JP3550896B2 - 不溶性陽極亜鉛電気めっき液の濃度制御方法 - Google Patents

不溶性陽極亜鉛電気めっき液の濃度制御方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3550896B2
JP3550896B2 JP20146896A JP20146896A JP3550896B2 JP 3550896 B2 JP3550896 B2 JP 3550896B2 JP 20146896 A JP20146896 A JP 20146896A JP 20146896 A JP20146896 A JP 20146896A JP 3550896 B2 JP3550896 B2 JP 3550896B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
concentration
h2so4
zinc
plating
plating solution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP20146896A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH1046399A (ja
Inventor
雄二 池永
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP20146896A priority Critical patent/JP3550896B2/ja
Publication of JPH1046399A publication Critical patent/JPH1046399A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3550896B2 publication Critical patent/JP3550896B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Electroplating And Plating Baths Therefor (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、不溶性陽極亜鉛電気めっき液の濃度制御方法、特に不溶性陽極を使用する硫酸酸性亜鉛電気めっきのめっき液に対する亜鉛イオンの供給源として金属亜鉛を使用し、亜鉛濃度及び硫酸濃度(又はpH)を共に所定範囲内に制御する際に適用して好適な、不溶性陽極亜鉛電気めっき液の濃度制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
帯状鋼板を連続的に搬送しながら白金等の不溶性陽極を使用して電気めっきすることが行われている。このような電気めっきの中でも、合金めっきの場合は、めっき液の濃度制御において、濃度精度が厳しく要求されるため、めっき反応で金属イオンが消費される速度である電析速度や、系外にめっき液が持ち出されて成分が減少する速度であるドラッグアウト速度を予測して、可能な限り厳密に制御する方法が数多く報告されている。しかし、純亜鉛電気めっき等の1種類の金属のめっきに用いられる単一めっき液の濃度については、合金めっきに比べて比較的要求精度が低いために、以下のような制御方法が知られている。
【0003】
例えば、特開昭51−97543や特公昭63−50439には、不溶性陽極を使用した亜鉛(Zn)又はニッケル(Ni)等の単一電気めっきの濃度制御方法として、pH値のみを検出し、そのpH値に基づいて金属薬剤の溶解を行うことにより、金属濃度及びpHを制御する方法が開示されている。
【0004】
即ち、この場合は、理論的には以下の(A)、(B)式の電析反応と(C)式の溶解反応のバランスにより、検出されたpH値に応じて金属Niを溶解することにより、Ni濃度、pHを共に制御することができる。
【0005】
(電析反応)
Ni2++2e→Ni↓ …(A)
H2 O+SO4 2−→H2 SO4 +1/2O2 ↑+2e …(B)
(溶解反応)
Ni+H2 SO4 →NiSO4 +H2 ↑ …(C)
【0006】
又、特公昭60−48598には、不溶性陽極を使用したZn電気めっき液の濃度制御方法として、Zn濃度を検出し、その検出値に基づいて亜鉛薬剤(金属Zn、酸化Zn、水酸化Zn)の粉末を供給することにより、Zn濃度及びpHを制御する方法が開示されている。
【0007】
即ち、この場合も同様に、理論的には、以下の(D)、(E)式の電析反応と、(F)式の溶解反応のバランスにより検出されたZn濃度に応じてZn薬剤の粉末を投入することにより、Zn濃度、pHを共に制御することができる。
【0008】
(電析反応)
Zn2++2e→Zn↓ …(D)
H2 O+SO4 2−→H2 SO4 +1/2O2 ↑+2e …(E)
(溶解反応)
Zn+H2 SO4 →ZnSO4 +H2 ↑ …(F)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特公昭51−97543や特公昭63−50439に開示されている制御方法には、実際のめっき設備では系外へのめっき液の漏出(搬送される鋼板による持ち出し、シール漏れ等を含む)があるため、この方法によってpHを目標値に制御しようとすると、Ni濃度が徐々に低下することになり、結果として両者を適切な濃度に制御することができないという問題がある。
【0010】
又、前記特公昭60−48598に開示されている制御方法には、同様に実際のめっき設備では系外へのめっき液の漏出があるために、この方法によってはZn濃度は目標値に制御できるものの、H2 SO4 濃度は徐々に低下(pHは徐々に上昇)するという問題がある。
【0011】
又、Zn濃度、H2 SO4 濃度(又はpH)の両者を共に適切に制御しようとする場合には、以下の問題がある。
【0012】
即ち、純Zn電気めっきで、めっき液の漏出がないと仮定すると、めっき液のZn濃度とH2 SO4 濃度の関係は、便宜上図2(A)の濃度図の一部を抽出した同図(B)に模式的に示すように、金属Znの溶解を開始すると、前記(F)式の溶解反応に従ってZnイオンが増えてH2 SO4 が減るために右下に移動し、溶解を停止すると、前記(D)、(E)式の電析反応に従ってZnイオンが減ってH2 SO4 が増えるために左上に上昇する。
【0013】
従って、金属Znの溶解によって成分濃度を制御するために、例えば図5に太い破線で示すように、Zn濃度に関係なく一定のH2 SO4 濃度供給目標値が維持されるようにH2 SO4 を供給する場合は、金属Znを溶解するとH2 SO4 濃度が低下することになるので、その分を補うためにH2 SO4 を追加供給することが必要になる。しかし、溶解を停止し、溶解した分のZnが電析反応で消費されると、前記(D)、(E)式の反応によりH2 SO4 濃度が高くなるために、追加供給した分のH2 SO4 が過剰となる。従って、Zn濃度を考慮することなくH2 SO4 濃度のみを、目標値に維持する制御を行うと、この繰り返しにより徐々にH2 SO4 の過剰量が蓄積され、最終的に制御が不可能になる。
【0014】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、Zn濃度及び遊離酸(例えば、H2 SO4 )濃度(又はpH)の実測値に基づいて金属Znの溶解量と遊離酸の供給量を共に制御することにより、系外へのめっき液の漏出に対しても、高精度でZn濃度及び遊離酸濃度(又はpH)をめっきに適した範囲に維持することができる技術を提供することを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、不溶性陽極を使用して亜鉛電気めっきを行うめっき設備本体と、金属亜鉛に酸性めっき液を接触させて該亜鉛を溶解する溶解装置との間にめっき液を循環させ、めっき設備本体に亜鉛イオンを補給すると共に、遊離酸を補給することにより、めっき液の濃度を制御する不溶性陽極亜鉛電気めっき液の濃度制御方法において、前記めっき設備本体のめっき液について亜鉛濃度及び遊離酸濃度(又はpH)を実測し、実測された亜鉛濃度が高く、且つ、遊離酸濃度が高い(又はpHが低い)時は、遊離酸濃度が目標上限濃度以上(又はpHが目標下限以下)にならないように金属亜鉛を溶解し、遊離酸濃度(又はpH)の制御を優先して行うことにより、前記課題を解決したものである。
【0016】
即ち、本発明においては、遊離酸がH2 SO4 である場合について説明すると、Znイオン濃度及びH2 SO4 濃度(又はpH)の実測値に基づいて、これら両者が所定の許容範囲内に維持されるように、前記(F)式に従って金属Znを溶解してZnイオンを補給すると共に、その際に副生したSO4 イオンの影響を考慮した上で、H2 SO4 の補給量を決定して供給することができるため、系外へのめっき液の漏出に対しても、高精度でZn濃度及びH2 SO4 濃度(又はpH)をめっきに適した範囲に維持することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の好ましい実施形態におけるH2 SO4 の供給方法の原理について以下に説明する。
【0018】
めっき設備本体と溶解装置との間にめっき液を循環させ、該めっき液を金属Znに接触させて溶解するオンと、その接触を解除して溶解を停止するオフとを繰り返す金属Znのオン/オフ制御を行う際には、H2 SO4 の供給方法として、前記図2(A)に示すように、金属Znの溶解を開始する目標下限Zn濃度A1 以下の領域では、H2 SO4 濃度を高めの、例えば目標上限濃度B2 にしておき、金属Znの溶解運転を開始すると前記(F)式の溶解反応により自然にH2 SO4 濃度は低下する(図2(B)に示す溶解反応方向)。又、金属Znの溶解運転を停止する目標上限Zn濃度A2 以上の領域では、H2 SO4 濃度を低めの、例えば目標下限濃度B1 にしておき、金属Znの溶解を停止すると、前記(D)、(E)式の電析反応により自然にH2 SO4 濃度は上昇する(図2(B)の電析反応方向)。
【0019】
本実施形態は、このように、H2 SO4 濃度を考慮しながら、金属Znの溶解量を制御することにより、H2 SO4 を過剰供給することなく、Zn濃度、H2 SO4 濃度(又はpH)を共に適切な濃度範囲に制御可能であること、即ち図2(A)においてZn濃度はA1 〜A2 の許容濃度範囲内に、H2 SO4 はB1 〜B2 の許容濃度範囲内にそれぞれ制御可能であることを知見してなされたものである。
【0020】
又、本発明の好ましい実施形態では、成分濃度が許容範囲を超えてしまう場合には、H2 SO4 濃度(又はpH)をZn濃度に優先させて、その許容範囲内に維持されるように制御する。
【0021】
即ち、実測されたZn濃度及びH2 SO4 濃度に基づいて、金属Znの溶解運転を開始/停止することを、図6に示すようにZn濃度、H2 SO4 濃度が共に高いときでも停止領域とすると、この状態でも金属Znの溶解運転を行わないことになるため、電析反応のみが進行してH2 SO4 濃度が更に上昇することになる。
【0022】
このように、H2 SO4 濃度が必要以上に高くなると(又はpHが必要以上に低くなると)、電析反応の効率の悪化(電力原単位の悪化)や電極の劣化を招くことになることが明らかとなり、その結果、純Znめっき液の濃度を制御する上で、H2 SO4 濃度を優先的に制御することが品質上、コスト上最良であることが知見された。
【0023】
以下、図面を参照して、より具体的な本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明に係る一実施形態に適用されるめっき設備全体の概要を示し、これは、不溶性陽極を使用して亜鉛電気めっきを行うめっき設備本体10と、金属Znに硫酸酸性めっき液を接触させて該Znを溶解する溶解装置12とを備えている。
【0025】
上記めっき設備本体10では、液分析計14によりめっき液成分の分析が行われるようになっている。又、上記金属Zn溶解装置12は、金属Znを収容し、該Znにめっき液を接触させて溶解する溶解槽16を有し、該溶解槽16には金属Znが補充されると共に、H2 SO4 薬剤がその供給弁18を介して供給されるようになっている。
【0026】
又、めっき設備本体10と、金属Zn溶解装置12の間は配管で接続され、それぞれの出側に設置されたポンプ20、22により、両者間にめっき液が循環されるようになっていると共に、受入弁24、バイパス弁26の開閉操作により、循環するめっき液を溶解槽16内に導入して金属Znを溶解するか否かのオン/オフ制御が行われるようになっている。なお、図中符号28、30は、それぞれめっき設備本体10、溶解槽16に付設されたレベル計である。
【0027】
本実施形態においては、めっき設備本体10のめっき液について液分析計14で実測されたZnイオン濃度及びH2 SO4 濃度に基づいて、これら両者がそれぞれ所定範囲、即ち、それぞれ前記図2(A)に示したA1 〜A2 及びB1 〜B2 の濃度範囲に維持されるように、前記溶解装置12を運転してめっき液を循環させ、溶解槽16内に収容されている金属亜鉛を溶解してZnイオンを上記本体10に補給すると共に、不足したH2 SO4 を補給する制御が行われる。
【0028】
本実施形態の制御方法を具体的に説明すると、金属Zn溶解装置12の運転/停止による溶解槽16から設備本体10へのZnイオンの供給(オン)/停止(オフ)の操作は、以下のように行うことができる。
【0029】
前記液分析計14で実測した結果、Zn濃度測定値及びH2 SO4 濃度測定値が前記図2(A)に示す運転領域にある場合、受入弁24を開き、バイパス弁26を閉じて溶解装置12を運転状態にする。このようにすることにより、めっき設備本体10から溶解装置12内にめっき液を受入れ、金属Znを溶解した後、そのめっき液をめっき設備本体10に送り返す循環を行う。
【0030】
その後、前記(F)式の反応が進行したために、液分析計14で実測したZn濃度測定値及びH2 SO4 濃度測定値が、図2(A)に示す停止領域になったときは、上記受入弁24を閉じ、バイパス弁26を開くことにより、金属Znの溶解を停止する。
【0031】
その後、この停止状態のままでめっきを継続し、液分析計14による実測結果が再び運転領域に達したら、上記金属Znの溶解を再開する。このようにして、溶解装置12の運転/停止による金属Znの溶解のオン/オフ制御により、Zn濃度、H2 SO4 濃度を共に許容範囲内に制御するようにする。
【0032】
又、このような制御を行っているときに、めっき液の漏出等が原因でH2 SO4 が不足したときには、その補給を行う。
【0033】
H2 SO4 の補給に際しては、所定範囲のZn濃度に関して、H2 SO4 を補給する際の目標となるH2 SO4 供給目標濃度曲線を予め作成しておき、実測されたZn濃度を該供給目標濃度曲線に適用して、実測時のH2 SO4 の供給目標濃度を決定し、決定されたH2 SO4 の供給目標濃度と、実測されたH2 SO4 の実濃度(又はpH)との偏差に基づいてH2 OS4 の供給量を決定し、H2 SO4 の供給を行う。
【0034】
上記供給目標濃度曲線としては、図2(A)に太い破線で示したものを使用することができる。この供給目標濃度曲線について以下に説明する。
【0035】
図3は、上記図2(B)をより具体的に示したものである。この図3に示した線分ABは、前記(D)、(E)式のめっき反応と前記(F)式の溶解反応のプロセスの関係をグラフ化したものに相当する。
【0036】
従って、図中の線分AB上にZn濃度、H2 SO4 濃度を制御できれば、めっき、Zn溶解によって、それぞれの濃度は目標値(図中●)へ近づいていくことが期待できる。そこで、この線分ABのことを、適正変動線と呼ぶことにする。即ち、この適正変動線は、外部との間で硫酸の収支が無い時のZn濃度の変動に対するH2 SO4 濃度の適正な変動を表わしている。
【0037】
純Znめっき液については、Zn濃度及びH2 SO4 濃度の許容幅が、Zn−Ni合金めっき液に比べ比較的広いことから、制御時に設定する目標値をこの適正変動線上の点に置くことにする。
【0038】
上記適正変動線は、Zn濃度目標値CZCsp(又は、CZsp) [g/l]とH2 SO4 濃度目標値CAsp [g/l]を通って、ZnとH2 SO4 のグラム当量比の傾きを持つ線分であるから、
(CZ−CZCsp)/Mz+(CAC−CAsp)/Ma=0 …(1)
を満足するように、下式により適正変動線上の値である修正H2 SO4 濃度CAC [g/l]を求めることができる。
【0039】
CAC=CAsp−(Ma/Mz)(CZ−CZCsp) [g/l] …(2)
但し、CZ:Zn濃度測定値
Mz:Zn原子量
Ma:H2 SO4 分子量
【0040】
そして、実際の制御時に設定する修正H2 SO4 濃度目標値CACsp(前記図2(A)に太い破線で示したH2 SO4 濃度供給目標値に当る)は、上記(2)式の右辺第2項の適正変動線上を、H2 SO4 濃度目標値CAspとH2 SO4 濃度下限値CALの範囲内で決定する。従って、上記CACspは、次の(3)式で設定できる。即ち、CAspと上記(2)で求まる修正濃度CACのいずれか小さい方と、下記(4)式で求まるCALとの間で大きい方を修正目標値CACspとする。なお、上記(2)式によりCACを求める際には、Zn濃度測定値CZ [g/l]は、最新値を使用する。
【0041】
CACsp=MAX(MIN(CAsp,CAC),CAL) [g/l]…(3)
CAL=CAsp−ΔCAL [g/l] …(4)
但し、ΔCAL:H2 SO4 濃度下限偏差 [g/l]
【0042】
上記(3)式で与えられる修正H2 SO4 濃度目標値CACspを概念的に示すと図4の太い実線のようになり、この図4は、前記図2(A)に対応している。
【0043】
従って、前記図2(A)おけるA1 はZn目標濃度CZspに、B1 はH2 SO4 濃度下限値CAL、B2 はH2 SO4 濃度目標値CAspにそれぞれ対応しており、A2 はその時に許容されるZn濃度の上限値である。
【0044】
なお、図4において容量リンク“入”とあるのは、浴量変動が生じたとしてもH2 SO4 濃度を一定に保持するように、Zn濃度の目標値を修正して濃度制御を行う浴量リンクモードを選択する場合を意味する。
【0045】
即ち、本濃度制御では、(1)H2 SO4 濃度を安定制御するための浴量リンクと、(2)金属供給量の自由度を大きくとるための前記適正変動線とを採用することができる。濃度制御のための計算周期は、計装からの浴量計測値の受信周期(浴量測定周期)、例えば30秒とする。
【0046】
浴量リンクモードの選択時には、めっき液中のトータルSO4 2−量が一定の下で、H2 SO4 濃度の目標値を一定に保てるように、浴量の変動に応じて、Zn濃度の目標値を修正する。その修正Zn濃度目標値CZCsp [g/l]は、次の(5)式を根拠に導かれる下記(6)式により求めることができる。
【0047】
目標トータルSO4 2−量は、次式の左辺のようになり、循環系から切り離された付帯設備中の金属濃度、全体のH2 SO4 濃度に影響を与えないように修正Zn濃度CZCspを考えると、右辺のようになる。
【0048】
(CZsp/Mz)Vsp+(CAsp/Ma)Vsp
=(CZCsp/Mz)Vrot +(CZsp/Mz)(Vall −Vrot )+(CAsp/Ma)Vall [kmol]…(5)
ここで、CZsp:Zn濃度目標値 [g/l]
CAsp:H2 SO4 濃度目標値 [g/l]
Vsp:総浴量目標値 [m
Vall :総浴量実績値 [m
Vrot :循環浴量実績値 [m
Mz:Zn原子量
Ma:H2 SO4 分子量
故に、
CZCsp=CZsp(Vrot +Vsp−Vall )/Vrot +CAsp(Mz/Ma)(Vsp−Vall )/Vrot [g/l] …(6)
【0049】
以降、浴量リンクモード選択時は、CZspの代わりにCZCspを用いる。即ち、上記(6)式により浴量増加時には希釈されるため、図4に*1で示したように、CZsp及び適正変動線が低濃度方向に、逆に、浴量減少時には濃縮されるため、*2で示したように、これらが高濃度方向に修正されて制御が行われる。
【0050】
本実施形態で行うH2 SO4 薬剤の具体的な供給方法としては、液分析計14によるH2 SO4 濃度測定値が、前記図2(A)に示すH2 SO4 濃度供給目標値以下になったときに、その供給弁18をth時間だけ開状態にすることにより、上記目標値からの偏差量に応じた、次の(7)式により算出されるH2 SO4 薬剤供給量:ShのH2 SO4 薬剤を供給する方法を採用することができる。
【0051】
Sh=g×(CAsp−CA)×Vall [m] …(7)
但し、CAsp:H2 SO4 濃度供給目標値 [g/l]
CA:H2 SO4 濃度測定値 [g/l]
Vall :めっき液総浴量実績値 [m
g:調整係数
H2 SO4 薬剤供給弁開時間:th
th=3600×Sh/HS [sec]
但し、HS:H2 SO4 薬剤供給能力 [m/h]
【0052】
上記(7)式で求めた供給量のH2 SO4 を補給することにより、H2 SO4 濃度を、常にZn濃度に応じて設定されている目標濃度に制御することが可能となる。
【0053】
なお、上記Vall は、レベル計28、30による測定値等からめっき設備本体10を含む全めっき液量を計算することにより求めることができる。
【0054】
以上詳述した本実施形態によれば、H2 SO4 濃度供給目標値を、前記図2(A)に示すように、金属Znの溶解を開始するZn濃度の運転領域ではH2 SO4 濃度を高めにしておくことにより、その後の溶解反応により自然にH2 SO4 濃度を低下させ、又、金属Znの溶解運転を停止するZn濃度の停止領域ではH2 SO4 濃度を低めにしておくことにより、実行中の電析反応により自然にH2 SO4 濃度を上昇させることができることから、Zn濃度及びH2 SO4 濃度を共に許容されるめっきに適した濃度範囲に制御することが可能となる。
【0055】
又、このような制御を行うことにより、以下のような効果もある。
【0056】
(1)金属Znの溶解はH2 SO4 濃度が高いほど溶解性が増す。従って、金属Znの溶解運転を開始する時に、H2 SO4 濃度を高めにすることにより、速く所定の濃度に戻すことができる。
【0057】
(2)前述した如く、図5に示したように、一定のH2 SO4 濃度供給目標値に維持するために、H2 SO4 を供給した場合は、溶解運転を行うとH2 SO4 濃度が低下するために、H2 SO4 を追加供給することになる。しかし、溶解を停止すると、電析反応によりH2 SO4 濃度が高くなるために、追加供給した分のH2 SO4 が過剰となる。従って、この繰り返しにより徐々にH2 SO4 濃度が上昇すると共に、Zn濃度も上昇することになるが、このような現象が生じることも防止することができる。
【0058】
(3)安価な金属Znを使用して、Zn濃度、H2 SO4 濃度を共に比較的高精度に自動制御することが実現できる。
【0059】
従って、本実施形態によれば、純Zn電気めっきにおいて、安価な設備と安価なZn薬剤を使用した上で、めっき液のZn濃度、H2 SO4 濃度を共に許容される範囲に比較的高精度で自動制御することを実現できた。そして、この自動制御の実現により、手動分析の省略が可能となったことから、オペレータの負荷を削減でき、引いては要員の合理化が可能となった(但し、設備コストの削減を重視する場合は、液分析計14による分析の操作は手動入力で対応することも可能である)。
【0060】
又、本実施形態によれば、Zn及びH2 SO4 を共に許容される所定の濃度範囲に安定して維持できることにより、めっき効率が高安定となり、電力原単位の削減と共に、安定した品質の製品提供が可能となった。
【0061】
以上、本発明について具体的に説明したが、本発明は、前記実施形態に示したものに限られるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0062】
例えば、前記実施形態では、遊離酸の実測値としてH2 SO4 の濃度を使用する場合を示したが、pH値を使用するようにしてもよい。
【0063】
又、金属Znの溶解をオン/オフ制御する場合を示したが、これに限定されず、溶解槽を循環させるめっき液の流量を制御しても、又は補充する金属Znの量を制御してもよい。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、Zn濃度およびH2 SO4 濃度(又はpH)の実測値に基づいて金属Znの溶解量とH2 SO4 の供給量を共に制御することにより、系外へのめっき液の漏出に対しても、高精度でZn濃度およびH2 SO4 濃度(又はpH)をめっきに適した範囲に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一実施形態に適用されるめっき設備全体の概要を示すブロック図
【図2】本実施形態の効果を明らかにするための説明図
【図3】硫酸濃度の適正変動線を示す線図
【図4】修正H2 SO4 濃度目標値を概念的に示す線図
【図5】従来の問題点を指摘するための説明図
【図6】従来の他の問題点を指摘するための説明図
【符号の説明】
10…めっき設備本体
12…金属Zn溶解装置
14…液分析計
16…溶解槽
18…H2 SO4 薬剤供給弁
20、22…ポンプ
24…受入弁
26…バイパス弁
28、30…レベル計

Claims (1)

  1. 不溶性陽極を使用して亜鉛電気めっきを行うめっき設備本体と、金属亜鉛に酸性めっき液を接触させて該亜鉛を溶解する溶解装置との間にめっき液を循環させ、めっき設備本体に亜鉛イオンを補給すると共に、遊離酸を補給することにより、めっき液の濃度を制御する不溶性陽極亜鉛電気めっき液の濃度制御方法において、
    前記めっき設備本体のめっき液について亜鉛濃度及び遊離酸濃度(又はpH)を実測し、
    実測された亜鉛濃度が高く、且つ、遊離酸濃度が高い(又はpHが低い)時は、遊離酸濃度が目標上限濃度以上(又はpHが目標下限以下)にならないように金属亜鉛を溶解し、遊離酸濃度(又はpH)の制御を優先して行うことを特徴とする不溶性陽極亜鉛電気めっき液の濃度制御方法。
JP20146896A 1996-07-31 1996-07-31 不溶性陽極亜鉛電気めっき液の濃度制御方法 Expired - Fee Related JP3550896B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20146896A JP3550896B2 (ja) 1996-07-31 1996-07-31 不溶性陽極亜鉛電気めっき液の濃度制御方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20146896A JP3550896B2 (ja) 1996-07-31 1996-07-31 不溶性陽極亜鉛電気めっき液の濃度制御方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1046399A JPH1046399A (ja) 1998-02-17
JP3550896B2 true JP3550896B2 (ja) 2004-08-04

Family

ID=16441592

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP20146896A Expired - Fee Related JP3550896B2 (ja) 1996-07-31 1996-07-31 不溶性陽極亜鉛電気めっき液の濃度制御方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3550896B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20020038224A (ko) * 2000-11-17 2002-05-23 이구택 강판비금면의 산화방지 및 금속석출물 제거장치
KR20070098134A (ko) * 2006-03-31 2007-10-05 신도플라텍 주식회사 도금액 자동공급장치
KR102271818B1 (ko) * 2021-01-22 2021-07-02 (주)네오피엠씨 도금조에 수용되는 도금액의 구리이온농도 자동 제어방법 및 제어시스템

Also Published As

Publication number Publication date
JPH1046399A (ja) 1998-02-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100290616B1 (ko) 연속전기도금에있어서도금액성분의농도제어방법
US6471845B1 (en) Method of controlling chemical bath composition in a manufacturing environment
JPS6016517B2 (ja) 無電解めつき制御方法
US20150008134A1 (en) Electrochemical deposition apparatus and methods for controlling the chemistry therein
US20200165737A1 (en) Copper oxide powder for use in plating of a substrate
TW201843356A (zh) 用以保持鎳電鍍浴中之ph值的設備與方法
JPS61199069A (ja) めっき液濃度自動連続管理装置
TW201604333A (zh) 使用無硫鎳陽極電鍍鎳的方法及設備
JP3550896B2 (ja) 不溶性陽極亜鉛電気めっき液の濃度制御方法
US20140061035A1 (en) System and method of plating metal alloys by using galvanic technology
JP2000034595A (ja) 電気化学的処理プラントで用いる電解液を製造及び再生する方法及び装置
JP3551627B2 (ja) めっき液成分濃度制御方法
JP3834701B2 (ja) 金属イオン溶解量の測定方法、及び不溶性陽極を用いるめっき浴の濃度制御方法
JPS6116440B2 (ja)
US5200047A (en) Plating solution automatic control
JP2785626B2 (ja) 金属イオン供給方法
JPS6141799A (ja) 電気錫メツキ浴への錫イオン補給法
WO2004094701A2 (en) Method and apparatus for monitoring, dosing, and distribution of chemical compositions
JPH0417693A (ja) Ni又はNi―Zn合金又はNi―Zn―Co合金メッキ方法
JPH07316896A (ja) めっき液中への金属イオンの補給方法およびその装置
CN220952151U (zh) 电镀系统
JP2000273700A (ja) 表面処理液の制御方法および表面処理システム
US4422912A (en) Method and apparatus for recovering metals from metal rich solutions
CN117626364A (zh) 补铜系统及其方法
JPH0639720B2 (ja) 亜鉛合金系電気めっき鋼板の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040106

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040305

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040330

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040412

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090514

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090514

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100514

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110514

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120514

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120514

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130514

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees