JP3550478B2 - ミル用減速機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、石炭やセメント等を微粉砕する堅型ミルに用いられる減速機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の石炭、セメント等の竪型ミル駆動用の減速機においては、特開平3−282045号公報及び特開平8ー89828号公報に記載のように、入力軸から入力された駆動力は、入力軸の先端部に設けられた傘歯車を介して中間軸に伝えられる。中間軸の他端には、遊星歯車装置の太陽歯車が取り付けられており、この太陽歯車と複数の遊星歯車が噛み合っている。遊星歯車が取り付けられた複数の軸を保持するためにキャリヤが設けられ、このキャリヤを挟んで遊星歯車と反対側のキャリアのほぼ中央に出力軸部が形成されている。そして、複数の軸、キャリヤ及び出力軸部により遊星軸が構成されている。また、出力軸部の先端にはスプラインが形成されており、このスプラインに嵌合された出力テーブルが入力軸の回転に応じて回転駆動される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術の項に記載の竪型ミル用減速機では、遊星歯車を保持するキャリヤと一体的に構成された出力軸部の先端が、出力テーブルとスプライン結合されている。従って、スプラインに潤滑油を供給するための給油経路を必要とし、構造が複雑となっていた。また、キャリヤと出力テーブルとを別体に構成していたので、組立や分解に非常に時間を要していた。例えば、太陽歯車や遊星歯車等を点検するためには減速機全体を分解する必要があり、点検修理が不便であった。
【0004】
本発明の目的は、上記従来技術の有する不具合を解消し、部品点数が少なく、組立性およびメンテナンス性に優れたミル用減速機を実現することにある。
本発明の他の目的は、出力テーブル側から潤滑油供給系統を省いたミル用減速機を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、構造が簡単で信頼性に富むミル用減速機を実現することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の態様は、入力軸と、この入力軸にほぼ直交して配置された中間軸と、遊星歯車装置と、出力テーブルとを備え、前記遊星歯車装置はさらに中間軸の先端部に取り付けられた太陽歯車と太陽歯車に噛み合う複数個の遊星歯車と複数の遊星歯車を回転可能に保持するキャリヤと遊星歯車と噛み合う内歯歯車とを有し、前記出力テーブルが前記キャリヤに接続されているミル用減速機において、前記キャリヤと前記出力テーブルとを一体化し、この一体化した出力テーブルを支持する出力軸ラジアル軸受を出力テーブルの下部側方に配設するとともにこの出力軸ラジアル軸受の下方に前記遊星歯車を配設し、出力軸ラジアル軸受の外径位置は遊星歯車の最大半径位置よりも半径方向外側であり、前記出力テーブル及びキャリヤの中央部に、前記太陽歯車の外径より大口径の開口部を設け、一体化した出力テーブルと出力軸ラジアル軸受のインナーレース部と遊星歯車とを予め組み立てた組立物を上方から円筒ケース部に組み込む際に、前記太陽歯車と前記遊星歯車の噛合い状況を監視可能にしたものである。
【0007】
このように構成した本発明のミル用減速機では、遊星歯車を保持するキャリヤと出力テーブルを一体化しており、従来キャリヤと出力テーブルとを連結するために必要であったスプラインが不要となり、潤滑油を供給する給油系統も不要となる。また、遊星歯車を保持するキャリヤと出力テーブルを一体化し、キャリヤを保持するラジアル軸受の半径位置を遊星歯車の最外径位置より外側にしているので、出力テーブル、キャリヤ、遊星歯車及びキャリヤ保持用ラジアル軸受の分解および組立を個々に行える。すなわち、出力テーブル側から順に各部品を、減速機に組込むことができる。また、遊星歯車を保持するキャリヤおよび出力テーブルの双方とも、中心部に太陽歯車の外径より大きい開口部を有するから、この穴を用いて太陽歯車の取出しや点検ができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図1ないし図3を用いて説明する。
本実施例は石炭を粉砕して微粉にするミル用減速機に適用するものであり、減速機は2段減速機である。この石炭粉砕用ミル30の概略を図3に示す。石炭20は装置上部から投入され、回転式分級機21を経てその大きさが揃えられる。一方、モータ24により駆動される減速機25を介して石炭粉砕用のローラ22が回転駆動され、投入された石炭がローラ22により摩擦粉砕される。23は一次空気であり、26は加圧装置である。
【0009】
この石炭粉砕用ミルに用いられる減速機の詳細を図2に示す。入力軸1の先端にはベベルピニオン2が固定されており、この入力軸1にほぼ直角に配置された中間軸3に、ベベルピニオン2に噛み合うベベルギヤ4が取り付けられている。このベベルピニオン2とベベルギヤ4が傘歯車を構成する。入力軸1の回転は、このベベルギヤ装置により減速され、中間軸に3に伝達される。中間軸3の下端部および上端部近傍には軸受が取り付けられて折り、中間軸を回転可能に支持している。上端部近傍の軸受のさらに上方には、スプラインが形成されており、遊星歯車装置の太陽歯車6の回転軸とスプライン結合している。
【0010】
円板状又はアーム状に形成されたキャリヤ10の円周方向ほぼ等間隔の位置に3本の軸が配設され、太陽歯車6は、この軸に取り付けられた3個の遊星歯車8と噛み合っている。遊星歯車8は、さらに、円筒ケース5に固定された内歯歯車9と噛み合い、遊星歯車装置を形成する。円筒ケース5は、その底面部で中間軸3の下端部に取り付けられた軸受を保持すると共に、中間部で中間軸3を支持する他の軸受を保持手段を介して保持している。さらに、入力軸を支持する軸受をも保持している。
【0011】
遊星歯車装置のキャリヤ10には出力テーブル11が一体的に接続されている。遊星歯車8の最大半径方向位置より半径方向外側には、出力テーブル11を支持するための出力軸ラジアル軸受13のアウターレース及びスラスト軸受12が配設されている。なお、これら両軸受は円筒ケース5に保持されている。また、出力テーブル11及びキャリヤ10の中央には、太陽歯車6を組込むため、太陽歯車径より大口径の開口部が設けられている。
【0012】
この様に構成した本実施例においては、従来出力テーブルに設けられていて潤滑が必要であったスプラインを出力テーブルから省くことができ、スプラインへ潤滑油を供給するための給油経路の加工及び給油部品が不要となる。したがって、従来減速機と比較して、大幅に部品点数を削減することができる。また、図2に示すように、キャリヤ10と出力テーブル11を一体化し、この一体化した出力部に出力軸ラジアル軸受13のインナーレース部と遊星歯車8を予め組立てておく。その後、この組立物を上方からミル用減速機の円筒ケース部に組込む。この結果、組立て時間を大幅に短縮できる。
【0013】
さらに、出力テーブル11の開口部径が太陽歯車6径より大きいので、太陽歯車6を容易に開口部から取り出すことができ、減速機を分解することなく太陽歯車6及び遊星歯車8を点検できる。
【0014】
なお、本実施例においては、傘歯車を用いて減速しているが、歯車列や遊星歯車列を用いることができることは言うまでもない。又、遊星歯車の下図は、本実施例では3個であるが、その数は3個に限るものではない。つまり、本発明は上記実施例に限るものではなく、本発明のクレームに記載の範囲に含まれる種々の変形例は本発明に含まれるものである。
【0015】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明においては、キャリヤと出力テーブルを一体構造としたので、スプラインへ潤滑油を供給するための給油経路の加工及び給油部品が不要となり、安価な減速機を提供できる。また、出力軸ラジアル軸受の外径位置が遊星歯車の最大半径方向位置より外側であるので、予め組み立てた出力テーブル、キャリヤ、遊星歯車及び出力軸ラジアル軸受アウターレースの組立物を減速機の円筒ケースに組込むことができ、組立工数を大幅に低減できる。
【0016】
更に、出力テーブルとキャリヤ中央部に太陽歯車より大口径の開口部を設けたので、太陽歯車の取り出しが容易になると共に、減速機を分解することなく太陽歯車及び遊星歯車を点検することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の断面図である。
【図2】出力テーブル、キャリヤ、遊星歯車、出力ラジアル軸受の部分組立図である。
【図3】石炭粉砕用ミルの一実施例を示す図である。
【符号の説明】
1…入力軸、 2…ベベルピニオン、 3…中間軸、 4…ベベルギヤ、
5…円筒ケース、 6…太陽歯車、 7…カップリング、 8…遊星歯車、
9…内歯歯車、 10…キャリヤ、 11…出力テーブル、
12…スラスト軸受、 13…出力ラジアル軸受、 14…スプライン、
15…給油経路。
Claims (1)
- 入力軸と、この入力軸にほぼ直交して配置された中間軸と、遊星歯車装置と、出力テーブルとを備え、前記遊星歯車装置はさらに中間軸の先端部に取り付けられた太陽歯車と太陽歯車に噛み合う複数個の遊星歯車と複数の遊星歯車を回転可能に保持するキャリヤと遊星歯車と噛み合う内歯歯車とを有し、前記出力テーブルが前記キャリヤに接続されているミル用減速機において、
前記キャリヤと前記出力テーブルとを一体化し、この一体化した出力テーブルを支持する出力軸ラジアル軸受を出力テーブルの下部側方に配設するとともにこの出力軸ラジアル軸受の下方に前記遊星歯車を配設し、出力軸ラジアル軸受の外径位置は遊星歯車の最大半径位置よりも半径方向外側であり、前記出力テーブル及びキャリヤの中央部に、前記太陽歯車の外径より大口径の開口部を設け、一体化した出力テーブルと出力軸ラジアル軸受のインナーレース部と遊星歯車とを予め組み立てた組立物を上方から円筒ケース部に組み込む際に、前記太陽歯車と前記遊星歯車の噛合い状況を監視可能にしたことを特徴とするミル用減速機。
Priority Applications (1)
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JP12930397A JP3550478B2 (ja) | 1997-05-20 | 1997-05-20 | ミル用減速機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP12930397A JP3550478B2 (ja) | 1997-05-20 | 1997-05-20 | ミル用減速機 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH10314608A JPH10314608A (ja) | 1998-12-02 |
JP3550478B2 true JP3550478B2 (ja) | 2004-08-04 |
Family
ID=15006240
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP12930397A Expired - Lifetime JP3550478B2 (ja) | 1997-05-20 | 1997-05-20 | ミル用減速機 |
Country Status (1)
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Families Citing this family (3)
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FR3033863B1 (fr) * | 2015-03-17 | 2018-05-11 | Compagnie Engrenages Et Reducteurs - Messian - Durand | Entrainement de broyeur agitateur vertical |
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1997
- 1997-05-20 JP JP12930397A patent/JP3550478B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
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