JP3549380B2 - 動圧流体軸受装置及び電動機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸部から張り出したスラスト板部を有する固定軸体に対し回転スリーブ体が潤滑液を介し回転自在に支持されてなる動圧流体軸受装置及びその動圧流体軸受装置を備えた電動機に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
図4は、軸部aから張り出したスラスト板部bを有する上下方向の固定軸体cに対しロータとしての回転スリーブ体dが潤滑油eを介し回転自在に支持され、その潤滑油eが上下に界面e1・e2を有する動圧流体軸受装置を備えたハードディスク駆動用の電動機の従来例についての断面図である。
【0003】
固定軸体cは、下端部が基盤fに固定されており、上端部は、ハードディスク駆動装置の蓋体等に固定される。回転スリーブ体dのスリーブ部d1は、固定軸体cの軸部aのうちスラスト板部bよりも基端側の部分にスリーブ嵌合し、環状のスラスト溝部gは、径方向内方に開口し、スラスト板部bに外嵌している。
【0004】
このような従来の動圧流体軸受装置を備えた電動機においては、回転スリーブ体dが回転すると、固定軸体cと回転スリーブ体dとの間隙に充填された潤滑油eに遠心力が作用する。そのため、回転停止時においては軸部aとスリーブ部d1の間の間隙が下端側に向かって漸次拡大する下端側間隙拡大部hに下端界面e1が位置するように表面張力(毛細管現象)により保持されていた潤滑油eが、前記遠心力の作用によって更に下端側へ滲出若しくは漏出することにより、或いは衝撃により脱落することにより散逸し易い状態となる。
【0005】
また、軸部aとスリーブ部d1の間の上下ラジアル軸受部i1・i2の間における軸部aの外周面に、径方向外方に開口する(すなわち径方向内方に窪んでいる)環状凹部jを有するので、回転スリーブ体dの回転時に環状凹部jに位置する潤滑油eが遠心力を受けることにより環状凹部jの上下の間隙に押し込まれること、及びそれによりその間隙から潤滑油eの一部を間隙の外部へ漏出させることが生じ得る。
【0006】
このようにして潤滑油eが徐々に失われると、潤滑油e不足によりロータの回転が不安定になったり軸受部が損傷すること等の不都合が生じ易くなる。特に、長期にわたり使用される動圧流体軸受装置の場合、固定軸体cと回転スリーブ体dとの間隙に充填された潤滑油eの総減少量が多くなるので、このような問題の解決が強く望まれていた。
【0007】
更に、回転スリーブ体dの回転開始及び終了時等に、回転スリーブ体dと固定軸体cの間で摩耗粉が発生した場合、その摩耗粉が更なる摩耗を加速するという不都合が生ずるおそれがあった。
【0008】
本発明は、従来技術に存した上記のような問題点に鑑み行われたものであって、その第1の目的は、回転スリーブ体の回転による遠心力の作用により、ラジアル軸受部同士の間における潤滑液が先端側又は基端側の間隙に押し込まれること、及びその間隙から潤滑液の一部を間隙の外部へ漏出させることが可及的に防がれる動圧流体軸受装置及びその動圧流体軸受装置を備えた電動機を提供することにあり、第2の目的は、回転スリーブ体と固定軸体の間で摩耗粉が発生した場合、その摩耗粉が更なる摩耗を加速するという不都合が生ずることが可及的に防がれる動圧流体軸受装置及びその動圧流体軸受装置を備えた電動機を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の動圧流体軸受装置は、
軸部とその軸部から径方向外方へ張り出したスラスト板部とを有してなる固定軸体に対し、前記軸部のうちスラスト板部よりも基端側の部分にスリーブ嵌合したスリーブ部と前記スラスト板部に外嵌した径方向内方開口の環状のスラスト溝部とを有してなる回転スリーブ体が、前記固定軸体と回転スリーブ体との間隙に充填された潤滑液を介し、主に軸部とスリーブ部が相対するラジアル軸受部及びスラスト溝部とスラスト板部が相対するスラスト軸受部において、回転自在に支持されてなる動圧流体軸受装置であって、ラジアル軸受部を2以上有し、そのラジアル軸受部同士の間におけるスリーブ部の内周面に径方向内方開口の環状凹部が設けられ、その環状凹部と軸部の外周面との間に、ラジアル軸受部の間隙よりも大きな間隙の拡大間隙部が形成され、前記固定軸体内に、上記固定軸体内に外部に通じた気室と、前記拡大間隙部における軸部の外周面に開口すると共に外部に通じた呼吸孔を前記気室に臨んで有し且つ、前記固定軸体の外周面における拡大間隙部の基端側及び先端側に、それぞれ前記気室に通じラジアル軸受部よりも間隙が大きく表面張力により潤滑液を保持し得る連通孔が開口していることを特徴とする(請求項1)。
【0010】
固定軸体を構成する軸部とスラスト板部は、一体に形成されたものであってもよく、別体の部品を結合してなるものであってもよい。
【0011】
ラジアル軸受部は、標準的には軸心方向に間隔を置いて2箇所に有するが、3以上であってもよい。ラジアル軸受部には、動圧発生用の溝部を有するものとすることができる。
【0012】
スラスト軸受部は、スラスト板部の先端側の面とスラスト溝部の先端側の面が相対する部分と、スラスト板部の基端側の面とスラスト溝部の基端側の面が相対する部分に有する。スラスト軸受部には、動圧発生用の溝部を有するものとすることができる。
【0013】
回転スリーブ体は、主にラジアル軸受部及びスラスト軸受部において、固定軸体に対し回転自在に支持される。
【0014】
潤滑液としては、例えばスピンドル油等の各種潤滑油を用いることができる。
【0015】
前記潤滑液は、前記スラスト板部の先端側の面とスラスト溝部の間に、径方向内方を向く先端界面を有し、軸部とスリーブ部の間に、基端側に向く基端界面を有するものとすることができる。この場合、固定軸体の両端部を固定し得るものとすることができる。
【0016】
環状凹部はスリーブ部の内周面において径方向内方に開口する(すなわち径方向外方に窪んでいる)ので、回転スリーブ体の回転時に拡大間隙部に位置する潤滑液が遠心力を受けることにより拡大間隙部から基端側及び先端側の間隙に押し込まれること、及びそれによりその間隙から潤滑液の一部を外部へ漏出させることが回避される。
【0017】
拡大間隙部の適切な最大間隙は、潤滑液の種類及びその拡大間隙部を形成する両面の材質及び面の状態等によって変化するが、小型スピンドルモータの場合の例としては、約50μm程度を挙げることができる。
【0018】
呼吸孔は、1又は2以上であってもよい。また、呼吸孔は、直接外部に通じるものであってもよく、他の部分を介して外部に通じるものであってもよい。
【0019】
この動圧流体軸受装置の拡大間隙部に、拡大間隙部を形成する環状凹部の内面及び軸部の外周面の両方に対し回転停止時に接する気体部分と潤滑液とを有する場合、回転スリーブ体の回転速度がある程度以上になると、遠心力により潤滑液が環状凹部の底部側に偏った状態(例えば貼り付いたような状態)となる。前記気体とは、空気及びその他の気体を含む。前記気体部分というのは、例えば、球状、楕円体状又はそれに比較的近い形状の気泡、周方向に弧状をなす気泡又は気体部分、周方向に環状に連続した気体部分等を含む。
【0020】
回転停止時には、回転中に環状凹部の底部側に偏った状態となっていた潤滑液の少なくとも一部は、拡大間隙部の先端側と基端側に引き寄せられる。そのため、その拡大間隙部の基端側又は先端側における固定軸体と回転スリーブ体との間隙に充填された潤滑液が、蒸発や衝撃による脱落等により減少すると、拡大間隙部から基端側又は先端側の間隙に対し潤滑液が補充される。なお、この動圧流体軸受装置は、連続回転状態で使用することもできる。
【0021】
潤滑液に混入した余分な気泡や、温度上昇や気圧低下等による気泡の膨張分等は、呼吸孔を通じ外部に解放される。また、拡大間隙部から基端側又は先端側の間隙に対し潤滑液が補充された場合、補充された潤滑液の容積に見合った気体が呼吸孔を通じ外部から拡大間隙部に導入される。
【0022】
この呼吸孔は、潤滑液がその呼吸孔の内部を閉塞した状態で呼吸孔内に表面張力(毛細管現象)により保持されることが防がれる横断面サイズであるものとすることが好ましい。この場合、呼吸孔の内部を閉塞した状態で潤滑液が表面張力(毛細管現象)により呼吸孔内に保持されることが防がれるので、潤滑液に混入した気泡等は、呼吸孔を通じて確実性高く外部に解放され、気体の導入も確実性高く行われる。呼吸孔の横断面サイズが一定程度よりも小さくなると、呼吸孔内の潤滑液は、呼吸孔を閉塞した状態で表面張力(毛細管現象)により保持されることとなる。なお、呼吸孔の内部を閉塞した状態というのは、呼吸孔内の少なくとも一部を潤滑液により閉塞した状態を言う。
【0023】
また、動圧流体軸受装置の拡大間隙部に、拡大間隙部を形成する環状凹部の内面及び軸部の外周面の両方に対し回転停止時に接する気体部分と潤滑液とを有し、基端側のラジアル軸受部よりも基端側に、軸部とスリーブ部の間の間隙が基端側に向かって漸次拡大する基端側間隙拡大部を有し、その基端側間隙拡大部に、回転停止時における前記潤滑液の基端界面を有する場合、拡大間隙部に位置する潤滑液が前記基端界面に臨む潤滑液に連続しているならば、その潤滑液の基端界面のスパン(その部分の間隙の厚さに対応する)は、基端側間隙拡大部と拡大間隙部の表面状態がほぼ同一であれば拡大間隙部において潤滑液が気体部分に臨む部分のスパン、すなわち拡大間隙部の間隙程度以下に小さく維持されるので、それによって基端界面からの潤滑液のマイグレーションが防止される。動圧流体軸受装置の拡大間隙部に、拡大間隙部を形成する環状凹部の内面及び軸部の外周面の両方に対し回転停止時に接する気体部分と潤滑液とを有し、上記スラスト板部の先端側の面とスラスト溝部の間に、径方向内方に向かって漸次間隙が拡大する先端側間隙拡大部を有し、固定軸体と回転スリーブ体との間隙に充填された潤滑液の先端界面が、回転停止時にその先端側間隙拡大部に位置して径方向内方を向く場合、拡大間隙部に位置する潤滑液がその先端界面に臨む潤滑液に連続しているならば、同様に、先端界面のスパンは拡大間隙部の間隙程度以下に小さく維持され、先端界面からの潤滑液のマイグレーションが防止される。
【0024】
なお、本発明の動圧流体軸受装置は、電動機の他、種々の機械器具に利用することができる。
(1−1) (1) の動圧流体軸受装置は、
基端側のラジアル軸受部よりも基端側に、軸部とスリーブ部の間の間隙が基端側に向かって漸次拡大する基端側間隙拡大部を有し、その基端側間隙拡大部に、回転停止時における前記潤滑液の基端界面を有し、
回転スリーブ体の回転に伴い潤滑液の前記基端界面を先端側へ引き込む界面引込手段を備えるものとすることが好ましい。
【0025】
基端側のラジアル軸受部というのは、最も基端側に位置するものを言う。
【0026】
回転スリーブ体が回転すると、固定軸体と回転スリーブ体との間隙に充填された潤滑液に遠心力が作用する。そのため、回転停止時においては軸部とスリーブ部の間の間隙が基端側に向かって漸次拡大する基端側間隙拡大部に基端界面が位置するように表面張力(毛細管現象)により保持されていた潤滑液が、前記遠心力の作用によって更に基端側へ滲出若しくは漏出することにより、或いは衝撃により脱落することにより散逸し易い状態となる。ところが、界面引込手段によって、回転スリーブ体の回転に伴い、潤滑液の基端界面が停止位置から先端側へ引き込まれるので、遠心力の作用による潤滑液の滲出又は漏出による散逸、或いは衝撃により脱落することによる散逸が生じ難くなる。
【0027】
この界面引込手段は、回転スリーブ体の回転時に潤滑液に作用する遠心力に打克って潤滑液の基端界面を先端側へ十分に引き込む力を発揮し得るものであることが望ましい。
【0028】
上記界面引込手段は、基端側のラジアル軸受部に動圧発生溝部を設け、回転スリーブ体の回転に伴い前記動圧発生溝部によって潤滑液に発生する動圧が、そのラジアル軸受部における先端側寄りに偏るものとすることができる。
【0029】
動圧発生溝部の動圧発生溝としては、例えばヘリングボーン溝等を用いることができる。
【0030】
回転スリーブ体が回転すると、基端側のラジアル軸受部の動圧発生溝部によって潤滑液に動圧が発生する。その動圧はそのラジアル軸受部における先端側寄りに偏って発生するので、それによって潤滑液の基端界面が先端側へ引き込まれる。例えば、動圧発生溝部によって潤滑液に発生する動圧の軸心方向における中心が、そのラジアル軸受部の軸心方向における中心よりも先端側寄りであるように偏らせることにより、潤滑液の基端界面が先端側へ引き込まれるようにすることができる。
【0031】
この動圧発生溝部の基端側部分は、上記基端側間隙拡大部の少なくとも先端側部分に達しているものとすることが好ましい。
【0032】
この場合、基端側のラジアル軸受部の動圧発生溝部の基端側部分が、基端側間隙拡大部の少なくとも先端側部分に達しているので、回転停止時に基端側間隙拡大部に基端界面を有する潤滑液を、回転スリーブ体の回転時に、より確実に先端側へ引き込むことが可能になり、遠心力の作用による潤滑液の滲出又は漏出による散逸或いは衝撃により脱落することによる散逸をよりよく防ぐことができる。(1−2) (1) 又は(1−1) の動圧流体軸受装置における拡大間隙部は、
回転停止時において、その拡大間隙部を形成する環状凹部の内面及び軸部の外周面の両方に対し接する気体部分を有する場合に、その気体部分が軸心方向において2以上に分離して併存せず、その気体部分に臨む潤滑液が、環状凹部の内面及び軸部の外周面の両方に接する状態で表面張力(毛細管現象)により保持され得るものであることが望ましい。
【0033】
回転停止時において、拡大間隙部を形成する環状凹部の内面及び軸部の外周面の両方に対し接する気体部分をその拡大間隙部に有する場合に、その気体部分が軸心方向において2以上に分離して併存せず、気体部分が軸心方向において単独となるような拡大間隙部となる条件は、環状凹部の形状、寸法、軸部の外周面との間隙の大きさ、拡大間隙部を形成する両面の材質及び面の状態、潤滑液の粘度などの性質等に依存する。
【0034】
この動圧流体軸受装置の拡大間隙部に、拡大間隙部を形成する環状凹部の内面及び軸部の外周面の両方に対し回転停止時に接する気体部分と潤滑液とを有する場合、回転スリーブ体の回転速度がある程度以上になると、遠心力により潤滑液が環状凹部の底部側に偏った状態(例えば貼り付いたような状態)となる。
【0035】
回転停止時には、気体部分は軸心方向において2以上に分離して併存せず軸心方向において単独となり、その気体部分に臨む潤滑液は、環状凹部の内面及び軸部の外周面の両方に接する状態で表面張力(毛細管現象)により保持される。従って、回転中に環状凹部の底部側に偏った状態となっていた潤滑液は、拡大間隙部の先端側と基端側に引き寄せられる。そのため、その拡大間隙部の基端側又は先端側における固定軸体と回転スリーブ体との間隙に充填された潤滑液が、蒸発や衝撃による脱落等により減少すると、拡大間隙部から基端側又は先端側の間隙に対し潤滑液が確実性高く補充される。
【0036】
なお、例えば、環状凹部の底部(環状凹部の最外周部分)が、軸心方向に比較的長い平坦部又はそれに近い形状である場合、回転停止時において、環状凹部の内面及び軸部の外周面の両方に対し接する気体部分は、軸心方向において2以上に分離して併存し易くなる。そのように軸心方向に分離する場合、気体部分同士の間には潤滑液が存在することとなる。従ってこの場合、回転中に環状凹部の底部側に偏った状態となっていた潤滑液の一部は、回転停止時に拡大間隙部の軸心方向中間位置に保持される。そのため、拡大間隙部の基端側又は先端側の間隙に対して補充され得る潤滑液の量が少なくなり、潤滑液の補充が不十分になることも生じ得る。
(1−3) (1) 、(1−1) 又は(1−2) の動圧流体軸受装置は、
固定軸体と回転スリーブ体との間隙に充填された潤滑液の回転停止時における先端界面が、スラスト板部の先端側の面とスラスト溝部との間において径方向内方を向き、その径方向位置が、固定軸体と回転スリーブ体との間隙に充填された潤滑液のうちで最も内方であるものとすることが好ましい。
【0037】
回転停止時における先端界面の径方向位置が、固定軸体と回転スリーブ体との間隙に充填された他の潤滑液よりも外方にある場合、回転スリーブ体の回転時に前記潤滑液に作用する遠心力により、先端界面がより内方へ移動して外部へ散逸する恐れがあるが、この動圧流体軸受装置の回転停止時における先端界面の径方向位置は前記潤滑液のうちで最も内方であるから、そのような先端界面の内方移動による散逸が防がれる。
【0038】
この場合、スラスト板部の先端側の面とスラスト溝部の間に、径方向内方に向かって漸次間隙が拡大する先端側間隙拡大部を有し、先端界面が回転停止時に先端側間隙拡大部に位置するものとすることができる。
( 1 )、 (1-1) 、( 1-2 )又は (1-3) の動圧流体軸受装置は、上記固定軸体内に外部に通じた気室を有し、上記呼吸孔は前記気室に臨んでおり、前記固定軸体の外周面における拡大間隙部の基端側及び先端側に、それぞれ前記気室に通じラジアル軸受部よりも間隙が大きく表面張力により潤滑液を保持し得る連通孔が開口しているものとすることができる。
【0039】
気室というのは、空気又はその他の気体が充満した空間を言い、潤滑液のミスト等を含んでいてもよい。
【0040】
軸部とスリーブ部との間隙に充填された潤滑液の一部は連通孔の軸部外周面側の開口から流入してその連通孔内に保持される。また、連通孔の内周面は潤滑液で濡れた状態となる。軸部とスリーブ部との間隙に充填する潤滑液の量が多すぎた場合、多すぎた分が連通孔内に保持され得るので、潤滑液充填時に厳密な充填量の管理をする必要がない。
【0041】
拡大間隙部から基端側又は先端側の間隙に対し潤滑液が補充される場合に、拡大間隙部内に気体が存在していてその気体が潤滑液と共に拡大間隙部から基端側又は先端側の間隙に流入しようとしたとき、この気体は連通孔を通じて外部に排出され得る。
(2) 軸部とその軸部から径方向外方へ張り出したスラスト板部とを有してなる固定軸体に対し、前記軸部のうちスラスト板部よりも基端側の部分にスリーブ嵌合したスリーブ部と前記スラスト板部に外嵌した径方向内方開口の環状のスラスト溝部とを有してなる回転スリーブ体が、前記固定軸体と回転スリーブ体との間隙に充填された潤滑液を介し、主に軸部とスリーブ部が相対するラジアル軸受部及びスラスト溝部とスラスト板部が相対するスラスト軸受部において、回転自在に支持されてなる動圧流体軸受装置であって、ラジアル軸受部を2以上有し、そのラジアル軸受部同士の間におけるスリーブ部の内周面に径方向内方開口の環状凹部が設けられ、その環状凹部と軸部の外周面との間に、ラジアル軸受部の間隙よりも大きな間隙の拡大間隙部が形成され、前記固定軸体内に、前記拡大間隙部における軸部の外周面に開口すると共に外部に通じた呼吸孔を有し且つ、固定軸体内に潤滑液貯留間隙及び外部に通じた気室を有し、前記潤滑液貯留間隙は、端部が前記気室に臨んでおり、ラジアル軸受部よりも間隙が大きく、その潤滑液貯留間隙を形成する両面に接する状態で表面張力(毛細管現象)により潤滑液を保持するものであり、前記固定軸体の外周面における拡大間隙部の基端側及び先端側に、前記潤滑液貯留間隙に通じた連通孔が開口し、潤滑液貯留間隙に貯留された潤滑液と拡大間隙部の基端側及び先端側の間隙に充填された潤滑液が前記連通孔を介して連続するものとすることができる(請求項2)。
【0042】
気室というのは、空気又はその他の気体が充満した空間を言い、潤滑液のミスト等を含んでいてもよい。
【0043】
拡大間隙部に気体と潤滑液を有し、回転スリーブ体が連続回転する場合、その潤滑液は、上記環状凹部の底部側に偏った状態が続く。そのため、環状凹部の潤滑液は、その基端側又は先端側の間隙に対し補充され得なくなることがある。しかしながら、その拡大間隙部の基端側又は先端側における固定軸体と回転スリーブ体との間隙に充填された潤滑液が、蒸発や衝撃による脱落等により減少すると、潤滑液貯留間隙に貯留された潤滑液が連通孔を介して拡大間隙部の基端側又は先端側の間隙に対し補充される。固定軸体内の潤滑液には遠心力が作用することはない。
【0044】
基端側のラジアル軸受部よりも基端側に、軸部とスリーブ部の間の間隙が基端側に向かって漸次拡大する基端側間隙拡大部を有し、その基端側間隙拡大部に、回転停止時における前記潤滑液の基端界面を有する場合、回転停止時における潤滑液の基端界面のスパン(その部分の間隙の厚さに対応する)は、潤滑液貯留間隙の潤滑液が前記基端界面に臨む潤滑液に連続しているならば、基端側間隙拡大部と潤滑液貯留間隙の表面状態がほぼ同一であれば、潤滑液が気室に臨む部分のスパン、すなわち潤滑液貯留間隙の間隙程度以下に小さく維持されるので、それによって基端界面からの潤滑液のマイグレーションが防止される。上記スラスト板部の先端側の面とスラスト溝部の間に、径方向内方に向かって漸次間隙が拡大する先端側間隙拡大部を有し、固定軸体と回転スリーブ体との間隙に充填された潤滑液の先端界面が、回転停止時にその先端側間隙拡大部に位置して径方向内方を向く場合、潤滑液貯留間隙の潤滑液がその先端界面に臨む潤滑液に連続しているならば、同様に、先端界面のスパンは拡大間隙部の間隙程度以下に小さく維持され、先端界面からの潤滑液のマイグレーションが防止される。
(2-1) (2) の動圧流体軸受装置における固定軸体内の潤滑液貯留間隙、気室、及びその気室に臨む前記潤滑液貯留間隙の端部は、それぞれ軸心方向に連続するものとすることができる。
【0045】
固定軸体内の潤滑液貯留間隙、気室、及びその気室に臨む前記潤滑液貯留間隙の端部が、それぞれ軸心方向に連続する場合、固定軸体と回転スリーブ体との間隙に充填された潤滑液以外に、比較的多量の潤滑液が潤滑液貯留間隙内に貯留される。
上記(1)又は(2)の動圧流体軸受装置は、環状凹部の先端側及び基端側に臨むスリーブ部の内周面に、それぞれ全周にわたり径方向外方に窪んだ潤滑液離脱防止溝を有するものとすることが好ましい(請求項3)。
【0046】
環状凹部の少なくとも一部に気体を有する場合、その環状凹部の先端側及び基端側の各間隙における潤滑液は、回転スリーブ体の回転時に、遠心力により環状凹部内へ流れようとする。その際、各潤滑液離脱防止溝における潤滑液の一部は遠心力により環状凹部へ流れ込むことがあるが、各潤滑液離脱防止溝と環状凹部との間の言わば環状の堤部によって、それ以上の潤滑液の流出は防がれ、前記各間隙の潤滑液が環状凹部へ流出することが回避される。
(4) 上記(1) 、(2) 又は (3) の動圧流体軸受装置は、環状凹部が、軸心線を含む平面で切った断面形状が弧状をなすものとすることが好ましい(請求項4)。
【0047】
環状凹部を軸心線を含む平面で切った断面形状について弧状というのは、例えば、環状凹部の内面の先端側端部及び基端側端部から両者の中間位置に向かってそれぞれ軸心線に対する傾斜角が鋭角から次第に減少して軸心線に平行又はそれに近くなるような、楕円弧状を含む曲線状をなすものを言う。
【0048】
このような断面形状の場合、回転停止時において、拡大間隙部を形成する環状凹部の内面及び軸部の外周面の両方に対し接する気体部分を有する場合に、その気体部分が軸心方向において2以上に分離して併存せず、その気体部分に臨む潤滑液が、環状凹部の内面及び軸部の外周面の両方に接する状態で表面張力(毛細管現象)により保持されるものとなり易い。
(5) 上記(1) 、(2) 、(3) 又は (4) の動圧流体軸受装置は、固定軸体における軸部の外周面よりも径方向内方に位置し、スラスト板部の先端側内方部及び基端側内方部に開口してそれらを連通する呼吸孔を有するものとすることができる(請求項5)。
【0049】
呼吸孔が固定軸体における軸部の外周面よりも径方向内方に位置するので、固定軸体と回転スリーブ体との間隙に充填された潤滑液に対し回転スリーブ体の回転時に作用する遠心力により、その潤滑液が呼吸孔に流れ込んで呼吸孔を閉塞させることが防がれる。そのため、潤滑液に混入した余分な気泡や、温度上昇や気圧低下等による気泡の膨張分等は、呼吸孔を通じ確実性高く外部に解放される。
【0050】
なお、上記(1) の呼吸孔、又は上記(2) 若しくは(3) の気室若しくは呼吸孔は、この呼吸孔を介して外部に通じるものとすることができる。
(6) 上記(1) 、(2) 、(3) 、(4) 又は (5) の動圧流体軸受装置は、環状凹部の底部及びスラスト溝部の底部の一方又は両方に、更に径方向外方に窪んだ溝部又は穴部を有することが好ましい(請求項6)。
【0051】
スラスト溝部の底部というのは、スラスト溝部の最外周部を言う。
【0052】
回転スリーブ体の回転開始及び終了時等に、回転スリーブ体と固定軸体の間、特に軸部とスリーブ部の間或いはスラスト板部とスラスト溝部の間で摩耗粉が発生した場合、回転中に摩耗粉が遠心力により環状凹部又はスラスト溝部の底部に集まり、遠心力により更に径方向外方の溝部又は穴部内に摩耗粉が集まって滞留することにより、回転が停止してもその摩耗粉は前記溝部又は穴部から離脱し難くなる。それにより、摩耗粉が更なる摩耗を加速するという不都合を可及的に回避し得る。
(7) 本発明の電動機は、上記(1) 、(2) 、(3) 、(4) 、(5) 又は (6) の動圧流体軸受装置を備え、回転スリーブ体がロータとして回転するものである(請求項7)。
【0053】
この電動機は、ハードディスク等の磁気ディスク、光磁気ディスク、CD、DVD等の光ディスクを始めとする記録媒体駆動装置用のスピンドルモータの他、種々の電動機として用いることができる。
【0054】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図1乃至図3を参照しつつ説明する。
【0055】
図1及び図2は、本発明の実施の形態の一例としての、動圧流体軸受装置を備えたハードディスク駆動用の主に断続回転用のスピンドルモータについてのものであって、そのうち図1(a) は要部断面図、図1(b) は、図1(a) におけるI−I 線要部断面図である。図2における(a) は、図1における下端側間隙拡大部付近の要部断面図、図2における(b−1) 及び(b−2) は、図1における拡大間隙部付近の要部拡大断面図である。
【0056】
電動機の基盤10の嵌合孔に固定軸体12の下端部(基端部)が嵌合固定されることにより、固定軸体12が立設固定されている。基盤10の上側における固定軸体12の外周側には、ステータコイル14が巻回されたステータコア16が固定されている。
【0057】
固定軸体12は、上下方向の固定軸部材12a(軸部)と、その固定軸部材12aの上部に同軸状に外嵌固定された環状板状の固定スラスト板12b(スラスト板部)とを有してなる。固定軸体12には、回転スリーブ部材18aと回転スラスト板18bからなる回転スリーブ体18が外嵌されている。
【0058】
回転スリーブ部材18aは、固定軸部材12aのうち固定スラスト板12bと基盤10との間の部分にスリーブ嵌合したスリーブ部18a1と、スリーブ部18a1の上端に下端が位置する大外径部18a2からなる。大外径部18a2の内径は、スリーブ部18a1から上方(先端側)に向かって、中内径部18a3及び大内径部18a4へと順次拡径されている。この大内径部18a4の下端部に回転スラスト板18bが内嵌固定されることにより、中内径部18a3の内周側に径方向内方開口の環状のスラスト溝部20が形成され、このスラスト溝部20が固定スラスト板12bに外嵌している。
【0059】
固定軸部材12aにおける回転スラスト板18bの上側には、環状板状のキャップ体22が外嵌固定されている。固定軸体12は、下端部を基盤10に、固定軸部材12aの上端部をハードディスク駆動装置の蓋体(図示せず)等に固定することができるので、回転スリーブ体18の安定的な回転を実現することができる。
【0060】
回転スリーブ部材18aの大外径部18a2には、下端外周部に径方向外方への張出部を有する強磁性材料製の円筒状部材24が外嵌固定され、その円筒状部材の下部には、円筒状のロータマグネット26が内嵌固定され、ステータコア16と径方向空隙を隔てて相対している。ロータは、回転スリーブ体18と円筒状部材24とロータマグネット26からなる。
【0061】
図2(a) に示されるように、固定軸部材12aの外周部のうちスリーブ部18a1の下端部に相対する部分は、下方に向かってテーパ状に縮径し、これにより、スリーブ部18a1の内周面との間の間隙が下方に向かって漸次拡大する下端側間隙拡大部28が形成されている。スリーブ部18a1の内周面の下端部には撥油剤の塗布等の撥油手段が施されている。
【0062】
回転スラスト板18bの下側内周部は、内方に向かって上向きに傾斜し、固定スラスト板12bの上面との間に、漸次間隙が拡大する上端側間隙拡大部30が形成されている。回転スラスト板18bの内周面及びそれと径方向の比較的狭い空隙を隔てて相対する固定軸部材12aの外周面には、撥油剤の塗布等の撥油手段が施されている。
【0063】
固定軸体12と回転スリーブ体18との間隙には潤滑油32が充填されており、この潤滑油32は、上端界面32a(先端界面)及び下端界面32b(基端界面)がそれぞれ上端側間隙拡大部30及び下端側間隙拡大部28に位置することにより、表面張力(毛細管現象)によって固定軸体12と回転スリーブ体18との間隙内に保持されている。
【0064】
スリーブ部18a1の内周面の上部及び下部には、それぞれ動圧発生用のへリングボーン溝部33(へリングボーン溝以外の動圧発生用溝を用いることもできる。)が設けられ、固定軸部材12aの外周面との間でそれぞれ上ラジアル軸受部34及び下ラジアル軸受部36が構成されている。そのうち下ラジアル軸受部36の動圧発生用のへリングボーン溝部33は、下端側間隙拡大部28の上部に達しており、回転スリーブ体18の回転に伴いそのへリングボーン溝部33により潤滑油32に発生する動圧の軸心方向における中心が、その下ラジアル軸受部36の軸心方向における中心よりも上寄りになるよう設けられている。スリーブ部18a1の内周面と固定軸部材12aの外周面との間隙は、上下ラジアル軸受部34・36において通常数μmである。
【0065】
スリーブ部18a1は、その内周面における上下ラジアル軸受部34・36の間に、径方向内方開口の環状凹部38を有する。環状凹部38は、軸心線を含む平面で切った断面形状において弧状をなす。その環状凹部38と固定軸部材12aの外周面との間には、拡大間隙部40が形成される。
【0066】
この拡大間隙部40は、回転スリーブ体18の回転停止時において、その拡大間隙部40を形成する環状凹部38の内面及び固定軸部材12aの外周面の両方に対し接する気体部分42を有する場合に、図2(b−1)に示すように、その気体部分42が軸心方向(図における上下方向)において2以上に分離して併存せず、その気体部分42に臨む潤滑油32が、環状凹部38の内面及び固定軸部材12aの外周面の両方に接する状態で表面張力(毛細管現象)により保持され得るものに形成されている。気体とは、通常の場合空気であり、気体部分というのは、例えば、球状、楕円体状又はそれに比較的近い形状の気泡、周方向に弧状をなす気泡又は気体部分、周方向に環状に連続した気体部分等を含む。
【0067】
回転スリーブ体18の回転停止時に気体部分42が軸心方向において単独となるような拡大間隙部40となる条件は、環状凹部38の形状、寸法、軸部の外周面との間隙の大きさ、拡大間隙部を形成する両面の材質及び面の状態、潤滑油32の粘度などの性質等に依存するが、環状凹部38が、軸心線を含む平面で切った断面形状において弧状をなすものである場合、気体部分42が軸心方向において2以上に分離して併存し得ないものとなり易い。
【0068】
拡大間隙部40の適切な最大間隙は、潤滑油32の種類及びその拡大間隙部40を形成する両面の材質及び面の状態等によって変化するが、例えば約50μm程度を挙げることができる。
【0069】
また、環状凹部38がこのような形状であるため、回転スリーブ体18の回転開始及び終了時等に、回転スリーブ体18と固定軸体12の間で摩耗粉が発生した場合、回転中に摩耗粉が遠心力により環状凹部38の底部付近に集まって滞留することに比較的なり易く、摩耗粉が更なる摩耗を加速するという不都合を可及的に回避し得ることにもなる。
【0070】
なお、環状凹部38の底部に、更に径方向外方に窪んだ溝部39を設け、スラスト溝部の底部に、更に径方向外方に窪んだ溝部41を設ければ、回転スリーブ体18の回転開始及び終了時等に、回転スリーブ体18と固定軸体12の間で摩耗粉が発生した場合、回転中に摩耗粉が遠心力により環状凹部38の底部及びスラスト溝部20の底部に集まり、遠心力により更に径方向外方の溝部39及び溝部41内に摩耗粉が集まって滞留することにより、回転が停止してもその摩耗粉は溝部39・41から離脱し難くなる。それにより、摩耗粉が更なる摩耗を加速するという不都合を可及的に回避し得る。
【0071】
環状凹部38の上側及び下側に臨むスリーブ部18a1の内周面に、それぞれ全周にわたり径方向外方に窪んだ潤滑液離脱防止溝43を有する。
【0072】
固定軸体12内に円柱形状(この形状に限らない)の気室44が設けられ、直径約50μm程度の円柱形状の径方向の第1呼吸孔46が、拡大間隙部40における固定軸部材12aの外周面と気室44とを連通している。第1呼吸孔46の形状及びサイズは、第1呼吸孔46の内部を閉塞した状態で潤滑油32が表面張力(毛細管現象)により保持されることが防がれるものであればこれに限られるものではない。そのためには、第1呼吸孔46の横断面は、通常、この例の横断面サイズの程度以上とすることが必要とされ、これよりも小さくすることはできないことが多い。気室44の上端部は、径方向の連通孔48によって固定軸部材12aの外周部に連通している。また、その連通孔48の外端部は、固定軸部材12aの外周部の切欠と固定スラスト板12bの内周面によって形成された第2呼吸孔50、及び固定軸部材12aと固定スラスト板12bとキャップ体22の間隙を介してこのスピンドルモータの外部に通じている。これにより、第1呼吸孔46は固定軸部材12aの外周面に開口すると共に外部に通ずる。
【0073】
固定軸体12の外周面における拡大間隙部40の上側及び下側に、それぞれ気室44に通じた径方向の連通孔53が開口している。これらの連通孔53は、上下ラジアル軸受部34・36よりも間隙が大きく表面張力により潤滑油32を保持し得るものである。連通孔53内には、表面張力により保持される潤滑油32と気泡の双方が併存し得る。
【0074】
固定軸部材12aとスリーブ部18a1との間隙に充填された潤滑油32の一部は連通孔53の固定軸部材12aの外周面側の開口から流入してその連通孔53内に保持される。固定軸部材12aとスリーブ部18a1との間隙に充填する潤滑油32の量が多すぎた場合、多すぎた分が連通孔53内に保持され得るので、潤滑油32充填時に厳密な充填量の管理をする必要がない。
【0075】
拡大間隙部40から基端側又は先端側の間隙に対し潤滑油32が補充される場合に、拡大間隙部40内に空気(又はその他の気体)が存在していてその空気が潤滑油32と共に拡大間隙部40から基端側又は先端側の間隙に流入しようとしたとき、この空気は連通孔53を通じて外部に排出され得る。
【0076】
固定スラスト板12bの上面及び下面に、それぞれ動圧発生用のへリングボーン溝部51(へリングボーン溝以外の動圧発生用溝を用いることもできる。)が設けられ、それぞれスラスト溝部20の上面(回転スラスト板18bの下面)及びスラスト溝部20の下面との間に上スラスト軸受部52及び下スラスト軸受部54が構成されている。
【0077】
上端側間隙拡大部30及び下端側間隙拡大部28と拡大間隙部40の表面状態はほぼ同一である。回転スリーブ体18の回転停止時に下端側間隙拡大部28に位置する潤滑油32の下端界面32bのスパン、及び上端側間隙拡大部30に位置する潤滑油32の上端界面32aのスパンは、何れも拡大間隙部40の径方向間隙程度以下に小さく維持され、上端界面32a及び下端界面32bからの潤滑油32のマイグレーションが防止される。
【0078】
回転スリーブ体18が回転すると、固定軸体12と回転スリーブ体18との間隙に充填された潤滑油32に遠心力が作用する。そのため、回転停止時においては下端側間隙拡大部28に下端界面32bが位置するように表面張力(毛細管現象)により保持されていた潤滑油32が、遠心力の作用によって更に下方へ滲出若しくは漏出することにより、或いは衝撃により脱落することにより散逸し易い状態となる。ところが、下ラジアル軸受部36の動圧発生用のへリングボーン溝部33は、下端側間隙拡大部28の上部に達しており、回転スリーブ体18の回転に伴いそのへリングボーン溝部33により潤滑油32に発生する動圧の軸心方向における中心が、その下ラジアル軸受部36の軸心方向における中心よりも上寄りになるよう設けられているので、回転スリーブ体18の回転に伴い、潤滑油32の下端界面32bが停止位置から上方へ引き込まれるので、遠心力の作用による潤滑油32の滲出又は漏出による散逸、或いは衝撃により脱落することによる散逸が生じ難くなる。
【0079】
それでも幾分かの潤滑油32が滲出又は漏出する可能性もないではないが、スリーブ部18a1の下端内周部には、下端側間隙拡大部28を構成するテーパ状拡径部18a5の下側にテーパ状縮径部18a6を有するので、回転するスリーブ部18a1の内周面に沿って下方へ滲出又は漏出しようとする潤滑油32は、図2(a)に示すように遠心力に逆らって径方向内方へ移動しなければならなくなる。そのため、潤滑油32の滲出又は漏出が防止されて潤滑液の散逸がより確実性高く防止される。また、固定軸部材12aの外周部は、テーパ状縮径部18a6の内周側の部分から基盤10の上側にかけて下方に向かってテーパ状に縮径し、スリーブ部18a1の内周面との間の間隙が、テーパ状拡径部18a5の上方におけるスリーブ部18a1と固定軸部材12aとの間隙よりも小さくならないように構成されているので、表面張力(毛細管現象)により潤滑油32がテーパ状縮径部18a6とスリーブ部18a1の間に引き寄せられて潤滑油32の散逸を招くことが防がれる。
【0080】
上端界面32aは、回転スラスト板18bと固定スラスト板12bの間で径方向内方を向くので、回転時における上端界面32aからの潤滑油32の散逸は、遠心力によって防がれる。然も、回転停止時における上端界面32aの径方向位置は潤滑油32のうちで最も内方であるから、回転時の遠心力により上端界面32aが更に内方に移動して散逸する恐れはない。
【0081】
また、環状凹部38はスリーブ部18a1の内周面において径方向内方に開口する(すなわち径方向外方に窪んでいる)ので、回転スリーブ体18の回転時に拡大間隙部40に位置する潤滑油32が遠心力を受けることにより拡大間隙部40から上方及び下方の間隙に押し込まれること、及びそれによりその固定軸体12と回転スリーブ体18との間隙から潤滑油32の一部を外部へ漏出させることが回避される。
【0082】
一方、拡大間隙部40に、拡大間隙部40を形成する環状凹部38の内面及び固定軸部材12aの外周面の両方に対し回転停止時に接する気体部分42と潤滑油32とを有する場合、回転スリーブ体18の回転速度がある程度以上になると、図2(b−2)に示すように遠心力により潤滑油32が環状凹部38の底部側に貼り付いたような状態となる。環状凹部38の上側及び下側の各間隙における潤滑油32は、遠心力により環状凹部38内へ流れようとする。その際、各潤滑液離脱防止溝43における潤滑油32の一部は遠心力により環状凹部38へ流れ込むことがあるが、各潤滑液離脱防止溝43と環状凹部38との間の言わば環状の堤部によって、それ以上の潤滑油32の流出は防がれ、前記各間隙の潤滑油32が環状凹部38へ流出することが回避される。
【0083】
回転停止時には、図2(b−1)に示すように気体部分42は軸心方向において2以上に分離して併存せず軸心方向において単独となり、その気体部分42に臨む潤滑油32は、環状凹部38の内面及び固定軸部材12aの外周面の両方に接する状態で表面張力(毛細管現象)により保持される。従って、回転中に環状凹部38の底部側に貼り付いたような状態となっていた潤滑油32は、拡大間隙部40の上側と下側に引き寄せられる。そのため、その拡大間隙部40の上方又は下方における固定軸体12と回転スリーブ体18との間隙に充填された潤滑油32が、蒸発や衝撃による脱落等により減少すると、拡大間隙部40からその上方又は下方の間隙に対し潤滑油32が確実性高く補充される。
【0084】
回転スリーブ体18の回転に伴い潤滑油32の下端界面32bが停止位置から上方へ引き込まれること等により潤滑油32に混入した余分な気泡や、温度上昇や気圧低下等による気泡の膨張分等は、第1呼吸孔46、連通孔53、気室44、連通孔48及び第2呼吸孔50を通じスピンドルモータの外部に解放される。また、拡大間隙部40から上方又は下方の間隙に対し潤滑油32が補充された場合、補充された潤滑油32の容積に見合った気体が第2呼吸孔50、連通孔48、気室44及び第1呼吸孔46を通じ外部から拡大間隙部40に導入される。第2呼吸孔50は、固定軸体12における固定軸部材12aの外周面よりも径方向内方に位置するので、固定軸体12と回転スリーブ体18との間隙に充填された潤滑油32に対し回転スリーブ体18の回転時に作用する遠心力により、その潤滑油32が第2呼吸孔50に流れ込んでその第2呼吸孔50を閉塞させることが防がれる。
【0085】
なお、例えば拡大間隙部の対照例としての図5に示すように、環状凹部pの底部(環状凹部の最外周部分)が、軸心方向に比較的長い平坦部又はそれに近い形状である場合、回転停止時において、環状凹部pの内面及び軸部qの外周面の両方に対し接する気体部分rは、軸心方向において2以上に分離して併存し易くなる。このように軸心方向に分離する場合、気体部分r同士の間には潤滑油sが存在することとなる。従ってこの場合、回転中に環状凹部pの底部側に貼り付いたような状態となっていた潤滑油sの一部は、回転停止時に拡大間隙部tの軸心方向中間位置に保持される。そのため、拡大間隙部tの上方又は下方の間隙に対して補充され得る潤滑油sの量が少なくなり、潤滑油sの補充が不十分になることが生じ得る。
【0086】
図3は、本発明の実施の形態の別の例としての、動圧流体軸受装置を備えたハードディスク駆動用の主に連続回転用のスピンドルモータについてのものであって、そのうち(a) は要部断面図、(b) は、(a) におけるII−II 線要部断面図、(c) は、(a) におけるIII−III 線要部断面図である。
【0087】
この例は、固定軸体12の固定軸部材12aが固定軸体62の固定軸部材62aに替えられ、その内部が変更されている点が、図1及び図2に示した例との主な相違点であり、その他に、回転スリーブ体18の回転スリーブ部材18aを回転スリーブ体64の回転スリーブ部材64aに替えて環状凹部38及び拡大間隙部40を環状凹部66及び拡大間隙部68に変更している。これら以外は図1及び図2に示した例と同様であり、符号の意味は図1及び図2におけるものと同様である。
【0088】
固定軸部材62aの内部には、その固定軸部材62aと同軸状に、下端から上部に至る円柱形状穴62cが設けられ、その円柱形状穴62cには、柱状部材70が嵌合している。
【0089】
円柱形状穴62cは、上端部が小径に形成されている以外一定半径である。柱状部材70は、下部が円柱形状穴62c内に密に嵌合し、上端部は、円柱形状穴62cの上端部の小径部に密に嵌合し、中間部は、過半周が円柱形状穴62cよりもやや小径の円周面に形成され、残部は切欠部に形成された、横断面弓形状部70aをなす。これにより、柱状部材70の横断面弓形状部70aにおける円周面と円柱形状穴62cの内周面との間に、潤滑油貯留間隙72(潤滑液貯留間隙)が形成されており、横断面弓形状部70aにおける切欠面と円柱形状穴62cの内周面との間に、気室74が形成されている。潤滑油貯留間隙72は、横断面略C字形状で軸心方向に連続し、その軸心方向に連続した両端部は何れも、軸心方向に連続した気室74に臨んでいる。
【0090】
潤滑油貯留間隙72における間隙は、上下ラジアル軸受部34・36よりも間隙が大きく、その間隙を形成する円柱形状穴62cの内周面及び柱状部材70の横断面弓形状部70aにおける円周面の両面に接する状態で表面張力(毛細管現象)により潤滑油32が保持される厚さに設定されている。この厚さは、通常、約50μm程度以下とすることができる。なお、潤滑油貯留間隙及び気室は、これ以外の形状とすることもできる。
【0091】
潤滑油貯留間隙72には、気室74側に端部(界面)を有する状態で潤滑油32が表面張力(毛細管現象)により保持されている。潤滑油貯留間隙72の横断面略C字形状部分には、軸心方向に連続した両端部が気室74に臨んだ状態で比較的多量の潤滑油32が表面張力(毛細管現象)により保持されている。潤滑油貯留間隙72に保持された潤滑油32中には、例えば図3(c) に示されるように気体部分42(気泡)が分散した状態となることもある。
【0092】
固定軸体62の外周面における拡大間隙部68の上側及び下側に、それぞれ潤滑油貯留間隙72に通じた径方向の潤滑油補給孔76(連通孔)が開口し、潤滑油貯留間隙72に貯留された潤滑油32と拡大間隙部68の上方及び下方の固定軸体62と回転スリーブ体64との間隙に充填された潤滑油32が潤滑油補給孔76を介して連続している。
【0093】
上端側間隙拡大部30、下端側間隙拡大部28及び潤滑油貯留間隙72における相対する面の表面状態は実質的に同一である。回転スリーブ体18の回転停止時に下端側間隙拡大部28に位置する潤滑油32の下端界面32bのスパン、及び上端側間隙拡大部30に位置する潤滑油32の上端界面32aのスパンは、何れも潤滑油貯留間隙72の径方向間隙に等しい程度に小さく維持され、上端界面32a及び下端界面32bからの潤滑油32のマイグレーションが防止される。
【0094】
拡大間隙部68に気体部分(気泡)と潤滑油32を有し、回転スリーブ体64が連続回転する場合、その拡大間隙部68における潤滑油32は、図2(b−2)に示されるような環状凹部66の底部に貼り付いたような状態が続く。拡大間隙部68の上方又は下方における固定軸体62と回転スリーブ体64との間隙に充填された潤滑油32が、蒸発や衝撃による脱落等により減少すると、潤滑油貯留間隙72に貯留された潤滑油32が潤滑油補給孔76を介して拡大間隙部64の上側又は下側の間隙に対し補充される。固定軸体62内の潤滑油32には遠心力が作用することはない。潤滑油貯留間隙72には、その量に見合った気体が、例えば第2呼吸孔50、連通孔48及び気室74を通じて導入され、気体の領域又は気体部分42(気泡)の量が大きくなる。
【0095】
なお、以上の実施の形態についての記述における上下位置関係は、単に図に基づいた説明の便宜のためのものであって、実際の使用状態等を限定するものではない。
【0096】
【発明の効果】
本発明の動圧流体軸受装置及び電動機においては、環状凹部が径方向内方に開口するので、拡大間隙部の潤滑液が遠心力により基端側及び先端側の間隙に押し込まれて潤滑液の一部を外部へ漏出させることが回避される。
【0097】
拡大間隙部に気体部分を有する場合、回転中に環状凹部の底部側に偏った状態となっていた潤滑液の少なくとも一部は、回転を停止すると、拡大間隙部の先端側と基端側に引き寄せられるので、その拡大間隙部の基端側又は先端側における固定軸体と回転スリーブ体との間隙に充填された潤滑液が蒸発や衝撃による脱落等により減少すると、拡大間隙部から基端側又は先端側の間隙に対し潤滑液が高く補充され、潤滑液不足により回転スリーブ体の回転が不安定になったりラジアル軸受部又はスラスト軸受部が損傷すること等の不都合が防がれる。
【0098】
請求項1記載の動圧流体軸受装置においては、軸部とスリーブ部との間隙に充填する潤滑液の量が多すぎた場合、多すぎた分が連通孔内に保持され得るので、潤滑液充填時に厳密な充填量の管理をする必要がない。また、拡大間隙部から基端側又は先端側の間隙に対し潤滑液が補充される場合に、拡大間隙部内に気体が存在していてその気体が潤滑液と共に拡大間隙部から基端側又は先端側の間隙に流入しようとしたとき、この気体は連通孔を通じて外部に排出され得る。
【0099】
請求項2記載の動圧流体軸受装置においては、拡大間隙部に気体と潤滑液を有し、回転スリーブ体が連続回転する場合においても、潤滑液貯留間隙に貯留された潤滑液が連通孔を介して拡大間隙部の基端側又は先端側の間隙に対し潤滑液が補充され、潤滑液不足により回転スリーブ体の回転が不安定になったりラジアル軸受部又はスラスト軸受部が損傷すること等の不都合が防がれる。
【0100】
請求項3記載の動圧流体軸受装置においては、環状凹部の少なくとも一部に気体を有する場合、その環状凹部の先端側及び基端側の各間隙における潤滑液が環状凹部へ流出することが回避される。
【0101】
請求項4記載の動圧流体軸受装置においては、回転停止時において、拡大間隙部を形成する環状凹部の内面及び軸部の外周面の両方に対し接する気体部分を有する場合に、その気体部分が軸心方向において2以上に分離して併存せず、その気体部分に臨む潤滑液が、環状凹部の内面及び軸部の外周面の両方に接する状態で表面張力(毛細管現象)により保持されるものとなり易い。
【0102】
請求項5の動圧流体軸受装置においては、潤滑液に混入した余分な気泡や、温度上昇や気圧低下等による気泡の膨張分等は、呼吸孔を通じ確実性高く外部に解放され、気泡の膨張等による潤滑液の散逸が防がれる。
【0103】
請求項6の動圧流体軸受装置においては、発生した摩耗粉が、環状凹部の底部及びスラスト溝部の底部の一方又は両方における溝部又は穴部に集まって離脱し難くなるので、摩耗粉が更なる摩耗を加速するという不都合を可及的に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】主に断続回転用のスピンドルモータについての要部断面図及びI−I 線要部断面図である。
【図2】図1における下端側間隙拡大部付近の要部断面図及び拡大間隙部付近の要部拡大断面図である。
【図3】主に連続回転用のスピンドルモータについての要部断面図、II−II 線要部断面図、及びIII−III 線要部断面図である。
【図4】ハードディスク駆動用の電動機の従来例についての断面図である。
【図5】拡大間隙部の対照例を示す要部断面図である。
【符号の説明】
12a 固定軸部材
18 回転スリーブ体
18a1 スリーブ部
28 下端側間隙拡大部
32 潤滑油
33 へリングボーン溝部
34 上ラジアル軸受部
36 下ラジアル軸受部
38 環状凹部
40 拡大間隙部
42 気体部分
44 気室
48 連通孔
50 第2呼吸孔
53 連通孔
Claims (7)
- 軸部とその軸部から径方向外方へ張り出したスラスト板部とを有してなる固定軸体に対し、前記軸部のうちスラスト板部よりも基端側の部分にスリーブ嵌合したスリーブ部と前記スラスト板部に外嵌した径方向内方開口の環状のスラスト溝部とを有してなる回転スリーブ体が、前記固定軸体と回転スリーブ体との間隙に充填された潤滑液を介し、主に軸部とスリーブ部が相対するラジアル軸受部及びスラスト溝部とスラスト板部が相対するスラスト軸受部において、回転自在に支持されてなる動圧流体軸受装置であって、
ラジアル軸受部を2以上有し、そのラジアル軸受部同士の間におけるスリーブ部の内周面に径方向内方開口の環状凹部が設けられ、その環状凹部と軸部の外周面との間に、ラジアル軸受部の間隙よりも大きな間隙の拡大間隙部が形成され、前記固定軸体内に、上記固定軸体内に外部に通じた気室と、前記拡大間隙部における軸部の外周面に開口すると共に外部に通じた呼吸孔を前記気室に臨んで有し且つ、
前記固定軸体の外周面における拡大間隙部の基端側及び先端側に、それぞれ前記気室に通じラジアル軸受部よりも間隙が大きく表面張力により潤滑液を保持し得る連通孔が開口していることを特徴とする動圧流体軸受装置。 - 軸部とその軸部から径方向外方へ張り出したスラスト板部とを有してなる固定軸体に対し、前記軸部のうちスラスト板部よりも基端側の部分にスリーブ嵌合したスリーブ部と前記スラスト板部に外嵌した径方向内方開口の環状のスラスト溝部とを有してなる回転スリーブ体が、前記固定軸体と回転スリーブ体との間隙に充填された潤滑液を介し、主に軸部とスリーブ部が相対するラジアル軸受部及びスラスト溝部とスラスト板部が相対するスラスト軸受部において、
回転自在に支持されてなる動圧流体軸受装置であって、ラジアル軸受部を2以上有し、そのラジアル軸受部同士の間におけるスリーブ部の内周面に径方向内方開口の環状凹部が設けられ、その環状凹部と軸部の外周面との間に、ラジアル軸受部の間隙よりも大きな間隙の拡大間隙部が形成され、前記固定軸体内に、前記拡大間隙部における軸部の外周面に開口すると共に外部に通じた呼吸孔を有し且つ、
上記固定軸体内に潤滑液貯留間隙及び外部に通じた気室を有し、前記潤滑液貯留間隙は、端部が前記気室に臨んでおり、ラジアル軸受部よりも間隙が大きく、その潤滑液貯留間隙を形成する両面に接する状態で表面張力により潤滑液を保持するものであり、前記固定軸体の外周面における拡大間隙部の基端側及び先端側に、前記潤滑液貯留間隙に通じた連通孔が開口し、潤滑液貯留間隙に貯留された潤滑液と拡大間隙部の基端側及び先端側の間隙に充填された潤滑液が前記連通孔を介して連続することを特徴とする動圧流体軸受装置。 - 上記環状凹部の先端側及び基端側に臨むスリーブ部の内周面に、それぞれ全周にわたり径方向外方に窪んだ潤滑液離脱防止溝を有する請求項第1又は2項のいずれかに記載の動圧流体軸受装置。
- 上記環状凹部が、軸心線を含む平面で切った断面形状が孤状をなすものである請求項第1乃至3項のいずれかに記載の動圧流体軸受装置。
- 上記固定軸体における軸部の外周面よりも径方向内方に位置し、スラスト板部の先端側内方部及び基端側内方部に開口してそれらを連通する呼吸孔を有する請求項第1乃至4項のいずれかに記載の動圧流体軸受装置。
- 上記環状凹部の底部及びスラスト溝部の底部の一方又は両方に、更に径方向外方に窪んだ溝部又は穴部を有する請求項第1乃至5項のいずれかに記載の動圧流体軸受装置。
- 請求項第1乃至6項のいずれかに記載の動圧流体軸受装置を備え、回転スリーブ体がロータとして回転する電動機。
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