JP3549816B2 - 引張マスク付カラー受像管 - Google Patents

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    • H01J29/00Details of cathode-ray tubes or of electron-beam tubes of the types covered by group H01J31/00
    • H01J29/02Electrodes; Screens; Mounting, supporting, spacing or insulating thereof
    • H01J29/06Screens for shielding; Masks interposed in the electron stream
    • H01J29/07Shadow masks for colour television tubes

Landscapes

  • Electrodes For Cathode-Ray Tubes (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はカラーテレビ受像機あるいはカラーモニターに関し、特に垂直方向及び水平方向に予め張力が付与された引張マスクを備えたカラー受像管に関する。
【0002】
【従来の技術】
カラーテレビ受像機およびコンピュータのモニターは電気信号をカラー映像に変換するよう機能する。最近のカラーテレビ受像機およびモニターは、例えば、複合カラー画像信号、アナログあるいはデジタル成分信号などの様々なビデオ信号形式用のインターフェイスを備えている。これらの信号はテレビ受像機やモニター内のカラー受像管を制御するアナログRGB信号に変換される。テレビ受像機もしくはモニターに送られた各ビデオ信号は再生画面の個々のピクセルが対応する特定の明るさと色値を持ち得るように変換される。ビデオ信号に含まれた画像を再生する場合、カラーテレビ受像機あるいはモニターに含まれるカラー受像管で3種類の電子ビームが作り出される。そのそれぞれの電子ビームは加法混色の3原色、すなわち、赤、緑、青のいずれか一つに相当する。再生位置に応じて、ビデオ信号のピクセル情報、すなわち、明るさと色の情報がカラー受像管の発光スクリーン上の各ピクセルと関連している。
【0003】
3種類のカラー分解画像をピクセルに関連して重ね合わせることにより、カラー受像管で加法混色が得られる。カラー受像管の発光スクリーンは約40万個のカラートライアド、すなわち、3つのグループで構成された蛍光ドットを含んでおり、各グループは赤色光蛍光ドット、緑色光蛍光ドット、青色光蛍光ドットである。このような蛍光ドットの直径は約0.3mmである。
【0004】
ビデオ信号が再生されている際、3種類のドットのそれぞれは3種類の電子ビームの一つにアクセスされることで発光する。電子ビームはカラー受像管の頸部にある電子ビーム生成装置によって生成される。図4に、そのようなカラー受像管の断面図を示す。カラー受像管は主にガラス部材15から成っている。カラー受像管の前面スクリーン16の内側には、蛍光ドットを有する蛍光層17が配置されている。蛍光ドットにアクセスするための電子ビームはカラー受像管の頸部にある電子銃18によって生成される。この電子銃を制御する電気信号は接続ピン20を介して外部から上記電子銃に供給される。カラー受像管の外側に設けられた図示しない偏向装置を用いることによって、電子ビームを偏向させ、発光スクリーンの全てのピクセルがアクセスされるようにする。カラー受像管内部の発光スクリーン17から約15mm離れた所に、マスクフレーム19を有するシャドーマスクが設けられている。このシャドーマスクには、発光スクリーンの各カラートライアドに対応して個別の開口が形成されている。これらの開口すなわち孔は約0.25mmの直径を有しシャドーマスク(ホールマスク)に一定間隔でエッチングにより形成されている。上記3種類の電子ビームはビーム結合偏向によってアクセスされた各開口内で出会い、開口の背後に位置する発光スクリーン17の蛍光ドットに当たる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の過程の間に、電子ビーム生成装置で生成された電子の大部分がシャドーマスクに当たる。それにより、シャドーマスクが熱せられそれに伴って熱膨張を起こす。その結果、シャドーマスクの開口が対応する蛍光ドットに対する位置を変えてしまうことになる。この位置の変化により、再生されたピクセルの色の純度が低下する。このような色純度の低下はマスクの周辺部の開口において特に著しい。
【0006】
シャドーマスクは開口型のマスクとしてだけでなく、帯状のマスクとしても使用可能である。このような帯状マスクの場合、カラー受像管の発光スクリーン17には、個別の蛍光ドットではなく、シャドーマスクの帯片の方向に延びる蛍光帯片が設けられている。したがって、シャドーマスクには各電子ビーム用の帯状開口が設けられ、各帯状開口が発光スクリーンの各帯片と対応している。このような帯状マスクは平行に延びる「ワイヤ」から構成されていることが多い。
【0007】
図4から分かるように、シャドーマスクはマスクに機械的安定性を付与するとともにマスクを扱いやすくするためにマスクフレーム19に保持されている。また、最近のカラー受像管のマスクフレームは薄い金属板からなっている。
【0008】
小さな熱膨張を考慮して、最近のシャドーマスクは熱膨張係数が非常に小さい鉄ニッケル合金から製造されている。このような鉄ニッケル合金は鉄よりも遥かに高価であるので、マスクフレームは鉄から製造されている。熱膨張係数の異なる材料から成るシャドーマスクとマスクフレームを接合することは問題がある。このようなマスクとフレームの組み合わせは暖められると、シャドーマスクの変形が起こる恐れがある。このことはシャドーマスクの孔の位置が対応する蛍光ドットや蛍光帯片の位置に対して変化するという影響をもたらす。
【0009】
最も広く使用されているシャドーマスクは、賦形された自己支持型のシャドーマスクである。このようなシャドーマスクを図1に示す。発光スクリーン1の背後に配置されたシャドーマスクは発光スクリーン上の発光色の配置に対応する孔状もしくは帯状の開口3を備えている。マスクはフレーム2に固定されている。このようなマスクの外形は垂直方向にも水平方向にも可変である。この場合、マスク用の支持フレームは大きな力を吸収する必要はない。したがって、フレームの材料は事実上経済性の観点から選択することができる。
【0010】
別のタイプのカラー受像管は予め垂直方向に張力が付与されている。このようなシャドーマスク、いわゆる引張マスクが主に使用されるのは、トリニトロン受像管に対してである。このシャドーマスクはその上部境界及び下部境界がマスクフレームに接合固定されている。シャドーマスクに予め張力を付与するのは、発光スクリーンとシャドーマスクとの間の間隔がカラー受像管の縦軸21の方向に一定であることを保証するために必要だからである。この予張力のせいで、垂直方向に配向されたワイヤが張力のかかった状態に保たれる。これにより、帯状マスクに機械的強度が付与される。予め張力を付与するためには、数kNの値をとるような高い張力が必要である。したがって、マスクフレームは非常に堅固に組み立てられる必要がある。材料を選択すれば、カラー受像管の製造過程で使用される高い処理温度も特に考慮に入れる必要がある。このようなマスクは高い透明性を有し、熱安定性の高いマスク外形を有するという長所をもつ一方、常に円筒状の曲率しか持っていないという限りにおいて不利である。さらに、緊張したマスクワイヤは強い振幅を伴う機械的振動に反応する傾向がある。
【0011】
このような垂直方向の張力を有する引張マスクを図2に示す。このマスクにも、発光スクリーン1とマスクフレーム2が設けられている。マスクのワイヤ5には、予め垂直方向の張力が付与されている。この予張力を図2に矢印7,8で示す。ワイヤの振動を避けるとともにワイヤ間の間隔を一定に保つために、緊張したマスクワイヤ5に接していわゆる緩衝ワイヤ6がマスクワイヤ5を横切るように配置されている。これら緩衝ワイヤはマスクワイヤ5の機械的振幅を抑制しかつ個々のワイヤ間の間隔を一定に保つために設けられている。この緩衝ワイヤ6の短所は、カラー受像管の画面上に結像されて画像内に常に存在する水平方向の暗線として見えてしまう点である。
【0012】
そのような予め垂直方向の張力が付与されたマスクの場合、ワイヤ間に小さなクロスピースを配置することによって機械的安定性も向上させることができる。これらクロスピースはマスクワイヤが個々に振動するのを防止する。このようなクロスピースの均等な配置によって、ワイヤ間の間隔が一定に保たれ、賦形されたシャドーマスクから分かるような均質で乱雑さのない構造が作成される。
【0013】
しかしながら、このようなクロスピースを使用すると、マスクワイヤが水平方向に結合される限りワイヤに関して不利であり、熱が加わると、シャドーマスクが水平方向に膨張するという影響を及ぼす。この種の膨張は、ひいては、発光スクリーン上で電子ビームが当たる位置のずれを引き起こす恐れがある。このずれは画像再生品質の低下をもたらす。この影響を少なくするため、熱膨張係数の小さいインバールやその他の鉄ニッケル合金をシャドーマスク及びマスクフレームの材料として使用することが好ましい。しかしながら、それはカラー受像管の製造コストを著しく上昇させることになる。
【0014】
水平方向の熱膨張によって引き起こされる画像品質の低下を避けるために、上述したように、マスク材料として特別な合金を使用することが一つの可能性として存在する。あるいは、マスクに対して垂直方向の予張力に加えてさらに水平方向の張力を予め付与することも可能である。これにより、マスクが熱くなったときにカラー受像管の縦方向に湾曲するのを防止することができる。そのようなマスクフレーム2が付いたマスクを図3に示す。矢印7ないし10はマスクが垂直方向と水平方向の両方に予め張力が付与されていることを示している。このようにして、水平方向の孔3間のクロスピースの熱膨張の結果を補償することもできる。
【0015】
このような水平方向の予張力を作るために、最も単純な方法は、シャドーマスクをさらにマスクフレームの両側部にも固定することである。あるいは、シャドーマスクをマスクフレームの横部材に接合することなく水平方向の予張力を作り出すことも可能である。この目的のため、シャドーマスクを両側の細幅の無孔部分だけ水平方向に延長させる。シャドーマスクを垂直方向に引き伸ばすことにより、上記無孔部分が引き伸ばし方向に長くなる。同時に、これらの部分の中央で圧縮が起こる。すなわち、これらの部分が引き伸ばしのせいでより細くなり、最も細い部分が中央に位置する。このことはシャドーマスクの2つの無孔境界領域の間に位置する有孔の内側領域が外側方向に引っ張られるという影響を及ぼす。したがって、垂直方向の予張力と同時に、さらに水平方向の予張力も発生する。この方法は一般に半延伸引張法、略してSST法と呼ばれる。
【0016】
この方法の原理を図5に基づいて説明する。この目的のため、シャドーマスク全体の一部のみを図示し、図5に示すシャドーマスクの部分は上記無孔の側方領域の一方を有する上記マスクの片側である。シャドーマスク25は、有孔部分26と、孔を全く有していない付設部分27を備えている。垂直方向の張力を予め付与するために、マスクはマスクフレームに取り付けられる前に垂直方向に引き伸ばされる。これにより、シャドーマスク25はマスクフレームに取り付けられたとき垂直方向の永久張力を受ける。この予張力はマスクが垂直方向の熱膨張のせいで作動中にカラー受像管の縦軸方向に湾曲することを防止する。図5に、引き伸ばし中にシャドーマスクの無孔境界部分27の形状が変化する様子を示す。引き伸ばし前のシャドーマスクの形状を実線で示し、引き伸ばし後の形状を破線30で示す。引き伸ばし時に、境界領域27の幅が縮小される。最も幅が縮小されるのは上端縁と下端縁との間の中間部分である。この過程の最中で発生する上記境界領域27の幅の最大縮小は領域縮小または収縮Cと称する。上記有孔部分と無孔部分27との間の境界線28の位置がシャドーマスク25の外側境界29の方向の領域縮小によってずれることにより、マスクの内側領域26も外側に引っ張られる。このことは有孔部分26が水平方向に引き伸ばされてこの水平方向に同時に予張力が作り出されるという影響をもたらす。
【0017】
言い換えれば、マスクを垂直方向に引き伸ばすことに伴って、水平方向の外向きの張力も発生させることになる。この張力の大きさは収縮Cの程度に左右される。垂直方向引き伸ばし前の境界領域27の幅が広いほど、収縮C、したがって作り出される水平方向の張力がより大きくなる。しかしながら、付設の無孔部分27の幅は、再生面として使用不可能な領域を妨げることによって水平方向の画面領域を増やすことなしにはある程度までしか増やすことができない。したがって、作り出し得る水平方向の張力は非常に小さいものに過ぎなかった。
【0018】
このような方法で最近作り出される水平方向の張力を利用することにより、特に熱膨張係数が低いマスク材料の熱膨張だけが補償可能である。インバールなどこれらのマスク材料は特に高価であるので、より低価格なもので代替させることが望ましい。
【0019】
本発明の目的は、公知のカラーテレビ受像機およびカラーモニター、特にカラー受像管をさらに改良してカラー受像管のシャドーマスクがより低価格なマスク材料から製造可能にすることである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記の目的はカラー受像管に関する請求項1の特徴、カラーテレビ受像機に関する請求項7の特徴およびカラーモニターに関する請求項8の特徴によって達成される。

【0021】
本発明によれば、水平方向に生成可能な張力がこれまで生成された張力よりも著しく大きいとき、作動時により安価な材料の遥かに大きな熱膨張をも補償する能力を提供することになるので、熱膨張係数が低い高価なマスク材料を鉄などのより安価な材料に代替させることができる。この目的のため、マスクフレームに接合されないシャドーマスクの辺が湾曲形状を有しこの湾曲状の外側境界がシャドーマスクの内側領域よりも高い強度を有している。シャドーマスクの内側領域に作用する外向きの張力を生成するために、側方境界が内側に湾曲する形状を有している必要がある。マスクが垂直方向に引き伸ばされると、湾曲形状も同様に引き伸ばされ、曲率が減少する。このことは外側の補強境界領域の全ての点が外側に移動し、結果的にマスクの内側領域も対応して外側に移動するという作用をもたらす。シャドーマスクが引き伸ばされた状態でも、側方の外側境界は湾曲形状を維持するが、その曲率は遥かに小さくなる。シャドーマスク上端縁と下端縁との間の中間部分の収縮の大きさはシャドーマスクの引き伸ばし前後の補強境界の湾曲形状(曲率)に起因している。引き伸ばし後、シャドーマスクの外側補強境界はほとんど真っ直ぐな形状をとるかもしれない。このようにして、シャドーマスクの垂直方向引き伸ばし前後の湾曲形状間に存在する差異の大きさに比例して増大する収縮を実現することができる。このようにして実現される収縮は従来のシャドーマスクの場合に生成可能な収縮を凌駕しているので、上記のようにして生成可能な水平方向の張力も著しく大きくなる。
【0022】
このようなより高い張力を利用して補償可能なシャドーマスクの膨張はこれまで通常補償可能であったシャドーマスクの水平方向の膨張を凌駕している。このことは、本発明に従って特に高い水平方向の張力を予め付与することにより、シャドーマスクが受像管の縦方向に湾曲することを防止することができるので、シャドーマスクに使用される材料が特に熱膨張係数が低くくはない材料であってもかまわないという利点をもたらす。したがって、従来のマスクに比べて画像品質を低下させることなく、鉄などのより安価な材料もマスク材料として使用可能になる。したがって、カラー受像管の製造コスト、ひいては、モニターやテレビ受像機の製造コストも画像品質を維持したまま削減することができる。
【0023】
有利な実施形態によれば、シャドーマスクはその湾曲状辺を補強するためにその内側領域よりも湾曲状辺の材料断面を大きくしている。これにより、マスクの強度を非常に簡単な方法で高めることができる。
【0024】
シャドーマスクの製造時、マスクは通常開口を形成するためにエッチングされる。このエッチング工程の際、マスク全体の材料断面が減少する。補強されるべき湾曲状境界領域の材料断面は、上記エッチング時にこれら境界領域を大きくエッチングしないまま残すことによって非常に簡単な方法で形成することができる。このことは、エッチング工程後に、上記境界領域がマスクの有孔部分よりも大きな材料断面を有することになるという効果をもたらす。
【0025】
湾曲状境界領域の強度の向上は、これらの領域においてシャドーマスクの材料組成を変えることによっても達成可能である。境界領域の材料の組成を変えることにより、この領域でさらに高い強度を実現することができる。こうすれば、マスクの断面積の増加をより少なくしたり、境界領域における断面積の増加を完全に不要にすることができる。
【0026】
強度の向上や材料断面積の増加は補強されるべき境界領域に付設部材を設けることによっても実現可能である。このやり方は、マスクが最初は通常の方法で製造されその後最終工程で別個に製造された付設部材と結合可能である限りは有利である。これにより、本発明はカラー受像管の通常の一連の製造工程に容易に組み込むことが可能になる。上記付設部材が強度の高い材料から製造される場合、付設部材の材料断面を小さくすることができる。
【0027】
シャドーマスクが鉄製である場合は特に有利である。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0029】
図6に、本発明にかかるシャドーマスク25の一実施形態を示す。シャドーマスク25は有孔部分26と無孔部分27からなっている。無孔部分27はそれぞれ異なる構造を有する2つの部分AとBから構成されている。部分Aは、その強度に関して、特に材料断面に関してシャドーマスクの有孔(有長孔)部分26と同等である。その一方、部分Bは、例えばその材料断面を大きくすることによって、より高い強度を備えている。Aで示す部分の断面は、いわゆるエッチング除去部分によって、強度に関する限り有孔マスク部分26に相当する程度まで削減することができる。しかしながら、Bで示す部分は著しく高い機械的強度を有するように実現される。したがって、部分Bはエッチング除去部分のないいわゆる「むく材料」であるかもしくは例えば別の部材を取り付けることにより設けられた付設材料であってもよい。
【0030】
図6の実線は、図5と同様に、垂直方向への引き伸ばし前のシャドーマスク25の状態を示す。湾曲状境界領域の部分Aの幅をシャドーマスクの上端縁と下端縁との間の中間位置にX1で示し、部分Bの幅をX2で示す。無孔部分27の部分AおよびBの内向きの半径を部分Bの外端縁についてはR1で、部分Aと部分Bとの間の境界に関してRMで、部分Aとシャドーマスク25の有孔部分26との間の境界線についてはR2でそれぞれ示す。
【0031】
垂直方向への引き伸ばし後の本発明にかかるシャドーマスク25の境界領域27の状態を、図6に破線で示す。引き伸ばしは補強部分Bの湾曲形状が直線状にされるという作用をもたらす。このことは、半径R1およびRMと比較すれば、部分Bの境界線がほとんど直線に近いくらいのわずかな湾曲形状を有しているに過ぎないことを意味している。しかしながら、正確な直線形状はこのような引き延ばしでは実現できないので、補強境界部分Bは引き伸ばし前に存在していた湾曲形状の方向への「残留曲率」を常に有していることになる。
【0032】
補強境界部分Bの湾曲形状を引き伸ばしたことにより、収縮Cが再度発生する。図5と異なり、この場合の無孔部分27の収縮はその部分27の両側で起こるのではなく、シャドーマスクの有孔部分26と境を接する片側でのみ起こる。その結果、本発明にかかるシャドーマスクの場合に発生する面積の減少は片側での収縮のみであって、無孔部分27全体の幅の減少は水平方向の張力の生成に有利になる。したがって、面積の減少が大きいほどシャドーマスクの水平方向への予張力が大きくなる。
【0033】
生成可能な最大予張力は補強境界部分Bの半径に特に左右される。シャドーマスクの垂直方向への引き伸ばし前後の半径の差異が大きいほど、生成可能な水平方向予張力が大きくなる。
【0034】
本発明にかかるカラーテレビ受像機およびカラーモニターに組み込まれるカラー受像管の一実施形態は、ほぼ以下の寸法を有している。
【0035】
シャドーマスクの高さ: 約414mm
シャドーマスクの材料: 鉄
アスペクト比: 約4:3
シャドーマスクの厚さ: 約0.1mm(補強境界部分を除く)
X1+X2: 約5mm
R1: 約3.35m
RM: 約12.0m
このようなカラー受像管を使用することにより、約1000N/mm程度の水平方向の張力を実現することができる。本発明の効果を得るためには、カラー受像管のシャドーマスクが上記の寸法を精確に有している必要はない。同様に、半径R1が約4.5mより小さい、特に4mより小さいシャドーマスクであっても、シャドーマスクの他の部分が上記の寸法を有していれば、高い水平方向張力を実現することができる。また、RMが20mより小さい、特に15mより小さい場合であっても、シャドーマスクの他の部分が上記の寸法を有していれば、高い水平方向張力を実現することができる。カラー受像管の寸法が異なれば、個別の事例毎に十分に高い水平方向張力が得られるようにそのパラメータも変える必要がある。
【0036】
図6から分かるように、本発明によって実現可能な収縮Cは従来の公知の方法によって実現される収縮よりも著しく大きいので、通常よりも大きな水平方向の熱膨張を補償することができる。対向する両側辺でマスクフレームに固定されただけのシャドーマスクの場合に熱膨張係数がさらに高い別のマスク材料を使用することができるのはこの状況の場合のみである。これにより、製造材料として使用可能な比較的高価なインバールを鉄に代替させることができる。実際には、鉄はインバールより高い熱膨張係数を有しているが、本発明によって水平方向に大きな張力を付与することにより、シャドーマスクのカラー受像管縦方向への湾曲が起こらない程度に鉄の大きな熱膨張を補償することができる。
【0037】
実現可能な領域Cの削減(ひいては、水平方向張力)はシャドーマスクの補強外側境界部分の半径だけでなく上記境界部分の補強の程度にも左右される。この補強は材料断面を拡大することによって実現可能である。補強の度合いはシャドーマスクの補強境界部分の非補強部分に対する厚さ比に因る。引き伸ばしによって実現される補強外側境界部分Bの湾曲形状の形状変化に起因する水平方向の張力は、外側境界部分の湾曲形状の引き伸ばしがマスクの内側領域の逆向きの力に抵抗し得る度合いに左右される。マスクの内側領域もまた水平方向の収縮によって垂直方向の延伸を補償しようとする。水平方向の実効張力の増大は、外側境界部分すなわち2つの対向する外側境界部分の強度が垂直方向の引き伸ばし時にこれら外側境界部分がマスク内側領域の形状をほぼ強制的に変化させるように上昇することによって実現される。
【0038】
図7に、シャドーマスクが所定のパラメータを有する場合に、曲率、すなわち収縮C(単位:mm)が部分AとBの厚さ比を変えることによって可変である様子を示す。得られる曲率、ひいては得られる水平方向の張力は、部分AとBの厚さの違いが大きくなるに従って、すなわち部分Aの厚さは同じのまま部分Bの材料断面が増大するに従って著しく増大する。例えば、上記のパラメータを有するシャドーマスクの場合に、部分Aの部分Bに対する厚さ比が約0.7であると、0.2mmの曲率を達成することができる。部分Aの部分Bに対する厚さ比が0.2であると、2倍の、すなわち約0.4mmの曲率を達成することができる。
【0039】
本発明は基本的に最初の張力付与を介して間接的に生成される2次予張力を増大させることを目的としている。この2次予張力は1次予張力の方向に対してほぼ直角に延びる方向に生成される。側方マスク境界部分が内向きの湾曲形状をしているためかつ上記境界部分を補強することにより、得られる2次予張力を著しく増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】賦形された自己支持型シャドーマスクを示す斜視図。
【図2】垂直方向の張力を有する引張マスクを示す斜視図。
【図3】水平方向及び垂直方向の張力を有する引張マスクを示す斜視図。
【図4】カラー受像管の基本構成を示す断面図。
【図5】引き伸ばされる前後の状態のシャドーマスクの水平方向延長部分を示す概略図。
【図6】本発明において引き伸ばされる前後の状態のシャドーマスクの側方境界部分を示す概略図。
【図7】本発明におけるシャドーマスクの側方境界部分の曲率と厚さ比との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
19 マスクフレーム
25 シャドーマスク
26 有孔部分(内側領域)
27 無孔部分(側方境界領域)
28 有孔部分と無孔部分との境界線
29 外側境界
A、B 部分
C 収縮

Claims (7)

  1. 鉄製のほぼ矩形のシャドーマスク(25)とこのシャドーマスク(25)を支持するマスクフレーム(19)とを備えたカラー受像管であって、
    上記シャドーマスク(25)には互いにほぼ直交する2方向に予め張力が付与されており、
    上記シャドーマスク(25)は互いに対向する両側部で上記マスクフレーム(19)に固定されているとともに、残る2つの側部では上記マスクフレーム(19)に接続されておらず、かつ、上記マスクフレーム(19)に接続されていない側部に設けられた無孔部分(27)と、当該無孔部分(27)に隣接している有孔部分(26)とを有し、
    上記無孔部分(27)は、上記有孔部分側の内側領域(A)と、上記側部側の外側境界部分(B)とを有し、
    上記外側境界部分(B)は、上記内側領域(A)よりも強度が補強されているとともに、シャドーマスク(25)の内側へ向かって湾曲した形状を有しているカラー受像管。

    【請求項2】上記シャドーマスク(25)の湾曲側の外側境界部分(B)の強度の補強が材料断面の増加によって実現されている請求項1記載のカラー受像管。
  2. 上記シャドーマスク(25)の外側境界部分(B)はこの外側境界部分(B)の材料断面をマスク製造時のエッチングで削減しないようにして補強されている請求項2記載のカラー受像管。
  3. 上記シャドーマスク(25)の外側境界部分(B)はその強度を該境界部分(B)におけるマスク材料の組成を変えることで高めるようにして補強されている請求項1または2記載のカラー受像管。
  4. 上記シャドーマスク(25)の外側境界部分(B)はそこに付設部材が設置されるようにして補強されている請求項1ないし4のいずれかに記載のカラー受像管。
  5. 上記付設部材は上記シャドーマスク(25)の材料よりも強度の高い材料からなっている請求項5記載のカラー受像管。
  6. 請求項1ないし6のいずれかに記載のカラー受像管を備えたカラーテレビ受像機。
  7. 請求項1ないし6のいずれかに記載のカラー受像管を備えたカラーモニター。
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