JP3550825B2 - エンジンの空燃比制御装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は学習機能を備えるエンジンの空燃比フィードバック制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンの排気系に三元触媒を設置し、酸素センサにより検出した空燃比が、三元触媒の転換効率が最良となる理論空燃比となるようにエンジンに供給する燃料をフィードバック制御することは良く知られており、この場合、空燃比制御精度を高めるために、三元触媒の上流と下流にそれぞれ酸素センサを設け、上流の酸素センサの出力に基づく空燃比のフィードバック制御を、下流の酸素センサの出力に基づく学習制御により補正するようにした装置が提案されている(特開平3−217636号公報等)。
【0003】
三元触媒の上流の排気空燃比は、フィードバック制御の特性にしたがって理論空燃比を中心とする狭い空燃比範囲で周期的に変動するが、下流の空燃比は三元触媒による酸素ストレージ能力により、ほぼ理論空燃比で一定化する。
【0004】
しかし上流側酸素センサの性能が劣化してきたりすると、フィードバック制御の制御精度が不安定となり、この場合には、三元触媒を通過した後の空燃比も理論空燃比には収まらず、理論空燃比を中心に変動幅が大きくなり、排気組成も悪化する。
【0005】
そこで、下流側酸素センサの出力に基づいて、空燃比フィードバック制御定数のうち比例分について学習制御し、空燃比の収束性を高めるようにしている。つまり、三元触媒の下流側における空燃比の変動幅に応じて、フィードバック制御定数を補正することにより、例えば、空燃比が理論空燃比よりも薄い側に大きく変動したときは、この変動幅に対応して空燃比を濃い側に戻す方向に学習値を演算し、この学習値により上流側酸素センサによるフィードバック制御定数を修正するのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この空燃比制御装置にあっては、学習制御のための学習領域を、運転条件、例えば車速、エンジン回転数、負荷などに応じて設定し、現在の運転条件が所定の期間にわたり継続して一定の領域にあるときに、その領域の学習値を読み出し、これを下流側の酸素センサの出力に基づいた学習結果により更新するようにしている。
【0007】
このように運転条件が所定期間にわたり継続的に同一の領域に存在いるときに学習値を更新するのは、過渡的に変化する運転条件での学習では、その通過領域の内容が正確に反映しにくく、かえって学習結果が実情にそぐわないものになるからである。
【0008】
そこで、同一領域の運転条件が所定の期間だけ継続したときに初めて学習値を更新しているのであるが、下流側の酸素センサの出力は、三元触媒の酸素ストレージ能力の関係から、三元触媒の上流側の空燃比変動に対してある時間遅れをもつので、この所定期間の設定についても、三元触媒の酸素ストレージ能力に対応して行われることが好ましい。
【0009】
三元触媒の酸素ストレージ能力の大きいときは、予め設定された所定期間が経過しても、そのときの下流側の酸素センサの出力は、その運転領域に移行する前の空燃比の影響を受けていることがある。つまり、運転条件が同一の領域に入る前の空燃比に基づいて学習値を更新したのでは、学習結果はその運転領域の内容を正しく反映したものとはならない。
【0010】
しかも、三元触媒のこの酸素ストレージ能力は、触媒の履歴に伴って変動し、劣化が進むほど酸素ストレージ能力は低下していく。
【0011】
しかし、上記した従来方式では、所定の期間の設定については、三元触媒の履歴に関係なく、上流側の酸素センサの出力を理論空燃比に相当するスライスレベルと比較し、その反転回数が予め設定した回数を越えたときに、継続してその領域にあるものと判定し、学習値の更新を行っていた。
【0012】
このため、三元触媒の履歴の状況によっては、学習が正確になされず、誤学習の要因となることもあった。
【0014】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、図12に示すように、エンジンの負荷と回転数などの運転条件を検出する手段51と、この運転条件に応じて基本燃料の供給量を制御する手段52と、エンジンの排気系に設置した三元触媒53と、三元触媒53の上流側と下流側にそれそれ設けた酸素センサ54、55と、上流側の酸素センサ54の出力を所定値と比較して空燃比が理論空燃比を境に反転したかどうかを判定する手段56と、この上流側酸素センサ54の出力に基づいて空燃比が目標値となるようにフィードバック制御定数を算出する手段57と、下流側の酸素センサ55の出力を所定値と比較して空燃比が理論空燃比を境に反転したかどうかを判定する手段58と、この下流側酸素センサ出力に応じて算出されたフィードバック制御定数の補正値を学習値として運転条件に応じて区分けした複数の領域に格納する手段59と、運転条件が所定の期間にわたり継続して同一の領域に存在するかを判定する手段60と、所定の期間にわたり継続的に同一の領域にあるときにその領域に対応した学習領域の学習値を読み出す手段61と、この学習値を前記下流側の酸素センサの出力に基づいて更新し対応した領域に格納する手段62と、運転条件に応じて判定した前記学習領域に格納されている学習値を読み出す手段63と、この学習値に基づいて修正したフィードバック制御定数により基本燃料供給量を補正する手段64とを備えるエンジンの空燃比制御装置において、上流側酸素センサ出力の反転回数に対する下流側酸素センサ出力の反転回数の反転回数比を算出する手段65と、この反転回数比に応じて前記所定の期間の長さを調整する手段66と、下流側酸素センサの反転周期を計測する手段67と、この反転周期に応じて前記調整された期間の長さを修正する手段68とを備える。
【0023】
第2の発明では、学習値更新のために設定される運転条件が同一領域に移行してからの所定期間を、下流側酸素センサの反転周期、つまりフィードバック周期に基づいて調整している。
【0028】
第1の発明では、学習値更新のために設定される所定期間について、上流側と下流側の酸素センサ出力の反転回数比によって調整したものを、さらに下流側酸素センサの反転周期に応じて修正している。
【0029】
これにより、三元触媒の履歴と、エンジン排気流量を反映した期間設定が行え、学習値の精度が高まり、空燃比制御精度の一層の向上が図れる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を説明すると、図1において、エンジン1の吸気通路3には吸気絞弁8が設けられ、この絞弁開度に応じてエンジン1に吸入される空気量が制御される。吸気絞弁8の下流の吸気通路3には燃料噴射インジェクタ4が設けられる。エンジン1の排気通路5には、排気中のNC,COを酸化すると共にNOxを還元する三元触媒6が設置される。
【0031】
エンジン1から排出される排気の空燃比を三元触媒6の転換効率が最良となる理論空燃比に制御するために、コントローラ20には、吸入空気量を測定するエアフローメータ7、吸気絞弁8の開度を検出する絞弁開度センサ9、エンジン回転数を検出するクランク角度センサ10、エンジン冷却水温を検出する水温センサ11、車両速度を検出する車速センサ14からの各信号と共に、三元触媒6の上流の排気中の酸素濃度を検出する酸素センサ12Aと、下流側の酸素濃度を検出する酸素センサ12Bからの信号が入力し、これらに基づいてコントローラ20は後述するように、前記燃料噴射インジェクタ4からの燃料供給量を理論空燃比となるようにフィードバック制御する。
【0032】
図2は、上流側酸素センサ12Aの出力に基づいて燃料供給量をフィードバック制御する基本制御ルーチンである。
【0033】
なお、この図及び以下の説明において、前O2センサとは、上流側酸素センサ12A、後O2センサとは下流側酸素センサ12Bを意味する。
【0034】
まず、ステップ51で空燃比のフィードバック制御中かどうかを判断し、フィードバック制御中ならば、ステップ52で前O2センサの出力が理論空燃比相当のスライスレベルを境にしてリッチかどうかを判断し、リッチのときはステップ53で前回もリッチであったかどうか、また、リッチでないとき、つまりリーンのときは、ステップ54てせ前回もリーンであったかどうかをそれぞれ判断してから、フィードバック制御定数の設定に移行する。
【0035】
空燃比がリッチのときはリーンに、またリーンのときはリッチに向けて空燃比を修正するのであり、このためのフィードバック制御定数としては、比例分Pと積分分Iとがあり、それぞれ前回値と同一のときは修正幅の少ない積分分I、異なるときは修正幅の大きい比例分Pが選択される。
【0036】
したがって、ステップ55、60、63、68ではそれぞれ、比例分PR、PLと積分分IR、ILとを、予め設定されたマップから読み出す。なお、これらは空燃比フィードバック制御の基本制御定数である。
【0037】
このうち、積分分IRとILについては、それぞれ、そのときに負荷に応じて補正され(ステップ61と69)、フィードバック補正係数αが、前回もリッチのときは、α=α−IRとして算出され(ステップ62)、また前回もリーンときはα=α+ILとして算出される。
【0038】
これらにより、前回リッチのときは、空燃比をリーン側に向けて修正し、リーンのときはリッチ側に向けて修正するのである。
【0039】
これに対して、前回リーンからリッチに、またリッチからリーンに変換したときの比例分PRとPLについては、後述するように、それぞれ後O2センサの出力の学習値PHOSに基づいて修正する。
【0040】
なお、ステップ56と64では、後述するように、学習条件が成立したかどうかを判断し、学習条件が成立したときに後O2センサの出力に基づいて学習値PHOSを算出し、かつこれを更新する。
【0041】
そして、ステップ57と65において、後述するように、学習領域を判定すると共に、この領域に格納されている学習値PHOSを読み出し、これに基づいてそれぞれ、PRとPLを、PR=PR−PHOS、またPL=PL+PHOSとして算出する(ステップ58と66)。
【0042】
この後、ステップ59と67において、フィードバック補正係数αが、それぞれα=α−PR、またα=α+PLとして算出される。
【0043】
このようにして、求められたフィードバック補正係数αにより、燃料の基本供給量がフィードバック制御され、これにより、空燃比を目標とする空燃比に精度よく一致させるのである。
【0044】
なお、ステップ51でフィードバック制御中でないと判断されたときは、ステップ71に移行し、フィードバック補正係数αを固定する。
【0045】
次に、学習値PHOSの演算、更新について、図3のフローチャートにしたがって説明する。なお、この演算動作は、前O2センサの出力が反転する毎に実行される。
【0046】
まず、ステップ81で学習条件が成立しているかどうかを判断する。これは前、後O2センサ、三元触媒が活性しており、かつアイドル以外の運転条件にあるときなどで、学習条件が成立していれば、ステップ82で運転領域の判定が行われる。この運転領域の判定は、エンジン負荷と回転数に応じて複数の小領域に区分けされた学習領域に対応して行われ、現在の運転条件がどの領域にあるを判定する。
【0047】
ステップ83では判定領域が前回の領域と同一であるかどうか判断し、前回と同じならば、ステップ84でカウンタ値JRを「1」だけインクリメントし、ステップ85でこのカウンタ値JRを設定値nと比較する。
【0048】
この設定値nは、三元触媒の履歴に応じて調整されるもので、後述するように、学習値更新のために設定される運転条件が同一の領域に移行してからの所定期間に相当する。
【0049】
カウンタ値JRが設定値nよりも大きいときは、運転条件が同一の運転領域に所定期間以上継続して留まっているものと判断され、ステップ86でその学習領域に格納されている学習値PHOSが読み出され、さらに後O2センサの出力を理論空燃比に相当する所定のスライスレベルと比較し、この比較結果に応じた学習値の更新幅DPHOSを算出する(ステップ87)。
【0050】
そして、ステップ88で新たな学習値PHOSとして、PHOS+DPHOSに更新し、これをその学習領域に格納する(ステップ89)。
【0051】
なお、前記したカウンタ値JRは、学習条件が非成立、あるいは運転領域が前回と非同一のときに、それぞれリセットされる(ステップ90)。
【0052】
ここで、前記した設定値nの設定について、図4のフローチャートにしたがって説明する。
【0053】
この設定値nを三元触媒の履歴に対応して設定することに、本発明の要点があり、そのため三元触媒の履歴に対応する、前O2センサと後O2センサの各出力の反転回数の比率である反転回数比HZRATE、つまり、HZRATE=後O2センサ反転回数/前O2センサ反転回数を算出する。
【0054】
なお、反転回数とは、O2センサ出力を理論空燃比に相当するスライスレベルと比較し、これをよぎって出力が変化した回数を意味する。
【0055】
まず、ステップ11、12において、反転回数比HZRATEの演算が許可されているか、また、演算領域にあるかどうか判断する。なおこれらは、前、後O2センサが活性している条件において許可される。
【0056】
ステップ13では前O2センサの反転回数をカウントするカウンタ値FO2CTが、所定値CMSWよりも大きいかどうかを判断し、もし大きいときは、ステップ14において、前O2センサと後O2センサの反転回数のカウンタ値FO2CTと、RO2CTの比率HZRを、HZR=RO2CT/FO2CTとして算出する。
【0057】
そして、ステップ15で、このHZRを含めて、HZRATEを加重平均により次のようにして算出する。
【0058】
HZRATE=(7×HZRATE+HZR)/8…(1)
なお、この加重平均を求めるための、除数として8を設定しているが、必ずしもこれに限定される必要はなく、要は平均値としてのある程度の信頼性、安定性を維持できる範囲であればよい。
【0059】
このようにしてHZRATEを算出したら、ステップ16で各カウンタ値FO2CTとRO2CTをクリアする。なお、ステップ13で設定値CMSWに達したしないときは、そのままカウンタのカウントを継続する(ステップ17)。また、HZRATEの演算が許可されなかったり、演算領域にないときは、それぞれカウンタをクリアする(ステップ18)。
【0060】
次に、この算出したHZRATEに基づいて図5のフローチャートにより、設定値nを算出する。
【0061】
つまり、HZRATEに応じた設定値nを、図8のマップからルックアップにより求めるのである。
【0062】
この設定値nはHZRATEの小さいほど大きく、HZRATEが大きくなると小さくなる。図11にもあるように、三元触媒の酸素ストレージ能力は、HZRATEが小さいほど大きい。後O2センサの出力反転回数は、前O2センサの出力反転回数に比較して、三元触媒の新しいうちは非常に少ないが、劣化するほど多くなり、したがって、三元触媒が新しいものほど、HZRATEが小さくなり、これに応じて酸素ストレージ能力が高い。
【0063】
劣化していない三元触媒は、酸素ストレージ能力が高いことから、三元触媒に流入した排気の空燃比の変化がそのまま下流側には伝わらず、ある応答遅れ時間をもって伝達される。これに対して、三元触媒が劣化するほど、上流の空燃比変化と下流の空燃比変化の対応が近似してくるようになる。
【0064】
三元触媒が新しく、このように酸素ストレージ能力が高いときは、空燃比の学習値の更新のため、運転条件がある運転領域に移行してから所定の期間が経過してから後O2センサの出力に基づいて学習を開始するにしても、その領域に移行する前の運転条件のときの空燃比の影響が出ることがある。
【0065】
これを防ぐには、同一の運転領域に移行してから学習開始までの所定期間を、著しく長く設定すればよいが、このようにすると、それだけその運転領域に留まっている機会も少なくなり、結果として学習の機会が減り、学習制御の信頼性が低下してしまう。
【0066】
しかし、このように、三元触媒の酸素ストレージ能力を反映する、HZRATEに基づいて設定値nを設定することにより、この所定期間は三元触媒が新しいときには長く、三元触媒の劣化が進むほど短くなる。
【0067】
したがって、この設定値nに応じて所定期間が設定される結果、学習値の更新は、三元触媒の特性に合わせて過不足なく、最適な時期に実行されることになり、その運転領域以外の情報が含まれることなく、その領域の内容のみを正確に反映した学習値となる。
【0068】
次に、図6の実施の形態を説明すると、ここでは、学習値更新のための同一運転領域の継続期間を、後O2センサの反転周期、つまり空燃比フィードバック周期に基づいて設定している。
【0069】
三元触媒が新しいうちは、酸素ストレージ能力が大きいため、三元触媒の上流側の空燃比が、前O2センサの出力に基づいて行われる空燃比のフィードバック制御により周期的に変動しても、後O2センサの出力変動周期は、前O2センサの出力変動周期に比べて、前述したように非常に長くなる。
【0070】
また、三元触媒の特性は同じであっても、エンジンの排気流量に応じて前O2センサ、後O2センサの出力変動周期も変化し、排気流量の少ないときに比べて多いときは、周期が相対的に短くなる。
【0071】
これは排気流量が増えることにより、三元触媒の容量との関係で、見かけ上の触媒浄化性能が低下するためで、酸素ストレージ能力は高くても、酸素ストレージ濃度が飽和状態となることに起因する。
【0072】
しかし、このような場合にも、実質的な酸素ストレージ能力は低下してしまうので、この後O2センサのフィードバック周期、つまり反転周期を計測し、これに応じて、図9に示すようなマップをルックアップして、上記した設定値nを決めてやることで、三元触媒の特性に合わせた期間設定ができるのである。
【0073】
なお、この場合、その運転領域において、後O2センサの反転周期を計測することにより、運転条件によっても相違する反転周期にも対応させることができ、各運転領域で最適な学習値更新のための所定期間の設定が行える。
【0074】
さらに、図7の実施の形態では、学習値更新のための継続期間の設定を、図5の反転回数比HZRATEと、図6の後O2センサの反転周期(フィードバック周期)とに基づいて行うようにしている。
【0075】
つまり、ステップ2で後O2センサの出力反転周期に応じて図10からn’をルックアップし、さらにステップ22では、図4によって求めたHZRATEに基づいて、同じく図10にも示すマップから、Δnをルックアップする。
【0076】
そして、ステップ23において、設定値n=n’+Δnとして所定期間の設定値を算出する。
【0077】
この場合、三元触媒の履歴と、エンジンの排気流量に対応した特性を加味した期間設定ができ、三元触媒の特性との関係から最適、かつ応答性のよい学習値の更新制御が行える。
【0078】
【発明の効果】
第1の発明によれば、学習値更新のために設定される所定期間について、上流側と下流側の酸素センサ出力の反転回数比によって調整したものを、さらに下流側酸素センサの反転周期に応じて修正しているので、三元触媒の履歴と、エンジン排気流量を反映した期間設定が行え、学習値の精度が高まり、空燃比制御精度の一層の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す概略構成図である。
【図2】空燃比のフィードバック制御動作を示すフローチャートである。
【図3】学習値の更新動作を示すフローチャートである。
【図4】学習値の更新動作を示すフローチャートである。
【図5】学習値更新のための期間の設定動作を示すフローチャートである。
【図6】学習値更新のための期間の設定動作の他の実施の形態を示すフローチャートである。
【図7】学習値更新のための期間の設定動作を示すさらに他の実施の形態を示すフローチャートである。
【図8】学習値更新のための期間と上流と下流側酸素センサ出力の反転回数比の関係を示す説明図である。
【図9】学習値更新のための期間と下流側酸素センサ反転周期の関係を示す説明図である。
【図10】学習値更新のための期間と酸素センサ出力の反転回数比並びに下流側酸素センサ反転周期の関係を示す説明図である。
【図11】三元触媒の酸素ストレージ能力と上流と下流側酸素センサ出力の反転回数比の関係を示す説明図である
【図12】本発明の構成図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は学習機能を備えるエンジンの空燃比フィードバック制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンの排気系に三元触媒を設置し、酸素センサにより検出した空燃比が、三元触媒の転換効率が最良となる理論空燃比となるようにエンジンに供給する燃料をフィードバック制御することは良く知られており、この場合、空燃比制御精度を高めるために、三元触媒の上流と下流にそれぞれ酸素センサを設け、上流の酸素センサの出力に基づく空燃比のフィードバック制御を、下流の酸素センサの出力に基づく学習制御により補正するようにした装置が提案されている(特開平3−217636号公報等)。
【0003】
三元触媒の上流の排気空燃比は、フィードバック制御の特性にしたがって理論空燃比を中心とする狭い空燃比範囲で周期的に変動するが、下流の空燃比は三元触媒による酸素ストレージ能力により、ほぼ理論空燃比で一定化する。
【0004】
しかし上流側酸素センサの性能が劣化してきたりすると、フィードバック制御の制御精度が不安定となり、この場合には、三元触媒を通過した後の空燃比も理論空燃比には収まらず、理論空燃比を中心に変動幅が大きくなり、排気組成も悪化する。
【0005】
そこで、下流側酸素センサの出力に基づいて、空燃比フィードバック制御定数のうち比例分について学習制御し、空燃比の収束性を高めるようにしている。つまり、三元触媒の下流側における空燃比の変動幅に応じて、フィードバック制御定数を補正することにより、例えば、空燃比が理論空燃比よりも薄い側に大きく変動したときは、この変動幅に対応して空燃比を濃い側に戻す方向に学習値を演算し、この学習値により上流側酸素センサによるフィードバック制御定数を修正するのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この空燃比制御装置にあっては、学習制御のための学習領域を、運転条件、例えば車速、エンジン回転数、負荷などに応じて設定し、現在の運転条件が所定の期間にわたり継続して一定の領域にあるときに、その領域の学習値を読み出し、これを下流側の酸素センサの出力に基づいた学習結果により更新するようにしている。
【0007】
このように運転条件が所定期間にわたり継続的に同一の領域に存在いるときに学習値を更新するのは、過渡的に変化する運転条件での学習では、その通過領域の内容が正確に反映しにくく、かえって学習結果が実情にそぐわないものになるからである。
【0008】
そこで、同一領域の運転条件が所定の期間だけ継続したときに初めて学習値を更新しているのであるが、下流側の酸素センサの出力は、三元触媒の酸素ストレージ能力の関係から、三元触媒の上流側の空燃比変動に対してある時間遅れをもつので、この所定期間の設定についても、三元触媒の酸素ストレージ能力に対応して行われることが好ましい。
【0009】
三元触媒の酸素ストレージ能力の大きいときは、予め設定された所定期間が経過しても、そのときの下流側の酸素センサの出力は、その運転領域に移行する前の空燃比の影響を受けていることがある。つまり、運転条件が同一の領域に入る前の空燃比に基づいて学習値を更新したのでは、学習結果はその運転領域の内容を正しく反映したものとはならない。
【0010】
しかも、三元触媒のこの酸素ストレージ能力は、触媒の履歴に伴って変動し、劣化が進むほど酸素ストレージ能力は低下していく。
【0011】
しかし、上記した従来方式では、所定の期間の設定については、三元触媒の履歴に関係なく、上流側の酸素センサの出力を理論空燃比に相当するスライスレベルと比較し、その反転回数が予め設定した回数を越えたときに、継続してその領域にあるものと判定し、学習値の更新を行っていた。
【0012】
このため、三元触媒の履歴の状況によっては、学習が正確になされず、誤学習の要因となることもあった。
【0014】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、図12に示すように、エンジンの負荷と回転数などの運転条件を検出する手段51と、この運転条件に応じて基本燃料の供給量を制御する手段52と、エンジンの排気系に設置した三元触媒53と、三元触媒53の上流側と下流側にそれそれ設けた酸素センサ54、55と、上流側の酸素センサ54の出力を所定値と比較して空燃比が理論空燃比を境に反転したかどうかを判定する手段56と、この上流側酸素センサ54の出力に基づいて空燃比が目標値となるようにフィードバック制御定数を算出する手段57と、下流側の酸素センサ55の出力を所定値と比較して空燃比が理論空燃比を境に反転したかどうかを判定する手段58と、この下流側酸素センサ出力に応じて算出されたフィードバック制御定数の補正値を学習値として運転条件に応じて区分けした複数の領域に格納する手段59と、運転条件が所定の期間にわたり継続して同一の領域に存在するかを判定する手段60と、所定の期間にわたり継続的に同一の領域にあるときにその領域に対応した学習領域の学習値を読み出す手段61と、この学習値を前記下流側の酸素センサの出力に基づいて更新し対応した領域に格納する手段62と、運転条件に応じて判定した前記学習領域に格納されている学習値を読み出す手段63と、この学習値に基づいて修正したフィードバック制御定数により基本燃料供給量を補正する手段64とを備えるエンジンの空燃比制御装置において、上流側酸素センサ出力の反転回数に対する下流側酸素センサ出力の反転回数の反転回数比を算出する手段65と、この反転回数比に応じて前記所定の期間の長さを調整する手段66と、下流側酸素センサの反転周期を計測する手段67と、この反転周期に応じて前記調整された期間の長さを修正する手段68とを備える。
【0023】
第2の発明では、学習値更新のために設定される運転条件が同一領域に移行してからの所定期間を、下流側酸素センサの反転周期、つまりフィードバック周期に基づいて調整している。
【0028】
第1の発明では、学習値更新のために設定される所定期間について、上流側と下流側の酸素センサ出力の反転回数比によって調整したものを、さらに下流側酸素センサの反転周期に応じて修正している。
【0029】
これにより、三元触媒の履歴と、エンジン排気流量を反映した期間設定が行え、学習値の精度が高まり、空燃比制御精度の一層の向上が図れる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を説明すると、図1において、エンジン1の吸気通路3には吸気絞弁8が設けられ、この絞弁開度に応じてエンジン1に吸入される空気量が制御される。吸気絞弁8の下流の吸気通路3には燃料噴射インジェクタ4が設けられる。エンジン1の排気通路5には、排気中のNC,COを酸化すると共にNOxを還元する三元触媒6が設置される。
【0031】
エンジン1から排出される排気の空燃比を三元触媒6の転換効率が最良となる理論空燃比に制御するために、コントローラ20には、吸入空気量を測定するエアフローメータ7、吸気絞弁8の開度を検出する絞弁開度センサ9、エンジン回転数を検出するクランク角度センサ10、エンジン冷却水温を検出する水温センサ11、車両速度を検出する車速センサ14からの各信号と共に、三元触媒6の上流の排気中の酸素濃度を検出する酸素センサ12Aと、下流側の酸素濃度を検出する酸素センサ12Bからの信号が入力し、これらに基づいてコントローラ20は後述するように、前記燃料噴射インジェクタ4からの燃料供給量を理論空燃比となるようにフィードバック制御する。
【0032】
図2は、上流側酸素センサ12Aの出力に基づいて燃料供給量をフィードバック制御する基本制御ルーチンである。
【0033】
なお、この図及び以下の説明において、前O2センサとは、上流側酸素センサ12A、後O2センサとは下流側酸素センサ12Bを意味する。
【0034】
まず、ステップ51で空燃比のフィードバック制御中かどうかを判断し、フィードバック制御中ならば、ステップ52で前O2センサの出力が理論空燃比相当のスライスレベルを境にしてリッチかどうかを判断し、リッチのときはステップ53で前回もリッチであったかどうか、また、リッチでないとき、つまりリーンのときは、ステップ54てせ前回もリーンであったかどうかをそれぞれ判断してから、フィードバック制御定数の設定に移行する。
【0035】
空燃比がリッチのときはリーンに、またリーンのときはリッチに向けて空燃比を修正するのであり、このためのフィードバック制御定数としては、比例分Pと積分分Iとがあり、それぞれ前回値と同一のときは修正幅の少ない積分分I、異なるときは修正幅の大きい比例分Pが選択される。
【0036】
したがって、ステップ55、60、63、68ではそれぞれ、比例分PR、PLと積分分IR、ILとを、予め設定されたマップから読み出す。なお、これらは空燃比フィードバック制御の基本制御定数である。
【0037】
このうち、積分分IRとILについては、それぞれ、そのときに負荷に応じて補正され(ステップ61と69)、フィードバック補正係数αが、前回もリッチのときは、α=α−IRとして算出され(ステップ62)、また前回もリーンときはα=α+ILとして算出される。
【0038】
これらにより、前回リッチのときは、空燃比をリーン側に向けて修正し、リーンのときはリッチ側に向けて修正するのである。
【0039】
これに対して、前回リーンからリッチに、またリッチからリーンに変換したときの比例分PRとPLについては、後述するように、それぞれ後O2センサの出力の学習値PHOSに基づいて修正する。
【0040】
なお、ステップ56と64では、後述するように、学習条件が成立したかどうかを判断し、学習条件が成立したときに後O2センサの出力に基づいて学習値PHOSを算出し、かつこれを更新する。
【0041】
そして、ステップ57と65において、後述するように、学習領域を判定すると共に、この領域に格納されている学習値PHOSを読み出し、これに基づいてそれぞれ、PRとPLを、PR=PR−PHOS、またPL=PL+PHOSとして算出する(ステップ58と66)。
【0042】
この後、ステップ59と67において、フィードバック補正係数αが、それぞれα=α−PR、またα=α+PLとして算出される。
【0043】
このようにして、求められたフィードバック補正係数αにより、燃料の基本供給量がフィードバック制御され、これにより、空燃比を目標とする空燃比に精度よく一致させるのである。
【0044】
なお、ステップ51でフィードバック制御中でないと判断されたときは、ステップ71に移行し、フィードバック補正係数αを固定する。
【0045】
次に、学習値PHOSの演算、更新について、図3のフローチャートにしたがって説明する。なお、この演算動作は、前O2センサの出力が反転する毎に実行される。
【0046】
まず、ステップ81で学習条件が成立しているかどうかを判断する。これは前、後O2センサ、三元触媒が活性しており、かつアイドル以外の運転条件にあるときなどで、学習条件が成立していれば、ステップ82で運転領域の判定が行われる。この運転領域の判定は、エンジン負荷と回転数に応じて複数の小領域に区分けされた学習領域に対応して行われ、現在の運転条件がどの領域にあるを判定する。
【0047】
ステップ83では判定領域が前回の領域と同一であるかどうか判断し、前回と同じならば、ステップ84でカウンタ値JRを「1」だけインクリメントし、ステップ85でこのカウンタ値JRを設定値nと比較する。
【0048】
この設定値nは、三元触媒の履歴に応じて調整されるもので、後述するように、学習値更新のために設定される運転条件が同一の領域に移行してからの所定期間に相当する。
【0049】
カウンタ値JRが設定値nよりも大きいときは、運転条件が同一の運転領域に所定期間以上継続して留まっているものと判断され、ステップ86でその学習領域に格納されている学習値PHOSが読み出され、さらに後O2センサの出力を理論空燃比に相当する所定のスライスレベルと比較し、この比較結果に応じた学習値の更新幅DPHOSを算出する(ステップ87)。
【0050】
そして、ステップ88で新たな学習値PHOSとして、PHOS+DPHOSに更新し、これをその学習領域に格納する(ステップ89)。
【0051】
なお、前記したカウンタ値JRは、学習条件が非成立、あるいは運転領域が前回と非同一のときに、それぞれリセットされる(ステップ90)。
【0052】
ここで、前記した設定値nの設定について、図4のフローチャートにしたがって説明する。
【0053】
この設定値nを三元触媒の履歴に対応して設定することに、本発明の要点があり、そのため三元触媒の履歴に対応する、前O2センサと後O2センサの各出力の反転回数の比率である反転回数比HZRATE、つまり、HZRATE=後O2センサ反転回数/前O2センサ反転回数を算出する。
【0054】
なお、反転回数とは、O2センサ出力を理論空燃比に相当するスライスレベルと比較し、これをよぎって出力が変化した回数を意味する。
【0055】
まず、ステップ11、12において、反転回数比HZRATEの演算が許可されているか、また、演算領域にあるかどうか判断する。なおこれらは、前、後O2センサが活性している条件において許可される。
【0056】
ステップ13では前O2センサの反転回数をカウントするカウンタ値FO2CTが、所定値CMSWよりも大きいかどうかを判断し、もし大きいときは、ステップ14において、前O2センサと後O2センサの反転回数のカウンタ値FO2CTと、RO2CTの比率HZRを、HZR=RO2CT/FO2CTとして算出する。
【0057】
そして、ステップ15で、このHZRを含めて、HZRATEを加重平均により次のようにして算出する。
【0058】
HZRATE=(7×HZRATE+HZR)/8…(1)
なお、この加重平均を求めるための、除数として8を設定しているが、必ずしもこれに限定される必要はなく、要は平均値としてのある程度の信頼性、安定性を維持できる範囲であればよい。
【0059】
このようにしてHZRATEを算出したら、ステップ16で各カウンタ値FO2CTとRO2CTをクリアする。なお、ステップ13で設定値CMSWに達したしないときは、そのままカウンタのカウントを継続する(ステップ17)。また、HZRATEの演算が許可されなかったり、演算領域にないときは、それぞれカウンタをクリアする(ステップ18)。
【0060】
次に、この算出したHZRATEに基づいて図5のフローチャートにより、設定値nを算出する。
【0061】
つまり、HZRATEに応じた設定値nを、図8のマップからルックアップにより求めるのである。
【0062】
この設定値nはHZRATEの小さいほど大きく、HZRATEが大きくなると小さくなる。図11にもあるように、三元触媒の酸素ストレージ能力は、HZRATEが小さいほど大きい。後O2センサの出力反転回数は、前O2センサの出力反転回数に比較して、三元触媒の新しいうちは非常に少ないが、劣化するほど多くなり、したがって、三元触媒が新しいものほど、HZRATEが小さくなり、これに応じて酸素ストレージ能力が高い。
【0063】
劣化していない三元触媒は、酸素ストレージ能力が高いことから、三元触媒に流入した排気の空燃比の変化がそのまま下流側には伝わらず、ある応答遅れ時間をもって伝達される。これに対して、三元触媒が劣化するほど、上流の空燃比変化と下流の空燃比変化の対応が近似してくるようになる。
【0064】
三元触媒が新しく、このように酸素ストレージ能力が高いときは、空燃比の学習値の更新のため、運転条件がある運転領域に移行してから所定の期間が経過してから後O2センサの出力に基づいて学習を開始するにしても、その領域に移行する前の運転条件のときの空燃比の影響が出ることがある。
【0065】
これを防ぐには、同一の運転領域に移行してから学習開始までの所定期間を、著しく長く設定すればよいが、このようにすると、それだけその運転領域に留まっている機会も少なくなり、結果として学習の機会が減り、学習制御の信頼性が低下してしまう。
【0066】
しかし、このように、三元触媒の酸素ストレージ能力を反映する、HZRATEに基づいて設定値nを設定することにより、この所定期間は三元触媒が新しいときには長く、三元触媒の劣化が進むほど短くなる。
【0067】
したがって、この設定値nに応じて所定期間が設定される結果、学習値の更新は、三元触媒の特性に合わせて過不足なく、最適な時期に実行されることになり、その運転領域以外の情報が含まれることなく、その領域の内容のみを正確に反映した学習値となる。
【0068】
次に、図6の実施の形態を説明すると、ここでは、学習値更新のための同一運転領域の継続期間を、後O2センサの反転周期、つまり空燃比フィードバック周期に基づいて設定している。
【0069】
三元触媒が新しいうちは、酸素ストレージ能力が大きいため、三元触媒の上流側の空燃比が、前O2センサの出力に基づいて行われる空燃比のフィードバック制御により周期的に変動しても、後O2センサの出力変動周期は、前O2センサの出力変動周期に比べて、前述したように非常に長くなる。
【0070】
また、三元触媒の特性は同じであっても、エンジンの排気流量に応じて前O2センサ、後O2センサの出力変動周期も変化し、排気流量の少ないときに比べて多いときは、周期が相対的に短くなる。
【0071】
これは排気流量が増えることにより、三元触媒の容量との関係で、見かけ上の触媒浄化性能が低下するためで、酸素ストレージ能力は高くても、酸素ストレージ濃度が飽和状態となることに起因する。
【0072】
しかし、このような場合にも、実質的な酸素ストレージ能力は低下してしまうので、この後O2センサのフィードバック周期、つまり反転周期を計測し、これに応じて、図9に示すようなマップをルックアップして、上記した設定値nを決めてやることで、三元触媒の特性に合わせた期間設定ができるのである。
【0073】
なお、この場合、その運転領域において、後O2センサの反転周期を計測することにより、運転条件によっても相違する反転周期にも対応させることができ、各運転領域で最適な学習値更新のための所定期間の設定が行える。
【0074】
さらに、図7の実施の形態では、学習値更新のための継続期間の設定を、図5の反転回数比HZRATEと、図6の後O2センサの反転周期(フィードバック周期)とに基づいて行うようにしている。
【0075】
つまり、ステップ2で後O2センサの出力反転周期に応じて図10からn’をルックアップし、さらにステップ22では、図4によって求めたHZRATEに基づいて、同じく図10にも示すマップから、Δnをルックアップする。
【0076】
そして、ステップ23において、設定値n=n’+Δnとして所定期間の設定値を算出する。
【0077】
この場合、三元触媒の履歴と、エンジンの排気流量に対応した特性を加味した期間設定ができ、三元触媒の特性との関係から最適、かつ応答性のよい学習値の更新制御が行える。
【0078】
【発明の効果】
第1の発明によれば、学習値更新のために設定される所定期間について、上流側と下流側の酸素センサ出力の反転回数比によって調整したものを、さらに下流側酸素センサの反転周期に応じて修正しているので、三元触媒の履歴と、エンジン排気流量を反映した期間設定が行え、学習値の精度が高まり、空燃比制御精度の一層の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す概略構成図である。
【図2】空燃比のフィードバック制御動作を示すフローチャートである。
【図3】学習値の更新動作を示すフローチャートである。
【図4】学習値の更新動作を示すフローチャートである。
【図5】学習値更新のための期間の設定動作を示すフローチャートである。
【図6】学習値更新のための期間の設定動作の他の実施の形態を示すフローチャートである。
【図7】学習値更新のための期間の設定動作を示すさらに他の実施の形態を示すフローチャートである。
【図8】学習値更新のための期間と上流と下流側酸素センサ出力の反転回数比の関係を示す説明図である。
【図9】学習値更新のための期間と下流側酸素センサ反転周期の関係を示す説明図である。
【図10】学習値更新のための期間と酸素センサ出力の反転回数比並びに下流側酸素センサ反転周期の関係を示す説明図である。
【図11】三元触媒の酸素ストレージ能力と上流と下流側酸素センサ出力の反転回数比の関係を示す説明図である
【図12】本発明の構成図である。
Claims (1)
- エンジンの負荷と回転数などの運転条件を検出する手段と、
この運転条件に応じて基本燃料の供給量を制御する手段と、
エンジンの排気系に設置した三元触媒と、
三元触媒の上流側と下流側にそれぞれ設けた酸素センサと、
上流側の酸素センサの出力を所定値と比較して空燃比が理論空燃比を境に反転したかどうかを判定する手段と、
この上流側酸素センサの出力に基づいて空燃比が目標値となるようにフィードバック制御定数を算出する手段と、
下流側の酸素センサの出力を所定値と比較して空燃比が理論空燃比を境に反転したかどうかを判定する手段と、
この下流側酸素センサ出力に応じて算出されたフィードバック制御定数の補正値を学習値として運転条件に応じて区分けした複数の領域に格納する手段と、
運転条件が所定の期間にわたり継続して同一の領域に存在するかを判定する手段と、
所定の期間にわたり継続的に同一の領域にあるときにその領域に対応した学習領域の学習値を読み出す手段と、
この学習値を前記下流側の酸素センサの出力に基づいて更新し対応した領域に格納する手段と、
運転条件に応じて判定した前記学習領域に格納されている学習値を読み出す手段と、
この学習値に基づいて修正したフィードバック制御定数により基本燃料供給量を補正する手段とを備えるエンジンの空燃比制御装置において、
上流側酸素センサ出力の反転回数に対する下流側酸素センサ出力の反転回数の反転回数比を算出する手段と、
この反転回数比に応じて前記所定の期間の長さを調整する手段と、
下流側酸素センサの反転周期を計測する手段と、
この反転周期に応じて前記調整された期間の長さを修正する手段とを備えることを特徴とするエンジンの空燃比制御装置。
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