良い。コントローラ50にはメモリやCPUが備わっている。メモリには蒸気流量調整弁Vs1の制御プログラムやこの制御プログラムの実行に必要なデータ等が記憶されており、コントローラ50はメモリに格納された制御プログラムやデータをCPUにロードして蒸気流量調整弁Vs1の開度制御を実行する。
具体的には、コントローラ50は、演算器51、減算器52、演算器53及び積算器54を含んで構成されている。演算器51、減算器52、演算器53及び積算器54は1つ又は複数のCPUで構成されている。
・演算器51
コントローラ50は、出力センサS1で測定されたガスタービン10の測定出力Wmに比例して蒸気流量調整弁Vs1の基本開度Cv0を演算するようにプログラムされている。コントローラ50のメモリには測定出力Wmと基本開度Cv0との関係(図3)を規定したデータが記憶されており、出力センサS1から入力された測定出力Wmに応じた基本開度Cv0が図3のデータに基づいて演算器51で演算される。図3では、基本開度Cv0は、測定出力Wmが第1設定値W1未満であれば0、測定出力Wmが第1設定値W1以上で第2設定値W2未満であれば測定出力Wmに比例して増し、測定出力Wmが第2設定値W2以上であれば上限値(一定)になるように規定してある。蒸気流量調整弁Vs1の基本開度Cv0の演算値は、測定出力Wmが増加すればこれに比例して大きくなり、測定出力Wmが減少すればこれに比例して小さくなる。
コントローラ50は、出力センサS1で測定されたガスタービン10の測定出力Wmに比例して蒸気流量調整弁Vs1の基本開度Cv0を演算するようにプログラムされている。コントローラ50のメモリには測定出力Wmと基本開度Cv0との関係(図3)を規定したデータが記憶されており、出力センサS1から入力された測定出力Wmに応じた基本開度Cv0が図3のデータに基づいて演算器51で演算される。図3では、基本開度Cv0は、測定出力Wmが第1設定値W1未満であれば0、測定出力Wmが第1設定値W1以上で第2設定値W2未満であれば測定出力Wmに比例して増し、測定出力Wmが第2設定値W2以上であれば上限値(一定)になるように規定してある。蒸気流量調整弁Vs1の基本開度Cv0の演算値は、測定出力Wmが増加すればこれに比例して大きくなり、測定出力Wmが減少すればこれに比例して小さくなる。
・減算器52
減算器52は、ガスタービン10に対する要求出力Wrと測定出力Wmとを入力し、測定出力Wmと要求出力Wrとの差分である出力差分Wdを演算する。出力差分Wdは測定出力Wm(>0)から要求出力Wr(>0)を差し引いた値であり、測定出力Wmが要求出力Wrよりも大きければ正の値となり、測定出力Wmが要求出力Wrよりも小さければ負の値となる。また、要求出力Wrはガスタービン10に現在要求されている出力である。例えば蒸気注入ガスタービン1を運用する発電施設の管理制御装置(不図示)により中央給電指令所からの指令値に応じて演算された、ガスタービン10に要求される出力(例えば発電量)が要求出力Wrの一例である。中央給電指令所は、例えば蒸気注入ガスタービン1を運用する発電施設が属する管轄区域において総発電量を管理して各発電施設に発電指令をする施設である。例えば同一管轄区域内に再生可能エネルギー発電設備が接続されている場合、再生可能エネルギーによる発電量が急減した場合にはガスタービン10に対する要求出力Wrが急増し得る。そのため、コントローラ50に入力される要求出力Wr、ひいては減算器52で演算される出力差分Wdは急変し得る。
減算器52は、ガスタービン10に対する要求出力Wrと測定出力Wmとを入力し、測定出力Wmと要求出力Wrとの差分である出力差分Wdを演算する。出力差分Wdは測定出力Wm(>0)から要求出力Wr(>0)を差し引いた値であり、測定出力Wmが要求出力Wrよりも大きければ正の値となり、測定出力Wmが要求出力Wrよりも小さければ負の値となる。また、要求出力Wrはガスタービン10に現在要求されている出力である。例えば蒸気注入ガスタービン1を運用する発電施設の管理制御装置(不図示)により中央給電指令所からの指令値に応じて演算された、ガスタービン10に要求される出力(例えば発電量)が要求出力Wrの一例である。中央給電指令所は、例えば蒸気注入ガスタービン1を運用する発電施設が属する管轄区域において総発電量を管理して各発電施設に発電指令をする施設である。例えば同一管轄区域内に再生可能エネルギー発電設備が接続されている場合、再生可能エネルギーによる発電量が急減した場合にはガスタービン10に対する要求出力Wrが急増し得る。そのため、コントローラ50に入力される要求出力Wr、ひいては減算器52で演算される出力差分Wdは急変し得る。
・演算器53
演算器53では、減算器52で演算された出力差分Wdから、図4に表したデータに基づいて、蒸気流量調整弁Vs1の指令開度Cvを演算するための補正係数αが演算される。出力差分Wdと補正係数αとの関係(図4)を規定したデータはコントローラ50のメモリに記憶されている。補正係数αは、要求出力Wrよりも測定出力Wmが大きいほど小さくなり、要求出力Wrよりも測定出力Wmが小さいほど大きくなるように規定されている。d1<d2<0<d3<d4(d1−d4はいずれも設定値)として、図4の具体例を説明する。まず、出力差分Wdがd1未満であれば補正係数αは最大値αmax(>1)であり、出力差分Wdがd1以上d2未満であれば出力差分Wdの増加に伴って補正係数αは最大値αmaxから1まで単調に減少する。出力差分Wdがd2以上d3未満であれば、補正係数αは1となる。出力差分Wdがd3以上d4未満であれば出力差分Wdの増加に伴って補正係数αは1から最小値αmin(0<αmin<1)まで単調に減少し、出力差分Wdがd4以上であれば補正係数αは最小値αminとなる。このようなデータを用いて演算器53では出力差分Wdから補正係数αが演算される。
演算器53では、減算器52で演算された出力差分Wdから、図4に表したデータに基づいて、蒸気流量調整弁Vs1の指令開度Cvを演算するための補正係数αが演算される。出力差分Wdと補正係数αとの関係(図4)を規定したデータはコントローラ50のメモリに記憶されている。補正係数αは、要求出力Wrよりも測定出力Wmが大きいほど小さくなり、要求出力Wrよりも測定出力Wmが小さいほど大きくなるように規定されている。d1<d2<0<d3<d4(d1−d4はいずれも設定値)として、図4の具体例を説明する。まず、出力差分Wdがd1未満であれば補正係数αは最大値αmax(>1)であり、出力差分Wdがd1以上d2未満であれば出力差分Wdの増加に伴って補正係数αは最大値αmaxから1まで単調に減少する。出力差分Wdがd2以上d3未満であれば、補正係数αは1となる。出力差分Wdがd3以上d4未満であれば出力差分Wdの増加に伴って補正係数αは1から最小値αmin(0<αmin<1)まで単調に減少し、出力差分Wdがd4以上であれば補正係数αは最小値αminとなる。このようなデータを用いて演算器53では出力差分Wdから補正係数αが演算される。
・積算器54
積算器54では、演算器51で演算された基本開度Cv0に演算器53で演算された補正係数αが乗算され、基本開度Cv0を補正係数αで補正した値が蒸気流量調整弁Vs1の指令開度Cvとして演算される。指令開度Cvはコントローラ50においてアナログ信号(例えば電圧信号)に変換され、この信号が蒸気流量調整弁Vs1に入力される。これによって蒸気流量調整弁Vs1の開度が調整されて燃焼器12への注入蒸気流量が制御される。
積算器54では、演算器51で演算された基本開度Cv0に演算器53で演算された補正係数αが乗算され、基本開度Cv0を補正係数αで補正した値が蒸気流量調整弁Vs1の指令開度Cvとして演算される。指令開度Cvはコントローラ50においてアナログ信号(例えば電圧信号)に変換され、この信号が蒸気流量調整弁Vs1に入力される。これによって蒸気流量調整弁Vs1の開度が調整されて燃焼器12への注入蒸気流量が制御される。
以上の通り、本実施形態においては、演算した補正係数αを乗じて基本開度Cv0を補正する。要求出力Wrに対して測定出力Wmが大きい場合、出力差分Wd(出力差分Wdの絶対値)が大きいほど基本開度Cv0に対して指令開度Cvが大きな割合で減少する。その結果、出力差分Wdが大きいほど、燃焼器12への注入蒸気流量が測定出力Wmに比例した値に対して大きな割合で減少する。これによりガスタービン10の出力の時間当たりの減少率が大きくなり、短時間で要求出力Wrに測定出力Wmが近づく。
反対に、要求出力Wrに対して測定出力Wmが小さい場合、出力差分Wdが小さい(出力差分Wdの絶対値が大きい)ほど基本開度Cv0に対して指令開度Cvが大きな割合で増加する。その結果、出力差分Wdが小さいほど、燃焼器12への注入蒸気流量が測定出力Wmに比例した値に対して大きな割合で増加する。これによりガスタービン10の出力の時間当たりの増加率が大きくなり、短時間で要求出力Wrに測定出力Wmが近づく。
−比較例1−
図7は本実施形態との比較のために従来の注入蒸気流量の一制御ロジックを表すブロック線図である。本比較例は図2のコントローラ50から減算器52、演算器53及び積算器54を省略したものに相当する。この比較例では、測定出力に比例した指令開度(基本開度Cv0に相当)が演算器で演算され、発電量に比例して燃焼器への注入蒸気流量が増減する。そのためガスタービンに投入される燃料のエネルギーと蒸気のエネルギーの比が常に同程度に維持され、燃料を節約しつつ発電量を増加させることができ、発電効率を向上させることができる。また、一般に燃料投入量と共に増加する傾向にあるNOx排出量の抑制効果も得られる。
図7は本実施形態との比較のために従来の注入蒸気流量の一制御ロジックを表すブロック線図である。本比較例は図2のコントローラ50から減算器52、演算器53及び積算器54を省略したものに相当する。この比較例では、測定出力に比例した指令開度(基本開度Cv0に相当)が演算器で演算され、発電量に比例して燃焼器への注入蒸気流量が増減する。そのためガスタービンに投入される燃料のエネルギーと蒸気のエネルギーの比が常に同程度に維持され、燃料を節約しつつ発電量を増加させることができ、発電効率を向上させることができる。また、一般に燃料投入量と共に増加する傾向にあるNOx排出量の抑制効果も得られる。
しかし、蒸気注入ガスタービンにおいて燃料流量の変化速度に比べて蒸気発生量の変化速度が遅いため、比較例のように単純に出力に応じて注入蒸気流量を増減させるだけではガスタービンの出力変化率が制限される。そのため、ガスタービンに対する要求出力の急変に対応することが困難である。
−効果−
本実施形態においては、例えば要求出力Wrが急増(出力差分Wdが急増)した場合、燃焼器への注入蒸気流量が一時的に比較例よりも大きな変化率で増加する。そのため、ガスタービン10の出力を迅速に増加させて要求出力Wrの変化に対する応答性を向上させることができ、注入蒸気流量の増加に伴う出力上昇の分だけ燃料流量の増加を抑制できる。出力差分Wdの減少に伴って補正係数αは1に戻るので、出力差分Wdの大きさが一定以下になれば注入蒸気流量は通常の値(本実施形態では測定出力Wmに比例した値)に復帰する。また、燃料流量が過大になることが抑えられるため、NOx発生量の増加、メタル温度上昇による高温部品の寿命減少等も抑制することができる。勿論、要求出力Wrが急減(出力差分Wdが急減)した場合も、燃料流量の変化を抑えつつ応答良くガスタービン10の出力を下げることができる。燃料流量が過少になることが抑制できるので、燃焼安定性の低下や消炎等のリスクも抑えられる。
本実施形態においては、例えば要求出力Wrが急増(出力差分Wdが急増)した場合、燃焼器への注入蒸気流量が一時的に比較例よりも大きな変化率で増加する。そのため、ガスタービン10の出力を迅速に増加させて要求出力Wrの変化に対する応答性を向上させることができ、注入蒸気流量の増加に伴う出力上昇の分だけ燃料流量の増加を抑制できる。出力差分Wdの減少に伴って補正係数αは1に戻るので、出力差分Wdの大きさが一定以下になれば注入蒸気流量は通常の値(本実施形態では測定出力Wmに比例した値)に復帰する。また、燃料流量が過大になることが抑えられるため、NOx発生量の増加、メタル温度上昇による高温部品の寿命減少等も抑制することができる。勿論、要求出力Wrが急減(出力差分Wdが急減)した場合も、燃料流量の変化を抑えつつ応答良くガスタービン10の出力を下げることができる。燃料流量が過少になることが抑制できるので、燃焼安定性の低下や消炎等のリスクも抑えられる。
以上の通り、本実施形態によれば、燃料流量の変化を抑えつつ高い出力変化率に対応することができ、NOx発生量の増加、高温部品の寿命減少、燃焼安定性の低下、消炎等を抑制することができる。
(第2の実施の形態)
−特徴−
図5は本発明の第2実施形態の蒸気注入ガスタービンに備えられたコントローラによる注入蒸気流量の制御ロジックの一例を表すブロック線図であり、第1実施形態の図2に対応している。図6は本発明の第2実施形態における測定出力及び要求出力の差分と基本開度に関する補正係数との関係のデータを表すグラフであり、第1実施形態の図4に対応している。
−特徴−
図5は本発明の第2実施形態の蒸気注入ガスタービンに備えられたコントローラによる注入蒸気流量の制御ロジックの一例を表すブロック線図であり、第1実施形態の図2に対応している。図6は本発明の第2実施形態における測定出力及び要求出力の差分と基本開度に関する補正係数との関係のデータを表すグラフであり、第1実施形態の図4に対応している。
本実施形態が第1実施形態と相違する点は、蒸気流量調整弁Vs1を制御することで予め設定された目標蒸気圧力Pt(一定値)に圧力センサS3による測定蒸気圧力Pmを近付けるようにコントローラ50がプログラムされている点である。この点(具体的には図5及び図6を用いて後で説明するコントローラ50の機能)を除き、本実施形態は適用対象を含めて第1実施形態と同様である。
目標蒸気圧力Ptは予め設定された値であり、例えばコントローラ50のメモリに記憶されている。つまり、本実施形態では排熱回収ボイラ41で発生する蒸気sの圧力を一定に維持する観点で燃料流量調整弁Vfや蒸気流量調整弁Vs1が制御される。特に図示していないが、燃料流量(燃料流量調整弁Vfの開度)は、本実施形態では例えば測定蒸気圧力Pmが目標蒸気圧力Ptに近付くように別途制御されている。
コントローラ50には第1実施形態と同じくコンピュータが用いられている。本実施形態のコントローラ50は、減算器52、演算器55、積算器56及び演算器57を含んで構成されている。減算器52、演算器55、積算器56及び演算器57は1つ又は複数のCPUで構成されている。
・減算器52
減算器52は、第1実施形態と同様のものであり、ガスタービン10に対する要求出力Wrと測定出力Wmとを入力し、測定出力Wmと要求出力Wrとの差分である出力差分Wdを演算する。要求出力Wr、測定出力Wm、出力差分Wdはいずれも第1実施形態で説明したものと同義である。
減算器52は、第1実施形態と同様のものであり、ガスタービン10に対する要求出力Wrと測定出力Wmとを入力し、測定出力Wmと要求出力Wrとの差分である出力差分Wdを演算する。要求出力Wr、測定出力Wm、出力差分Wdはいずれも第1実施形態で説明したものと同義である。
・演算器55
演算器55では、減算器52で演算された出力差分Wdから、図6に表したデータに基づいて、蒸気流量調整弁Vs1の指令開度Cvを演算するための目標蒸気圧力Ptの補正係数βが演算される。出力差分Wdと補正係数βとの関係(図6)を規定したデータはコントローラ50のメモリに記憶されている。補正係数βは、要求出力Wrよりも測定出力Wmが大きいほど大きくなり、要求出力Wrよりも測定出力Wmが小さいほど小さくなるように規定されている。d5<d6<0<d7<d8(d5−d8はいずれも設定値)として、図6の具体例を説明する。まず、出力差分Wdがd5未満であれば補正係数βは最小値βmin(0<βmin<1)で一定であり、出力差分Wdがd5以上d6未満であれば出力差分Wdの増加に伴って補正係数βは最小値βminから1まで単調に増加する。出力差分Wdがd6以上d7未満であれば、補正係数βは1となる。出力差分Wdがd7以上d8未満であれば出力差分Wdの増加に伴って補正係数βは1から最大値βmax(>1)まで単調に増加し、出力差分Wdがd8以上であれば補正係数βは最大値βmaxで一定となる。このようなデータを用いて演算器55では出力差分Wdから補正係数βが演算される。
演算器55では、減算器52で演算された出力差分Wdから、図6に表したデータに基づいて、蒸気流量調整弁Vs1の指令開度Cvを演算するための目標蒸気圧力Ptの補正係数βが演算される。出力差分Wdと補正係数βとの関係(図6)を規定したデータはコントローラ50のメモリに記憶されている。補正係数βは、要求出力Wrよりも測定出力Wmが大きいほど大きくなり、要求出力Wrよりも測定出力Wmが小さいほど小さくなるように規定されている。d5<d6<0<d7<d8(d5−d8はいずれも設定値)として、図6の具体例を説明する。まず、出力差分Wdがd5未満であれば補正係数βは最小値βmin(0<βmin<1)で一定であり、出力差分Wdがd5以上d6未満であれば出力差分Wdの増加に伴って補正係数βは最小値βminから1まで単調に増加する。出力差分Wdがd6以上d7未満であれば、補正係数βは1となる。出力差分Wdがd7以上d8未満であれば出力差分Wdの増加に伴って補正係数βは1から最大値βmax(>1)まで単調に増加し、出力差分Wdがd8以上であれば補正係数βは最大値βmaxで一定となる。このようなデータを用いて演算器55では出力差分Wdから補正係数βが演算される。
・積算器56
積算器56では、メモリに記憶された目標蒸気圧力Ptに演算器55で演算された補正係数βが乗算され、これにより補正後の目標蒸気圧力Pt’が演算される(Pt’=Pt×β)。出力差分Wdが正の値であれば、出力差分Wdの絶対値が大きいほど補正係数β(>1)が大きくなる。従って、要求出力Wrの上昇率が大きいほど、補正後の目標蒸気圧力Pt’はメモリに記憶された目標蒸気圧力Ptよりも大きな値となる。出力差分Wdが負の値であれば、出力差分Wdの絶対値が大きいほど補正係数β(<1)が小さくなる。従って、要求出力Wrの減少率が大きいほど、補正後の目標蒸気圧力Pt’はメモリに記憶された目標蒸気圧力Ptよりも小さな値となる。出力差分Wdの大きさが小さく(d6≦Wd<d7)補正係数βが1の場合、補正後の目標蒸気圧力Pt’はメモリに記憶された目標蒸気圧力Ptに等しくなる(つまり目標蒸気圧力は補正されない)。
積算器56では、メモリに記憶された目標蒸気圧力Ptに演算器55で演算された補正係数βが乗算され、これにより補正後の目標蒸気圧力Pt’が演算される(Pt’=Pt×β)。出力差分Wdが正の値であれば、出力差分Wdの絶対値が大きいほど補正係数β(>1)が大きくなる。従って、要求出力Wrの上昇率が大きいほど、補正後の目標蒸気圧力Pt’はメモリに記憶された目標蒸気圧力Ptよりも大きな値となる。出力差分Wdが負の値であれば、出力差分Wdの絶対値が大きいほど補正係数β(<1)が小さくなる。従って、要求出力Wrの減少率が大きいほど、補正後の目標蒸気圧力Pt’はメモリに記憶された目標蒸気圧力Ptよりも小さな値となる。出力差分Wdの大きさが小さく(d6≦Wd<d7)補正係数βが1の場合、補正後の目標蒸気圧力Pt’はメモリに記憶された目標蒸気圧力Ptに等しくなる(つまり目標蒸気圧力は補正されない)。
・演算器57
演算器57では、圧力センサS3による測定蒸気圧力Pmと、積算器56で演算された補正後の目標蒸気圧力Pt’とに基づいて、蒸気流量調整弁Vs1の指令開度Cvが演算される。指令開度Cvはコントローラ50においてアナログ信号(例えば電圧信号)に変換され、この信号が蒸気流量調整弁Vs1に入力されることによって蒸気流量調整弁Vs1の開度が調整されて燃焼器12への注入蒸気流量が制御される。具体的には、演算器57は、測定蒸気圧力Pmが目標蒸気圧力Ptに等しくなるように蒸気流量調整弁Vs1の開度をフィードバック制御する。
演算器57では、圧力センサS3による測定蒸気圧力Pmと、積算器56で演算された補正後の目標蒸気圧力Pt’とに基づいて、蒸気流量調整弁Vs1の指令開度Cvが演算される。指令開度Cvはコントローラ50においてアナログ信号(例えば電圧信号)に変換され、この信号が蒸気流量調整弁Vs1に入力されることによって蒸気流量調整弁Vs1の開度が調整されて燃焼器12への注入蒸気流量が制御される。具体的には、演算器57は、測定蒸気圧力Pmが目標蒸気圧力Ptに等しくなるように蒸気流量調整弁Vs1の開度をフィードバック制御する。
例えば要求出力Wrが急増して出力差分Wdの値が0を下回った場合、出力差分Wdに応じて補正後の目標蒸気圧力Pt’の値を下げ、注入蒸気流量を増やして蒸気配管系統Pの内部蒸気の使用量を増やし測定蒸気圧力Pmを下げる。反対に要求出力Wrが急減して出力差分Wdの値が0を上回った場合、出力差分Wdに応じて補正後の目標蒸気圧力Pt’の値を上げ、注入蒸気流量を減らして蒸気配管系統Pの内部蒸気の使用量を減らし測定蒸気圧力Pmを上げる。
本実施形態では、要求出力Wrに対して測定出力Wmが大きい場合、出力差分Wd(出力差分Wdの絶対値)が大きいほど目標蒸気圧力Ptに対して補正後の目標蒸気圧力Pt’が大きな割合で上昇する。その結果、出力差分Wdが大きいほど、測定蒸気圧力Pmを常時一定に制御する(目標蒸気圧力Ptに一致させる)場合に比べて大きな割合で燃焼器12への注入蒸気流量が減少する。これによりガスタービン10の出力の時間当たりの減少率が大きくなり、短時間で要求出力Wrに測定出力Wmが近づく。
反対に、要求出力Wrに対して測定出力Wmが小さい場合、出力差分Wdが小さい(出力差分Wdの絶対値が大きい)ほど目標蒸気圧力Ptに対して補正後の目標蒸気圧力Pt’が大きな割合で低下する。その結果、出力差分Wdが小さいほど、測定蒸気圧力Pmを常時一定に制御する(目標蒸気圧力Ptに一致させる)場合に比べて大きな割合で燃焼器12への注入蒸気流量が増加する。これによりガスタービン10の出力の時間当たりの増加率が大きくなり、短時間で要求出力Wrに測定出力Wmが近づく。
−比較例2−
図8は本実施形態との比較のために従来の注入蒸気流量の他の制御ロジックを表すブロック線図である。本比較例は図5のコントローラ50から減算器52、演算器55及び積算器56を省略したものに相当する。この比較例では、測定蒸気圧力と目標蒸気圧力(一定値)が演算器に入力され、目標蒸気圧力に測定蒸気圧力が一致するように燃焼器への注入蒸気流量がフィードバック制御される。排熱回収ボイラで発生した蒸気のうち蒸気消費設備で使用されなかった余剰蒸気の全部をガスタービンに注入することができ、燃料を節約しつつ発電量を増加させ、発電効率を向上させることができる。蒸気消費設備で必要とする蒸気量が増加した場合には、ガスタービンへの注入蒸気流入を減らすことで対応できる。
図8は本実施形態との比較のために従来の注入蒸気流量の他の制御ロジックを表すブロック線図である。本比較例は図5のコントローラ50から減算器52、演算器55及び積算器56を省略したものに相当する。この比較例では、測定蒸気圧力と目標蒸気圧力(一定値)が演算器に入力され、目標蒸気圧力に測定蒸気圧力が一致するように燃焼器への注入蒸気流量がフィードバック制御される。排熱回収ボイラで発生した蒸気のうち蒸気消費設備で使用されなかった余剰蒸気の全部をガスタービンに注入することができ、燃料を節約しつつ発電量を増加させ、発電効率を向上させることができる。蒸気消費設備で必要とする蒸気量が増加した場合には、ガスタービンへの注入蒸気流入を減らすことで対応できる。
しかし、図8の例では、例えば要求出力が上昇して燃料流量が増加しても、目標蒸気圧力が変化しないため排熱回収ボイラにおける発生蒸気量が増加して測定蒸気圧力が上昇し始めるまで燃焼器への蒸気注入量は増加しない。また、ガスタービンへの蒸気注入量は発生蒸気量の増加分しか増加しない。そのため、ガスタービンに対する要求出力の急変に対応することは難しい。
−効果−
本実施形態においても、上記の通り、要求出力Wrが急増すれば、出力差分Wdに応じて目標蒸気圧力が下がって燃焼器12への注入蒸気流量が一時的に大きな変化率で増加する。要求出力Wrが急減すれば、出力差分Wdに応じて目標蒸気圧力が上がって燃焼器12への注入蒸気流量が一時的に大きな変化率で減少する。よって、第1実施形態と同様、燃料流量の変化を抑えつつ高い出力変化率に対応することができ、NOx発生量の増加、高温部品の寿命減少、燃焼安定性の低下、消炎等を抑制することができる。
本実施形態においても、上記の通り、要求出力Wrが急増すれば、出力差分Wdに応じて目標蒸気圧力が下がって燃焼器12への注入蒸気流量が一時的に大きな変化率で増加する。要求出力Wrが急減すれば、出力差分Wdに応じて目標蒸気圧力が上がって燃焼器12への注入蒸気流量が一時的に大きな変化率で減少する。よって、第1実施形態と同様、燃料流量の変化を抑えつつ高い出力変化率に対応することができ、NOx発生量の増加、高温部品の寿命減少、燃焼安定性の低下、消炎等を抑制することができる。
(変形例)
以上の2つの実施形態では、ガスタービン10の出力を測定するセンサとして出力センサS1(例えば電力計)を用いた場合を例に挙げて説明したが、ガスタービン10の出力は燃料流量から求めることができる。そのため、流量センサS2を出力センサとして測定出力Wmの測定手段として用いることもできる。その他、特に図示していないが、ガスタービン10の回転数を測定する回転数センサ、燃料流量調整弁Vfの開度を測定する開度計、燃料流量調整弁Vfへの指令信号を測定する電流計又は電圧計等も出力センサとして用いることができる。
以上の2つの実施形態では、ガスタービン10の出力を測定するセンサとして出力センサS1(例えば電力計)を用いた場合を例に挙げて説明したが、ガスタービン10の出力は燃料流量から求めることができる。そのため、流量センサS2を出力センサとして測定出力Wmの測定手段として用いることもできる。その他、特に図示していないが、ガスタービン10の回転数を測定する回転数センサ、燃料流量調整弁Vfの開度を測定する開度計、燃料流量調整弁Vfへの指令信号を測定する電流計又は電圧計等も出力センサとして用いることができる。
1…蒸気注入ガスタービン、10…ガスタービン、11…圧縮機、12…燃焼器、13…タービン、41…排熱回収ボイラ、50…コントローラ、a2…圧縮空気、Cv0…基本開度、f…燃料、g…燃焼ガス、P1…蒸気配管、Pm…測定蒸気圧力、Pt…目標蒸気圧力、s…蒸気、S1…出力センサ、S2…流量センサ(出力センサ)、S3…圧力センサ、Vs1…蒸気流量調整弁、Wd…出力差分(測定出力と要求出力との差分)、Wm…測定出力、Wr…要求出力、α,β…補正係数
Claims (4)
- 圧縮機、前記圧縮機から導入される圧縮空気と共に燃料を燃焼させる燃焼器、及び前記燃焼器から導入された燃焼ガスで駆動されるタービンを含んで構成されたガスタービンと、
前記タービンの排気ガスを熱源として蒸気を発生させる排熱回収ボイラと、
前記排熱回収ボイラで発生した蒸気を前記燃焼器に導く蒸気配管と、
前記蒸気配管に設けられた蒸気流量調整弁と、
前記ガスタービンの出力を測定する出力センサと、
前記蒸気流量調整弁の開度を制御するコントローラとを備え、
前記排熱回収ボイラで生成した蒸気を前記燃焼器に注入する蒸気注入ガスタービンにおいて、
前記コントローラは、前記出力センサで測定された前記ガスタービンの測定出力と、前記ガスタービンに対する要求出力とを入力し、前記蒸気流量調整弁により前記燃焼器への注入蒸気流量を制御して前記要求出力に前記測定出力を近付けることを特徴とする蒸気注入ガスタービン。 - 請求項1の蒸気注入ガスタービンにおいて、前記コントローラが、前記要求出力に対して前記測定出力が大きいほど大きな割合で前記注入蒸気流量を減少させ、前記要求出力に対して前記測定出力が小さいほど大きな割合で前記注入蒸気流量を増加させることを特徴とする蒸気注入ガスタービン。
- 請求項1の蒸気注入ガスタービンにおいて、前記コントローラが、
前記測定出力に比例して前記蒸気流量調整弁の基本開度を演算するようにプログラムされていて、
前記要求出力よりも前記測定出力が大きいほど小さくなり、前記要求出力よりも前記測定出力が小さいほど大きくなる補正係数のデータを記憶しており、
前記測定出力と前記要求出力との差分から前記データに基づいて補正係数を演算し、
演算した補正係数を乗じて前記基本開度を補正することで、前記要求出力に対して前記測定出力が大きいほど前記注入蒸気流量を前記測定出力に比例した値に対して大きな割合で減少させ、前記要求出力に対して前記測定出力が小さいほど前記注入蒸気流量を前記測定出力に比例した値に対して大きな割合で増加させることを特徴とする蒸気注入ガスタービン。 - 請求項1の蒸気注入ガスタービンにおいて、
前記排熱回収ボイラで発生した蒸気の圧力を測定し前記コントローラに測定蒸気圧力を出力する圧力センサを更に備え、
前記コントローラが、
前記蒸気流量調整弁を制御することで予め設定された目標蒸気圧力に前記測定蒸気圧力を近付けるようにプログラムされていて、
前記要求出力よりも前記測定出力が大きいほど大きくなり、前記要求出力よりも前記測定出力が小さいほど小さくなる補正係数のデータを記憶しており、
前記測定出力と前記要求出力との差分から前記データに基づいて補正係数を演算し、
演算した補正係数を乗じ、前記要求出力に対して前記測定出力が大きいほど前記目標蒸気圧力を大きくすることにより前記注入蒸気流量を減少させ、前記要求出力に対して前記測定出力が小さいほど前記目標蒸気圧力を小さくすることにより前記注入蒸気流量を増加させることを特徴とする蒸気注入ガスタービン。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019226389A JP2021095854A (ja) | 2019-12-16 | 2019-12-16 | 蒸気注入ガスタービン |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019226389A JP2021095854A (ja) | 2019-12-16 | 2019-12-16 | 蒸気注入ガスタービン |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021095854A true JP2021095854A (ja) | 2021-06-24 |
Family
ID=76432254
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019226389A Pending JP2021095854A (ja) | 2019-12-16 | 2019-12-16 | 蒸気注入ガスタービン |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2021095854A (ja) |
-
2019
- 2019-12-16 JP JP2019226389A patent/JP2021095854A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US9995223B2 (en) | Combustor and method of fuel supply and converting fuel nozzle for advanced humid air turbine | |
US8141369B2 (en) | Method of regulation of the temperature of hot gas of a gas turbine | |
US6226974B1 (en) | Method of operation of industrial gas turbine for optimal performance | |
US10267185B2 (en) | System and method for controlling coolant supply to an exhaust gas | |
US20110220037A1 (en) | Oxygen-Enriched Air Assisting System for Improving the Efficiency of Cogeneration System | |
US11208959B2 (en) | System and method for flexible fuel usage for gas turbines | |
JP4838107B2 (ja) | ガスタービン、高湿分利用ガスタービン及びガスタービンに用いられる燃焼器 | |
JP2010261456A (ja) | ガスタービン用燃料を加熱するシステム及び方法 | |
JP4895465B2 (ja) | 1軸形ガスタービンの火炎温度の制御及び調節システム | |
US20210317791A1 (en) | Gas Turbine Firing Temperature Control with Air Injection System | |
JP7461201B2 (ja) | ガスタービン制御装置、ガスタービン制御方法、及び、ガスタービン制御プログラム | |
JP2021095854A (ja) | 蒸気注入ガスタービン | |
US10704427B2 (en) | Method to diagnose power plant degradation using efficiency models | |
JP3551215B2 (ja) | 蒸気注入ガスタービンとその制御方法 | |
JPS61286537A (ja) | ガスタ−ビン排気温度制御方法 | |
JP5178790B2 (ja) | 高湿分空気利用ガスタービン用のガスタービン燃焼器の燃料制御方法および燃料制御装置 | |
JP2692978B2 (ja) | コンバインドサイクルプラントの起動運転方法 | |
KR20240080125A (ko) | 가스 터빈 코제너레이션 시스템, 가스 터빈 코제너레이션 시스템의 운전 방법, 및 가스 터빈 코제너레이션 시스템의 개조 방법 | |
JPS6239658B2 (ja) | ||
JP2017020346A (ja) | 熱電可変型コジェネレーションシステム |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20220119 |